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宇宙航空研究開発機構部会(第21回) 議事録

1.日時

平成20年7月4日(金曜日)14時~18時

2.場所

文部科学省 18階 宇宙開発委員会会議室

3.議題

  1. 重点項目ヒアリング(宇宙輸送関連、宇宙開発利用関連、宇宙科学関連、基礎的・先端的技術関連)
  2. その他

4.出席者

委員

委員(部会長) 山下 廣順 (名古屋大学 名誉教授)
臨時委員    江名 輝彦 (三菱商事株式会社 顧問)
臨時委員    梶 昭次郎 (帝京大学理工学部 教授)
臨時委員    知野 恵子 (読売新聞編集委員)
臨時委員    土井 美和子 (株式会社東芝研究開発センター 首席技監)
臨時委員    平野 正雄 (カーライル・ジャパン・エルエルシー マネージング ディレクター・共同代表)

文部科学省

研究開発局宇宙開発利用課
梅原 弘史 課長補佐

オブザーバー

独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))
小澤 秀司 理事
河内山 治朗 理事
堀川 康 理事
井上 一 理事
石川 隆司 理事
有賀 輝 評価・監査室長

5.議事録

議事に先立ち、事務局より配布資料の確認が行われた。

議題1.『重点項目ヒアリング』

<宇宙輸送関連>

  JAXA(ジャクサ)河内山理事より、備付資料『第1期中期目標期間及び平成19年度業務実績と評価について』説明があった後、以下のとおり議論が行われた。

 

 【江名委員】

 H-ⅡAについて2、3お伺いしたいんですが、H-ⅡAの評価、前年度、前々年度は内部評価も全体評価もS、Sで来ているわけですが、19年度をAにされたというのは、別に大きな失敗はなかったけれども、取り組んだミッションのレベルが低かったからという判断で内部がAなんですか。

【河内山理事】

 どちらにしようかと悩んだわけですが、特出する成果があったかという観点で、19年度に何があるかと考えた場合、93%というミッション達成率を維持している。今後、成功を続けていけばさらによくなるわけですが、計画を著しく超えたところまで達してないという判断をした関係上、Aとしてございます。

【江名委員】

 わかりました。次にお伺いしたいのは、2-7ページのH-ⅡAとほかのランチヴィークルの成功率の表がございますけれども、ここにあるH-ⅡAはH-Ⅱを含んでいるんですか。

【河内山理事】

 含んでおりません。

【江名委員】

 含んでないですよね。そうすると、H-ⅡAというのは何回も成功したH-Ⅱのデリバティブのロケットですから、例えばアリアン5は前段のアリアン4とは全く別物の大型ロケットを開発したわけです。だから、比べているベースが、オレンジとアップルを比較して、おれのほうが成功率が高いと言っているような気がするんです。実際、ロケットのユーザー側から見ると、直近の成功率がどうなっているかが非常に重視されると思うんです。そういう意味で、もしデータをお持ちならお伺いしたいんですが、20機で打ちどめになっているアリアン5、プロトンM、長征3の直近14機の成功率はお持ちですか。

【河内山理事】

 今、持ってないんですが。

【江名委員】

 たまたまH-ⅡAが14機打っていますので、今の3つのロケットが直近の14機でどれだけの成功率になっているか。

【河内山理事】

 アリアン5は35機ぐらい打っていますので、ちょっと今、データがないですが。

【江名委員】

 そういうところで比較しないと、ユーザーからの評価は得られないと思うんです。いかにもH-ⅡAは新規に、ゼロから開発したような格好で並べて93%と誇示するのは、ちょっと違和感を覚えているということ。

【河内山理事】

 その点については一言だけお願いしたいんですが、H-ⅡとH-ⅡAは同じところもありますけれども、かなり違っているところもあるんです。なぜかというと、コストダウンの観点から基本的な構造とかを皆、変えないとだめだったんです。例えば、SRB-Aというのは全く違ったものになっています。デリバティブでは安くできないので、コンセプトから変えているところもございます。デリバティブだからほとんど同じだという意味ではないという関係上、こういう書き方にさせていただいているんですが。

【江名委員】

 それは理解しています。ただ、アリアン4と5を比較すると、やはりH-ⅡAというのはH-Ⅱで積んだ技術をベースに開発したロケットですから、新規に開発したアリアン5と同じテーブルに並べて、成功率を誇るというのは、ちょっと違和感があるということです。

【河内山理事】

 おっしゃる意味はよくわかるんですが。

【江名委員】

 最後の質問です。非常に運用の柔軟性が出てきたということがあるんですが、今後、競争していく上でもう一つ大きな要因になると思うんですが、今のH-ⅡAで打つ場合、ペイロードを射場に搬入する時期というのは、打ち上げの何カ月前までだったらオーケーなんですか。例えば、どこかのコマーシャル会社が通信衛星を打ちたいということで、H-ⅡA、三菱重工に頼んだ場合、射場搬入時期というのは。

【河内山理事】

 射場に搬入してから、衛星をどのぐらい整備するかによるんです。それは、衛星の種類によって違ってくるんです。ロケット側は、一月ぐらい前に持ってきてもらえば。

【江名委員】

 ロケット側は一月でいいわけですか。

【河内山理事】

 一月もかからないのではないかと思うんですが。

【江名委員】

 もちろん、射場には衛星試験設備があるわけですから、そこで試験をやるわけですが、その試験を含めて、ロケット側から射場搬入時期はいつまでという指定がされるんですけれども、それも一つの競争力になると思うんです。H-ⅡAの場合、どのぐらいの時期に搬入すれば打ってもらえるのか。

【堀川理事】

 今、衛星を射場に搬入するというか、ロケットとオンライン、一緒の作業に入るのが打ち上げの約2週間前です。それまでに工場か射場で衛星が整備されて、ロケットに渡してくれれば打ち上げられるということになると思います。ですから、2週間前にロケットとの一体作業になります。

【江名委員】

 2週間でいいわけですか。わかりました。以上です。

【山下部会長】

 そのほかございますか。先ほどちょっと話が出ていましたけれども、経費のことで、漁業補償は年間どれぐらい払っているんですか。

【河内山理事】

 いろいろなもので10億円強です。漁業補償といいますか、いろいろな形態があるので、どれがどこまでとはなかなかいえないんですが、レベルとしては10億の上の方です。十何億円です。

【山下部会長】

 どうぞ。

【平野委員】

 江名委員の質問にも関連するんですけれども、H-ⅡAの競争力を国際的に比較するということで、これは成功率と、文中では柔軟性ということがありましたが、それ以外に実際のコマーシャルの打ち上げということになると、当然、コストも含めていろいろな要素が絡んでくると思うんですが、そういう総合的な評価で見たときに、H-ⅡAというのはどういうところにあるのか。今後、目論見としては、打ち上げを受注して、商業ベースでも成立するところに持っていきたいのではないか、というふうに理解をしているんですが、そのための課題と、その課題克服のために、H-ⅡAでは引き続きどういうことを開発目標としてやっていくのか。あるいは、それはもう全部民間に任せていくということなのか。この辺について説明をしていただけますか。

