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中央教育審議会

 1998/7 議事録 
今後の地方教育行政に関する小委員会 (第24回)議事録 

 地方教育行政に関する小委員会(第24回)

  議  事  録

  平成10年7月29日(水)13:00〜15:00
  霞が関東京會舘  35階  ゴールドスタールーム


    1.開    会
    2.議    題
        今後の地方教育行政の在り方について
    3.閉    会


    出    席    者

委員 専門委員 事務局
根本会長 安藤専門委員 梶野生涯学習官
鳥居副会長 石原専門委員 辻村初等中等教育局長
河野座長 大山専門委員 御手洗教育助成局長
木村委員 小川専門委員 徳永地方課長
市川委員 尾木専門委員 高   総務審議官
薄田委員 佐々木(初)専門委員 杉浦政策課長
國分委員 佐野専門委員 その他関係官
小林委員 蓮見専門委員
田村委員 藤波専門委員
永井委員 堀内専門委員
鱒渕専門委員
村松専門委員
山極専門委員
和田専門委員


○  だいまから第24回地方教育行政に関する小委員会を開催いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、初めに本日の配付資料の確認からお願いいたします。

<事務局より説明>

○  それでは、議事に入ります。本日は、答申の文案についての審議に入りたいと思います。本日準備しております答申の文案でございますが、これは中間報告以降の審議での委員の皆様方の御意見、それから中間報告に対する関係団体の意見等を踏まえまして、私の責任で作成したものでございます。
  それでは、まず私から答申の文案に基づいて、修正箇所等について説明をし、その後、事務局に補足説明及び文案の朗読をお願いすることにいたします。
  それでは、私から答申の文案について御説明をいたします。
  お示ししてあります答申の文案でございますが、3月27日の中間報告以降の小委員会における各委員の御意見及び5月、6月に実施しましたヒアリングの内容等を踏まえまして、答申のたたき台になる「座長案」を作成いたしました。今後はこの「座長案」をベースに審議を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  さて、お示ししました座長案の内容は、3月の中間報告をもちろん基本にして作成してございます。しかし、いろいろな意見が強く出されました内容を理解しやすくするため、その全体の構成を大きく変えることにいたしました。特に「第3章」「第4章」は、基本方針をお示しして、具体的な改善策についてはその後審議することになっていたところでございますが、ここを中心に内容も大幅に見直しておりますので、その概要及び変更の理由を、私から全体的に説明をしたいと思います。詳細については、後で事務局から別途説明をさせます。記述内容に変更があったところ、あるいは新規に記述を追加した部分にはアンダーラインを引いてございます。
  まず二つに分けて御説明いたします。一つは、今申し上げましたように、全体の構成を見直したということに関係するところでございます。まず全体の文章の構成ですが、これは中間報告と対照しながら、きょうお示ししてありますものの目次のところを御覧いただきながらお聞きいただきたいと思います。全体の構成を大きく見直しまして、本論の部分とそれを受けての具体的な改善方策の部分を分けて記述をすることにいたしました。また、各章の初めのほうに、現行制度の概要とその課題を記述するとともに、見直しの方向性をそこに示すことにいたしました。これは小委員会やヒアリング等で出されておりました、国民にわかりやすい構成にしてほしいという御要望にこたえるため、中間報告で見直しの考え方と改善方策が小項目ごとにバラバラに記述されていたのを見直しました。
  考えてみますと、わかりにくいとおっしゃった御意見には、今申しましたように、見直しの考え方と改善方策が項目ごとにバラバラになっていたことが、わかりにくくしている原因の一つにあるではなかろうかということも考えまして、項目ごとに本論部分と具体的改善方策の部分をそれぞれまとめて記述するという構成にしたわけでございます。また、中教審での議論の背景を明確にするという観点からも、現行制度の概要とともに、その問題点について記述することにいたしました。
  そのほか、具体的改善方策については、一目でわかるようにしたいということから、枠でその部分をくくっております。さらに、中間報告で記述済みの具体的改善方策についても、改善の方向がより明確になるように記述を見直しました。以上が第1点でございます。
  それから、全体の構成等の見直しに係る第2点としては、中間報告の総論に記述しておりました内容  ―中間報告には総論部分がございましたが、この内容を各章ごとに、今申し上げました現行制度の概要と課題等を整理したことに伴いまして、中間報告の総論に相当する部分は今度の案では示しておりません。ここについては、今後、各委員の皆様方の御意見、議論を十分踏まえた上で、最終的に「はじめに」と申しますか、あるいは「前文」と申し上げたらいいのか、そういった形でつけていくということも考えております。
  次に、「第4章」の章名を「地域の教育機能の向上と地域コミュニティの育成及び地域振興に教育委員会の果たすべき役割について」というふうに変更いたしました。「地域の教育機能の向上」ということを頭に出したわけでございます。これは前回お出しいただいた御意見に基づいてでもございます。
