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教育振興基本計画部会(第12回) 議事録

1.日時

平成23年11月18日(金曜日)9時~11時

2.場所

学士会館「210号室」

住所:東京都千代田区神田錦町3-28

3.議題

  1. 第2期計画の策定に向けた基本的な考え方について
  2. その他

4.出席者

委員

三村部会長、安西副部会長、相川委員、石井委員、大江委員、岡島委員、木村委員、國井委員、篠原委員、竹原委員、丸山委員、宮本委員

文部科学省

森口文部科学審議官、板東生涯学習政策局長、山中初等中等教育局長、布村スポーツ・青少年局長、河村文教施設企画部長、上月生涯学習政策局政策課長、森友教育改革推進室長 他

5.議事録

【三村部会長】

 それでは、定刻でございますので、ただいまから教育振興基本計画部会第12回を開催させていただきます。
 本日の議事は、第2期計画の策定に向けた基本的な考え方についてであります。これまで部会では、震災を踏まえた教育上の課題を整理するとともに、有識者の皆様から非常に興味のある内容でのヒアリングや委員間での議論を通じて教育政策の基本的方向について議論してまいりました。今回からは、これまでの審議を踏まえて、年末までに第2期計画の策定に向けた基本的な考え方、いわゆる第2期計画の骨子をとりまとめられるよう議論してまいりたいと思います。事務局で用意していただいている資料がありまして、これはちょっと中身がなかなか濃いんですが、後ほど説明していただいて、今日、議論ができればしたいんですが、全部おそらく尽くせないと思うんですね。もし何かいろいろな御意見があったら、また別途、例えば書面でもお寄せいただければ、より効率的・建設的な議論ができるのではないだろうかと思っております。それでは、事務局から、まず資料の説明をよろしくお願いします。

