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独立行政法人国立美術館の中期目標

 
 

(序文)

 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二十九条の規定により、独立行政法人国立美術館が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を定める。

(前文)

 独立行政法人国立美術館(以下「国立美術館」という。)は、我が国における芸術文化の創造と発展、国民の美的感性の育成を使命とし、美術振興の中心的拠点として、1.美術に関する作品等を広く国民に紹介するとともに、美術創造活動の活性化を推進するなど多彩な活動を展開し、我が国の文化の向上・発展に努めること、2.我が国の近・現代美術及び海外の美術を体系的・通史的に提示し得るナショナルコレクションを形成するとともに、良好な状態で保管し、後世に文化を継承していくこと、3.我が国の「顔」として海外の主要な国立美術館、作家等と連携し、美術を通じた国際文化交流を推進すること、4.調査研究の成果及び国立美術館が有する所蔵作品や人材を活用し、我が国の美術館のナショナルセンターとして、美術館活動全体の充実に寄与することが期待されている。
 これらの活動の活性化、基盤の整備は、我が国の文化振興にとって不可欠である。
 このため、国立美術館においては、所蔵作品の一層の充実や施設設備の整備充実をはじめとする収集・保管・展示機能及び調査研究機能の向上を図るとともに、全国的な活動を行っている美術団体等への展覧会会場の提供、人材養成・研修、国際交流や文化発信の拠点としての機能を一層充実していく必要がある。
 このような役割を果たすため、国立美術館の中期目標は次の通りとする。

1.中期目標の期間

 国立美術館が実施する業務は、計画、準備から成果を得るまでには長期間を要するものが多いため、中期目標の期間は、平成23年4月1日から平成28年3月31日までの5年間とする。

2.国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項

1 美術振興の中心的拠点として、多様な鑑賞機会の提供、美術創造活動の活性化の推進など、現代の美術を取り巻く状況の変化に対応した多彩な活動を展開し、我が国の美術振興に寄与

 国立美術館は、我が国の美術振興の中心的拠点として、現代の美術を取り巻く状況の変化に対応した多彩な活動を展開していくことが求められている。このため、展覧会等を通じた多様な鑑賞機会の提供、美術創造活動の活性化の推進などに積極的に取り組むこととする。

(1) 多様な鑑賞機会の提供

 国立美術館は、美術振興の中心的拠点として、学術的意義、国民の関心、国際文化交流の推進等に配慮しつつ、多様で秀逸な美術作品の鑑賞機会をより多くの国民に提供すること。
 また、展覧会は、次の観点から実施するものとし、中期目標期間全体としてバランスのとれたものとなるようにすること。
 (イ) 国家的規模で行う主導的な展覧会の実施
 (ロ) 全国の美術館に方向性を示す先導的な展覧会の実施
 (ハ) 新しい芸術表現を取り入れた先端的な展覧会の実施

  1. 展覧会を開催する際は、企画段階から開催目的、期待する成果、学術的意義等を明確にするとともに、専門家からの意見や入館者の満足度を踏まえた事業評価を行い、それ以降の展覧会の充実に反映させる。
  2. 地域における鑑賞機会の充実のため、受け入れ側の要望を十分に踏まえつつ、国立美術館としての機能を活かした魅力ある地方巡回展の実現に努め、積極的に行うこと。
  3. 個々の展覧会においては、実施目的、内容、良好な観覧環境の確保、過去の入館者数の状況等を踏まえた適切な入館者数の目標を設定し、その達成に努めること。
  4. フィルムセンターにおいては、映画フィルム等の所蔵作品の活用を図った上映展示機能の充実を図ること。

(2) 美術創造活動の活性化の推進

 国立新美術館は、全国的な活動を行っている美術団体等に展覧会会場の提供を行うとともに、新しい美術の動向を紹介することなどを通じて、美術に関する新たな創造活動の展開や芸術家の育成等を支援し、我が国の美術創造活動の活性化を推進すること。
 また、メディアアート、アニメ、建築など世界から注目される新しい芸術表現の国内外に向けた拠点的な役割を果たすことを目指し、その取組みを積極的に進めること。