  それは地域コミュニティの育成及び地域振興に関連して、教育委員会が重要な役割を果たすことが期待されている中で、「地域の教育機能の向上」に関する記述を充実したほうがいいという御意見が強く出されましたので、それに基づいて見直しました。中間報告では、「学校の自主性・自律性の確立について」の章で記述しておりました「学校の教育活動への地域の活力の導入・活用」を「第4章」に記述し直すことにいたしまして、それに伴って、「地域の教育機能の向上」の字句を章名に追加したわけでございます。
  次に、ここも大きく見直した点でございます。教育委員会と私立学校との関係の記述を、「第2章」の「教育委員会制度の在り方について」の章から、「第4章」の「地域の教育機能の向上……」の章に移動いたしました。それは公教育を担う地域の教育機関である私立学校と教育委員会との連携を重視するという観点から、前に出されておりました教育委員会と大学等との連携の促進方策などとあわせて、ここに記述することにいたしました。
  次に、全体の構成の見直しに関連する中で、中間報告の「第5章」で出しておりました「学校以外の教育機関の運営の在り方について」という部分を、「第4章」の「地域の教育機能の向上と地域コミュニティの育成及び地域振興に教育委員会の果たすべき役割について」のところに統合いたしました。「学校以外の教育機関の運営の在り方」については、中教審以外でも、生涯学習審議会、保健体育審議会、文化政策推進会議等において審議されているところでありますので、専門的な検討はこれらの審議会等にゆだねることとして、特に本審議会として言及が必要な事項について、「第4章」の最後に記述することにしたわけでございます。
  以上が全体の内容構成に関する見直しの面でございます。
  次に、内容を大きく見直してございます。その関係について御説明をいたします。
  まず、「第1章  教育行政における国、都道府県及び市町村の役割分担の在り方について」のところでございます。このところについては、基本的な記述内容の変更はいたしておりません。しかし、国及び都道府県の指導、助言、援助等の在り方の見直しを一括して記述するなど、事項、構成を整理いたしております。
  次に、「第2章」の「教育委員会制度の在り方について」でございますが、ここでは、基本的な記述内容の変更はしておりませんが、教育委員、教育長、事務局、地域住民との関係の順に再構成いたしました。
  また、中間報告では現行制度の概要で記述しておりました「教育長にふさわしい人材に関する記述」を教育長への適材確保方策の中で記述することといたしました。
  次に、「学校の自主性・自律性の確立について」のところでございます。ここは中間報告以後の審議を踏まえて、本文の記述及び具体的改善方策を追加して記述いたしました。主なものを申し上げます。
  まず、学校管理規則の見直しについての具体的改善方策としては、見直すべき事項の例を示すとともに、教育委員会などの関係団体による研究が必要だということ、それからモデルを示すにしても複数のモデルを示して、その中から選択するというようなことを配慮すべきだということを記述いたしました。
  次に、人事・予算に関する校長の裁量権限の拡大についての具体的改善方策のところでは、人事異動における校長の意見具申の尊重、校長の裁量によって執行できる予算の措置等の改善方策を記述いたしました。
  次に、これもいろいろ御議論いただきました校長・教頭の任用資格の見直しの具体的改善方策について、より具体的に記述するとともに、校長・教頭の選考の在り方の見直しや校長の在職期間の長期化、教員の資質向上について新たに記述いたしました。
  次に、学校運営組織の見直しに関してのところでございます。ここでは各委員の御意見、ヒアリング等を踏まえまして、法令上の位置づけを含め、主任制の在り方を見直し、職員会議の意義・役割の明確化、その運営の適正化等について、具体的改善方策を記述いたしました。
  次に、学校の事務・業務の効率化に関してでございます。ここでは学校の事務・業務に係る負担軽減や学校の事務・業務の共同実施、教諭以外の専門性を有する者の活用について、具体的改善方策を記述いたしました。
  次に、これもいろいろ御意見をいただきました学校が地域住民や保護者の意向を把握、反映する仕組みについて、より具体的に記述いたしまして、学校評議員を設置できる旨を記述しました。なお、この「学校評議員」の名称については、公益法人や大学において、組織の管理運営を助けるものとして「評議員」が置かれていることにならったものでございます。
  次に、「第4章  地域の教育機能の向上と地域コミュニティの育成及び地域振興に教育委員会の果たすべき役割について」では各委員の御意見、ヒアリング等を踏まえまして、地域の教育機能の向上に関して、学校を初めとする地域の様々な教育機能の協調・融合を強調し、それらを総括する言葉として全体的に地域の教育機能の向上を支援し、促していくことが、教育委員会の新たな役割として期待される、このことを本文に記述することにいたしました。そして、関連する具体的改善方策を記述してございます。
  なお、いろいろ御議論をいただきました、特にこれまでの審議やヒアリング等で意見が寄せられておりました、教職員定数や学級編制の問題については、「第1章」と「第3章」において、それぞれ関連する項目の中で記述をしております。そのほうがわかりやすいということもございます。例えば、具体的改善方策として学級編制や教職員定数の弾力的な運用、それから義務標準法で定められた定数を用いた非常勤講師の小・中学校への配置などを追加して記述しております。
  これが私のほうからの全体的な構成の修正、それから内容の追加・修正に関する御説明でございます。あと事務局から補足説明と、ご一緒にお目通しをいただくということで、朗読させますのでよろしくお願いします。

