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中央教育審議会

 1998/9 議事録 
中央教育審議会第221回総会 (議事録) 

   中央教育審議会  第221回総会

議  事  録

平成10年9月11日(金)13:00〜15:00
  霞ヶ関東京會舘      35階  ゴールドスタールーム


    1.開    会
    2.議    題
          今後の地方教育行政の在り方について
    3.閉    会


    出    席    者

    委  員              専門委員                  事務局
      根本会長            安藤専門委員              有馬文部大臣
      鳥居副会長          岡田専門委員              佐藤事務次官
      河野座長            小川専門委員              富岡生涯学習局長
      薄田委員            児島専門委員              銭谷審議官(初中教育局担当)
      沖原委員            蓮見専門委員              御手洗教育助成局長
      川口委員            鱒渕専門委員              徳永地方課長
      木村委員            森元専門委員              高  総務審議官
      國分委員            山極専門委員              杉浦政策課長
      小林委員                                            その他関係官
      坂元委員
      田村委員
      土田委員
      永井委員
      横山委員


○  それでは、これから第221回総会を開催させていただきます。
  まず最初に、今回の配付資料について、事務局より確認をしていただきたいと思います。

<事務局より説明>

○  それでは、議事に入りますが、本日は「今後の地方教育行政の在り方について」の答申の文案につきまして御審議いただきたいと思います。3月の中間報告以降、地方教育行政に関する小委員会において御審議をいただいてまいりましたが、本日はこの小委員会で御審議いただいている答申の文案について御説明をいただき、これについてさらに若干御審議をしていただきたいということでございます。
  本日お配りしている答申の文案は、前回の小委員会においてお配りしたものに、小委員会での御意見を踏まえ、河野座長が修正を加えたものとなっております。
  それでは、河野座長及び事務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○  それでは、私のほうから小委員会に関する報告を申し上げます。
  全体的なことを私から申し上げまして、あと事務局から説明をさせます。
  地方教育行政に関する小委員会は、本年3月の中間報告から後、中間報告に対して関係団体からヒアリングを実施するなどしながら、13回にわたる会議を重ねてまいりました。そして、最近の4回の会議では、答申の取りまとめに向けてその文案について精力的に審議を行っていただきまして、小委員会としての答申文案を取りまとめました。これを御報告する次第でございます。
  答申文案の内容は、3月の中間報告を基本にして作成しておりますが、内容を理解しやすく、わかりやすいものにする。そのためには、その構成も大きく変えたほうがいいという御意見に基づきまして、全体の構成を中間報告とはかなり大きく変えております。
  そして、中間報告において、御承知のように、今後の見直しの基本的方向だけを示しておりました「学校の自主性・自律性の確立」、そして「地域の教育機能の向上と地域コミュニティの育成及び地域振興に教育委員会の果たすべき役割」、この部分に具体的な改善事項を盛り込むなどいたしまして、その内容も大幅に見直しております。
  なお、その詳細については、後ほど事務局から説明をさせます。
  本答申文案は、「はじめに」に続いて、第1章を「教育行政における国、都道府県及び市町村の役割分担の在り方について」、第2章を「教育委員会制度の在り方について」、第3章を「学校の自主性・自律性の確立について」、さらに第4章を「地域の教育機能の向上と地域コミュニティの育成及び地域振興に教育委員会の果たすべき役割について」、この各章から構成してございます。
  中間報告では、御記憶のように6章の構成をとっておりました。しかし、本答申文案では、答申の取りまとめに当たっての我々の基本的な考え方を示す前文としての「はじめに」を新たにつけ加えました。したがって、本文の部分では、中間報告の段階で「第1章  今後の地方教育行政の在り方について」となっておりました部分を、「はじめに」の中と、あと各章の中に溶け込ませて書き分けをいたしております。
  また、旧第5章が「地域コミュニティと地域振興に教育委員会の果たすべき役割について」、そして旧第6章として立ててありました「学校以外の教育機関の運営の在り方について」は、その内容にいろいろな関連性があるという点を踏まえて、まとめて1章として構成するということになりまして、最終的に4章の構成になったわけでございます。
  各章の構成としては、それぞれの章の冒頭のところに「現行制度の概要と課題」を記述するとともに、それに引き続いて各課題ごとの「見直しの方向性」を示し、そして最後にそれに対応した「具体的改善方策」を枠でくくって提示するという形にして、一体、現状の何を問題とし、何をどのように変えようとしているのか、これをわかりやすく示すように努めました。
  それぞれの章の内容について簡単に申し上げます。
  まず、「はじめに」のところでございますが、ここでは心の教育の充実、そして個性を尊重した教育の実現等を目指した教育改革を実現していくためには、各地域や学校がそれぞれ創意工夫を凝らして特色ある教育活動を展開することが重要である。そのためには、地方教育行政制度の改善を図ることが不可欠である。これを基本的な考え方として示してございます。そして、改革の視点、方向性について紹介をいたしました。また、「はじめに」のところで、この答申の提言を踏まえて、教育委員会、そして学校等が積極的な対応をしていただくことを求めるとともに、国民に対しても地方教育行政への参画・支援を要請する旨、記述を行いました。
  次に、「第1章」でございます。ここは「教育行政における国、都道府県及び市町村の役割分担の在り方について」のところですが、これは中間報告から基本的な記述内容に変更はございませんが、事項、構成を若干整理いたしてございます。
  それから、「第2章  教育委員会制度の在り方について」も、中間報告から基本的な記述内容に変更はございませんが、教育委員、教育長、事務局、地域住民との関係の順に再構成いたしました。
  「第3章」でございます。ここは「学校の自主性・自律性の確立について」のところですが、ここでは中間報告以降の審議を踏まえまして、学校管理規則の見直しなど教育委員会と学校の関係の見直し、人事・予算等に関する学校裁量権限の拡大、校長・教頭への適材確保と教職員の資質向上、学校運営組織の見直し、さらに学校事務・業務の効率化、それから学校評議員制度の導入による地域住民の学校運営への参画などについて、具体的改善方策を追加して記述いたしました。
  そして、「第4章」。ここでは、「地域の教育機能の向上と地域コミュニティの育成及び地域振興に教育委員会の果たすべき役割について」のところでございますが、ここでも中間報告以降の審議を踏まえまして、大事な点は、やはり地域の教育機能を向上させることだという観点から、そのことへの教育委員会の果たすべき役割について記述を充実させました。そして、そのことに関連する具体的改善方策を追加して記述をいたしました。それに伴って、章名も変更をしてございます。
  なお、特に小委員会における審議やヒアリング等において、学級編制や教職員定数の問題について意見が多く寄せられました。そのことから、これらの問題について、「第1章」及び「第3章」において、それぞれ関連する項目の中で記述を書き分けております。例えば、地方公共団体の裁量に基づく学級編制及び教職員配置の弾力的な運用、それから小・中学校における教職員定数を用いた非常勤講師の配置などを新たに盛り込みました。
  以上が全体についての私からの報告でございますが、詳細について事務局から報告をしてもらいます。

