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参考資料1.主要国の教育改革の動向

 アメリカ合衆国
イギリス
フランス
ドイツ
フィンランド
中国
韓国

平成23年8月
生涯学習政策局調査企画課

アメリカ合衆国

1.改革の背景・経緯・目標

背景・経緯

○国際競争力の低下…基幹産業における国際競争力の低下。

○グローバル経済の進展…国際経済競争の激化。

○景気低迷と州財政の逼迫…リーマンショックに象徴される深刻な景気後退とそれによる州の歳入減。

○移民の増大…中南米を中心とする外国からの移民の流入と移民家庭の増大。

○学校教育の質の低下…学力低下への懸念,学校の荒廃,いじめ・校内暴力。

○連邦政府の指導力…教育改革の振興に向けた法律(1994年の「2000年の目標:アメリカ教育法」,2002年の「落ちこぼれを作らないための初等中等教育法」,2009年の「アメリカ再生・再投資法」)。

目標

○学力の底上げ(初等中等教育)。

○高等教育の機会拡大,教育研究活動の質の向上(高等教育)。

2.改革の内容

初等中等教育

○公立学校の教育成果に対する責任(アカウンタビリティ)を重視した州の取組み…各州が教育スタンダードを策定し,対応する州内統一の学力テストを実施。個々の公立学校の成績(教育成果)を公表。2010年には各州が共同で教育スタンダード(英語,数学)を策定(8割以上の州が導入)。

○アカウンタビリティを重視した州の取組みに対する連邦の支援策…「落ちこぼれを作らないための初等中等教育法」により,各公立学校の教育成果に応じて報奨金や教職員入れ替え等の措置を導入・実施した州及び学区に対して財政支援を実施。

○教育機会の選択拡大に向けた州及び学区の取組…ハイスクールの生徒に対する大学レベルの教育機会の提供(APプログラム,中等後教育機会選択制度),チャーター・スクールの設置。

高等教育

○連邦の進学支援策(連邦奨学金事業)の拡充…給与奨学金の限度額引き上げ,連邦直接貸与奨学金の拡充等(学生の負担軽減)。

○州の高等教育行政の効率化…州立大学の管理運営体制の再編,学部学科の改組等,組織のスリム化。

○連邦のアカウンタビリティ政策と大学・関係団体の対応…授業料など学費関連情報等の公開の要請(連邦教育長官諮問委員会報告,高等教育機会法)。高等教育団体による個別大学情報の公開サイトの創設。

○民間の質保障制度(アクレディテーション)の改善…学部学生を対象とする学力調査による学生の学力や学習行動等,大学のアウトプットに注目した大学評価の実施。

生涯学習

○連邦の高等教育卒業者増大構想…すべての米国民のコミュニティカレッジ卒業以上の学位・資格の取得を目標に,修了率向上等を目指した教育プログラムの開発や教職員の拡充,施設・設備の整備などのコミュニティカレッジによる取組を対象とする連邦補助金を新たに導入。

○教育段階間の接続強化…州教育行政組織の再編や検討委員会の設置,州法の改正等。

イギリス

1.改革の背景・経緯・目標

背景・経緯

○知識基盤型経済の浸透,社会経済のグローバリゼーションの進展,国際競争の激化。

○児童・生徒の学力の低下…国際学力調査にみられる児童・生徒の学力水準の低下に対する危惧。

○保守党自由民主党連立政権の成立(2010年5月~)…緊縮財政を背景に教育政策の見直し。ただし,教育水準やアカウンタビティの向上の方針を継続。学校選択の拡大と競争的環境の醸成。

○上記連立政権の今後の教育政策の方針を示す「教職の重要性」(2010年),「高等教育の中心に学生を置く」(2011年)の公表。

目標

○国民の教育・技能水準の向上…21世紀の国際競争に耐え得る国民の教育・技能水準の実現。

2.改革の内容

初等中等教育

○全国共通カリキュラム(国の教育課程基準)の見直し…内容をスリム化し(英・数など基礎教科の重視),教員の教育課程編成の裁量を拡大。

○11歳全国テストの見直し…11歳テスト(初等学校最終学年で英語及び算数の2教科)を継続(7歳・14歳はすでに廃止)。ただし,分野により教員による評価を重視の方向。

○学校裁量の拡大と学校選択の幅の拡大…公費により維持されるが大きな裁量を有する学校(アカデミー,フリースクール)の普及。学校別成績一覧による公表内容の改善。

○学校監査の継続…優れた学校の監査を軽微にし,課題を持つ学校の支援に重点。

○教員資質の向上…学卒者教職課程入学者のうち,一定の成績に満たない者に対する財政支援を停止。教職課程における教育実習の時間を増加。

高等教育

○高等教育の拡大…社会経済的に進学困難な学生に対する支援の充実(貧困家庭の学生に対する給付,パートタイム学生に対する貸与拡大など),国の入学定員管理の弾力化,アクセス拡大の観点から各大学の入学方針を監視する機関の権限強化,標準化した各大学の情報開示の促進。