<事務局より説明及び朗読>

○  ただいまからこの文案をもとに御意見をお伺いしたいと思いますが、全体的なことについての感想的な御意見になるかもしれませんが、どうぞお聞かせいただきたいと思います。
  私が一番苦労しましたのは、この委員会で強く出ました「わかりやすく」ということをどのように考えたらいいんだろうということで、「わかりやすく」というのは決して言葉だけの問題を言っておられるじゃないんだな。基本的な考え方、課題認識と具体的な改善方策がどのような形で、どのようにつながり合い、構造を持っているのか、そういうところが明確でない。一方から言えば、したがってこれは説得力がないという意味で、「わかりやすく」ということには説得力があるということが条件なのかなと。ですから、これからの審議の中でも、具体的な文言、わかりやすい言葉等の問題についても御意見がおありかもしれませんが、そういう点からの御意見をいただければと思っております。

○  文章全体を読んで、この文章がどういうふうな意味なのかということがストレートに伝わってこないところがありますので、お聞きしたい点が一つあります。
  「学校の事務・業務の効率化」の最後のところで、「市町村立中学校と都道府県立高等学校など、設置者が異なる学校についても」連携協力が必要であるという文言が入りました。こういう中高連携というような問題は中間報告にもなかったし、読んでいて、何でこういうのが入ったのかなということをいろいろ考えますと、学校教育法の一部改正で、いわゆる併設型とか、連携型の中高一貫学校を設立することが可能になったわけで、そうした中高一貫学校設立に対応して中学校と高校の連携協力という趣旨で入っているのか、それとももっと違った意味が込められているのかというのが、もう少しよく理解できないので、ご説明をお願いできますか。

○事務局  基本的には前回も、学校における教育活動なり事務・業務の共同実施という御提言の部分が中間報告にあったわけでございますが、そういったことについての意味、内容をより明確にするために、必ずしもそれは例えば小学校同士の連携、あるいは中学校同士の共同実施というものにとどまるものではなく、小・中・高等学校を含めた形で、それぞれ校種間の異なる学校についても連携協力なり共同実施が行われるべきであるということを明確にするために挿入したものでございます。