<事務局より説明>

〔有馬文部大臣出席〕

○  それでは、審議中でございますけれども、大臣が大変お忙しいところをいらっしゃいましたので、ぜひ一言承りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○有馬文部大臣  皆さんこんにちは。懐かしいお顔が並んでおられまして、何とかそっちのほうへ並びたくなりましたけれども、大臣を拝命いたしましてから、中央教育審議会に出席いたしますのが、きょう初めてでございますので、御挨拶を申し上げます。
  委員の皆様方、専門委員の皆様方におかれましては、今後の地方教育行政の在り方という大変重要なテーマについて、精力的に御審議をくださいましてありがとうございます。深く感謝を申し上げます。
  本日は、答申に向けて、答申の最終段階と伺っておりますが、今後の地方教育行政の在り方は大変重要な、現在進めております教育改革の成否にかかわるものでございますので、ぜひともすばらしい御答申をおつくりいただくことをお願いいたしております。
  大変お忙しいところを、皆様方御尽力を賜っておりますことに対しまして、心より感謝を申し上げます。どうもありがとうございます。

<事務局より引き続き説明>

○  それでは、ただいまの説明をベースに、これから御審議を賜りたいと思いますが、その前にちょっとお断りしておきたいのは、御案内のとおりに、これまでもかなり各方面の意見を聞きながら、精力的に審議をしてきておりますので、この答申案の本筋は変えない。しかしながら、いろいろ御意見もあるかと思いますので、それをきょう最後に承りまして、それを受けて若干の手直しをするということで、その辺の取りまとめは座長と私にお任せいただきまして進めたいと、このように思っております。

○  今まで本文、それからまえがきについても意見を述べてきましたし、また大筋において多くの委員の意見も入っていますし、それからこの地方教育行政というのは法律にかかわりますんで、どうしてもわかりにくいということがありましたけれども、非常にわかりやすくまとめられ、一般の人たちにも見やすくなっているのではないかという感じで、印象ぐらいであります。
  一つだけ、さっきの「はじめに」の第4パラグラフの「教育課程の基準の大綱化・弾力化、学級編制や教職員配置の弾力化などの見直し」と、このようにパッと読んじゃいますと、何か大綱化・弾力化することを見直すのかというふうに読み取れますので、弾力化そのものは別に見直す必要がないので、「弾力化を図るなど……」どうこうというふうな、そのようにしておいたほうがいいのではないかという気がしました。

○  今日に至るまで専門委員としていろいろ議論に加わらせていただきまして、最終局面に参っております。その過程でいろいろ意見を申し述べさせていただきまして、何も申し上げることはございません。
  ただ、地方教育行政を現場で担っております私からすれば、これまでの地方教育行政で課題でありました部分が、かなりの部分で明るく展望観の開けるような答申になったと私は思っております。あとは法令化、あるいは制度化、あるいは運用化がいろいろ図られるということになるんだろうと思いますが、まずは地方の教育行政を担っておる私どももそうでありますが、学校や市民、国民がこのねらっておるところを十分早くそしゃくして、具体化に向けて21世紀の教育を展望していきたいと思っております。

○  何回かずっと審議において私見を述べさせていただきまして、それに対しまして慎重に表現などを検討していただき、大変ありがとうございました。
  筋としては賛成なんですが、一つ、学校の通学区の選択権の拡大ということで、前々回にお話をしたわけですが、この辺、今回の表現上、「保護者や住民の方の意向を配慮」ということで、それをどのように学校や行政の方、教育委員会が吸い上げるのかということがあるんです。ここの表現で、さらにここではそれを返すように、「教育の機会均等に留意しつつ」ということで、少しやんわりとした方向で書いてあるわけですが、その辺、どのように機会均等に留意するのか。
  実際問題として、机上の空論というか、頭ではさほど今までの学区に対しまして、小・中学校だから保護者の意見も大きく変わりはないのではないかという気持ちもするわけですが、今後、21世紀に向けたということで、学校の特色、地域の特色を生かして云々なんていうことで、少しずつやっていった場合に、公立学校でも若干の差が出てきたときに、今後ですけれども、そのような問題も少し含まれてくるのかなというのが私の考えで、今の時点では何とも言えないんですが、危惧されるというか、ちょっと不安だなという部分があります。
  あとはずっとこの調子で、自主性・主体性ということで、学校現場としましてもかなり大変だなという気持ちもあるんですが、やらなきゃならないのかなと感じております。

○  その辺は非常に大事な問題で、この前も私は相当ラジカルに、いっそのこと撤廃してしまえということを申し上げましたけれども、文部省当局は今ご指摘のような点についてどういうお考えですか。