○授業料導入…受益者負担の原則を継続(2012年から授業料値上げ)。ただし,授業料及び生活費を貸与し修学中の負担は原則なし。

○大学の教育・研究の評価…研究評価の結果に基づく補助金の傾斜配分を継続。

生涯学習

○全国的な資格制度の改善…既修量の単位化により,資格取得を柔軟にし,資格の流通性を高める。

○働きながら訓練を受ける「見習い訓練制度」の拡充。参加企業への補助を検討。インターンシップの拡大。

○成人のインフォーマル学習支援…学習の場の拡大,学習ネットワークの形成,高齢者や社会経済的に困難な人々の学習及びITの活用を支援。

フランス

1.改革の背景・経緯・目標

背景・経緯

○経済成長と競争力強化・・・知識主導型経済と情報化社会への対応。

○学業不振…初等中等学校及び大学における留年・中退の多さ。

○教育機会の格差・・・社会的・経済的・文化的背景に関わらずすべての子どもに対する平等な教育機会の提供が課題。

○「学校基本計画法(2005年)」及び「大学自由責任法(2007年)」に基づき近年の初等中等及び高等教育における諸改革を実施。  

目標

○国民の教育水準の向上…基礎学力の向上,高等教育の拡大と質の向上。

○教育の機会均等の保障。

○世界最高水準の高等教育・研究拠点の構築。

2.改革の内容

初等中等教育

○「共通基礎知識技能」の制定…義務教育段階において児童・生徒に完全習得させるべき知識技能を制定(2006年)。

○個に応じた多様で柔軟な教育…小学校の授業時数を週2時間削減(2008年度~)。削減した2時間を補習が必要な児童に対する個別補習指導に充当。

○リセ(高校)改革…生徒一人ひとりに「成功」を保障することを目的に,個別指導や進路指導の充実,普通科と技術科の格差を是正するなどの取組が進められている。2010年度の第1学年から学年進行で新課程を導入。

○バカロレアのコース間の格差是正…職業バカロレアの取得年限を従来の通算4年から普通バカロレアと同じ3年に短縮(2009年度~)。

○優先教育の実施…社会的・経済的・文化的諸事情から学業不振の児童・生徒が多い地区を指定して教員加配などにより教育条件を重点的に改善(1982年~)。

○教員養成改革…教員の採用要件を修士号取得者とし,教職を目的とした修士課程を整備(2010年度~)。

高等教育

○留年・中退の抑制…大学1年次における留年・中退の深刻化(約5割が進級不可)を改善するため,中等教育からの接続の改善,補習指導の実施等,修学環境の充実化。

○大学の自治の強化…大学自由責任法(2007年制定)により,大学における意志決定の効率化や組織・予算・人事に関する権限の拡大。

○魅力あるキャンパスの構築…高等教育・研究の充実及び大学施設整備を図るため,高等教育機関及び研究機関が連携して打ち出したキャンパス計画を10選定し,財政支援を行う「オペラシオン・キャンパス」計画を開始(2008年)。

○欧州標準の学位体系の導入…大学の課程区分を学士課程(3年),修士課程(2年),博士課程(3年)に改める(従来は第1期課程2年,第2期課程2年,第3期課程4年)。2006年にすべての国立大学で導入。

生涯学習

○「経験知識認証(VAE)」制度の創設…職業経験の審査によって職業資格・学位を授与(2002年)。

○学習機会の充実…国立通信教育センター(CNED)が初等中等教育段階の授業内容をウェブサイト上に無償提供(2010年)。

ドイツ

1.改革の背景・経緯・目標

背景・経緯

○移民の増加,1990年の東西ドイツの統一…経済的,教育的格差。

○EU統合・拡大,市場の国際化…人の移動の自由化と国際競争。

○国際学力調査での低調な成績…TIMSSショック(1996年),PISAショック(2001年)。

○高等教育人口の拡大…高等教育財政の逼迫,教育研究条件や就職条件の悪化。

○生涯学習の観点に基づく教育改革の実施…包括的な教育計画「ドイツのための資質向上策」を策定し,就学前教育から学校教育,高等教育,職業教育に至るまで横断的な視点で様々な教育改革を実施。

