審議会情報へ

中央教育審議会

 1998/3 議事録 
幼児期からの心の教育に関する小委員会 (第16回)議事録 

   幼児期からの心の教育に関する小委員会(第16回)

    議  事  録

    平成10年3月19日(木)  13:00〜15:00
    霞が関東京會舘  34階    ロイヤルルーム  


    1.開    会
    2.議    題
        幼児期からの心の教育の在り方について
    3.閉    会


    出    席    者

委員 専門委員 事務局
木村座長 油井専門委員 坂本審議官(生涯学習局担当)
高木委員 安藤専門委員 近藤審議官(初中教育局担当)
根本委員 猪股専門委員 富岡総務審議官
佐々木(光)専門委員 杉浦政策課長
里中専門委員 その他関係官
佐野専門委員
佐保田専門委員
シェパード専門委員
末吉専門委員
那須原専門委員
平山専門委員
牟田専門委員
山折専門委員
和田専門委員


○  それでは、幼児期からの心の教育に関する小委員会、第16回を開催させていただきます。本日は、お忙しい中、当会議に御参集いただきましてありがとうございました。それでは、まず配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

<事務局より説明>

○  それでは、早速でございますが、本日の議事に入らせていただきます。
  本日の議事は、中間報告の文案についてでございます。本小委員会では、過去3回にわたり中間報告の文案について審議をお願いし、修正をしてまいりました。その修正については、私に御一任いただいたところでございます。3月16日の総会では、過去3回の本小委員会での御意見等を踏まえまして、私の責任で修文を行った中間報告の文案をお示しし、御審議をいただきました。
  本日は、16日の総会でいただきました御意見も踏まえまして、中間報告の文案の修正を行っておりますので、それについて小委員会として最終的に確認の意味で御審議をお願いしたいと考えております。本日の審議を経まして、3月31日の総会で中央教育審議会として文部大臣に中間報告を提出することになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  それでは、私から文案の主な修正点について、説明させていただいた後、事務局のほうから読み上げをお願いいたします。
  それでは、まず全体のことでありますが、全体に重複する内容や冗長な部分があるという御指摘がございましたので、もう一度見直しまして、その辺の整理をいたしました。それから、添付資料ですが、前回もサンプル数とか、その辺について御議論がございましたので、慎重に添付資料を見直し、表現面等での改善を行っております。
  それから、総会で「教員」と「教師」という表現が混在しているというご意見がございましたので、原則として「教員」に統一をいたしました。ただ、いわば情感を込めて訴えかけるという部分、さらには熟語の部分、例えば「教師間暴力」、については、「教師」という表現は残してございます。
  それから、「家庭の在り方を問い直そう」のところでありますが、最初の提言の表題が「相互に思いやりのある明るい円満な家庭」となっておりましたが、「相互に」というのはくどいということで、とらせていただきました。
  次は、ひとり親家庭が自信を持って子育てに当たることができるよう、それを励ます趣旨の記述を少し入れることを試みました。また、ひとり親家庭の悩みに関する資料がございましたが、これは削除いたしました。これは一般家庭との比較ができにくいということで、掲載の意義が薄かろうと考えたためであります。
  それから、早期教育について、ここでもいろいろ御意見がございました。早期教育については、都市部など一部の地域の問題であるという認識もありました。それから、前に入っておりました有名私立小中学校に関する指摘は、特に言う必要はないだろうということで、削除をしてございます。この部分は全体を見直し整理いたしました。
  「第3章」の「地域社会の力を生かそう」との関係で、前の案には「指導者を養成し、人材バンクをつくろう」という節がありました。これは私も気がついておりましたが、至るところにこういう表現が出てまいりますので、特にこの節を設ける必要はなかろうと判断いたしまして、削除させていただいております。
  幼稚園・保育所の役割のところでありますが、これも前から気になっていたのですが、幼児について、「何々させる」という表現がありましたので、これは適当でなかろうと考えまして、幼児の主体性を大切にする観点から表現を改めました。同様の観点から、これも委員から御指摘があったところだと思いますが、全体のトーンもなるべくそのようにしたつもりでございます。
  また、教員や保育者が幼児の道徳性の芽生えを育てる働きかけについて、「発達段階を踏まえつつ」ということが非常に重要だということが、何度もここで指摘されましたし、皆様からも御意見をいただいておりますので、その重要性を指摘してございます。
  道徳教育について、教員一人一人がその重要性を認識すべきことを指摘する記述を整理いたしております。総会でも、このことについて若干御異議が出ましたので、その辺の御意見をくんで、少し文章を直しております。
  スクールカウンセラーについては、気軽に相談できる環境づくりが重要であると考えまして、新たにカウンセリングルームの設置に関するハード面の提言を入れさせていただきました。いい環境をつくるための設備が必要だということであります。
  カウンセリングマインドについては、それだけを取り挙げるのでなく、その前提として教師の教科指導等の力量が必要である、それがあって初めてカウンセリングマインドだという御指摘がありましたので、その点を加えさせていただきました。
  次に、いじめについて、弱い者が攻撃の的とされることが多いという御指摘がありましたので、その旨を冒頭に記述いたしました。
  性の逸脱行動に関しては大人の問題も大きいので、大人のそういう問題について厳しく罰していくべきだということを加えました。
  「5問題行動に毅然として対応しよう」のところで、二つの節の間で内容の重複がありましたので、記述を整理いたしました。それから、会長がフロントの先生方にお会いになって、やはり非常に熱心に指導を行っている先生もたくさんいらっしゃるということで、そういう学校や教員を励ます観点から記述を充実したいということで、それも入れてございます。
  警察との連携を強める必要性をより具体的かつ明確に記述をいたしております。そういう連携を強めると同時に、警察との連携に関連して、学校が教育の場であることに配慮した対処がなされるべき旨を記述いたしました。この点については、総会で、委員から御発言がございました。こうした修正に伴いまして、表題を変更いたしました。御覧いただけばわかりますが、「e」は「一所懸命に努力する学校・教員を支えよう」、「f」は「警察や児童相談所等の関係機関とためらわずに連携しよう」というタイトルに変えてございます。
  出席停止の記述については、具体的な手法にまであまり踏み込むのはどうかと考え、総会に諮ります際には一旦削除いたしましたが、いろんな御意見がございまして、学校での毅然とした対応として重要な点であるので、最終的には盛り込むこととしたいと考えております。
  それでは、事務局に「目次」と大きな変更があった部分の読み上げをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