○事務局  現在も通学区域の弾力化の問題につきましては、いじめ等の問題に絡めまして、文部省としても個別場面に即しまして、どういう具体的な弾力的な措置が行われているかということにつきまして、各市町村の具体的な事例集まで編集いたしまして、個々のケースに即して子どもや保護者の方々の要望を聞きながら、適切に教育上の対処をするようにということで指導しておりますし、またそういった形での通知も出してございます。
  今回のこの答申の考え方も、今まで文部省が進めておりました考え方について、中教審でもいろんな先生方の御指摘がございまして、今、委員が御指摘のように、これがあまり極端に進むことに対する危惧感も現場の方々はございますし、反対にラジカルにやるべきだという御意見もございましたので、まさに御指摘のように、多少そこは両方に目配せしたような文章になりました。結果としては、私どもこの通学区域の問題は、基本的には今日まで各市町村の教育委員会が学校設置者として最終的に決めるという現行法制がございますので、その法制の中で、あまりにも厳しいものを少し緩めたらどうかという指導もしてまいりました。
  最終的にこの答申の線も、それぞれの市町村の判断で、地域の実態に即して、そしてまた保護者や子どものニーズを一つ一つくみ上げてということに尽きる。そういった意味では、たぶん地域によって、日本全国、運用についてはだいぶ差が出てくるという方向になるんではなかろうか。まさに今回の中教審全体のお考えもそういうところにある。その中で一番いいものが地域の中で残っていくというようなことで考えさせていただければ、今日まで文部省が進めてまいりました考え方と、口はばったいようですが、そう大差はないのではないだろうかというぐあいに受けとめております。

○  今まで参加させていただいていろいろと意見も述べさせていただいてまいりまして、今の学区の問題もそうでありますけれども、随分委員の方々の間でもいろいろな意見のあるところを非常に巧みにまとめていただいて、こういう形にまとまったことを大変うれしく思っております。
  今までですと、結局、教育の機会均等というところが非常に重視されておりましたから、どこの学校へ行っても同じはずだから、学区できちっと決めてもいいんだよということだったわけでありますが、これからそれぞれの学校が自主性・自律性を発揮して、それぞれ違うものになっていくということになったときには、もっと競争場面というのができてきて、父母の意向あるいは子どもの意向による選択ということが広がっていかざるを得ないんだろうと思うんです。今のところは、しかしまだ、自主性を動かしていくところの出発点でありますから、今回のはかなり玉虫色の答申のような形になろうかと思うんでありますけれども、そのあたりのところなんだろう。これが到達点ではなくて、ここが出発点で、ここから動いていって、また何年か先にはもう少し違った形のものに移行していくということになるのではないか。そういう意味での今の時点での出発点をつくることができたということに加わらせていただいたことを非常にうれしく思っております。
  一つだけお願いを申し上げておきたいのでありますけれども、答申がまとまりまして、大臣にお渡ししました後で、恐らく印刷をされて、広く配布されていくということになるんだろうと思うんでありますけれども、法律に関係することでありますので、これだけでは専門家でないとなかなか読めないところがございます。例えば、地方教育行政何とか法の第何条と書いてあっても、何が書いてあるのかよくわからない。六法全書を持ってこないとこれが読めないというのでは、やっぱりぐあいが悪いだろうと思いますので、これの巻末にでも関係した条文を引いておいていただきたいと思います。これだけで読めるような形のものをぜひつくっていただきたいということを、一つお願いをいたしておきたいと思います。

○  基本的には大変結構だと思っております。一つだけ形式的なことで、前回の小委員会でも質問を申し上げたままの点ですけれども、「はじめに」の第2パラグラフのところで、「幼児期からの心の教育の在り方について」の答申と第一次答申との間に第二次答申を入れておいたほうが、後の文章のつながりでもそこのところが書かれておりますので、第二次答申の内容は触れてありますけれども、それ自体について、この中で文言をやっぱり入れる必要があるのではないかと思っているわけです。
  例えば、メモ書きであれですけれども、「第二次答申では、形式的平等主義から個性尊重の教育への転換を目指し、子どもの個性を生かす教育の一層の進展を図る視点から、入試制度や中高一貫教育を初めとする学校制度の改革を提言した。これらの学校制度の改革を展開し、特色ある学校づくりを図る上で、地方教育行政の果たす役割は大きいものがある」と。特に入試の問題とか、中高一貫をどうするかというのは、地方教育行政の考え方次第と申しますか、非常に大きな意味を持っているのではないかということで、ここのところに第二次答申について若干触れる必要があるのではないかと思いました。
  あと第4パラグラフの「(2) 」に、「子どもの生活行動環境」という大変難しい言葉がありますけれども、ほかのところでは「子どもの生活の場」という言葉が使われたりしておりますので、なるべくやわらかい言葉で、「子どもの生活の場を整備し」とか、「子どもの生活の環境を整備し」ぐらいでよろしいのではないか。

○  「21世紀に向けた地方教育行政の在り方に関する調査研究協力者会議」から含めると1年半くらい、地方教育行政改革でいろいろ審議に加わらせてもらって、大体言いたいことは全部言わさせていただいたという満足感もありますので、この場では特別に言うことはありません。
  全体としては、教育改革については、様々な異なる意見や論点があるのは当然でして、そうしたいろんな意見とか論点にいろいろな配慮をされて、よくここまでまとめ上げていただいたなと、座長並びに事務局関係者の多大な御苦労に敬意を表したいと思っています。
  今回の中教審の意義という点では、基本的には教育課程審議会とか、教養審とか、生涯学習審議会など、教育改革が全体として今動いているわけですけれども、その中でも特に学校や教育制度ないしは教職員の活動を支え機能させる行財政システムを見直すという点では、これまでの改革の中でも極めて特徴のある、つまりそうした教育行財政システムの見直しを全体の改革の中に位置づけているという点では、これまでの改革の中ではないような特徴を持ったものだと思います。恐らくこれが21日の総会に提出された以降、賛成・反対も含めて、いろんな意味で強い関心を呼ぶのではないかと思っております。そういう点では、これを踏まえた来年度の通常国会における具体的な法改正作業を、非常に期待と楽しみを持って見守っていきたいと思っています。