【森友教育改革推進室長】

 では、資料の御説明をさせていただきます。
 まず、資料1でございますが、基本計画部会の当面のスケジュールということで、いつもお配りしている資料でございますけれども、本日11月18日で、次は12月9日でございますが、12月9日には、各分科会から審議状況についての御報告もあわせてしていただきたいと考えております。資料2が、本日御議論いただきます資料でございます。後ほど御説明を申し上げます。資料3は次回の日程。
 参考資料1でございますが、A3の横書きの資料でございまして、これは、これまでの部会、あるいは他の各分科会で基本計画に関わる御意見として、委員の方々から出された主な意見を、計画の全体に関わるもの、それから、社会を生き抜く力等々4つの方向性のそれぞれに係る意見を項目別に整理した参考資料でございます。
 参考資料2でございますけれども、これはこれまでの部会で御審議いただく際にお配りしていた資料の主なものをピックアップして整理しているものでございます。簡単に申し上げますと、1枚めくっていただいて、一つ目が4の基本的方向性とその論点例ということで、方向性について具体的に御議論いただく際に用意した資料でございます。その次の四つの横断的視点から見た現在の政策の実施・検討状況についてというのは、特に中央教育審議会ですとか、文部科学省におきます教育に関わる議論、他の府省も含めてどういった議論が進められているのかということについて、四つの方向性ごとに俯瞰して見られるように整理をした資料でございます。その次のページの資料は、特に社会を生き抜く力を御議論いただく際の資料として、これまで様々提言されてきている生きる力ですとか、キー・コンピテンシー等々についての考え方を整理してまとめているものでございます。4ページ以降でございますが、4ページが質の保証・向上を図るための取組に係る資料でございまして、それぞれの具体的な施策を整理しているものでございます。また、その次の5ページは、学びのセーフティネットに係る現状と課題、主な取組、それから、その次のページが学びを通じた絆づくりと活力あるコミュニティの形成ということで、それに関わる課題ですとか、主な取組を整理している資料でございます。
 後ほどの資料2の御説明の際にも用いますが、その次の7ページでございますが、これが大きな今回の計画を定めるに当たっての背景としてあるものを整理した全体像図でございます。8、9、10ページは、特に四つの教育行政の方向性としてお示ししている項目ごとの背景、課題について全体を整理しているものでございます。それから、11ページ以降は、本部会におきまして、当初集中的に御議論いただきおまとめいただきました、先般の大震災を受けての振興基本計画の策定上留意すべき課題でございます。13ページ以降も、特に震災地での状況がどういうものなのかということを、今回の教育の四つの方向性とも関係付けながら整理をしている資料でございます。それから、一番最後、裏にございます15ページの教育に関する費用負担についてというのは、今回の参考資料としてお出しをするものでございますが、後ほど御説明申し上げたいと思います。
 それでは、この参考資料の、先ほど申し上げました7ページをお開きいただきながら、資料2のご御明をさせていただきます。
 資料2につきまして、委員の先生方には、事前に、若干時間的余裕そんなにございませんでしたが、送らせていただいておりますので、なるべく簡潔に御説明をさせていただければと思います。
 先ほどもございましたが、この資料につきましては、これまでの部会等におきます御意見なども踏まえながら、事務局で整理した基本的考え方(素案)というものでございます。主に参考資料2の7ページの部分につきまして、それをベースにして整理をしているものでございます。
 1枚目の一番表紙のところが全体の構成と概要についてまとめているものでございますが、特にローマ数字の1から4で大きく四つに分けております。1が我が国の教育をめぐる現状と課題、それから、それを踏まえて2として、今後目指すべき教育の姿、それから、3として、それを踏まえて更に具体的にどういうことをやっていくべきなのかといった整理でございます。最後に、施策の総合的かつ計画的な推進のためのその他必要な事項ということで整理をしているものでございます。
 特に0としてございますが、第2期計画のコンセプトといたしましては、これまでの部会の御議論でもございましたが、明確な成果目標を設定し、具体的かつ体系的な方策を書いていこうと、PDCAサイクルをしっかりと回せるようなということで考えていくべきであるということを明確にしたものでございます。
 次の我が国の教育をめぐる現状と課題、特に(2)我が国の教育を取り巻く諸情勢の変化の部分につきましては、お開きいただいております参考資料2の7ページの左側の我が国が直面する問題の部分をまず背景、現状の整理として記述をしているものでございます。それから、その下の(3)社会の方向性と教育の役割につきましては、7ページのちょうど真ん中にございます、今後の社会のありようについて整理しているものを記述しております。
 それから、その次のローマ数字の2の今後目指すべき教育の姿につきましては、まず、現在の教育の評価について大づかみで整理をした上で、(3)のところで今後の教育行政の方向性ということで、先ほどの参考資料2の7ページの一番右側の四つの教育行政の方向性をそれぞれ整理して記述をしているものでございます。
 それでは、具体的な内容でございます。ページを開いていただきまして、1ページからでございますが、第2期計画のコンセプトは、先ほど申し上げましたとおりでございます。
 それから、ローマ数字の1の(1)教育の使命につきましては、個人の幸福の実現、それから、国家・社会の形成者の育成による民主主義社会の基盤構築と、これらの二つの大きな使命があるということを再確認させていただいているものでございます。その上で、我が国の教育を取り巻く諸情勢の変化として、見出しを御覧いただきますと、お分かりになりますが、グローバル化の進行ですとか、厳しさを増す経済環境、次のページにいきますが、日本型雇用環境の変容、少子高齢化の急激な進展、人間関係の希薄化、格差の再生産・固定化、今般の東日本大震災の影響等についてまず記述をした上で、これらを解決していく糸口としての日本の強みというものがあるだろうという、こういった御議論も様々ございましたが、それを整理して書いております。
 例えば最初のところでは、日本の強みとしてのソフトパワーということで、高い科学技術、お家芸とも言えるものづくり、さらには、勤勉性、チームワークの良さ、読み・書き・算などの基礎的な知識技能の平均レベルの高さといったものを記述しております。それから、その次のページにまいりますと、高齢者の知識・技能の活用、人の絆の存在、特に今回の震災におきましても、様々なボランティア活動等が行われるなど、日本人には世界から評価される人の絆があるといった御意見も出されておりました。さらには、多様性を基調とする成熟社会モデルの提示ということで、そこの白丸二つ目の後段ですが、多様性を基調として様々な人々や自然と共生する成熟社会に適合したモデルを提示することにより、閉塞感を打破していくことが求められていると。
 その上で、社会のありようとして、今後の方向性と教育の果たす役割ということで、点線内ですが、持続可能で活力のある社会を構築するための「自立、協働、創造」という3つの理念と教育の果たす役割ということで、これまで様々御議論ございましたが、特にキーワードとして、この「自立、協働、創造」というのは非常に重要なのではないかということで整理させていただいております。
 最初の見出しでございますが、多様性の中での自立、協働、創造ということで、白丸の二つ目にございます、個人や社会の多様性を尊重して、それぞれの強みを生かして、協働して高め合いながら、更なる創造を促していく柔軟な環境を構築することにより、持続可能で活力ある社会を目指すべきであると。その上で、右のページでございますけれども、公助、自助、共助のバランス、また、生涯を通じた学習によるソフトパワーの充実ということで、特に変化が激しく、多様化、少子高齢化が一層進行する状況の中では、一生涯にわたって様々なニーズに応じた学習を行い能力を高めることの必要性が増大すると。生涯学習社会の実現に向けた環境整備が一層求められるということにしております。
 そして、その下にございますが、この社会の方向性を実現するための条件として、以下の3点が考えられるということで、これが先ほど来御覧いただいている7ページの真ん中にございますが、個々人の社会参加の保障、社会全体の絆の向上、社会全体の創造性の向上という三つのありようを示しているものでございます。
 さらに、次の5ページでございますが、東日本大震災の教訓といたしまして、これらの点については、東日本大震災後の復旧・復興という観点からも一層重要性が増加しているとした上で、今後の教育行政の方向性として、これらの状況を踏まえて、イ、ロ、ハ、ニの四つの方向性が考えられるということで、整理をしているところでございます。
 それから、次の6ページでございますけれども、それらを踏まえての今後目指すべき教育の姿ということでございます。まず、現在の教育の評価といたしまして、(1)にお示しをしておりますが、丸1のところでは、今の計画に掲げられております義務教育についての目標、それから、白丸二つ目で社会を支えて発展させる、国際社会をリードする人材を育てる、特に高等教育の関係でございますが、そういった点で分けて記述されている、10年間を通じて目指すべき教育の姿を確認的に書かせていただいて、これをどうしていくのかということで、丸2のところで、現在の教育の状況ということで、学習意欲の低下といった学力をめぐる状況について、数値もデータもあわせてお示ししながら、今の問題点を、義務教育、そして、大学についての記述をしているところでございます。
 次のページへいきますが、7ページでございますが、7ページの上の教育のグローバル化のところでは、これも多々御意見ございましたが、海外に留学する学生が減少するなど、若者の内向き志向といったものが指摘をされているといった状況を書いております。また、その下では、規範意識、社会性、体力などの育成にも依然として課題が残る。さらには、生涯学習の関係では、生涯学習という理念の認知度は約8割と一定の進捗が見られるが、過去1年間で生涯学習を実施している成人の割合は約5割にとどまるなど、実施状況に課題があるといった整理でございます。
 さらに、教育行政の評価といたしまして、その下から次ページにわたって記述しておりますけれども、これまで4次にわたる臨教審の答申など、様々に改革努力をしてきたところでございます。一定の教育諸条件の向上というものは見られるわけでございますが、繰り返し指摘されてきました教育上の課題は依然として未解決のものも多いと、より複雑化、顕在化しているということでございます。
 そういった教育課題が依然として指摘をされている要因の例といたしましては、三つ黒ぽつで、その下のところで記述しておりますけれども、一つは、価値観とか、人材の同質性・共通性に基軸が置かれてきたけれども、それらが重視され過ぎるが余り、個々人の多様な強みを引き出すという視点が不足をしていたということが一つあると。また、これも多々御議論ございましたが、教育に対する社会全体の連携の強化といったものですとか、各学校の段階間、更に学校・社会生活間との接続が十分に図られていないことといったこと、さらには、その下のぽつで、PDCAが必ずしも十分に機能していなかったという3点を挙げさせていただいております。
 そういったことで、下から二つ目の見出しでございますが、今回第2期の計画が目指す方向性といたしまして、こういった諸状況を踏まえまして、第2期計画においては、先ほど申し上げました現行計画の10年を通じて目指すべき姿を示しておるところでございますが、こういったものも包含をした以下の横断的視点で教育の在り方をとらえ直して、成果目標に立脚した具体的施策の提示を目指すべきであるとしているところでございまして、四つの方向性を整理しているというものでございます。
 その次の9ページでございますが、9ページの(2)につきましては、今後の教育政策を遂行するための視点ということで、点線内にございますけれども、丸1といたしまして、横の連携ということで、教育に対する社会全体の連携の強化、それから、丸2といたしまして、これは縦の接続ということで、一貫した理念に基づく生涯学習の実現をしていくということ。さらには、丸3といたしまして、国・地方のそれぞれの役割の明確化の重要性ということで、こういった趣旨のことにつきましては、今の計画にも記述をしているところでございますが、改めて確認をいたしまして、記述をし、特に生涯学習の実現ということで、強調して整理をし直しているものでございます。
 それから、10ページ以降が四つの教育行政の方向性について整理、記述をしているものでございまして、まず、社会を生き抜く力の養成といたしまして、これはサブタイトルをつけておりますが、分かりやすいように整理したものでございまして、多様で変化の激しい社会での個人の自立と協働ということでしております。白丸の一つ目でございます。グローバル化や情報化の進展などにより、予想を超えたスピードで変化をして多様化が一層進む社会を生き抜くために、個人の自立と協働、様々な人々との協働に向けた力が求められるということで、これが生き抜く力の主要な部分になるというような整理でございます。こういった力の必要性につきましては、OECDのキー・コンピテンシーに代表されるように、今や国際的に常識となりつつあるということ、それから、我が国において、これまで提唱された生きる力などもこの方向性と軌を一にするものということで、整理をしております。
 さらに、東日本大震災の教訓といたしまして、震災を受けて、状況を主体的にかつ的確に判断して行動する力やチャレンジ精神、コミュニケーション力などの必要性が改めて浮き彫りになったということを強調しております。
 それから、次のページに飛びますが、11ページの真ん中のところで、初等中等教育段階修了までに身につける力とその方策といたしまして、生きる力について改めて書いておりますが、「生きる力」は、あらゆる人々に共通して求められるものであって、小学校就学前の教育、義務教育段階、それから、高等学校段階においても確実に養成することが求められると。客観的な検証に基づいた検証改善サイクルの確立など、各種の方策を通じて、確実に修得することができるようにすることが必要であるということを示しております。さらに、特にヒアリングでもございましたが、高等学校段階につきましては、個々の生徒の能力・適性・進路等に応じた高校教育の改善・充実ですとか、質の保証のための取組をより一層推進していくことが重要だということで記述をしております。
 さらに、一番下の白丸のところでございます。高等教育段階修了までに身につける力とその方策といたしまして、大学等におきます学士力、医療・法曹等の高度専門職業人材、あるいは成長分野における中核的専門人材にとって必要な専門的知識・能力等を養成することが求められるといたしまして、ここも多々御議論ございましたが、特にその際、必ずしも全ての大学等が社会や学生の期待に応えきれてはいないのではないか。学生の学習時間が少ないということは喫緊の課題ではないかという御指摘もございました。そういったことを踏まえて、各大学がそれぞれのミッションに応じた積極的な取組をして、教育の質の保証・向上を図ることが必要であるというふうに、若干抽象的でございますが、記述をさせていただいているものでございます。
 そして、一番最後の丸では、こういった能力、特に意欲ですとか、志については、学校だけではなくて、学校教育の内外で生涯を通じてそのような体験が得られるような機会や仕組みを意識的に設けるべきであるとしているところでございます。
 下の点線のところで書いているのは、なるべくぱっと見て分かりやすいようにということで、ここの社会の生き抜く力で重要なのは、教育成果の保障(保証)に向けた条件整備だということで記述をしております。
 次の13ページでございます。未来への飛躍を実現する人材の養成ということでございますが、これは、どこまでのとんがり度を考えていくのかといった御議論もあったわけでございますが、そういった点についてもある程度分かるようにしているつもりでございます。
 まず、最初の一つ目の丸では、多様な個性・能力の最大限の伸長ということで、グローバル化等に対応して新たな社会的・経済的価値を創出・主導するという中で大切なのが、多様な個性・能力を最大限伸ばしていく、社会の中で生かすことができる教育環境の整備が必要だということを最初に宣言をしまして、その上で、基盤としての「社会を生き抜く力」ということで、この視点については、各分野の最先端の場のみならず、身近な生活レベルの場でも必要であると。そのために必要な能力は、特定の人材だけではなくて、全ての人材にとって必要なものであると。このため、あらゆる社会生活の場面における基盤となる能力として、イで述べた「社会を生き抜く力」の育成がまず必要であるというふうにしております。その上で、未来への飛躍を実現する人材の養成ということで、この項目では特に社会全体の変化や新たな価値を創造し、指導するような突出して優れた人材、社会の各分野を牽引するリーダー、国際交渉など国際舞台で先導的に活躍できる人材の養成に着目した目標・施策の整理を行うということで、イの社会を生き抜く力と未来への飛躍を実現する人材の養成の項目の整理を一定程度しているつもりの記述でございます。
 その際、その一番下の白丸でございます、特に重視すべき養成の考え方ということで、幾つかぽつを記述しております。例えば外から日本を見る機会を増加させる。「出る杭」を伸ばす。異能の人たちの融合を生みやすい環境を構築するといったようなことでございます。その下でございます。特に学生たちに深い専門性を培われることを使命とする高等教育機関が果たすべき役割が極めて大きい。秋季入学ですとか、留学の促進、高度な大学院教育の提供などの各大学等の積極的な取組について、産学官が一体となって推進していく必要があるということで記述をしているところでございます。
 次の15ページでございますが、学びのセーフティネットの構築ということでございます。誰もがアクセスできる多様な学習機会をということで、まず、社会参加の基礎的条件としての教育ということで、白丸の二つ目ですが、社会参加の基礎的条件として、社会参加・自立に必要な知識・能力を一人一人が身につけられるようにすることが必要不可欠である。教育は個人及び社会全体にとってのセーフティネットの機能を有すると。このため、以下の点に留意をしながら、経済的・時間的・地理的な制約等によらずに教育機会へアクセスできる環境の整備が必要であるとしております。
 以下の点ということで、まずは、格差の再生産等の払拭でございます。家庭の経済状況や子どもの学力等に応じて経済的支援、学習や生活面における支援などを適切に講じるための条件の整備が必要だということでございます。また、その下の様々な困難を抱える人へのきめ細かな対応ということで、いじめ、不登校等の状態にある児童生徒、再チャレンジを必要とする中途退学者、フリーター・ニート、失業状態にある人々、スキルアップを目指す社会人ですとか、退職した団塊世代など、それぞれの課題があるわけでございますけれども、そういった課題に応じて学習の機会と教育成果を保障するようなきめ細かな対応が必要であるということでございます。そして、その下の安全・安心で質の高い教育環境の整備というものについても重要でございますので、この項目として整理をしているものでございます。
 そして、ページをめくっていただきまして、最後、17ページの絆づくりと活力あるコミュニティの形成ということでございます。これも白丸のところで整理をしておりますが、持続可能で活力ある社会は、個人の能力を高めるといったことのみならず、多様なコミュニティにおける様々な人々のつながりや支え合いを形成することにより実現される。様々な人々との関わりの中で、個人の社会性などが培われて、様々なアイデアが創出されていくんだということで、特に下の方、真ん中頃から書いておりますが、成熟社会における「共助」の必要性ということで、多様で成熟した社会にあっては、コミュニティの構成員の協働によってそれぞれの実情に合った課題解決(共助)が一層重要になっていると考えられるとしております。
 その下では、「社会が人を育み、人が社会をつくる」好循環システムということで、具体的にこういった取組を推進していくことが必要だということで、ぽつぽつと書いておりますが、一つのモデルといたしまして、人々が集まる場をつくっていって、その中でネットワークができて、そういったネットワークでの活動などを通じて、社会、地域の担い手の育成ですとか、あるいは地域や社会の課題解決といったものが図られていくようになるんではないかといったことで、一つの取組を書いているところでございます。
 それから、19ページ以降が、こういった状況を踏まえて、今後5年間に実施すべき教育上の方策ということで書いているものでございますが、ただ、この点につきましては、具体的な施策の進める内容につきましては、今後、また年明け以降御議論いただくということでございまして、ここにおきましては、特に結果をしっかりと評価、検証できるような目標の設定、そういった例示をまず、例えば(1)の社会を生き抜く力の養成ですと、点線の四角囲み内で、「どのような能力が習得できたのか」「どのような人材が養成できたのか」といった観点からそういった目標といったものを考えていくべきではないかという、その考え方を示しているものでございます。
 その下以降、取組例ということで書かせていただいておりますが、これにつきましては、現在、取り組んでいる施策も含めて考えられる取組の例をまずお示しをしているものでございますが、この中でも、特にどういった施策をより重視していくべきなのかといったことなどにつきましては、年明け以降の御議論の中で具体的に御審議賜ればと考えているものでございます。
 これは整理の問題なんですが、19、20ページのところでは、19ページの丸1、生涯の各段階を通じて推進する取組、それから、20ページの上では、主として初等中等教育段階の児童生徒を対象にした取組、それから、20ページの下で主として高等教育段階の学生を対象とした取組ということで、分かりやすいように段階ごとに整理をしております。特に社会の生き抜く力の養成に相当該当するような施策は結構多くございまして、その次のページをめくっていただきますと、21ページ以降、それぞれ未来への飛躍を実現する人材、学びのセーフティネット、絆づくりと活力あるコミュニティの形成についても同様に整理をしているものでございますが、社会を生き抜く力の養成に比較いたしますと、今の段階ではそれほど多くない施策の数でございますので、便宜、先ほど申し上げましたような整理、分け方はしてはおりません。
 それから、最後、23ページのところでございます。一番最後でございますが、4といたしまして、施策の総合的かつ計画的な推進のために必要な事項ということで、これらの具体的な記載内容については、これまでの取組が必ずしも十分ではなかったのではないかといったことで今後検討していくとしておりますけれども、その四つのうち、白丸の二つ目の教育に関する費用負担の在り方でございます。
 すいません。ちょっと長く恐縮でございますが、もうすぐ終わります。
 これにつきましては、参考資料2の一番最後のページにあります教育に関する費用負担についてということでございますが、水色の部分で丸1から丸4までポイントを整理しております。丸1といたしまして、教育の効果は広く社会全体に還元されることを踏まえて、教育は社会全体で支えるべきだということで、その下には、教育の私的効果、そして、それがまた公的効果につながるというようなことを参考までに書いております。
 また、丸2としましては、各学習機会の公的性質・課題に応じて、教育費負担のバランス、各方策の検討が必要であるということで、それぞれ就学前から義務教育、高校教育、高等教育、生涯学習一般まで整理しているものでございますが、特に就学前と高等教育の段階では、家計負担の高さが非常に際立っていると、諸外国と比べても際立っているという点がポイントではないかと考えております。
 それから、丸3としては、他方で厳しい財政状況があるということで、政府債務残高対GDPの国際比較で見ると、日本が197%ということで、外国に比べると圧倒的に多いという状況にある、非常に厳しい状況にあるということでございます。
 また、最後、丸4では、同時に、社会全体で教育を支える環境を醸成していくようなことも大事だということで、右のデータといたしましては、日本における寄附が少ないというような状況も書いているものでございます。
 長くなりました。すいません。以上でございます。