【河内山理事】

 一番重要なのは、国側でやる仕事、民間でやる仕事をちゃんと整理する必要があります。国側できる仕事はちゃんと国側でやるということで、国際競争力を持つようなものにする。部品開発というときに、だれがその対策を考えるかということも考えていかないといけないわけですが、ほうっておくと民間側でコストに上乗せするだけだと。部品開発した新しい機器を使うのは、信頼性の向上、新しい技術の獲得ということで、JAXA(ジャクサ)でやる場合でも意味があるわけで、役割分担をきちんとする上で国際競争力をつくっていく。2つ目は、中期計画等で、全体で、H-ⅡAとしてはこういうロケットを打ち上げるので計画生産をしてくれということで、民間側の計画生産によってコストダウンを図るという形で、国際競争力のあるコストになるのではないかと考えております。現状、聞いておりますのは、コスト的には何とかなるようなところへ行っているんですが、一番重要なのは1発目がちゃんととれるか。初期の打ち上げ、1つ目をとるのは非常に難しいらしいです。今、三菱さんはそれに非常に苦慮していると聞いております。

【平野委員】

 苦慮している理由は、まだコスト競争力が十分にないということですか。

【河内山理事】

 これは言っていいかどうかわかりませんけれども、うんと安くないと、何で新しいものを使うんだという説明がつくだけのメリットがないといけないわけです。それをどうやってつけるかが大きなテーマになっているのではないか、というのが私個人に近い分析で、それについて何からのいい方法がないかというのは、さらにプラスとして考えていく必要があるのではないかと思っております。

【平野委員】

 そうすると、1発目は実績づくりのためにディスカウントもやむを得なしと考えると、複数打ち上げないと商業ベースに乗らないということになりますね。

【河内山理事】

 そうです。

【平野委員】

 大体どれぐらいを目標にして考えているんですか。

【河内山理事】

 目標というのは、どういう意味でしょう。

【平野委員】

 経済的に成立をさせるために、何機ぐらい打ち上げを受注することを考えていらっしゃるんですか。

【河内山理事】

 そこは、ちょっと私どもでは。

【平野委員】

 なるほど。では、先ほどおっしゃられたことに関する質問ですけれども、どこまで国がやり、どこまで民間がやるかということに関しては、必ずしもきれいに整理されているわけではないということですか。

【河内山理事】

 はい。今後、やっていく課題がいろいろある。というのは、今まで役割分担の明確化というところまで踏み込んでいなかったのが現状でございます。

【平野委員】

 2番目の質問ですけれども、全体の評価として中期計画はSとになっていて、その根拠は、2-11の箱の中で赤字でハイライトされている部分だと理解しましたけれども、もう一回、中期計画で何を達成するかということと照らし合わせて、Sという評価を得るためには、ほんとうに明確なエクストラのサクセスがなければだめなんですけれども、いろいろと工夫をしていく中においてこういうことも実現したし、短い期間の中において打ち上げをしていくことで努力をして、短期の複数の打ち上げが成功したという事実は事実として評価できると思うんですけれども、それはほんとうにエクストラに値するものなのか。それとも、最終的にトータルで見たときに、これは予定どおり完遂したレベルなのか。そこら辺のところがもう一つ客観的に見えてこないんですけれども、そこはいかがですか。

【河内山理事】

 今、言ったのはエクストラのところに近いわけで、一番重要なものは何かというと6号機の失敗。その後、3機関、それから民間の人も合わせて一生懸命になって、原因究明は当然しました。それ以外に、総点検ということで振り返って一生懸命点検して、何かリスクはないかということで洗い出しをした。それが次の8機の成功につながっている。それが一番重要ではないか。ここがSの一番ベースになっているところです。8機連続成功したので、結果として成果が93%であり、柔軟性、要するに徹底したリスク排除をやって後につなげている。初めに問題があって、立ち直って、ガタガタしないように一生懸命やっているところに非常に意味がある。

【平野委員】

 わかります。厳しい言い方をすれば、事故が起きたこと自体は大変ネガティブなことで、それに対して懸命の対策をとって、ここまで持ってきたというのは、ある意味ではバックオントラックという言い方もできるわけで、これで初期の目標を達成した。経営努力は相当なものがあると思うんです。それは、前回、JAXA(ジャクサ)の運営トータルの中でSという評価をおつけになられていたと思うんですが、H-ⅡAの運用なり、開発ということに関しては、厳しい見方をすれば、初期の故障を克服して予定どおり中期目標を完遂した、という読み方もできてしまうのではないかという気がするんですが。

【河内山理事】

 そういう見方もできると考えておりますが、Sにした理由というのは、リターンの結果が、8機連続成功と民営化の実現ということで非常にうまくつながっているというのは、不具合を徹底的になくしているところにある。そこが一番ポイントで、それが柔軟運用性などにつながっているわけです。そういうぐあいに考えております。

【平野委員】

 わかりました。

【山下部会長】

 ほかにございますか。梶委員、どうぞ。

【梶委員】

 簡単な質問なんですが、2-9ページ、2段階振動レベルの比較ということで、LE-5Bの振動を抑えたということなんですが、13号機の振動というのはトラブルになるような大きな振動だったんですか。それとも、これは単なる大きさの比較で記載されているのか。それから、原因をどういうふうに明らかにして、こういうふうに下げたのかというところをちょっと教えていただけますか。

【河内山理事】

 衛星側の体制がある関係上、トラブルにはなりませんでした。下げた原因でございますが、こういう衛星があると、打上げに対してその都度、衛星との振動の適合性を細かく評価しないといけなくて、打上げの準備費用の増大にもかかわる。右側のように、もっと下げることができれば、そういうことは気にしなくてもいいようになるんです。まだ気にしなくていいようなレベルになっているわけではないんですけれども、そういうことを目指してやっております。打上げのロケット側の準備作業の簡素化の一環としてやっているということが一番大きな問題です。前の質問は、左のような大きなものがありましたが、衛星側の体制でございまして、実際の問題にはなっておりません。ただし、衛星側に対するスペックをオーバーしているのは事実でございます。

【山下部会長】

 具体的に、振動、加速度のレベルは書いていませんけれども、どれくらいからどれくらいのレベルですか。

【河内山理事】

 すみません、私、正確に覚えておりません。

【梶委員】

 振動の原因というのは、やはり燃焼?

