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中央教育審議会

1997/10
今後の地方教育行政に関する小委員会 (第1回)議事録 

     地方教育行政に関する小委員会(第1回)

            議    事    録

    平成9年10月6日(月)  13:00〜15:00
    霞が関東京會舘  34階  ロイヤルルーム


    1.開    会
    2.議    題
        今後の地方教育行政の在り方について
    3.閉    会

      出  席  者

委員 専門委員 事務局
薄田委員 安藤専門委員 辻村初等中等教育局長
河野委員(座長) 石原専門委員 御手洗教育助成局長
小林委員 大山専門委員 伊勢呂審議官(教育助成局担当)
坂元委員 岡田専門委員 徳永地方課長
田村委員 小川専門委員 崎谷審議官(学際局学術担当)
永井委員 尾木専門委員 北村審議官(体育局担当)
横山委員 河田専門委員 富岡総務審議官
   如月専門委員 杉浦政策課長
   小澤専門委員 その他関係官
   金剛専門委員   
   佐野専門委員   
   堀内専門委員   
   鱒渕専門委員   
   村松専門委員   
   森元専門委員   
   山極専門委員   
   和田専門委員   




○  それでは,ただいまから中央教育審議会の「地方教育行政に関する小委員会」第1回会議を開催いたします。本日は,御多忙な中,本会合に御出席をいただきまして,まことにありがとうございます。
  本日は,会長,副会長とも御欠席でございますので,後ほど座長をお決めいただきますが,それまでの間,事務局のほうで議事を進めさせていただきます。
  中央教育審議会は,9月30日に開催された前回の総会におきまして,文部大臣から「今後の地方教育行政の在り方について」諮問を受けまして,意見交換を行うとともに,今後,新しい専門委員の方々の参加を得て,「地方教育行政に関する小委員会」を設置して,具体的な審議に着手することが決定されたところでございます。
  新しい専門委員の方々は,10月3日付で発令されております。
  それでは,本小委員会の座長をお選びいただきたいと思いますが,どなたか御推薦をお願いしたいと思います。

○  座長としまして,河野先生を御推薦したいと思います。河野先生は,前の第一次,第二次答申のときの座長をなさいまして,いろいろな意見をたくみにまとめられましたし,それから今後の非常に難しい問題をうまくリードしていただけると思いますので,いかがでございましょうか。

○  よろしゅうございましょうか。それでは,河野委員に座長をお願いをするということで,今後の当小委員会の進行は,河野座長にお願いをいたします。

○  御推薦いただきましたけれども,前の第1小委員会の方々はよく御存じのように,座長という大役を務める上では,特にこれから御審議いただくテーマは大変複雑で難しい問題でもありますので,私で果たしてその大役に耐えられるかどうか,いささか心もとないものがございます。しかし,せっかくの御推薦でございますので,皆様方の御協力を得て,これからの教育の在り方に沿う,期待にこたえられるような立派な方針をまとめ,答申をまとめていきたいと思います。そのために微力を尽くしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは,まず審議会の公開に関してお願いをいたします。中央教育審議会は,ことしの1月28日の第202回の総会で決定された方針に基づいて,詳細な議事録による公開を行う,しかし会議そのものは非公開とする,などといった方針により運営されてきております。前回の総会におきましても,今後の地方教育行政の在り方についての審議においても,幅広い観点から審議を深めていくためには,各地方公共団体における特定の組織,団体等の活動とか,特定の事例等を取り上げて,評価等を行うというようなことが不可避であり,会議そのものを公開した場合に,そうしたことについての率直な発言ができなくなる危惧があるという理由から,こうしたこれまでの方針を踏襲することが確認をされました。また,会議終了後の会長の記者会見に際して,会長の責任でその会議の審議の概要を簡潔にまとめた資料を作成し,配付することについても確認がなされました。
  つきましては,本小委員会としても,こうした方針で対処してまいりたいと思いますが,それでよろしゅうございましょうか。
  では,公開の件については,このような方針で対処してまいりたいと思います。
地方教育行政の在り方については,ことしの1月に「21世紀に向けた地方教育行政の在り方に関する調査研究協力者会議」が文部省に設置され,以来,論点整理等が行われてきているところでございます。新しい委員として参加していただいている方もいらっしゃるわけです。そこで,去る9月19日にまとめられました同協力者会議の「論点整理」について,同協力者会議の座長として取りまとめに御苦労いただいた村松専門委員から,その趣旨等をお聞かせ願えれば幸いでございます。
  なお,本小委員会においては,「論点整理」を基礎的な資料として参考にしながら,かつこれにとどまらず,さらに幅広い視点から御審議をいただいて,小委員会としての方針を総会に報告することとしたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。
  それでは,どうぞ説明をお願いいたします。

