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教育振興基本計画特別部会(第5回) 議事録

1.日時

平成19年5月10日(木曜日)13時~15時

2.場所

ホテルフロラシオン青山「ふじ」(1階)

3.議題

  1. 委員からの意見発表及び質疑
  2. これまでの主な意見について
  3. 意見交換

4.出席者

委員

(委員)
三村部会長、田村副部会長、安西委員、梅田委員、衞藤委員、梶田委員、金子委員、菊川委員、北脇委員、角田委員
(臨時委員)
井上委員、植田委員、大島委員、小川委員、片山委員、門川委員、木村委員、高橋(秀)委員、渡久山委員、中込委員、宮崎委員、無藤委員、山本委員

文部科学省

結城事務次官、田中文部科学審議官、加茂川生涯学習政策局長、清水高等教育局長、樋口スポーツ・青少年局長、舌津文教施設企画部長、中田大臣官房審議官、合田大臣官房審議官、辰野大臣官房審議官、村田大臣官房審議官、岡技術参事官、清木生涯学習総括官、宮内生涯学習企画官

オブザーバー

(発表者)
柘植科学技術・学術審議会人材委員会主査

5.議事録

【三村部会長】

  それでは時間になりましたので、ただいまから教育振興基本計画特別部会(第5回)を開催させていただきます。本日もお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。
  本日の議事は大きく分けて2つであります。1つは委員からの意見発表、2人を予定しております。それから、その次に意見交換を予定されております。意見交換につきましては、あらかじめ書類を配っていただいたことがありますので、その方々を先にして、その後審議という形にさせていただきたいと思います。
  議事に入りますけれども、前回もこの部会の進め方につきまして、委員の方々から議論をいただきました。私もいろいろ考えたんですけれども、やはり特別ワーキンググループのようなものをつくりまして、そこで整理を行っていただき、それをここの部会に発表していただくという形で審議を進めていきたいと思っております。もちろん、したがって各分科会でも議論が行われているわけなので、それも総合しながらということになりますので、私としましては、田村副部会長を中心といたしまして、それから各分科会長も中に入っていただき、それから、それ以外につきましては、部会長としての私が指名させていただくという形で、10名以内の方々にワーキングをつくっていただいて、中間的な整理の試案をつくっていただくという形で進めさせていただきたいと思いますけれども、皆様、いかがでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

【三村部会長】

  ありがとうございました。そしたら、そのような形でやらせていただきますけれども、1つ、通常、部会を設けますと、例えばこれは公開にするかどうかと言う議論があるんですが、これはあくまで私どもの特別部会の中身そのものでありますので、中身としては、したがって公開ではなく、あくまでこの審議が公開という形で、この部会に報告していただくという形での公開という形にさせていただきたいと思いますので、これもご了承願いたいと思います。
  田村さん、それではよろしくお願いいたします。
  それでは前回に引き続きまして、今後の教育のあり方につきまして、委員から発表いただきたいと思います。まず小川委員から、大体15分程度ご発表をいただきまして、その後、15分程度の質疑を行いたいと思います。
  それからもう一つ、今回は科学技術関係の人材養成の観点から、特別に科学技術学術審議会人材委員会の主査を務めておられます、柘植三菱重工特別顧問にもおいでいただいておりますので、小川委員からご発表いただいた後、柘植さんによろしくお願いしたいと思います。それでは小川委員、よろしくお願いいたします。

