初等中等教育と高等教育との接続の改善について(答申)要旨 |
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第1章 検討の視点 |
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戦後の単線型の教育制度の下に,高等学校は国民皆教育機関とも言うべきものとなり,高等教育への進学率も大幅に上昇した。一方でそれに伴い受験競争の激化や「学(校)歴偏重」社会の問題なども生じた。 今後,高等学校の多様化が進むとともに,大学進学率の一層の上昇が見込まれる中,これまで以上に多様な能力,履修歴等を有する学生が大学に進学してくることが予想される。このような状況を踏まえ,初等中等教育と高等教育との接続の改善を図るのが本答申の目的。 その際の検討の視点は次のとおり。 (1)「自ら学び,自ら考える力」と「課題探求能力」の育成を軸にした教育 (2)後期中等教育段階における多様性と高等教育段階における多様性との「接続」 (3)大学と学生のより良い相互選択を目指して (4)主体的な進路選択 |
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第2章 初等中等教育の役割 |
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(1)初等中等教育の役割 |
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初等中等教育では,基礎・基本を習得した上で,その後の学習や職業・社会生活の基盤を形成し,「自ら学び,自ら考える力」などの「生きる力」を育成する。 |
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(2)学力の現状 |
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我が国の小・中学校段階の児童・生徒の学力の現状は,全体としてはおおむね良好であると考えられるが,一般的には,進学率の上昇に伴い大学進学者の平均的学力の低下といった状況が今後進むことが予想されるため,初等中等教育の改善,高等学校と大学との接続の改善,大学教育の改善を通じて対応していくことが必要。 |
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(3)各学校段階ごとの到達度評価 |
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各学校段階において,児童・生徒が当該学校段階の教育目標を達成しているかどうかを修了時等に評価することは,各学校が教育上の責務として適切に行うべき。 各学校における評価の参考とできるような評価基準や評価方法について国立教育研究所等において研究,開発を行うことが必要。 |
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(4)高等学校入学における能力・適性等の判定 |
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高等学校の入学者選抜は,飽くまで設置者及び学校の責任と判断で行うものであり,各高等学校,学科等の特色に配慮しつつ,その教育を受けるに足る能力・適性等を判定して行うものであるという趣旨が更に徹底され,後期中等教育機関への進学希望者を盲・聾・養護学校高等部も含めた後期中等教育機関全体で受け入れられるよう適切な受験機会の提供や条件整備に努めることが必要。 |
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第3章 高等教育の役割 |
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(1)高等教育の役割 |
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学部段階においては,初等中等教育における「自ら学び,自ら考える力」の育成を基礎に豊かな教養と高い倫理観をはぐくみ,「主体的に変化に対応し,自ら将来の課題を探求し,その課題に対して幅広い視野から柔軟かつ総合的な判断を下すことのできる力」(課題探求能力)の育成を重視するとともに,専門的素養のある人材として活躍できる基礎的能力等を培う。 専門性の向上は大学院で行うことを基本とし,大学院段階においては,研究者養成に加え,高度専門職業人の養成をも重視する。 |
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(2)大学入学における能力・適性等の判定 |
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社会の要請にこたえる人材の養成などの観点から,大学においては,大学教育に必要とされる能力・適性を入学者に対して求めることが必要。 |
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第4章 初等中等教育と高等教育との接続の改善のための連携の在り方 |
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(1)入学者選抜だけではなく,カリキュラムや教育方法などを含め,全体の接続を考えていくべきであり,高等学校と大学の両者がいかにして,それぞれの責任を果たしていくかという観点から,両者の教育上の連携を拡大することが必要。 |
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(2)具体的な教育上の連携方策 |
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(3)高等学校における生徒の能力・適性・意欲・関心等に応じた進路指導や学習指導の充実 |
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高等学校においては,将来の進路や職業選択を見通した進路指導や学習指導を実施。それぞれの生徒が進路に応じた科目を履修するための適切なガイダンス等も必要。また,大学の教員や企業の協力を得て,高等教育の具体的な内容や,将来の職業選択との関係,企業の在り方や職業生活について,実際的・体験的な情報を提供してもらったり,体験入学や就業体験の機会の拡充を図る。 |
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(4)入学者の履修歴等の多様化に対応して大学教育への円滑な導入を図る工夫 |
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大学においては,指導教官制(チューター)の導入,学習ガイダンスの充実,インターネットを利用した履修相談の実施など,入学してくる学生の履修歴等の多様化が一層進むことに対応した様々な工夫を図ることが必要。 |
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(5)高等学校関係者と大学関係者の相互理解の促進 |
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都道府県単位で高等学校関係者と高等教育関係者が一堂に会し,情報交換し理解を深める「連携協議会」等の開催を推進。 大学の教員が高等学校において,学問の紹介や講義を行うことや,逆に,高等学校等の教員が大学での補習授業に協力することなどの試みを一層推進。 |
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第5章 初等中等教育と高等教育との接続を重視した入学者選抜の改善 |
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(1)入学者選抜の現状と改善の方向 |
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既に大学受験は「過度の競争」ではなくなっており,さらに,全体として見れば大学進学希望者がいずれかの大学に入学できるようになる状況が到来することが予想される中で,入学者選抜の改善で目指すのは,単に誰もが希望する大学に入れるようにすることではなく,大学と学生とのより良い相互選択を図り,学生の大学教育への円滑な移行を実現することにある。 |
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(2)これからの選抜の在り方 |
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(3)入学者選抜そのものの具体的な改善方策 |
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(4)入学者選抜の改善を促すための具体的方策 |
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第6章 学校教育と職業生活との接続 |
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(1)学校教育と職業生活の接続の改善のための具体的方策 |
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中等教育修了後の進路の選択肢が多様化するなかで,生徒が自己の個性を理解した上で,主体的に進路選択を行っていけるよう,キャリア教育を小学校段階から発達段階に応じて実施。また,インターンシップの促進等による体験的活動を重視。さらに,企業経営者によるキャリアアドバイザーの配置等によるガイダンス,カウンセリング機能を充実。 |
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(2)企業等における採用の改善 |
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採用に当たっては学生に求める能力・知識・技術を具体的に示した上で,個人の能力・知識・技術や資質に加え,学生の属する大学(研究科,学部・学科)の教育目標,教育内容,教育方法の特色を考慮。その前提として大学は評価基準を明示した上で厳格な成績評価を実施。 |
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(3)生涯学習の視点に立った高等教育 |
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