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資料3−1

現在の教育に関する主な課題

1  教育の目標の実現
子どもの学力
 我が国の学力は、全体として国際的に見て上位。ただし、読解力など低下傾向にあり、世界トップレベルとは言えない状況。学ぶ意欲や学習習慣が必ずしも十分でない状況。学力調査の結果等を活用した学力の現状把握・分析・評価・改善・検証という一連の流れの定着が課題。

規範意識
 小・中学生の規範意識が低下しているとの調査結果や高校生の規範意識が米国や中国と比較して低いとの調査結果があり、規範意識の醸成が課題。
(参考) 掃除当番などクラスの仕事をさぼることについて「よくある」「ときどきある」と答えた児童生徒の割合
  平成11年 小学生: 7.9パーセント、中学生:15.7パーセント
平成18年 小学生: 10.3パーセント、中学生:20.1パーセント
低年齢少年の生活と意識に関する調査報告書(平成11、18年 内閣府政策統括官 (共生社会政策担当))

青少年の自然体験
 昆虫採集や登山など、自然体験のない青少年の割合が増加傾向。一方、自然体験を多く経験した青少年の中には、道徳観・正義感のある青少年が多いとの調査結果があることから、自然体験の促進が課題。

読書活動
 子どもたちの読解力が低下傾向の中、特に中学生・高校生で1ヶ月に1冊も本を読まない生徒が多いなど、子どもの活字離れが指摘されており、読書活動の推進が課題。

子どもの体力
 子どもの体力が昭和60年頃から長期的に低下傾向にあり、学校・家庭・地域が連携して、子どもの体力の低下傾向に歯止めをかけることが必要。

食育の推進
 偏食、朝食欠食など子どもの食生活の乱れ、肥満傾向の増大など健康への影響が問題。栄養教諭を中核とした学校・家庭・地域の連携による食に関する指導の体制整備が必要。

優れた芸術文化に触れる機会
 学校や地域において子どもたちが身近に伝統文化や現代の文化芸術に触 れる機会の充実が必要。

2  生涯学習社会の実現
社会人の学習環境
 54パーセントの社会人が「時間的制約」、「金銭的な負担感」等が阻害要因となり、学ぶ意欲はあるが学べていない状況。

学習成果の評価
 国民一人一人が、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現を図るため、学習成果を評価するための枠組み作りが急務。

3  教育の機会均等
特別支援教育
 LD等の発達障害のある児童生徒が小中学校の通常の学級に6.3パーセント在籍していると考えられ、幼稚園から高等学校における発達障害等の障害のある児童生徒に対する支援体制の整備が必要(特別支援教育に関わる研修受講率:38.9パーセント、高校の校内委員会設置率:25.2パーセント、特別支援学校教諭免許状保有率:61.1パーセント)。特別支援学校教諭免許状保有率の向上及び教員研修の充実等による教員の専門性の向上が必要。

幼児教育の無償化
 近年、欧米や韓国でも幼児教育を重視し、国策として無償化に取り組んでいる。幼児期は発達心理学上重要な時期で、家庭や地域の教育力の低下の中で幼稚園等の教育が重要。少子高齢化の中で子どもへの投資の視点も重要であるが、我が国の私費負担割合は高く、骨太の方針2007に明記されるとおり、幼児教育の無償化について歳入改革にあわせて総合的に検討することが必要。

外国人の子どもの教育
 公立学校など学校教育法1条に定める学校に在籍する外国人児童生徒は、約7万6千人(このほか、インターナショナル・スクールなど1条校以外に在籍している外国人の子どもは2万9千人以上)。公立学校における日本語指導が必要な児童生徒数は増加傾向(平成17年度:20,692人)にあり、日本語指導等の教育体制の整備・充実が課題。

教育費の私費負担状況
 日本は、特に就学前教育と高等教育において私費負担割合が高く、親の所得により教育を受ける機会の格差が生じる可能性が指摘。
日本:  就学前教育49.4パーセント、初等中等教育8.7パーセント、高等教育60.3パーセント
OECD平均:  就学前教育18.5パーセント、初等中等教育7.4パーセント、高等教育23.6パーセント

塾・家庭教師などの学校外学習費の状況
 多くの家庭が、学校外での学習費に相当額を支出。親の所得によって学力等の格差が生じる可能性が指摘。
(参考) 学習塾に支出している者の平均支出額
【小学校】   年間に14万円
【中学校】 公立:年間に23万5千円,私立:年間に22万2千円
【高等学校】 公立:年間に19万4千円,私立:年間に28万円