【小川委員】

  よろしくお願いします。
  今、配付されている資料1の資料、レジュメを使って、15分ほど報告させていただきます。私からは、今後の教育のあり方についてということですけれども、主に私の専門は初等・中等の分野ですので、義務教育学校の定数改善と教員給与の問題を中心にお話しさせてください。
  というのは、義務教育経費の中というよりも、むしろ文部科学省全体の教育予算の中でも、非常に大きな割合を占めている義務教育学校の先生方の給与と、またそれに連動する教職員の定数配置の問題というのは当然、振興基本計画を検討する上で、一つの中心的なテーマになり得るものというふうに考えますので、15分という限られた時間ですけれども、お話をさせていただきたいと思います。
  時間もありませんので、このレジュメを全部読むということはできませんので、ポイント、ポイントをピックアップしながら話をさせていただきたいと思います。まず「はじめに」ですけれども、今、教員の給与や定数の大幅な見直しというのが進行中です。その理由としては、これも皆さんご承知のとおりですけれども、公務員の人件費の削減ということと、もう一つは、公務員教員の安定的な身分保障と給与上の人材確保法に象徴されるような優遇措置等が教員の職務意欲を減退させてきているというようなことで、能力、業績評価を反映した給与体系と人事管理システムの構築が必要というふうに主張される中で、その見直しが進められております。
  しかし、また同時に、今見直しが進んでいるんですけれども、この同じ時期が団塊世代教員の大量退職の時期、すなわち教員の大量採用時代と重なっているということと、もう一つは、日本経済の回復で、民間企業の雇用も改善しているということもあって、教員給与ないしは定数政策の行方いかんによっては、優秀な人材の獲得をめぐって、民間企業との厳しい競合にさらされ、教職に優秀な人材を確保できないような事態も危惧されています。事実、数日前の新聞等々でも首都圏、そして関西なんかの都市圏では、小学校の教員採用試験の実質的な試験倍率というのが2倍前後で推移しているという状況も生み出されています。
  2つ目には、もう一つは教育再生に向けた教職員の取り組みや体制づくりが非常に強く要請されていること。もう一つは昨年、文部科学省が40年ぶりに実施した教員の勤務実態調査の中から、教員が非常に多忙な勤務実態というのが明らかになってくる中で、そうした教員の多忙な勤務実態をそのままにしたまま、給与の引き下げとか、定数の見直しということをするということは、むしろ逆方向ではないか。むしろ給与の改善、定数の改善の方向で、そういう教員の多忙な勤務状況というのを見直して、改善していく方策が必要ではないかというような点での要請というのが強くなってきているのではないかと考えています。
  そうした点を考慮しますと、教員給与とか定数の政策というのは、単なる人件費の削減とか、見直しといった視点からだけではなくて、やはり教育再生の体制づくりや教職への優秀な人材確保・育成という視点からも、十分に検討されていくことが必要ではないのか。そういうことがまず1つ、前提の問題意識です。
  まず最初に昨年度、文部科学省が教員給与の見直し作業の基礎データの収集の一環として、昭和41年以降、約40年ぶりに全国の教員勤務実態調査を実施しました。時間がありませんので、詳しい内容はまた説明できませんけれども、一口で言いますと、ここに書いているとおり、昨年7月、11月の通常期における1日あたりの時間外勤務というのは小・中学校平均で約2時間程度、1カ月で約40時間の超過勤務という実態が明らかになりました。夏休みの期間を除くと、それが大体平均34時間ということになりますけれども、これにさらに家庭への持ち帰り時間とか、週末・休日の勤務というものを入れますと、月50時間を優に超えるような超過勤務の実態ということが明らかになりました。
  実は学校現場というのは、こうした教員の長時間にわたる恒常的な時間外勤務によって支えられているというようなことが、今回の調査でも非常に数字、客観的なデータでもって示されたわけですけれども、教員の給与とか定数問題を検討する際には、こうした状況をそのまま容認するのではなくて、可能な限り時間外勤務を減らして、教員が授業を中心に児童生徒と直接かかわる時間や、職能開発に費やす時間を確保できるような方策を講じていくということが重要ではないか。
  その点では大きく2つの留意すべき点がありまして、1つは調査の中で明らかになったことは、時間外勤務が多くなる業務というのは、時期によって異なるわけですけれども、その多くの時間を割いている部活とか、いわゆる事務の合理化の努力で、ある程度時間外の勤務を幾分減らすことが可能なわけですけれども、しかし、学級を基盤に学習指導、生活指導ないし学級経営、学校経営、また地域・保護者との連携・協力を一体的に取り組んでいる、現在の日本のような学校経営のあり方を前提とした場合、そのいずれの業務も大切で、何の業務を削れば超過勤務を大幅に減らすことができるかという状況ではないというのがまず1つ、事実の確認として必要ではないのかということです。
  ですから、そのためにはやはり教職員数を一定程度増やして、「過大」学級における学習、生活指導の負担を軽減しながら、学校の管理・経営の合理化・分業化を図る必要があるのではないかという点が確認されてよいのではないか。そういう点で、学級規模の縮小の問題というのは当然、教員のそうした超過勤務の軽減を考える1つの前提的な課題ではないかという点です。
  2つ目には、教員の恒常的な長時間の超過勤務の実情を直視した場合、現在、本俸4パーセント程度の教職調整額というふうな支給の仕方が妥当なのか。また2つ目には、現在の教職調整額支給の仕組みを継続していくのか。あるいはこれを廃止して、他の一般公務員と同様に時間外勤務手当として支給していくべきかどうか、このあたりは少し検討していきながら、本来の教師の給与と勤務のあり方ということを検討していくことが今回、求められているのではないかと思います。その議論をめぐっては、中教審の答申で既に出されていますので、ここでは省略したいと思います。
  そこで2ページの下の2のところで、具体的な給与制度の見直し論議と、その課題であるわけですけれども、まずそもそも現在支給されている本俸4パーセントの教職調整額の算定根拠となっているのが、昭和41年、文部省が実態調査をやって、大体月8時間程度の超過勤務というふうなことで、それに充当される金額というのが約1,500億円ということになっています。
  この月8時間の超過勤務で約約1,500億円というふうな全体の金額をベースにしますと、今回の教員勤務実態調査で明らかになった、夏休みを含まないというふうにした場合、月40時間の超過勤務の時間の実態に見合った支給をするとなると、約7,500億円の金額が必要になるというふうになります。また夏期休業期間を入れると、月34時間というふうにならされますけれども、それでも6,400億円程度の金額が必要になってきます。つまり、現在支給されている教職調整額というのは、そうした実際の月40時間の超過勤務時間の約20パーセント程度、つまり残りの80パーセントは、言葉はよくないんですけれども、ただ働きで勤務しているということとなります。
  ですから、仮に月40時間の超過勤務時間を時間外勤務手当として支給するとして換算した、この約7,500億円という金額は、例えば教員の年収を700万円ないし800万円と想定した場合、約9万から10万人の新しい教員を採用できる金額でもあるわけです。まず1つは、その辺のところを少し押さえた上で、給与のあり方、定数のあり方というところを少し検討することが必要ではないか。これはまた後で述べたいと思います。
  次、3ページですけれども、教員給与の見直しの前提として議論される際、一般公務員、一般行政職と比べて、先生方の給与は高いという議論がなされています。例えば中教審の教員給与のあり方に関するワーキンググループでも、財務省のほうから、ここの数字にあるように、大体一般行政色と比べると、教員の給与というのは11パーセントほど高いというふうに言われて、そのために人確法の廃止や、教職調整額の廃止等々が主張されたわけですけれども、しかし、この財務省からの11パーセントが高いという数字自体は、ワーキンググループの中でも、文部科学省からデータ等々の統計処理上の問題もあって、実質的にその辺のところの処理を是正して比較した場合、教員給与というのは一般行政職公務員と比べるとわずか2パーセントにすぎず、40歳以降については、むしろ一般行政職の給与のほうが高くなっているというデータも示されています。
  実際、3ページの真ん中に示しているとおり、平成13年から17年度における5年間の平均ベースで、月額給与を一般行政職と教員を比較した場合、このように、この差というのは1万1,323円、2.76の程度の差しかないということです。その差を生み出してきているのが、いわゆる人確法等々で支給されている教員特別手当とか、教職調整額等々ということになるかと思います。
  仮に給与の見直し策ということで、義務教育の教員特別手当を廃止し、また教職調整額を廃止した場合どうなるのかということで試算したのが、3ページの一番下ですけれども、月額38万円ちょっとということで、実質的には一般行政職と比べると、むしろマイナス1万6,000円程度。そして現在の給与の水準でも、2万8,000円ぐらい低くなるというようなことになります。
  ですから、この数字自体はやはり教職員に優秀な人材を確保する給与上のインセンティブというのを非常に大きく後退させていくのではないか。ですから、教員給与の見直しということは避けられない課題であるならば、人材確保法に基づく教員特別手当についても中教審なんかでは、廃止の方向で確認されているというようなことも踏まえますと、1つはやはり人材確保法を継続しながら、特別手当の廃止にかわる俸給表上の配慮というのがやっぱり必要ではないのかという点と、もう一つは先ほどから問題となっている、教員の長い超過勤務時間の実態に見合った支給の方策ということが検討されていいのではないかというふうに考えます。その点については、また少し後で簡単に問題を提起したいと思います。
  給与に加えてもう一つ、ぜひ考えていただきたいのは日本の学級規模の問題です。今、一学級当たり生徒数が、国の学級編成標準では40名となっていますけれども、この学級規模というのは教員の働き方を規定するとともに、もう一方では子供の学習環境を整えるという意味で、学級の人数を何人にするかということは教育政策上、極めて重要な課題になっています。これまで、この中教審の場でもいろいろなデータでもって示されているとおり、日本における国の40人という標準自体が、欧米と比べるとかなり大きな数字になっています。それについては、欧米からも日本の義務教育の効率性を象徴する1つのモデルだという指摘もありますけれども、やはりそういう中で、欧米の教師以上に日本の教師は大きな学級規模のもとで、極めて大きな負担を強いられているという指摘もなされてきています。
  そういう点で、学級規模の縮小ということが1つの大きな政策的な課題ですけれども、日本のこれからの学級規模の問題を考えていく際、やはり留意すべき1つの点は、5ページの真ん中から下に、少し書いておりますとおり、日本における学級と、アメリカなどの学級の違いということについて、きちっと留意すべきではないかと考えています。どういうことかといいますと、日本では学級というのは、学習集団であると同時に生活集団、生活指導集団でもありますし、例えば学習発表会とか体育会、運動会のような学校行事の基礎的単位でもありますし、また学校経営の基礎的な単位としても考えられてきました。
  つまり日本の学級というのは、そうした学習指導のほかに集団の生活や集団の活動を通じて生活指導も期待され、学級を基礎とした生徒集団の教育力に基づく指導が重視されてきました。教員に求められる力量でも、異なる能力、個性を持った子供たちを集団としてまとめながら、その違いを学習指導や生活指導に活用していく授業や学級経営の能力というのは極めて重視され、また評価もされてきました。
  そういう点では、アメリカの学級というのは、基本的には学習集団であって、しかも学級の中の学習指導というのは、個々の子供たちの個別指導が重視されるために、1人の教員が子供の学習指導上において、個別指導が可能な人数として、概して少人数で編成されるという傾向があるわけです。
  ですから、同じ学級といっても、アメリカのような学級の機能と、日本のような学級の機能というのはやはり違いますし、そうした日本の特徴のある学級をベースとした教師の仕事ないしは教師の負担というのは、やはりアメリカなんかのような学習指導にある意味では特化するような形とは、二重、三重にそういう複雑な負担や業務というのが強いられているのではないか。
  そういう学級の特徴が、先ほどから見てきた教員の超過勤務を生み出す1つの大きな原因の1つでもあるというふうに考えます。そういう点で、やはり欧米、特にアメリカなんかでは今、15とか18人ぐらいの小規模学級というのが追求されていますけれども、日本の場合には先ほどから言っているように、さまざまな教育的な機能を学級というところに込めて運営されていますので、むしろアメリカ以上に学級規模の縮小という課題は学校現場にとって、ないしは教師の仕事にとっては非常に重要なテーマではないかと思っています。
  では、その点を踏まえて、その少人数学級にかかる経費というのはどの程度なんだろうかということが非常に大きな問題になるわけですけれども、6ページの表1を見ていただきたいんですけれども、これは今からおよそ20年前、平成元年時における児童生徒数別の学級数です。この時点ではまだ、小学校では36人以上の学級が36パーセント、中学校では実に78パーセントの学級が36人以上でした。
  こういう状況のもとで、例えば小学校1年生から中学校3年生まで、全学年で、全国一律に35人学級を実現しようとすると、単純の試算でも1兆数千億円の追加予算が必要とされるということで、これは財政的にかなり大きな財政負担になるわけで、実際、この時期にはそういうふうな40人学級の見直しということは、ずっと見送られてきておりました。
  しかし、子供の数が実際減る中で、こうした表1で見るような、いわゆる過大学級の割合というのが急激に減っています。それが7ページ、表2の数字ですけれども、これは平成18年度における公立小中学校の児童生徒数別の学級数です。これによると、小学校では36人以上の学級が全体の14.1パーセントに減っていますし、中学校においてすら、平成元年には78パーセントあった36人以上の学級が33.8パーセントまで半減しています。まさに少人数学級の実現のためには、こうした児童生徒数の減に伴う過大学級の割合の減少というのは、ある意味では非常に好機であるわけで、実際、かつて1兆円をはるかに超えるような金額ということは必要なくなってきています。
  例えば、これもいろいろなデータで、あくまで概算の試算ですけれども、30人学級を今の時点で小学校1年生から中学校3年生まで、全学年で実施した場合には、約8,000億円程度で済むと。なおかつ、35人学級については3,000億円程度で小学校1年生から中学校3年生までの35人学級というのが実現するというふうに挙がっています。
  この数字を頭の中に入れていただいて、先ほど見てきた、昨年度の文部科学省が実施した、月40時間を時間外手当として換算した場合、7,500億円という金額がありましたけれども、つまり、今ある意味では言葉がよくないんですけれども、余分に教員が働いている、そういう超過勤務の部分の手当を7,000億円ないし7,500億円を教員の多忙というものを改善するために、教員の数を増やすということを考えた場合に、例えば35人学級ということについて、わずか3,000億円程度で実現できるということにもなるわけです。
  ですから、教員の超過勤務を是正し、なおかつ子供の学習環境を改善していく上で、ぜひこの超過勤務手当に該当する6,000から7,000億円の金額というものを、むしろ教員定数の改善に振り分けていくということが、そうした学習環境にとって重要な少人数学級の実現と、なおかつ教員の恒常的な長時間の勤務を是正する上で、非常に大きな1つの方策にはなり得るのではないか。ある意味では、そうした義務教育経費の中の再配分によって、そうした施策も可能ではないかと考えます。ご検討いただければと思います。