【三村部会長】

 はい、ありがとうございました。
 今日は、あくまで基本的な方向性ということであります。おそらく今後、議論になるのは、そういう基本的な方向性をみんなで合意したとしても、どうやってこれを実現するのかと。これはまたもう一つの難しい話でありますし、実現するとしても、さて、それに必要な予算がとれるのかというもう一つの課題があります。したがって、今回は、全体としての議論は、基本的な方向性についてということで、全員にすいませんけれども、御発言をいただいて、時間は十分あると思いますから、そういう形でやらせていただけたらと思います。
 それから、いかにこれを達成するのかという議論は、もう少し時間かけてやらなきゃいけない。それから、最終的には、前回の教育振興基本計画では、必ずしもこれに対して予算措置をどうしたらいいのかということまで織り込まなかったんです。我々の部会では織り込まなかった。しかし、私自身としては、今回はそこまでやっぱり踏み込むべきだと思っておりまして、その踏み込み方も、ただ単にOECD諸国の中では非常に教育予算が少ないというような、そういう抽象的な話ではなくて、なぜ教育予算が我々としては必要なのかということを、国民に納得できるような、そういうロジック立てでやってほしいと。それの一つの試みがここに出ているわけですけれども、これはまだまだこれからの議論で、今日はその方まで立ち入らなくて結構だと思いますから、最初の基本的な方向性について、事務局がこれは相当苦労して、僕としては、なかなか出来としてはいいんじゃないかというふうに実は思っているんですが、これについて思うところを何でもおっしゃっていただければありがたいと思います。すいませんが、宮本委員の方からスタートしていただいて。