目標

○学力の向上。

○国際競争力の強化。

○高等教育・研究の質の維持・向上。

○教育機会の向上,生涯学習社会の構築。

2.改革の主な内容

初等中等教育

○全国共通の教育スタンダードの開発・導入

○複線型学校制度の見直し…中等教育段階の学校種によりその後の進路が定まってしまうことへの懸念などを背景に,多くの州が学校種の統廃合を実施。

○国内学力調査…州間比較調査やPISAの追跡調査などを実施。

○教育年限の欧州標準化…基礎学校(小学校)からの通算年限を13年から12年に短縮。

○重点的な学習支援…ドイツ語を母語としない子どもへのドイツ語学習支援強化,全日制教育プログラムによる在校時間の延長。

○早期外国語教育の推進…基礎学校で英語等の授業を導入(多くの州で第3学年から,一部の州で第1学年から必修化)。

高等教育

○学士・修士の導入…伝統的な学位(ディプローム,マギスター)に並行して,国際的に通用度の高い学位(学士,修士)を導入,それぞれの学位取得課程の質を維持・向上。

○授業料制度の見直し…学生規模の拡大などに伴う近年の財政難を背景に,複数の州が第一学位取得課程の在学者を対象とした授業料制度を導入したが,そのうち一部の州が廃止。

○業績主義の導入…教育・研究に関する機関評価と評価結果を予算配分に反映。

○ドイツ版COEプログラム「高等教育のためのエクセレンス構想」…連邦及び州が卓越した大学に重点投資。

生涯学習

○職能開発奨励制度の充実…高度な職業資格取得を目指す在職者のための「マイスター奨学金」を創設。

○職業教育と高等教育の接続の改善…職能が特に高い大学生を対象とした「キャリアアップ奨学金」を創設,大学入学資格を持たない高度な職業資格保持者に対する大学受入れ条件を全国統一化。

○ドイツ資格枠組み(DQR)の開発…あらゆる資格,学位,学習成果を8水準に分類。

フィンランド

1.改革の背景・経緯・目標

背景・経緯

○景気低迷…1990年代初頭の不況。高い失業率(20%以上)。

○情報化に対応した産業構造の変化…景気回復に向けたIT産業等の成長促進。

○国際関係の変化…ソビエト崩壊による国際関係の変化。EUの統合・拡大。

○PISAの成果に裏付けられた1970年代からの持続的な教育改革(総合制学校,個に沿った教育など)

○5年間の中期計画である「教育と学術研究2007-2012:発展計画」を策定し,教育機会の拡大や成人教育の充実,財政制度の改善,研究開発の強化,国際化の推進など必要な施策を実施。

目標

○新しい時代(情報化,国際化等)に対応した人材の養成。

2.改革の内容

初等中等教育

○格差是正に向けた教育課程基準の改訂…1994年の改訂で大幅にスリム化された教育課程基準を,2004年,地域や学校の格差を是正する観点から改訂・増補。

○教員養成改革…1995年より初等及び中等教育教員となるために修士号レベルの学位(通算5年間。学士レベルは3年間)の取得を要件化。

○ドロップアウト等防止策…基礎教育終了促進・ドロップアウト防止のため事前指導の普及に向けた取組。

○教職員の現職研修支援事業(OSAAVA)…公立学校を所管する地方政府による現職研修機会の提供を促進するため財政援助(2010-2016年)を実施。

高等教育

○中等後職業教育機関の統合…分立していた多様な職業教育学校を高等専門学校に統合。

○国立大学の法人化…2009年大学法により国立大学を法人化し,各大学の自治を強化。

○高等教育機関の国際化戦略(2009-2015年)…2015年までに到達すべき交換留学生の比率の設定や,留学等の国際経験を学位取得要件とすることを大学に求めるなど。

生涯学習

○成人教育改革プロジェクト(AKKU)の推進…職場訓練の拡充や資格制度の整備,移民に対する言語教育の充実等を内容とする成人教育の総合的な改革を2010年より実施。

中国

1.改革の背景・経緯・目標

背景・経緯

○経済発展戦略の一環としての教育改革…1970年代末から経済発展を中心とした現代化建設,改革・開放政策の推進。

○文化大革命による教育の立ち遅れからの回復と教育改革の推進…教育普及と質の向上を目指し,1985年「教育体制改革に関する決定」,1993年「中国の教育の改革及び発展についての要綱」,1999年「21世紀に向けた教育振興行動計画」などに基づき改革推進。また,2010年7月に発表された「国家中長期教育改革・発展計画綱要(2010~2020年)」では,教育の地域間格差解消を推進。