【三村部会長】

  ありがとうございました。
  それでは小川委員のご報告に関して、ご質問、意見がありましたら、いつものとおり、札を立てていただいて、よろしくお願いいたします。門川委員、まずどうぞ。

【門川委員】

  今、教育を進めていく上で、ほんとうに教育条件の整備・充実が教職員の意識、行動改革とともに非常に大事だと思います。それで、学級編成標準が先進国で一番多い40人学級のままになっているという状況や、あるいは行財政改革のために、教職員の給料を減らす、さらには教職員の数を減らすというのはもってのほかだと思います。
  ちなみに京都市では小学校1、2年生を独自予算で35人学級にしており、また義務教育の仕上げのところに責任を持つということで、この4月から、中学校3年生で、独自予算により30人学級を実施しました。これにより学校現場で非常に3年生が落ちついているということを実感します。そのために、正規教員ではなしに、常勤講師を採用してやっているわけですけれども、それでも約10億円の独自予算の財政支出をしています。その一方で、徹底したリストラをオール市役所でやって、三千数百人の職員の削減をやっています。国全体で財政再建のために、公務員を減らしていくことは大事だと思います。しかし、教師は減らしてはならない。同時に、教師の処遇を改善しなければならない。団塊の世代が大量退職していったときに、人材の確保すらできないということで、小川委員の意見に全面賛成ですので、具体的な基本計画の中に入れていただいて、世論づくりも含めてお願いしたいと思っています。
  以上です。

【三村部会長】

  ありがとうございます。井上委員。

【井上委員】

  ありがとうございます。小川委員から、ただいま大変初中教育についての条件整備関係についてお話を聞いて、大筋は私も賛成でございますが、2点ほど質問をしたいと思います。まず第1点は、教員の給与については、今、何が問題になっているかというと、人材確保法による教員の一律の優遇措置に対して、メリハリのついた給与体系にすべきだという論調が非常に強くなっているわけでございまして、先般の中教審答申でもやはりそういう基調が強いと思うんです。
  そこで、特に先ほど、勤務実態に応じた給与体系ということで、これも個々見ると、やはり教員によって勤務の対応が非常に違っているという実態があると思うわけでございまして、そういう意味から教員がいかに現場で一生懸命やって、汗をかいているか。また勤務時間あるいは家庭への持ち帰り、そういう実態をよく分析して、それによって、一律の優遇措置というよりは、むしろそういう学校運営について非常に大きな貢献をしている教員について、メリハリのついた給与体系にしていくというほうが、非常に説得力がある改善方策ではないかというのがまず第1点で、その点について、どうお考えかという点について、お尋ねしたいと思うわけでございます。
  それから、もう一点は教職員定数ですが、これは従来からの定数改善計画も、児童生徒数の減少に応じて、その枠内で定数改善を行ってきたという過去の実績があるわけで、単に教員数を増やして、教育条件を改善するというだけではなかなか説得力がないので、そこはやはり今、全体については人件費削減というのが、2011年のプライマリーバランスを目指して取り組まれておりますから、そういう点では、いかに学校現場の教育を効率的にやるか。また今の学校現場が二極化と言われているように、子供たちの家庭教育の状況が二極化して、それが小1プロブレムとか、あるいは学級崩壊その他に影響しているという現状がございますので、そういう点について、やはり教員定数を考える場合には、そういう実態を踏まえて、教員の増については、一律の学級規模を下げるのか、あるいはもっと例えば少人数の学習集団とか習熟度別学級編成とかティームティーチングとか、そういうようないろいろな多様な教育ができることを学校現場にゆだねるという、学校現場の裁量権も踏まえた定数改善のほうが現状に合うんじゃないかとも思うんですが、そういう点について、どのようにお考えか、2点についてお尋ねしたい。

【三村部会長】

  小川委員、よろしくお願いいたします。

【小川委員】

  最初の給与の問題については、既に中教審の教員給与のワーキンググループのほうでもかなり議論してきまして、私自身としても、やはり今のいろいろな状況を考えますと、例えば一律の優遇的な措置をすべての教職員に支給するということは、世論の支持というのがなかなか得られないだろうと考えています。
  そういう点では、働きに応じてというか、勤務の時間の長さに応じて支給するというふうに、基本としては、僕はその点は賛同しますけれども、ただその際に職務給的な支払いでやるのか、ないしはあくまで勤務時間の長さに応じて、ないしは勤務の質に応じてというふうに支給するのかとなったときに、やはりそれに伴うさまざまな問題ということを考えざるを得ない。例えば時間の管理をどうするかとか、そうした点を検討も含めて、職務的な支給の方法で実際の働きに応じて支給するという手法でもって対応していかざるを得ない。ないしは対応していくべきだろうというふうに考えています。そういう点では、井上委員の指摘するとおり、その点についても私はそう考えています。
  2つ目の定数改善の点についても、私も基本的には全国一律でやるか、ないしは現場の必要の高いところに重点的に使うかというふうな、その辺については、これも第8次改善計画等々で議論した際に当然そういう議論が出てきました。第8次の改善計画の場合には、基本的には一律で、国の標準法を変えてというよりも、ある程度の教員の配置の数の余裕を持たせながら、県のほうに配付する。それをどういう形でもって使うかどうかについては、県が実情に応じて自由に判断しながら使っていくというふうな使い方をされていました。
  ただ、できればやはり40という数自体は、学校現場の教員の数等々を考えますと、やはり算定の基礎として40というのは、私自身は大きい数だと思いますので、基本的には35ということを国レベルでやった上で、35ということぐらいのベースでもって教職員の定数部分の計算をした上で、それをどう使うかということについては、かなり大幅に県ないし市区町村にゆだねていくというような、そういう2つの方向というのを今回とっていただくほうがいいんじゃないのかと思っています。
  実際、35という数字自体は、先ほど言いましたように、3,000億円ぐらいで可能な数字でもありますので、40人学級の見直しというのは、既にこの何十年、この間議論されて、ある意味では学校現場にとっての長い期待でもあったわけですので、ぜひその辺のところも含めて、基本的には学校現場に近いほうで定数を自由に使えるという仕組みも含めて検討していただければと思います。

