平成15年7月30日(水曜日) 13時~15時
文部科学省別館10階 第6会議室
阿部充夫、石山卓磨、黒田壽二、佐野慶子、高祖敏明、田村哲夫、八田英二、山内昭人、和田義博
加茂川私学部長、久保私学行政課長、栗山私学助成課長、石井参事官、濱参事官付企画官、平野私学行政課課長補佐、後藤私学行政課課長補佐、早坂参事官補佐、徳岡参事官付調査官、井戸参事官付専門官
(1)事務局から資料についての説明があり、学校法人制度の改善方策について(中間報告)案についての自由討議を行った。
○:委員 ●:事務局
○: 1頁の「はじめに」の2行目に「健全な発達」とあり、13行目に「健全な発展」とあるが、表現の違いに意味はあるのか。
●:前者については私立学校法第1条の「私立学校の健全な発達」という文言に合わせたものである。
○:前者は学校法人制度ができた当初のことが述べられており、私学法の文言に合わせて書かれている。後者は現在のことが述べられているのでこの使い分けは問題ないと思われるがそれでよいか。
(一同異義なし)
○:4頁の3具体的改善方策の4つ目の○について、非常勤理事に対して定期的に学校法人の運営状況に関する情報を提供することが必要とあるが、数多くの情報を説明するのは実際上は困難ではないか。むしろ、理事の担当分野を決め、説明する情報を各担当に割り振るのが適当ではないか。
○:「可能な限り提供する」という表現にしてはどうか。
○:大規模法人と小規模法人で状況が違うのではないか。方向性は正しいと思うが、実際小規模法人にとって情報をたびたび提供することは大変である。原則は変えるべきではないが、法人の規模の違いに配慮した表現をとって欲しい。大学法人と小中学校法人では仕組みが違うのにすべて大学法人の基準で定めるのは無理がある。株式会社でも資本金の規模によって分けている。
○:その点については、むしろ小規模法人の方が情報が行き渡り易いのではないか。大規模法人で理事が多いところの方が、十分な情報を伝えるのが大変なのではないか。
○:その点はそうかも知れないが、小規模法人の場合、離れた地域にいる人に理事を任せている例がある。また、小規模法人の場合、法人側にそれらの情報を教えるノウハウや能力がない場合がある。
○:その点は「はじめに」の2頁目の5行目、実際の運用にあたっては所轄庁がそれぞれの法人の特徴に応じて適切に対応するという部分で包括的にフォローできるのではないか。能力やノウハウがない法人については、ガバナンスの能力を高めていくことが必要、ということでよいのではないか。また、遠隔地にいる理事の問題については、むしろそういう名目的理事という現状を改善すべきで、理事機能の強化を図るという方向で対処すべきであると思う。前文で包括的なカバーはされているので、実務的な問題については、それぞれの運用上の問題として議論すればよい。現在の文章を変える必要はないのではないか。
○:理事会における検討の充実に資するという目的のためには入れるべき規定だと思うが、あまりに多くの情報の提供が必要となると学校法人も苦しい。やはり「可能な限り」という表現を入れるのが適当ではないか。
○:情報の提供は努力義務の意味で書かれたのだと思うので、「可能な限り」という文言を入れても差し支えないと思う。
○:私が、最初に申しあげたのはそういう趣旨ではなく、担当理事を置くなど、理事の担当する職務の分野を分けることが大切なのではないかということである。その方が責任体制がしっかりするのではないか。
○:担当理事制については賛否両論ある。担当理事を置くことを進めるのは難しい。
また、3頁の下から4行目の理事長の役割として、私立学校法を引用し、学校法人内部の「事務」を総括するとあるが、これは法律改正時に「業務」という表現に変えるべきではないか。事務とすると印象として狭い意味になると思う。
○:4頁の下から5行目に「代表権を理事長のみに制限する場合は理事長のみが執行機関」とあるが、この表現だと、他の理事は執行機関でなくなってしまうように読める。対外的な代表権があるという意味では理事長のみが執行機関となる、という趣旨がわかる記述にすることが適切なのではないか。
○:5頁の上から6行目からの表現で、寄附行為によって理事会で定めることとする事項の例示が財務関係に偏っているのではないか。就業規則や学則の決定等の例示が必要ではないか。
○:私も同じ意見である。ここの例示は財務関係に偏っている。9頁に書かれている監査の内容のところでは広く対象を書いているので,ここの理事会についても例示の仕方を工夫して欲しい。