【宮本委員】

 すいません、心の準備ができていないんですけれども、私も一読させていただいて、大変バランスのとれたよく書かれた文書であると感じました。
 今、生き抜く力という言葉が何度も繰り返されておりますが、今、出版業界では、力という言葉をつけると本が売れるから何とか考えてくれないかという、そういうリクエストがございます。それは、断る力とか、いろんな力の羅列があるんですけれども、国民の中で今、力を身につけたい、力が足りないんじゃないかという、そういう非常に切実な思いが広がっていて、その機会がもっともっと欲しいんだというその思いが強くあると思うんですね。それはこの文書の冒頭で描き出されている大きな社会の変化、一つの道筋、ライフサイクルに乗っていれば、自ずと力を身につけることができたという、そういう時代が終わって、少し能動的に国民が力を得ていくチャンスを模索しなければいけない。そのことが国民一人一人の幸福にもつながっていく。力が十全に発揮できて、自分の社会におけるポジションを確立できるという意味で、幸福にもつながっていくし、それが国の力にもつながっていくという、そういう大きな転換点にあると思うんですね。
 そういう意味で、教育というのが本当に出番になっているんですけれども、同時に、そういうふうに人々の力に対する希求、教育に対する思いが非常に高まっているからこそ、そして、それは現実にそのことが日本社会の活力がよみがえる上で決定的に重要な局面にあるからこそ、いろいろなところで空回りが生じてしまうところがある。教育というのは、皆さん一人一人のいろいろな思いがある。いろいろな職業体験、実践体験に基づくいろいろな思いがある。その思いがみんな、実はさほど大きな価値の違いというのは見かけほどないんですけれども、その思いが表明されたときに、いろいろな一人一人の経験に基づいたバイアスがあるわけですね。そのことによっていろいろな空回りが生じてしまう。今、何で教育がうまくいってないのかということについて、空回りが生じてしまう。
 例えば幾つかの議論の分極化が生じていますね。教育について、一つは、例えば教育行政という点で、教育委員会論議にうかがえるようにもっと集権化すればいいんだ、あるいは分権化すればいいんだ。そういう議論の分極化が生じてしまう。それから、もっと教育にゆとりを持たせればいいんだ。いや、もっとインテンシブにやればいいんだ、そういう教育の組立てについての議論の分極化が生じてしまう。それから、もっと自立を促せばいいんだ。いやいや、国やコミュニティに対する帰属意識を高めればいいんだという、その個と社会との関係について分極化が生じてしまう。人々の教育に対する思いがものすごく高まっているからこそ、その議論が実はそれほど一人一人の思いというのは、違ったものではないと思うんですが、それがいろんな違った切り口で出てきて、議論が空回りしたり、もっと悪くすれば、ある意味での不毛な対立が生じてしまう。そういう局面にあると思うんですね。
 ぜひこういう文書は、今、日本社会の変化と教育が直面している状況、国民一人一人の思い、そのチャンスと、それから、それであるがゆえにこれからある意味で議論の空回りだとか、不毛な対立が広がっていってしまうという、そういう危険性、それを双方踏まえて、その不毛な対立や危険性をなるべく整理して、ああ、そういうことなんだと、決して、例えば一面的に集権化すれば全て解決するわけではなくて、こういう形で現場の自発的な活力というのがあることで、自分が集権化することで目指していたことが実現するんだと。あるいは自立を目指していたんだけれども、あっ、なるほどこういう形で絆やその帰属意識というのが自立そのものを高めていくんだな。そういう議論の整理みたいなものが非常に大事になってくるのではないかなと思います。これが一つです。
 そのためにも、ぜひとも社会の変化と教育の関わりを表現する上で言葉の分かりやすさといったものをお願いしたいし、それから、非常に私から見ると大事な言葉が使われているんですけれども、多義的であって誤解を生みかねないところもあると思います。一つ、ソフトパワーという言葉ですけれども、これも非常に大事な言葉だと思いますが、おそらくこれは国際政治経済学からきた言葉じゃないかと思いますが、ただ、この言葉がこの文章によってそこに盛り込まれている意味を正確に要領よく伝えるかという、ちょっとなかなかミスリーディングな部分もあるかなと思いまして、ぜひ解説を加えて少し膨らませていただきたい。
 それから、共助ですけれども、これも、例えば社会保障と税の一体改革の文脈の中では共助というのは、互助と区別されて、社会保険なんかを意味する、国の制度の中に組み込まれた連帯原理を表現するために使われているんですね。おそらくここで共助というのは、非営利団体だとかNPOなど、互助的な、自立的な市民社会団体のような意味合いで使われていると思いますので、ここも少し解説が必要かなと思います。
 そのように言葉の分かりやすさということも含めて、ぜひ、冒頭申し上げたように、国民の力と教育に対する強い思い、これは別言するならば、先ほど三村部会長もおっしゃったように、やはりリソースをきちっと獲得していかなきゃいけないわけですけれども、この思いをきちっと組織化すると、そこに直結していくと思うんですが、それが、先ほど申し上げたような意味で空回りや不毛な対立に結びつきかねない。それをきちっと人々の思いを実現するリソースの獲得に結びつくように組織化していくような、そういう文章にしていただきたいと思います。
 また、後でちょっと機会があればつけ加えたいと思っております。以上でございます。

【三村部会長】

 ありがとうございました。では、丸山委員、よろしくお願いします。

【丸山委員】

 よろしくお願いします。二つあります。
 一つは、東日本大震災の教訓というものを大項目に立てなくていいのかなという疑問を持ちました。この素案を拝見しますと、例えば教育行政の4つの方向性、あるいは社会を生き抜く力の必要性とか、コミュニティづくりの重要性といったものの、その理由と言いますか、そういった結論を導くための一つの要素として、分散して使われているような感じがします。そうではなく、この東日本大震災の全体を俯瞰して、そこから必然として派生する社会的、あるいは教育的なニーズみたいなものをうたった上で、今、申し上げましたようなことが教育的には必要なんだというふうにうたう方法もあるのではないかなと思った次第です。
 それによって、いま一つこの素案では弱いのではないかと思う、学校の耐震化の完成とか、まちづくりへの教育関係者の参画とか、あるいは防災教育の徹底といったものがちょっとかすんでいるような感じがしますので、大項目を立てた上で、具体的にそういったことを強くうたうという方法もお考えになっていただきたいなと思いました。
 二つ目は、言葉の使い方、それから、表現方法で気になった点が幾つかありましたので、申し述べさせてもらいます。
 例えば13ページに出てきます「出る杭を伸ばす」という表現ですけれども、これはイノベーション25に使われた言葉の引用のようなんですけれども、ぱっと見たときに、これは一体何を言いたいのか。つまり、社会的エリートを養成するんだということなのか。あるいはオリンピックのメダリストをつくるのかと。あるいは文武それぞれに秀でた人の背中を押してやるという意味なのか。あるいはこのイノベーション25を見ると、一見不可能と思われる高い目標、困難に立ち向かい、それを現実のものにしようとするチャンレンジ精神旺盛な人等々ありますので、坂本龍馬とか、勝海舟みたない人をつくるべきだというようなニュアンスもあるのかもしれませんけれども、いずれにしても、何をこれによって目指すのかというような理念、考え方を明確化してほしいと思いました。
 同じく、それに関連しますが、14ページにその「出る杭」という人材が、生活の不安なく能力を磨き、社会に出ても活躍の場やふさわしい処遇を与えられる環境とありますが、これも何を言っているのかが分かりません。要するに、資金面の手当てとか、社会に出た後の研究施設とか、スポーツであれば訓練施設とか、あるいは活躍の場というのであれば社会的なポスト、地位みたいなものを国が補てんしてやるというような、そういうことを言いたいのか、もう少し明確に書いていただきたいと思いました。
 それから、1ページに戻りますけれども、「今そこにある危機」という言葉が突然出てきて、何でトム・クランシーが出てくるのかなと思ったんですけども、そういう表現がこの第2期計画の中にふさわしいかどうかということも御一考願いたい。
 それから、片仮名言葉がちょっと多過ぎるんじゃないかなと思いますのは、例えば「インフォーマルなセーフティネット」というふうに言われて、何かぴんとくるものがあるかなと、あるいは「キャッチアップ型社会システム」というような言い方、言い替えることができないかなと。そういった部分が散見しますので、清書の段階では御考慮願いたい。
 それから、一番大事な部分なんですけれども、保証という言葉がたびたび出てきます。保証の証はごんべんの「証(アカシ)」という字の場合と、安全保障の、いわゆるこざとへんの「障」ですね。両方出てきますけど、これも、もうたびたび使われている言葉ではあるんですけれども、一体誰が誰に対していかなるものをどうしてやることなのかという具体性が見えない。ここは一番大事な部分なので、高等教育における質の保証といったときに、今、言いましたように、じゃあ、高等教育機関が誰に対していかなるものをどういうふうにすることが保証なのかということをもう少しコンセンサスが得られるような表現にしていただければありがたいなと思いました。
 以上、ちょっと細かい点ですけれども、指摘させていただきます。