博士課程学生の経済的支援状況
 米国では博士課程学生に対するフェローシップ等による支援が約13パーセント。一方、日本学術振興会の特別研究員事業による支援は約5パーセントにとどまっており、経済的支援の充実が課題。

4  信頼される学校教育の確立
小・中学校の指導体制
 日本の小・中学校における教員1人当たり児童生徒数は、各国と比較して大きい。少人数指導や習熟度別学習など、よりきめ細やかな指導体制の充実が課題。
(参考) 平均学級規模(国公立教育機関)
日本:  初等中等教育28.5人、前期中等教育33.7人
OECD平均:  初等中等教育21.5人、前期中等教育23.8人

小・中学校の教材費・旅費等
 昭和60年に一般財源化された小・中学校の教材費・旅費は、措置率が年々低下(教材費:基準財政需要額の73.1パーセント、旅費:教職員一人当たり交付税積算単価の72.1パーセント(平成17年度))しているとともに、各自治体によって整備状況に差が発生。

小・中学校の学校図書館図書費
 学校図書館図書費は、交付税措置されているが、図書整備の目標である学校図書館図書標準の達成率は、平成17年度末現在、小学校約40.1パーセント、中学校約34.9パーセント。また、地方自治体間の整備状況の差も大きく、図書の整備が課題。

小・中・高等学校における教育の情報化
 日本は、アメリカや韓国と比較して、学校における教育の情報化が遅れている(例えば、校内LAN整備率はアメリカ、韓国はほぼ100パーセントである一方、日本は平均56パーセント程度)。児童生徒の情報活用能力の育成や、ICTを効果的に活用した「わかる授業」の実現のための環境整備が課題。

学校評価の充実
 教育水準の保証を図る上で、学校評価を通じた学校運営の改善が重要。現在、教職員による自己評価の実施は進んでいるが、保護者等が参加する評価(外部評価)の実施が進んでいない。さらに、自己評価、保護者等による評価(外部評価)の結果を含めた学校に関する情報の公開が不十分であり、これらの一層の促進が重要。
(参考) 学校評価の実施状況(平成17年度間)
公立学校における自己評価実施率イコール97.9パーセント
 (うち 公表率イコール58.3パーセント,設置者への提出率イコール36.1パーセント)
公立学校における外部評価実施率イコール51.5パーセント
 (うち 公表率イコール69.7パーセント,設置者への提出率イコール33.3パーセント)

いじめ等児童生徒の問題行動
 いじめは小・中・高あわせて2万件、暴力行為は3万件を超えており、小学生による暴力行為が増加するなど(平成17年度)、児童生徒の問題行動は依然憂慮される状況。また、特に、携帯電話を使ったいじめや犯罪をはじめ、携帯電話をめぐる多くの問題が指摘。

不登校児童生徒
 小・中あわせて12万人の児童生徒が「不登校」を理由として年30日以上欠席しており、不登校児童に対する支援措置の充実等が課題。

教員をめぐる課題
 文部科学省が平成18年度に行った勤務実態調査によると、教員の残業時間は1日平均2時間、1か月で平均34時間であり、教員の多忙化が指摘。
 病気休職者数が年々増加し、その中に占める精神性疾患による病気休職者数も平成17年度で過去最高(平成17年度:病気休職者7,017名、うち精神性疾患による休職者4,178名(59.5パーセント))。また、指導力不足と認定された教員が、平成18年4月1日現在で506名おり、人事管理システムの適正化が課題。

学校の進路指導の充実、各学校段階及び学校と職業生活の連携の改善
 大学進学者のうち、約20パーセントは最低修業年限で卒業せず、卒業する者の約15パーセントが進学も就職もしないまま卒業している。また、卒業後3年以内に離職する者の割合は、中卒で約70パーセント、高卒で約50パーセント、大卒で約35パーセント。
 これらの問題を、単に高等学校や大学など単独の問題として捉えることなく、各学校段階の間の連携、学校と社会の連携の問題として受け止め、能力や適性に応じた進路指導を行うとともに、各学校段階の間や、学校と職業生活を結びつけたキャリア教育の推進が重要。

ものづくり等を担う人材を育成するための職業教育の充実
 専門高校では、ものづくり等地域の産業や社会を担う技能者を育成しており、高等専門学校では、実践的・創造的技術者を育成している。これらの取組はものづくり現場の技術力の維持・強化に向けて貢献しており、このような学校に対する資源配分が重要。
 熟練した技術者の高齢化といった問題が懸念される中で、ものづくり現場における技能継承や、ものづくり人材の育成が課題。
(参考)
  〔専門高校における状況〕
 就職希望者に対する就職決定率(国公私立合計)96.1パーセント(平成18年度)
〔高等専門学校における状況〕
 就職希望者に対する就職内定率98.7パーセント(平成17年度)
 求人倍率21倍(平成18年度)