○  一言感謝を申し上げたいと思います。私のささやかな意見を随所に取り入れていただいて、大変ありがたく御礼を申し上げますし、大変勉強もさせていただきました。
  いろんなことがございますし、これがスタートかと思いますが、ポイントは地方分権、すなわち地域主権、そしてそれには責任を伴う。このあたりもまとめの文章の中にきちっと明記をしていただいておりますし、加えて「はじめに」の最後に、これは狭義の教育関係者のみならず、全国民が保護者や地域住民として積極的にコミットすべきであるということを求めている文章で締めくくられているというところが、大変大きなポイントではなかろうかと思います。
  しかしながら、実際の意識についてはなかなか追いついていないというのも一方で現状でございまして、これから道のりは遠いかもしれませんけれども、これを具体的にどう広げ、それぞれの地域で実践をしていくかということがポイントでございますし、特に小・中・高の子どもたちを持つ親の年代、すなわち30代を中心とした全国各地の保護者であり地域住民が、これをどのように理解し、実践していくかということが大事なポイントだろうと思います。
  その点から、実は私が数年前に会頭を務めておりまし日本青年会議所では、来年、教育の問題を全国のメインテーマに掲げまして、北海道から沖縄まで、教育の問題を啓蒙しようということで、既に方針に織り込み、準備を進めているところでございますし、私自身も積極的にコミットしてまいりたいと思っております。
  したがって、この取りまとめについて、これ以上私のほうからこれを加えるというような御意見はございません。
  最後に一つだけ、実は前々回でございましたか、根本会長の小委員会での最後の御挨拶の中で、私、大変感動深く拝聴させていただいたことがございます。それは子どもたちに働く尊さと喜びをもっと積極的に教えるべきであり、かつ地域におけるエンプロイアビリティーを高めることが大変大事な問題であると。このお話を、来年の日本JCの会頭に話しましたら、まさに教育を通じて地域を活性化し、あすの日本をつくっていくという考え方にふさわしいコンセプトをいただいたということでございまして、この答申とは別でございますけれども、そのような根本会長のお考えを何らかの形で、全国に発信するようなことがあることを心から期待をいたしております。

○  これまで参加をさせていただき、またいろいろ御意見をいただき、また私どもの考えも取り入れていただいたことを大変感謝しております。
  私どもとしては、学校にボールが投げられたと思っております。これからその投げられたボールをうまくミットにおさめて、子どもたちの指導に反映していきたいと思っております。先ほどお話にもありましたが、教育の機会均等という観点の中で、全国一律にすることは難しい面もあるとは思うんですけれども、制度的な改正の中で、少しずつやれるところから制度は手をつけていただきたいと思いますし、私ども学校としてもやれるところから、学校の特色づくり、特色ある教育活動を展開していきたいと思っております。
  特に「国の役割及び国と地方公共団体との関係の見直し」の中で、教職員の配置等についても、かなり踏み込んで言っていただいております。実は先日、ある島のほうへ校長会で訪問してきまして、やはりあそこでは人材を確保することが大変難しい。都内から呼ぶには、手当、交通費等の問題がある。そうしたときに、ぜひ校種を超えた教員が非常勤講師という形になるかどうかわかりませんけれども、そんな具体的な面でもお互いに交流ができるようにというような強い要望もございました。
  昨日もある地方で会がございまして、やはりそこでも様々な地域、大都市もあれば、小さな村もありますけれども、そういうときの教員の人材確保という点で、いろいろと制度的に今後工夫をしていただければ大変幸いでございます。

○  私も地方教育行政に関する小委員会にずっと所属しておりましたから、意見といいますか、主張それ自体は言い尽くしたという感はあるんですけれども、基本的には先ほどからいろいろありますように、教育改革をめぐっての考え方の若干の相違あるいは論点の違いがあって、時に意見が対立するような場面もありましたけれども、全体としてはそういう状況の中で、うまくまとめ上げられたということで、前回の小委員会でもそのような趣旨を申し上げました。
  ただ、一、二、個人的にはどうしても不満足な点がまだ残っていますけれども、全体としては27回も小委員会を重ねてきておりますから、そのこと自体については、この段階であれこれ言うことは差し控えます。
  きょう最終的に示された「はじめに」の部分と、骨子の分で、二、三御意見を申し上げておきたいと思います。
  一つは、「はじめに」の部分で、第8パラグラフで、たしか前回配られた「はじめに」の部分とちょっと変わっているのは、そこの一番末尾ですが、前回は「教職員配置の改善や学級編制の在り方など教育条件の整備充実……が不可欠である」という表現であったと思います。このことについては、基本的に皆さんも特に御意見がなくて、これはもっと強く、とにかく、会長の記者会見等でも言ってもらいたいということで、そういう積極的な意見があったんですが、「十分配慮することが必要である」というふうに、受けとめ方によってはちょっとアクセントが弱くなっているという感があります。どういう理由でこのように、特に意見がなかったのに変えられたのかというのが、私にとっては不満であります。
  それから、「はじめに」の中で、学校の自主性・自律性の確保ということは、これまでの臨時教育審議会等、教育委員会の活性化ということではいろんな提言がありましたが、あれも法律改正が廃案になっておりますから、全体として単に教育委員会の活性化だけでなくて、学校の自主性・自律性の確保  ―もちろん自己決定・自己責任ということを含めた上で、そのようにやっていくということはいいんですけれども、ただ、文章上の問題ですからあれですが、第6パラグラフの「(1)   」で、「特色ある学校づくりの実現のためには、人事や予算に関する学校の裁量権限を拡大」、これももちろん必要なんですが、本当に地域に開かれた特色ある学校づくりを実現するためには、教育課程が今度変わりますし、「総合的な学習の時間」とか、選択履修の拡大ということがありますから、どうしても教育課程上、学校が特色のあるカリキュラムをつくることが非常に大事になってくる。単に人事や予算で裁量権が拡大されるというのではなくて、学習指導要領が大綱化・弾力化される中で、学校がいかに創意工夫を凝らすかということが特色ある学校づくりにつながっていくので、その辺のことを書き加えたほうが、本当の意味でよくわかるのではないかということがあります。
  もう1点、骨子の文案の「学校運営組織の見直し」のところについて、基本的には私は若干意見の異なる部分があるんですけれども、主任制の在り方についてもこういう案で全体が決めるということについては、私も問題は持ちながらも、ここのところがギリギリの線かなということで意見を申し上げたんですが、「その在り方を抜本的に検討。」というところまでは具体的改善方策の中に載っているから、何もあえて申しませんが、「主任等の処遇の在り方についても検討。」というのは、いろんな議論の中で、本文の一番末尾に挙げて整理をしたという経緯があるので、なぜあえてこういうところにポッと行を出されたのか、どうも文案とりまとめの本意がわからないので、このことについては再検討してもらいたいということで、あえて苦言を呈しておきたいと思います。