○  前回出されたものに比べて非常にわかりやすくなっていると思います。
  ただ、その中で、二、三。「指導力不足の教員等への対応」ということがございます。要するに、うまい言い方はできないけれども、やめるような処置を考えるべきだということがここには書いてあるんだろうと思います。また「法令の規定に従って」ということが書いてあると、さて、この法令というのはどんなものなんだろうというのがあります。この文章はこれでいいと思うんですけれども、その規定はどんなものなのかということをお教え願えればという思いがありました。
  それから、「学校評議員の構成」ということで、「例えば」ということで書かれております。「町内会長や民生委員などの学校区内の関係者、関係する施設・機関の長、その他の学校区内外の有識者、保護者など」とずうっと書いてあるんですけれども、「PTA」という言葉がここにはない。ここまで詳しく書くのであれば、せめて入れてほしいなという思いがあります。

○  大変よく整理されて、スッと頭に入るので、よくできたというふうに、さすがだと思って感心して読んでおったんですが、全体として「学校の自主性・自律性の確立」ということの中で、教育委員会に対して学校管理の責任者である校長が申し出ていくという手続みたいなことは無理なんでしょうかね。言ってきた校長に対して教育委員会が「じゃ、やりなさい」という形ができるのかどうか。それがあると随分変わるのではないかという考え方があるものですから。外国ではそういう例があるものですから、どうだろうかということが1点。
  もう1点、これはちょっと気になったところですが、「専門的人材の活用」ということで、養護教諭、学校栄養職員、事務職員という例示が出ているんですが、実は教育課程が大幅に変わります。その中に、「総合科」とか、「情報科」という問題が大きく出ておりまして、教科の壁を超えてということになると、学校図書の教諭といっていいんですか、職員といっていいんでしょうか、ちょっと位置づけがわからないんですが、図書館にいる人がかなり活用されていくということが予想されるわけです。それがありませんと、現場の先生方はお手上げになってしまうということも考えられます。「総合的な学習の時間」等も考えると、その辺の職務上の経験や専門的能力という中に、学校図書が入らないかなと思っておりましたものですから、触れることができるのかどうかということが2点目でございます。
  いろんな事情があるのはわかっておりますので、今触れられないというのであれば、それはそれでいいんですけれども、先を考えると、その部分が非常に大事だという気がしますので。「総合的な学習の時間」なんていうのは図書館がすごく活用される、されないと生きていかないということがはっきりしているものですから。
  3点目は、これはいつも思っているんですが、私どもの学校のそばに厚生省がやっている子どもの会館というのがあるんですが、これが全然学校と連携をしようとしないんです。何回も申し入れているんですけれども、全く無視なんです。申し入れても返事がこないというような感じで。ひどいもんだと思うんです。また同時に、私のところには別の公立の児童会館がそばにありまして、これは非常に対応がいいわけです。幼稚園という立場とか、中学校という立場だと全く無視されちゃうという。これは何とかならないのかなという気がします。これは中教審の権限の範囲かどうかよくわからないんですけれども、どうも地域の教育力の向上には全然役に立っていないという感じがいつもしているものですから。厚生省の悪口を言うわけではないんですけれども、これは触れられないかなという気がしておりまして、地域のところでどうかなと。

○  ここで地域の教育力の向上を入れていただいて、これからの大切な分野だと思います。ただ、学校ですと責任者が教職員、家庭ですと保護者というふうにはっきりしますが、地域の教育の責任者といいますと、だれかということが意外にはっきりしていません。ここで公民館ということが繰り返し出ておりますが、私は公民館の在り方について、生涯学習審議会のほうでもなさっておられますが、もう少しはっきりと公民館の地域の教育力の責任ということを入れたほうがよいと思います。地域との連携という中で、つまり連携をしろと言っても、責任の所在がはっきりわからない、それから核がわからないということが、地域の教育力の向上というときに、あいまいで一般的にしか流れないのではないかと思っております。
  なお、全体の中で、主任制の在り方等見直しがありまして、学校の体制がこれからさらにきちんとした形で充実していくことがここに盛り込まれたことは非常によかったのではないかと思います。
  また、「学校選択の機会の拡大」という言葉が入っておりますが、通学区域の弾力的運用と学校選択の機会の拡大、これと地域の教育力の向上、ここら辺の関連がどのようになるのか、一般の方には逆にわかりにくくなるのではないか。学校の選択の機会の拡大は、今日、非常に望まれておりますが、同時に地域からしますと、自分の地域から複数の学校というようなイメージも出てくるのではないかということを感じております。