若者の失業率、フリーター・ニート
 24歳以下の若年者の失業率は他世代より高水準。また、平成18年でフリーター187万人、ニート62万人と推計。青少年が自らの個性や適性を自覚し、主体的に進路を選択し、社会的自立を果たせるよう、早期からのキャリア教育や、専門高校(全高校生徒数の2割)等による地域社会と連携して行う職業教育の充実が重要。

現代的健康課題への対応の充実
 子どものメンタルヘルスやアレルギー疾患などの現代的健康課題に対して、校内組織体制づくりや学校と地域の医療機関等との連携の推進が必要。

地域内での子どもの安全確保
 多くの保護者が「地域内での子どもの安全確保」について高い関心を持ち、学校と地域が連携した子どもの安全確保のための環境整備が急務。

学校施設の耐震化
 平成19年4月現在、公立小中学校施設の耐震化率は6割弱、自治体間でも大きな差があり、より一層の耐震化の推進が課題。

理数教育
 理科や数学の勉強が楽しいと思う生徒の割合は国際的に見て最低レベルで、学年が高くなるにつれて算数・数学、理科ともに好きでなくなる傾向にあるという調査結果があり、理数好きの児童生徒を増やすことが課題。

大学等進学率
 高等教育機関への進学率が7割を超える現状(近い将来、収容力(志願者数に対する入学者数の割合)がほぼ100パーセントになるいわゆる「大学全入時代」が到来)。こうした中、教育の質の保証、私学経営等に悪影響が生じる可能性が指摘(平成18年度の入学定員未充足の私立大学の割合は40.4パーセント)。

大学の国際競争力
 研究面においては、日本の論文数のシェアは2位、また、被引用回数のシェアは4位と健闘しているが(米国科学情報研究所調査)、知識基盤社会の構築を目指す我が国においては、アジア、世界の「知の拠点」として更なる国際的に魅力のある質の高い大学の構築が課題。

大学の国際化
 日本への留学生数は117,927人(2006年度)であり、高等教育機関在学者に対する留学生受け入れ数の割合は3.3パーセントと、国際的にはまだ不十分な水準。また、外国人教員の割合も、5.1パーセントと低水準。外国語での講義など我が国の大学の国際化は十分とはいえず、経済的負担も大きい。
 また、日本人学生等の海外留学は約83,000人(2004年)であり、経済的支援、卒業・就職活動等の遅れに対する配慮が必要。

地域の知の拠点としての大学
 各地方大学は個性豊かな教育研究のみならず、生産誘発効果や雇用創出効果により立地県の経済に大きく貢献。しかし、国立大学法人運営費交付金や私学助成の削減により、特に地方大学における教育研究環境が悪化しており、今後の大学に対する支援のあり方が課題。

企業が大学へ期待すること
 経済社会の人材需要は、社会人として備えるべき基礎的能力(例:対人関係能力、自己教育力など)を求める方向に変化。例えば、文系では、企業は「知識や情報を集めて自分の考えを導き出す訓練をすること」を最も期待するが、大学は、より「専門分野の知識を身に付けさせること」を重視する傾向があるなど、大学における教育と企業の大学に対するニーズのマッチングが課題。

大学が企業に期待すること
 大学の改革を進める上で大学関係者から企業に対する期待・要望も強まっている。例えば、企業としては、産業界の求める人材像の明示、過度の早期採用等の是正、大学の学習成果の適切な評価、インターンシップ受け入れの拡大、従業員の学び直しへの支援、教育研究活動への寄附の充実などが課題。

大学における学術の振興
 大学の枠を超えて共同利用・共同研究を推進する「全国共同利用」は、これまで国立のみを拠点としていたが、私立大学等にも拠点を置き、国公私立大学を通じた新たな学術研究システムの整備が課題。

若手研究者の状況
 米国では、若手研究者は任期付で自立的な環境で研究実績を積み重ね、審査試験に合格後、終身雇用の職を取得すること(テニュア・トラック制)が一般的。一方、日本では、当初から終身雇用の割合が高く、テニュア・トラック制等若手研究者が活躍できる環境の整備が課題。
 また、若手研究者の素養・能力を養うために有効な取組として、「若手研究者が自立できるような環境整備」「研究者間の切磋琢磨を促す取組」をあげた研究者が34パーセントにのぼっており、これらに対する取組が必要。