【三村部会長】

 ありがとうございました。では、竹原委員、よろしくお願いします。

【竹原委員】

 全体のことをお聞きしまして、膨大な量、そして、長いスパンでのことで、まだなかなか整理がつかないんですが、生涯学習ですとか、地域のコミュニティのネットワークの必要性が今までなかなか伝わらず、予算獲得につながらなかったのが現状だったと思います。3月の震災でいかにそれが大事であったか。日々は見えないけれども、何かがあったときにはその絆なり、学校という建物がどんなに大事であったかというのが再認識されたと思いました。それについてははっきりとしたデータが出ましたが、ぜひ日頃のネットワークの構築が大事であるとか、学校の施設というのがこんなに地域にとって大事なものであるということを確認して、予算獲得と、最初に会長がおっしゃったのですが、ぜひ伝えていきたいと思います。10年、20年という長いスパンでしか見えない成果なので、行政マンが予算獲得できないのをよく見ていましたので。
 また、教育というのが、今までは何かお上が用意をしてくれて、市民はサービスを受けるということが強かったような気がしますけれども、私たちは、今、それぞれが担い手であり、国がやるべきこと、市町村がやるべきこと、それから、学校がやるべきこと、地域がやるべきこと、保護者がやるべきこと、そういうそれぞれが担い手であることをきちっと伝えて、この計画の中にもそういうトーンがあるといいと思います。誰かがやってくれるんだろうという気持ちになってしまえば、実行性があまりないと思います。もちろん、明確に分けられない、みんながやらなきゃいけない部分もあるんですが。とても立派なものができても、それは誰かがやってくれるとなってしまうのが一番怖いなと思います。多分その後、市町村が次の振興計画に活かすことになるでしょうから、現場にもそのトーンが残っているようにしていかないと、何だか知らないけど、また新しいものができたというようなものになってしまいそうな気がします。
 最後に、学校というのは、全国津々浦々あって、子どもたちを育てる場でもあるとともに、地域のよりどころであり、ハードとしての役割も今回明確になりましたので、学校教育だけでなく、スポーツ関係だったり、福祉関係だったり、子育て支援だったり、コミュニティの醸成のための公民館的な使い方も検討されると思います。
 この基本計画に今回関わらせていただいて、初めてゆっくり読ませていただいたというような状態で、多分日本中の方が読んでいるものではないと思うんですが、現場につながっていますので、ぜひそれをイメージしながら考えていきたいと思います。

【三村部会長】

 ありがとうございました。篠原委員、よろしくお願いします。

【篠原委員】

 はい。ずっとこれを拝見していまして、今までのこういうものをつくるときの環境が、これまでのとちょっと今回違うんじゃないかと思ったのは、大体、総理官邸に有識者の教育の提言機関みたいなものが、大体自民党政権のころは設けられておりまして、まず、そこがいろんなものを、ビジョン的なものをよくつくって、それで、中教審のほうで具体化を進めるという流れがあったように思いますけれど、今の政権ではそういうものが総理官邸にございません。逆に言うと、今度の振興計画というのは、そういうものがない中で非常に重いものになるのではないかと。私は、そうした位置付けをまず明確にしておく必要があるんじゃないかなと思います。
 その意味で、これを拝見しまして、非常に配慮が行き届き、いろんな項目が漏れなく入っています。私が主張していた幾つかのことも盛り込んでいただいて、大変ありがたいと思っているんですけれども、問題は、めり張りです。例えば初等教育の段階、中等教育の段階、高等教育の段階、何にウエートを置いていくんだという方向性をもう少し明確に出していく必要があるのではないかと感じます。
 それと、もう一つは、幾らいい立派な計画をつくりましても、実行性が担保されなければどうしようもありません。先ほど三村さんがおっしゃったように、財政的な裏付けが一つ必要になると思います。それから、制度の改正という問題も出てくると思います。それと同時に、やはり文科省だけではできない、他府省、他の役所との連携が求められている課題というのも随分あると思うんですね。その辺をどういうふうにもっていくかということ。例えば家庭教育。学校教育についていろいろこうしたほうがいい、ああしたほうがいいと方向性を出すにしても、家庭教育なり何なりと連携していかないとうまくいかないんですね。地域や社会とのコラボも無論必要でしょう。家庭教育という問題は、前にも議論になり、三村会長から具体案があったら出してくださいとの発言もありましたが、確かに難しい問題だと思います。でも、そこに切り込まないと。ここにしつけ教育ということが入っていますけれども、これは、家庭におけるウエートが非常に高いと思うんですね。だから、それをどういうふうにしていくかというところに少し踏み込んでいかないと。これは、例えば厚労省との連携なんかも非常に必要になってくるんではないかと思います。そんなところをもう少し踏み込んでいったらいかがかなと思っております。
 先ほど丸山委員から、「出る杭を伸ばす」という表現について御意見がございましたけども、私は、むしろこういう表現を使うんなら、「出ない杭は腐る」ぐらいに言い切ってやったほうがむしろめり張りがつくんじゃないかなと個人的には思っております。
 以上でございます。

【三村部会長】

 はい、ありがとうございました。
 では、國井さん。

【國井委員】

 非常に幅広い問題をまとめていらして、大変な作業だと思うんですが、多様性について以前、申し上げ、いろいろ書き込んでいただいたんですけれど、これについては、もう少し説明を加えないとわかりにくい。解釈が幅広く誤解を招くかもしれない。言いたいことが伝わるかどうかちょっと心配に思いました。
 例えば、社会を生き抜く力というところでの、多様性では、いろいろな多様なお子さんが、自殺者も多く日本の中で生き抜きにくい、そこをどう変革していくかということで、こういう問題は非常に大きい。それに対する分析を、これは、お持ちかもしれないんですが、やはり切り込んでいかないと、何をすべきかというところが見えにくいかと思います。例えば、日本で自殺者が多い原因のひとつが、セクシュアル・マイノリティーの人です。いろいろな観点でいろんな話がありますけれど、そういうところまである程度踏み込んだ多様性の話であるということを書き込んでいただく必要があります。
 それから、産業界で言えば、多様性という話になると、まずもって少子高齢化の下、女性の活用ということが大きな課題なわけですね。今年のAPECの話でも、日本は女性の活躍が推進されれば、GDPが16%向上するであろうという予測が出されているわけですけれど、そういう観点でもっと女性が多様な仕事につけて能力を発揮できるようにするということ、これもまた違う課題なわけですね。特に、ちょっと細かい話になりますが、進路指導によってで女性が理系に行かない。つい最近も、私のところに女子高生が相談にいらしたんですね。彼女の高校は、ミッションスクールなんですが、高1のときには理系に進みたいという女性が6割位いた。ところが、もう半年ぐらい経つと変わってします。先生から文系だったらあんまり問題なく、何も言われないんですが、理系に行くと言うと、本当に大丈夫かとか、理系へ行くと大変だとか言われて、もうどんどん減っていってしまって、自分は理系に行きたいんだけれど、御両親も文系なので心配でということで、話をされにきたことがあります。このような進路指導の問題から、産業界での女性の活用の大きな問題にまで発展していくわけですね。ここら辺の全体のつながりのところを見ていく必要がありますので、こういう観点での多様性というのはまたちょっと違うんじゃないかと思うんです。
 それから、進路指導について更に申し上げると、大学で開催する就職説明会、採用説明会がありますが、最近、各大学に企業がエントリーするには数万円とか、高いところだと数十万円のお金がかかるという状況で、例えば活力あるベンチャーにもっと行ったらという話があっても、そういう就職説明会にはものすごくお金がかかるので行けないとかいう、こういうこともあるんですね。非常に細かくいろんなファクトを見て分析してやっていかないといけない。こういう問題は、実現方法についての話の中には出てくるとは思うんですけれど、全体の問題を押さえるところでも、ある程度書き込んでいただいた方がいいんじゃないかと思います。
 それから、いろいろなことが要求され、期待される中で、学校でも大学でもリソースが不十分だということがあります。全体としては、予算をもう少し確保しなければ全然できないところもあるかとは思うんですが、一方で、財政上厳しいということ、こういう状況の中では、いかに効率化を図るかというところもポイントなわけですね。そういう中、日本は、eラーニングとか、ITの活用、それから、業務の効率化が重要です。先生方が細かい業務をやっていらっしゃる時間って多いんですが、大学などでも、やはり先生が何もかもやっていらっしゃる。そういう中を効率よくITを活用して、先生方の時間とは、できるだけそれこそ対話型、プロジェクト型などもっとフェース・トゥー・フェースのきめ細かい人間育成と、それから、高度な教育、技術の指導というところに時間をさく必要があると思うんですね。そういうふうにやり方自体についても、もうちょっと何かここの中に入れた方がいいんじゃないかなと思います。
 産業界としては、グローバルな国際競争力がどんどん相対的に低くなっている中、産官学連携を加速度的に進めないと、分野によってはそれほどではないかもしれませんが、例えばIT分野について言えば、そこを変革しないとサバイブできない。人材が中心の分野ですし、それから、サービス化がどんどん進んでいる中では大きな問題だと思いますので、そういう教育の効率化ということも含めて、やはりここの中でとらえていただいたほうがいいんじゃないかと思います。
 以上です。