○  21世紀に向けた地方教育行政の在り方に関する調査研究協力者会議で行いました私どもの検討と,その検討結果であります,「論点整理」というふうにしてございますが,その「論点整理」の内容について,まず私のほうから概略を申し上げたいと思います。
  「はじめに」のところに書いてございますけれども,今までの御説明にございましたように,中央教育審議会のほうでの御議論,その他の御議論があるわけでございますが,地方教育行政について,制度的な再検討をするのが適当ではないか。現在,個性重視とか,国際化とか,情報化という新しい問題がさまざまに生じている時点である。地方教育行政制度は50年を経過しているわけですけれども,そういう曲がり角にあるかもしれないということ。それと地方分権ということが最近言われておりますが,地方分権推進委員会との関連でも一つのタイミングであるというようなことを,最初に述べております。
  次に,経過でございますけれども,今御紹介もございましたが,本年の1月から14回にわたりまして審議をさせていただきました。そして,その論点でございますけれども,四つに整理してございます。
  その第1が,学校と教育委員会及び市町村・都道府県・国相互の関係並びに私立学校と地方公共団体との関係に関すること。行政機関と私立学校等の関係に関すること。
  2番目が,地域住民と教育委員会,学校との関係に関すること。
  3番目が,教育委員会の事務処理体制に関すること。
  4番目が,地域コミュニティーの育成と地域新興に関することでございます。
  この四つのそれぞれについて,目次を御覧いただきますと,各論に4点に分けてございますが,詳細に検討の中身を御紹介してございます。四つのそれぞれにつきまして,協力者会議としての現状認識と問題点をできるだけ検討するということをした後に,今後,検討を必要とすると考えられる課題について述べて,その見直しの方向にもやや踏み込んで,こういう方向性があるのではないかという意味の議論をするということで構成されております。協力者会議におきましては,16名の委員がおりますけれども,学識経験者,教育委員会の関係者,知事・市町村長など首長部局の責任者の方々がいらっしゃいまして,丹念な具体例に基づきまして,いろいろな論点を出していただいたわけでございます。
  全体が,総論と各論に分かれておりますけれども,まず総論でございます。2ページでございますけれども,現行制度について,大枠での認識を最初に3点書いてございます。教育行政が戦後,行政委員会と呼ばれておりますけれども,合議制の委員会制度によって地方レベルで担われてきたこと。それは教育行政において中立性や安定性を確保するために機能してきたけれども,近年,生涯教育とか,文化,スポーツ等に関する地域住民の多様なニーズやその高まりもあって,あるいは数十年を経験してみて,再検討していいのではないかという,その現状を書いているわけでございます。
  見直しの方向につきましては,個性重視,社会の変化,自主性・主体性の重視といった方向を考えながら検討したということでございます。
  総論の「2」で,「制度の見直しの際の視点」と書いてございますけれども,これが大きく三つに分かれております。
  まず,教育委員会の役割についてでございます。これにつきましては,従来もその役割を十分果たしてきているわけでありますけれども,今後,先ほどのような生涯教育や学校教育における個性の重視という新しい要請に基づきまして,学校の運営と,学校とともに地域の教育を担い,生涯学習の場となる地域コミュニティーの育成という役割を担っていく必要があるのではないかという視点から,学校の在り方,地域コミュニティーの育成及び地域新興との関係について,特に取り上げております。
  本協力者会議といたしましては,個性を生かした教育を行うという観点に立ちまして,少し読ませていただきますと,3ページの中ごろですけれども,「一人一人の個性を生かした教育を行うとの観点に立って,教育課程の弾力化や特色ある学校づくり,開かれた学校づくりなどを推進することが必要であると考える。このため,教育委員会として力を注いできた学校の管理運営の適正を確保することを前提として,各学校において特色のある,創意工夫を凝らした学校運営を促し,支援することが教育委員会の重要な役割の一つになると考える」と述べておりますが,学校に自立性をより持ってもらう方向で,それを教育委員会はサポートするということで,新しい方向を考えていったらどうかという内容になっております。
  そして,「2」のほうの地域コミュニティーの育成と地域振興との関係というところでは,先ほども週5日制の話が出ておりましたが,学校のスリム化という問題もございます。中央教育審議会の答申の中にもございますけれども,そういうこととの関連も出てまいりますが,地域コミュニティーの全体の中に学校と教育委員会を置いて考えていく必要があるということでございまして,首長部局の関係行政機関との関係など,新たに連携し協力し合って進めていく施策があるのではないかということでございます。
  2番目には,このように学校と教育委員会の新しい役割を考えていくにいたしましても,それは市町村の規模や地域の特性との関係で考えていく必要がある部分がかなりあるということでございます。市町村の規模を見れば,政令指定都市はいうまでもございませんけれども,人口80万を持っているような堺市もございますが,人口200人程度の村まであるということで,そこで教育行政について考えるということでも,やはりその規模に応じた特性を考えなければいけないでしょうし,また,これは委員,専門委員の中でも議論がございましたが,地域によって学校中心で考えていくときの在り方というのは,随分困難も違うし,問題点も違うので,地域の特性を考えていかなければいけないという議論がございまして,そのことが書いてあるわけでございます。
  総論の最後でございますけれども,5ページに,地方分権の動向との関係ということを書いてございます。これは先ほども少し申し上げましたけれども,1995年から地方分権推進委員会が活動を始めて,現在,第三次答申まできており,かつ第四次答申が間近なようでございますけれども,文部省との関係では,教育長の任命承認制度の問題が再検討されることになっているわけでございますが,そのタイミングのことが触れてあるわけでございます。
  学校中心の管理を目指すという場合でも,条件がいろいろあるだろう。校長先生の権限はどうであろうかとか,地域の特性がどうであろうかとか,あるいは人口規模がどうであろうかとか,そういう条件を丹念に考えていく必要があるということを感じた次第でございます。
  以上で,私からの御説明を終わらせていただきます。

○  ありがとうございました。先ほども申し上げましたように,「論点整理」を基礎的な貴重な資料として,中教審としてさらに幅広い立場からいろいろ御検討いただいて,まとめという方向へ持っていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
  それでは,きょうは第1回ということでございますから,今後の地方教育行政の在り方について自由に御意見をいただきたいと思っております。  討議をしていただくに先立って,今後の審議の進め方について確認をしておきたいと思います。今後のこの地方教育行政に関する小委員会の審議の在り方については,前回の総会で確認されたとおりでございますが,幅広い視点から議論を行う必要がある。その一方で,ことしの8月に改訂されました御承知の「教育改革プログラム」において,その審議スケジュールが「教育長の任命承認の廃止と教育委員会の活性化方策等については,平成9年中を目途に取りまとめる」とされております。それを念頭に置いて,教育長の任命承認の廃止や教育委員会の活性化方策等,政府の地方分権推進計画に盛り込むような事柄については,少なくとも本年度中をめどに何らかの形で審議の成果を取りまとめることと,そのように前回の総会ではされました。
  したがって,我々の小委員会においても,そのスケジュールにのっとって,精力的に審議を進めてまいりたいと思います。お忙しい方ばかりですが,どうぞひとつその方向で精力的な審議をお願いしたいと思います。
  きょうは,自由討議という形で,新しく専門委員として参加していただく方々から,まず自由な御感想,御意見をお出し願いたいと思います。一通り御発言いただいた後,時間がございましたら,ほかの委員の方々からも御意見をいただこうと思っております。よろしくお願いいたします。