【三村部会長】

  ありがとうございました。
  次は梶田委員、よろしくお願いします。梶田委員が終わりましたら、渡久山委員、角田委員、植田委員、片山委員、ここできょうのあれはちょっと終わらせていただきます。

【梶田委員】

  ありがとうございます。今、小川先生がいろいろとおっしゃってくださいました。具体のところで、まだ皆さんで議論して、詰めて、振興基本計画の中で言わなきゃいけないことがありますけれども、大づかみなところで、私は皆さんで共通理解しておかなきゃいけないなというところがあるんだろうと思っております。
  1つは、新しい教育基本法、それから古いほうも教員の問題というのはほとんど同じ形で書いてあるんですけれども、60年前の。新しいほうで言いますと、第9条の2項に「前項の教員については、その使命と職責の重要性に鑑み、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実を図られなければならない」と、私はこれを重く見るべきだなと。今、教師に対する非常な批判といいますか、バッシングみたいなものが起こっていますけれども、もし、今教師云々ということを言うんだったら、むしろ養成・研修・採用・待遇とか、そういう条件整備でやるべきであって、今言われているように、教師の数を少なくしたらいいとか、あるいは外から免許のない人を入れたらいいとか、あるいは待遇を引き下げるというようなのは、非常に話としてはおかしいんじゃないか。少なくとも基本法の精神を踏まえたら、そういうことは出てこないんじゃないかと、私なんかは思っております。これが第1点であります。
  こういうことを申し上げるのは、例えば警察官とか教員というのは似ていると思うんです。それは公務員ということから言えば、一くくりにできますけれども、人が具体的にいなければ、その職務ができないというものがあるわけですね。今、私は寡聞にして知らないんですけれども、警察官の待遇を国が800兆も900兆も債務を負っているから、警察官の数を減らそう、待遇を引き下げようという議論が起こっているとは、あまり思っていないんですけれども、教師というのは多分、そういうことで言われやすいといいますか、削られやすいと、削りやすいと思っているんじゃないかと、私なんかは思っています。
  ぜひ、私は政治家の方とか財務省の方が、小中高の教師だけでも100万人いるから、少し給料を減らし、人数を減らしたら、これだけ節約ができるという、むちゃな誘惑に駆られないように、私たちはそこのところを強く言っていかなければいけないんじゃないか。
  繰り返しますけれども、やはりわざわざ新しい基本法でも古いほうでも待遇の問題まで言っているんです。それを人材確保法案をやめましょう。それから少子化に伴う子供の減少率を上回る程度の教員の削減をしましょうという、そのこと自体は、少なくとも基本法の精神と逆行するものでありますし、また日本の将来にとって大変なことになる。
  企業だけをとってみましても、例えば税収を考えれば10年後、20年後、今の企業活動がもっと活発にならないといかんわけです。そのためには、トレーニングされた人間が新しくどんどん企業に入っていかなきゃ、企業活動も活発にならないし、税収も上がらないしということになりますが、今、教師の数を減らしたり、待遇を減らして、節約して、結局、今、ちょうど金の卵を早く取り出したいから、ニワトリを殺してしまうようなことをやっていいのかということを、私は非常に思いますので、この具体の話は詰めていかないといけませんが、教員というのはやっぱり人材確保法案を堅持して、田中角栄総理のときに、あれだけのことをやってくださいました。
  これで待遇をやはりきちっと考え、そして先ほど、小川先生があれされましたように、やはり人数がある程度そろっていないと、学級経営から今の大変な時代にできませんから、やはり人数の確保、定数改善計画、残念ながら、一昨年財務省からけられましたけれども、やはりそういうようなことを実直に進めていかないと、教育の全体の改善がないだろうと思いますので、ぜひまず大づかみなところでは、このメンバーの方々に共通理解をいただきたいなということを思います。
  以上です。

【三村部会長】

  ありがとうございました。次、渡久山委員、お願いします。申しわけありませんが、後のあれもあるので、簡潔によろしくお願いします。

【渡久山委員】

  どうもありがとうございます。
  1つは、やっぱり私たちよく議論したときに、何となく抽象論的な議論が多いんですが、今、小川先生からいろいろ実証的なデータが出てきて、非常にありがたいなと思っています。それによりますと、教員の勤務時間あるいは勤務実態のことについてですけれども、現在、確かに教職調整額が4パーセント出ていますけれども、これはここにもありますように、あの当時、昭和41年ですけれども、8時間だったんですね。
  しかし、これが現在は、月約40時間といいますから、約5倍の超勤になっているんですね。そうすると、今の4パーセントでやりますと、20パーセントぐらい上げないと、実際超勤に見合う分の調整額にならないという形にも、単純にはなるんですね。ですから、そういうことを含めて、あるいは昨年でしたか、労働科学研究所の調査では、教員の超過勤務が月80時間で、要するに過労死状態と言われるような勤務実態が2割ぐらいあるという調査が出ているんですね。ですから、そういうことを考えますと、手当の問題もさることながら、超勤をどう減らすかということが非常に大きな問題だと思います。
  そこで、小川先生にぜひ教えていただきたいのは、調整額廃止あるいは、一般公務員と同様に時間外手当を支給するということになった場合に、これは36協定等を含めて、現行法の改正というのが必要になってきますよね。これについてどう考えられるのか。そしてそれが、実態として可能かどうかということについてのご意見をお伺いしたいというのが1つです。
  それから学級数については、先ほどからございましたように、私も前回いたしましたように、世界OECD各国の21カ国の中に、日本と韓国だけ非常に過大学級になっていますね。大体が20人、25人以下になっていますね。そういうことを考えてみますと、国際的にも非常に日本の子供たちの置かれている状況や、あるいは教育環境というのは、非常に劣悪だというのが言われると思うんですね。ですから、それは単なるOECDとの比較で、GDPに対する国の教育支出が非常に低いというだけではなくて、実態として、なぜそういう状況なのか、十分な教育環境に置けないのかというのは、非常に私は先進国だと言われる日本、あるいは経済大国だと言われる日本において非常に淋しい、あるいは悲しいことじゃないかと思うんですね。そういう意味では、小川先生は具体的に米国との比較でこうして出されて、やはり改善すべきだという方向性について、非常にそれを含めて出されたことに、敬意を表するわけでございまして、そういう意味では私も大賛成でございます。

