第4章 科学技術の発展と教育
科学技術は、現代文明の発展を支え、人類の活動範囲を拡大してきた。今後、科学技術は、生命とは何か、物質とは何か、宇宙とは何かといった人類が抱いてきた根源的な問いの解明を試みながら、さらに発展していくものと予想される。そして、これらの発展は、人類にとって豊かな21世紀社会を築く原動力になるものと考えられる。人間の知的創造力が最大の資源である我が国にとって、諸外国以上に、科学技術の発展は重要である。特に、欧米先進諸国に追い付くことを目標に、欧米先進諸国が築いてきた科学技術を活用しつつ、科学技術と経済の発展を遂げてきた我が国は、今後、独創的な科学技術を生み出すなど自らフロンティアを開拓し、人類の知的資産を形成するとともに、[ゆとり]のある豊かな社会を築いていかなければならない。また、経済大国となった我が国は、科学技術の面でも積極的に国際社会に貢献していく必要がある。一方、科学技術が著しく高度化・細分化・専門化する中で、科学技術と社会との調和が大きな課題となるとともに、人々は、科学技術が生活に欠くことのできない重要なものであることを承知しながら、何か分かりにくいもの、人々の安全をも脅かすものとなりかねないといった不安感を抱いていることもまた否定できない事実であろう。 |
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