○:理事の外部性の強化について、外部理事を「必ず置く」という表現になっているが、努力規定にならないかという意見がある。個々の学校法人の判断に任せ、理事・監事・評議員のいずれかに外部の者を置く、もしくは全体で何人かを外部の者にするということではどうか。必置規定にすると小規模の学校法人には対応できないところが出てくるのではないか。
○:確かに監事に外部性は必要だが、監事と比べると理事にとって外部性の必要性は薄いかもしれない。
○:理事・監事・評議員のいずれかに外部の者を置くというのは、表現の仕方が難しいのではないか。委員会としては、理事・監事・評議員のどこに外部性の主眼を置くかある程度絞ったほうがよいと思う。
○:全体的に見れば理事を5人しか置いていない小規模な学校法人が多い。身内で運営しているという現状は変えていく必要があるが、業務量も増えつつある理事に、実際には無償で外部の人を呼ぶのは小規模法人にはかなり難しい。そのような小規模法人への対応をどうするかが問題である。
●:外部理事については、大学法人に対しては、普段の指導において一人いれば良いということではなく理事の数に応じて適切に外部理事を置くよう求めているところである。
○:外部理事については、法律で必置を義務付けるつもりなのか。
●:他の法人の例もあり、役員のバランスの良くするためには、法律に書くことが必要ではないかと思う。
○:4頁の3の3つ目の○で、括弧書きで「過去に役員又は教職員でなかった者」とあるが、これは過去何年間にという年限を加えるべきではないか。
○:小規模法人と大規模法人で規定を分けるのはやはり難しいか。
○:外部人材が役員の全体で何%というような規定にすることはできないか。
○:外部性の規定は置くべきだが、実際は実現困難な法人をどう扱うかが問題である。
○:「合理的な事情がある場合はこの限りにあらず」というような例外規定を置くことはできないか。
○:どういう場合が合理的な事情であるかという定義が難しい。
○:小規模法人については、必ずしもきちんとした議論ができていなかったので、今後意見をいただく中で検討するというふうにしてはどうか。
○:次に、理事の代表権者の登記について、社会福祉法人と同様の制度とすることについてはどうか。
○:社会福祉法人と同様の制度にすると、代表権のない理事の名前は登記されないことになるのか。
●:現制度を改正していけば、社会福祉法人の制度と同様に、登記するのは代表権のある理事のみになる。
●:学園内で実行上担当理事制をとるということと私立学校法に基づいて理事の代表権に制限を加えるということは別の次元のものであるということに留意していただきたい。
○:理事全員の名前が登記されているほうがわかりやすいのではないか。
●:制度上理事が誰かは寄附行為を見ればよく、誰が法人を代表して法律行為ができるかということに関しては登記で見る、という区分けは可能である。
○:代表権者の登記については、基本的にこれでよろしいか。
次に、同族制限についてはこの資料のとおり両論併記とし、中間報告後に関係団体や一般の方の意見を聞いて検討するということでよいか。
(一同異議なし)
また、4頁の3具体的改善方策の3つ目の外部人材の条件の「過去に」以下の表現については見直すこととする。4つ目については小規模法人の場合は表現を補うこととする。また、下から5行目の括弧内は表現を工夫することとする。また、5頁7行目の例示については財務状況に偏らない例示を検討していただく。代表権の制限については社会福祉法人と同様の制度に変えるとする。同族制限については両論併記の形をとることとする。
○:監事が非常勤で少数しかいない場合が多いが、そのような状況で教学面の監査も業務に含めると個々の監査がおろそかになってしまうのではないか。監事の基本業務は理事の業務執行に対する監査に絞り、それに必要な範囲で教学面を監査するほうが、監査の実行性が高まるのではないか。
○:理事の業務執行を監査しようとすれば、教学面にも目を向けざるをえなくなる。
○:今まで監事の仕事は帳簿のチェックが主という印象だったが、きちんと必要な範囲で教学面も見ていただくという趣旨であるので、食い違いはないのではないか。
次に、監事の評議員会への出席を義務付けることについてはどうか。
○:義務付けることはいいと思うが、その場合、評議員と監事の兼職が問題となるのではないか。
○:10頁の最後の行で、評議員と監事の兼職を禁止するよう措置することが必要だとされている。
○:出席を義務付けるという表現が問題だ。欠席せざるを得ない場合もある。法律で出席を義務付けるのは無理があるのではないか。原則として出席するという表現の方がよいのではないか。