博士号取得者の活動実態
 博士号取得者の多くはアカデミック志向が強く、営利企業で活躍する博士号取得者は、米国(33.6パーセント)の半分(16.9パーセント)にとどまっており、博士号取得者のキャリアパスの多様化が課題。

女性研究者の状況
 日本の研究者に占める女性の割合は11.9パーセントであり、欧米諸国と比較して低い状況。その理由としては、男女問わず「出産、育児、介護等の家庭の事情」が一番にあげられており、研究と家庭の両立支援の充実が必要。

高等教育財政
 我が国の高等教育費に対する公財政支出の対GDP比は0.5パーセントで、OECD加盟国中最低水準(2003年)であり、国公私立を問わず、私費負担の割合は極めて高い水準(60.3パーセント)。また、我が国の学生一人あたりの公費・私費を含む高等教育費の額は、アメリカの約半分。こうしたことから、公財政支出の拡充、民間企業や個人等からの積極的な資金導入の促進、教育費負担の軽減が必要。また、機関補助と個人補助の適切なバランスを図りつつ、基盤的経費の確実な措置と競争的資金の拡充等、多元的できめ細やかなファンディング・システムの構築が必要。

教育研究施設・設備
 国立大学等の建物のうち約3分の1が老朽化し、施設を利用する教員・学生等の安全性の確保や教育研究活動に支障 をきたし、早急な整備が必要。 また、教育研究の基盤を支える学術研究設備の整備・高度化が不可欠。

5  家庭教育支援、幼児期の教育、社会教育、学校・家庭・地域の連携協力
家庭の教育力
 約7割の親が家庭の教育力が低下していると実感しており、企業を含む地域社会全体で家庭教育を支援していくための環境整備が課題。家庭の教育力の低下の理由は、「子どもに対して、過保護、甘やかせすぎや過干渉な親の増加」が最も多い。

ワークライフバランスの実現
 プライベートや子育ての時間を優先したいと希望しているが、現実には仕事を優先。また、自己啓発の問題点、生涯学習をしていない理由、地域の活動などへの参加を妨げる要因として、仕事等が忙しくて時間がないことがあげられる。各企業において、労働者の仕事と生活(子育て、学び直し、地域活動等)の両立に対するサポートが必要。

基本的生活習慣の確立
 午後10時以降に就寝する6歳以下の幼児の割合は約3割。また、朝食を食べないことがある子どもの割合は小学生で15パーセント、中学生で22パーセント。生活習慣の乱れは、学習意欲や体力、気力の低下の要因との指摘もあり、基本的生活習慣の確立が課題。

ボランティア活動等を通じた住民の社会参加
 ボランティア活動参加希望を持つ人の割合が約6割である一方、参加経験者は約4割。ボランティア活動に関する情報提供や相談体制の整備、活動の場の開拓が課題。

学習活動を支援する人材の育成
 学習活動を支援する人材育成が地域によって十分に確保されていない。

地域の教育力
 半数以上が、以前に比べ地域の教育力が低下していると実感しており、地域の教育力の再生を図るための多様な機会を提供することが課題。

学校・家庭・地域の連携
 学校において体験活動・ボランティア活動等を進めるための担当者の多くが、日常業務が忙しく外部との連携を図る時間がない、学校におけるコーディネーターとしての研修機会が十分でないといった課題があり、対応が必要。併せて、家庭・地域の教育力の向上に資する学習活動等を推進するため、多様な人材を育成することが重要。

社会教育施設(公民館、図書館、博物館等)の活動の充実
 社会教育施設については、利用者層の拡大、住民とのコミュニケーションの充実、地域の課題解決、学校や地域とのさらなる連携やネットワーク化等が課題。このため、専門的職員である司書や学芸員の地位や質の向上が重要。

情報通信技術の活用
 あらゆる機会にあらゆる場所であらゆる人が学習することができるようにするための手段として、情報活用能力、情報リテラシー及びメディアリテラシーの育成が必要。

生涯スポーツ社会の実現
 子どもから大人まで誰もが、いつでも、どこでも、いつまでも身近に運動・スポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会を実現するために、身近な場所でのスポーツ環境の整備等が必要。

青少年を取り巻く有害環境対策
 インターネット等で有害情報が氾濫する中、携帯電話などを介して子どもが犯罪に巻き込まれる被害が増加。社会の有害環境に対する取組が不十分であるとともに、児童生徒、保護者等の問題意識は不十分。


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