【三村部会長】

 はい。ありがとうございました。では、木村委員、よろしくお願いします。

【木村委員】

 事前にざっと目を通しまして、必要なことはほぼ入っているなという印象は受けましたが、物足りないなという感じがした部分もあります。私は、元々エンジニアの世界にいたのですが、与謝野大臣のときに中教審の委員を仰せつかり、それ以来ずっと今やっているような議論に参画しています。どうしてこのように多勢の委員を集めて時間をかけてこのような議論をするかという点ですが、私は、教育のシステムがよくなれば、社会のダイナミズムが上がるからだと思っています。そういう観点から見ると、これだけ一生懸命議論をして数々の提案をしているにもかかわらず、社会のダイナミズムが逆に下がっているということは、日本の教育システムそのものがもう動かなくなってしまっているからではないかという気がしています。
 随分前から、日本の教育システムは単線型だと言われていて、なんとか複線型にしなければいけないということがずっと言われていますが、全く変わっていません。10月の半ばに1週間、教育委員長の連合会のミッションでシンガポールの教育の現状を見てきたのですが、驚きました。非常に変わっています。シンガポールというのは、私は、エリートしか相手にせず、特級コースをつくって、そこに入ってきた連中を徹底的に教育して国の柱にするという社会だと思っていました。ところが、そのシステムが全く変わっているのに驚かされました。例えば中学校を卒業すると、一番できる子達はジュニアカレッジという高校へ行きます。その次のランクの子がポリテク、それ以下の子はITE、つまりインスティチュート・オブ・テクニカル・エデュケーションという専門高校へ進学します。これまでは、シンガポールでは、そこへ行くとITEをもじってIt’s the endと言われていたと思います。
 ところが、今度行ってみて驚いたのは、そのコースからでも、またポリテクへ戻れるようになっている。ポリテクへ戻ると大学へも進学できるようになっています。このような複線システムを徹底して整備してあります。ITEの一つを訪問しましたが、日本では考えられないくらいすばらしい建物をつくり、職業訓練のための最新の設備がふんだんに導入されていました。シンガポールの一般の人から、そういえば、It’s the endと言われた子どもたちが最近顔つきが変わったねという話を随分聞きました。ということで、日本がやらなければならないのは、アカデミックパス、つまり、大学へ行く子どもたちと、それから、ボケーショナルパス、職業課程に行く子どもたち、これが自由に行き来できるシステムを構築することだと思います。その辺の視点がこのレポートには全く出てないので、それをぜひ入れて欲しいと思います。
 それから、細かいことで恐縮ですが、6ページのところです。以前から思っていたのですが、現在の教育の状況というところに、PISAの例が出ています。それを見て、またかと思ったのですが、成績下位の子が何%いるという表現が必ず出てきます。この点は相当気をつけなければいけなくて、フィンランドは、確かに日本と比べると、成績下位の子どもは少ないのですが、成績上位の子どもも少ないのです。ユバスキュラというところにあるPISAの研究所へ行き、議論をしてきましたが、日本のデータはほとんど全て持っていまして、日本とフィンランドの子どもたちの成績を詳細に比べています。そのデータを見ると、日本は成績の高い子が相当います。積分すると、残念ながらフィンランドの方が少し状況が良いのですが、日本は、成績の高いところが相当います。フィンランドというのは、歴史的にエリートを育てない国と言われていますが、フィンランドでも、やはりエリートは要るのではないかという声が大分出てきているようですので、その辺のところは見逃してはいけないと思います。さきほど出ました「出る杭」というような表現はよくないと思いますが、とにかくできる子も相当居るわけですから、それを伸ばすことも考える必要があるのではないでしょうか。
 それから、さきほどの社会のダイナミズムの話ですが、私、60年代の終わりに英国へ行って、ああ、この国は終わりかもしれないと思ったのですが、いつの間にか社会のダイナミズムがものすごく上がって、ここのところ少し苦戦しているようですが、それでも日本よりはまだ、町の中の雰囲気なんかいいですね。英国では、日本でいう18歳でのレベルの大学進学率は30%ぐらいしかない。しかし、高校を出て一遍働いた人たちが大学にまた戻ってくるということがごく普通に行われています。
 そのことから、22ページの、高等学校における中途退学者等に対する学び直しの機会の充実のところですが、これ、かなりネガティブな書き方ですね。そうではなくて、とにかく一遍社会に出ても、あるいはボケーショナルパスへ入っても、また、本流という言い方はよくないかもしれませんが、自分の希望するところへ戻れるというシステムをつくる必要がある。シンガポールで印象的だったのは、シンガポールは、教育のピリオドを分けていまして、一番最初、独立した直後あたりは、サバイバルベースの教育を目指していました。その次は、エフィシェンシーレベル、教育の効率を上げる方向です。今は、アビリティベース、アスピレーションドリブンをモットーにしているということを言っています。アビリティベースという点については、シンガポールは、未来永劫捨てないと思いますが、変わったのはアスピレーションドリブン、子どもたちの希望だとか、願望だとか、そういうものも生かしたシステムにするということに意を用いています。この10年程で本当に変わったという印象を受けました。日本でもそういうことを考えていかなければいけない。その辺の視点が欠けているのかなという印象を受けました。

【三村部会長】

 はい。ありがとうございました。岡島委員、よろしくお願いします。

【岡島委員】

 はい。2点ほど、感想というか、述べさせていただきます。
 一番最初の方に豊かさの変容とか、東日本大震災の影響などが書かれておりまして、日本全体、世界もそうなんでしょうけども、やはりかなりの変革期に入っているんではないかなと思っております。そういうことから考えると、これは、国家全体の話になるんでしょうけども、かなり大胆な改革のようなものが必要とされている時期ではないかなと、教育の面もそうではないかなと思っております。とはいえ、実際にいろいろやっていくときには、いろいろ大変なことがあると思うんですが、少なくとも考え方としては、そういうところを打ち出したほうがいいんではないだろうか。やっぱりなんやかや言って、追いつき追い越せのところの残像がいっぱいまだ残っていて、発想法がですね、そういうところが散見されるという感じがいたします。
 そして、特にその中で二つだけ申し上げたいことがありまして、一つは、13ページのところで、今、木村先生の流れもありますので、先に13ページの方から申し上げますけれども、多様な個性と能力の最大限の伸長ということと、その三番目にある優秀な人材を育てるというところのこの兼ね合いの書き方というか、在り方ですね。一つは、例えば多様なそれぞれの存在と国を引っ張っていくような人材と両方ともいいんだという価値観が国民にありませんとね。今、おっしゃったように The Endなんて言われちゃうわけですね。そうじゃないはずなんですね、教育というのは。ですので、木村先生がおっしゃった戻れる体制をつくるのは、もちろん私も大賛成ですが、ただ、戻らなくてもいいというか、戻らなくても認められる社会もあってもいいと思うんですね。
 そういう中で、一番目の丸と二番目の丸が両立するような形をかなり踏み込みませんと、この書き方では、特に下の段では、「突出して優れた人材」ということが入っているんですけど、例えばこれがなくても、「するような社会の各分野」と書いても全く同じだと思うんです。この「突出的な」って、これ、いちゃもんつけてるわけじゃありませんから、あれなんですけれど。こうなると、こっちにみんな行きますよね。親はみんなこういうこと、親は自分の子どもが一番結構あれだと思うから、できが悪いか悪くないか、こっちの道に進んだほうがいいのか悪いのか。それより社会的にこっちがいいという方にみんな流れるわけで、そうすると、そこの時点で落ちこぼれということになってくるわけですね。ですから、エリートを育てるのは私も賛成だし、こういうことをやっていくのはいいのと同時に、この一番最初のところをどう担保するか、価値観として。その辺のところをある程度言及しておかないと、やっぱり競争で勉強できる子、もしくはいい子が偉くて、The Endだという話になってくると変わらないんじゃないかと思うんですね。
 そのところをちょっと検討して、特に一番のことはやりたいですね、両方やりたいですね。でも、このままだとおそらく「突出して優れた人材」、うちの子もそうしたいと、みんな思うわけであって、このところ、強いて言えば、この「突出して優れた人材」は要らないんじゃないかと僕は思うんですが、絶対に必要ですよ、国際社会をリードする人とか、社会の各分野を牽引するリーダーは必要ですね。でも、突出した人材は上にだっていたっていいじゃないですか。そういうようなところが若干まだね、意識の中に残っているんじゃないかなということで、そういうところをきちんとやるということが、私は、ある意味大胆な改革の一つではないかと思います。
 それから、もう1点は、2ページのところでちょっと関連して考えたんですけど、日本の強みとしてソフトパワーというのがありますが、ここの2行目にお家芸とも言えるものづくりとあります。確かにそうだと思うんですが、このところにもう一個隠された特性としては、私は、感性のようなものがあるんじゃないかと思うんですね。文化、芸術、例えば金を稼いでいるのはどこかと言えば、アニメーションなんかかなり稼いでいるわけですよね。この間の仕分けで漫画大学は要らないって、かなり怒られてなしになりましたけど、実際、デザインとか、そういったものの分野では、日本はかなりすぐれた人を輩出していますし、なおかつお金も稼いでいるわけですね。ですから、そういうところも、やっぱりそれも一種ものづくりなのかとも思いますので、例えばこれはお家芸というかわりに、すぐれた感性を生かしたとか、その感性のところを少しやはり教育の分野でも取り戻してほしいなと思うんですね。知識ももちろん大事ですけれども、これからの日本では、いろいろなことを言われますが、柔軟性のある強い人間が必要だと思います。そういう中で柔軟性というものをきちんと分かる、剣道でもね、やたらに振り回すのが強いわけじゃなくて、やはり柔軟性のある受け応えが強いというのと同じように、感性を少しきちんと子どもの頃から養うということが大事じゃないか。
 レイチュル・カーソンが『センス・オブ・ワンダー』でも書いてありますけれども、感性というのは、知識、知性をはぐくむ土壌だと、母体となるものだということで、私は、今の日本の教育を見ていて、これは学校教育だけではないんですが、その感性の部分が非常におろそかにされているような気がしているわけです。自然の中で過ごすとか、音楽を聞くとか、そういった感性の部分が、特に幼児、初中ぐらいのところでは非常に大事ではないかと思うので、そういうところをきちんとやっていくということは、大きな軌道修正ではないかとも思いますし、その感性の部分などについてもしっかりと押さえていただきたいと思っております。
 以上です。