○2001年の世界貿易機構(WTO)加盟に伴う経済のグローバル化や知識基盤社会への対応。

目標

○「教育大国」から「教育強国」へ,「人的資源大国」から「人的資源強国」へ。

○国民全体の資質向上・創造的人材の育成。

○子どもの様々な資質を全面的に伸ばす資質教育の推進。

2.改革の内容

初等中等教育

○9年制義務教育の地域間格差の解消及び質の向上…義務教育の普及により顕在化した地域間格差の解消及び教育資源や教員資質の向上。

○教育内容・方法の多様化…地方・学校が定める課程や総合的な学習の時間の導入,教科書の多様化。

○資質教育の推進と受験競争の緩和…学習負担の軽減,徳育・体育の強化や睡眠時間の確保,栄養状況の改善による健康維持,学校選択問題の解決,少人数学級の推進。

○流動人口に対応した義務教育の実施と義務教育後の進学制度の整備。

○後期中等教育の普及及び多様化,高級中学での資質教育に基づく教育課程の改革推進。

○職業教育の拡充・支援。

○教員の資質向上…養成・研修の拡充・支援による(特に農村地域の)教員の資質向上。給与水準の向上や業績給の導入,社会保障の充実等による教員の地位・待遇の向上。

高等教育

○高等教育の規模拡大及び質の向上によるハイレベルな専門人材の大量養成。

○国家や地域の経済・社会の発展のニーズに対応したシステムの最適化・動態化,及び地方主体の管理・維持体制の推進。

○専門的な機関や民間の機関による大学評価や,予算管理の情報化,規範化の実施。

○青壮年教員を対象とした資質の高い教員の確保…ハイレベルな大学や研究機関等での研 修・海外に留学した優秀な人材の任用・教員補助の設置。

○就職や起業に関する教育や就職指導の強化。産業界と連携した人材育成。

○継続教育サービスの提供,海外との交流。留学生受入れ事業の拡大。

○特定の大学・学科への重点投資である985プロジェクト,重点学科創生プラットフォーム建設計画,211プロジェクトを継続実施。科学研究レベルの向上と海外との連携。

生涯学習・その他

○学習社会形成のための継続教育の拡大…単位累積・互換システムの導入,公開大学の運営,資格試験制度の積極的利用等。

○教育の情報化の推進…都市と農村をカバーする教育情報化体系やインターネットを利用した教育資源体系の構築。

韓国

1.改革の背景・経緯・目標

背景・経緯

○「知識・情報化社会」,「世界化(国際化)」…知識社会の出現,社会の情報化,国際化に対応した学習社会への要請。

○過度の受験競争や画一的な教育…受験競争の緩和は長年の課題。

○教育改革の推進…1995年「新教育体制樹立のための教育改革案」。

○中長期計画…2008年「生涯教育振興基本計画(2008~2012年)」,2010年「高等教育財政投資10か年計画(2011~2020年)案」

目標

○「自主的,創造的,道徳的人間」の育成。

○開かれた学習社会の創造。

○世界水準の大学作り。

2.改革の内容

初等中等教育

○教育内容・方法の多様化…(1)水準別教育課程の導入(各教科で児童・生徒の水準に合った課程を履修),(2)高校の選択科目の拡大,(3)裁量活動の創設(各学校が内容を決定)

○初等学校の必修英語を拡大…2010年から週1時間ずつ増加(第3~4学年週2時間,第5~6学年週3時間)。

○「学校運営委員会」の設置…各学校に教員,父母,地域代表等から成る「学校運営委員会」を設置,教育課程の編成,予算・決算などを審議,校長に助言。

○ICT教育の強化…(1)初等学校での週1時間のIT教育の実施,ICTの教科横断的利用の促進,(2)2007年より,デジタル教科書を開発,実験校の運営。

高等教育

○大学入試制度の改善…2008年から韓国型AO入試(「入学査定官制度」)が導入。

○大学の質保証の改善…3本柱から成る新たな質保証の仕組み:情報公開(13領域55項目)の義務づけ(2008年),自己点検制度の導入(2009年),第三者機関によるアクレディテーションの導入(2011年)。

○多彩な大学支援育成事業の実施…1999年から世界水準の大学育成を目的に大学や学科による特定のプロジェクトに集中投資する「頭脳韓国21」事業,2008年から世界水準の研究者を招へいし研究拠点を育成する「世界水準の研究拠点大学育成事業」,2008年から学部段階の教育を強化する「大学・専門大学の教育力向上事業」を実施。

生涯学習

○「単位銀行制度」の導入…各種教育訓練機関及び大学の取得単位を累積し学位や資格の取得ができる単位銀行制度が導入(1998年~)。

○生涯教育法の成立…1999年に生涯教育法が成立。生涯学習推進のための条件整備として,国レベル・地方レベル・地域レベルの生涯教育施設を新たに設置・認定。

○「生涯学習ポートフォリオ制度」の導入…2010年から,インフォーマル・ノンフォーマルを含む様々な学習活動の履歴をオンライン上のポートフォリオに蓄積し,学習履歴証明書を取得できる生涯学習ポートフォリオ制度が導入(登録は任意)。

お問合せ先

生涯学習政策局政策課教育改革推進室

寺田、高橋、濱、今井
電話番号:内線:3465, 3279

-- 登録:平成23年08月 --