○事務局  「はじめに」の第8パラグラフでございますが、「整備充実に十分配慮することが必要」というのは、基本的には本文の表現と合わせたということでございます。
  それから、骨子につきましては、今御意見を拝聴したわけでございますが、事務局としては、具体的改善方策だけの整理ではなくて、例えば校長や教職員の処遇の改善というのを上のほうで実は入れておりますので、そんな関連でこの部分もつけ加えたということでございます。これは十分また検討させていただきます。よろしいでしょうか。

○  ええ。後段の部分は検討するということですから。

○  何か二、三不満があるけれども、言わないとおっしゃるけれども、ここは……

○  前回、議事録に残るということで、座長のほうでまとめていただいたので。

○  私も小委員会からかかわっておりましたので、議論はこの間、大変エキサイティングでございました。規制緩和、地方分権をする。ようやくこの流れの中で、民の目線に合ってきた報告書になったかと思います。何より教育というのは経済社会の基盤でございますので、とにかくそこをもう少し政治のレベルでも、これからこの法令等の改正ということで、大臣に頑張っていただくことになるんでしょうけれども、もう少し関心が増えればいいと思っておりますので、この答申が出れば、恐らく国民の関心を引くだろうと思います。
  教育に関心を持つということは、住民参画という問題がございますけれども、コミュニティのことにサラリーマンが関心を持つということなんですね。これは会長も経済界の方でいらっしゃいますけれども、しかるべき企業で責任を果たす方は、やはり地域の問題にもきちっと責任を果たしていただくというきっかけで、大いに学校評議員にも参画していただきたいということを希望するわけです。
  もう一つは、学校が自主・自律、地域のニーズに合わせて個性的にということは、教育課程の中の総合学習をどうするかというところも、もちろん工夫があるんでしょうけれども、何よりも教員が生き生きとして教えられるような環境になることが重要でございまして、目的の課題は恐らく教育課程審議会の答申による学習指導要領で出てくるでありましょうから、それをどのように教えるかというのは、もうちょっと先生方が自分が生き生きとして教えられるような自由さというのがあっていいかなと思います。
  先般、御意見もちょっと出たんでございますけれども、この次にもし議論することになれば、これが第一歩だと思いますけれども、検定教科書という中で教えるのか、それともこれは大丈夫というような教材センターを整備して、確かな教材をもっと幅広く出していくのか、このあたりが第2弾かなという感じがいたします。

○  教育行政の問題が今まで直接議論の対象に取り上げられてこなかったように感じておりました。しかし、教育制度についての最重要事項として、常に関心を持っておりました。残念ながら私は幼児期からの心の教育に関する小委員会所属とされましたので、発言の機会がございませんでしたが、今回審議過程の印刷物を送っていただきまして一通り勉強させていただきました。
  教育を具体化していくためには、どうしても行政とは不可分の関係にあるわけでございます。関連法文までは載っておりませんでしたが、各項目毎に具体的な法令を指定しておられる記述は当然ながら、御議論が集約されている感じを得まして、従来からすると大変な進歩と理解をさせていただきました。
  全然別の話と言う訳ではないのですが、前会長、有馬先生が文部大臣になられまして、具体的なお力添えも頂戴できるわけですので、私共の審議会の結論は、実現に向けて強くプッシュされることは間違いないと委員全員が期待しております。実は、新聞の一面に文部大臣の記者会見でのお言葉として、公平と平等を見直すという大見出しになっておりました。短絡した考え方をする人もおりまして、私が委員になっているのを知る同僚から、かなり右よりの政策をとるという表明なのかという問い合わせをなさった方がありまして、びっくりしました。実はその日、私はちょっと所用がございまして、朝、新聞を読まなかったのです。心配で早速よく読みますと、御趣旨は非常にもっともで、よく理解できる内容でしたので、言いわけは私が代理でだいぶ説明させて頂いたわけでございます(笑)。
  余計なことをちょっと申し上げましたけれども、いずれにしても、具体的に推進するための努力というのは規制の方向が変わるということでもありますし、これから新しい問題として、教育行政の具体的運営をどう良くしていくかについて、苦しい努力が始まるという認識が大切であると思います。ぜひ明るい、希望に燃える新しい理想を意識した国つくり、教育環境づくりを具体化したい、と皆さんがお考えでございます。充分に勉強させていただきましたおかげでご討論の集約がよく理解できまして、ご担当委員の皆様方の御尽力によりここまでまとめていただけたことに感謝申し上げる次第です。

○  答申文でございますが、私は地方教育行政に関する小委員会の一人として審議に参加させていただいていますので、意見としては十分申し上げておりますので、特別これ以上ということはございません。
  率直に言って、いろんな意見の方、いろんな団体の違った方面からの意見も踏まえて仕上げるという作業でございますので、100%というわけにはいかないと思いますが、この内容は大変よくできている、うまくまとめられたなというのが率直な感じでございます。これをそのまま公表していただくことで、私はいいと思っております。
  ただ、今までの流れで、現場の対応が、率直に言って、本当は地方教育行政の審議内容が一番重要なことですが、先ほどもお話があったように、現場はこれに関心を持つというよりは、むしろ教育課程のほうに非常に関心があるというのが、率直な状況です。
  マスコミ的に言うと、この答申は変化の始まりを示しただけであって、これが内実を持つかどうかは、これからの地域の、あるいは一人一人の子を持つ親、あるいは住民の意識と行動にかかわっているということをいろんな機会におっしゃっていく必要があるのではないか。会長、また文部大臣としての前会長先生に、その点はよくよくおっしゃっていただいて、ここから始まるんだということをおっしゃっていただく必要があるのではないかと率直に思っております。そうでないと、なかなかこれは実を結ぶところまでは進んでいかないような気がいたします。文部大臣への答申としては大変いいものができたという感じで、私は個人的にはこれにかかわらせていただいて大変満足をしております。そんな感想でございます。ありがとうございました。

