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科学技術振興機構部会(第22回) 議事録

1.日時

平成19年7月5日(木曜日) 14時~18時

2.場所

科学技術振興機構 社会技術研究開発センター 第1会議室

3.出席者

委員

中村部会長、岡山委員、清水委員、高尾委員、土屋委員、中村委員、三木委員

文部科学省

山脇基盤政策課長、勝野情報課長、大洞基盤政策課長補佐、斉藤基盤政策課長補佐、柿澤地域科学技術振興室長補佐、横山国際交流官補佐、井出研究環境・産学連携課長補佐、西川基礎基盤研究課長補佐 他

オブザーバー

(独立行政法人科学技術振興機構(以下、JST))
 沖村理事長、北澤理事、藤原理事、細江理事、小原審議役、森田審議役、天野審議役、毛利日本科学未来館長、有本社会技術研究開発センター長、伊藤企画評価部長 他

4.議事録

1.開会

<中村部会長から開会の挨拶および新委員の紹介があった。>

<山脇課長より、配付資料について説明があった。>

2.平成17年度業務実績評価結果の予算等への反映状況について

<山脇課長より、資料2(独立行政法人科学技術振興機構の平成17年度業務実績評価の結果を踏まえた平成18、19年度予算等への主要な反映状況)を用いた説明があったが、特に議論がなかったため次に進められた。>

3.平成18年度及び第1期中期目標期間における業務の実績について

<始めに沖村理事長より、第1期中期目標期間におけるJSTの事業運営の総括を交えた挨拶があり、その後JSTより、資料3-1(平成18年度及び第1期中期目標期間における業務の実績の概要)を用いて、項目ごとに説明があった。以下、質疑応答は項目ごとに行われた。>

1 新技術の創出に関する研究

【中村部会長】

 先ほど、大学の独法化ということと、このJSTの事業とをうまくやっていくということで、事業を委託して間接経費を大学に一部移したという話があった。これは始まってまだ道半ばだと思うが、実際やってみたときの問題点とか、今後どのあたりに着地点を持っていこうとしているのかについて説明してほしい。

【北澤理事】

 大学から見ると、やはり間接経費30パーセントというのは悲願であり、日本の研究開発活動を高めていくという点では、JSTのファンドだから17パーセントですというわけにはいかないので、30パーセント完全実施にしたいと考えている。しかし、JSTのプロジェクトは、ヘッドクォーターを置いて、そのヘッドクォーターがマネジメントしなければならないので、そこのところは研究費全体から少し費用が必要かと思うが、直接の研究費に対して30パーセントという形にぜひ持っていきたいと考えており、今、年次進行で進めているが、特にERATOなどで少し難しい点が時々ある。共同研究で装置をどこに置くかも考えながら決めていくということがあり、例えば東大と産総研で装置を共有するというプロジェクトがあるが、そうすると、どこかの大学に委託してしまうということがとても難しくなる。そのときに、JSTでそれを保有していると、東大に何割かの間接経費を、産総研に何割かというようなこともできるようになるので、そういう道を探りたいと思っており、その辺はまだ交渉中である。

【中村部会長】

 研究者から見て、今まではJSTと相談して、実際の装置はどれを買おうとか、あるいは間接費をどういうふうに使おうかと言っていたのが、大学のヘッドクォーターの方に30パーセントがいって、それで研究を推進する上で、何か現場で不都合が出ているのか、それは経費として十分配慮して頂いているのか、現場はどういうふうに見ているのか。

【北澤理事】

 大学の事務局は、「研究者を管理する」という立場から「研究を支援する」ということに変わろうとしている。そのときにJSTが、大学はどうせそんなことはできないだろうからと、そういう態度でいると、今度大学から、私たちはせっかく努力しているのにと怒られることになる。研究者からは、そんなことを言ったって大学の事務局はまだそんなふうになっていないよと、そういう声が聞こえている。その間に立って、我々としては中間ぐらいでいるというところが真実かなと思っている。これは大学にもぜひ訴えたり、三木先生からコメント頂ければと思うが、その辺が実情で、研究者から意見を聞くと、必ずそういう不満が出てくる部分がある。

【岡山委員】

 自己評価に関して、私個人的には同感で、戦略的な基礎研究の推進に関しては、非常に重要な成果を上げられていると思う。ただ、1点だけ質問したいのは、これからの第2期の中期目標から「イノベーションの創出」ということが書いてある。もうご承知のように、イノベーションの創出ということで今までやってこられた戦略的なやり方というのは、必ずしも、そのまま延長したらイノベーションがどんどん出てくるかというと、どうもそうではない。私は生命科学出身だが、そちらの方の歴史を見ても、過去の関係も踏まえ、一体どうやって次のシステムを作ろうとしているのか。その辺のところについて、どういう考えを持っているかお尋ねしたい。

【北澤理事】

 イノベーションによりつなげるということから、我々としては、今まで基礎研究からシーズを出すというところが戦略創造の一番の目標なので、基礎研究からシーズを出すところはちゃんとやってもらって、加えてそれをきちんとつなげるというところを戦略創造事業の中にビルトインしようとしている。そういうふうにしないと、科研費と区別がつかないではないかということを常に言われている。だから評価のときとか、終了前に、次へつなぐ形での産業界へのメッセージを発してもらうとか、そういったプロセスのできる人をなるべく入れており、その後ろのプロジェクトにもつながるようになってきている。それで、今、岡山先生が言われたように、我々としては、基礎から出てブレークするのはイノベーションに一番大きなインパクトを与えるから、そこのところを単なる応用開発ではないというふうに位置づけている。

【中村部会長】

 JSTあるいは文部科学省がイノベーション全体のことをどれだけ理解できているか、あるいはその努力をしているかということが1つ大事で、自分たちがやったところはすべてできないので、次にバトンタッチする。例えば、省庁だと経済産業省とか厚生労働省とか、いろんな部署とどれだけ連携して大きな戦略のもとでやっているか、そのあたりが非常に大事ではないかと思う。それに関連して、最近はどうなのか。他の府省あるいはそれに関連するエージェント機関との連携なり話というのは、スムーズにいっているのか。

【北澤理事】

 我々は今、NEDOとは比較的スムーズにいっていると思えるようになってきたが、NEDOとも定期的な協議を行って、ともするとそこのところの協議がないと、我々としては、JSTで研究成果が出てきているときに、NEDOがそれを取り上げてさらに大きな研究プロジェクトをつくると、盗まれてしまったという気持ちを抱く面がある。それで、あえて大きなプロジェクトにして、これは緊急にやるべきだというのを選び出して、去年は3件、国の大型プロジェクトとしてスタートするのに適当かもしれないのはこういうプロジェクトですということを申し上げて、それでNEDOの方で審査をして、2件はスタートすることになったし、1件は今、ペンディングで、それも結構真剣に考えてくださっていると、そのような状況になっている。大きなもので1年に3件といったら、相当大きいかなというふうに思っている。

【土屋委員】

 研究成果の質をはかる指標を出すのは非常に難しいことだというのはよくわかってはいるが、平均被引用数の増大というか、増えている部分とか、分野別に出されてはいるが、日本の平均というのは、非常に低いものまで入れたものを平均している。だから、よく引用されていることは事実だが、何倍という数字は本当に定量的に意味を持つ数字なのかという疑問があって、余り言い過ぎると嘘に聞こえる感じがするので、その辺についてはもう少し大ざっぱな話の方がよろしいかなという感じがした。ただ、ちょっと気になるのは、ある意味では、ある程度同じお金を入れているのだから、同じ件数の論文が出てくるという言い方はできるかもしれないが、ここに出てくる論文数の総数が、安定しているというか、伸びない。実際には論文数自体は全体として増えている状況なので、変な論文がたくさん出ているという見方もある。論文数そのものの増え具合、その辺についてはどうお考えなのか伺いたい。

【北澤理事】

 まず1つ、JSTの戦略創造事業の予算は減ってきている。日本全体は増えているが、JSTの戦略創造に限って言えば減ってきている。

【土屋委員】

 論文数は実質増えているのか。

【北澤理事】

 実質増えているというところまで言うつもりはないが、そういうふうに見て頂きたいところがある。それから、国別で比べたのは、いろいろな理由があったのだが、ぱっと見てわかりやすい。例えばマックス・プランク・インスティチュートと比べてどうかとか、日本では理化学研究所と比べてどうかとか、東大と比べてどうかとか、そういうこともやってみている。ただ、それを出すと、余りにも競争心みたいなものがむき出しになり過ぎるかなと思い、ちょっと遠慮しているところがある。実はマックス・プランクあたりと同じくらいのところにJSTが来ていると思う。分野によってでこぼこはあるが。