【三村部会長】

  最初の質問は、今ここでやったほうがよろしいですか。法律との関係で云々の話は。

【小川委員】

  後で。

【三村部会長】

  後で別途、それは詳細になりますから。
  次に角田委員、よろしくお願いします。

【角田委員】

  ありがとうございます。基本的に小川委員のこの提案に賛成でございます。2つ、私から話をさせていただこうと思います。1つは今、教員の大量退職、大量採用の時代に差しかかっているわけです。しかし、これは当然、今、急に出てきた問題ではないわけです。昭和45年あたりに大量採用された者が、40年近くたてば、退職をするというのは当然わかっていたことです。幾ら少子化になるということも、これも予測できたとは言いながらも、それを上回る大量採用をしてきていたわけですから、これは大量採用をこれからまだしていかなければならない。これが今、現実には非常に難しい状況になっています。
  例えば東京都あたりでは、小学校の教員が1,000人以上採用されている。しかし、それでもなおかつ、どんどん足りなくなってきている。臨時採用のような人たちがまた今採用されている。人数がこれで増えてきたから、じゃ、安定しているかというとそうはいかない、かなりこれがまた新卒の教員に対するバッシングといいましょうか、保護者の考え方が、「うちの子供は新卒に持ってもらいたいためにやっているんじゃないんだ。ベテランの先生に、力のある先生に持ってもらいたいんだ」と。昔の親御さんだったら、若い先生、指導力はまだないけれども、少しぐらい力がなくても、一生懸命やってくれるから、いいんじゃないかということだったんだけれども、このごろはそうはなっていない、若い人が辞めざるを得ない状況になることが多い。
  つまり、教員の採用については、先見的に長期の見通しをもっていかないと、ここで急遽またどっと入れると、またいろいろな問題が出てくる。これを長期に弾力的に、段階的にやっていく必要があるのではないだろうかと思います。
  その際に、小学校の学級担任というのは、かなり力量がないとできない。全教科教えるかどうかということについては、まだそれはいろいろと研究していかなければいけないと思うんですが、少なくとも、小学校の低学年については、今のような学習と生活の両面をきちんと担保するような学級担任が必要だろうと思っています。中学年、高学年になったときには、少しずつ強化担任制度のようなものを入れていけば、ある程度大人数のほうが――大人数といっても、40人ぎりぎりいっぱいだときついかもしれませんけれども、30人、35人ぐらいだったらば、活気が出てきて、むしろ授業としてはおもしろい授業もできるし、遊びも豊かになってくるというふうに思います。
  そういう意味では、一律に国で30人学級とか、何人とかというのではなくて、やはりそれぞれの学校の校長なり、あるいは区市町村教育委員会にある程度の判断をゆだねて、弾力的にしていく。そういうことを導入しながら、定数を下げていく。いきなりアメリカのように、学習と生活を分けてやるという形にしようといっても、これは日本ではそう簡単にはいかないことだろうと思いますので、その辺のところはそれぞれの地域の実態に合わせて、校長と区市町村教育委員会の判断の中で定数を下げながら、いろいろな形態でやっていく。
  そういうことでは、これは平成17年の10月に出された、教職員定数の改善に関する調査研究協力者会議の報告がありますので、これをやっぱりもう一回参考にしながら、その辺のところをぜひこの基本計画の中に盛り込んでいただければありがたいなと思っています。
  以上です。

【三村部会長】

  ありがとうございました。植田委員。

【植田委員】

  失礼いたします。山口県の下関市の市内の中学校に勤めております植田と申します。
  先ほどの小川先生のご発表ですが、全面的に大賛成でございます。特に最期のところの35人学級にした場合の所要額、「わずか3,000億円」というふうにおっしゃいました。わずか3,000億円。それから定数法の改善。先ほどもいろいろな方がおっしゃっていますが、現場に勤める教員としては、ほんとうに仲間が欲しい。と申しますのは、我々に今、ゆとりがないという現状がございます。1つ、十数年前の笑い話ですが、昔も今も生徒指導上の問題というのは、質は変わりましたが、非常に時間をとられます。生徒が問題を起こせば生徒への指導、それから家庭への連絡、それについては、20年ばかり前は、本人と保護者を学校に呼んで、学校で指導するという形をとっておりましたが、今、ほとんどありません。教員が出向いていって、家庭訪問をします。それも保護者が帰る時間、これはまちまちでありまして、夜8時過ぎる、9時過ぎるということも珍しいわけじゃないわけです。そうしますと、当然教員も家庭がありまして、ほんとうに1日が終わってしまうという現状でございます。ほんとうに疲れます。
  笑い話でございますが、12月になりますと、十数年前ですが、給料をいただいて、ボーナスをいただいて、それからその年のベースアップ分、給料に近い額をいただけました。こんなにもらっていいのか、頑張ろうという声がありましたが、ここ数年、それを聞くことはありません。もうベースアップはございません。給料表自体が変わりましたので、ほとんど上がりません。50半ばになりますと、もう上がらないと聞いております。そういう現状がありまして、もちろん我々の喜びは儲けるとか儲けない、そういう外にあるとは思っています。
  ただ家族の生活ということを考えたときに、やはり経済的なゆとりが欲しい。それから仲間。学校でとにかく時間がない。世間はこう言われます。先生はいいな。土日が休みで、夏休みまでついてというふうに言われます。中学校の現場においては、これは当てはまりません。もちろん小学校の先生方のお話を聞いても、長い休みがない。全部生徒指導で取られるということはしょっちゅう聞きます。世間の見る教員と学校の中にいる私たちの感じ方があまりにも違い過ぎるということで、ぜひ仲間の増員をお願いしたいと思うわけです。
  本校もスクールカウンセラーの先生にお世話になっております。今年度より、下関市内にお住みの、ある国立大学を退官されました先生にお願いして、学校に来ていただきました。生徒にはよく時間を割いていただきます。先生がおっしゃいます。学校の先生がこんなに忙しかったのか。聞いていたけれど、目で見て初めてわかったとおっしゃいました。世間の見る学校と、学校の中におる見方がギャップがあるというのをぜひご承知いただきたいと思うわけです。
  最初に申しましたが、とにかく日本の子供たちのために、わずか3,000億円、お願いしたい。それから定数法の改善をお願いしたいと思うのであります。よろしくお願いいたします。

【三村部会長】

  ありがとうございました。片山委員、よろしくお願いします。

【片山委員】

  ありがとうございます。
  私は小川先生の先ほどのお話に全く異論ないんですが、ちょっと別の見方をする必要があるのではないかなと思いますのは、今も学校の現場の先生のお話がありましたけれども、先生のゆとりがないとか、繁忙感とか、そういうものが、少人数学級にする、すなわち教員を増やすことだけで解決できるんだろうかなという気がするんです。
  といいますのは、例えば不登校の問題等が、少人数学級を進めようというときの一つの理由になるんですけれども、不登校の問題というのは、例えば大人の社会だったら、むしろ心療内科とか、そういう分野の専門家が扱う面が強いと思うんですね。子供の場合には、教員が扱っているわけですけれども、ほんとうは大人と同じように、心の問題として、もっと専門家が接したほうがいいと思います。それから例えば、学校の内外の治安の問題なんかも、今日的な課題ですけれども、これも教員の専門とするところではないわけですね。
  どうも見ていまして、教員がすべてのことをやるということで、1人が何でもやるということで、それを前提にして学校ができている。すべてのことに専門的になれるはずがありませんので、本来ならば、教育力をつけるという、この専門家である教員があらゆることをやらなければいけない。苦手なものが多いでしょうから、そういうところに焦ったり、なかなか自分で達成感をもてなかったりして、繁忙感とか、焦燥感とか出てくるという気がするんですね。ですから、ここらあたりで、あまり教員中心、教員偏重主義を少し是正したほうがいいんじゃないかと思うんですね。
  例えば同じようなことは、公立病院なんかでも言えて、医者偏重主義なんです。マネジメントができないんですね。事務の人たちはひっそりとしているわけです。ほんとうならばマネジメントをやらなければいけない。ところがないんですね。さっき梶田先生が警察の話をされましたけれども、警察の集団も実は警察官中心、偏重主義でして、警察官は何でもやるものですから、対外折衝だとか、マスコミ関係なんかは実に下手くそですよね。それと同じようなことが学校の現場にもあるんだと思うんですね。
  ですから、教員を増やす、少人数学級にするということは、私は全く異論はありませんけれども、同時に、量の問題だけではなくて、専門家の構成をもっと考えたほうがいいのではないかと思います。これがマネジメントにつながるのではないかなという気がします。