○  多岐にわたっておりますので,以下数点のみ,きょうの御説明を受けての私の意見を申し述べさせていただきます。
  まず,教育長の任命承認制の廃止を,地方分権の絡みからそのような勧告を受けていると聞きました。ここで既に調査研究協力者会議のほうから御指摘がございますが,教育委員との兼務の問題は,やはりこれからの教育委員会の活性化を考えるときに,ぜひ検討をしていくべき課題であるかと思います。例えば,私自身そうですが,教育委員としては非常勤の特別職であり,教育長としては一般職で,私は長いこと教育委員をしておりまして,それから教育長になりました。そうしますと,一般職の部長級になりますので,いわゆる格下げになるという形になります。
  こういう中で,教育委員と教育長の兼務は,これからの活性化を考えるときにはいろいろと難しい問題があるのではないかと思います。定例の教育委員会議に出す議題も教育長名で出し,教育委員の席に座り,事務局が説明,自分が賛成するというふうになるわけで,今まではそれで大した問題もないのですが,だんだん傍聴や公聴会が盛んになってまいります。自分で出した議案を自分で審議しているというのもおかしいことではないかと思いますので,この点,また御審議いただけたらと思います。教育長を議会の承認制にするとか,そういうことも一方では必要ではないかと思います。
  また,教育委員会の専門性について,いろいろと御指摘がございましたが,そのとおりだと思います。ただ,教育委員会の中の専門性を確保するときに,指導主事が非常に大きな役割を果たすにもかかわらず,市町村レベルでは現状におきまして,学校の教諭が指導主事になっております。学校の教諭は子どもの教育者ではございますが,教育行政を経験することなく,教育委員会に入りまして,例えばヒアリングとか,起案とか,あるいは組織で動くことを一切訓練されないままに,教育行政の重要な部分を専門家として担うということで,この点は,県の教育委員会も同様のように感じております。ぜひ文部省のほうから,教育行政の地方における専門性を確保するために,ぜひ御指導いただけるようなシステムが必要ではないかと感じております。
  また,学校と教委の関係は,学校が自立していくことは非常に重要であると思っておりますが,現状におきまして,ちょうど組合の厳しい時代に遭遇してきた人たちが管理職になっております。その意味で,学校の自立を考えるときには,学校の校長にすべて権限がいったときに,校長が大変厳しい立場に立つ。職員会議,その他のことで,いわゆる管理職として,非常に孤立化し,難しい状況になりかねません。私どもは実は主任制について,校長が任命するという方式を取ったために,ついこの間まで主任制闘争が現場で組まれ,大変苦慮いたしました。教育委員会が任命しているところはこれが割とスムーズにいったのです。自立性を考えるときには,そういう意味では,現場の現状を踏まえて,しかしながら自立できる仕組みをきちんと考えていくことが,ここでは重要ではないかと思っております。以上でございます。

○  私は役場の職員を長くやっておりまして,教育長になったわけであります。教育委員会に参りまして,教育というのは,行政から遊離してはいけないのではないのかなということを,まず一つ考えました。
  今の子どもたちを,文部省の諮問等でも,地域で育てるということがございまして,学校だけで子どもが育つのではないんでないかなと考えまして,まず,ふるさとを愛する心を育てようということと,小さいときから思いやりの心を育てることが大切でないかということで,「縄文ページェント」とか,「国際チャレンジデー」というのを,町民と一体になってやっています。「国際チャレンジデー」は世界的なスポーツイベントでありまして,町民が15分間スポーツをやって,その参加率を競うというのでありますが,国内と対戦しておりますし,イギリスのアシュボーンというところとも  ―ALTが来た町でありますが  ―対戦いたしております。6,800の人口なんですが,幼稚園も,保育所も,小・中学校も全部参加いたしております。約5,400人くらいの町民が朝から晩まで,15分スポーツをやった参加率を競うわけであります。
  それから,「縄文ページェント」というのは,町民オペラということで,1,400人くらいの町民が一丸となって取り組んでいる。幼稚園,保育所,小・中学生の子どもたちが全員参加しております。2年も前から練習をしまして,その舞台を成功させたいと,町民と同じ舞台で踊り歌って,終わると感動して,子どもたちが泣いているんです。学校教育の中で子どもたちが泣く,感動するというのは,そんなにないのでないかと思います。涙を流して握手をする子どもたちを見ますと,やっぱりふるさとってすばらしいとこなんだなと。子どもたちが大人になったとき,きっと心の財産になるんでないかなと思ったりいたしております。
  学校教育,社会教育が,琴丘町では密接な連携を取りながら,学校ごとにふるさと教育,福祉教育というのをやっているわけでありますが,そのまとめとして「縄文ページェント」というのを文化人を招聘いたしましてやっているわけです。
  私,いつも考えているんですが,先ほど指導主事のお話も出ておりましたが社会教育主事が学校に一人配置になると,学・社が連携し合って,子どもたちの学校外活動が盛んになってくるんでないかなと思ったりいたしております。文部省のスポーツクラブモデル事業というのをいただきまして,朝早く6時ごろから子どもたちが,それからお年寄りも,無線放送を使って30くらいの集落で,「おはようジョギング体操」というのもやっておりまして,これも17年間,ちっちゃい子どもたちが朝早くからスポーツをやっている。学・社が連携し合っていくうちに,子どもたちがふるさとはいいなとか,お年寄りを思いやるのはこういうことを学んでいっているんでないかと思っております。
  きょう説明のあったのとはかけ離れるかもわかりませんが,以上であります。

○  私は教育委員の経験もございませんし,きょう,いろいろ御説明を伺って,初めて学ぶことばかりでございますが,恐らくお声をおかけいただいたのは,一つは,横浜を含めて海外等で仕事をさせていただいております経営者の視点と,それから私はまだ40代でございますので,きょうは先輩方ばかりでございますが,40代というある意味で最も多感な世代の子どもを抱える一人の社会人という年齢層ではなかろうかと思いますが,そんな視点。
  さらには,数年前に社団法人日本青年会議所の会頭をさせていただきましたときに,先ほど来話が出ておりますが,地方分権を担当させていただいておりまして,私なりに振り返れば,10年ぐらい地方分権について,研究というのは苦手なんでございますが,各地の生の声をお聞きするために,足で歩いた経験がございます。そんな経験から,幾つか感じる問題点と,そしてまた,現行組織のある意味のすばらしさも含めて,感ずるところを今後申し述べてまいりたいと思っております。
  1点だけ,あたかもバラ色な地方分権というふうに論じられている中ではありますが,特に経済の視点と教育という視点では,ある意味では格差を覚悟しなければならない。そのあたりをどのように考えていくかというのが,実は先ほど来の教育長の任命承認の問題も含めまして大事なポイントではなかろうかと思っております。少し勉強させていただきまして,次回以降また率直に申し上げさせていただきたいと思います。以上でございます。