【土屋委員】

 マックス・プランクの場合には、自分の組織の中でやっているものがほとんどなので、ある意味では、複雑ないろんな要素が入ると言えないか。

【沖村理事長】

 前回も申し上げたかと思うが、科研費がボトムアップに対して、私どもはトップダウンということで、その中で戦略的なことをトップダウンでやれと言われているが、現実にはその戦略目標というのが極めて限られた範囲の少ない費用しかないので、日本全体を考えたときに、とても戦略的な事業を全体についてやっていると胸が張れる状態になっていないということを申し上げたいと思う。そういう意味で、戦略目標を決めるということは本当に重要になってくるわけだが、現在は文科省が内局で、総合科学技術会議の重点分野の参考に決めているが、これについても私個人はかなり意見があり、そういう意味から、戦略センターでトップの科学技術者の方に議論を重ねて頂き、戦略センターと文科省がいろいろ議論を重ねながらベストの目標を出していくということで、だんだんそういうふうになってきたと思うが、いずれにしても、今、総予算が減っていると申し上げたが、とにかく戦略目標を日本全体としてやるというには余りにも小さい予算だということをぜひご認識頂きたいと思う。

【土屋委員】

 社会技術だが、ここに実際に書かれているように、18年度段階で見直しがあったということで、必ずしも丁寧にご説明頂けなかったと思うが、中期Aと18年度Aというのは、このAの意味というのは同じなのか、違うのか。つまり、18年度あたりでかなり方針変更というか、考え直されたところがあったと記憶しているが、両方のAが同じような意味で、どうもAとかSとやってしまうと非常に大ざっぱで、何だかよくわからなくなるが、中期全体の成果としてAという話と、18年度以降見直しの部分でAという話、そうすると18年度までの部分はどういう評価なのかというのを伺いたい。

【有本センター長】

 中期のAというのは、この右下に書いてあるが、毎年20億円ぐらいかけながらやってきて、それなりに地域で活用して頂くようなソフトの方法論あるいは実際のシステムが出ていることは確かということで、Aにした。だが、18年度のAは明らかに違っており、今までのようなサプライ側の技術指向型ではなくて、最初から研究の体制をつくるときに、地域の団体やNPO、実際に社会にインストールする方も含めた、あるいは技術者集団も含めた体制で、それに対してファンドするという非常に強い評価を得て、18年度中に思い切り、分野設定も含めて、それからファンドする体制も含めて変えた。地域における犯罪からの子どもの安全という新領域と、科学技術と社会の相互作用ということで、新しいエマージンテクノロジーが社会にどう受容されるか、そのためにはどういう方法論を使ったらいいかという2つの領域を設定して、今、公募して終わったわけであるが、それぞれ40数件、60数件の応募が来ている。それもプロジェクト・フォーメーションに当たってのワークショップを開く、インタビューをやっていくという手法の開発をやっているところで、これが18年度中であり、そういう意味での事業の実態としての中期目標の成果としてのAと18年度のAというのは、ご指摘のように明らかに違っている。勝負どころは19年度から、次にどう評価をするかというところが非常に大事だと思っている。

【沖村理事長】

 補足させて頂くが、この研究は我が国にとっては初めての試みだと私は理解しており、社会ニーズ側からいろいろな問題を拾って解決していくということである。当初はこれをどうやっていこうかということで、いろいろなアイデアがあり、非常に多くの方にご参画頂いて、社会技術というものをどう進めていったらいいかを非常に幅広く検討してきたという面がある。最初は、日本原子力研究所と私どもでやっていたが、途中から私どもだけになった。しばらくやってみて、やはり私はJSTの責任者として、この研究を今後どのサイズでやっていったらいいかということが頭にあり、先ほど北澤先生が言われたように、要するに実行可能性があるところへ絞り込んでいこうということで、少し方向を転換したものである。今後、有本センター長に頑張って頂いてさらに成果を出して頂くが、そういうふうに変えたということをご理解頂きたいと思う。

【三木委員】

 戦略基礎研究でJSTのとっている立場とメインプレーヤーである研究者、これは支援者とプレーヤーと明確に分かれると思う。戦略基礎研究の場合には、プレーヤーがいかにパフォーマンスを上げるか、その結果はアウトプットと出てくる部分と、もう一つは副次的なものとして出てくるアウトカムズ、総体を考える必要があると思う。そうすると、当初の目的とは違った形でのスイングできるようなものが出てくる可能性が、基礎研究であればあるほど高いと私は考えている。いわゆるリニアモデルだけでいくと、単純にアウトプットは少しリスクが高かったで終わってしまうが、もう一つ、総合的に見ていくことによって、何かを加えてみたらとか、例えば横から見てみたらというようなことによって、当初目標とは違ったところでアウトカムズらしいものが見える。その後、これがイノベーションにつながっていくためには、今度はイノベーションのプレーヤーというのはまた違う方である。それを考える、一種別の意味の、イノベーション・プラットホーム的な機能がどこかに必要になってくるのではないかと、私は常々、大学の現場にいて考えているわけである。大学の中にイノベーション・プラットホームをつくるというのはなかなか難しく、メインプレーヤーである方の何らかのビジネスモデルがそこにないと、実は大学単独でビジネスモデルはとてもつくれず、その形はどうすればいいのかと。そのときに、プラットホームのところでかなり複数のシナリオをつくってみるという作業が必要になるわけで、これはタイムコンシューミングでもあるし、非常に大変な作業である。ただ、最終的なメインプレーヤーは、最近情報過多の時代なので、昔だったらおもしろい情報が出たら食いついてみたり、横から眺めてみたりというようなことができるけれども、情報過多の時代になると、スーパーに行ったらちょっと料理されたのを買ってくるのと同じようで、何らかの、ちょっと味つけされたものだったら食いつけるとか、それをさらに変えていけるとか、そういうようなことがあるので、もう一つつなぐところで、イノベーションというときには別の機能が、トータルとしてはどこかに必要だと思う。それがJSTの中で必要なのか、それとも大学と民とJSTが何か絡んでつくったらいいのかとか、そういう検討が何らかの形でなされているのか。

【北澤理事】

 それに関しては、次のものも聞いて頂いてから全体としてお伺いしたいと思う。

【三木委員】

 わかりました。それからもう1点お伺いしたいのは、自己評価という形で、いろいろな根拠、データをもとにご説明されているわけだが、私どももSなのかAなのかというのは、正直言ってエモーショナルな領域に入っているというようなところがあり、SかAかはどちらでもとれると。だから、主体である方々が本当に自信を持てるものというのがSになっているだろうと。そのときにもう一つ大きな要素は、アウトカムズとかアウトプットだけではなくて、課題が明快になったということ、これはS評価に相当すると思う。うまくいったということだけで評価ではなくて、次なる課題が見つかってきていると。S評価の場合には、課題がなくて順風満帆でもう何も言うことはありませんということは、人間の作業なのでほとんどないわけで、その課題についての記述がもう一つ私自身は見えていなかったので、幾つかの点ででもお知らせ頂けるとありがたい。

【北澤理事】

 まず、研究費を使いやすくという意味でも、まだいろいろな問題がある。それから、非常に卑近な問題でいくと、研究費がなるべく早く大学に入るようにというようなことが、今、非常に強く言われているが、それが大学との連携によってなかなかうまくいっていないということもあり、今朝も大学の方に来て頂いてそういう話をしたところであるが、まず、研究費の、いわゆるファンディングエージェンシーとしての研究費の出し方そのものに、会計に関わる部分でも、まだ大きな問題がたくさんある。それから、人を雇うときにどういうふうに雇えるかとか、個々の問題については、少しずつ変わっていかざるを得ないところがあり、大学も、少しずつ進んでいくところがあり、ファンディングエージェンシーでそれを許すときにも、少しずつ既成事実を積み上げながら、これならいいだろうという形で進んでいくようなところがある。それからもう一つは、選考過程でいかにいいものを選ぶかということに関しても、現在まだ試行中のことがあり、それがうまくいくかどうかは必ずしも明確でないところがあるが、ある課題については客観性ということが非常に重要だったり、ある課題、特にERATOなどについては、より挑戦的に、いい人というよりは、この人にかけてみたいというような人を選んでくれというニーズが、多くの人から言われているわけだが、どうしても大勢の人で選ぶと安全サイドに寄ってしまうということがある。それをかなりのリスクテイキングができる形の選考方式に、まだこれは表面にあらわれてないが、既に選考も始まっており、本当にそうなるかどうかということを、はらはらしながらまだ見ている段階である。