【河内山理事】

 燃やし方の問題で、それをきめ細かくするという細工をして対処しております。

【梶委員】

 13号機というのは、LE-5Bは初めてなんですか。どちらも19年度打ち上げですね。

【河内山理事】

 13号機、14号機ですね。

【梶委員】

 これまでの打ち上げでは、こういう振動にずっとさらされていたのかということです。

【河内山理事】

 こういう振動はずっと出ておりました。必ず衛星との適合性をきちん見る。特に、軽い衛星に関して問題が出るというのはわかっておりまして、その辺は衛星側とかなり綿密なチェックをして対応していました。

【梶委員】

 機体側にも何か原因があるということですか。

【河内山理事】

 機体にも改善する点があると考えております。このエンジンの結果と機体側の改善と合わせると、気にしなくてもいいレベルに、全然大丈夫というところに行くと。それが残された課題の一つになっております。

【梶委員】

 わかりました。

【江名委員】

 M-Ⅴロケットについて2つお伺いしたいんですが、一つは評価ですけれども、過去5年間の単年度評価は全部Aなのに、トータルでSというのはどういう基準で内部評価されたわけですか。

【河内山理事】

 6機の打ち上げでどういう成果が上がったかという成果の上がり方、中期計画ではなくて、M-Ⅴという全段固体システムという非常に優れた性能を持ったロケットの仕上がりぐあいの全体としてSではないかと。昨年度、同じ話がございまして、昨年度の評価に対しまして、全体としては非常に評価できるのではないかという話がございましたので、その点も合わせまして、ロケットの仕上がりが非常によくできているという認識からSという評価を与えております。全部の項目がAなのに、積分してどうしてSになるのかというのがおっしゃる点だと思いますが、初めの3機も合わせて、全段固体ロケットシステムを我が国独自の技術で、すぐれた推進系技術、誘導制御技術等のシステム技術を持った、世界に冠たるロケットとしての仕上がりがあるのではないか。それを後につなげる努力も含めて、トータルとしては非常に意味が高いのではないかということで、Sという内部評価をしてございます。

【江名委員】

 ご説明の趣旨はわかりますけれども、評価する側からすると、5年間全部Aなのに、トータル5年間がSというのは非常に違和感を覚えます。もう一つお伺いしたいんですが、M-Ⅴロケット、半年間で3機連続打ち上げができたと書いてあるんですが、これは固体ロケットなので、トータルミッションでやればそういうことなんでしょうけれども、ロケットそのものは、ゴーがかかったらどのぐらいで打てるものですか。1日ぐらいで打てるんですか。

【河内山理事】

 19年度に研究をやっているところで答えますと、物をつくるのに3年ぐらいかかったのが、1年ぐらいに短くできる。射場整備の作業は、42日かかったのを7日間ぐらいにしようと。1週間ぐらいです。

【江名委員】

 ペイロードは別にして、ロケットシステムだけですか。

【河内山理事】

 ペイロードは別にしまして。

【江名委員】

 ロケットだけで1週間かかるんですか。

【河内山理事】

 はい。

【江名委員】

 わかりました。

【河内山理事】

 それぐらいを目指しております。

【山下部会長】

 まだあるかと思いますが、一応、予定した時間になりましたので、宇宙輸送関係はこの程度にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

<宇宙開発利用関連>

 JAXA(ジャクサ)堀川理事より、備付資料『第1期中期目標期間及び平成19年度業務実績と評価について』説明があった後、以下のとおり議論が行われた。

【梅原補佐】

 今、堀川理事からもご説明ございましたけれども、例年どおりの取り扱いではございますが、情報収集衛星につきましては、内閣衛星情報センターからの委託事項でございまして、また安全保障にかかわる事項でもございますので、評価書にはバーの形で記載させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【山下部会長】

 情報収集衛星に関しては、宇宙基本法が通って、これからJAXA(ジャクサ)がどういう格好に変わっていくかわかりませんけれども、こういうたぐいのことが増えてくる可能性というのは、当然あり得るような気もいたします。今回は、そういうことでご了承いただきたいと思います。それでは、ただいまのご説明に対しまして質問等を。では、一つ質問したいんですけれども、宇宙開発利用というのは全部項目別になっていますよね。そうすると、一つの衛星が多目的になっていると、いろいろな項目にかかわってくる。それから、同じ項目の中でも、非常にすぐれた衛星があると、ほかの衛星は影が薄くなって、それに引っ張られてすべて高い評価になるというのは、一つの評価の仕方なんですが、やはりJAXA(ジャクサ)として衛星を上げているんですから、個々の衛星に対してどういう評価かということも必要ではないかという気がするんです。

【堀川理事】

 そうですね。おっしゃるとおり、JAXA(ジャクサ)もほんとうは衛星のプロジェクトごとに評価をいただくほうが、していただきやすい面もあるし、説明しやすいんですけれども、第1期の中期目標、中期計画を立てるときに、利用分野別に目標、計画が立てられて、その中でいろいろな衛星計画がどう貢献したか、利用の貢献度で評価をされるという形で目標がつくられましたので、これまではそれに応じて報告をさせていただいているところです。次期の第2期中期計画では、プロジェクトごとで評価をいただけるような形に動かしていこうと考えています。

【山下部会長】

 参考のために、中期計画全体として、開発利用衛星のそれぞれの評価がどういう項目にかかわっていて、今、ここにあるS、A、Bという評価をしたらどうなるかという資料も一つつくってもらうと、次のために参考になるのではないかという気がいたします。衛星というのは打ち上げ年度が違いますから、古い衛星と新しい衛星は当然出てくるし、成果も違うだろうし、大きな衛星、小さな衛星、それにかかわっている費用がどうか。JAXA(ジャクサ)は、決まった予算枠内でいろいろな衛星を打ち上げているわけですから、それが全体としてどれぐらい有効に働いているかという評価も必要ではないかという気がするんです。一覧表にまとめてもらうと非常にわかりやすいので……。

【堀川理事】

 今回の第1期中期計画では、ほとんどすべての衛星は打ち上げ、運用も成功し、データ利用も、あるいは通信等も行えておりますので、ほとんど問題ないんですが、唯一、ETS-Ⅷ(きく8号)はNICTと共同で開発して、NICTの担当されたところで不具合が起きて、受信系が機能しないという部分がございますので、そういったところをどう評価するかというのも一つ課題にはなろうかと思います。

【山下部会長】

 JAXA(ジャクサ)の評価というのは、特にこの後、宇宙科学の話がありますけれども、JAXA(ジャクサ)だけがやっているのではなくて、大学共同利用システムの中で成果が出てきているわけです。それは、やはりJAXA(ジャクサ)の成果として評価されるわけですよね。そういう意味で、JAXA(ジャクサ)をもうちょっと広い範囲でとらえて、JAXA(ジャクサ)にかかわった成果がどうだという格好でいいのではないかという気はするんです。だから、いいところは出したいけれども、悪いところは出したくないという方向には動きやすいと思いますが。もう一つ、ETS-Ⅷ、それからADEOS-Ⅱは10カ月しか動かなかった。こういうものの評価がどうなるか。それに関して、最後の評価のところには何もコメントがないんです。そういうこともあって、そんな資料の要請をしようかと。具体的に書いて出しますが。

【堀川理事】

 検討させていただきます。

【山下部会長】

 そのほか、何かございますか。はい、どうぞ。

【知野委員】

 今の衛星だけではなくて、先ほどの輸送系、そしてこれから説明していただく科学も含めてなんですけれども、中期の評価に関しては最後にS化けしているものが多いような気がするんです。Aでこう来ていて、並んでいて、最後になって急にSがついてくると。

