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中央教育審議会

 1954/12 答申等 
特殊教育ならびにへき地教育振興に関する答申 (第7回答申(昭和29年12月6日)) 


7  特殊教育ならびにへき地教育振興に関する答申

(答  申)
昭和29年12月6日
文部大臣  大  達  茂  雄  殿
中央教育審議会会長
亀  山  直  人

特殊教育ならびにへき地教育振興に関する答申

  本審議会は,特殊教育ならびにへき地教育の振興について,慎重に審議した結果,次の結論に到達しましたから答申いたします。

I  特殊教育
  盲学校・ろう学校および養護学校への就学奨励に関する法律の施行により,盲学校・ろう学校における就学奨励が積極的に講じられつつあるが,その就学率は依然低調であり,さらに,盲者・ろう者以外の特殊教育の対象はその数がきわめて多いにもかかわらず,これらの者に対する教育については,国としてほとんど具体的な施策が講じられていない状態である。以上のような実情にかんがみ,すみやかに次のような方途を講ずる必要がある。

1.特殊教育の対象となるべき児童・生徒についての実態をすみやかにはあくすること。

2.盲学校・ろう学校について
ア.盲学校・ろう学校への就学を奨励するため,児童・生徒の就学に対する経済的援助をいっそう強化すること。
イ.盲学校・ろう学校の幼稚部・高等部についても盲・ろう教育の特殊性にかんがみ,小学部・中学部の場合に準じて就学奨励・施設費補助等各般の措置を講ずること。

3.盲者・ろう者以外の教育について
ア.養護学校を義務制とする前提として,その設置をすすめ,これを設置しようとする地方公共団体に対して,国は財政補助を講ずること。
イ.特殊学級は,終戦前すでに1,800 ほど存在したのが,今日は約900 に減じていて,この面では後退こそあれまったく進展をみせていない。したがって特殊学級の設置のための年次計画をたて,これが促進のために必要な教員および設備につき財政上の措置を講ずること。

4.特殊教育の各部門について教育内容の改善充実を図るとともに,これに携わる教員の養成および現職教育について必要な措置を講ずること。

II  へき地教育
  教育の機会均等の趣旨と,へき地における教育の特殊事情にかんがみ,へき地教育を振興するため,先般へき地教育振興法が制定され,漸次へき地における教育水準の向上が図られつつあるが,今般いっそうその充実と振興を図るため基本的に,次の諸点について具体策を樹立実施すること。

1.単級学校・複式学校等の小規模学校は,教育上も財政上も望ましくないので国においても,地域の開発計画・町村合併等に即応し,かつ,児童・生徒の通学の便法をも講じて,小規模学校の統合を促進するなど,へき地教育の基本対策を樹立実施すること。

2.上の総合整備の困難な地域に対しては,へき地教育振興法およびその制定に際しての国会付帯決議の趣旨にそい,財政上・行政上いっそう強力にその施策を推進すること。

3.教育的見地からへき地教育の実態をじゅうぶんはあくし,特に現行のへき地基準を再検討してその合理化につとめ,へき地教育振興の諸施策が実態に即するよう考慮すること。


(大臣官房政策課)

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