【清水委員】

 今期の評価ではなくて来期の話になると思うが、これだけ産学連携が普及してきて状況が変わっていると、総合科学技術会議がかなりリーダーシップをとってやろうということで、先ほどの質問にあった府省連携の重複を避けたり、水平統合は学会と同じような形で、総合科学技術会議である程度まねしようとしている。そういうところとのつなぎがファウンダーとしては一番大事だと思うが、個性も出さなければいけないし、国のお金であるから、それぞれが合理的に特徴を持たなければならないだろうと思うが、その辺は、私もその委員になっていて、何をやっているのかよくわからない。いっぱいいろんなものができて。そういうことから含めて、第2ステージに入っているので、大きなNEDOとかJSTのファウンダーの側から、現場の側から、こんがらがった糸を解きほぐして頂くようなことは考えられないだろうか。

【沖村理事長】

 非常に難しい話だが、私は、日本全体で考えて、ファンディングというのがいかにあるべきかという議論が、まずきちんとされるべきだと思っているが、いろいろ各省から出てきたものが乱立しているという状態ではないかと思っている。JSTのファンドの観念としては、旧科学技術庁時代からあり、ピュアサイエンスで出てきたアウトプットがかなりあるわけだが、それをもとに日本全体で戦略的に考えたときに、それを国際レベルまで上げて、さらに将来につなげるファンドだと思っている。だから、戦略基礎は、純粋基礎のファンド、縦割り業務的な大きなファンド、NEDO等もいろいろあるが、私どもはむしろ、各横断的というか、いろいろな分野に関係のある、将来性がまだはっきりはわからないけれどもかなり可能性がある、そういう学問的な分野のファンドを、かなり十分なお金を差し上げて国際的なレベルまで持っていくのがミッションではないかと思っている。あと、技術移転で、応用ベースのファンドはいろいろあって、後ほど説明するが、この戦略基礎については、以上のような分類をされるべきだと思う。そういう意味でミッションを果たせるほど大きな額ではないが、使って頂いた方にはそれ相応のところまで持ち上げられるというファンドではないかと思っている。

【北澤理事】

 実は昨日も、日本の学協会を強化するにはどうしたらいいかという学術会議のシンポジウムがあり、JSTはどういう立場をとったかというと、学術会議とJSPSとJST、3者が協力して学協会の間の情報交換の場をつくる、それで学術会議を支援するという形にした。実際問題として学術会議だけだとできない。だからJSPSとJSTで支援する。それで、今、清水先生が言われたようなことに関して、1つの部分は、混沌とした部分が結構あり、昨日も多くの学協会で話し合ったのでよくわかるが、個別の問題と、学会全体として統合しないとどうしようもないという部分と、いろいろあって、それを提言の形でまとめながら、さらにフロアから、有本さんからの非常に厳しいコメントもあり、それをきちんと主催者たちがモニターして、学協会が本当に問題を解決していく方向で、その3者の主催者をモニターするようにという意見も頂いた。今のような問題は、情報をコミュニケートして一歩ずつ積み上げていく、そんなことで今、JSTも協力しているところである。

<新技術の企業化開発>

【中村部会長】

 全体に自己評価は各項目についてAという、目標を上回る成果を上げたということになっている。私も実際にやっていることについてはそうだろうと思うが、先ほどの三木先生のご指摘でもないが、そうだろうなとは思うけれども、我が国全体として新技術が企業化して、企業が非常に元気になっているという、本当にすごくやったなというところまではまだ道半ばという、少しもやもやしたところがあり、それは日本全体のイノベーションシステムの評価が、Bか何かということだが、その中でJSTだけがAでいいのかなという気持ちも少しあって非常に難しいのだが、委員の先生方からご指摘頂ければと思う。

【中村委員】

  2-2のところでは、新技術の企業化開発についてのお話があったが、技術の企業化というのは、各府省がやっていて、頭の整理が私たちははっきりつかない。どの省がやっている企業化が本当の企業化で、JSTがやっているのがプレ企業化なのか、シーズの発掘なのか、そこがはっきりしないところがあって、私たちの頭の整理がしっかりきかない。必要なのは、JST、文科省がやるものについては、きちっと目的意識を持っていること。経産省がやる企業化についても目的意識は必要だが、我々が考えているのは、JSTで企業化のシーズを発掘したら、それをうまく経産省の企業化戦略、技術の企業化のプロジェクトに乗っていくという、シーズがうまく花開くという形が一番理想的だと思うが、省にまたがるような、他省に橋渡しするような仕組みというのは、JSTあるいは文科省が持っているのかどうか。JSTが行っている技術の企業化というのはよくわかるが、例えばシーズを発掘したときに、シーズを育てたときに、それをうまく花咲かせるために、その技術を他省庁に橋渡しをするという仕組みがあるのかどうか、あるいは考えているのかどうかということを1つお伺いしたい。

【沖村理事長】

 説明が予算本位になっているために、ちょっとわかりにくい点があるが、JSTの技術移転企業化事業は、全国の大学を視野に入れた国全体の総合化とニッチだと思っていて、どういうふうにやっているかというと、1つは、16ページのJ-STOREというデータベースがあるが、ここに、平成18年度は約1万6,000件特許が掲げられているが、全国の大学の特許は極力ここに入れて頂きたいと申し上げている。この中の約1割が未公開特許というもので、出願したらすぐにオープンになる前に入れており、これに企業が非常に関心をもっていて、平成18年度だと年間540万のアクセスがある。ここに掲げられた後、私どもは何をやっているかというと、これを発明した大学の研究者とこの技術の開発を志す企業を呼んで、大学の技術説明会を個別大学ごとあるいは分野ごとにやっていて、これに発表して頂くと、25パーセントぐらいの特許について企業からの引き合いがその場である。これを全国的、網羅的にさらにリファインしてやっていきたいと思っている。と同時に年1回、日経BP社とNEDOと一緒になり、大学見本市をやっているが、ここには4万人ぐらいの方が見える。そういうことで、全国の大学のアウトプットがここに来てもらい、そこで企業に見てもらい説明を聞いてもらい、持っていってもらうということが1つのビジネスモデルになっている。それから、その後、ここに掲げられたもの、それから先ほどシーズ発掘ということを言ったが、これはJSTのコーディネーターばかりではなくて、全国にコーディネーターがいるので、その全国のコーディネーターの方全員に一生懸命働いてもらってシーズを持ってきてもらうと。それをまたデータベースにして、それらを、幾つかプログラムでもって、段階ごとに、技術的な厳正評価をしながら、だんだん実用化につなげていくというプロセスになっており、最後はあっせんとか委託開発になるわけだが、その過程で、個別に私どもが知らない間に企業が持っていっているものもあると思う。そこはぜひそういう形になってもらいたいと思っているが、とにかく全国の大学とコーディネーターを見て、最初のところから最後のところまで、ざっと網をかけてやっていきたいと。その過程で、現実にデータをとりまとめているが、各省のいろいろなプログラムに私どものところからどんどんいっているし、どんどん持っていってもらいたいというようなイメージでやらせて頂いている。

【中村委員】

 沖村理事長の説明はよくわかるが、JSTとして、例えば文科省、JSTがやっているようなシーズ発掘も含めて、技術の企業化についていろいろ努力されていることはわかっているが、最終的に社会に還元するというか、実用化ということを目標としてやる場合には、経産省のプロジェクトの方がいい場合もある。その場合には、JSTが、あっせんというか、技術移転だけではなくて、あっせんをするような仕組みがあるのかどうかということ。現在のお話では、それぞれ技術を受け取った企業が率先して、申請するなり何とかするということに任せているが、JSTがそこに関与することがあるのかどうかということ。そういう仕組みがあるのかどうか、あるいは仕組みを考えているのかどうか。

【北澤理事】

 件数からすれば、一番大きいのはあっせんの部分であり、あっせんというのはどういう感じであっせんするかだが、大学の中に生じている研究の結果で、大学人から見ると、どういう技術に育てていったらいいかよくわからないという段階の部分を企業の目から見てもらって、その発表を聞いてプロポーザルを出してもらうと、そういうファンドを設けることによって、そこのあっせんがうまくいくようにということを、実は一昨年から始めてみたわけである。これは理事長がそこにすごく力を入れており、予算がつかないうちから試しにやってみたら、たくさんの応募があったということで、今現在1,100件だったか。

【小原審議役】

 シーズ発掘は、応募件数はもう少し。

【北澤理事】

 応募件数は6,000件あり、日本全体ではそのくらいあっせんをしたいという人がいて、これは200万円だけだが、そこでたくさんのものをなるべく拾い上げて、まずあっせんをしてもらい、そこから徐々に拾い上げていくというプロセスをJSTでやって、最後に企業が大がかりにスタートするときには、NEDOなどにそれを紹介するということになっているが、その途中で実用化してしまうものも中にはある。