(3) 美術に関する情報の拠点としての機能の向上

 国民の美術に関する理解促進に寄与するため、国立美術館に関する情報の公開を進めるとともに、国内外の美術に関する情報を収集・提供し、美術に関する情報拠点としての機能を高めること。

  1. ICT(情報通信技術)の技術の進歩を踏まえた、よりよい情報発信機能の充実を図ること。なお、ホームページについては、アクセス件数の目標を設定し、その達成に努めること。
  2. 国内外の美術に関する情報の収集、記録の作成・蓄積及びデジタル化を進めるとともに、レファレンス機能を充実させること。

(4) 国民の美的感性の育成

 美術作品や作家についての理解を深め、鑑賞者の美的感性の育成に資するよう、国立美術館における美術教育に関する調査研究の成果を踏まえ、ギャラリートーク、ワークショップ等に取り組むこと。

  1. 学校や社会教育施設等との連携により、子どもから高齢者までを対象とした幅広い学習機会を提供すること。
  2. ボランティアや支援団体を育成し、相互の協力により美術館における教育普及事業の充実を図ること。
  3. フィルムセンターにおいては、映画フィルム等の所蔵作品の活用を図った教育普及機能の充実を図ること。

(5) 調査研究成果の反映

 展示、教育普及活動その他の美術館活動を行うために必要な調査研究を計画的に行い、その成果を国立美術館の業務の充実、文化の振興に反映させること。

(6) 快適な観覧環境の提供

 国民に親しまれる美術館を目指し、入館者の立場に立った観覧環境の整備や利用者の要望を踏まえた管理運営を行い、入館者の期待に応えること。

  1. 高齢者、障害者、外国人等を含めた入館者本位の快適な観覧環境を形成すること。
  2. 入場料金及び開館時間の弾力化など、利用者の要望や利用形態等を踏まえた管理運営を行うこと。
  3. ミュージアムショップやレストラン等のサービスの充実を図ること。

2 我が国の近・現代美術及び海外の美術を体系的・通史的に提示し得るナショナルコレクションの形成・継承

 国立美術館は、我が国唯一の国立の美術館として、我が国の近・現代美術及び海外の美術を体系的・通史的に提示し得るナショナルコレクションを形成し、海外の主要な美術館と交流するとともに、これらの貴重な国民的財産を適切に保存・管理し、確実に後世に伝え、継承していくことが必要である。このため、国立美術館は、コレクションの充実を図るとともに、作品の保管環境の充実に努めることとする。

(1) 美術作品の動向に関する情報収集能力と収集の機動性を高めるとともに、国立美術館の役割に即した収集方針を定め、これに基づき、計画的かつ適時適切な購入と寄贈・寄託の受入れを進め、体系的・通史的にバランスのとれた所蔵作品の充実を図ること。

(2) 収蔵庫等保存施設の狭隘・老朽化への対応を図り、所蔵作品全体を適切な保存と管理環境下に置き、それらを適切に保存・管理し、確実に後世へ継承すること。

(3) 所蔵作品についての修理、修復の計画的実施により適切な保存・管理を行い、適切に後世へ継承すること。

(4) 収集・保管・修理等を行うために必要な調査研究を計画的に行い、その成果を国立美術館の業務の充実、文化の振興に反映させること。

3 我が国における美術館のナショナルセンターとして美術館活動全体の活性化に寄与

 国立美術館が有する調査研究の成果、所蔵作品、人材等を活用し、我が国の美術振興のナショナルセンターとして、国際交流等を推進するとともに、美術館活動全体の活性化に寄与することとする。

(1) 所蔵作品等に関する調査研究の成果を多様な方法により積極的に公表し、広く美術館関係者の知見の向上に資すること。

(2) 国内外の美術館関係者との研究会の開催や研究者の交流等を行い、国際的な美術館の拠点となることを目指すこと。

(3) 国内外の美術館等における修理・保存処理の充実に寄与すること。

(4) 全国の美術館等への所蔵作品の貸与については、所蔵作品の展示計画、作品保存等に十分配慮しつつ、可能な限り積極的に取り組むこと。

(5) 小・中学生のための美術教育の一翼を担うナショナルセンターとして、モデル的な教材の開発や教員、学芸員等の資質向上のための研修等を重点的に実施すること。

(6) 大学等との機関とも積極的に提携しながら、今後の美術館活動を担う中核的な人材の育成を図ること。

(7) 全国の美術館等の運営に対する援助、助言を行うとともに、関係者の情報交換・人的ネットワークの形成等に努め、必要な専門知識や技術等を普及する方法を早期に検討し、実施すること。

