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国立科学博物館部会(第30回) 議事録

1.日時

平成19年7月13日(金曜日) 10時~12時30分

2.場所

三菱ビルコンファレンススクエアM+ 10階 ミドル1、2

3.出席者

委員

山本委員、柿崎委員、江上委員、村井委員、中川委員、堀委員、高木委員、林委員、松野委員

文部科学省

関口大臣官房審議官、平林社会教育課長、栗原地域学習活動推進室長 その他関係官

オブザーバー

(国立科学博物館)
 北見理事、平野経営管理部長、前田展示・学習部長、上野広報・サービス部長、松原地学研究部長、真下財務課長他関係者

4.議事録

(1)平成18年度事業評価について

 平成18年度の事業評価について事務局より資料1~4、参考1~参考3について前回の会議の資料の補足も含め、説明がなされた。事業評価について、各委員からの主な意見等は以下のとおり。

(全般について)

【委員】

 政策評価・独立行政法人評価委員会の示している評価の取組方針に関し、行政サービス実施コストの改善の部分について、科博のような研究機関は、人件費をコストだけの観点でみるのではなく、人間がより能力を発揮することによって資産が本質的に運用されているという点の配慮はなされているのか。

【事務局、国立科学博物館】

 法人の設置法には、自然史に関する研究等を行うことが目的に明記されているので、その部分については確実に成果を出すような運営をしなければいけないが、管理系部分についてはしっかりコスト改善等の努力をしているという認識である。

【委員】

 財務体質の強化やミュージアムマネジメントの意識の必要性を引き続き認識してもらうことが必要である。またキャッシュ・フローに関しては、制度が民間とは違い明確に出せない制度になっている所があるので、目的積立金を長期的に使用できることが普通になるような制度を視野に入れて、提言していくことが必要。法人会員の寄附制度を活用することも重要である。

(研究部分)

【委員】

 科学研究費補助金について、科博は、ナショナル・ミュージアムとしての地方の博物館と連携しながら国としての研究レベルを上げていく役割がある。そのような観点で、獲得した科研費の中で、科博のみで行っている研究とそれ以外の博物館のスタッフと共同で行っている研究は、どの程度の割合なのか。

【事務局、国立科学博物館】

 大学の教員等が研究協力者になっているものはいくつかあるが、博物館関係者については、現時点ではデータがないため、次回部会までに調査の上報告する。

【委員】

 科研費の申請ができる博物館は、文部科学省から個別に指定を受けなければいけない制度のため、限定されているのが現状。しかし、例えば科博のような機関があるテーマを決めて申請して科研費を獲得し、その中に地方の博物館のスタッフを研究メンバーとして加えることは可能である。科博自身での科研費の獲得も重要だが、次代の研究者を育てる機能を科博は求められている。この点については、今後どのような施策を考えているのか。

【事務局、国立科学博物館】

 化石などについては他の博物館との共同研究が行われており、分野によっても事情はどうしても異なってくる。

【委員】

 「研究者等の人材育成」についての重要性は以前から言われており、具体的な受け入れ状況も分かるが、どれだけのニーズがあるのか。

【事務局、国立科学博物館】

 知の人材育成ということで、昨年度から「サイエンスコミュニケータ養成実践講座」という大学院生を対象にした講座を開始したが、夏の講座に関しては、20名募集したところ46名の応募があり、24名を採用した。このような事業に関してはニーズは高いと考えている。
 連携大学院からの受け入れについては、大学からの依頼によるものであるが、個別のやりとりもあるため、当初どれだけ希望があったかは不明。特別研究員生に関しても、同様である。これ以外に、日常的に、研究している学生等が指導を受けに来ているが、これに関しては、全く数字として表れていない。これらの状況から、多数受け入れてるとは言い難いかも知れないが、潜在的なニーズはあると思う。

【委員】

 そのような表に見えにくい経常的な業務についても、成果として報告書にまとめておくべきである。そのような様子も書いておいた方が、熱心さが伝わってくる。

(標本資料)

【委員】

 標本資料について、現在358万点の標本があり、5年間で20万点を収集するという中期目標・計画となっている。この内訳をどのように考えているのか。単に基礎データとして集めることと、研究活動の一環として集めることとは違うので、その割合を示していただきたい。最近は、大学等で標本を手放したり、所有できなくなる状況もあり、自然と集まってくる傾向にあるので、そのような数はきちっと分けたほうが良い。