<事務局より読み上げ及び朗読>

○  以上、「目次」と、それから大きく変えたところについての読み上げをお願いいたしました。その後、私も「目次」、その他をもう1回見直しまして、今回間に合わなかったのですが、少し修正をしたほうがいいという点がございますので、それを御紹介申し上げます。
  まず「目次」で、「第2章  もう一度家庭を見直そう」の中にある「過干渉の問題に気づこう」というのは表現としておかしいので、「過干渉をやめよう」というふうにしたいと思います。
  同じ章の「自分の子だけよければよいという考え方を直そう」というのを「……考え方をやめよう」としてはいかがかと思います。
  次へまいりまして「暴力や性に関するテレビ・ビデオの視聴に親が適切な介入……」というのは少々わかりにくく、「……親が介入・関与をしよう」としたほうが、見出しとしてはいいのではないかと思います。
  それから、「テレビ・ビデオ等の関係者による自主規制などの取組の充実をお願いしよう」というのは、少し腰が引けておりますので、「……取組を進めよう」というふうにしたらどうかと思います。
  同じところの「有害情報から子どもを守る仕組みを考えよう」は、「……仕組みをつくろう」としてはどうかと思います。
  次へまいりまして、「第4章」で「道徳教育の現状を見直そう」となっていますが、「道徳教育を充実しよう」としてはいかがかと思います。本文は変わりませんが、タイトルが少々くどいと思います。
  それから、問題行動に対する教師の対応のことろは少々長過ぎますので、これはいっそのこと「教師の努力でいじめをなくしていこう」というふうにしてはいかがかと思います。
  この会議の資料として間に合わなかった点について御紹介申し上げました。
  なお、中間報告後、本答申までに十分時間的な余裕がございます。そこでまた御審議いただきまして、修正できますので、今回は時間的な制約から、これ迄の御感想をいただくということにさせていただければと思います。

○  全体をまとめて見せていただいたのは、きょうが初めてだと思いますので、全体的なことがまだ全部頭へ入っていないんですけれども、期待していたような形でできたなという印象を持っております。