【小原審議役】

 私どもの考え方としては、JSTの基礎研究から出たシーズがすぐには実用化には至らない、これは当然のことで、私どもはそこを育成するのが、育てて次のステージにお渡しするというのが最大のミッションだと思っている。例えば12ページだが、先ほど説明した独創モデル化、権利化試験、これはそれほど大きなファンドではなく、いわばシーズドリブンのファンドであるが、この説明会がNEDOや経済産業省のプログラムにつながったケースが結構ある。これは誰が仲介するかというと、私どもの技術移転プランナーという10の専門家がおり、そこがいろいろアドバイスしながら、例えば次のステージはJSTの委託開発がいいのではなかろうか、いやそうではなくてNEDOがいいのではなかろうかというアドバイスをしながらつなげている。それから、先ほど言った地域においては、コーディネーターがいるので、その方が技術内容を見ながら、例えば地域であると、経済産業省が行われている新生コンソーシアムに持っていったり、またはJSTのほかのプログラムに持っていったりというようなことを行っている。ただ、それが組織的にアグリーしてやっているかというと、まだそこまではいっていないのが実情である。

【清水委員】

 今の点について、私が先ほど質問したが、実はたまたま私が担当している地域クラスター、科学クラスターの領域で、府省連携といって、先ほど中村委員がおっしゃった、文科省がやっている知的クラスターの中で、ゲインが上がったものを産業クラスターに移すときに、そこの中間がないと連続的にできないので、府省連携枠というのをつくって、新たに農林水産省も加わって、そこに間のプロジェクトが今できているので、産学連携とか地域活性化が大分進んできているので、うまく整理すると、先ほど北澤先生がNEDOと打ち合わせているという話の中にも、現場を見ていればつなげる部分が出てくる。これも文科省と経産省の現場の人がそういうのをつくった。なかなか委員会ではそこまで、現場を見ていないためわからないので、そういうつなぎもそろそろあるのではないかというのが先ほどの質問の趣旨である。

【沖村理事長】

 先ほどニッチと言ったが、基本的には各大学に知財本部というのができており、各省もやっている。特にTLO、知財本部、そこのコーディネーターが活発に動けるようにいろいろなファンドを用意し、データベースを用意している。私どものコーディネーターはごくわずかしかいないが、コーディネーターデータベースに登録されている方は今1,600人ぐらいいて、そのコーディネーターがプラザごとに連携をとり合っている。その各プラザがネットワーク化しているコーディネーターには、地方自治体のコーディネーター、各省のコーディネーター、大学のコーディネーター、全部いるわけである。だから、そういうコーディネーターのネットワーク、情報交換によって、どんどんそういうものを持っていってもらいたいというのがイメージであり、私どもがやったから最後まで仕上げるというふうには全く思っておらず、サポートに徹するというふうに冒頭申し上げたのは、そういう意味でこの事業を組み立てているということである。

【伊藤部長】

 少しデータで補足させて頂くが、資料3-1の15ページ、右下の表に企業化等の課題数とある。その内訳のところで、他機関の制度での採択件数ということで、プラザにいるコーディネーターを中心に、成果が出たときに、経産省あるいは農水省の制度につなぐのが、例えば平成18年度ですと6件あるとか、それから、24ページ、25ページ、これはコーディネーターの活動でだが、表のところに、24ページだと下から3つ目に橋渡し件数95件とか、25ページの橋渡し件数486件、こういう形で、評価あるいはコーディネーターの活動の目標というか、指標としても、こういったものを事後のアンケート調査や追跡調査でとっているところである。

【中村部会長】

 どうもありがとうございます。JSTのいろいろやって頂いている中に、橋渡しなり、次に発展させるために他のファンドとの連携を含めて、そういう活動があるということがよくわかった。

【岡山委員】

 産学共同シーズイノベーション化事業の創設というのは、中期目標のイノベーション創出のシステムづくりの1つ大きな柱になっているが、日本というのは欧米に比べてイノベーションが足りない、だからこういう新しい制度を出す。この産学共同のシーズイノベーションというのは、基本的にシーズとニーズのマッチングを促進するということで、問題は、シーズのところ、そこがどちらかというと日本のイノベーションの足りないところであって、マッチングがいかないから出られないということになるのか。そういう認識なのか。私は全く逆で、そのマッチングはもちろん足りないところがあったかもしれないが、最大限マッチングを上げるというのは非常に重要なことで、必要だが、もう一方、日本のイノベーションの足りないところ、基礎だけではなく応用も絡んでいると思うが、そういうところを上げていくようなシステムが中期以降入っていかないと、この後がやっても余りいい成果がなかったという評価になりかねない気がする。その辺のところは非常に難しく、非常識な研究、非常識なアイデアというのが必要条件である。ところが、条件が十分でないために、それをそのままピックアップしていいかといったら、ほとんど駄目である。だから、その辺りはセレクションしなければならない。そういうところを一体どうやって抽出していくか、本当に非常識な研究の中でも、これは成長する突破口を開きそうな、応用研究も、もちろん基礎研究でも全く同じ。そういうところを検討するシステムをつくることが非常に重要。だから、JSTの中に、そういうところをきちんと評価し、判断できるようなシステムをつくっていくべきだと思う。

【沖村理事長】

 イノベーションのもとは基礎研究で、そこからシーズが生まれるというのはよくわかっているが、そのシーズの発掘は科研費でもやっていると思うし、私どものファンドでもやっている。各省もやっていると思うが、私どもが、先ほど説明したシーズ発掘というシステムをなぜつくったかというと、中央の大きな大学はそういうシステムがある程度行き届いていると思うが、一方で、私立大学や地方大学は全くそういう機会に恵まれていないので、そういう意味から、そこのところを広く網をかけようという趣旨で、私は地域のプラザやサテライトを通じて、そこにいらっしゃるコーディネーターの目を通じて、そういうものをピックアップしようというシステムをつくり上げたわけである。一方、今年は別なシステムとして、実はFSだけの制度をつくった。これは、ハードの前に、要するにシーズの発掘のためのFSだけ。そのFSの評価には、私ども職員だけでは足りないので、日本の企業の方、大学の方、いろんな方に参画して頂いて、FSという制度だけからまたシーズを見つけていこうということで、ほかでやっていないいろいろやり方をトライしているということをご理解頂きたいと思う。

【北澤理事】

 今、理事長が言われたことにつけ加えたいが、岡山委員が言われるイノベーションの種は本当に力強く出てくるようになるのかという、これは非常に難しいが、我々は今、3つの作戦でやっている。1つは、非常識に近い強いフィロソフィーを出し始めて、しかしこれは見るべきところがあるぞと、そう思ってくれる強力な推薦者がいるような人を拾い上げる。これはERATO方式だが、これが1点。このERATOは、最近そういうのが結構出てきており、全く透明な絶縁体を金属にしてみせるとか、それをこうやればなるんじゃないかというアイデアを出して、それが嘘でもないというころに採択するということをやっている。これは確かに出てきている。もう一つは八ヶ岳方式ということで、これは私自身も経験したことだが、自分たちが世界のトップを走っているというときは、何をやっても特許になるという時期がある。高温超伝導などはそういう時期があった。これは日本が完全に先頭を走っていたから、日本の企業も含めて、そのころは何でも特許になるから、そういうグループをつくり出す。これは八ヶ岳方式と言うが、とにかくアメリカやヨーロッパに対して、日本にアメリカ、ヨーロッパに対抗する、あるいはそれ以上の強力軍団をつくり出す。これはCRESTのことだが、CRESTをそういうふうにすればシーズがふんだんに出てくる。これが第2の作戦です。それから第3の作戦は、これはどうもよくわからないが、JSTのやっているさきがけが、実は特許の数からすると、単位予算当たり一番多い。これは結果論であるが、さきがけというのは、その意味で、チャレンジングにとにかく若い人たちが何かやってみるということによって、特許の数は結構出てくるということがあるので、これもそういう形でさきがけを強化する。この3作戦で、岡山委員の言われたイノベーションのシーズを生み出すというところをここしばらくやってみたいと考えている。

【中村部会長】

 先ほどの新技術説明会というのは、私も周りからはいろいろ声が上がってくるが、産業界では非常に評判がいい。非常に高く評価されていて、ここに行かないような会社は将来はないんじゃないかと私は言っているが、大変な情報量と、それからまた活気があって、新鮮で、これでもって産業界がシーズを見つけるという。ただし、今、岡山委員がおっしゃったように、ちょっと変わったものとか、ちょっと理解できないものは、すっと抜ける可能性がある。そのあたりの玉石を見分けるというのは、もうちょっと別のところで誰かやってあげないといけないのかなと、そんなふうに思う。いろいろな仕掛けを持って、国として有望なものを発掘していくということではないかと思う。