【三村部会長】

  ありがとうございました。最後になりますが、高橋委員、お願いします。

【高橋(秀)委員】

  失礼いたします。ありがとうございます。私は感想のようなことになりますが、お話をさせていただきます。
  まず1つは、これはほんとうに感じたことなんですが、先ほどのご説明の中に、教員と一般行政職とを比較してお話をされた。そのことについてですが、私は単純に教員と一般行政職とを比較して、給与のことを論じていただきたくない。その理由は、教員は免許を要する専門職としてあると。また教員免許更新制が導入されることで、場合によっては、その免許は失効することすらある。そういう職としてあるということの重みというものを私はやっぱり教職にある者として思っておりますので、単純に比較していただくということについては、いかがなものかなと、なじまないことではないかなと思っております。
  それから2つ目のことでございますが、教員給与の改善ということと、教員定数の改善ということとは、やはり別に考えてみる必要があるのではないかと思っているところでございます。教員給与については、先ほどのご説明にもありましたように、平均して月40時間ですね。しかも恒常的に、それだけの超過勤務を行っている。それに見合う正当な報酬が支払われていないというところに問題がある。ですから、その解消をどうするかということでお考えをいただくということではないのかなと。
  そしてもう一つ、教員定数の改善については、これは教育の質をどう保証するかという問題だと思うんです。例えば学級編成の際の児童生徒数を減らしたとして、じゃ、それで教員は楽をしていいよということになるでしょうか。あるいはそれでもって保護者の皆さんは納得されるでしょうか。児童生徒数が減ったんだから、我が子をもっとしっかり見てくれよ。わかるまでとことん教えてくれよ。生活面の指導もしっかり頼みますよ。家庭や地域の皆様との連絡等も密にとってくださいよ。そういうことができる、要するに教育の質を保証する、高めていくための措置の1つとして、教員定数の改善の問題はあるんだと思います。どっちをとるかということではないんだろうと、私は思っております。
  3つ目なんですが、教員定数増あるいは学級定数、児童生徒数減と、このことについては、私はやっぱり基本的には賛成です。前回、この部会でも述べましたけれども、もう一つ、そのことにつけ加えさせていただければ、中教審の平成17年10月の答申にもありますが、学校の自主性、自立性の確立ということの観点に立って、例えば教職員定数が増となったときに、その教員をどう配置していくか。要するに少人数学級とするために、学級数増ということで使っていくのか。あるいは少人数指導や、習熟度別指導等、指導方法の改善・充実の方向で使っていくのか。そこのところは、学校校長の裁量にゆだねていただけるような方向でお考えいただけるとありがたいかなと思いました。
  以上でございます。どうもありがとうございます。

【三村部会長】

  ありがとうございました。小川委員の提起された問題は、おそらく今回の振興計画の1つのコアになるあれだと思いますので、きょうはちょっと時間を取って議論させていただきました。ありがとうございました。
  そしたら、次にお待たせいたしました。15分ぐらいでオリエンテーションをよろしくお願いいたします。

【柘植主査】

  科学技術学術審議会の人材委員会の主査をやっております柘植でございます。科学技術関係人材の育成・確保の面から、教育振興基本計画に盛り込むべき点についてご提案を申し上げたいと思います。資料はクリップでとめられております、右上に資料2とありますが、クリップを外していただきますと、3種の資料になっておりまして、1つ目の資料2が今日ご説明する趣旨ですが、2つ目に右上に参考と書いてあります、科学技術基本計画、昨年3月28日の閣議決定の人材の部分についての抜粋であります。それからもう一つは、横書きで1枚パワーポイントのコピーが「イノベーション創出に必要な能力と育成人材像」と題して柘植の書いた資料でございますが、これらをもとにしまして、最初の資料2の3枚もので、10分ほどでご説明申し上げたいと思います。右上資料2をごらんください。
  最初のパラグラフに書いてございます。ご案内のとおり、第3期の科学技術基本計画におきましては、科学技術の関連、関係人材の育成が最重要課題とされております。科学技術創造立国の基盤は人であることは言うまでもありません。その育成の成否は、初等・中等教育段階から高等教育と研究者・技術者の育成段階までの一貫した人材育成にかかっております。すなわち科学技術創造立国の実現のかなめは「教育」と「研究」と、社会経済価値創造、これが「イノベーション」ですが、この3要素を一体的に振興することであります。
  この3要素の一体的振興は資料2には書いていませんが、G8の主要国においてもイノベーション推進戦略の共通の柱になっております。今日の主題であります教育振興においても、それから私どもの科学技術・学術審議会のミッションである科学技術・学術振興においても、この視点の強化と具体化が必要であります。
  本文に戻りますが、この観点に立ちまして、我が国の科学技術・学術振興を担う人材の育成の強化面から、教育振興基本計画に盛り込むべき、以下の3点を提言したいと思います。なお、その具体化に当たりましては、各府省・各機関が一体となった総合的な人材育成施策を計画的に進めるべきであり、その具体策を裏打ちする国の財政投資を欧米諸国並みに増加させるべきであります。まだ民間からの教育関連の寄附行為も税額控除等の措置を講ずるべき時期が来ていると思います。
  提言1でございます。まず初等・中等教育における理数教育の充実であります。次の時代を担う科学技術関連人材を育成するためには、まず自然現象や人工物のおもしろさを体感させて、その実感に基づいた理科、数学に対する興味と理解を与えることが大切であります。理数が好きな子供の割合が小学校、中学校、高校と進むにつれて、減少している現象はこの教育方法の不十分さに一因があると考えます。
  このため、子供たちが「もの」に即して「科学」と「技術」に触れて、体感しながら学習できる環境を提供し、各子供たちの理解度に応じたきめの細かい指導によって、基礎、基本の確実な定着を図る教育環境の強化が必要であります。まさに科学技術関係人材のすそ野の拡大であります。
  同時に、関心・理解度の高い子供の能力を適性に応じて伸ばして、科学技術分野で卓越した人材を育成することも必要でありまして、これは卓越した科学技術関連人材の育成であります。
  まずそのすそ野の拡大策であります。1点目は体験的な理数教育を行うことのできる教員の育成と質の向上及び、今の話題にもありましたように、人数の大幅充実であります。
  2点目は「もの」に即した科学と技術を体感する観察、実験、それから実際に「もの」をつくる工作の充実であります。これには地域産業人材の教育参画、あるいは資料には書いてありませんが、ポストドクターの適材の起用ということも考えられると思います。以上が基礎・基本の確実な定着を図る初等・中等教育であります。
  資料には書いていませんが、これは大切な子供たちからのいわゆる落ちこぼれを生じさせない、きめの細かい教育の強化がかぎになるわけであります。このためには、これを可能にする理数教育カリキュラムの見直しと、教科書、理科設備等の充実が必要です。
  ここにフィンランド等の充実例に学ぶと書いてございますが、これは先生方のほうがはるかにご存じだと思いますが、私も先日、フィンランドに行ってまいりましたけれども、小中学校の初等教育の教師も修士修了がほとんど標準ということを伺ってきました。地域との教師とのコミュニケーションは非常に良いということ。もちろん、これは1人20人クラスが標準になっていることからできることかもしれません。
  資料に戻りますが、次に「卓越した科学技術関係人材の育成策」でありますが、現在進めております、スーパーサイエンスハイスクールの科学面と、それから技術面の両面からの特徴ある拡充と成果の横通しが必要です。それから現在もやっています国際科学オリンピック等に挑戦する機会の拡大をすることに加えて技術を競うコンテスト等の拡大の充実。これによって、科学と技術の人材の育成。それから大学による優秀者の進学優遇策の充実が必要であると思います。現状、この施策は不十分だと思います。
  もう一点は小中学生からの早い時期の海外経験等、卓越した人材の能力、意欲をさらに伸ばす環境と施策の整備が必要です。
  提言の2は、高等教育における科学技術関係人材育成機能の強化であります。独創性にあふれ、世界をリードする人材を育成するためには、高等教育が果たすべき役割は極めて大きいのは言うまでもありません。大学の学部、それから大学院における教育の質の抜本的な強化に取り組む必要があります。
  特に実学の充実と、個人個人の適性の重視によって、高い基盤・専門能力に加えて、広い視野のもとで、みずから問題を発見・解決する能力を養う教育の充実が必要であります。いわば新しい「科学的知を創造する人材」、私は添付した資料「イノベーション創出に必要な能力と育成人材像」の三角形の図の中で、「Differentiater:D-型人材」と書きましたけれども、こういう人材の育成を目指していると同時に、幅広い基盤知識、基盤の技術をベースに知の創造を社会経済的価値創造にまでつくり上げる統合能力人材、私はこれを「Integrater:Σ-型人材」と言っておりますが、この育成が必要です。我が国の高等教育はこの点の人材育成の機能が不十分と言わざるを得ません。この機能強化の実現に向けては、大学と産業界と研究機関、独立法人が三位一体的な連携を充実・強化することが求められております。
  この実現のために以下の取り組みが行うことが必要と提言したいと思います。1つは学部・大学院におけるすぐれた科学者教育と技術者教育への支援の充実であります。2点目は大学院における産・学・官の一体的な連携による多様な能力を持つ人材育成の推進と、教員の意識改革であります。3点目は卓越した国際的教育研究拠点を重点的に支援する取り組みの充実であります。4点目が博士課程におけるフェローシップ、それからティーチングアシスタント、リサーチアシスタントなどによる経済的支援の充実、これは産業との連携策を当然含むことになりますが、これによって、世界に通用するたくましいドクターコースの学生の育成が可能になるわけです。
  提言の3点目は、イノベーションの源としての多様な人材の育成の観点からです。大学は「教育」に加えて、イノベーションの源泉となる学術研究、いわば「知の創造」を推進する重要な機能を持ちます。その担い手となる若手研究者、女性研究者、外国人研究者など、多様な人材が能力を最大限に発揮して、活躍する環境の整備を促進することが必要であります。その際、自立した研究環境、それから競争的で切磋琢磨する環境、それから異なった分野、異なった文化とか人材、そういう「異」との触発による創造的環境等の整備に努めることが必要であります。
  そのような観点からの施策提言は、1点目は、若手研究者が自立的に創造的な研究を行うことのできる環境の整備。2点目は女性研究者が出産・育児等を両立して、能力を最大限発揮できる環境の整備。3点目は産業界との連携の促進などによる若手人材のキャリアパスの多様化であります。4点目は異分野、海外との交流などによった異なった文化・人材等、「異」との交流による触発機会の提供であります。
  最後、結びですが、以上の提言の実行によりまして、科学技術創造立国を支え、イノベーションを創造する多様な人材が育成され、まさに国づくりは人づくりでありまして、これを真に具現化する教育振興政策となります。国はこの実現に向けて、教育振興投資を一層充実する必要があると同時に、社会も産業も教育に対して、今以上に人的な参画・貢献、と共に資金的な貢献もせねばならないと考えます。
  以上でございます。