○  この間も申し上げましたけれども、全体として非常に過干渉な報告書になっているという感想を強く持ちます。

○  全体的にいろいろと詳しく説明してあって、とても結構だと思いますが、例示等の合っていない部分があるので、そこは直していただけたらと思います。というのは、「第3章」のところで、親への24時間の対応というふうに書かれているわけです。子どものほうがないというのがちょっと心配です。例示で「チャイルドライン」の例示が載っておりますけれども、「チャイルドライン」はまさに子どものほうを受けとめる電話相談であって、親のほうの相談を受けるという例示ではないと思いますので、そこにそれが載っかっているのはちょっと問題かなと思います。
  できることなら、今、非常に必要なのは、子どもからの声を聞くことだと思います。ですから、親の教育相談という問題と、子どもの相談という問題ということで、2章にわたって両方大人の側の問題を取り上げておりますけれども、一方は何とか子どものという形でできないかなと思います。
  私どもが現在やっております活動として、今のところ24時間体制で子どもの声を受けとめておりますが、2週間限定、そして2回線でということでやっておりまして、1週間過ぎました記録を御参考までに申し上げますと、1週間で672人から相談がありました。このうち、女性のほうが多くて、男性の倍ぐらいあるということ。それから、小学生が圧倒的に多いということです。中・高生が50人ぐらいに対して、小学生が424人。それから、年齢不明というか、無言電話もいろいろあったりします。これが196ですから、200ぐらいが無言電話であるという現状でございます。時間帯は一番多いのが12時から16時です。学校から帰ってきたあたりです。2番目が16時から20時、3番目が20時から24時、この辺に電話が殺到している現状がございます。
  これは今、子どもたちの相談というところまではいかない、子どもをとにかく受けとめて、子どもがどのように思っているのかを聞き出そうと。そこでもって子ども自身が自分というものを見つけてくれるように援助をしようという電話です。
  もう一つ、これはこの次で結構だと思いますけれども、答申を6月頃にするというお話でしたけれども、そこではどういうふうな、つまりこの中間報告とダブらせていくのか、それとも全く別の視点からの答申をするのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思っております。

○事務局  もちろん審議の状況にもよりますけれども、基本的にはこれを下敷きにしていただくことになると思います。

○  全体として、我々が言いたいこと、あるいは知りたいことをわかりやすく書き込んでいただいたということで、感謝申し上げます。今の世の中、昔だったら「こんなおせっかいなこと」ということまでを、行政がある程度面倒を見なければならない時代になっているというのは、いろんな場面で私も感じておりますので、このくらい書き込まないと、皆さんにわかっていただけないのではないかと思っておりました。
  それから、私が今まで関係してきておりました、地域の中での子育て支援、地域ぐるみで子どもを見ようという、心の健康づくりでかねがね思っていたようなことも、あちらこちらにうまく散りばめて取り込んでいただいてありまして、大変感謝をしております。

○  私も子育てする親として、この中に、「知育に偏った早期教育を考えよう」ということを書いていただいたので、これから子どもを育てる親たちには、たぶん考える上での大きな資料になるというか、早期教育に関しては見直すべきだというのをもう一度考えてもらえるのではないかと思います。

○  大変細かく、具体的な点にも触れて書いていただきましてありがとうございました。ただ、ここまで膨大になりますと、これをどう理解して、どう自分たちの生活の中で築いて実行していくのかという問題があります。家庭はもちろんのこと団体活動とか、それぞれの立場で行うことが必要なんでしょうけれども、息の長い活動になると思います。そういう意味では、マスコミが一時的な報道に終わらないで、この流れを支援していくような体制を組んで、子どもを育てる基盤を整備していくことの必要性を痛感しています。

○  今の件につきましては、どの程度長期的なビジョンでマスコミが取り上げるかという点については定かではありませんが、従来の政府の審議会の答申にしては、この心の教育の問題の答申は、マスコミもかなり本気で取り上げているという感じがしています。それから、あまりやゆがない。そういうことで、マスコミも「心の教育」の重要性については認識しているのではないかと思います。