○:確かに出席の義務付けは難しいかもしれない。本文の10頁7行目のような「出席するようにすることが必要である」という表現のままでよいか。
(一同異義なし)
次に評議員と監事の兼職禁止についてどうか。法律で定める必要があるか、それとも当面は学校法人の良識に任せるという指導事項とする方がよいか。
○:報告書に書けば、法律で定めなくても実際には守らなければいけなくなる。
○:次に、監事の選任手続きについてだが、11頁の下から5行目のように、例えば「理事会が推薦し、評議員会の承認を得た者を理事長が任命する」ということでよいか。自分を監査する者を自分で推薦するというのは問題ではないか、と意見のあった部分である。例示であるので、このままの表現でよいか。
(一同異義なし)
次に、9頁の下から4行目のところであるが、監事の監査範囲・内容についてだが、教学面も対象とすることと、適法性に限らず妥当性も見るということでよいか。
○:下から10行目のところで、監査の範囲は経営にかかわる部分に限るべきではなく、教学面も対象とすべきという表現になっているが、これだと経営対教学という構図に読んでしまう。本来、経営と教学の監査は切り離せないものであるので、ここの表現を工夫すべきである。
○:それでは、9頁の下から10行目で「や経営」という部分を取り、「財務に関わる部分」と変えることで対処させていただく。
○:監査報告書の作成、特に外部への公開については現場での抵抗がある。監事が報告書の作成に対してプレッシャーを感じ、監事になる人がいなくなるのではないかという意見もある。所轄庁への報告のみでよいのではないか。
○:監査報告書の形式については、人によって認識が違うかもしれないが、公益法人が作成している程度の報告書なら、公開しても問題はないと思う。
○:現在作成されている程度の監査報告書なら公開しても問題ないと思う。だた、それが公開された場合、逆にこの程度の不十分な監査でよいのか、という印象を一般から持たれ批判される可能性がある。そうすると結果的に監事の負担は大きくなるのではないか。
○:監事の職務が明確にされると、監事の責任はどのようなものになるのか。実態にそぐわない報告書が出てくるのではないか。
○:そのような問題も出てくるが、監事の研修を行うなど、監査機能を高めようとする努力は今まで各法人で行ってきている。今回は公開の方法も「閲覧に供する」という表現にしているので、監査報告書についてはこの記述のままにさせていただき、後は各学校法人で監査機能を高めていただくということでよいか。
それでは、監査については、基本的に9頁の「や経営」の文言を削るだけで、あとは変更なしということにさせていただく。評議会への出席についても「義務付ける」とはしないようにする。
○:13頁の3具体的改善方策の1つ目だが、評議員会の諮問機関としての位置付けをはっきりさせるため、「評議員会の議決が必要な場合であっても、学校法人としての最終的な責任及び決定権限は理事会にあることを明らかにする必要がある」とある。これによれば、寄附行為上評議員会の議決事項であっても、その議決は参考にされるというだけで理事会を拘束しないということになるのか。現在は寄附行為にそういった定めがある場合、評議員会の議決に理事会は拘束されるという解釈だと思うが、解釈の変更という形で処理するのか。それとも法令ではっきり書くのか。
●:現在の私学法では、寄附行為で定めれば、評議員会の議決を要するとすることができるが、それは評議員会が議決機関になるのではなくて、あくまでも諮問機関であるが、理事会の議決の手続きとして評議員会の議決も必要とすることができる、ということである。そのような従来からの考え方を整理し、理事会が最高意思決定機関であることを明確にするというのが趣旨である。実際上どうなるかといえば、評議員会の議決を必要としている場合は、評議員会の議決の結果に理事会も拘束されることになる。
○:つまり、法令上何かを変えるのではなくて、従来どおり法解釈の問題として処理するということか。
○:次に、評議員のうち、法人の役員及び教職員であるものは3分の2以内、同族については3分の1以内という記述についてだが、これでよいか。
○:この数字がどれだけの合理性を持って主張できるものかはわからないが、せっかく今まで議論してきたわけであるし、このまま公表し一般の意見を聞いてみるということでよいのではないか。
○:一定の割合といっても、ある程度の数値の目安を示す必要はあると思うので、このままにしたい。
