第1条 体育・スポーツの実践はすべての人にとって基本的権利である。 | |
1 ・ | 1 すべて人間は、人格の全面的発達にとって不可欠な体育・スポーツへのアクセスの基本的権利をもっている。体育・スポーツを通じて肉体的、知的、道徳的能力を発達させる自由は、教育体系および社会生活の他の側面においても保障されなければならない。 |
1 ・ | 2 すべて人は、自己の身体的適応性を発達させ能力に応じたスポーツ水準を達成するよう、自国のスポーツの伝統に従って体育・スポーツを実践する十分な機会をもたなければならない。 |
1 ・ | 3 学齢前児童を含む若い人々、高齢者、身体障害者に対して、その要求に合致した体育・スポーツのプログラムにより、その人格を全面的に発達させるための特別の機会が利用可能とされなければならない。 |
第2条 体育・スポーツは全教育体系において生涯教育の不可欠の要素を構成する。 | |
2 ・ | 1 体育・スポーツは、教育と文化の不可欠の要素として、社会の完全な構成員としてのすべての人間の能力、意志力および自己教育力を発達させなければならない。身体活動の継続とスポーツの実践は、全世界的な、生涯にわたる民主化された教育によって生涯を通じて保障されなければならない。 |
2 ・ | 2 個人のレベルでは、体育・スポーツは健康維持と増進に貢献し、健全な余暇の利用を提供し、現代生活の欠点の克服を可能とする。社会的レベルでは、体育・スポーツは社会関係を豊かにし、スポーツだけではなく社会生活にとっても欠くことのできないフェアプレーを発達させる。 |
2 ・ | 3 あらゆる総合的教育体系は身体的活動と教育の他の要素のバランスを確立し、結びつきを強化するために、体育・スポーツに必要な地位と重要性を与えなければならない。 |
第3条 体育・スポーツのプログラムは個人および社会のニーズに合致しなければならない。 | |
3 ・ | 1 体育・スポーツのプログラムは、各国の制度的、文化的、社会経済的、風土的条件とともに、体育・スポーツを行う人々の要求と特性に一致するよう計画されなければならない。それは社会的に恵まれない集団の要求に優先権を与えなければならない。 |
3 ・ | 2 一般に教育の過程では、体育・スポーツのプログラムはその内容と計画表双方によって個人の全面的な発達に役立つ習慣と行動様式を作り出すことを助けるものでなければならない。 |
3 ・ | 3 競技スポーツは、たとえそれが華々しい様相を呈していても、オリンピックの理想に従って、それが最高の典型としている教育的スポーツの目的に役立つことを常にめざさなければならない。それは決して利潤を追求する商業的関心に影響されてはならない。 |
第4条 体育・スポーツの教授、コーチおよび行政は、有資格者によって行われるべきである。 | |
4 ・ | 1 体育・スポーツに専門的な責任を負うすべての人は、適切な資格と訓練を必要とする。彼らは多数の中から慎重に選ばれ、十分な専門的レベルに到達することを確保するよう初歩的および高度な訓練を与えられなければならない。 |
4 ・ | 2 適切な訓練と指導を受けたボランティアの人々は、スポーツの総合的な発展に非常に貴重な貢献をし、住民が体育・スポーツ活動の実践と組織に参加するのを奨励することができる。 |
4 ・ | 3 体育・スポーツのための指導者を訓練するための適切な組織が設置されなければならない。かかる訓練を受けた者は、その遂行している任務にふさわしい地位が与えられなければならない。 |
第5条 十分な施設と設備は体育・スポーツに不可欠である。 | |
5 ・ | 1 学校内および学校外双方の体育・スポーツに関係するプログラムへの密度濃くかつ安全な参加というニーズに合致するように、適切で十分な施設が供給され、設置されなければならない。 |
5 ・ | 2 あらゆる段階の政府、公当局、学校および適当な私的機関は、協力し、ともに計画して、体育・スポーツの施設、設備、用具を提供し、最適な条件で利用できるようにする義務がある。 |
5 ・ | 3 自然環境によって与えられた機会を考慮しながら、農村や都市の開発計画は体育・スポーツの施設、設備、用具に関する長期的ニーズへの対策を含むことが必須である。 |
第6条 研究と評価は体育・スポーツの発展に不可欠の要素である。 | |
6 ・ | 1 体育・スポーツにおける研究と評価は、あらゆる形態のスポーツの進歩に役立ち、かつ、トレーニング方法、組織、管理手続のみならず、参加者の健康と安全の改善をもたらすものであるべきである。それによって教育体系は、よりよい教育方法や、到達水準を発展させるよう計画された改革から利益を得るであろう。 |
6 ・ | 2 この分野との社会的関連を看過すべきでない科学的研究は、体育・スポーツへの不適切な適用の余地がないような方向に向けられなければならない。 |
第7条 情報および資料は体育・スポーツの振興を助ける。 | |
7 ・ | 1 体育・スポーツに関する情報と資料の収集、提供、普及は大いに必要である。とくにプログラム、実験および活動にかかわる研究と評価の結果についての情報を普及することが必要である。 |
第8条マスメディアは体育・スポーツに積極的影響を及ぼすべきである。 | |
8 ・ | 1 情報の自由の権利を侵害することなく、マスメディア関係者すべてが、体育・スポーツに具体化されている社会的重要性、人間的目的および道徳的価値を考慮するという責任を十分に認識することが不可欠である。 |
8 ・ | 2 マスメディア関係者と体育・スポーツ専門家との間の関係は、体育・スポーツに積極的影響を与え、客観的で十分に根拠ある情報を保証するために密接でかつ相互信頼に基づいたものでなけらばならない。メディア関係者の訓練は体育・スポーツ関係の要素を含む。 |
第9条 国家機関は体育・スポーツにおいて主要な役割を果たす。 | |
9 ・ | 1 あらゆる段階の公当局および専門的な非政府組織は、教育的価値が最も明白な体育・スポーツ活動を奨励することが肝要である。その活動は、法令や規則を実施し、物的援助を提供し、かつ、その他のすべての奨励、激励、規制の措置を講ずることから成り立つ。公当局はまた、これらの活動を奨励する財政措置を講ずることを保障するものである。 |
9 ・ | 2 体育・スポーツに責任あるすべての機関は、一貫した、全面的な、そして地方分権的な活動計画を、生涯教育の枠組の中で促進して、義務的な身体活動と自由で自発的に行われる身体活動との間の継続性および調整を考慮する義務がある。 |
第10条 国際協力は体育・スポーツの全般的で十分に均衡のとれた振興に必要不可欠である。 | |
10・ | 1 国家、および関係国を代表しかつ体育・スポーツに責任を持つ国際的、地域的な政府間組織と非政府組織は、国際的な2国間および多数国間協力で体育・スポーツにより大きな地位を与えることが肝要である。 |
10・ | 2 国際協力は、この分野での内からの発展を促し刺激するために、全く利害関係のない動機によって促進されなければならない。 |
10・ | 3 世界共通語としての体育・スポーツにおける協力と相互利益の追求を通じて、すべての諸国民は、恒久平和、相互尊重、および友好の維持に貢献し、国際問題解決のための好ましい環境を作り出すであろう。関係する国内的、国際的な政府機関と非政府機関のすべての間の密接な協力は、それぞれの固有の権限の尊重を基礎にして、世界の体育・スポーツの発展を必ず奨励するであろう。 |