【堀川理事】

 利用の場合には、19年度の結果を踏まえたSが非常に多いと。

【知野委員】

 それは、利用だけではなくて、輸送系も、これから説明いただく科学に関してもですね。Sというのは、特にすぐれた実績です。やはり「特に」とつけるとなると、それなりの理由が必要なんだと思うんです。それぞれプロジェクトをやっていらっしゃる方は思いがおありなんでしょうけれども、それを「特に」と判断している、組織の中でどういうふうに判断しているのか、そこがすごく疑問に感じるんです。中期評価でSがつけば、今、部会長のご指摘にあったADEOS-Ⅱの話とか、そういうものも全部消えてしまうわけです。これは、やはり評価として、何か覆って埋めてしまうような印象を与えるので、内部でどのような判断軸でやっていらっしゃるのか、お伺いしたいんですが。

【堀川理事】

 もちろん、プロジェクトが確実に遂行されることも大事ですが、私どもの宇宙開発利用でいえば、結果、社会経済にどう貢献したかとか、安全・安心な社会の構築にどれだけ寄与したか、あるいは国民の生活の質がどう向上したかという視点で、今回は評価をさせていただきました。中期計画の全体の評価で特出すべき事項というか、エクストラサクセスの内容につきましては、それぞれの項目の最後に19年度と中期計画をまとめてある中で、赤字でまとめたことがそういう内容ということにさせていただいております。

【知野委員】

 国民生活をどう向上させたかとか、そういうことまでお調べになっておいでなんでしょうか。というのは、今、いろいろな説明していただいたものを見ますと、中の研究者が論文を書きました、賞をいただきましたとか、わりとその手の話が多く出ていて、そこまで精査されることはほぼ不可能なのではないかと感じるんですが。

【堀川理事】

 100%精査するのは、確かにおっしゃるとおり難しいと思うんですが、私どもは研究開発機関としてそういうものをつくって、世の中に提供をして、それがさまざまなところで使われている、少なくとも研究者、一番大事なのは関係各省庁でデータが使われるということ。また、そういったデータの使われ方の成果が、メディアを通じてアピールされているということが評価の基準になると思っております。そういう視点で、我々、評価させていただきました。

【山下部会長】

 確かに、今のような話というのは、広報の役割も当然かかわってくるんですよね。

【知野委員】

 はい。

【山下部会長】

 広報は広報で、別の評価があるわけですが。

【小澤理事】

 特に宇宙利用、衛星利用の場合は、利用者の広がりみたいなものが第1期で当初に思っていたものより広がったのではないか。今、まさにいろいろな方がおっしゃっていますように、おそらく研究者の方相手ぐらいが当初の目標と想定されていたのではないかと思うんです。それが、防災なんかに代表されますように、関係省庁の方々が集まって、そのデータを実際に使って、まだ実証というフェーズなんですけれども、実務現場で使っていただくようなところに広がってきた。これは新しい、当初考えていた目標を超えるような世界に衛星の利用が広がったといえるのではないかと理解しております。

【山下部会長】

 開発利用ということでやっているんですから、そうなって当たり前だといえば当たり前のような気もするんです。当初、予想していなかったほうがおかしいのかなという印象も受けますが。

【小澤理事】

 当初は、火山ですと火山の研究者が、実際、噴火が近づいてくると山自体がどういうふうに変化をするか検証してみようということだったんですが、今、その辺の話が、火山予知連に集まっておられる、実務機関だとか研究者の方が集まって全国三十幾つの火山の観測をやろう、「だいち」を使ってやってみようというところまで進んだということは、当初とちょっと違うかなという感じがしています。それだけ広がりを持ったということです。

【山下部会長】

 それは、言ってみれば統合効果の一つかなという気はしますよね。これまで宇宙科学研究所があって、マスターがあって、その間は必ずしも有機的にうまくつながっていたわけではないから、統合されて初めて全体が一つのものとして動き出したという、そんな印象も受けるんですが。

【小澤理事】

 ただ、宇宙科学のコミュニティではなくて……。

【堀川理事】

 利用機関とのコミュニティづくりが随分できたということだと思います。

【山下部会長】

 JAXA(ジャクサ)が中心になって、そういうものをどんどん広げていったという努力は大きかったとは思いますが。

【河内山理事】

 先ほどの輸送系に関して、特にM-Ⅴの話なんですが、何でAばかりなのにSなのかというところで、ちょっと言い漏らしたところがあります。輸送系の場合、ロケットを上げるだけだと、年度評価でSをもらうのは難しいんです。衛星のほうでかなり引っ張って、やはり衛星は時間がかかることが多いので、ロケット自身で年度展開としてS評価をもらうはなかなか難しい。ロケットとしてM-Ⅴがいいのは、やはり全体で、技術としてすばらしいものに仕上がっている。もう一つは、宇宙科学の世界で、トータルとしていろいろな成果を出しているというところが、やはり年度展開ではなくて、トータルでしか判断できないのではないか。その結果、ジャック・スワイガードという賞をいただいているわけです。輸送系というのは縁の下の力持ちで、追跡管制も同じなんですが、年度展開でSは非常に難しくてAがついているんですが、トータルしたときの判断というのも、成果の観点からも見ていただくとありがたいというのが言いたいことです。

【山下部会長】

 おっしゃることは非常によくわかって、要するに年度評価の意味がどこにあるかということが一つあるんです。毎年毎年、何をやった、何をやったと細々評価するのがいいのか。5年間やってみてこういう評価というやり方のほうが、科学研究的な側面からすれば、よりもっともな評価が出てくるという気はします。そういう意味で、M-ⅤがSになったというのは、5年間トータルを見た場合、これだけの成果があったという見方、それは十分理解できると思います。

【河内山理事】

 H-Ⅱも似たような形なんですが、やはりトータルが一番重要というところがこういう形の基本になっていると思います。そういう考え方です。

【山下部会長】

 私も大学にいたときは評価を受けていまして、毎年毎年、年度評価を受けていました。どれだけ意味があるのかといつも疑問に思っていたんですけれども、やはり評価の仕方というのはいろいろな視点があるから、短期的に見えるものと長期的に見えるものと違いますから。

【河内山理事】

 特にロケットなどは、短期的ではなかなかSをもらえないという側面があることを、ぜひご理解いただければありがたいと思います。

【堀川理事】

 衛星も、3年、4年、5年と開発期間がある途中の段階は順調に推移していることがほとんどで、利用のためとか、プラスアルファの活動も当然あるんですが、やはりなかなかS評価にはしにくいところがあります。

【山下部会長】

 例えば、今の説明にあったTRMMも、10年たってどんどん成果が上がってきて、ようやくこういうものとして結実したということでS評価になる。これはもっともだと思います。だから、時間がかかるものは、それなりの評価の仕方があるのかなと。そのほか、何かございますでしょうか。

【土井委員】

 今のお話に絡むんですけれども、確かに、単年度でやったときに評価がしにくいので、5年間でというお話はごもっともだと思うんですけれども、そう考えたときに、私どもが携わっていることに比べると、5年間でどういうことをやろうかというのは、逆に足が長いので、ある程度明確な目標が立てられると思うんです。そういうふうに見たときに、もともとの中期計画があまりにもあいまいで、これに対してエクストラな成果を上げたと評価せよと言われたときに、担当者の皆様がそう言われるのは、私も評価される立場でよくわかるんですけれども、評価する立場になったときに、中期目標に対してこれがほんとうにエクストラなのかと言われると、もともとがあいまいなので、今までの議論にあったように、それはもともとの中にあったのではないかとなるわけです。そういう意味では、確かに単年度の問題と5年間という問題とあると思うんですけれども、やはり5年後はこういうところまで行くべきだというところは、輸送系の問題も世界の市場を相手にしていくわけなので、明確な目標をつくってやっていただくことが非常に重要なのではないか。そうなっていれば、ここでこういう議論はないのではないかと思うんですが。