○:公開の義務付けについて、保護者や学生に公開することについてはそれほど問題としていないが、悪意の第3者をどのように排除するかが問題である。特に、どの銀行にどれだけの資産を預けているかなどが書かれている財産目録を公開することには抵抗がある。大項目のみに限定するなど、ある程度整理したものを公開するという形にはできないか。
○:財産目録は様式に定めがないので、そこまで詳しいものではなく、概要を作成して公開すればよいのではないか。
○:学校法人のプライバシーにかかわるような情報は出すべきではない。
○:財産目録については、公開は概要でよいことを公認会計士協会内で申し合わせるというようなことはできないか。
○:財産目録については会計基準で様式の定めがないので、ある程度まとめて大項目だけ公開するという形でよいのではないか。
○:次に、事業報告書の取り扱いについてだが、項目の例示をすべきか、例示の内容は適切か、また様式を示すべきかということについてはどうか。
○:項目を例示することについて現場では反対意見もある。例示がなされてしまうと事実上守らなければならなくなるのではないかという懸念がある。例示を利用して公開度ランキングのようなものが出回ることも考えられる。入学定員に対する入学者数については公開したくない法人も多い。
○:入学者数は隠すわけにはいかないと思う。ただし志願者数、受験者数、合格者数まで書かせるのは酷だと思う。例えばこれだけ合格者がいたのに入学辞退者が多かったという事実が露呈されることになる。あくまで例示なのだから、あまり細かすぎる例示はいらないのではないか。
○:それでは「志願者数、受験者数、合格者数」は削るということでよいか。また、19頁に、例示されている項目について「盛り込むよう指導することが適当である」という表現があるが、指導という言葉は適切か。
○:「指導」という文言は削除したほうが良い。
○:16頁のはじめに、株式会社は財務書類の要旨を公開するとあるが、学校法人においても19頁の「公開の方法」の2番目の○にあるように、刊行物への掲載やインターネットの活用によって公開する場合は要旨でもよいことを明記した方がよいのではないか。また、独立行政法人については主務省令で定める期間、閲覧に供するという表現になっているが、学校法人の場合はどうするのか。もし、閲覧期間を定めないとすると、どこまでさかのぼって公開するかが問題となる。
○:現在の会計基準は一般にわかりにくいといわれているが、わかりにくいものを公開することは心配である。会計基準が見直された後に公開することにはできないかという意見があるがどうか。もしくは、会計基準が見直される前は大項目のみの公開とし、見直された後に全体を公開するというように2段階での導入にならないかという意見もある。
●:情報公開については順調にいけば次の通常国会に法案を提出して早ければ15年度の決算書類から適用ということも考えられる。会計基準については、今年度中に方向性をとりまとめることとしているが、見直しの方向性がどうなるかわからないので、そちらの見直しを待つというのは理屈が合わないと思う。
○:閲覧の内容について、情報公開法の範囲と同じ大項目までということはできないか。例えばコピーをとらせる場合は黒塗りをするようなことは可能か。
●:閲覧に供するものは財務書類そのものである。コピーをとらせるかどうかは各学校の判断ということになる。
○:公益法人の閲覧の議論においても、コピーサービスを行うか行わないかで窓口でもめるよりも、コピーサービスを認めた方がかえって手間がかからないという意見も出ている。また、閲覧させたものをコピーをとるときに黒塗りにすることはあまり意味がないのではないか。
○:時間となったので、ここでの議論はこの程度にとどめるが、さらに意見があれば書面で提出していただくこととしたい。その後の修正については私と事務局に一任願いたい。
また、準学校法人についても本委員会での議論を踏まえ同じように適用するということでよいか。
○:準学校法人については、補助金をもらっていないのに同様な取り扱いをされることを問題視する声もある。しかし、流れとしては、社会的信頼を保つためには準学校法人も対応してもらわざるを得ないと考える。準学校法人についても、小規模法人と同様に何か個別の配慮が考えられないか。
○:全体が良い形で発展すべきであり、準学校法人については同じ取り扱いとする整理をした上で、意見を聞いていくこととしたい。
(事務局より本報告書について、関係団体への意見照会、一般へのパブリック・コメントの実施について説明があった。後、閉会)
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