【事務局、国立科学博物館】

 5年間で20万点の目標は、基本的に研究活動に伴う収集として、従来の経年的な傾向を踏まえて算出している。今回9万5千点の登録が可能になった原因は、一つには東京農大から3万点ほどの標本を、研究者がいなくなって保管できなくなったために移管したことによるのではないかと思う。他にも財団法人齋藤報恩会からも標本資料を寄贈していただいていており、今回の標本数の大幅な増加は、研究活動に伴うものというより、一時的な特殊要因により増えたものと考えている。研究活動に伴う部分については、例年とあまり変化はない。

【事務局、国立科学博物館】

 研究活動に伴う標本の増加については、見込みが立てにくい部分がある。研究活動に伴う資料といっても、今は国際的にも、現地へ行って調査して資料をそのまま持ってくることが困難になっている。すなわち、データは持って帰れるけれども物は持って帰れない状態である。ここでいう標本の数は物の数であり、研究分野によってかなり大小がある。今は、過去のデータによって目標を決めているが、今後研究活動に伴う標本の数に関しては厳しくなることが予想される。よって、増加する要因としては、個人や研究機関等からの寄贈・受入が増えると見込まれる。

【委員】

 研究活動に伴う収集は、難しいところもあるが、ある程度実績を踏まえて把握しておくことが重要である。標本資料に関する評価では、収蔵・保存庫がどれくらいしっかりしたものが用意されているということも重要になってくる。その点においては、どのように考えているか。

【事務局、国立科学博物館】

 収蔵庫については、筑波地区に設ける案を、昨年度予算要求したが、認められなかった。今現在建築の目途は立っていないが、必要性は十分認識している。しっかりとした収蔵庫がなければ収集するべきではないと考えている。逆に、これだけのしっかりした収蔵庫があるから安心して寄贈してくださいといえるようにしたい。分野にもよるが、収蔵庫が100パーセント飽和状態になってきているので、新しい収蔵庫の建設は喫緊の課題であると考えているし、博物館としての重要な使命と考えている。

【委員】

 全体を研究員、コレクション、入館者(展示)の3つに分けて評価する必要があると思う。入館者についてはすばらしい成果をあげているが、全体として、科博は世界の自然史博物館と比較した観点でも考えてくべきではないか。

【委員】

 これまで博物館では、資料をどう管理し、どういうふうに収集するかという専門家が今までいなかった。この点で、科博では、「標本資料センター」を設置するとともにコレクション・ディレクター、コレクション・マネージャーを新たに設置したことについては、資料管理に対する取組みに関しては日本では初めてのことである。これは非常に評価して良いのではないか。そこで、これらを設置したことによって従来と何が変わり、何の効果があり、具体的にはどのようなことがあるのか。

【事務局、国立科学博物館】

 コレクション・ディレクター、コレクション・マネージャーは、日本全体を考えたときに、科博自体が持っている資料の中で何が足りないのか、公益性を重視してどのように行動するべきか等の方針を立てるために配置したものである。

【事務局、国立科学博物館】

 各研究者が独自の観点で保管していた標本資料を、統一フォーマットで登録し、かつ、それを地方の博物館へ拡げていけば、瞬時に標本資料がデータ上で管理ができるようになる。そういうことを目指して標本資料センターを中心に準備しており、体制としては、ほぼ出来上がっている状態である。これによって標本資料の取り扱いは大きく変わり、何がどこにあるのか、何を収集していくべきなのか非常に分かりやすくなることが期待できる。

【委員】

 博物館を見る側からすると、今までは資料や標本がただ詰め込まれているという印象があった。一般の見学者にとって、たくさんの資料が凝縮されているため何が希少性が高いのか、その価値がじゅうぶん分からず、そのため見る興味、関心がマンネリ化してしまっていたのではないか。そういった観点で、館全体の展示の戦略や、標本の獲得、収蔵庫の確保について将来的なビジョンが見えない。標本資料について増加数というもので評価していいのかという疑問が残る。

【事務局、国立科学博物館】

 現状は、上野本館は建蔽率がいっぱいの状態。理工系の場合、資料が大きなものが多いため、集めることが理想だけれども、無理ならばデータとして情報を集めておいて、貴重なものは登録をし、現地での保存を図る制度を作るなどして、直接保管する資料を増やさず、資料の保存を図るなどの取組みも行っている。

【事務局、国立科学博物館】

 資料に関しては、何百何千と同じようなもの集めて、共通の特性が分かるものが多く、一個の資料だけでそのものの全てのことは言えない。展示は、10年くらいでリニューアルする。標本全てを展示できるわけではなく、その中から選んで興味深い見せ方ができるものを展示しているが、面積がないという問題があって、それは変えようにしてもなかなか変えにくい状況にある。スミソニアン等のような大きな建物があれば話は別だが、日本の現状ではそれを解消することは難しい。