【堀川理事】

 基本的に、衛星の場合、衛星の計画を最初に認めていただくときに、これは昔からあったわけではなくて、たしか3年か4年ぐらい前から宇宙開発委員会で議論されるときに、サクセスクライテリアというものを定義するようになりました。ミニマムサクセス、それからサクセス、それとエクストラサクセスと。最近の衛星については、それに照らし合わせて、エクストラになっているものをS評価にするように、ここの記述は工夫させていただいているところです。

【小澤理事】

 私ども内部の指針としまして、プロジェクトを立ち上げるときに、やはり今ご議論いただいているように、それがうまくいったのか、いってないのか、自分なりに評価をするような指針を持たないといけないのではないかということで、最近では、すべてのプロジェクトを立ち上げる際に、サクセスクライテリアというものを内部的に議論しまして、それに基づいて、少なくともこのレベルまでは達成しようということを合意の上でプロジェクト化をしようという方向に進んでおります。今後につきましては、参考になるかもしれませんけれども、そういうものをご提示しようと思ったらできると思います。衛星のほうは、今もお話しありましたように、宇宙開発委員会でもそういう取り組みがされております。

【江名委員】

 評価の方法は過去も随分議論されたんですが、5段階評価ですから、Aでも十分立派に果たしたということになるわけです。ただ、前の紙に書いてあったんですが、ほとんどAかBに終焉するとガイドラインにあったんですが、他省庁との関係があって、もうちょっと甘くするという話で従来から来ているわけです。それはわかりますけれども、5段階評価という原点に戻ればAは相当に高い評価、Sということであれば、我々委員も含めて、みんながそれはそうだと納得するぐらいのものだと思うんです。過去5年間全部Aなのが、突然、5年間の通年でSと内部評価されても、我々から見ると非常に首を傾げざるを得ないと思います。

【山下部会長】

 そうですね。5年間評価で、19年度がSで全体がSならまだ理解できるけれども。

【江名委員】

 まだわかる。

【山下部会長】

 すべてAでというのは書き方の問題かもしれませんけれども、そのときに見る目として、その年度だけ見たらやはりSにはならないからAだと。しかし、全体を見たら先ほどご説明あったようなニュアンスで評価がされているというのは、わからんわけでもないですが。それと、以前から評価のところであったように、中期目標を達成したかどうかということだけではなくて、やはりJAXA(ジャクサ)という日本を代表する機関であるから、エクストラサクセスなんなりを考えるときに世界水準に照らしてどうなんだと。それも一つ考慮すべき要素であろうというのは前から議論になっていますね。

  

<宇宙科学関連>

 JAXA(ジャクサ)井上理事より、備付資料『第1期中期目標期間及び平成19年度業務実績と評価について』説明があった後、以下のとおり議論が行われた。

【知野委員】

 LUNAR-Aのところなんですけれども、36ページの実績の2のところで、母船のほぼすべての部分や、機器開発の有効利用を達成したというのは、これは具体的に何がどういうふうになったんですか。決まったんですか。

【井上理事】

 母船に搭載するいろいろな機器、搭載を予定していたいろいろな機器がございまして、それらについては、いろいろな有効な使い方を検討いたしまして、それぞれ使い方の検討が済んだ段階に来ております。

【知野委員】

 それは、つまり具体的に何かのプロジェクトで使うとか、そういうこと。

【井上理事】

 例えば、部品で使えるものがあれば、ほかのものに使うですとか、その種のことでございます。

【知野委員】

 じゃ、行く先は決まったということですね。

【井上理事】

 はい。

【知野委員】

 観測機器のほうは。

【井上理事】

 観測機器は、結局ペネトレータになりますので、ペネトレータについては、それまで開発してきたペネトレータの、この時点でつくられていたものが、最終的にその後、貫入試験に使われていったということになります。ですから、最終的に19年度に貫入試験を行いましたけれども、そこにペネトレータとしては使われたことになります。

【梶委員】

 SOLAR-Bなんかでは、国際協力パートナーとの観測・運用なんていうことが掲げてあるんですが、こういう科学衛星は当然、国際的にやるんだろうと思うんですが、「かぐや」なんかの国際運用のデータはどういうふうになっているんでしょうか。

【井上理事】

 「かぐや」については、2年間、日本のチームがまず必要な修理をして、しかるべき後に公開していくという形で動いております。ただし、アメリカ側が特定の場所に探査機をおろすという計画が進められていまして、そこの部分については、「かぐや」がとったデータが有効であるということで、科学目的に使うのではないという約束のもとに、そのデータは使っていただくという格好になっております。当初の科学成果を上げていく部分についての公開は、順次行っていくということになっております。「ひので」の場合は、太陽観測ということ、例えば「すざく」あるいは「あかり」というものは、ある年限、そういう意味では国際協力で一緒にあるチームができていまして、衛星の実際につくる部分からかかわっていく、一緒に考えてきた部分にデータが、占有権が、ある期間置いて、ある期間から先は公開しているんですけれども、「ひので」の場合は、太陽というのはいろいろなところで、これは私が見るものというふうに分けられるようなものではございませんので、「ひので」は最初から公開して、皆さんに使っていただくという方針で動いております。それぞれ分野の考え方みたいなものが背景にございます。

【梶委員】

 「かぐや」は、そうすると、日本の科学者だけのグループで開発を進めていったという。

【井上理事】

 はい。これは全天のサーベイというようなものの処理があるようなこともございますので、そこについては、ある期間、日本側の研究者のグループが、ある処理まで行うということで動いていると聞いています。

【平野委員】

 ちょっと評価方法、また基準の話にも関係があるんですけれども、例えば46ページのSELENE、今回のこの宇宙の科学研究の報告の中には、こういう形でわりと明確にミニマムの成功基準、それからフルの成功基準、エクストラの成功基準というのが明示化されているのは、評価する側にとってみると非常にわかりやすいんですが、ただ例えば「かぐや」のケースでいくと、第1期で見ると、ミニマムの成功基準というのが達成をされている。ただ、そこにおいて達成状況が、今度また欄があって、ミニマムの中でもそれまで150%達成している、200%達成している。トータルとして見ると、これはSですから、相当大きなエクストラの成功があってしかるべきということなんですけれども、この場合、エクストラの成功基準そのものというのは、むしろはっきりしているのは第2期だと。ミニマムな成功基準を今回達成して、ここがちょっと難しいんですけれども、どういうふうに理解、達成状況を見ると、またそれが200%とか150%とか。それでまた、だからエクストラなんだと言われるのは、エクストラが二重になっているということですか。この辺、ほかのところでもこういう評価の仕方をしていて、わかりやすくていいんだけれども、最終的な評価の仕方のところが、若干こうやって混乱してしまうんです。ちょっとご説明いただけないでしょうか。