○  全般的なことというので、4点ばかり少し申し上げたいと思います。
  一点目はは、たぶん皆さん方もお感じだと思いますけれども、今回、新たに「評議員」という言葉が入ってきました。たぶん我々の論議の中ではこういった言葉ではなかったと思いますので、大変目新しいことだと思っております。そのこと自体は、私も何度か発言させていただきましたし、大変前向きに受け取っていただけたと感謝しているんですけれども、どういう意味合いの言葉で使われているのかちょっとはっきりしなかったのではないかと思います。特に「評議員」という言葉はあるんですが、その会合について「評議員会」という言葉が出てこない。それは人の規定だけで、組織体としてどうなのかというところがちょっと気になりますので、これから詰めるべき問題ではなかろうかと思います。
  2点目、3点目は、実は前回の会議で、他の委員から御発言があったのですが、私、質問したいなと思ってきたことであり、たまたまこの答申原案ともかかわっていると思いますので、問題の提起だけさせていただきます。
  二点目は、前回学校の事務体制の問題の発言があったかと思うんですけれども、今回、割と明確に集中管理の方向ですね。複数の学校でセンターみたいなものをつくるという御意見があったんですけれども、前回の話では逆の方向の御論議もあったのではなかろうか。すなわち、教員の多忙さを解消していくといった場合に、今ある教師の仕事をもう少し分析的にとらえて、その一部は事務職員のほうに分担させていくことができるのではないか。そうしますと、教員の定数の問題と同時に、事務職員の定数の問題とかかわって考えていく余地があるのではなかろうかと思います。ですから、集中管理も一つの方向だと思いますけれども、その前の前提を少し整理することが必要ではなかろうかと思っています。
  三点目は、教頭についての記述が不十分ではなかろうか。校長・教頭がすべてワンセットになっているような気がするんです。論議の中では、例えば副校長というような位置づけはどうだろうかという御意見もあったと思うんですけれども、この辺の論議を少し加えたほうがよろしいのではなかろうかと、こんな感想を持ちました。
  最後に4点目ですけれども、私学についての部分が大幅に位置が変わったんですが、これもこういった形でいいのかなと、ちょっと疑問に思ったことです。私自身の発言を記憶しているわけですけれども、ヒアリングの際、御質問したところで発言した記憶があるんですが、教育委員会が私学に関して何らかの接点を持つといった場合に、いわゆる規制緩和であったり、そういった方向の中で、私学というのは行政からかなり独立した自由な経営をしている。そういった方向が公立学校でも援用できないかという観点で発言した記憶があるんです。
  ところが、今回、「私立学校との連携の促進」のところですと、むしろ行政との関係というよりも、私学の経営手法そのものの問題とか、教育実践になってしまう。そうしますと、大学審議会の答申ではありませんけれども、何か民間活力ではありませんが、もう少し民間的な方向で公立学校もやりなさいというふうに受けとめられるのではなかろうかという危惧といいましょうか。いろいろな御意見があると思うんですけれども、いわゆる教育委員会と公立学校との関係において学校の自主性を高めるために、行政側の関与を削減していくという流れの中で、私学との共通性が認められるのではないかという趣旨の発言をした記憶がありますので、ここは少し違和感を持って感じたということでございます。

○  学校の自主性・自律性のことについて、細かいことはまた次回以降として、大きな流れという感じで。大体基本的にはこの案でよろしいかと思うんですけれども、学校の自主性・自律性について、一つは校長の裁量権の拡大という面があると思うんです。同時に、それを支える学校運営組織体制の充実。そして、3番目には、そういう中で開かれた学校をつくり上げるために、地域や保護者の学校経営への参画。そして、その次に、そのためには結果責任として学校の自己点検評価、それから評議員等による一種の外部評価といったものが必要になってくる。そして、その次に、ちょっと乱暴かもしれませんけれども、学校選択の機会の拡大。そして、やはり質の高い学校が生き残るというところ。ここまで言うと若干問題かもしれませんけれども、必要かと思います。
  やはり学校の自主性・自律性と言う以上は、自己評価がもちろん大事ですけれども、非常に乱暴に言えば、自由な競争の中に金融監督庁であり、証券監視委員会があるように、第三者機関、独立した機関における学校査察委員会といったようなものが将来きちんとできて、学校のいろいろなものについてきちんと査察する。そういうことと、校長の権限を持った学校の自律性、そういうものがパラレルになっていかないと、学校に自律性・主体性と言いながら、下手すれば独善的なことが行われるということだってあり得るので、その辺のところをどのように書き込むか。しかし、あまり刺激的に書くとこれまた問題がありますので。ということで、流れとしてちょっと感じました。