○  私も同様に、大変よくまとめていただいたと思います。特に何が問題かとか、何を変えるかとか、どう変えるかということが、大変明確に書き分けられたり書き込まれたりしていると思います。中には非常に上手に書かれた内容のところもございますけれども、私もこちらの小委員会に属させていただきまして、いろいろ勉強させていただいたり、いろいろ申し上げたことを随分取り入れていただいて、この書き物のままで出していただいて結構だと思います。
  特に「はじめに」の第9パラグラフで、先ほども御指摘がありましたように、地方の方々の積極的な参画ということも触れていただいたので、大変満足しております。
  もしできることでしたら、会長の談話あたりでお触れいただければありがたいなと思うことがあるんですが、これはイメージからしますと、国、教育委員会、学校というふうに縦の関係  ―実際は横の関係をいろいろ書いてあるんですけれども、縦の関係のイメージが強いんです。横の関係というのは面が広がるということですので、国、それから都道府県、指定都市を入れて60幾つかになって、それから学校に行くと4万何千というふうに、面の広がりになっている。面の広がりということで、規制緩和ということは各地域が工夫を凝らして、特色を生かせるんだと。縦のイメージが強くなって、各地域が特色を生かして競い合うんだというイメージが少し隠される感じがありますので。そうした個々の地域、地域で、学校を中心にして特色を生かす工夫を凝らして、なおかつそれに対して学校や地域が責任を持って個性を生かしてほしいというようなことが、文章には書いてあるんですけれども、談話あたりでお触れ願うことが可能ならばありがたいと思っております。

○  私もこのままで公表してよいと思います。いろいろな大きな変化の始まりという言葉が再三出ておりますけれども、私もそう思っておりまして、特に「はじめに」の第8・9パラグラフというのは、これからどうするかということに大きな問題を出していると思います。いろいろな御意見の方がおられると思いますけれども、物事を変えるというときには、なかなか人間は変らないものであります。ただ、私は、先ほど会長がおっしゃったような学校選択の問題など、一挙に野放しにしますとかなり混乱も予想される問題ですけれども、改革というのは革命ではございませんから、魂は非常にラジカルで、しかし実現に当たっては一歩一歩進めていくことが大事であろうと思われます。特に第8・9パラグラフを書いていただいたことで、それを着実に粘り強く進めていくことが今後の課題かと思っております。

○  心の教育に関する答申が出ましてから、10を超える教育委員会のほうからお話がございまして、懇談に行ったり講演に参りました。その機会に、教育委員会の皆様方、それからフロントにいる先生と直接お話をする機会を持つことができました。私が受けました強い印象は、先生方が教育委員会というものに非常に縛られているのではないかということです。逆に当てにしているところもあるんですね。その意味で、学校あるいは先生方の自主性、自由裁量権を増すことは非常に重要なことではないかと思います。今回の答申は大きなインパクトを与えるに違いないと考えております。
  私ども幼児期からの心の教育の在り方に関する小委員会で、ある地方の中学校を訪れまして、先生方が非常に頑張って、困難校を普通の学校にされた状況を見てまいりました。その後、二度ほどそちらの方面に行くチャンスがありまして、一般の方に印象を伺ってみました。先生方が非常に頑張ったということを、ほとんどの方が言っておられました。それはいろんな工夫をしたからだという評価でありました。先生方がいろんな工夫ができるような環境を整えていくことが、日本にとって今一番求められていることではないかという印象を持っております。

○  読ませていただいた印象から言いますと、変化の哲学の香りが全体から立ちのぼってきているというのが印象でございます。
  細かいところまでよく書かれたところ、例えば教育委員の選び方とか、定員の話とか、そういうところと、先ほどのどなたかの表現ですと、非常にうまく文章を書かれた  ―うまくない表現を使うと、中身についてこれは一体何なんだろうかと思うところとまざっているという気がいたします。たぶんまざっているというところは、先ほど来玉虫色とか、変化の始まりとか、そういう言葉で表現されるような実態があって、そういうことになったのかなというふうに拝見いたしました。
  先ほど、心はラジカルに、実施は穏やかにではなかったですけれども、地道にという話がございまして、それもよくわかりますけれども、日々ものすごく事態が変化している世界に身を置いている人間の一人として申し上げれば、来世紀の日本ということを考えますと、発想もラジカルに、それから実施もかなりラジカルにということが、今、望まれているのではないかという気が私としてはいたしております。
  そういう意味で、実は質問は、方向性は本当にいいと思うんですけれども、これ全体が一体どういうタイミングで実施に移されていくことになるかということについて教えていただきたいというのが第1点です。
  第2点目のもう一つの質問は、骨子の「(3) 教育委員会と首長部局、関係機関・団体等との関係」のところに「私立学校に対し教育委員会が積極的に情報を提供し」というところの、一番最後のところに「私立学校の経営手法や教育実践を公立学校において活用できるようにする。」ということが書いてありまして、これは私なりのイメージを描きますと、非常にいいことだと思いますけれども、どういうようなことをこの中身として考えていらっしゃるのかということを教えていただきたいと思います。