【委員】

 利用者にとって価値があったかということを評価に入れているが、例えば、NHKでは、国民が1年間でどのようなところのイベント会場へ行って、いくら使っているか、年間どれくらい負担しているかなどの経済的価値を計る方法や、経済心理学的なアプローチで価値に対してどのように評価しているのかなど、価値というものをいろいろな形で定量化することをしていた。このように利用者の側に立って客観的に価値を評価するような指標を国民にアプローチするという点で、事業報告書の中にあると良いのではないか。国民的、国際的に競争力を持つ評価視点なので、積み上げだけの評価ではなくて、日本国内の利用者がどう評価するのかということも考えるべきではないか。

【委員】

 博物館には様々な役割があり、利用者ニーズだけにこだわってはいけない。

【委員】

 NHKでは、利用者が公共放送として何を求めているかという観点から、バランスシートを作成し、評価している。定量化が重要であるという問題意識を持つべき。

(展示・教育普及)

【委員】

 ここ数年で入場者数が増えてきているが、それに伴う設備、トイレやロッカー、レストラン等の整備はできているのか。

【事務局、国立科学博物館】

 大変苦慮しているところである。ロッカーについては、入り口に設置しているが、まだ足りない状態だし、傘を保管する場所が十分ない。トイレは、男女ともスペースが狭い状態。平日はまだよいが、特別展などがあるときは来館者に窮屈な思いをさせているのが現状。

【委員】

 入館者が増えれば、当然必要な経費は出てくるので、その達成度に応じて運営交付金が増えるようなシステムが必要。

【委員】

 展示学習支援事業については、自然科学で研究したものを一般市民に還元するための方策ということに限定されているようにみえる。実は、展示学習支援事業に関する研究も重要であり、その研究を伴わなければ展示もおざなりになって、ただの研究所のようになってしまう。これは日本の博物館の欠陥でもある。研究事業と展示学習支援事業をつなぐものがないが、博物館は教育機関であるので、それを全うするために研究があると考えるべき。ただし、科博はやることはやっているので、考え方を事業展開の説明資料の中で、もう少し整理するべきではないか。

【委員】

 科博でなければできない、博物館学的な分野の科学性をもっと押し出してもよいのではないか。科学リテラシーだけでない教育分野における科学的な位置づけが弱いのではないか。

【委員】

 ユーザーとしてみると、研究者等の人が見える展示や特別展について、企画が非常に良くなった。「体験的な学習支援活動を年間10件程度開発する」とあり、その具体的なものが書かれているが、この中には継続的なものがどのくらいの割合なのかという疑問がある。また、「世代に応じたプログラムの開発」については、日本の科学リテラシーの発展には重要であるため、ターゲットとなる世代は、ここにある団塊の世代や子どもだけに限らずに行うべき。

【事務局、国立科学博物館】

 ナショナルセンターとして、教育プログラムをなるべく開発して、それを全国に普及するという方向性もあり、毎年新しいもの、改良したものを10件作成することになっている。これらをホームページ等に掲載することによって全国の博物館や学校で使用できるよう発信している。従来からのものもあるが、改良したり新たに開発したりするものが10件程度となっている。

(業務の効率化)

【委員】

 人事管理の状況に関して、任期付研究員を制度を開始してまだ1名の採用となっている。他の独法では、任期付研究員を多く採用している所もある。体制や予算の関係もあるだろうが、もっと採用してよいのではないか。

【事務局、国立科学博物館】

 大学等では、任期付研究員については、新しい分野の研究を始めるときに主に採用するが、その資金源は、科研費などの外部資金が中心である。外部資金の積極的な獲得とあわせ、検討を進めたい。

【委員】

 運営費交付金の収益化の方法について、当法人は費用進行型を採用しているが、成果進行型への移行について、もっと積極的に検討するべきではないか。

【委員】

 外部委託や市場化テストについては、どのように考えるか。

【事務局、国立科学博物館】

 外部委託については、できるところは既に導入しているが、市場化テストについては事業の継続性等の課題もあり、長期的観点から困難ではないかと考えている。

【委員】

 世の中は激変しているので、業務の効率化について取り組むことが必要。

 次に、資料4に基づき各委員の行う評価方法について事務局から説明があり、各委員から7月23日(月曜日)までに、事務局へ評定等整理表を提出することで了解を得た。最後に資料5に基づき、今後のスケジュールの確認等をした後、散会となった。

-以上-

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --