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独立行政法人防災科学技術研究所中期目標

平成23年4月1日
文部科学省

(序文)

 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第29条第1項の規定に基づき、独立行政法人防災科学技術研究所(以下「防災科研」という。)が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を定める。

(前文)

 我が国は数多くの自然災害を経験しており、大地震、局地的豪雨及び火山噴火などの自然災害から国民の生命・財産を守ることは喫緊の課題である。また、この課題を達成するための防災に関する研究開発は、我が国の安定的な成長を実現するための基盤であり、長期的な視野に立ち継続して取り組んでいく必要がある。
 防災科研は防災科学技術に関する基礎研究及び基盤的研究開発等を総合的に行うことにより、防災科学技術の水準の向上を図ることを使命としている。
 防災科研では、これまで全国地震動予測地図や緊急地震速報、高精度な降雨観測レーダ(MPレーダ)の開発など、実用化に結びつく成果を生み出してきた。このように防災に関する科学技術は国民に活用されることが重要であり、国民のために達成すべき課題を明確にして研究開発を進める必要がある。
 今後は防災に関する総合的な研究機関である強みを活かし、また研究成果がこれまでよりもさらに活用されることを目指し研究を進め、国民生活の質の向上等に貢献することが期待されている。
 防災科研が世界トップレベルの研究機関としてこのような役割を果たすため、以下のとおり中期目標を定める。

1.中期目標の期間

 防災科研の平成23年度から始まる第3期における中期目標の期間は、5年(平成23年4月~平成28年3月)とする。

2.国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項

1.防災に関する課題達成型研究開発の推進

 我が国の安定的な成長と国民の生命の保護の実現に貢献するために達成すべき課題を明確にして研究開発を進める。防災に関する総合的な研究機関である強みを活かした分野横断的な取組を進め、その研究成果が行政機関や民間等で活用されるまでを目指す。第3期中期目標期間においては、防災科研の特色を生かしつつ政策課題ごとにプロジェクトを再編し、「災害を予測」し「災害が発生した際の被害を軽減する」ための研究開発を進め、その成果を活用して「災害に強い社会をつくる」ことに貢献することを目指す。

(1)災害を観測・予測する技術の研究開発

  1. 自然災害の軽減に有効な情報を提供する技術を開発するため、地震や火山、集中豪雨などの災害につながる自然現象をより高精度に観測する技術を開発する。
  2. 火山噴火時における航空機の飛行安全性の定量的評価による噴煙災害の軽減に貢献するため、噴煙観測技術の開発研究を行う。また、現在よりも小型で容易に火山の活動度やガスの分布を面的に観測することができる技術を開発する。
  3. 地震や火山噴火を予測した上で、事前に住民が避難などを行うことを可能にするため、地震や火山噴火の発生メカニズムの解明を進める。また、気候変動により増加すると思われる局地的豪雨などを早期に予測する技術やそれによって発生する都市型災害や沿岸災害を予測するための研究を行う。

(2)被災時の被害を軽減する技術の研究開発

  1. 建築物や構造物、都市全体について、その破壊過程・耐震性能・機能維持性能・被害状況をシミュレートすることができる技術(数値震動台)を開発する。そのため、実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)を活用し、建築物・構造物等の震動実験を実施する。
  2. 建築物や構造物・地中構造物に関する有効な設計手法及び地震時の室内の安全性を向上させる方策、人体を守るために最適な退避行動について研究を進める。
  3. 国内及び海外の耐震実験研究機関とのネットワークを有効活用しつつ、地震時における建築物・構造物等の機能維持に有効な新技術等を開発する。

(3)災害に強い社会づくりへの貢献

  1. 社会還元加速プロジェクトに基づき、地震・火山災害、土砂・風水害及び雪氷災害など自然災害リスクに関する情報を国民一人ひとりに届け、実際に防災対策に役立てられる災害リスク情報プラットフォームを開発し、国や地方公共団体、民間企業へ技術移転する。その際、同じ社会還元加速プロジェクトで進める他の災害情報システムとの連携を図る。
  2. 特に地震災害に関しては、全国を対象とした地震ハザード・リスク評価手法の高度化及びそれら成果の地域への展開に取り組むとともに、ハザード・リスク評価の基盤となる地下構造に関する情報や活断層に関する情報の整備を行う。また、各種情報を公開し、利活用を促進するためのシステム開発を実施する。 津波災害に関しても、全国を対象とした津波ハザード評価手法を開発する。
  3. 自然災害に関するハザード・リスクを評価する技術については、国際的な普及に向けて先導することを目指し、国際機関や海外の研究機関と連携しつつ進める。
  4. 人口減少や少子高齢化などの社会構造の変化などを踏まえ、社会防災システムの構築のための研究を進める。

(4)プロジェクト間の連携

 上記(1)、(2)、(3)の研究を進めるに当たっては、プロジェクト間の十分な連携を図る。

2.防災に関する科学技術水準の向上とイノベーション創出に向けた基礎的研究成果の活用

 防災科学技術に関する基礎研究及び基盤的研究開発等を総合的に行う防災科研が中心となり大学などを含めた国を挙げての研究開発を推進することにより、我が国全体の防災に関する研究開発能力の強化や基礎研究から応用への橋渡しに貢献する。