【三村部会長】

  柘植委員、どうもありがとうございました。
  ただいまの報告に対してご意見がありますか。田村委員、よろしくお願いします。

【田村副部会長】

  大変いいお話をありがとうございました。柘植先生のお話で、実はちょっと気になることがございまして、申し上げたいと思ったのですが、初等・中等教育段階で、修士の問題というのはつとに言われてきているんですけれども、現場では修士を嫌がるという実態があります。先ほどから教員の給与あるいは定数のこともそうなんですけれども、現状を変えることを嫌がるんですね。ですから、現状のままで何か問題を解決しようというのがまず最初に来るものですから、いろいろな難しい問題が出てくる点があると思います。
  実は高等教育も同じでございまして、マスターでいいのか。ドクターまでやる必要があるのか。実態を申し上げますと、実は産業界はマスターでいいという意見が強いと実感しております。ドクターのほうは、もう会社に来てからやればいいんだというような感じが強くて、ドクター採用についてはそれほど積極的でないという実態がございます。それは私の認識が間違っているかもしれませんけれども、そんなことを感じます。
  ですから、ドクターをどの程度養成したらいいかというのは、日本の社会でまだコンセンサスを得られていないのではないかという気がしているんですね。これは修士の養成も全く同じなんですね。その辺のところをどう解決したらいいか。もし伺えるのでしたら、お聞かせいただきたいと思います。

【柘植主査】

  まず今日の私の提言は、科学技術創造立国の実現、つまり「科学技術創造による国づくり」であります。科学技術に基づく国づくりをしていくという、これが国の科学技術政策の「出口」目標です。それを実現するために、世界に通用する課程ドクターは不可欠であります。全員でなくてもいいんですが。
  きょうの、私の資料のクリップを外していただきますと、最後に付けた三角形の1枚の「イノベーション創出に必要な能力と育成人材像」と題した資料を説明させていただきます。図の左側の三角形は、世界をリードするイノベーションを示していますが、底辺と高さともに益々幅広くかつ高くなっています。トップランナ-になった日本はこの巨大な三角形を構築する能力が求められています。その実現のためには間違いなく、図の右側上を見ていただきますと、タイプDのDifferentiaterの科学技術創造人材が不可欠であります。巨大なイノベーション三角形の構築は、私は課程ドクターを修了して世界に通用するドクターがいなければできないと思います。
  そういう意味で、確かに産業界の現実と、生まれてきているドクターがこの資質を満たしているかという博士課程教育の実態とのギャップの問題がありますが、これはセカンドタームの問題としてギャップを埋めていくべきことでありまして、産業界として世界に通用する課程ドクターは必ず必要です。
  それから一方では、三角形で示したイノベーションの大部分のピラミッド構築を支えているのは、まさにタイプB、幅広い基礎技術の理解と基盤技術人材・技能人材です。こういう能力を持つ人材が人数的には一番必要なのです。私はこのタイプBの初等教育できちんと教えるべきこと、中等教育できちんと教えるべきことという観点で、繰り返し、繰り返し教えることで、タイプB人材は人数的にも、質という面でも生まれてくると考えます。
  その教育の実行のために、今の教員の資格だけで、能力だけでいいのですかとの問題を提起したい。私はやはり特に理科とか、数学とか、それから技術のおもしろさということを体感させる教育能力、こういう面においては、修士課程修了の教師が必要だろうと考えます。フィンランドでもそういうこと実践していることを私は聞いてきましたので、まず間違いないなと思います。
  やはり教育も研究も「国づくり」の出口というか、一番最後のほうからずっと紐解いていくと、今のような意見になってくると思います。

【三村部会長】

  ありがとうございました。
  次に角田委員、お願いします。

【角田委員】

  ありがとうございました。
  今、柘植委員から、この科学技術関係人材の育成・確保ということについて述べられて、まさにそのとおりだなと思いながら、どうも出口といいましょうか、高等教育のことについては、相当危機感が高まって、これを充実させなければいけないという意識があるということは十分感じられるし、このことはとても大事なことだろうと思います。しかし、私自身としては現場にいながら、非常に理科だとか社会科の子供たちの力が落ちてきているなということを肌で感じるんですね。
  これは特に今回の学力調査などをしたときに、やっぱり国語と算数にウエートがかかってくる。読み書き計算というふうなことについても同じことですけれども、それに比べると、小学校の特に低学年における理科的な興味・関心を伸ばす、そういうことが非常におくれているような感じがするんですね。
  低学年でなければ驚かないような、例えばアサガオをまいて、芽が出てくる。その芽は、種が出てきたんだということ。ヒマワリが出て、あんなにたくさんの種ができるんだということ。今、ヒマワリの絵をかかせると、形はできていても、中ににこにこマークを書いて、それで、ああすばらしい感性ですと、こういうふうになっちゃっているところがあるんですね。
  やっぱり小学校の低学年のうちに、この科学的な見方だとか、感性だとか、自然への驚きだとか、著しい変化だとかということをきちっと指導するというか、体感をしていく必要があるんだろうと思います。ぜひこういった施策の中に、もちろん高等教育だけではなく、ここに書かれているわけですけれども、小学校での、あるいは幼稚園・小学校を通じての理科教育をどうすべきなのか。それが科学技術に非常に大きく私は影響してくるのではないだろうか。長い目で見ていかなければいけないことではないかなと思っていますので、この辺もぜひ加えていただければと思っております。
  以上です。

