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中央教育審議会

  

諮    問    文




次の事項について,別紙理由を添えて諮問します。


      21世紀を展望した我が国の教育の在り方について


    平成7年4月26日

                                                与謝野  馨


(理由)
  21世紀に向けて,国際化,情報化,科学技術の発展,高齢化,少子化や経済構造の変化など,我が国の社会は大きく変化しており,このような変化を踏まえた新しい時代の教育の在り方が問われるとともに,今日,受験競争の過熱化,いじめや登校拒否の問題など様々な教育上の課題に直面している。また,学校週5日制の今後の在り方や青少年の科学技術離れへの対応などについての検討が求められている。
  既に,臨時教育審議会や第14期中央教育審議会の答申などを踏まえ,生涯学習,初等中等教育,高等教育など各般にわたり教育改革を推進してきたところであるが,今後,我が国が,創造的で活力があり,かつ,ゆとりと潤いのある社会を築いていくためには,教育の現状における諸課題を踏まえつつ,21世紀を展望した我が国の教育の在り方について検討し,所要の改善方策を推進していく必要がある。

(検討の視点と検討事項)
  今日,受験競争の過熱化,いじめや登校拒否の問題あるいは学校外での社会体験の不足など,豊かな人間形成を育(はぐく)むべき時期の教育に様々な課題がある。
  これらの課題に適切に対応していくためには,今後における教育の在り方について基本的な検討を加えつつ,子どもたちの人間形成は,学校・家庭及び地域社会の全体を通して行われるという教育の基本に立ち返り,それぞれの教育の役割と連携の在り方について検討する必要がある。
  これに関連して,これまで段階的に進められてきた学校週5日制の今後の在り方について検討する必要がある。
  また,子どもたち一人一人を大切にしつつ,その個性を伸長するという基本的な考え方に立って,学校教育の各段階を通じ,一人一人の能力・適性に応じた教育をいかに進め,また,学校間相互の接続をいかに改善し,多様な進路を確保するかについて,基本的な検討を行う必要がある。なお,これに関連し,特定の分野において稀(け)有な才能を有する者について,教育上の例外措置に関する検討が望まれる。
  一方,我が国の社会は,国際化,情報化,科学技術の発展,高齢化,少子化や経済構造の変化など大きく変化しており,このような社会の変化に対応する教育の在り方を追求していくことが,今求められている。
  特に,国際化が進展する中で,国際社会において信頼される日本人を育成するとともに,国際社会に進んで活躍し得る人材をいかに育成していくかという問題は,一層重要な課題となっている。情報通信の分野では,マルチメディアの普及という新たな時代を迎えつつあり,このような時代における教育の在り方も重要な課題となっている。また,科学技術が発展する中で,近年,若者のいわゆる科学技術離れの傾向が指摘され,資源小国の我が国の将来を危惧(ぐ)する声もある。
  したがって,このような社会の変化に対応する教育の在り方について基本的な検討を行う必要がある。

(1) 今後における教育の在り方及び学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方
(2) 一人一人の能力・適性に応じた教育と学校間の接続の改善
(3) 国際化,情報化,科学技術の発展等社会の変化に対応する教育の在り方





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