(1)基盤的観測網・先端的実験施設の整備・共用

  1. 地震調査研究推進本部の地震調査研究に関する総合基本施策及び調査観測計画を踏まえて、基盤的地震観測網(高感度地震観測網、広帯域地震観測網、強震観測網等)等について安定的な運用を継続するとともに、海底地震津波観測網の整備・運用を行い、良質な観測データの取得・流通を図り、関係機関における研究、業務遂行や我が国の地震調査研究の進展に貢献する。
  2. 重点的に観測すべき火山について観測施設を着実に整備・運用する。また、得られた観測データについては、全国の大学が運用する火山観測網のデータとの共有化を進める。
  3. 風水害、土砂災害等について、関係機関が持つ観測データとの共有化を進める。
  4. 地震や津波、火山の観測データについては、災害発生時に関係機関へ速やかに提供する。
  5. 我が国全体の防災に関する研究開発を推進するため、E-ディフェンスなどの先端的な研究施設について、外部研究機関との共用を推進する。

(2)人材育成

 防災分野の研究者を育成するため、これまでの博士課程修了者の採用に加え修士課程修了者を受入れ、大学と連携しつつ人材の育成を行う。

(3)基礎的研究成果の橋渡し

 防災に資する画期的な技術を開発するため、防災科研内での基礎的研究を進めるとともに、大学等の基礎的な研究成果も調査し、応用につなげる研究開発を進める。なお、画期的な技術開発課題の選定に当たっては、社会のニーズを反映した研究を進めるため、外部有識者をメンバーに加える。

3.防災に関する研究開発の国際的な展開

 我が国の防災に関する研究開発の中核機関として、大学等が行っている国内での研究及び海外との研究協力の情報を一元化し、一体的な協力を推進する。

  1. 防災研究フォーラムなどの既存枠組みを活用しつつ我が国の国際協力の窓口となり、国内外の防災に関する研究開発の情報を発信する拠点になることを目指す。
  2. 災害ハザード・リスク評価手法など我が国の防災科学技術の国際的な標準化や海外展開を推進する。その際、国際機関や海外の研究機関などと連携することにより、我が国の技術の国際的な位置づけを高める。

4.研究開発成果の社会への普及・広報活動の促進

(1)研究成果の普及・活用促進

  1. 社会還元加速プロジェクトに基づき、自然災害リスクに関する情報を国民一人ひとりに届け、実際に防災対策に役立てられる災害リスク情報プラットフォームを開発し、国や地方公共団体、民間企業へ技術移転する。
  2. 災害を観測・予測する技術の研究開発、被災時の被害を軽減する技術の研究開発についても、国や地方公共団体、民間企業など研究成果を活用することが想定される機関と協力しつつ研究を進めるなど、研究成果が活用され普及するための取組を進める。

(2)研究成果の国民への周知

  1. 防災科研の活動に関する国民の理解を深めるため、テレビや新聞など多様なメディアを活用して成果の周知に努める。
  2. 地震・火山観測網やE-ディフェンス等によって得られたデータを活用した外部の成果を把握し、これらの成果に我が国及び防災科研が貢献していることが周知されるよう施策を講じる。

(3)知的財産戦略の策定

 研究によって得られた知的財産が広く活用されるようにするため、知的財産の取得や管理、活用に係る戦略を策定する。

5.防災行政への貢献

(1)災害発生の際に必要な措置への対応

  1. 災害対策基本法に基づく指定公共機関として、同法及び関係法令などに基づき自らが定めた防災業務計画に基づき、災害の発生時等に必要な措置を講じる。
  2. 必要に応じ、国内外の災害発生時には迅速に機動的な観測や政府調査団への職員の派遣等の対応をとるとともに、災害調査を実施する。

(2)国及び地方公共団体の活動への貢献

  1. 国や地方公共団体の防災行政機関等における調査研究成果の普及と活用の促進を図る。また、地震調査研究推進本部、地震防災対策強化地域判定会、地震予知連絡会、火山噴火予知連絡会等へ調査研究の成果を提供する。
  2. 国から求められた場合又は防災科研自らが必要と考えた場合、防災に関する科学技術政策について国の審議会等へ積極的に提案・発信する。

3.業務運営の効率化に関する事項

1.業務運営の効率化

(1)管理費、総人件費等の削減・見直し

  1. 「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平成22年12月7日閣議決定)等を踏まえ、管理部門の簡素化、効率的な運営体制の確保、アウトソーシングの活用等により、中期目標期間の終了時において、収入増に見合う事業経費増等の特殊要因経費を除き、一般管理費については平成22年度に比べ15%以上、業務経費についても平成22年度に比べ5%以上の効率化を図る。ただし、人件費については、次項に基づいた効率化を図る。
  2. 給与水準については、国家公務員の給与水準を十分配慮し、手当を含め役職員給与の在り方について検証したうえで、業務の特殊性を踏まえた適切な目標水準・目標期限を設定し、その適正化に取り組むとともに、検証結果や取組状況を公表する。

