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中央教育審議会

1997/6
有馬中央教育審議会会長談話 (第二次答申に当たって) 

 21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」の第二次答申に当たって(談話)
                                            (平成9年6月26日)

                                            中央教育審議会会長    有馬  朗人


  中央教育審議会は、去る平成7年4月、文部大臣から「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」諮問を受けて以来、精力的に審議を進め、本日、小杉文部大臣に対し、「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」の第二次答申を行いました。

  中央教育審議会では、平成8年7月に第一次答申を提出して以来、本日まで「一人一人の能力・適性に応じた教育と学校間の接続の改善」を中心に審議を行ってまいりました。本答申においては、「ゆとり」の中で子どもたちに「生きる力」をはぐくむという第一次答申の理念を引き継ぎながら、形式的な平等の重視から個性の尊重への転換を目指し、一人一人の能力・適性に応じた教育を展開していくという考え方に立って、これまでの教育制度や入学者選抜の在り方などを見直し、実行可能な最大限の改善策を提言しております。
  教育制度については、複線化構造を進め、画一的なシステムを柔軟なものにすることを基本に提言を行っております。中高一貫教育を選択的に導入することについての提言や、学習の進度の遅い子どもたちに対して十分な配慮を行うとともに、稀有な才能を有する子どもたちのために大学入学年齢の特例を設けることについての提言は、こうした考え方に立ったものであります。について提言を行っております。
  大学・高等学校の入学者選抜の改善については、過度の受験競争の緩和を図るという観点に立って、選抜方法・尺度の多様化など、具体的かつ実行可能な最大限の改善策を打ち出しております。
  さらに、今後、我が国において高齢化が急速に進展することを展望すると、高齢社会を生きていく子どもたちをどう育てていくかは、極めて重要な課題であることから、本答申では、高齢社会に対応した学校・家庭・地域社会における教育の充実について提言を行っております。
  こうした本答申の提言は、全体を通じて、子どもや保護者の選択の幅、あるいは、学校や地方公共団体の裁量の範囲を広げることに資するものであり、規制緩和という観点からも大きな意義を持っていると考えております。

  本答申の実現のため、文部省をはじめとした行政当局に対して、所要の制度改革を含め、諸施策の速やかな実施を強く求めるものであります。また、本答申が示した施策を実施していくために、適切な財政措置を改めてお願いしたいと考えております。さらに、本答申でも強調したところでありますが、子供たちが健やかに成長していくためには、何よりも国民の教育改革に対する幅広い理解と協力が不可欠であり、本答申を契機に、国民一人一人が意識の改革を図りながら、それぞれの立場から取組を始めていただくことを切に望むものであります。

(大臣官房政策課)
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