○  「論点整理」に一つだけつけ加えるとすると,この「論点整理」の中には十分反映されていないんですが,こういう点についても,できればこの小委員会で今後検討していってほしいという事柄が一つございます。というのは,この「論点整理」を読んでみておわかりのように,市町村教育委員会ないし学校への事務とか,権限の移譲が,メーンテーマの一つになっています。問題なのは,そうした市町村教育委員会とか,学校への事務とか権限移譲をしていく際に,それを受けとめ,そしてそれを十分こなしていく市町村教育委員会及び学校への支援の仕組みとか,条件整備は,そうした権限移譲を成功裏に進めていく上で,不可欠な問題ではないかという感じがします。
  御存じのとおり,財政構造改革の法案が今度の臨時国会に出されますし,また,当面3年間は集中再建の時期だということで,教育財政の面だけを増やすことは非常に厳しい状況ですけれども,そうした状況の中でも,例えば第7次の教職員定数の改善とか,教職員配置の見直しとか,あと小規模の町村教育委員会に指導主事が配置できるようなこととか,そうしたことを含めて,教育委員会や学校への支援の仕組み,そして条件整備を充実していくような視点も,できましたら同時に議論していただきながら,改革の方策をより具体化していければというふうにお願いしたいと思います。

○  先ほどからの「論点整理」の御説明で,これからの審議の方向は確認をすることができました。
  私自身もかつて地方教育行政にかかわっておりましたし,現在もさまざまな形で教育委員会とかかわりを持っているものですから,教育委員会がこれまでに十分成果を上げてきた点と,その中でさまざま問題を抱えてきている点を,私がかかわった狭い範囲ではありますけれども,十分承知をしているつもりでおります。どういう形で改革を行っていけば,活性化につながるかということについて,私なりに課題意識を持っております。やはり今後の方向については,かなり大胆に改革すべき点もありますけれども,教育委員会と一言に言いましても,その実態は非常に多様でありまして,その実態を十分踏まえて,特にこれまでに成果を上げてきている点等も考えに入れながら,改革をしていくことが重要であろうと思っておりますので,そんな方向で自分としても考えていきたいと思っております。
  なお,今後,私なりにこの問題にかかわるについては二つの強い課題意識を持っておりまして,一つは,私,ちょっと気になっておりますのは,家庭・地域と学校あるいは地方行政,あるいははっきり言いますと教育委員会との関係が,依存,批判,つまり教育を依存し,そしてその期待が十分達成されないと批判をするというような関係がなきにしもあらずでありまして,これをどんなふうにして連携,補完,一体化の方向に持っていくかということが,一つの課題であろうと思っております。そうした形になるように,つまり地域住民あるいは保護者の方々の要望,期待がどんなふうに学校教育に反映され,教育施策に反映されるかということが,私の一つの課題意識であります。
  もう一つの課題意識は,これから学校が新しい教育理念のもとに学校改善を果たしていかなくてはならないわけでありまして,これに資するといいましょうか,これをサポートできる教育行政,あるいは教育委員会になるためには,どういうことが必要なのか,こんな課題を持って,これからの論議に加わっていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○  私は演劇が専門でございまして,学校や教育委員会といった現場で直接触れ合ったことはあまりございません。むしろ私が子どもたちや先生方と触れ合う多くの機会は,演劇を通して,全国のいろいろな地域でもって,小学生から高校生までさまざまな年代の子どもたちと一緒に行う演劇活動でした。そういう活動というのは,主に地域の公民館や公共施設と一緒になって,どういう文化活動,芸術活動が子どもたちとできるかということを,ここ10何年かやってまいりました。
  それを通して,学校を超えて地域の子どもたちが一緒に活動をしたり,またその子どもたちの活動を通して,地域に住んでいらっしゃる皆さんが一つの場を共有したりということで,そういう現場を幾つか体験して,〈大変これは可能性のあることだな〉と思って,私自身の創作活動と同じぐらい自分にとって重要な活動と思って取り組んでまいりました。
  それがここ数年ちょっと変わってまいりまして,初めはお子さんを対象にしたものが中心だったのが,だんだん地域の学校の先生方が,「実は学校でもこういうことをやりたいんだけど,どういうふうに指導していいのかわからない」とおっしゃって,指導者を養成する講座を持ってほしいという声が随分いろんな地域から上がってきまして,今,手探りでもって指導者の養成,芸術活動を,何とかシステムとして,地域の公共施設,いわゆる行政の皆さん,それから先生方,住民の皆さんと一緒になって,新しい形ができないかということを模索している最中です。
  そうした場合には,決して現場の先生方だけではなくて,大学生ですとか,あるいは教育には直接携わったことのない一般の主婦の方やお勤めしていらっしゃる方なんかも,「そういうことであれば参加したい」という方が随分いらっしゃるんです。
  今回,学校,教育委員会ということが主な論点になってくるんだと思いますけれども,私自身がかかわってきたところから見えてくるのは,いかにそれを地域に開いていって,地域の住民の皆さん,いろいろな仕事をしている皆さん,民間ですね,それと一体となって,どう接していくか。子どもは子どもだけ,学校は学校だけと閉じていては,広い意味での問題の解決にはなっていかないのではないかと考えております。
  新しいことをいろいろ勉強させていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