3 科学技術情報の流通促進

【中村部会長】

 最後のポイントで、先ほど理事長が18年度黒字とおっしゃったのは、産投会計も含めてということか。

【細江理事】

 黒字は単年度で、産投会計だけの話である。

【中村部会長】

 産投会計だけの話。そこだけで見ると黒字と。

【細江理事】

 はい。21年度には単年度黒字にするということである。

【中村部会長】

 データベースというのは国として非常に大事だと思うが、欧米と比較して、日本が、あるいはJSTのシステムがどういうポジションにあるのか。サービスといい、あるいは利用者の数といい、そういう検討は、ベンチマークはしていたのか。

【細江理事】

 データベースのサービスは私どもは、前身の旧JICST時代、昭和51年からオンラインでやっており、その前に磁気テープをアメリカから導入、NLMという国立図書館があるが、そこから導入してサービスするとか、アメリカ関係のものを導入するとか、そういうことをやったりして、データベースは大体国とか中立的な機関がつくってきているが、特に最近、アメリカの国立図書館、これはNIHにあるが、無料のPubMedというデータベースを国の金でつくるというようなことをやっている。また一方、比較的古くからこの事業を世界的にやっている民間もあるので、民間がデータベースをつくってサービスするということも行われてきている。

【沖村理事長】

 データベースの社会では、英語のデータベースで非常に多くの商売が行われており、JSTのものは日本語のデータベースということで、非常に苦しい状態があるわけだが、ユーザーアンケートをとると、日本語のデータベースが絶対に必要だという回答が非常に強くて、私はこの事業は続けていく価値があると思っている。問題点は、今のデータベースを一応黒字基調に持ってきたが、このデータベースは総合データベースと言って、全科学技術分野を含んだデータベースになっているが、そのデータベース量は、いろいろ委員会等をつくって検討すると、理想の姿の約半分ということになっている。今後は、さらにコストカットをして幸い新システムの売り上げが伸びてきたので、これをもとに理想のデータベースに近づけて、学会、産業界すべてに使って頂くということを理想にしている。特に最近は、大学向けにはアカデミック・ディスカウントで、固定料金制度というのをやっており、爆発的に利用が増えているので、このデータベースの存在価値は、学会からも企業からもあると私どもは考えているので、ぜひ頑張っていきたいと思っている。

【中村委員】

 中国総合文献サービスセンターで中国語文献の収集をやっているわけだが、これと今回のいろんな書誌を集められているということは別という理解でよろしいか。

【細江理事】

 そのとおり。別につくっている。別の予算でやっている。

【中村委員】

 別の予算だと。わかりました。それから、23ページのところにあるが、(2)、自己評価S。これは恐らく、目標に対しての達成率を見ればSなのかなと思うが、これはJDreamⅡだけを想定しているのか。参考のためにお伺いしたいのは、JDreamⅡに対抗するような、市販も含めてのいろんな文献情報サービスは何か。例えばCASがあるか、それともElsevierなのか。

【細江理事】

 日本語のものはないが。

【中村委員】

 これは日本語ですよね。

【細江理事】

 日本語です。

【中村委員】

  ElsevierとかCASは英語である。だから目的はちょっと違うが、そういうことで言えば、必ずしも重ならないという、競合しないという理解でよいのか。それとも、ユーザーではかなり競合している部分もあるのか。

【細江理事】

 その辺、最近詳しくやっているのをコメントするが、データの対象としては、雑誌とか国際的な雑誌を対象に、日本だったら外国のものを収集して、日本語にして、JSTはデータベースをつくるということをやっているが、外国でも同じ雑誌を収集する、重要な雑誌はどこも収集している。どこまで収録するか、先ほど理事長が半分と言ったが、今は国内・国外合わせて100万件ぐらい。委員会を去年12月からつくって、200万件ぐらいを目指したらよかろうと提言して頂いた。今の2倍。世界的にも年間四、五百万件発生するということが昔から言われているが、100万件規模のデータベースは、JSTのこれか、フランスのシグナレティクという二次情報誌に対応したものがあるところである。

【沖村理事長】

 世界のデータベースには、分野別のものと総合ベース的なものと2種類あるが、いずれにしても私どものデータベースと内容的には重なっている。日本語で引きやすくしたということは、日本の皆様に使って頂きやすいということであって、そこが特徴になっている。だから、外国の大きなデータベース、医学だとMEDLARS、化学だとCASとか、いろいろあるが、総合的なものだとSciFinderとか、大きなものがいっぱいある。そこら辺の数分の1の規模だが、内容は重なっていると考えて頂きたいと思う。

【中村委員】

 タイムラグも含めて、日本語にする意味というのはどう理解したらよろしいか。重なっているというか、多くの研究者は、英文なら英文、原著に当たっているというのが普通だと思うが、どうでしょう。

【沖村理事長】

 それがそうじゃなくて、今回、先ほど言った委員会のときも詳細に調べたが、英語ができる方でも、日本語で見るのと英語で見るのと全く能率が違う。企業の方はほとんど日本語が必要だと言っているし、大学の方も、若干率は落ちるが、かなりの方が日本語のデータベースが必要だとおっしゃっている。

【中村委員】

 日本語にするときには必ずタイムラグが生じる。その辺は、もう少しタイムラグを短くしてくれとかというユーザーの要望はあるのか。

【沖村理事長】

 それが非常に課題であり、今まで工程を大分縮めてきたが、まだ1カ月余かかる。実は今、紙ベースでやっており、電子ベースでやって今までの工程を全く変えると、期間も極端に縮まると思っており、その段階ではご迷惑をかけないようにしたいと思っている。

【土屋委員】

 今のことに関連してだが、先ほど大学の利用も爆発的にとおっしゃっていたが、基本的には、以前に比べれば爆発的というだけであって、大学の場合には、まずWeb of Scienceとか、Scopusとか、SciFinderも買ったけれども、二、三千万円かかるので、それに加えてJDreamⅡというわけにはなかなかいかないと。日本語は欲しいけれども、お金があれば欲しいというだけであって、今の大学の財政事情ではまず手は出ないというのが直感的なことである。大学がどれほど伸びるかについては、個人的には非常に悲観的にならざるを得ない。ちょっと細かいことを伺いたいが、先ほど、21ページで、書誌データ作成数というのでおっしゃったのが、JDreamⅡのデータ作成数と数字が同じなわけだが、この数字のことを意味されているということか。

【細江理事】

 件数としてはそう。

【土屋委員】

 これは、その辺はちゃんとされていると思うが、JSTの仕事としてまとめられるときの科学技術情報の流通促進という枠で、かつJDreamⅡ用のデータベース整備件数というのは産投枠の話か。

【細江理事】

 正確に言うと、21ページの下の表にあるように、国内・海外資料の収集費用は国の運営費交付金で出して頂いている。もう一つは、下の書誌データの作成数、平成18年度は108万件あるが、これの入力費も出して頂いている。あと、自己収入と産投出資金で、産投勘定でやっているのは、キーワードとか分類の索引とか、抄録作成とデータの入力費である。そこが実はお金が結構かかって、そこは産投勘定でやっていると。だから、21ページの左側の書誌のデータは渡している。

【土屋委員】

 23ページで経費と書いてある部分は、今の抄録作成の部分をいって、入力等とかは全部外れているのか。

【細江理事】

 書誌の入力費は入っていません。

【森田審議役】

 データベースの入力費は入っています。

【土屋委員】

 データベースの入力費は入っている。

【森田審議役】

 もちろん入っている。そっちの方が大きい。抄録とかすべての入力は。

【細江理事】

 抄録とか索引の費用は23ページの右側にも入っている。

【土屋委員】

 普通は、海外のデータベースだったら、資料を買った分はコストの一部となる。

【細江理事】

 はい。普通は。

【土屋委員】

 その辺の数字の出入りが今ひとつよくわからないということがあって、今ここでということではなく、大体全体の枠がわかればいいと思うが、やっぱり産投がなくなったときに、黒字になるという意味をもうちょっと明確にして頂いた方がいいのではないかという気がする。その辺の数字が、悪い言い方をすると操作されているような。そう思われるのは聞いている方としてはとても辛いものがある。

【細江理事】

 普通、民間ではかかった経費と収入で委員の言われるような比較をするが、JSTがやっているのは長い経緯があり、資料の収集費と、タイトルとか書誌事項と言っているが、そこの部分の入力費用は国に出して頂いている。それで、23ページの右のグラフは、その費用は、先ほども言ったように入っていない。あくまでも産投勘定でかかっている抄録の入力費とか、人にお願いして索引する費用とか、一般競争入札でやっているが、そういう費用等の合計であり、その費用がデータベース作成としては4.5億円減って、平成18年度は13億8,200万円の金がかかっていると。それで108万件をつくっているというふうに見て頂けるとありがたい。