 総人件費については、平成23年度はこれまでの人件費改革の取組を引き続き着実に実施する。なお、平成24年度以降は「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(平成22年11月1日閣議決定)に基づき、今後進められる独立行政法人制度の抜本的な見直しを踏まえ、厳しく見直す。

また、各研究部・センターの事務職員については、データ入力などの業務について非常勤化するなどにより、要員の合理化に取り組む。

(2)契約状況の点検・見直し

 「独立行政法人の契約状況の点検・見直しについて」(平成21年11月17日閣議決定)に基づく取組みを着実に実施することとし、契約の適正化、透明性の確保等を推進し、業務運営の効率化を図る。

2.研究活動の高度化のための取組

  1. 国の政策や外部からの研究評価の結果等を踏まえ、研究組織の改廃や人員の配置転換等を機動的に実施する。また、研究評価の充実に向け、評価者が研究内容を適切に把握できるように、研究者との意見交換等の機会を拡大する。なお、研究評価の際には、研究成果が防災・減災対策へ活用された場合の効果についても検討を行う。
  2. 世界トップレベルの研究機関になることを目指し、理事長自らが戦略を策定し検証するPDCA(Plan(計画)、Do(実施)、Check(評価)、Act(処置))サイクルによる継続的な改善を行う。その際、国の政策との関係、他の機関との連携強化のための取組、研究の成果が活用されるまでの道筋等を明らかにする。
  3. 研究課題・テーマの選定、研究計画の検討に当たって、海洋研究開発機構をはじめ、災害に関する研究を実施する他の機関、大学等との事前調整、共同研究を含めた連携を強化する。また、他の機関が実施している研究開発との重複の排除を図るため、外部有識者による評価を含めた事前調整の仕組みを明確化させることなどにより、当該仕組みをより実効あるものとし、役割分担を考慮した効果的・効率的な研究開発を推進する。
  4. 民間企業、大学及び公的研究機関の多様な人材を結集し、世界を先導する研究開発を推進する。
  5. 研究者が研究に集中できる環境を作るため、研究者の事務的負担を軽減する。

3.国民からの信頼の確保・向上

(1)コンプライアンスの推進

  1. 法令遵守を更に徹底するとともに、役職員のコンプライアンスに関する意識向上のための活動を通じ、防災科研の社会的信頼性の維持及び向上を図る。
  2. 国民の信頼確保の観点から、情報の公開及び個人情報保護に適正に対応する。
  3. 「第2次情報セキュリティ基本計画」等の政府の方針を踏まえ、適切な情報セキュリティ対策を推進する。

(2)安全衛生及び職場環境への配慮

 事故及び災害の未然防止等の安全確保策を推進するとともに、職員の健康に配慮することにより、職員が安心して職務に専念できる職場環境づくりを進める。

4.職員が能力を最大限発揮するための取組

(1)研究環境の整備

 若手研究者への自立した研究環境の付与や海外の研究機関との人事交流を促進することなどにより防災科研から独創的な研究成果が生まれる環境を整備する。

(2)女性や外国人を含む優秀かつ多様な人材の確保

  1. 人材の活用等に関する方針に基づき研究開発等の推進のための基盤の強化を図る。
  2. 女性研究者の比率を高めるとともに、外国人研究者の受入れを進める。また、多様な専門分野の人材を受入れる。

(3)職員の能力、職責及び実績の適切な評価

 職員の評価について、研究活動のみならず、研究開発基盤の整備・運用への貢献や成果の活用の促進、広報などのアウトリーチ活動への貢献も重視する。

4.財務内容の改善に関する事項

1.運営費交付金及び外部資金の効果的な活用

  1. 運営費交付金を充当して行う事業については、「3.業務運営の効率化に関する事項」で定めた事項に配慮した中期計画の予算を作成し、効率的に運営する。
  2. 外部資金の受け入れを積極的に活用し、研究開発及びその成果の普及を進める。
  3. 資金だけでなく、民間企業等から人的・物的な資源も受入れることにより、研究開発後の成果がスムーズに活用されることを促進する。

2.自己収入の増加

  1. 外部資金獲得額の増加を目指し、ニーズ把握・外部資金獲得事業の拡充・外部への積極的な働きかけを行う。また、外部資金の獲得を通して研究成果の活用を進める。
  2. 特にE-ディフェンスについては、スペースの効果的な活用により利用者層を拡大する。

5.その他業務運営に関する重要事項

1.施設・設備に関する事項

 必要に応じて老朽化した施設を更新する。また、技術の進歩により必要性が相対的に低下したり、所期の目的を達成した観測・実験施設については廃止を含めて検討する。

2.支所の廃止等

  1. 地震防災フロンティア研究センター(神戸)については、必要な研究成果をつくば本所に移管することにより廃止する。なお、同センターの廃止に伴い、事務職員について所要の合理化を行う。
  2. 雪氷防災研究センター新庄支所を廃止する。ただし、降雪実験関連施設については、耐用年数の範囲内で活用を図る。

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課 防災科学技術推進室

(研究開発局地震・防災研究課 防災科学技術推進室)

-- 登録:平成21年以前 --