○  ふだん教育委員会で,よく感じますことは,新しい政策ですとか,新しいやり方をいろいろ考えていく上で,事務局が国の動向をよく見てとか,国の方向はこういうふうになるので,こういうふうに考えましょうというような,割とそういう考え方が基本としてあるように思われます。今の制度のもとではそういうやり方をしていくものなんだなと理解しておりますが,地方分権推進のこういう時代でございますし,また子どもの教育にしましても,個々の個性の伸長の重要性がこれほど叫ばれている時代ですので,地方教育行政においても各地方の特徴といいますか,新しい思い切った教育の政策が打ち出せるということが,これからの時代,ぜひとも大事ではないかということを常日ごろ考えています。50年の節目で反省を込め教育の原点に立ち帰るということは,大変すばらしいことだと考えております。
  私のほうは2人の子どもを育てていて,心の教育が,今,本当に不足しているなと,常日ごろ痛感しております。京都では新しい試みとしまして,地域にある文化的なものに携わる社会人の講師を招くなど,子どもが文化・芸術にに直接触れられるようなことも考えられておりますし,そういうことがどんどん広まっていくように,心の教育ということは,やはり母親の立場としましても強調させていただきたいと思っております。私もいろいろ勉強させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○  2点,お話しできればと思います。
  一つは,先ほども50年ということ,あるいは分権推進という風潮の中でという御説明があったんですけれども,もう少し掘り下げてみる必要があるんじゃないか。すなわち,単にそういった問題だけではなくて,教育委員会制度自体が何らかの問題を抱えて,それがいろんな形で教育そのもののひずみと絡んできているという認識を持つ必要があるのではないかと,自分では思っております。
  これまでの御意見にもあったように,よかれあしかれの面があると思いますが,教育委員会制度というものが,現実的にトップダウンとしてしか機能していない。教育は大変いろんな問題を抱えまして,この中教審を初めとして,改革が中央から打ち出されるんですけども,それが都道府県,市町村,そして学校におりてくるという状況の中で,どんどんスポイルされてしまっている,実効性が伴わないという,この繰り返しをここ20年間ぐらいやってきたんじゃないかと私は思っているわけです。ですから,例えとしまして,新しい酒は用意されたけれども,その革袋は依然として古いというような状況で,地方教育行政の金属疲労といいましょうか,システム的な疲労がかなり深刻になっているんじゃないかと思っております。ですから,基本的にその枠組みを変えていくという必要性を認識しないことには,この改革は中途半端に終わってしまうんじゃないかと思っているわけです。
  いま一つは,言葉が過ぎるかもわかりませんけども,この論議に当たりまして,教育事大主義とでもいうような認識を廃す必要があるんじゃないか。「教育」という言葉がつきますと何でもきれいに見えちゃうというようなことが,日本ではまかり通っているんじゃないかと思います。先ほど言いましたように,システムを大きく変えていくという状況の中で,当然ながらいろんな混乱が起こってくる。例えば,任命承認の問題も,それを外したら,今までそれによって守られていたものがなくなってしまって,混乱を起こすんじゃないかという御意見も当然あると思うんです。やはりそれを恐れてはいけないだろうと思っております。
  地方分権ということを考えた場合に,極論しますと,地方の問題は地方の責任でやっていくんだということですから,仮に一時的に問題のあるような教育が起こったとしても,それは地方の責任として長い目で見ていいんじゃないかと,私はこう思っています。
  大げさな言い方をしますと,今の日本の社会というのは,「豊かさ」と「成熟」という二つの言葉であらわされる状況を持っているんじゃないだろうか。「豊かさ」は経済的な問題を中心に考えられるんですけれども,「成熟」ということについては,まだまだいろんなところが「豊かさ」についていっていない。教育のシステムもその一つの典型的な例ではないだろうか。今言いました地方行政ということを,地方分権という理念で行っていくという場合に,この「豊かさ」をどういう形で「成熟」に結びつけたらいいのか,そのシステムづくりをこれからやっていくべきではないか,こう自分では認識をしているつもりです。
  これまでの問題を真っ正面から見据えて,それを直す。大変口はばったいんですけども,政策とか,行政というものは,自己否定があまりないわけです。何が悪いか,何を変えなきゃいけないのか,それがあいまいのまんまに新しいものをどんどん積み重ねておる。それではやはり焦点がぼやけるんじゃないかと思っていますので,やはり何が悪かったかということを明確にした上で,処方せんを書いていくという改革であってほしい,また,ありたいと思っております。大変口はばったい言い方をしましたけれども,このような立場で考えております。

○  二,三感じていたことを申し上げたいと思います。
  私自身は,専門で言いますと行政学が専門でございまして,行政の仕組み,手続などを対象としておりますけれども,ディシプリンで言うと政治学でございます。教育行政につきましては,私,興味を持って,また教育行政学の友人もございましたけれども,教育というのはやや別な領域であると感じておりまして,今回まで積極的に自分のためのリサーチはしてこなかったんです。したがいまして,実務的な面,あるいは研究の面から,より深い知識をお持ちの方の御意見を聞きながら,私自身,物を考えておりました。
  一つ感じるのは,今の御発言にも関係があるんですけど,教育というのはどの程度行政一般の中で特別なのかという問題があるだろうと思います。教育長の任命承認の廃止をして,人事を考えるというときに,やはり二つ意見があるだろうと思うんです。より一般的な行政の側面から考えていけばいいという意見と,それでも教育は特別じゃないかという御意見があると思います。実際に協力者会議の中でも,そういうふうに二つございまして,私は考えていて,自分では結論を出しませんでした。
  教育委員に実際にだれがなっているかというのは,先ほどの資料でもわかりますように,実際に教職にあった方が教育委員になっている率が非常に高い。やはりそういう方でないとやりにくいということも,少なくともこれまでは,あると感じていた首長さんが多かっただろうと思うんです。それは報酬と関係がある面もあるかもしれません。報酬が非常に低いですから,わざわざ,しかもなかなか難しい教育行政の領域でコミットしてやっていただくということのためには,その領域でずうっとやってきた方でないと,その気になっていただけないということもあろうかと思います。ですから,そういうところまで含めて検討できたらいいなと思います。
  それと,どの程度教育が特別かということと関係があるのは,住民との関係がどうなのかということが,もう一つあるわけです。昔は,教育委員会を採用した当時は公選でやって,公選ではやれないというのは,これは単に中央からも「やめろ」と言っただけではなくて,地方の議会史を読んでみますと,地方の側からも「やれない」と言っているようでございまして,いろいろな意見が方々にあったと思いますけれども,任命制になった。しかし,東京都では御存じのように,準公選制と言われる試みも行われて,しかし,大体のところはそういう試みはしないで,今日に至っているわけです。そういう委員の選任のところで,住民との関係が議論にならないとしても,学校と教育委員会の責任関係を明確化して,学校の権限と責任を明確にしていくときに,校長先生が,先ほどの御指摘にもありましたけど,シビアな立場に立つかもしれない。そういうときに,住民は,校長先生,学校行政に対して批判の目でも見るけれども,またサポートもする存在である可能性がある。いろんな角度から住民との関係というのが重要だなと感じておりました。
  しかし,地域社会の中での学校という面については,比較的情報が少なかった部分であると私は思っておりまして,このあたりの情報をさらに新たにして議論が進められたらいいなと思います。以上でございます。