【土屋委員】

 もう一つだけ伺いたいが、22ページの電子アーカイブということだが、これは第2期中期計画の一つの重要な事項として出てきていたことだと思うが、一方で学会関係者の方々などのお話を伺うと、特に18年度に関しては、こちらの課題にも書かれているわけですが、必ずしも順調に作業は進行しなかったということで、そういう状況の中で、平成17年度、18年度分をともかく終わらせてとか、残りの分を全部終わらせて、さらにということが、どこかに書いてあったような気がするが、今までの18年度の実績から見て、どのぐらい大丈夫なのかということについてお伺いしたい。

【細江理事】

 そこは非常に重要なご指摘であり、私どもも非常に重く受けとめている話である。22ページの右上に電子アーカイブのことを4行ほど書いてあるが、平成17年度及び平成18年度対象誌70誌について、22万件のデータを作成としているが、予算上は17年度は実は15誌で、18年度は65誌、合わせて80誌というのが国から頂いている予算だった。黒川清委員長始め学術会議の各部の部会長さん、副部会長さんに入って頂いた委員会をつくって選定して頂いているが、委員会では17年度はおおむね74誌の候補を、翌年の18年度は65誌を選定して頂いた。予算と同じ数だが、この実績としては、17年度は予算上15誌に対して53誌、3.4万件、18年度は予算上65誌を実績として70誌、19万件ほど、合わせて22万件ということで、誌数としては多めになっているが、作業がどうしても滞りがちということで、学会のご要望に迅速に応えていくことができなかったと。この事業は、17年度から創刊号に遡ってやるという事業だが、雑誌を切らないで、自動的にめくって後ろにつけたスキャナー、OCRで電子化するというものだが、それもJSTが日本で初めて2台購入したということもあって、どの程度の作業効率があるのか、またカタログとの差とか、そういう検証にちょっと時間がかかったりするということもあり、19年度、本年度からは、幾つかに分けて一般競争入札にするとか、そういうことも含めて、見通しは大体立ったなと。遅れていたのは確かだが、学会の要望にこたえられなかった。そこはもちろん反省している。

【土屋委員】

 22万件というのは、どのぐらいの目標に対して22万件なのか。

【細江理事】

 ここの目標は、倍の40万件ほど立てていた。遅れるというのはいろいろな要因があり、委員会で候補誌を選定して頂いても、著作権が学会であったり、古いものは著者が持っていたりするものがあって、学会に全部移管されているとは限らないということで、著作権処理の調査などにも時間がかかっている要因もある。初めてのことで、私どもの体制上の問題もあると思っているが、難しい問題もあったということである。

4 科学技術に関する研究開発に係る交流・支援

【中村部会長】

 今回拝見していて、全般にJSTの国際化というか、グローバルの大きな波の中で、JSTがどういう手を打たれたか、あるいは次に向けて国際化という大きな問題にどういうふうに取り組もうとしているのかというのが、よく理解できなかった。きょうのお話を聞いていても、割と身近なところはやっているが、ちょっと話が小さいなというのが正直な印象で、片や世の中は物すごい勢いで国際的な競争並びに協力というのが進んでいる。そういう中で、ここは協力、交流ということだが、もう一度、国際化という問題をきちんと議論した方がいいのではないかと思う。

【沖村理事長】

 部会長のご指摘は反省点であり、実は文部科学省になったとき、私どものSТAフェローとそのための予算をJSPSに移した経緯があり、それで国際予算が非常に少なくなってきた。今、先ほど基礎研究で北澤理事から説明があったが、それと同時に、プログラムとしては、26ページの戦略国際と言っているが、2国間で分野を決めて重点的に交流していこうというプログラムがある。ここも実は基礎研究の分野と同じであり、JSPSとどう活動を仕分けるかというのがあった。ただ、この予算については、平成19年度は倍増しており、非常に力を入れていこうということで、国も非常に増やしているところである。それからもう1点、これは今、中で検討しているのだが、全部の業務についてどうやって国際化していくかということを、委員会を設けて検討しているところであり、その理想的なものができれば、部会長のご指摘に応えられると思う。

【中村部会長】

 具体的に国際交流、テーマを決めて海外の研究機関・協会等とやりとりするというのは、具体的には何をやるのか。人をやりとりするのか。

【沖村理事長】

 やり方は、まず文科省と協議をして、政府ベースで分野を決めて、各国の主にファンディング機関が、私どもとカウンターパートになり、1カ国平均1億円前後で、この分野の研究者を選び、その研究者が先方とレベルの高いものを選んで共同研究や研究交流を行ったりしている。それから、私どもの第2期中期計画には「国際化を目指す」とはっきり入れており、そういう意味からも全体を見直そうということでやっている。また情報の面でいくと、ホームページ等は極力英語化をしようとしているが、特にサイエンスリンクスジャパンというWebサイトをつくっており、これは日本語、英語の情報にサイエンスポータルのように全部外国からアクセスできるようにしてある。外国の方が日本の政策やパテントポリシャーとか、あらゆることを知りたかったら飛べるようにしてあり、そういうWebサイトの運営をやっており、また、在日のアタッシェに年何回か集まって頂いて、国際化の議論などをさせて頂いている。

【北澤理事】

 中村部会長の言われたことだが、正直なところ、JSTには国際という言葉はきちんと入っていない面がある。これは文科省もそういうことが言えるかと思うが、国際戦略というのは、ヨーロッパやアメリカは物すごいことになっており、日本の情報をどうやってとってくるかとか、そういったことも物すごいお金を使って、例えば空軍だけでも10人ものプログラムオフィサーを日本に送り込んで、常に情報をキャッチして、それでお金も出していると、そういうことをやっている。それで、アメリカにないもの、あるいはヨーロッパにない技術は、日本で育てても構わないという方針に立っているわけである。ところが、日本は、政府の方針は自前主義をとっていて、日本にはこの技術がないから日本で育てなくちゃいけないと、そういう精神に立っているというのが、まず基本的に違うところかなと思う。ヨーロッパの国は、どうせ自分だけではできないから、この技術については日本のものを使ってとか、そういう具合に各国に布石を打つという形で国際戦略を考えていると思う。まず自前主義の日本とそうでないところと、ここのところがまだ、どう踏み出していいかわからないところがある。そのときに、研究者のカウンターパートみたいなものをつくれないところがあり、例えばアメリカから、ケミストリーで日本と何か国際戦略をやりましょうということを、向こうのNSFの人が言ってきても、誰が受けていいかわからなくて、JSTにくると、いやいやそれはJSPSの方でやってくださいとか、そういうことになっているのが実情である。その理由は、我々にも判定できないためである。ヨーロッパの人たちと一緒になって、ケミストリーでこれから国際協力をどうやって行っていくか話し合いましょうといったときに、ケミストリーの専門家の人たちがそういうことを言っているわけである。そのときに、じゃとりあえず1,000万円うちが持ちましょうというような形で、ではここで会議をやりますと。中国などはそういうことを言えるが、日本には誰も責任をもってそういうことを言える人がいない、そういう制度になってしまっていて、これは制度上の欠陥があるかと思う。

【中村部会長】

 ぜひJSTとしては第2期の計画で、日本としては第3期科学技術計画の中で議論を深めて頂きたい。もう1件、地域の産学連携等だが、私は、文部科学省のいろいろなやり方を拝見していて、選択と集中と言うか、強いところを強く、弱いところを弱くというのは非常によくわかるが、これはアメリカの受け売りみたいなところがあり、見ていると、競争と協調というのを徹底して使い分けてやっていて、言うべきときには全大学、関係する大学が名前を連ねて大きなプロジェクトを提案するとか、日本の場合には、COEでも何でも、とってきた総長の手柄だというので、よその大学と共同してというのは、非常にそれが増え過ぎたのではないか。道州制を早く導入すべきだという声が出てくるが、もう少し地域の大学間の連携とか、地域を超えた連携ということで、アメリカがそういうふうにやっていたら勝てないのではないかと思う。増え過ぎていないかどうか。