○  全体として非常にわかりやすくなりまして、工夫をしていただいたということがよくわかりますが、地域のということでしたが、特に「第4章」のかかわりということで考えるといたしますと、地域の教育力の向上ということでの教育委員会の役割の拡大を言っていくことで、場合によってはこういうこともあるのかなと思いますのは、教育委員会の前のほうに事務組織の拡充という問題が出ておりますけれども、教育委員会の中で学校にかかわる仕事をされる部分と、それから地域にかかわる部分を処理される事務的な部分とをもう少し明確にしていくように、今も社会教育課と分けておられるわけでありますが、そのあたりの教育委員会の事務組織のほうで何かこれに対応した考え方を導入する必要があるのかどうか。その辺の検討があるいは要るのかなという気も1点はいたしております。
  あとはきょう拝見しまして特に思いつくことはございません。

○  全体的に私は、今回の答申が出るとすれば大変画期的な改革になるだろうと思います。ポイントの一つは、「地域住民の学校運営への参画」というタイトルを振っていただいたことだと思います。これは非常に画期的なことですし、参画する以上は、そこに責任も生じてきますし、これは我々国民にとっても、公立学校ということですけれども、ある一つの変化の潮流を生み出す可能性があるかなと思います。
  問題は、「法令による」と書いてございますから、これをどういうふうに書き込むかですね。評議員会というようなお話ですけれども、評議なのか、その辺のところ、ちょっとニュアンスが難しいかなと思います。
  それから、研修というのはできるだけ必要最小限にというふうなことを書いてあるんですけれども、これはもちろん研修の内容によるわけですね。新しい時代に新しい授業方法はたくさん開発しなければいけないし、それから総合学習などでも研さんが要るわけですから、必要な研修はもちろん行かなければいけないし、それから地域の中のいろいろな専門的な施設に研修に来ていただく。例えばワークショップであるとか、ロールプレーイングとか、生徒に興味を持たせるような研修には積極的に参加していただかなければいけない。それが認められていないものですから、先生方が教育の方法論を豊富にお持ちでないと思うんです。その辺は研修を必要に応じて認めなければいけない。要するに、つまらないと言ったらなんですけれども、昔ながらの行かなくてもいいような研修はもちろん縮小する。でも、有効な研修というのはもっと行かなければいけないのではないかと思います。
  それから、文章がですね。後ろのほうには地域の教育、あるいは施設の連携ということが書いてあるんですけれども、一方では教育委員会の教育文化施設というふうにして、設置主体が教育委員会でないとだめみたいに受け取られるところもありますので、その辺は地域のというふうに書いて  ―さっき厚生省の児童館のほうは非協力だというお話がありましたが、あそこはたぶん財団法人で経済的に自立しなければいけないということもあって、なかなか協力している暇がないのかもしれませんけれども、その辺のところも子どもたちのためになるべく連携すべきだと思うんです。その辺のところをうまく整理していただけるとありがたいと思います。

○  「指導力不足の教員等」への書き込みをするのでありましたら、さっきどなたかが言っておられた「法令の規定に従う」ではなくて、「法令の規定を見直す」とか、そういうところまで踏み込んでお考えいただくといいかなと、そんな印象を持ちました。
  それから、「主任制の在り方」と「職員会議の在り方」についてですが、その前の問題点の指摘は、切り込みが非常に鋭いと私は思いました。ただ、改善策をもう少し踏み込んで書いていただくといいのではないかという印象を、今朗読を聞いたばかりの印象ですけれども、そんなことを感じました。
  それから、ただ今御指摘がありました研修について、授業時間内の研修と勤務時間内の研修はできるだけ少なくするということですが、例えば夏休みも勤務時間内でありますから、そのあたりはもう少し具体的に、ここのところでよく研修することが必要だというようなことが必要かなという印象がありました。