○  この「心の教育」というテーマが最初に出たときには、最後にどういうものが出るのかと私は思いましたが、非常に具体的に、明確に書かれたものができ上がって、非常にありがたいと思っております。
  私も同じような質問といいましょうか、コメントがあって、教育課程に関係するものでしたら、それをどうやって実行していくかということは多少理解できるんですけれども、このように一般的に親たちに対して、また地域のほうの方々に対しての要望といいましょうか、チャレンジが出ている場合には、どうやってこれを実行していくかということが大きいのではないかと思います。単純な質問ですが、これからの実行というのは、どうしても報道に頼ってしまうのですか。

○事務局  座長とも相談し、会長とも相談しているんですけれども、従前ですと中間報告というのは、つくりましたら、教育委員会に送って、一般市民に渡るということはあまり少ないんですけれども、今回の場合は、こういう事柄でございますし、要するに議論を巻き起こすことが大事だという意見を先生方からいただいております。中間報告そのものは大部なものですから、恐らく市民の方で読んでいただく人はなかなか少ないだろうと思いますので、要約をまずつくりますが、これもたくさん送りますけれども、それだけでなくて、要約のさらにエッセンス版のようなもので、場合によりましたら里中先生にお手伝いいただいて、わかりやすいパンフレットのようなものをつくりまして、それも今までですと二、三万部とか、5万部ぐらいで済んでいるんですが、これは事務方としてこれから先生と相談しますけれども、100万部ぐらいのオーダーで、いろんな機会に配っていくことを検討はしております。
  配り方としましても、従前ですと教育委員会と学校というラインだけで配っておりましたけれども、それだけでは済まないと思いますので、中間報告の原案の中にあります母子保健の機会を使っていこうということを御提言いただくことになりますので、そういう機会にも、中間報告の段階から少し配れるようにしていくということで、なるべく多く渡るようにしていったらどうかということを事務的には考えておりますけれども、最終的には会長、座長と相談したいと思っております。

○  なかなか立派なものがまとまりましてありがとうございました。ごく一部の人にはおせっかいで過干渉なのかもしれませんけれども、地元で暮らしていますと、ほとんどの人にはこれは参考になる内容であるのではないかと思います。
  それから、答申の出しっ放しということのないように、例えば3年に一遍とか、5年に一遍チェックして評価してみるとか、あるいは心の教育を考える会なんていうのを、いろんな団体とか、学校とかで開いて、一つのムーブメントにすれば、それがまた話題になり、マスコミ等へこだましていく材料にもなるのではないかと思います。
  それから、二、三日前のテレビで、芸能評論家みたいな評論家は、あたりまえのことだとか、新しいことがないとか、言論の自由を侵すとか、おかしなことを言っておりまして、まだ多少は無理解な人もいるのかなという感じはしますけれども、私どもの身の回りには真摯に受けとめる方が多いようでした。

○  私、いつも「だれが」ということでお尋ねしていましたけれども、このように「第2章」「第3章」「第4章」と、読む対象がきちっとはっきり分かれて、読む側としてはその柱立てに従って読めばという感じがしました。
  今まで何人かの方から御指摘がありましたけれども、私はこの「第1章」あるいは「第2章」などは、PTAとか、保護者会のテキストにも十分使えるかなということを感じました。問題点の指摘がはっきりしていますし、それへの対応策といいましょうか、それの提言もございますので、これはPTA、保護者会で十分活用できるかなということが1点です。
  もう1点は、「第4章」の中に「ゆとりある学校生活で」ということがございますけれども、教育内容の厳選とか、あるいは学習活動の内容、あるいは方法等についての指摘がありますが、条件整備として司書教諭とか、養護教諭の複数配置とか、いろいろとほかの章あるいは節では指摘がありますけれども、教員のほうのゆとりある生活もできるような御配慮をいただければという感想でございます。

○  本当に丁寧で、まじめにしっかり読めば、それぞれの立場でみんな参考になって、勇気づけられ、励まされる部分がたくさんあると思います。ただ、本当に全部読んでいただけるかどうかということが心配です。先ほど、マスコミは最近、あまりやゆしないというお声もありましたけれども、それでもやっぱり、こんなあたりまえのことをわざわざ時間を使って決めるべきことなのかというような人も、まだまだいると思うんです。ですから、記者会見、その他の場で、そのあたりまえのことがなされていないから、今の日本の子ども社会の現状があるのだということを声を大にして言っていただきたいというお願いが一つです。
  もう一つ、これは全体を通して、決して教育とか、子どもを育てるだけのことではなくて、日本全体の大人たちがもう一度きちんと考えなければいけないことが、この中にたくさん含まれておりまして、本当の意味での倫理観とか、正義感とか、自分を大切にするという気持ちが大人たちにあれば、どんなにかいい国になるのかなと思います。決して教育だけではなくて、国の根源をなす理想の姿がここにあるのだぐらいの、ちょっと大げさかもしれませんけれども、それぐらいの気持ちでマスコミに対応していただければいいのではないかという感想を持ちました。