○  私は高等学校の教諭を12年ばかりやりまして,教育委員会へ社会教育主事で入りまして,その後,指導主事等を経験して,今日,教育長でございますが,30数年教育に携わっております。
  私はこの審議会で政令市の立場といいますか,あるいは中核市も半ば関係するんでありましょうが,そういう立場で,私の日ごろ経験をしていることだとか,思っていることを率直にお話をさせていただく機会を得ましたことは,大変ありがたいことだと思っています。
  私は常々,学校現場でいいますと一人一人の子ども,あるいは地域にありましては一人一人の市民といいますか,そこへ教育の土台を置いております。そうすれば,学校もそうですし,教育委員会もそうでありますし,あるいは国が大綱的にお決めになった施策であるとか,方針というものが,その末端のところで一番機能していくためにどうすればいいかということが,日々私たちの仕事であると思っているわけであります。そういう意味で,今回の議論というのは,そういうところに目を向けて,そこからいい芽が育っていく,よりよい仕組みができていくことはとてもありがたいことだなと思っております。
  先ほども申し上げましたように,政令市というのは,ちょっとむつかしい立場でありまして,特に都道府県教委と国との関係が,幾らか制度的に政令市は政令市の特例を持っているわけであります。そこで,特に12ある政令市と都道府県教委の関係が,率直に言いまして,円満な関係でなかなかいかないというのが,実は今日まであるわけです。都道府県教委というのは,高等学校は直接関与なさっておられますが,義務教育の小学校,中学校,あるいは学校教育と言いますと幼児教育等もそうでありますが,その部分は,教育事務所を経由して,市町村教委ということになりましょうか。特に義務教育の諸学校に対しては直接的な指導,あるいは住民対応というのはほとんどないわけです。
  そこへいくと,政令市というのは,義務教育もございますし,さらには政令市の中には高等学校も設置をしております。そうすると,県はどちらかといえば高等学校教育については御堪能でありますが,義務教育については御堪能でないという言い方は大変失礼な言い方でありますが,直接学校の状況であるとか,あるいは住民の状況はなかなかわかりづらいところがございます。そういう面でいきますと,政令市というのは,学校も,住民も直結をしていますから,日々の苦情処理もそうでありますが,現場で起こっている状況がつぶさに見えてくる。さらに,高等学校教育でいいますと,都道府県との関係が出てまいります。そういうことで,そのあたりが少し風通しのいいといいますか,地方教育行政を考える場合に,政令市と都道府県,さらには中核市,さらに市町村教委との関係が,この議論の中から深まって,いい形のものにさらになればいいなという思いを持っております。
  そういう意味で,高等学校教育にかかわって,設置の問題であるとか,あるいは人事制度の問題等と非常に密接に関連がございますので,政令市との関連といいますか,役割・機能分担といいますか,そこらあたりを少し整理をしてみたいと思っております。
  もう一つ,同じような現象が,特に政令市にはあるわけでありまして,高等学校をそれぞれの市が設置をしております。と同時に,私立学校との関係が非常に複雑になります。都道府県は知事部局に私立学校に対する指導の権限がというものがあるわけであります。ところが,実際には,大都市と言われております政令市には,私立学校は実は大変な数あるわけでありまして,その関係において,指導・助言という部分で言いますと,都道府県知事がおやりになることになりますが,子どもの教育ということにかかわりますと,私立学校との関係を抜きにして,これを語るわけになかなかいかない部分があります。特に助成の問題もそうであります。補助といいますか,私学の振興にかかわっての助成の問題等も,政令市等にはかなりのウエートで課題がかかってまいります。そういう私立学校との関連も,私は検討してみていただきたい一つのテーマでもあります。
  それから,学校現場の様子も,自分なりに経験上わかります。ただ,教育委員会に入って,私がこんなことを申し上げるのもなんでありますが,学校のスリム化と同時に,教育委員会内の事務処理といいますか,あるいはスリム化といいますか。もちろん,機能であるとか,組織の充実というのは大変なテーマでありますし,やらなくちゃいけないことだと思っておりますが,一方で地方分権,あるいは行財政改革の中で,教育委員会の組織を充実していくと同時に,これは先ほどありましたように,生涯学習であるとか,文化の機能の部分を,首長部局のところへ持っていくのがいいのか,教育委員会に置いておくのがいいのかという議論は結構あるわけでありまして,そういったことも含めまして,教育委員会自体もスリム化をしていかなくちゃいけない。そういう意味では,思い切って点検をしてみるといいますか,私自身でいえばそういう作業もしてみなくちゃいけない。その中で,制度的にどういう仕組みに変えていけば,組織が機能して動くか,ということが見えてくるのではないかという思いもいたしております。
  漠然としたお話になりましたが,これから私の立場の中からいろいろと御意見を出させていただこうかなと思っておるところでございます。以上でございます。

○  新しく参加される委員の方々に一通り御意見をお伺いしました。これから御一緒に審議を深めていく中で,地域コミュニティーによる子どものための本当の教育のための,21世紀を展望した新しい地方教育行政の在り方について大きな方向をお出しいただけるものというのが実感でございます。ただし,私の進め方がよければということになりまして,責任も痛感いたします。
  ほかの委員の方々は,前回の総会でも御意見をいただいておりますが,きょう改めて資料についての説明をお聞きいただき,かつ新しい委員の方々の御意見等を伺いながら,こんな方向でというようなことを,御感想も含めて一言ずつ御意見をいただきたいと思います。時間が何分か超過するかもしれませんが,よろしくお願いします。

○  校長に権限移譲する方向だというお話ですけれども,その場合に,学校として受け皿がどうあるべきかということが非常に大事な要素だなという感じを受けました。1点だけですけれども,以上です。

○  これから長い会議ですけれども,確かに国から教育委員会,教育委員会から学校に,いろいろと責任を少しずつずらしていくというのは,もちろん大事ですけれども,同時に現行でも,例えば学校でいえば,学校で創意工夫によってできる部分というのは相当あるにもかかわらず,ややもすると国とか教育委員会が何かがんじがらめにしているんではないかと言うとか,その辺のところをはっきりしておきませんと,一般の人たちというのは非常に誤解を受ける。ややもすると学校なんかががんじがらめ云々,創意工夫できる余地がないとか言われるその基本は,やっぱり人だと思うんです。優秀な人材がそれぞれのところにいれば,かなりの思い切ったことができる。そういう人材をどのようにしてそれぞれの場所で登用するか,こういったことも大事かなと思っています。以上です。

○  校長の権限がそれだけ増えるということで,厳しくなるというお話がありましたが,地域にある学校が生涯学習の拠点となるというようなことも含めて,その中で,地域に開かれた学校づくりをするために,校長,教育委員会との相互間系,教育委員会の支援というような構図が,これからまさに必要になってくるのではないかという感じがしました。
  それと地方分権ということで,教育委員会のほうですが,これまたかなり負担な面が出てくるだろう。規模の違いはあれ,教育委員会という制度がある以上は,それなりの仕事内容も変わらない。とすれば,その辺,最低限度しなければならない仕事量はどうあるべきなのか,教育委員会の仕事内容をもう一度洗い出す必要があるのかなという感じがいたします。