【三村部会長】

 ありがとうございました。大江委員、お願いします。

【大江委員】

 委員の一人として、この資料を対外的に説明ができるかという観点で読ませていただきました。要は、全国の校長にこの方向で説明できるかという観点です。とても分かりやすくなったなという感じはしています。ほぼこれまでの審議の中の内容が全て含まれていて、方向としていいのかなと、そんなように思っています。
 今、学校が直面している課題は、要は、子どもの教育的ニーズと保護者の願いと地域の期待を総括して、学校の経営方針、教育方針を決めていくんですが、これがなかなか難しいんです。子どもの教育的ニーズと保護者の願いと地域の期待は違う。どのようにまとめるかという部分で非常に苦労するわけですね。そういう意味では、この計画によって一定の方向が示されるというのは大事ですし、とても学校現場としてもありがたいわけでありまして、全国の校長がこの基本計画に期待するというところでもあります。
 2点、お願いがあります。
 1点は、書きぶりとして行政の役割、学校の役割、家庭の役割というのをより一層明確に整理していただきたいなという点です。
 もう1点は、総論に今後はこれに基づいて具体的な条件整備を進めていくんだという一言をより一層明確に出してほしい。各項目に条件の整備とか、環境の整備とか、きめ細かな対応とか、教育環境の充実とか、いろんな言葉で示された項目もあるし、示されてない項目もある。それならば、全体としてきちんと具体的な条件整備をしましょうよというふうな表記があったほうが、さっき部会長がおっしゃったように、予算というものがついてくるんじゃないかと思うんですね。それがやはり予算の根拠になっていくんじゃないか、そんな期待もあります。保護者や社会の期待がとっても大きくなってきて、予算が縮減していくんでは、非常に学校としてはやりづらいようなところがございまして、それが全国の校長の期待でもございます。
 以上でございます。

【三村部会長】

 はい、ありがとうございました。石井委員、よろしくお願いします。

【石井委員】

 私、知事会を代表として、以前より中教審のメンバーに参加させていただいておりますけれども、先ほどのお話に共通する話をまずしたいと思うんですが、条件整備と、今、大江委員がおっしゃいました。まさにこの財源論ですね。これはもう避けて通ることができないことですけれども、我々中教審のメンバーとしては、臆することなく必要な財源措置を含めたこの条件整備をしっかりやるべきだということを強くメッセージとして訴えるべきだとまず思っております。今、社会保障と税の一体改革の議論を進めておりますけれども、これはまさに財務省中心の議論の展開でございます。高齢化社会を迎える。国は借金を重ねてきた。もうこれ以上対応できない。だから、消費税を上げなきゃいけないという、社会保障に特化し、特に高齢者の年金、医療、介護、こういったものに焦点を当てようとしているんですが、我々、地域社会で生活している立場からすると、それも大事ですが、教育が今、ものすごく地域では大事なんですよ。教育の充実ということに異論を唱える人はいないんですね。非常に今、危機感を持っています、ある意味では。ですから、社会保障と税の一体改革ではなくて、私は、社会保障・教育と税の一体化ぐらいにするべきだというふうに、官邸主導の議論もあるべきではないかという話もありましたが、私は、まずそのことを前提として強く訴えたいと思っております。
 その前提で、以下3点ほどは、今、地域において大きな課題になっておりますので、財源措置も含めた前向きな取組をお願いしたいということで申し上げたいと思います。
 1点は、13ページあたりにずっと載っておりますグローバル人材、国際化に合わせた人材の育成、もうまさにこれはこれからの方向性として、社会で活躍できるグローバル人材、イノベーションを引き起こす、先ほどのお話のように社会の中で、まあ、「出る杭」という表現がいいのかどうかわかりませんが、こういうような人材の育成、これは高く私も方向性としては記述していらっしゃることを評価するものでございます。
 ただ、それを実際に実践するのは現場だと思うんですね。現場の教育行政、現場の教育をつかさどっている方々だと思います。私ども、今、来年度からの新しい5か年計画の中でいろいろ、世界にはばたけグローバル人材育成ということでやろうとしておりますが、例えば国際的に活躍できる科学者の育成を目指した英語によっての理数系科目の授業実施をしたいとか、小中学校の英語体験イベント、あるいは高校生の英語のディベート大会を開催するとか、あるいは教員を海外に派遣して指導力をより向上するといったような、様々なアイデアをもって実行に移したいと思っておりますが、地域においても独自の取組をどんどんやっていくことによって、全体としてのグローバル人材育成につながってくると思いますので、ぜひそういったところを注目していただいて、財源的なものを含めた措置をぜひお願いをいたしたいと、このように思っておりますし、また、当然優秀な外国人の教員、あるいは優秀な外国人留学生、この誘致、これにも積極的に取り組んでいかなければいけないと思っております。
 それから、2点目、同じような方向で評価をしつつ、財源的にもお願いしたいという項目でございます。それは、15ページに書いておられます、今回の大震災ということを踏まえましての学校施設の耐震化の推進、この項目でございます。私どもも、今、文部科学省の小中学校の27年度までのできるだけ早い時期に完了するという目標、このことは高く評価をさせていただいております。また、同時に、私ども、高等学校等がございます県立学校、これにつきましても、我々自身、耐震化を前倒しをして今まで以上のスピードで促進をしていこうということで、同じ目標年次、27年度、同じにいたしまして、今、精力的に取り組もうとしております。
 ただ、こういったことを実現していくためには、小中学校、これにつきましては、手厚い国の財源的な裏付け、この方向性というものはしっかりとこれからもお願いしたいと思うんですが、高等学校も、そういったことで耐震化を進めていくという場合には、十分な財源的な措置というものも、やはり現実の問題として、課題としてあるわけでございます。ぜひそういった点の御配慮、特に、例えば具体的に申し上げれば、避難所として位置付けられたものは、交付税の参入措置等々があるというようなことになっておりますが、なお一層の財源的な投資をお願いしたいと思います。
 もう1点、公立はそういうことでどんどんやっていくんですが、私立なんですね、課題は。地方でも、私立の学校がたくさんあって、それで、今の教育の無償化で公立学校が無償化になって、同じような金額を私立にも財源措置、支援措置はあるんですが、でも、それでも私立の方はある程度やっぱり授業料がかかります。そうすると、どうしても子どもさんたちは、学校、親御さんが、私たち岡山あたりですと、公立のほうにどんどん志向するんですね。やっぱり無償ということが一番皆さんにとりましては関心が高いということなんだと思います。したがいまして、私立学校は大変な状況に段々なっておって、そういった中で耐震化が非常に遅れております。やっぱり財源的な問題がどうしても出てくるんですが、公私ともにそこに学んでいらっしゃる子どもさんたちにとっては、やはり安全・安心な学校というものはその基盤でございますので、遅れております私立学校についての補助事業につきましては、ぜひしっかりと目配りをしていただかなきゃいけないと思っているところでございます。具体的に数値を掲げて進められてはいかがでしょうか。耐震化率100%に向けた達成目標年度とか、その年度ごとの数値目標、これも明確に位置付けられるということが今回の震災にも鑑みて一番大事なことではないかというふうに訴えさせていただきたいと思います。
 そして、最後、3点目でございますが、従来から申し上げております、教育においての分権改革の推進をお願いしたいということであります。私は、教育の現場を最も重視すべきではないかと思っておりまして、学校は、もう私たち田舎あたりを見ておりますと、地域コミュニティの中心は学校なんですね。お祭りがあったときにも学校に集まります。いざ何かあったとき、防災、さっきの大震災、そういったときにも防災の拠点になるのは学校なんですね。ですから、現場で学校長が地域の皆さんとそういうコミュニティの拠点として、非常に御苦労されて、非常に様々な課題に日夜努力されておられるわけでありますから、学校長がやりやすいように、学校長、現場に様々な財源、あるいは権限をしっかりと移譲するような体制にしていかなければならないんではないかと思います。現在の、いわば縦割り円筒形の中央集権的な性格が強い仕組みとなっておりますけれども、ぜひ住民に身近な基礎自治体が自主的・主体的に教育行政を展開できる分権型のシステムに改めていただきたいと思います。
 実は、これも財源が少し関係するわけでありまして、いわゆる県費負担教職員制度であります。学校の現場の先生方が、その人件費の負担が県費であり、そして、その裏付けとして、国からの負担金があるということになりますと、そこの市町村の学校で教育行政をつかさどっていらっしゃるわけなんですが、教育の現場に立っていらっしゃるんですが、その思いが、その市町村から給与が出ているのかどうかということと比べますと、非常にモチベーションといいましょうか、地域との関わり合い、当該市町村とのつながりといった点がやはり希薄になってくると思います。したがいまして、結論的に申し上げれば、従来から申し上げておりますとおり、教職員の人事権、それから、定数、学級編制に関する権限等を、広域的な人事調整の仕組みを整備した上で、少なくとも中核市へ移譲をすべきではないか。そして、教職員の給与負担とその財源とともに、今、申し上げた権限をまずは政令指定都市に移譲していくと。
 それから、今、大阪で大きな選挙が近々ということになっておりますが、この帰趨から影響が出てくるかもしれませんが、いわゆる教育委員会の必置規制の見直しについて、地方分権改革推進委員会の第3次勧告でこれを見直し、選択性とすべきだという勧告も出ておりますので、ぜひこういった教育委員会制度改革についても避けることなく議論をするべきではないかということを申し添えさせていただきたいと思います。以上3点でございます。