○  全体を通して大変いい内容になったと思います。これまでの審議の意にかなった内容かと思われます。
  それから、非常に細かいことですけれども、「子ども」という表現が、従来、漢字が使われて「子供」となっていたんですけれども、それを平仮名にしたのは、子どもをとらえる見方として非常によろしいのではないかと感じております。
  あと二つばかり申し上げますけれども、この提言は大人へのそれだと思いますが、できれば最終まとめの段階で、子ども自身に1ページか2ページぐらいをさいて  ―「幼児期から」となっていますので、幼稚園、小学校、中学校、高校ということで、例えば中学生ならば、「自分の不満をいきなり暴力で表現するようなことはやめよう」とか、ここで提案されていることを、子どもを主語にした文章で子どもに語りかけるような提言があってもよろしいのではないかと思ったわけです。ご検討していただきたいと思います。
  あと、当然ですけれども、大変いい内容ですので、国あるいは都道府県の教育委員会としても、これをぜひ具体的に政策に反映させていくという方向で前向きに取り組んでいただきたいと思っております。

○  本当にすっきりとしまして、いろいろ気になっていたことも全部きれいに整理していただきましてありがとうございました。
  皆さんおっしゃるように、これからこれがどう活用されるかということが、とても大事なことのように思います。そして、大変活用できるものだと思いますので、継続的な形でできるような機運づくりをお願いできたらと思います。
  それから、一つだけ気になったんですが、遊びとか、冒険ということがいっぱい推奨されてくる中で、いじめのところで、一所懸命でやる教師たちを支えていこうという話の中の一つとして、やはりけがの問題に対して社会がどう受けとめていくかということも同時にやっていかないと、教師や私ども保育者なども萎縮するという原因の一つになりますので、ここの中に入れるということではないと思いますが、けがということの責任は本人にあると思いますし、家庭にもあるかもしれませんので、いじめの問題と似たような感じで、何か機運づくりをお願いできたらと思います。

○  各章ともきちんと書いていただいて、特に「第3章」「第4章」のところを丁寧に書いていただいております。「第3章」についてはあるいは反論も出てくるかなと思いますけれども、我々としては毅然とこういうスタンスで理解をしていただけるように進んでいければと思っております。
  それから、事務局から、ダイジェストのエッセンスというお話もございましたので、それを期待しておりますし、あるいはとりあえずは「目次」だけをもとに、私どもが話を深めることもできるかなと考えております。

○  先ほどのご発言とほぼ同じことを考えておりました。私も保護者との懇談会やPTA活動で、早速、この一部を使わせていただきたいと思っております。特に広報用の冊子を出されるときには、乳幼児期から青年期までの心の発達の特徴を時間の軸を追って簡潔にまとめていただけたらありがたいと思います。
  それから、ゆとりのある学校生活についてご意見がございましたが、条件整備のことについては、できるだけ早くスクールカウンセラーの中学校区当たり一人の配置、あるいは養護教諭の複数配置、ここらあたりの実現を急いでいただけたらと思います。
  もう一つ、非常に大事なことは、カウンセリングマインドということが書かれているわけですが、実は現在、カウンセリング講座というものの中で、教員それぞれがその講座を受けまして、こういった学習を積んでいる現状があるわけです。しかしながら、様々な問題を抱えている子どもたちが大勢あらわれてきている。カウンセリングマインドを持って子どもたちと接したいにもかかわらず、それが十分できないという現状があると思います。そういった意味で、今後、1学級当たりの子どもの人数を、各学年の発達段階に合わせて減らしていくということも考えていく必要があるのではないかと思いました。