(8) フィルムセンターにおいては、国際的に我が国を代表する映画文化振興の中枢となる総合的な機関として、国内外の映画関係団体等との連絡を密接に図り、その連携・調整について役割を果たすこと。また、より機動的かつ柔軟な運営を行うため、東京国立近代美術館から独立した一館となることを検討すること。

3.業務運営の効率化に関する事項

1 一般管理費等の削減

 業務運営に関しては、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平成22年12月7日閣議決定)等を踏まえ、国立美術館の活性化が損なわれないよう十分配慮しつつ、一層の業務の効率化を推進することにより、美術作品購入等の効率化になじまない特殊要因経費を除き、中期目標の期間中、一般管理費については15%以上、業務経費についても5%以上の効率化を図ること。ただし、人件費については次項に基づいた効率化を図る。

2 給与水準の適正化等

 給与水準については、「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(平成22年11月1日閣議決定)を踏まえ、国家公務員の給与水準等を十分に考慮して、検証したうえで、業務の特殊性を踏まえた適切な目標水準・目標期限を設定し、その適正化に取り組むとともに、検証結果や取組状況を公表すること。
 総人件費についても、平成23年度はこれまでの人件費改革の取組を引き続き着実に実施するとともに、平成24年度以降は、今後進められる独立行政法人制度の抜本的な見直しを踏まえ、厳しく見直すこと。

3 契約の点検・見直し

 契約については、「独立行政法人の契約状況の点検・見直しについて」(平成21年11月17日閣議決定)に基づく取組を着実に実施し、一層の競争性と透明性の確保に努め、契約の適正化を推進するとともに、外部委託の活用等により、定型的な管理・運営業務の効率化を図ること。

4 保有資産の有効利用

 保有資産については、その必要性や規模の適切性等についての検証を適切に行うとともに、本来業務に支障のない範囲で保有資産の有効利用に努めること。

5 内部統制・ガバナンスの強化

(1) 法令等を遵守し、有効かつ効率的に業務を遂行するため、業務の特殊性や実施体制に応じた効果的な統制機能の在り方を検討し、更なる内部統制の充実・強化に取り組むこと。

(2) 業務運営全般について、外部有識者を含めて評価を行い、その結果を業務運営の改善等に反映させること。

(3) 保有する情報については、法令等に基づき適切に情報の開示を行うとともに、政府の方針を踏まえた適切な情報セキュリティ対策を推進するなど、責任ある体制を構築するために必要な措置をとること。

4.財務内容の改善に関する事項

 税制措置も活用した寄付金や自己収入の確保、予算の効率的な執行等に努め、適切な財務内容の実現を図ること。

1 自己収入の増加

 積極的に外部資金の獲得を図るとともに、施設使用料等、自己収入の増 加に努めること。
 また、自己収入額の取り扱いにおいては、各事業年度に計画的な収支計画を作成し、当該収支計画による運営に努めること。

2 固定的経費の節減

 管理業務の節減を行うとともに、効率的な施設運営を行うこと等により、固定的経費の節減を図ること。

5.その他業務運営に関する重要事項

1 施設・設備に関する計画

 安全かつ良好な施設環境を維持するとともに、業務の目的・内容に適切に対応するため、長期的視野に立った施設・設備の整備計画を作成すること。

2 人事に関する計画

 人事管理、人事交流の適切な実施により、内部管理事務の改善を図ること。また、効率的かつ効果的な業務運営を行うため、非公務員化のメリットを活かした制度を活用すること。

お問い合わせ先

文化庁長官官房政策課独立行政法人支援室

(文化庁長官官房政策課独立行政法人支援室)