○  全体の印象では、多くの方が述べていますように、非常にわかりやすくなったと思います。
  各論部分ですが、定数措置の弾力化についての記述は、これは大変大きなことだと思います。私自身はこういう方向に大賛成ですが、ただ、これは運用するといろんな問題が出てくるだろうと思います。その都度克服していかなければなりませんが、ざっと見た感じで、次回までに事務当局のほうでお答えがあれば用意しておいていただきたいんですが、定数を保障して、「学級編制や教員配置は、都道府県や市町村の裁量により弾力的に運用できる」との記述がありますが、A小学校、B中学校の学級編制をだれが決めるのか。校長が決めるのか、市町村が決めるのか、都道府県が決めるのか、非常に難しい問題があるだろうと思います。それがどこであろうと現実には相談してということかもしれませんが。
  その次のところで、「職種の枠を外し職種間の融通ができる」。これも方向として非常にいいんですけれども、極端なことを言うと、かなり力関係が働いてくるのは避けなければならないだろう。「うちには栄養職員は要らない」ということでやめてしまう、あるいは「事務職員は要らない」ということでやめてしまう。それぞれの発言力に応じてその枠が決まるんだとちょっと問題なので、融通の範囲といいますか、その辺をどう考えるかというのがあるのかなという気がいたします。
  それから、学校の自律性のほうですが、今、お話がありましたけれども、具体的にどうするかというのは、私もこれからちょっと考えなければなりませんが、感覚的には同様な感じを持ちました。次回、この点は述べさせていただきます。

○  お話を伺っておりまして感じたことについて、二、三お話ししたいと思います。地方教育行政の問題については、公立学校が、ここにも書いてございますが没個性的になって、一般的に低迷しておる。そういったものをいかに打破していくかという問題意識だと思うんです。
  私自身は、小学校、中学、高校、大学ともに公立でございまして、自分の過去を振り返りますと、公立の学校でも相当個性的な中学がかなりございました。それがなぜ没個性的なものになってしまったのか。戦後の学校を見てみますと、私立学校というのは大いに頑張っておる。それでは、何で公立学校が低迷してしまったのかということではないかと思うんです。
  いささか厳しい言い方をするとすれば、結局、文部省と教育委員会と学校というこの縦関係の鉄の組織とは申しませんけれども、そういったものによって成り立っておる公立学校の経営というものが、戦後50年たちまして、ほかの行政や政治の組織も風化してきたというのと同じように、新しい時代の要請にこたえられなくなってきているのではないかというところに、第1の問題点があるのではないか。
  したがいまして、先ほど、どなたかから御指摘がございましたけれども、私立学校がなぜうまくいっておって、公立がうまくいっていないのか。我々民間の経済界でもアライアンスというのが最近非常にはやっております。つまり、公私のアライアンスといいますか、公立学校と私立学校のアライアンス、そういったような問題意識で、それぞれお互いにうまくいっているところは、意見の交換をしながら取り入れていくというアプローチも必要ではないかと思いました。
  学校評議員の制度というのは、私は大変結構だと思うんですが、イギリスは御案内のとおり、学校理事会というようなものがあって、ここには学識経験者、それから父兄、地域代表、校長先生という4者がそこに集まって、言うなれば学校運営のボードみたいなことをやっておるようでございます。恐らく学校評議員との対話というのは、そういうことになるんでしょうけれども、これを見ますと、校長の推薦で教育委員会が委嘱するというような、まあ従来型の発想になっておるんですね。ですから、これを本当にやるのであれば、もう少しその辺を民間的な手法で考えるということもやってみる必要があるのではないかと思っております。
  それから、文部省、教育委員会といったような上からの組織から学校を自律させて、学校の自主に任せようという発想で、校長の権限を強化するということになっておりますが、やはり権力は腐敗するわけですね。絶対権力は絶対に腐敗するわけです。ですから、校長の権限強化もよろしゅうございますけれども、その光と影の部分をよく踏まえて討議していく必要があるのではないか。校長・教頭・職員会議がございますが、その下にある担任の先生と子どもの関係、これが結局、現場の最先端にいるわけであって、その担任の先生と子どもの関係こそ教育の原点でございますので、地方行政という立場で、優れて組織論に重点を置いての検討にはなっておりますが、結局、担任の先生と子どもというものを一体どのように取り扱っていくのか。この辺が私は非常に大きな問題点ではないかと思いました。
  それから、学校施設を利用して、それぞれの地域社会の生涯教育や文化等々に活用すべきだと。これは全く同感でございます。私自身、家内と、家の近くに学校があって、それが休みのときは眠っておる。これだけ立派な施設があるのに、何で開放しないのかということを前から言っておりまして、これはぜひともその地域を高めていく上で、積極的にこの問題を取り上げていただきたいと思っております。
  やや激しいことを申し上げましたけれども、今後の御検討の参考にしていただけたらと思いまして発言しました。