【井上理事】

 そういう意味で、この46ページの達成状況に150%とかいうことが書いてあるということで、それが今おっしゃったのは、エクストラ成功基準とまた別のことではないかと。

【平野委員】

 というか、これはミニマム成功基準をエクストラに達成したから、エクストラだというふうにおっしゃっているんですかということなんですけど。

【井上理事】

 ミニマム成功基準を達成したという意味では100%で、それはおっしゃるとおり、それで済みなはずですけれども、達成の仕方の中に、例えば月周回軌道に投入したときにエクストラ成功基準が可能になるような軌道投入のことができましたというような意味で、例えば150%ということが書いてあるわけです。ただ、我々がSをあげたときには、それだけではない、やはり月についての具体的な成果が観測から出てきている部分ですとか、いろいろ賞をいただいたことですとか、そういうことを総合してSという判断をしているわけでございます。

【平野委員】

 そうすると、何かまたわかりにくくなってしまいますけれどもね。だから、この中期、1期なら1期の中において、何をミニマムとし、何をフルにし、何をエクストラにするというものがあって、この期の中において、エクストラを達成したからエクストラだというんだったら、非常に論理的に明快なんですけれども。

【井上理事】

 おっしゃることはそのとおりの部分があると思います。ただ、今、例えば賞をいただくことですとか、ハイビジョンのカメラでいろいろ世の中のほうである種の評価をいただくことですとかいうようなことは、必ずしもエクストラの成功基準とかというところには、実は書いてはいない部分でございまして、そこはやっぱり別の側面で、我々としてはある種のエクストラの成功を得られたんではないかと考えたわけです。ですから、フル、エクストラに書かれてはいなかったかもしれませんが、そういう意味ではエクストラの部分が出たということだと考えています。

【小澤理事】

 この表でわかりにくくしている点が1つあります。それは、私どもだとか、宇宙開発委員会のサクセスクライテリアの考え方なんですが、これは中期目標期間とはインディペンデントに、プロジェクトとしての期間としてミニマムサクセスは何か、フルサクセスは何だ、それからエクストラサクセスは何だという考えでまずつくっております。それで、たまたまこのSELENEの場合は、19年度末までが、今ご議論いただいております中期の目標期間になっていまして、そこがプロジェクトの終わりかといいますと、まだ終わっていないわけです。プロジェクトの中途段階で、今回ご評価をいただいている。それをたまたまこの表では、じゃ、プロジェクト全体の評価基準として見たときに、どこまでいっているかというのを見ると、まだ期間的に考えて、とりあえずミニマムをクリアした段階ですと。ですから、プロジェクトとしてはまだミニマムの段階ですということを、まずご理解いただきたいという表になっております。一方で、今回ご評価いただいているのは、また別に中期目標期間としての目標だとか計画をつくっておりますので、それに照らし合わせると、ここに赤で書いておりますような点が加点ポイントじゃないかなということでお示ししているというのが、この表の言わんとしているところでございます。ちょっと2つの異なる期間の話が書いていまして、ここは大変申しわけないんですけれども、ちょっと皆さん方にわかりにくくしているポイントじゃないかと思います。

【平野委員】

 ただ、やっぱり客観的に、透明性高く判定をするためには、この宇宙開発だけじゃなくて、全般のこういう評価の中において、やっぱり明確にエクストラの基準とAの基準と、あるいはBの基準というのが定められていて、これが到達したからSなんだというようなことが示されると、それは評価としての説得力が増すんだと思うんですね。

【小澤理事】

 おっしゃるとおりだと思います。

【平野委員】

 ですから、次期のやつ、これはもう決まっているんだと思うんですけれども、事前に何をもってエクストラにするか、何をもってAをするかというところを明示していたただいて、それを見せていただいて、我々が判定するというふうになったほうが、議論として質が上がっていくという感じがします。

【山下部会長】

 ほかにございますか。確かに評価基準をどうするかというのは、これまでも、あいまいなままやってきたと言えばそうなんだけど、とにかくこの第1期中期目標の期間というのは、言ってみれば試行期間的なところがありますから、そういうところで、今、平野先生言われたような、そういう基準の決め方というのをはっきりさせていく。だから、今回、この内部評価でSとかAとかついていますけれども、それの客観性というのは、これまでの話をすべて聞いていて、必ずしもクリアじゃないというのは確かだと思いますね。だから、そこはまさに評価委員の主観と言おうか、そういうものに頼らざるを得ないのかなという気はしますけれども、もともと評価ですから、そういう側面はかなりありますけれども。

【江名委員】

 ちょっと本論と外れるんですが、科学衛星は私はあんまり詳しくないんですが、日本が全部お金を出していましたですね。先ほど言われたように、この衛星に関しては1年間日本だけでやる。その後、国際的にオープンにしていく。そういう国際的な利用が非常に多いと思うんですが、コストのシェアとか、そういうことは一切ないわけです。日本で打ったものは、ただでみんな海外に使わせるということになるんですか。それとも、何か国際的なある程度の取り決めみたいのがあって、お互いにギブ・アンド・テークでやるということになっているのか、その辺、どうなんでございますか。

【井上理事】

 衛星をつくり上げるときの段階から、まず一緒に国際協力をやるということで、そこについては、もちろんNASA(ナサ)の担当分についてはNASA(ナサ)が、ヨーロッパ、ESA(イサ)が担当する部分があればESA(イサ)がそれぞれシェアをして、予算を分担してやってもらいます。先ほどから申し上げた、ある期間はその衛星をつくったときに貢献をしたチームが、それはNASA(ナサ)もESA(イサ)も予算を分担していれば、応分のデータの占有権みたいなものを、最初のある期間だけ持たせます。例えば、「すざく」の場合は、半年間、試験観測をやって、この試験観測というのは、実際に衛星を、最高の性能を出す試験観測の意味もありますけれども、同時に、お金をかけてつくってきた研究者が、自分でその見返りを得るという部分もありまして、そこについては、それぞれの国が出した金額に比例したデータの分配をいたします。ある期間が過ぎた後は、これは完全にただで世界の研究者が使うという格好でオープンにいたします。そこについては、費用はいただきません。基本的にはそういう考え方でやっております。

【小澤理事】

 地球観測の場合も、原則、特にアメリカがそうなんですが、よほど秘匿を要求するような衛星でない部分については、広く世界中にオープンにするというポリシーがあるようでございます。それが大体地球観測の研究者コミュニティー、あるいはユーザーコミュニティーのある種の常識になっていまして、日本もデータを提供するかわりに、日本もNASA(ナサ)だとかNOAAのデータを研究者、あるいは私どもが使う、こういう関係になってございます。それで、特に計画の段階から単なるデータの相互利用だけではなくて、特にコストシェアだとか、開発を効率化するために、例えばミッション機器を共同で開発するとか、あるいはたくさんのミッション機器を積むようなミッションの場合には、Aというミッションはアメリカ、Bというミッションについては日本、あるいはロケットの打ち上げは日本が提供するけれども、衛星はアメリカが提供するとか、そういういろいろな形での国際協力で、もう少しタイトな。その場合には、井上理事から発言もありましたように、ある種のデータの優先利用権みたいなものを貸す場合がございます。今、世界はこういうものが大体仕組みになって動いているわけでございます。