【三村部会長】

 はい。ありがとうございました。では相川委員、よろしくお願いします。

【相川委員】

 私は、これを、読みまして、非常にバランスよくできていると感じました。その中で、強く打ち出していくところはどこかということについて話をさせていただきます。
 先ほど皆さんから話が出ていました各分野、家庭、学校、地域、そういうところでどのところを特に力点を置いて進めていくべきかということをはっきりと分かりやすくしたら良いと思います。地域、社会教育というくくりですが、もうちょっと企業がどのような教育に協力していくべきかということをはっきりと打ち出したらどうかというふうに感じました。
 また、今回の震災で地域支援教育ですか、これが非常に有効だったということが立証されている以上、今、なかなか進んでいかない、ことがありますが、こういうものを少し強く打ち出して、地域の支援活動をすべきだと思いました。
 それと、あと、盛んに出てくる生きる力の育成は、義務教育で修得させるというふうに書いているんですが、どの時点でもうちょっと力点を置くのかということを私は打ち出したほうがいいだろうと思います。というのは、小学校までのうちは非常に子どもたちが元気なんですね。それが、中学から高校というと非常に落ちてくる。その低下をさせないような教育はどの地点で力を入れるべきかということをもうちょっと詰めていったらいいのではないかなと思います。
 それで、最終的には、各個人が、先ほども出ましたけども、個性を持った生き方、社会人としてなっていくには、早いうちからキャリア教育だとか、体験活動だとかをさせて、多くの人と接触をさせて、自分はどういうものに興味があるのかというものを感じさせる教育、これが必要ではないかなと思いました。そういうものを感じさせることによって、子どもたちがいじめだったり、不登校だったりというようなことが解消されてくるんではないか。それと、今、各家庭の格差の問題もあるのですが、そういうものを早い時期から自分たちが感じて、将来を見つける事ができる教育が必要ではないかな、と感じました。

【三村部会長】

 はい、ありがとうございました。最後に、安西副部会長、お願いします。

【安西副部会長】

 私も、この事務局の資料というのは、とてもバランスがとれて、項目は網羅されているように思います。その上でのことなんですが、これからの時代に若い人たち、子どもたちがどういう社会に放り込まれていくのかというと、やはり人も、モノも、お金も、情報も国境を超えて、あるいは東京を経ずにでも地域と世界のいろいろなところがかなり密接に関わっていくような、そういう社会、また時代になっていくと思います。そういう中で、子どもたちが、生きる力と言われていますが、持って、また、いろいろな人たちと協働して社会をつくり上げ、また、自分も幸せに暮らしていくためにはどうしたらいいのかという、繰り返しでございますけれども、そういうことになりますと、今の日本の教育の内容、また、特に高等教育、これは本当にやはり危機的状況にあると思われます。地域でのいろんな協働作業といいましょうか、活動が、そういうポテンシャルがあるんだということは、今度の東日本大震災でかなり日本はそういう力があるんだということはある程度示されましたけれども、やはり初中教育を含めて教育現場が受け身の教育から能動的な学び、学習へというふうに、その考え方を少しずつでも変えていっていただきたいな、それは高等教育も同じことでございます。
 そのことを、そういう危機感をこの会合のメンバー、また特に事務局に共有していただけないかと。そこから全ての、先ほどありました人事権等々のことにいたしましても、教育現場が抱えておられる地域、あるいは家庭とのいろんな問題にいたしましても、いろいろなことが見えてくるんじゃないかと思っております。その辺の危機感があって、でも、それに対してこういう条件整備をきちんとしていけば将来の日本が開けていくんだということを高らかにうたっていただきたい。この第2期の基本計画の文章は、その関係者に読まれるだけではなくて、国民に広く、特に家庭、あるいは地域社会、自治体の方々に読まれる。ああ、そうなんだ、だから、税金を投入して条件整備をしていけば、将来が我々にとっても開けていくんだということを、やはりそういうことをうたっていただきたいなと思います。
 高等教育の危機的状況というのは、何度も申し上げておりますが、いわゆるグローバル人材と言われておりますが、国際競争力を持った、また、世界でどこででも人と協調して、それで自分の主張も通していけるような、そういう人材の育成ということが、トップレベルの日本の大学であっても、世界のトップレベルの大学と比べるとまだまだだという、そういう感を持っておりますし、一方で、地域を担う、中小の私立大学まで含めて、これも、先ほど申し上げましたように、人・モノ・お金・情報が、地域と世界が直接つながるような時代になったときに、そういう大学で育つ学生が本当にそういうことに対応していけるのかというと、これも非常に危機感を持っております。また、高校と大学の接続にいたしましても、あんまりそこのところは書いてないんですが、もっと書き込んで、やはりちょっと大学に対して温か過ぎるんじゃないかなと思うんですね、大学の今の状況について。もう少し厳しく言いながら、でも、ここをこういうふうにしていけば将来が開けていくんだという書き方を、特に高等教育についてはしていただけないかなと思っております。
 とにかく多くの人が読んでくれるような、教育が大事だということはみんなが言っているわけですので、この教育振興基本計画の文面というのは、そういう意味では大変重いものになると思いますが、やっぱり希望をうたっていただきたいなと思います。

【三村部会長】

 はい。ありがとうございました。
 今日は、皆さんの御意見、非常に一つ一つ納得的であります。これをどう基本方針に織り込むか、これはまた事務局でもう一回考えてほしいと思っております。
 ただ、共通して言えることは、時代の変化の中で、日本自体もそうですし、それから、教育というものも、従来の延長線上では、これはもうもたないと、こういうことだけははっきりしているわけで、したがって、大きく変えなきゃいけない。何を変えるのかと、こういうことで、これについてはめり張りをきかせてやるべきだという意見もありましたし、いろんな意味でのご意見、皆、それぞれもっともだと思います。それから、その基本的な考え方をまとめた上でも、最終的にはこれをどうやってやるのかという、ここのところが、具体案として何をやったらそういうことができるのかという、これにも大きなエネルギーを注がなければいけないと思います。
 石井知事からもお話があったように、さて、それをどうやって、お金の話だけでない、國井委員が言われたように、効率化も依然としてやらなきゃいけない、これは企業として当たり前の話ですしね。それから、社会全体の力をどうやって活用しなきゃいけない。こういうことも織り込まなきゃいけないと思いますが、チャレンジングな非常に価値のある計画を我々はこれからつくり上げようとしているわけであります。
 以上で、今日は終わりますけれども、今後のスケジュール等々について、御紹介いただけますか。

【森友教育改革推進室長】

 資料3でございます。次回の日程ということで、12月9日、午後1時半から午後3時半で、場所は文部科学省の横のビルの霞が関ビルの35階の東海大学校友会館望星の間でございます。よろしくお願いいたします。

【三村部会長】

 これは、各分科会長から各分科会の状況を御報告いただけると、こういうことですね。

【森友教育改革推進室長】

 ええ。

【三村部会長】

 ということでございます。
 今日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

── 了 ──

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-- 登録:平成24年01月 --