【沖村理事長】

 実は地域科学技術の振興は私どもが一番の老舗である。平成8年からやっており、コーディネーターを地域に育てるという事業から始めたが、その後、文科省で知的クラスター、都市エリア事業、それから経済産業省で産業クラスター事業とか、各省庁が地域事業を活発にやるようになっている。それがどの程度迫力あるか、今、部会長がご指摘の部分もあるかと思うが。私どもが今心がけてやっているのは、基本的には、今年で全国に18カ所、プラザとサテライトができるが、ここをコアにして、地方の自治体、地方の大学、そこにいるコーディネーターの方々とネットワークを組み、そこをどうサポートしていくかというイメージで仕事をやっており、そこに、先ほど言った細かいシーズ発掘試験から始まって、それを育てていって、さらに大きく育てていくというようなファンドを幾つか持っている。基本的にはクラスターを育てるとか、そういう発想でやっておらず、個別の技術をいかにきちんと評価して育てていくかというところへ徹してやっており、そこが国がやっている仕事とのすみ分けのつもりでやっている。私は、地域からのボトムアップ型イノベーションと言っているが、要するに地域が自主的にイノベーションを行っていく、そこへ黒子として参加していくというイメージで仕事をやっている。

【三木委員】

 実は、大学を中心とした機関というのは、基本的にノンプロフィットである。ところが、法人化に伴い、一種プロフィットなんだと自分たちが誤解しているところがある。ノンプロフィットであるということをもう一度見直して、大学間の連携、アカデミズムのオープン性をどう使うかということは、今から非常に大事な問題だと、地域にいると余計強く感じる。隣の県の大学とは大競争になるとか、よくある話である。ところが一方、イノベーションというのはプロフィットである。そういう意味で、先ほどのいろいろな戦略研究からイノベーション、それから地域の幾つかのボトムアップの種からイノベーションといったときの間にあるものが、制度的なシーズ発掘から育成、それだけで済むのかということを私は実は危惧しているわけである。それは、地域と一緒にやらないといけないかもしれないし、そこには複数のモデルが成り立つと思う。その辺はどこかで試行してみるなり、幾つかのモデルを動かしてみる、そういったことが必要だろうと思う。例えば、プラザが横並びのプラザでいいのかというようなこともあるわけで、そういった問題があるだろうと思う。もう一つ、先ほど国際のところでも同じような、例えばイノベーションでいったら、実はプロフィットである。アカデミズムの連携でいったら相互協力ということである。実は相互協力というのは現場からのボトムアップでできることで、JSPSがやればできる話である。そうすると、JSTの側はいろんなことを戦略性を持ってということで、しかもプロフィットを常に意識しているということになるので、単なる交流ではないだろうと思う。その意味で、例えば情報を戦略的にとってくるような仕組みというのも、これはDBJなどがよく海外レポートを出しているが、NEDOもデイリーNEDOで少し、海外事情とか、やはり情報をとってくる。プロフィットを生み出すための情報をとってくる。現在、あちこちの機関がいろいろなことをやっているわけである。もう一つプロフィットを目指すとしたら、人の囲い込みというのがある。今からの日本のことを考えたら、人の囲い込みをするということで、プロフィットの側からはそういう立場になる。だから、国際戦略というときには、ノンプロフィットでいく部分とプロフィットでいく部分というのを分けて戦略性を考えないといけないのではないかというように、地域の話から国際まで、地域と国際というのは意外とよく似たような部分があるので、部会長からの質問に対して私が答えたような、そんな感じだが。

5 科学技術に関する知識の普及、国民の関心・理解の増進

【高尾委員】

 理科離れの話というのは、SSHやSPPで始まったと思うが、実は私の母校がSSHの指定を受けており、呼ばれて2回ほど講演しに行ったが、後で報告書をもらうと、生徒さんは基本的に理科が好きな人が参加している。だから、進路を見てみるとみんな理科系に行っている。それから、もともと理科離れしていない人が受けているという感じがした。やはり本当の理科離れは、中間にいる人たちをどうするかという問題だと思うが、なかなかそうはならないのではないか。高等学校の先生たちもそこで悩んでいるようなので、もう少し底上げをするような手段が要るのではないか。

【天野審議役】

 SSHの場合は高等学校であり、むしろ理科が好きな学生たちに、将来一生懸命発揮できるような場を提供しようということであり、それ自体もそういうコースがあるんだということが、そこを目指す子どもたちにとって、もう一つの第ステップの目標になるという側面があると思う。SSHだけではなくて、ここにあるようなSPPとか、こういうのは中学校、小学校のときに、もっと理科に、サイエンスの先端に触れるとか、そういうことを通じてやることができるし、それからまた、科学館あるいは未来館も含めてそうだが、そういったところで底上げをするという、1つだけじゃなくて、そういったものを組み合わせて底上げをしていくということではないかと思う。

【毛利館長】

 SSHの本来の目的はさらに伸ばすということなので、理科離れとは直接関係ない。理科離れの方はまた別な手当てしており、先ほどおっしゃいましたようにSPPとか、今、補助教員、理科の実験などのお手伝いをする手当てが始まっているので、そちらの方になるかと思う。

【清水委員】

 私は料金を払って何回か行かせて頂いた。大変おもしろい、いろいろなイベントとかあって、もともと外国へ行くと科学博物館に行くのが非常に楽しみだったが、日本にもそういうのができたというのは非常にいいことだと思う。1つ提案があるが、私は余り国粋主義者ではないけれども、子どもの目で見て、世界の発明というのがわーっと出てくるのはうれしいが、日本でも、例えばエレクトロニクスというと、栄光の80年代というのがあったわけである。ほとんどの技術は日本から生まれたという。それがだんだん風化すると、全部サムソンがやったという話になってしまう可能性もある。実は国立情報学研究所の元の所長の末松先生が、卓越という形で電気系の4学科の、極めて基本的な発明、学会から推薦されたものを一つのパッケージにしているが、ああいうものをどこかコーナーでできないか。国威掲揚ではないが、みんながエンカレッジする部分。アメリカのスミソニアンへ行ったらそればかり。星条旗が横にあって、Think globally, do locally、まさにそういうdo locallyのところも少しやったらどうか。

【毛利館長】

 スミソニアンは古いタイプのコンセプトを持つ科学館だと思う。世界の中で最先端の科学館の状況は、ただ物を見せるだけではなくて、どうしたら子どもたちにエンカレッジできるかということ。しかし今のご発言は、私たちも非常に大事にしており、特に80年代、江崎先生をスタートにしてナノテクノロジーが進展したので、展示では江崎先生が出ている。それから、90年代後半からノーベル賞が4人続いてとられたが、それは全部特別コーナーとして展示している。だから、プライドを十分持てるように工夫している。それから、小柴先生の研究のような非常にわかりにくいものも、できるだけ基礎科学の重要性もとらえるようには努力している。しかし、まだまだ足りないと思うので、次のノーベル賞を日本人がとったら大きなコーナーをつくりたいと思っている。

【中村委員】

 今の毛利館長のお話に関連するが、先ほど、アジアの科学館、未来館も含めた連携ということをおっしゃったが、具体的に科学未来館に対して新しく、中国なら中国、インドネシアならインドネシアで科学館をつくりたいと。できればその展示とかやり方とかのノウハウも含めて、科学未来館のものをちょっと借用したいという具体的な依頼などはあったか。

【毛利館長】

 はい、たくさんある。現在、中国では、省に1つずつ大きな科学館をつくろうという国の政策があるが、その中で一番力を入れているのが北京の、来年オリンピックがあるから、そこで未来館の10倍ほどもある規模の科学館ができる。オリンピック時はプレスセンターとして使われるが、そこのアドバイザーで私が呼ばれて、いろいろとお手伝いさせてもらっている。その他にも、香港の北方にある広州にも14万平米の大きな科学館がこの11月に完成しうる。それから、上海も大きな科学館ができたが、油断するとそのまままねをされる。実際にまねされた。それは中国では当たり前な事なのである。しかし、例えば上海で村井先生のインターネット物理モデルというのがそっくりまねされたので、粘り強く、今から3年前、まねされてすぐから、上海の館長が来るたびにその対応について言ったりし交渉してきた。それは業者の責任だから館は関係ないと。そういう中国の今までの文化があるのだが、それをこの間、先々週のASPAC(アスパック)のときに館長が来たので、もう一度、初めからそういう話をした。どうしてまねしてはいけないのかというと、「それは未来館にとっては、研究者のプライドを最も尊重する文化で成り立っている。私たちの展示はすべて研究者のオリジナリティーがあって、あの展示は、村井先生がスミソニアンに対してさえだめだと言った展示が飾られているのである。」ということを申し上げた。最終的に、これは村井先生のオリジナリティーがあるということと、そのオリジナルなものが未来館にあるという説明書きをようやく、中国語と英語によってつけるというところまでいった。それを持って帰ったが、本当にそれをつけるかどうかというのは、まだわからないので、私たちは検査に行きますよと念を押した。中国あるいはアジアとつき合うときには、ロシアもそうだが、ただ単にアメリカやヨーロッパの外交ではなくて、人間と人間がぶつかり合うけれども、最後は信頼されるというところまで持っていく努力が必要なので、非常に難しいと感じた。