【江名委員】

 こういういろいろなプロジェクトに対して、海外であるサブシステムをシェアしようというようなことがあると、その国もこの衛星に対する評価を持つわけですね。

【小澤理事】

 多分やっていると思いますね。

【井上理事】

 少なくとも、我々はNASA(ナサ)側が例えばある部分を担当すれば、NASA(ナサ)があちらの分については評価します。例えば、「すざく」で私ども2つの機器、これはアメリカと非常に強い協力のもとで進めた機器が、残念ながら軌道上でうまくいかなくなったわけですけれども、そのふぐあい調査委員会みたいなものは、JAXA(ジャクサ)にも立ち上げましたし、NASA(ナサ)にも立ち上げて、両方の委員が入り合って評価をいたしました。

【山下部会長】

 そのほかよろしいでしょうか。きょうは松本先生が欠席なので、専門家がいないから、突っ込んだ話はあんまりないかもしれませんけれども。先ほどのデータ利用の話で、今、科学衛星に関しては、ある期間たったら全部無料で、だれでも使えるということになっていますけれども、地球観測のほうは、データ利用に関しては有料、無料というのはあるんですよね。

【小澤理事】

 例えばの例で申し上げますと、「だいち」につきましては、地域ごとに販売権を、効率よく効果的にデータを配付するために、データノード制度というのを採用していまして、例えばまず前提として、日本が全部、「だいち」のデータを世界中の研究者、利用者に対して提供しようと。これはさっき言いました、地球観測のある程度のデータ利用の相互利用関係に基づくものです。その場合に、逆に、そのときに地球観測で、特に陸域観測ができるようなもの、こういうものについては商業的なマーケットが今、できておりますので、それはアメリカの商業衛星等がございますので、そういうものをある程度加味しないといけないという端境にあるようなミッションが「だいち」でございました。「だいち」の場合につきましては、まず私どものデータ配付を効率的にやるためにということで、データノードという制度を導入いたしました。アメリカについては、アラスカに受信局を置いてもらいまして、NOAAに代表してやってもらう。例えば、それからヨーロッパについてはESA(イサ)にお願いしましょう。それから、アジアについては当然日本がやりましょうと。ただし、ちょっと日本から見て見にくいタイのあたりについては、タイのGISTDAという宇宙機関があるんですが、そこにサブノードとして、日本でカバーし切れない部分についてはお願いしましょうと。そういうことにして、そこでデータをとってください、そしてその地域のデータに関して、あなたが配付してください。その配付のポリシーについては、あなたのポリシーに従いますと。ただし、多分ロイヤルティーはもらっていると思うんですが、有償で配付した場合についてはロイヤルティーは下さいと。日本については、私どもはデータプロバイダーにプライムのプロバイダーというのを設定しまして、今、RESTECという財団法人があるんですが、そこを通じて配付をするということで、1シーン2万5,000円という値段をセットしています。これはもう破格の低価格でございまして、逆に商業プロバイダーということで、外国の衛星の同じような写真を売っておられる方から見て、価格破壊だと言ってしかられているぐらいなんですけれども、そういう価格で日本が分担している部分、特にアジア域については、RESTECを通じて配付している、こういうことがございます。

【山下部会長】

 だから、宇宙科学と同じように、完全に地球科学的な科学研究的な側面から使うといった場合にも有料なんですか。

【小澤理事】

 ええ、1ウェイの場合については――1ウェイといいますのは、相手方の機関の方だけのプラスになるような話については、ALOSの場合は有料になります。ただし、共同研究でその成果を日本側、特にJAXA(ジャクサ)と共有させていただくという場合については、データは無償で提供しております。そのかわり、そのデータを使った成果については、私どもも共有させていただく、こういう関係をつくっております。ただし、あまり商業価値のない海の温度のデータとか、そういったようなものについては、そういう有償配付という概念が今ちょっとございませんで、無償で研究所の方に配付するという仕組みが、世界中に広がっているようでございます。

【山下部会長】

 ほかによろしいですか。「あかり」なんですけれども、「あかり」の観測で、銀河の形成と進化ということと、それから全天マップをつくるというのと2つありましたよね。

【井上理事】

 はい。

【山下部会長】

 それで、これは19年度もSで、中期計画もSになっていますが、何か中期計画をSとするわりには、その辺の、これだからSにするぞという書き方が少し迫力がないような気がするんだけど。

【井上理事】

 確かに、先ほどのご指摘のようなエクストラサクセスで、むしろここはエクストラサクセスまでいけたので、わりに簡単な言い方をしております。確かに、こっちの場合にはこういう言い方をし、こちらの場合にはこっちの言い方をしということが、そう言われるとあるような気がいたしますけれども、この場合は、エクストラサクセスということを達成できたということで、そういう意味でいうと非常にわかりやすい言い方が逆にできたかなと思っておったところです。

【山下部会長】

 そうですか。

【井上理事】

 ですから、あんまりここは具体的な成果をつべこべと、むしろあんまり言っておりません。

【山下部会長】

 そうですね。だから、言葉だけでもこうだというふうな言い方をされたんで、ほかのSにした場合の書き方と、少しニュアンスが違うのかなという印象を受けたんですけれども。

【井上理事】

 実は、先ほど小澤のほうから申し上げたように、「ひので」もむしろフルサクセスの3年間というのがまだ済んでいませんし、実は「かぐや」も同じようなことがあって、エクストラサクセスまできちっと言えるものは、むしろ「あかり」だけだったということです。それから、「すざく」は、ほかの面でとてもエクストラというところまでいけませんですから。

【山下部会長】

 だから、成果の書き方で、銀河の形成と進化というのが、どれぐらい「あかり」によってはっきりしてきたかなというのが。

【井上理事】

 例えば、小マゼラン雲の全天マップみたいなのが非常にいい精度でできているとか、系外銀河の波長ごとの星形成の部分がかなりよく見えてきているとか、そういう成果は聞いてはいますけれども、確かにここにそれが示されている格好にはなっていないですね。

【山下部会長】

 その点で、「すざく」のほうがもう少し具体的にデータが書いて……。

【井上理事】

 そういう背景を少し言いますと、「すざく」のほうは、私どもとしては、Aまで持っていくのは、むしろ厳しいぐらいだという意識がございました。やはり1つ観測装置を軌道上で観測まで持っていけませんでしたので、それを上回るだけの観測というものをやはりきちっと見せないと評価はいただけないということで、一生懸命、当事者が用意をしてきたということでございます。

  