○  2点ほど意見を述べさせていただきます。前回申し上げましたけれども、とにかくすばらしい大傑作ができたのではないか。私はこれは日本人全部に読ませてもらいたいという思いでございます。事務局は100万部と言いましたけれども、補正予算を組んで3,000万部ぐらいつくるぐらいの気持ちでやっていただきたい。これをいかにして日本国民に徹底させるかという次の作業が非常に大きな問題になってくるわけで、シンポジウムをやるとか、あるいは中教審のメンバーがナロードニキのように地方へ行ってお話をするとか、いろいろな工夫が必要であって。これは内容的に言いましても、21世紀に向かっての教育改革の本当のかなめになるような問題提起だと私はこれを見ております。したがって、これを単なる提言ということではなしに、いかにしてこれを実際に実現させるのかというところに、文部省も総力を挙げていただきたいということが第1点です。
  第2点は、家庭・社会・学校という切り口でやっているわけですが、家庭の中でこれも触れておりますけれども、やはりお父さんの関与を徹底させてもらいたいんです。イギリスではペアレンツデーというのがあって、そのペアレンツデーは日曜日になっています。そこに必ずお父さんとお母さんが一緒に行くわけです。ですから、分業だと。私の時代は分業だったんですけれども、母親任せにしないで、父親が絶対に子どもの教育に関与する。そこをまず家庭の面で徹底していただきたいということが一つ。
  それから、学校につきまして、今の日本の中学校やなんかのありようは、これでいいのかという問題があると思うんです。というのは、事件が起きているのは公立の学校がほとんどだと私は思うんです。私立の学校にはあまり問題が起きてないのではないか。そうすると、公立と私立を比較した場合に、公立は地域的な独占の上にあぐらをかいて、先生たちは、ここにも先生がいらっしゃいますけれども、公務員で身分保障をされておる。そういう状況と、私立の場合はかなり違うと思うんです。ですから、次の作業にはなるんでしょうけれども、日本の中学を一体どういうふうにするのか。
  行政改革というのは、御案内のとおり、中央から地方へ、それから官から民へ、こういうことになるわけですから、非常に乱暴な言い方をすると、公立学校を民営化してしまえと。一部の人は、東京大学を民営化したらどうかということを言っているような人もいるわけです。そこまでいかなくても、公立と私立の間の第3の道があるのではないか。もう少し私立のよさを組み入れていくような工夫が、学校の運営においてあるのではないかという気がいたしましてね。例えば、ここでも論議になりましたけれども、中高一貫6年制とか、あるいは今、中学も原則小学区制であるようですけれども、これももう少し広域学区制にして、学校が選べるようにするとか、いろいろな工夫があって、行政の関与を今の私立学校並みぐらいに落としてしまうというような行き方もあると思うんです。
  ですから、21世紀に向かって、公立学校の在り方が今までと同じようなことであっていいのかどうか。そこを一つ問題意識としてお考えいただきたい。これが私の希望でございます。

○  中間報告のつくり方の問題だと思うんですが、「何々しよう」とか、「こうしてほしい」という書きぶりでして、例えば「何々しよう」と言われたときに、一人一人が感じなさいという部分と、不特定多数の方々かもしれませんが、要するにレッツ何とかということが求められているのと、大きく分けたらその二つだろうと思うんです。どなたかもおっしゃいましたが、お説教ぽいという部分は、こういうものの常であるんであろうと思いますけれども、具体的にこれをどのように運動としてオーガナイズしていくか。オーガナイズなんかできっこないような部分もいっぱいありますから、この中から、例えばPTAでは、あるいは私どものような企業、職場とか、こういうところでは、自分たちに何ができるのかというのを、いろんなチャンネルでお考えいただくような展開というのでしょうか、その辺の具体化の話がこれからどうなるのかというのが感想としてございます。
  とりあえず3,000万部かどうかわかりませんが、私どももこういうメッセージをサーキュレートする一つのチャンネルにはなれる部分があるのではないかと、そんなことを感じております。

○  ありがとうございました。今のご発言に尽きていると思います。要するに、我々がやらなければいけないことは、議論を巻き起こすことだと思います。この答申を少しでも多くの方の目に触れるようにして、議論を巻き起こす。それと同時に、国としてやらなければいけないこと、あるいはやれることがたくさんあろうかという気がいたします。
  委員の皆様方におかれましては、是非もう一度全体をお読みいただきまして、中間報告後、本答申までには時間がございますので、改善すべき点については、ご指示いただきたいと存じます。
  本日はどうもありがとうございました。

(大臣官房政策課)

ページの先頭へ