16 G8教育大臣会合・フォーラム 議長サマリー(仮訳)
1 | 変容する社会における教育面での挑戦 教育の民主化とそれに伴う若者の進学率の上昇を受けて、この変化しつつある社会のより挑戦的な要求に応えるためには、教育のレベル・種類の多様化が必須である。 教育は、若者が新たな世紀の複雑で情報豊かな社会経済に参加するための、より多くの機会をつくり出してきた。しかしながら、これらの機会は、社会のすべての人々に平等に共有されている訳ではない。家庭の事情により不利益を受けている者もいるし、限られた教育機会や意欲不足により不利益を受けている者もいる。各国がより多くの若者により高いレベルの教育を受けさせることに成功するに従い、早い段階で脱落する者はより遅れをとることとなる。 同時に、社会の変化は新たな困難を生み出している。豊かさのただ中にあって、成功する能力をもつ者が、自分の達成すべき目的意識を見失うという危険が生じている。コミュニティや家族の絆が弱まっている。生まれ育った環境に関わりなく、若者にかかる社会的・文化的重圧は大きくなっている。学校は、学習の遅れ、欠席、退学、非行などの問題に取り組まなければならない。 これらの課題に対処するため、G8各国は引き続き多様な目標を目指している。特に;
我々は、教育上の不利益に関する問題への効果的な取り組み方法、学生に寛容性と共同体精神を培うためのよりよい学習環境と戦略を築く方法に関して、研究が行われ、政策決定者、教育関係者及び研究者との間で対話が図られ、また国際的な協力関係が確立されることを奨励することに同意した。 |
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2 | 生涯学習と遠隔教育 生涯学習に関するケルン憲章は、各国が学習社会へ移行するとともに、すべての市民が新たな世紀において必要とすることになるであろう知識、技能、資格を備えるようにするという課題に各国が現在直面していることを認識した。近年における衛星通信、大容量光ファイバー、インターネットなど情報通信技術の飛躍的発展は、生涯学習及び国際理解の手段としての遠隔教育の力を大いに拡大した。学習と仕事の両立は、遠隔教育によってはるかに容易になるであろう。ICTは、適切に応用されれば、開発途上国の学習機会の拡大にとって強力な手段となり得る。 我々は次のことに合意した。
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3 | 教育革新と情報通信技術(ICT) 様々な人々や考え方が相互に作用し合うことは、教育というものの本質的な部分である。情報・コミュニケーション技術(ICT)は、社会全体に対して、学習機会へのアクセスを拡大することや、児童生徒の理解力・創造力を深めることを可能にする潜在力を持つものであり、教育の内容を豊かにし教育機会提供の方法を変える展望を与えるものである。また、情報・コミュニケーション技術は、学校、職場、さらには生涯の全般にわたり、個々人が情報を入手し問題を解決する能力を高めるための道具ともなる。しかし同時に、ICTの光の部分だけではなく影の部分にも注目する必要がある。特に、社会の中で恵まれた者とそうでない者の間の、いわゆる「デジタル・デバイド」を減少させるような施策を実施することについても、配慮がなされなければならない。 我々は次のことに合意した。
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4 | 学生、教員、研究者、行政官の国際交流の促進 以前にも増して、国際的経験は、あらゆるレベルの学生、教員、研究者、行政官にとって高い価値を持っている。世界経済の相互依存の高まりにより、様々な分野における国際協力・交流を通じた相互理解や各国間の相互信頼に基づく友好関係の必要性が増大してきている。知識と技能はますます国際的に移転されやすくなっている。 ケルンサミットは、学生、教員、行政官の交流を促進することが重要であることを確認し、教育大臣に対し、主要な障害を明らかにした上で、これらの解決策を提案することを要請した。 我々は、あらゆるレベルの教育・訓練分野におけるさらなる国際交流を奨励するものであるが、それは公的な交流プログラムによるものだけではなく、機関間の協力的な取組や個々の学生・教職員による自発的交流をも含むものである。我々は、国際経験を通じた能力向上の機会を教員に与えることに特別の優先順位を置く。 交流を今後推進するにあたっては、
への取組が必要であり、教員、行政官の交流については、国際交流の意義、目的に対する政策決定者の理解不足という更なる障害がある。 我々は、学生、教員、研究者、行政官の国際交流の一層の促進に向けて、互いに協力しつつ最大限努力することとし、次のことに合意した。
終わりに、諸大臣は、OECD等の既存の国際的フォーラムを活用することにより、上に述べられた合意事項の進捗状況についてレビューし、首脳に報告することに合意した。さらに、G8の教育大臣による会合を、必要に応じて今後とも開催することが示唆された。 |