○事務局  基本的に言いますと、様々私立の学校で行わている経営手法、あるいは様々な新しい試み、そういったものを情報という形で  ―公立学校としては直接そういったことになかなか触れる機会もございませんから、逆に教育委員会においていろいろな実践の資料、あるいは記録をデータベースに蓄積して、そういったことが例えば公立学校において自由にできるようにするとか、あるいは逆に直接、例えばいろんな意味で私立学校の方に来ていただいて、そういったことについてお話をいただくとか、様々な方法があろうかと考えております。もう一つ御質問の、この答申をいただきまして、どういうスケジュールで行政的な施策を推進していくかということにつきましては、答申をいただいた後、大臣とも十分お話を申し上げて、御指示を受けながらということになろうかと思いますけれども、例えばごく概括的に申し上げますと、答申文案の骨子のほうを御参考にしていただきますと、「地教行法」ということで、「(2)   」のところに幾つかございます。この地方教育行政法に関係します教育委員会、あるいは国と地方との役割分担、これらの規定につきましては、次期通常国会におきまして、国全体として地方分権推進のための自治法等の法律改正が予定されております。したがいまして、私どももこの御答申をいただきましたら、地方分権推進全体の政府としての法律の一環として、地方教育行政法独自に御審議をいただく。そのための準備作業に直ちに入らせていただきたいと思っております。具体的には、来年、年が明けまして3月、4月ぐらいに国会にお出しをするということになろうかと思います。
  もう一つ、「義務標準法」及び「高校標準法」という規定がございます。これにつきましては、ここで御審議いただきました事項は、いわば学級編制あるいは定数の制度についての枠組みを御議論いただいたところでございます。実は現在、定数改善計画につきまして進めております計画が、本来は本年度をもって完成するということで進んでまいりましたけれども、財政構造改革法によりまして、あと2年、平成12年度まで2年間延長することになりました。
  従来、この標準法につきましては、昭和30年代以来、義務については6次、高校については5次の計画的な改善を行っておりまして、いずれも内容を伴う改正をしてきてございます。したがいまして、今の状況の中で、現在、定数改善計画が進んでいて、次の状況が見えないということの中で、枠組みだけを直ちに国会で御審議いただくという場合に、国会、各方面の御理解が得られるかどうか。あるいは、それでは先寄せて新しい中身を含めてということになりますと、これは今の財政構造改革法のもとではちょっと政府部内としては難しいということがございますので、歯切れが悪うございますけれども、私どもとしてはこれは中身とあわせてタイミングを見て、できるだけ次期改善計画ということを立てることができますれば、個人的には平成12年度以降に直ちに着手できるような準備をさせていただきたいと思っております。
  あと大きな事項といたしましては、学校の組織運営の問題、それから校長や教頭への任用資格の問題、これらにつきましては、一つには地方教育行政法の法律とあわせて、全体としての枠組みが決まった中でやっていくということが流れとしては考えられます。また、特に学校の組織運営の見直しにつきましては、現場におきましても現実に様々な問題があるところでございますし、御答申をいただいた後、玉虫色という御指摘もございましたように、現場の中で、具体的にどうするかということにつきまして、必ずしも十分なコンセンサスがまだ整っていないというのが、私どもヒアリング等を通じての印象でございますので、地方教育行政法の審議まで、あるいはその後も含めまして、その実施までの間、いま少し現場、校長会あるいは職員団体、教育委員会関係者等を含めまして、具体的な中身について、これは現場の問題として御議論させていただく。その中で、具体的な在り方をつくらせていただく時間を少しいただく。それらも含めまして、でき得れば地方教育行政法が施行される時期に合わせてできればいいのかなと。これは私の個人的な感想も含めておりますけれども、そういった制度改正面では、三つの事項についてそれぞれのタイミングがあろうかと思っております。
  それ以外の現行制度の運用、例えば学級編制自体ではなくて、定数自身の運用の問題、あるいは小・中・高等学校の教職員の兼務の問題、そういったような問題につきましては、答申を受けた後、直ちにそれぞれの都道府県、市町村で、具体的に現行制度の運用ということで取り組んでいただける部分がたくさんございますので、これらにつきましては、それぞれの事項ごとに私ども趣旨徹底を図りながら、各団体の皆様方に御理解いただいて、直ちに取り組んでいただく。
  大ざっぱにはそういうことを考えてございますけれども、これも答申をいただきます時点では、教育関係者、あるいは国民の皆さん方に、今後の具体的な施策の段取りがわかるような資料等もお示しをする必要があろうかと思っておりますので、会長、座長のご指示もと、工夫をさせていただきたいと思います。

○  いろいろと皆様のお話を聞いておりまして、私としては大変勉強になりました。そして、今後の地方教育行政の在り方について大臣からの御諮問があり、今後それが充実されていくのだろうと思うのでありますが、その場合に、学校や地域社会に説明するとか、あるいは意見を聞くということも必要ではないかと思います。
  なお、「はじめに」は今度整理されて、パラグラフ毎に表題がついて、わかりやすくなってくるのだと思いますけれども、これはまだ検討中の文章であろうかと思いますので、今申しましたように整理された内容で、「1」「2」「3」の内容をもっと分かりやすくしていただくことも大切ではないかと思われます。

○  中間報告のときから見ましたら、座長初め、多くの方々の御努力によりまして、本当にわかりやすくなったなと思っております。
  前回欠席しましたので、資料を送っていただきまして読ませていただきましたんですけれども、「はじめに」の第3パラグラフに「子どもの[生きる力]をはぐくむためには」という文章があるんですけれども、この中で、上から5行目の終わりから「子ども会やスポーツ少年団」というような団体の個々の名前が入っているんですが、本文のほうではそういうものはなるべく削除するような形でいっているかと思いますので、ここでも社会教育団体、社会教育施設という呼び方で統一していただければ、私はありがたいと思います。
  それから、私、自分で読んでいたときには気がつかなかったんですけれども、先ほど朗読しているのを聞いていまして、「はじめに」の第1パラグラフに「現地調査等を実施しつつ審議を重ね」、その数行下にまた「意見に耳を傾けつつ慎重に審議を進め」とありまして、この「つつ」というのが、私だけかもしれませんけれども、耳に「つつ」「つつ」というのが残ったので、この辺、違和感を感じたので言わせてもらいます。
  それから、何人かの委員からもお話が出ているんですけれども、学校選択の規制緩和ということで、会長のほうからもお話がありました。私、地方教育行政の在り方についてというのは、それぞれの地方の教育委員会、そして学校、主にその辺について多く書かれているんですが、それにかかわる親とか、地域住民にどうすれば関心を持たせられるかということについて、やはり学校選択を親にやらせることによって、親の目がこちらのほうに随分向いてくるのではないかと思っている一人です。ただ、先ほども意見にありましたように、大きな改革は非常な混乱を来すと思います。ただ、今のような教育委員会から「あなたの子どもさんの学校はここです」という言われ方でなくて、自分で書いて提出するようなことだけでも随分と意識が変わってくるのではないかと思いますので、どこかにそんなことを申し上げるところがあったら言ってほしいなと思っております。