○  特色ある学校づくりとか,開かれた学校づくりとか,第一次答申の趣旨に従えば,今までの学校経営とは違った視点が必要ではないかと思います。今までは校内だけ,生徒あるいは教職員だけに視点を当てて,教育課程を編成し,運営していけばよかったのですが,これからは学校外とのかかわりをどうするかということで,地域の力を導入することは当然でしょうけれども,そのようなときに,校長の裁量が大きな意味を持ってくるんじゃないかと思います。
  また,そのこととかかわって,教育委員会のサポートですね。例えば,一つ取り上げますと,諸資源の配分は今一律的ですけれども,これの改善を図ることがあげられます。あるいは,新しい形での学校と教育委員会とのかかわりも探っていくことも必要でしょう。  もう1点は,子どもたちの豊かな生活環境をどうつくり上げるかということについても教育委員会としての新しい仕事になるのかもしれません。

○  先ほどから,教育委員会と学校との関係というお話も出てまいりました。どなたかの発言の中に,トップダウンの機能が教育委員会の機能として強過ぎたのではないかというお話がありましたが,学校から,いわゆるボトムアップの方策が逆に少なかったのではないかというところも感じております。教育委員会と学校との関係ですが,今までも特に学校から,つまり特色ある学校づくりとして方策を教育委員会に求めて,支援を受けているという例はたくさんありますが,今後ともさらにそれが強くなるような学校づくりといいましょうか,特に第一次,第二次答申の中にありました,個性を生かす教育をさらに学校教育として求められている中で,ボトムアップ的な方策を教育委員会にどんどん出せるような学校づくりが求められているのではなかろうかという感じを持っております。
  そういったこともあわせて,学校と地域との補完の方法でしょうか,それがどうあるべきかということについても,今後,勉強させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○  「論点整理」をいただいた中で,保護者や地域に対して学校経営上の責任の所在の明確化ということが言われております。これまでにも学校といたしましては,教育課程の実施等について説明はしてきたところですけれども,この辺のところをもっと丁寧にしていかなければならないのかなと。そのために,どのような御支援を教育委員会等からいただけるかということについて考えていきたいと思います。
  同時に,私たち自身が教育行政の先端にもいるんだという認識を持って,学校経営をしていかなきゃならないと考えました。

○  この前も一般的な意見は申し上げているので,重複は避けたいと思うんですが,これからの地方教育行政の在り方を考える際に,先ほどもありましたけれども,これまで,かなり誤解に基づいて,国が地方なり学校なりをがんじがらめにしているという,確かに相互の不信の中からそういう議論を空中戦で闘わしておった時代がかなり長くあったということは,私自身も十分わきまえているつもりです。
  それにしても,第一次答申や第二次答申でその基調にしている「ゆとり」や,あるいは子どもたちに「生きる力」をはぐくむということを具体的に実現していくのは,やっぱり子どもたちにより身近な学校なり,市町村教育委員会のやる気をどう起こすか。そういう意味では,裁量を拡大していくのは基本的に望ましい方向だと思っているわけです。
  そこで,きょうもかなり詳しく「論点整理」について説明を受けましたし,協力者会議のメンバーの方からも補足していただき,全体像はよくわかったつもりですけれども,ただ一つ,ちょっと気になるのは,最終的にどういう議論で落ちつくかは別にして,「論点整理」の中で,国の役割という部分についても若干の指摘はありますけれども,どちらかというと都道府県から市町村へ,市町村と学校との関係というところに,「論点整理」の問題の指摘が,ボリューム的にいえばかなりそっちのほうにウエートが置かれているなという感じを率直に受けています。ただ,大臣の都道府県なり市町村に対する指導・助言・援助ということで,措置要求とか,改善命令との関係の見直しについては的確に触れられているんですけれども,それ以外の一般的な指導行政の面でもう少し検討の余地があるのではないかというのが,今の段階での感想です。
  それと,私もこの夏,10数ヵ所いろいろ呼ばれて,中教審の答申内容についての説明をずっとして回ったんですけれども,その中で,私が回るところが公立学校というせいもありますが,私立学校に対する行政とのかかわりという点で,例えば,端的に言うと学校週5日制の問題に関連して,私立での隔週2日というものが,公立に比べて低い実施率になっているということも含めて,今後,教育の公共性ということから考えて,私学の問題をどういうふうに考えるのかということについて,重要なポイントの一つではないか。もちろん,今の私立学校法なり,私学振興助成法を基本的に認める立場には立っていますけれども,指導行政,カリキュラムとか,そういう面についての専門的な立場からの,特に都道府県の教育委員会が私立の高校等に対してどういう指導の権限を持つのかということについて,少し掘り下げた議論が必要ではないかということを感じております。
  次に,審議の進め方ですが,都道府県,政令市,中核都市,その他の市町村で実態が違うということで,10月に何か現地調査が計画されているようでありますけれども,できるだけそういう規模の違いを  ―これだけの人数で行くんですから,5人か6人ぐらいで班をつくって行くんだと思うんですが,できるだけ都道府県レベル,政令都市のレベル,中核都市のレベル,その他の市町村ということで,三つ四つの班をつくって,それぞれの規模でどういう課題を今日的に抱えているのか,委員で分担して,全体に報告できるような調査にしていただきたいという要望を1点申し上げておきます。以上です。

○  先ほどのいろいろな話の中で,あたかもバラ色の地方分権と言われているけれども,格差を覚悟しなければならないというお話がありました。まさにそのとおりだと思います。ここに出られている方々が体験していることとは別の世界が必ずあるんだということを,私たちは見ていかなければならないのではないかと思っております。
  それから,校長先生に権限を与えるということに対しても私は賛成なんですけれども,今もある程度の権限は持たれている。しかし,それをやるかやらないかは,その先生の資質でありまして,幾ら与えたからといって,それがそのままバラ色につながるとは絶対にならないということ。その校長先生の資質にものすごくかかっているということを,私は多くの校長先生を見ていて感じました。定年が間近になると,本当に事なかれ主義,無事に終わればいいと。私は最後まで完全燃焼してほしいと願っていても,「いやあ,もうやめましょうよ」というようなことを言われると,がっかりきます。いろんな権力を与えても,それをどう使うかはまさにその人の資質だと思っております。