【中村委員】

 さきほどの報告でおっしゃっていたが、要するに中国にしろ、アジア諸国にしろ、ロシアにしろ、ノウハウに関してのプライオリティーというか、忠誠心というか、希薄な国なので、展示のノウハウを提供する場合でも、ちゃんと担保するものがあるかどうか、それがちゃんと守られているかどうか。日本の科学未来館の発案ですよ、あるいは日本の科学者の発案ですよということが担保されているかどうか、そういうものを担保するだけのものが何かあるかなというのがちょっと疑問だった。協力は非常に美しいが、きちんとプライオリティー、日本なら日本、他の国なら他の国が最初にやったんだということを表明してくれる手立てがないと、協力というのはなかなか難しいかなと思い、お伺いした。

【毛利館長】

 実際には、本当にしつこく、しつこく、交渉を絶対にやめてはいけない。顔を合わせるたびごとにそういうことを言っていかないと、特に中国は難しいと思う。しかし、いったん信頼されると永く続く。そういう意味で、今は上海とはそこまでこぎ着けたが、次から次へと、今度は上海をまねしてどんどんつくっていくので、2次使用、3次使用になっていくので、そのたびごとにやるしかない。

【中村委員】

 31ページにインターネットのメディアプレーヤーですか、サイエンスチャンネルも視聴数が増えたというふうになっているが、インターネットのソフトウェア、メディアプレーヤーに載るようなソフトウェアというのは、事実的に開発されたと理解してよろしいのか。

【天野審議役】

 そのとおり。番組をつくるときからチャンネル用のものと、基本的にはすべてをインターネットで配信できるように考えてやっている。

【中村部会長】

 デジタル教材というのは、今、2万4,000人まで登録教員数があるが、これはどのあたりまで増えれば、小学校、中学校の理科を教えようという先生が学校にいることになるのか。

【天野審議役】

 小学校はすべてなので大変だが、ちなみに、現在、中学校の理科の先生の25パーセント、高等学校の理科系の先生の20パーセントが入っているということである。小学校は割合でいくと2.5パーセントだが、これは全部というのはなかなか難しいかと思う。せめて中高の理科の先生方には入って頂けるというのが一つのゴールだと思っている。

6 業務運営の効率化、財務内容の改善、その他重要事項

【中村委員】

 今の説明の中で、随意契約と競争入札の説明があったが、データベースの作成費用とか、いろいろなテキストブック、いろんな本、ニュースレターみたいなもの、そういう編集費というのは、300万円以下のケースもあるので全部随意契約と理解してよいのか、あるいは競争入札のものもあるということか。

【藤原理事】

 競争入札のものもあると思う。コンペをやって選ばれたりしている部分もあると思う。

【沖村理事長】

 データベース作成については入札にした。

【中村委員】

 そこで大きな齟齬というのはないわけか。例えばノウハウを持っている企業、会社とか編集プロダクションというのが、競争入札によってオミットされてしまうというようなケースはまだ出てきていないか。

【沖村理事長】

 そこはちょっとやり方を工夫している。実はその関係で16社、大手企業系のいろいろな会社がある。そういうところとか、私どもの関係のところもたしか1社あるが、そこでまず1割について競争入札をして頂き、その最低の入札価格で各社とネゴに入り、応じて頂いたところはその最低の価格で契約を結び、応じて頂けないところはやめて頂く。結果として16社あったところが13社になり、かなり厳しい値段で契約したと自負しているところである。

【中村部会長】

 先ほどの繰越欠損金というのは、独立行政法人になるタイミングとか、何かのタイミングで増資減資して消すとか、そういうことはできなかったのか。これをゼロにするというのは、何百年というか。

【沖村理事長】

 独法になるときに、実は旧科学技術庁系の研究開発法人は全部出資金で研究をやっていたので、NASDA(ナスダ)や原研等には数兆円の欠損金があった。私どもも研究などのERATOとか、その部分の欠損金は他の法人と同じように消してもらいった。産投のこの部分は、私の判断で残したというところがあるが、なぜかというと、運営費交付金の中に入ってしまうと事業の独自性が保てなくて、継続的にデータベースをある規模でずっと続けていくというのは非常に難しくなると思っていて、どの事業も年度年度によって、いろんな力関係によって予算がふらつく。だから、この事業はそういうことに適さないという判断で文献勘定として独立させ、欠損金を残した。と同時に、欠損金を消すという努力をしていくということだが、欠損金が減るということはどういうことかというと、ただ資産がたまっていく。それで欠損金の解消は確かに長期間かかるが、事業の収支が良くなれば資金的な余裕ができて、情報事業が円滑にいくのではないかという判断で残したという経緯がある。

【中村部会長】

 よく現場を歩いていると、研究費を年度にわたって持ち越すということが、建前はできるかもしれないが、現実的には非常にやりにくいという声を伺うが、本当のところはどうなのか。

【北澤理事】

 JSTの基礎研究関係の研究費も年度を繰り越せるようにしたが、今現在、大学の方では1割ぐらいが繰り越せるようになった。科研費は去年、東大で3パーセント、全国のほとんどの大学は全く繰り越さなかった。繰り越せるようにしたけれども大学が繰り越していないということだが、その理由を、今日も実は東大に聞いてみたところ、大学の事務局がとてもじゃないけれども対応できないという答えであった。その理由は、財務省との間を4回ぐらい書類が行き来して、理由を一つ一つ全部直さないと、逆に財務省の方も同じ理由を書かれたのでは、財務省は何をしているんだと国民から言われるという心配のために、全員が違う理由を書かなければならない。300件も違う理由を書くのは大学の事務局として体が持たないというふうに担当者たちが言っており、どうもそういうことのようである。その意味では、徐々にそこのところは研究者たちもやり方もわかって、増えてくると思うが、そのかわり、出てきた600数件は全部通ったという、財務省協議で全部通ったので、財務省はその点、非常に協力的ではあると、そんなことだった。我々の場合も、結局は大学の事務がとてもかなわない。残してもいいと言われても、それを対応する事務をやっている時間というか、それがないということになっていると思う。そこをもう少し大学と協議してやっていきたいと思う。

【中村部会長】

 ぜひ、実際に研究しておられる皆さん方がやりやすいようなシステムにして頂くことが大事だと思うので、ご努力をお願いしたいと思う。

4.平成18年度の財務諸表について

5.中期目標期間終了に伴う積立金の処分について

6.役員退職手当支給規定の一部改正について

<JSTより、資料4-1(平成18事業年度 決算の概要)、資料5(中期目標期間終了に伴う積立金の処分について)、資料6(役員退職手当支給規定の一部改正について)を用いた説明があり、その後以下のような議論があった。>

【土屋委員】

 さきほどのJDreamⅡのデータベースをつくるということについて、結構まざっているような感じのご説明もあったような気がする。つまり、資料を買う部分とデータベースをつくる部分と、それからデータベースの収入に対するコストというのはどのぐらいかということも、勘定が2つの勘定にまたがっているような印象を受けたが、その辺はもう少し説明して頂けるとうれしい。

【沖村理事長】

 本を買う費用と書誌事項をつくるところは、国家的資産という考えから国費でお願いしているところである。文献勘定の方は、データベースをつくって販売するというところは全部コストになっており、収入で全部賄うと。これから産投もこないので、その部分はそれで賄う。それから、先生がおっしゃるように、買うところから原価ではないかというご議論もあるかと思うが、そこは歴史的には全部国費だったが、せめてこの部分は、本を買う、それを整理して書誌をつくるという、その部分は国費で見て頂くという仕分けになっている。

【土屋委員】

 2つの勘定間でやりとりはありませんね。

【沖村理事長】

 ありません。

【中村部会長】

 その他特段の意見がないようであれば、これで3つの案件については議論を打ち切りたいと思うが、最後の役員退職手当支給規程の一部改正については、先ほどと同じ独立行政法人評価委員会の総会分科会においても意見を伺うということになっているので、この部会では特段の意見はなかったということを分科会に報告させて頂きたいと思っている。
 以上で、本日予定した議事については一通り終わったわけだが、先ほど申し上げたように、特に議事の2番目について、つまり平成18年度並びに第1期の全体についての評価に関しては、委員の先生方もまだいろいろとお気づきのところがあると思うので、7月12日までに事務局の方にメールでお寄せ頂きたい。それを最大限参考にさせて頂いて、今後、事務局でこの評価部会としての案をまとめて頂くと、そんなふうにさせて頂きたいと思っているので、よろしくお願い致します。

7.その他

<山脇課長より、資料7(科学技術振興機構部会における今後の審議予定)を用いて、今後の部会の審議予定について説明があった。>

(以上)

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