○  委員の皆さんがいろいろお話しされましたので、私は重ねて申し上げることは控えますが、今回の答申は、日本の50年の戦後の教育改革の中で、新しい第一歩であるということを痛感しております。大変大事な第一歩をまた踏み出すことになったと思います。
  そこで、その第一歩は実現しなければ改革になりません。そのことをどのようにこれから実現していくかということを、文部省にも、また今度は地方の行政主体に考えてもらわなければならないと思うんです。この答申の随所に言われていることは、子どもの[生きる力]をはぐくむためにこの改革をしている。それから、教育の質を高めるためにこの改革をやっている。同時に、教育行政に地域住民の参画・協力を求めることが必要だ。それから、多様化する住民のニーズに適切に対応することが必要だと言っているわけですが、教育ということの原点に立ち戻りますと、今私が読み上げましたような事柄の、もっと真ん中の心棒のところに、本当に責任を持って教育に当たる教育者そのもののリーダーシップがどれだけ発揮できるかということがあるように思うんです。ですから、ここで改めて、教育長たる人、あるいは校長先生たる方々が、すばらしい人格者が選ばれる仕組みが今度できたわけですから、その方々が大きなリーダーシップを持って、学校はこうあるべきだ、この学校はこういうふうにしていきましょうということをやっていけるような雰囲気ですね。それをどうやってつくるかを改めて、この答申を世に問う段階から考えてはどうかと思います。

○  私は、ただ立派な答申案をまとめ上げていただいたということ、その中で、非力な私を励まし、御協力いただいたこと、このことに感謝申し上げるばかりでございます。
  私は今回まとめ上げていただいた答申は、どなたか委員の方がおっしゃっていましたが、これは「これからの地方教育行政の在り方について」ということだけれども、実際は「これからの教育行政の在り方について」ということを問うたものだと、この言葉を思い起こします。戦後50年の流れの中で、私はこれは画期的な大改革の始まりだと思います。その意味で本当にありがとうございましたが、先ほどのどなたかの言葉をかりて言えば、ぜひそういう点からも、実施はラジカルにということを期待したいと思います。
  きょういただいたいろんな御意見はまた会長の御指示を仰ぎながら、事務局と検討させていただきたいと思います。

○  最後に私からちょっとコメントをしたいと思うんでございますけれども、口はばったい言い方でございますが、私、経済人で経済に携わっているわけでございますけれども、経済も政治もその究極の目標は道徳の実現にあるというのが、私の信条でございます。いかにして道徳を実現するか。そのための一つの手段として経済と政治があると思っております。そういう意味では、まさに教育こそ今問われているという実感を持っているわけでございます。
  そういった考え方の上で、これらの答申をずうっと見てまいりますと、皆さんの率直な御意見が反映されておって大変に結構だと思いますが、今回の答申は、家庭と地域社会と学校という三つのトライアングルがいかにきずなを強くして、それぞれの地域のクオリティーをハイクオリティーの地域にするか。つまり、家庭もハイクオリティー、それから学校もハイクオリティー、地域社会もハイクオリティー、これが日本が21世紀に目指すべき方向だと私は思っているわけでございます。
  その場合に、この答申の最後のほうに、地域の振興というような章が設けられておりますけれども、結局、地域がハイクオリティーにならなければ、忌まわしい事件は今後とも起きてくるわけですね。ですから、教育というものをそういったようなトライアングルの中で、いかにしてハイクオリティーなものにしていくかという視点が絶対に必要ではないかと思っております。
  その一環で、委員にも先ほど触れていただきましたけれども、学校とか、公民館という優れた施設、我が国においては交番と郵便局と学校というのは世界に誇るべきインターネットの拠点だと私は思っておりますけれども、学校ないしは公民館という施設を活用して、地域のエンプロイアビリティーを高めるということに寄与する。例えば、情報通信化で学校がこれからいろいろな意味で情報通信投資をして、子どもたちにそういうものを教えるということになれば、そういう施設はそれぞれの学校に十分にあるわけですから、それが空いているときに、週末か何かに父兄もそういったものに習熟するような講座を設けてあげるというようなことをやることによって、その人たちのエンプロイアビリティーを高めるとか、そういったものがどうしても必要ではないかと思います。最終的に私と座長とで取りまとめますけれども、そのエンプロイアビリティーというものが地域の振興につながっていくという視点で、もうちょっと触れていただきたいというのが私の感想でございます。
  それから、「生きる力」とか、あるいは「心の教育」という非常に立派なキーワードがあって、最近、これが流行になっているわけですが、この答申のキーワードを何か考えたほうがいいのではないかということが一つ。
  それから、最後に、どなたかが言っておられましたけれども、こういった立派な答申ができても、それがどういうふうになっちゃうのか。言うなれば、一種のウォッチドッグ・コミティーですね。番犬を置くというのもあれでございますけれども、いろいろな文教関係の答申がたくさん出てきている。そういったものを、例えば半年ごとにレビューして、委員の方に「こういうふうになっております」というような、レビューイングのシステムですね。これは民間企業でみんなやっているわけですから、そういったようなことをお考えいただいたらよろしいのではないか。
  そして、最後に、ぜひとも有馬文部大臣にテレビに出ていただきまして、教育についてのいろいろな御抱負なり、それから今こういうことをやっておるというようなことを、じかに国民に対してお話を賜りたいというのが、私の希望でございます。どうも大変失礼しました。
  それでは、大体これをもって本会を閉じさせていただきます。
  次回は、9月21日の月曜日、午後4時半から、このゴールドスタールームで開催いたします。それでは、どうもありがとうございました。

(大臣官房政策課)

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