<基礎的・先端的技術関連>

 JAXA(ジャクサ)石川理事より、備付資料『第1期中期目標期間及び平成19年度業務実績と評価について』説明があった後、以下のとおり議論が行われた。

【知野委員】

 すみません。数値シミュレーションのところで、要するに中期目標に書いていないこともこれはやったとおっしゃっていましたね。それってプロジェクト支援のことですか。

【石川理事】

 プロジェクト支援だけのことは言っておりませんけれども、プロジェクト支援のところが典型という形にはなります。

【知野委員】

 ただ、プロジェクト支援をしていくということを組織として1つの任務とされているんだとしたら、これを書いていないから、やったからSというのはちょっとおかしいんじゃないかと思います。というのは、LNGに関していえば、少なくともこれはこういう問題が起こるとわかっていたら、そもそもこのエンジンは開発していないわけで、そういう不具合が起きて、組織として当然そういう解析をする場があるんだから、協力していくというのは、むしろ当たり前なんじゃないかと。国民の側から見れば、そういうことをもって余分な、書いていないことをやったというふうに評価するのは、少しおかしいんじゃないかという、むしろ……。

【石川理事】

 ちょっと申し上げようが適切ではなかったかもしれません。

【知野委員】

 ですから、プロジェクト支援の方向に力を入れていかれるということは非常にいいことだし、もっともなことだと思うんです。それをプラスにというのは、少し違うんじゃないかと思うんです。

【石川理事】

 多少、表現が適切ではないかもしれません。ただ、おっしゃるとおり、物の申し上げようだと思っておりまして、ちょっと言葉が違ったかもしれませんが、実際やりましたLNGの燃料が滞留して、それを解くということは、それ自身はやはり非常に質の高い仕事だと認識しておりまして、そういうふうなことを申し上げるべきだったかもしれません。

【梶委員】

 やはりこの数値シミュレーションの関係なんですが、こういうのはやっぱりトラブルがあって、それを解決するというロケットノズルのスカートだとか、焼損の問題だとか、みんなこれも、先ほど隅のところに温度が低いところができるとかいうような話がありましたけれども、トラブルが起こって初めて非常に有力な武器になるという感じなんですが、設計の段階からある程度予測するというか、こういうトラブルが起こりますよという予測ができるように持っていけるものなのかどうかということなんですがね。それができれば、やっぱりそれはスーパーSなんでしょうけれども、その辺の難しさ、その辺はどうなんでしょうか。

【石川理事】

 これは何といいましょうか、私どもの中の研究マネジメントの問題と多少つながるところがあると思います。今はまだ多少トラブルシューティング的なところは否めませんけれども、将来の方向としては、最初から設計に関与して、トラブルが出る前にある程度見抜くといいますか、それが理想系であり、そういうふうにゆっくりと向かっていると私どもは認識をしております。それが完全にできているかとおっしゃいますと、ちょっとまだ違うなと思っていますが、方向としては明らかにそういう方向にあります。例えば、さっきちょっと申し上げた、この中にもありましたH-ⅡBの射点設計なんていうのは、明らかに、まだこれからなわけで、問題はコンピューターの中だけに存在して、トラブルが起きているわけではなく、明白に起きそうであるから最初から対策をしていくということの1つのサンプル、こういうふうに今後していくべきと私どもとしては考えております。

【梶委員】

 やっぱりそういうトラブルのシューティングを積み重ね、いろいろなケースを積み重ねていくと、それは設計に生かせるように持っていけるということですか。

【石川理事】

 はい。持っていけると考えております。ちょっとここに、ご説明しませんでしたが、今までちょうど、非常に古典的な方法でやっていたもの、左側の周波数の低いところと高いところの中間的な領域がフェアリングで覆われている衛星の音響振動の電波、先生、釈迦に説法になってしまいますけれども、そういうところ、中間的な難しいところをやる手法を開発して、これもまだ実際には、もちろんトラブルになりそうな事例は幾つかあるようですけれども、ここら辺は非常にまずそうなところであるというところで、予備的な、今の段階からそういう手法であらかじめ、実際に起きているよりも早くつぶすということを考えた1つの努力の結果と考えておりまして、理想的にはそういう方向に行くべきだと思っております。少しずつそういうふうに向かっておるものと認識しております。

【山下部会長】

 そうすると、こういう成果が出ていますけれども、組織運営のところに出てきましたように、柔軟な組織で専門技術グループを自由につくって、マトリックス方式で全体の計画を動かしていくと。

【石川理事】

 20年度からはそのように。

【山下部会長】

 だから、そういう中でこれもきちっと位置づけられてやっていくという、まだ今はそこまでいっていないということですか。

【石川理事】

 まだ、今、それが完了しているかというと違うんですが、明らかに20年度はそれに大きくかじを切ったということでございます。

【小澤理事】

 組織の理念として、研究のための研究みたいな話はなるべくなくしていこうと。さっきも知野委員からご指摘があったように、こういう成果をプロジェクトだとか、あるいは次のプロジェクトのための準備の段階にこういうリソースをフォーカスして使っていきましょうという理念を徹底しようということで、お金の配分だとか、人のやりくりの問題だとか、仕事の仕方だとかということについても、いろいろ工夫をさせていただこうかということで、特に今、ちょっと名前が変わっていますけれども、総合技術研究本部のあり方については中でも相当議論をさせていただいておりまして、もう少し見える形で、ここがいろいろな宇宙開発のプロジェクトのなり、いわゆる事業に貢献をしているという明示的なアウトプットが出るように努力をしていきたいと思っておりますし、今ご指摘のあったように、こういう道具をもっと設計の早い段階からどんどん使っていって、なるべくトラブルが後で出てこないような仕事の仕方というのも大事じゃないかと思っております。

【山下部会長】

 まさにこういう組織改革のきっかけも、最初のロケットの失敗というのが非常に大きな引き金になって、それを受けて、当初の組織もプログラムグループというような格好に変えられて、それを今度クリスクロスというのか、マトリックス的に横断するような組織をまさに今つくり上げられようとしているということですね。

【小澤理事】

 そういうことでございます。

【江名委員】

 これは、我々、来週、評価結果を出さなきゃいけないんでお伺いするんですが、7-1の評価一覧表がございますね。下から2番目の複合材技術の高度化は先ほどのご説明ですと、19年度はAだけど過去にSがあるから機関内部評価をSにした。このSだけは、ほかのSは堂々と赤字で書いてあるのに、このSは非常に小さい、これは何か自信のなさをあらわしているんですか。

【石川理事】

 いやいや、そうではなくて。

【江名委員】

 何か意味があるんですか。

【石川理事】

 いや、これは単なる間違いの世界でありまして、私の持っている資料はちゃんと赤字になっていますので。

【江名委員】

 そうですか。何かさっきのご説明だと、過去にSがあるからSにしたという、あまり自信があるようなコメントではなかったので。それで黒になっているのかなと。

【石川理事】

 いやいや、そうではなく、単なる間違いの世界だと思っております。

【江名委員】

 わかりました。じゃ、これは赤のSですね。

【小澤理事】

 石川さんは、複合材のプロ中のプロでございまして、ちょっとご遠慮されたんじゃないかと思いますが。

【江名委員】

 単なるプリントの間違いですか。

【石川理事】

 ええ、プリントの間違いでございます。

【江名委員】

 わかりました。

 

 最後に、事務局より今後のスケジュール等の説明があった後、閉会した。

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