○  私はこの報告書は非常によくまとまって、大切なことを国民に訴え、また行政に反映すべき事柄が大体載せられたのではないかと思って、大変ありがたいと思っております。
  今回のこの提言は、学校の自主性・自律性をいかにして高めるか。また、一方では規制緩和は本当に実現できるかという問題に対する答えをもう少し詰めればよいのではないかと思っております。
  例えば、自己点検評価、第三者の評価ということがありますが、ちょうど今、大学審議会のほうも第三者評価の機関をどうするかということを審議しているところですが、平行してそれが進んでいくと、整合性のとれた教育行政論になっていくであろうと思います。
  それから、日本の小学校教育と中学校教育における私立学校の扱い方をどう考えるかという問題があります。御存じのとおり、現在2万5,000弱の小学校のうち私立小学校はたったの171校に減っています。明治の初年には私立小学校は4,599校あったわけです。それが今は171校。中学校は1万1,300校のうち私立中学は661校です。極めて小さな数ですけれども、この特性を逆にどう生かし、また先ほどアライアンスという言葉が出ましたが、公教育と私学教育とをどのように融合させていくかということが重要だと思います。
  特に、学校の設置形態は、大学については公設民営まで大いに自由に考えられているときに、小・中学校だけは義務教育であるがゆえに公設民営は思いも及ばないのが現状です。アメリカの事例を御覧になればわかるように、アメリカの公立小学校は運営を民間にゆだねることによって、荒れた教室がいい教室に変わり始めているという学校がたくさんあるわけです。公設民営でありますとか、公設校の民間運営、あるいは一部の教職員についてはアウトソーシングする、というような形で考えてはいかがかと思います。
  最後に、校長のリーダーシップの問題です。これは学校教育法で大学の学長と教員会議、大学では教授会と言いますが、それと高等学校の校長と職員会議の関係は全く違う位置づけになっています。高校の職員会議と校長との関係は、学校教育法に書かれている大学における教授会の位置づけのほうに引きずられて、歴史が50年動いてきたように思います。大学のほうは学校教育法の第59条に、大学は重要なことを議するために教授会を置かなければならないと書いてあって、教授会が重要事項の議決機関であると誤解されかねない文言になっています。一方、高校以下については、教員会議は校長の諮問機関という位置づけになっています。今回の文章ではそこのところを、つまり学校教育法上、もともと諮問機関であることがわかる書き方がどこかにあってもいいのではないかと思います。

○  きょう御意見をお伺いできなかった方は、次回に発言をお願いしたいと思います。本日の議論は以上にさせていただきます。いずれにしても、きょう私の責任で出させていただいた答申に向けての文案を、これからの審議のベースにさせていただくということでは御了承を得たものとさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。それでは、これをもとに次回から審議を深めていきたいと思います。
  次回は答申案の「第3章」及び「第4章」を中心に御意見をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。この小委員会の今後の審議スケジュールは、次回、8月5日、第25回の小委員会になります。ここではきょうに引き続いて答申の文案について御審議いただきたいと思います。
  それでは、本日の会議は以上にさせていただきます。
  きょうはどうもありがとうございました。

(大臣官房政策課)

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