○  私としては,校長の権限が,今でもあるんですけど,しっかり行使できるようにということで,校長の資質と教頭の資質というのは恐らく違うんだと思うんです。全く新たな校長の人事を考えなきゃいけない,だれが適切だとかいうようなことで。教頭を終わったら校長だというふうなコースではなかろうということが一つ。
  それから,校長を支える地域のアドバイザリーボードというものがどうなるのか,その辺もひとつ在り方を考えてみたいと思います。恐らくこの在り方によって,相当な混乱はあるでしょうけれども,混乱を恐れていては民主主義はないだろうと思いますので,そういう意味では,教育は地方にあり,の実践につながる論議をしたいと思います。以上です。○  地方教育行政に関する小委員会の議論が,調査研究協力者会議の「論点整理」という流れが基準になって進められるというふうに先ほどお伺いしたわけです。今,その関係で,この「論点整理」を勉強させていただいたわけですが,流れとしては,地方分権,規制緩和という流れの中で,適切な対応を議論していくという意味では,この議論は時代に合ったといいますか,今の社会が要求していることにこたえようとしているということであろうと思うんですが,一つ疑問がございまして,確認をさせていただきたいんです。
  一つは,今,御指摘がありましたが,私立学校の問題であります。私立学校に関しては,「論点整理」の19ページ以降に書かれているわけですが,この御意見がいいとか悪いとか,そういうことを申し上げようとしているわけではなくて,これから議論するということなんでしょうが,この「論点整理」のまとめの流れを見ていますと,関係の方にいろいろ意見を聞いてまとめておられるんですが,私学の問題に関しては,首長部局の御意見をお聞きになってられるようですが,対象になっている私立学校の意見というのはお聞きになられたんでしょうか,というのが1点です。
  それから,この議論の行き着くところは,私立の独自性と公共性をどうバランスを取るかという議論で,非常に際どいといいますか,しっかり議論しないといけない,非常に重要な問題が含まれていると思いますが,きょうは時間が取れませんので,その御質問だけをさせていただくことで,今後の議論にゆだねたいと思っているんですが,ちょっとその点だけ。

○  それでは,私のほうからお答え申し上げます。
  協力者会議におきましては,冊子の43ページに審議の経過をお示ししてございます。いろいろな関係の方からヒアリング等も行っているわけでございますが,今御質問のございました私立学校関係者からのヒアリングについてはいたしておりません。

○  きょうのいろいろな御報告で随分勉強させていただきました。現状の問題点を踏まえて,どのように行政を直していったらいいかという方向の基本線は大変結構だと思うんですが,せっかく第一次,第二次答申として「生きる力」を育てるためのいろいろ具体的な方策を提言してまいりましたので,そのような観点から,それぞれ国,地方,学校の在り方を見ていければいいなと思っております。
  例えば,地域・家庭・学校の連携と言います。これが本当にしっかりしていくには,国から学校の末端に至るまでの全体の組織が,新しい「生きる力」を育てるための地域学習支援組織体として機能していく必要がある。21世紀に向けた地方教育行政というのがテーマですので,総合的な地域の学習を,地域特性を生かし,地域の文化を生かし,地域の自然を生かす,個々の個性を持った地域の教育が一番うまくいくためのリソースをどうするか,仕組みをどうするか,決まりをどうするか,それぞれがそれぞれのランクにある組織体とその相互関係がうまくいくようにしくむ。
  実際,今までやってこられて,大体は最適化されて,うまくいっているのが日本の教育行政だと思うんです。それでも硬直化する部分が出てきている。うまくいっているところもあるんで,うまくいっていないところだけ見て,うまくいっているところが何かやりにくくなるようなことがないように,うまくいっているところがあるのにもかかわらず,うまくいっていないところがあるのはなぜか。直すには,すぐに法律をいじるとか,いろんなことをするんじゃなくて,今の組織とか,決まりとか,リソースの使い方の問題でもあるから,その上手な使い方についての勧告部分と,それから本質的に変えなきゃならない部分とを仕分けして議論していただければと思います。

○  私,第一次,第二次答申のときから考えているんですけれども,今回は教育委員,教育長などをなさっている方が随分大勢入っておられたので,私は大変心強いと思います。私自身,あまり問題をよく知らなくて,今までの答申のところは,私の専門そのものが随分かかわっていたんですが,行政ということについては,私は全くの素人で,前回から大あわてでいろいろ勉強しているところでございます。
  ただ,現場で教育をしていてこういう行政の話を聞きますと,実際起こっているいろいろな問題と,行政レベルで言っているときと,率直に申しますと,先ほどのお話のように,空中戦をやっているというような感があるんですね。実際のところは,もっと生々しいような,いろんな面倒くさい問題がたくさんあるわけですけれども,それをどうやって教育委員会が知って,サポートするのかということは,大変難しい問題ではないかと私は思っています。

○  いろいろときょうは貴重な御意見をありがとうございました。きょうは自由討議という形でしたが,きょうの議論は以上までとさせていただきます。
  今後の進め方でございます。本小委員会の当面の会議日程については,資料6にございますが,きょう説明のあった資料なども踏まえて,次回,もう少し突っ込んだ御討議をお願いしたいと思っております。これは自由討議という形で進めさせていただければと思っておりますが,問題点を深めるという方向で考えさせていただきたい。
  また,その後,先ほどもございました,教育委員会においてどのようなスタッフが,どのような仕事をしておられるのか,実地に見ていただくことが大事だと思いまして,その際に関係者との意見交換もしていただくというようなことを考えまして,御都合のつく方に,教育委員会等の現地調査を行っていただいてはどうかと考えております。
  そのことも含めまして,具体的な日程としては,資料6のとおり,10月20日,第2回小委員会では,きょうに引き続いた自由討議で,問題点を深めていただく。
  それから,10月27日に,詳細はまだ決めておりませんが,先ほど規模別にというようなこともございましたが,例えば2班程度に分かれて,近県の教育委員会等の現地調査を実施したい。
  そして,11月5日の第3回小委員会以降については,審議の状況を見ながら考えていきたいとは思いますが,なるべく論点の焦点を絞りながら審議を進めていって,その際,必要に応じてヒアリングを実施するということも考えております。
  大体そんな進め方ではどうだろうかと考えておりますが,いかがでございましょうか。
  では,そういう進め方で,またいろいろ考えさせていただきます。それでは,当面は資料6のとおりに進めさせていただきます。
  現地調査等について,御意見があればお寄せいただきたいと思います。最終的には私に一任いただければと思います。
  なお,前回の総会で,資料7のとおり,「一日中教審」の開催が決定されました。前回の総会でも説明があったわけですが,御出席いただくのは委員の方と出席を希望される専門委員の方ということになりますので,出席を希望される専門委員の方々は,事務局のほうまでお申し出いただきたいと思います。
  次回は10月20日,月曜日,13時から,霞が関東京會舘のゴールドスタールーム,35階でございます,そこで開催いたしますので,どうぞよろしくお願いいたします。
  そのほか,今後の進め方等について,個別に御意見をお聞かせいただければありがたいと思います。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
  きょうはどうもありがとうございました。


(大臣官房政策課)
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