【三村部会長】

  ありがとうございました。
  最後に渡久山委員、お願いいたします。

【渡久山委員】

  ありがとうございます。
  今、提起されました、柘植先生の提言、非常にすばらしいなと思いますね。特に私は1ページの初等・中等教育における理数教育の問題なんですが、ここにも書いていますように、学年が進むに連れて、教育方法だけじゃなく、理科が好きじゃない子供たちというのはずっと増えていくんですね。僕はそれには一等、1ページの一番最後の行にありますように、子供たちの理解度に応じたきめ細かな指導、基礎、基本ですね。それが十分に至っていないという気がするんですね。それは先ほどの議論にもありましたように、非常に子供たちの学級規模が大きいということもありますし、先ほどの柘植先生の話では、フィンランドは20人プラスアルファだという感じがありますが、そういうようなことが一つ問題になっていると思うんですね。
  それから、今、角田委員からもありましたけれども、実際、学校現場で例えば理科を体験して、体験学習あるいは体感していくことには、観察とか実験というのが非常に大事なんですね。だけど、そういう時間があまりないんですよね。特に40人学級で中学校あたりで、理科の実験をしようものなら、これは随分準備も要りますし、ただ1人で十分な実験を成功させるというのは、まだ非常に困難なところがあるんですね。
  そういう意味ではやはり学級数だけでなくて、指導の方法もさることながら、例えば理科実習助手をふやす、教員をふやすとかという感じでやっていかなければならないだろうと思いますね。日本の学力の七五三と言われている状況の中で、だんだん学力が落ちていっている。今、大学でもそれが問題になっているというようなことを考えますと、ここに提起されている問題は、すべからく非常に大事なことだなと思うんです。
  教員の修士問題は田村先生とちょっと意見が違うんですが、現在の日本の大学院の修士の養成が必ずしも学校現場の要求に合っていないんじゃないかと思いますね。これは門川教育長なんかもよく言われることなんですが、全然それと合わない。要するに学術研究の場だけの研究になって、自分のインタレストだけで研究してきていて、学校現場にそれが直接生きてこないというのがありますから、これは養成の問題として考えていったほうがいいんじゃないかと。
  というのは、フィンランドあたりは逆に修士でなければならないような感じがあります。アメリカでも大体校長をしているのなんか、大体ドクターデグリーを持っているんですよね。そういうことを考えてきますと、やっぱり学歴問題というのは、非常に大事なことだというような気がいたします。
  それから最後のところで出ていたんですけれども、やっぱり私はきょう、これを見せていただいて、やはり教育目標や教育目的があって、それに別に政策目標がある。政策目標が今ここで提起されたような気がするんですね。そうすると、それに応じて施策計画、施策目標、あるいは実施計画というものを今度はこの委員会では、今の提起を受けて、つくっていく必要があるんじゃないかという感じがいたしましたので、一言発言させていただきました。
  以上です。

【三村部会長】

  ありがとうございました。
  安西委員、よろしくお願いします。

【安西委員】

  本日、小川委員と、それから柘植主査のお話をお聞きいたしまして、両方の内容に反対するものではございませんけれども、その間は一体どうやってつないだらいいんだろうかなと。イノベーションというのは、私は多様な人間がやっぱり自由な発想でもって育っていくような教育環境、それから生活環境の中から、生まれてくるように思われるんですね。上からこういう目標を与えるから、考えてみなさいと言って、なかなかほんとうの価値創造が出てくるのかということは、ちょっと自分には疑問に思える。
  そういう意味で、イノベーションということを日本のこれからの国力にしていきたいということはそのとおりなのでありますけれども、それにはやはりある程度柔軟な、やわらかい教育環境をつくっていく必要があるんじゃないかと思っております。
  それに対して小川先生が35人学級、30人学級というふうに言われる。これも今の小学校・中学校の学級構成の人数が多いことはそのとおりと思うんですけれども、これはまた一律にといいましょうか、国としてこういうふうにやるというガイドラインであっても、どうしても現場ではそうしなければいけないような方向に流れがちなので、やはり現場が権限を持って、ある程度柔軟に、自分たちで動けるようにしていただくということが非常に重要だと思います。
  それでもやはり、今の日本の教育のシステムというのは、どうしても小中高から大学入試のところでもって、ある意味で序列がつくられて、はっきり言ってそういうことがあるわけで、どうしても高校の先生方としても、特に受験校の先生方というのは、どの学校に何人入るかということがどうしても頭から抜けない。
  大学側も責任が非常にあると思いますけれども、一体その少人数学級にしていったときに、そういうことが伏線的な価値観に変わっていくことができるのか。それもやはり伏線的、あるいは多様な価値観を生活環境あるいは教育環境でもって、子供たちが実感していけるということがイノベーションへの道だと思いますけれども、そういうことが一体今の方々のおっしゃることは両方そのとおりだと思うんですけれども、合わせたときに、ほんとうに日本のやわらかい教育環境ができていくのかということ、私は一言で答えがあるわけではありませんけれども、そっちへ向かって努力をしなければいけないのではないかと思う次第でございます。

【三村部会長】

  ありがとうございました。これはちょっと、ここで議論はなかなか難しい。1つの問題提起として、とりあえず。
  井上委員、お願いします。

【井上委員】

  2点について申し上げたいと思います。柘植主査のおっしゃったことは、まさに科学技術振興計画第3期に盛り込まれていることで、当然国として取り組むべきことというように認識しておりまして、その趣旨については全く異論がないところでございますが、まず1つは初等・中等教育段階のことでございまして、確かに理数教育が非常に授業時数が少ない、あるいは教育内容が削減されたという批判がございまして、それについて、やはり科学技術、学問の進歩に対応した学校教育にすべきだというのは、まさにおっしゃるとおりでございまして、そういう点については現在、中教審の教育課程部会でも、そういう方向で理数教育の充実に向けた取り組みをしているところでございますので、こういう趣旨は生かしていくべきだと、私も思っております。
  そこで1つは、高等学校段階で、専門学科を中心にインターンシップとか、あるいはデュアルシステムで技能をいかに身につけるか。あるいは技術的な人材育成をするかということで、これは学校だけではなくて、先ほどおっしゃるように、学校の教員については、やはりそういう点については十分ではないというところから、企業の皆様方のご協力なしには、そういう人材育成がなかなか難しいわけですので、現在、取り組んでいる高等学校段階のインターンシップや、あるいはデュアルシステム等についても、企業の皆様方の協力がどうしても必要であると思っているわけでございます。
  それから2点目でございますが、私も日本のほんとうの発展は、学術による基礎研究、要するに研究者の自由な発想に基づく研究というのが、多様な研究を推進することによって、その中からブレークスルーな研究成果が上がり、それによってイノベーションが行われるのではないかとも思っているわけで、トップダウンの課題、プログラム研究では、やはり基礎研究が十分でなければ、そういう成果がなかなか得られないのではないかと思っているわけでございます。
  特に現状から言うと、大学院の役割として、研究者養成と、高度専門職業人の養成と、あるいは高度教養人の養成というように、大学院の設置目的によって、役割が違うと思うわけでございますが、その中で特に研究者養成のところでは、今の現状から言って、人件費削減等で、国立大学とか国立研究機関等は、若手の研究者の安定的な研究環境が得られるというのが非常に難しくなっているということもあって、そこでいろいろキャリアパスを考えるとか、あるいはチュニアトラック制を導入するとか、いろいろな工夫によって、若手研究者の養成・育成に向けた取り組みが現在行われていると思うわけでございますが、その場合に今、現実問題として、ポスドクが1万2,000人から1万5,000人ぐらいいると言われており、例えばドクターを出ても、そういう大学院までは、どちらかというとそれぞれの学生の自由な発想基づく研究ですから、企業側が求めている研究とミスマッチがあって、なかなか採用してもらえないというので、ポスドク問題が非常に大きな社会問題になっていると思うわけで、そういう点で、ドクターについては、やはり企業の人材育成と、現在の大学院の教育のあり方というのは、どうしても現実的にはミスマッチになっている点があるので、今後やはり企業とのそういう連携協力というのが必要ではないかというようにも、私は思っているわけでございます。
  今後はやはり大学院のドクターを出た方についても、企業側でそういう研究を評価して、ぜひ積極的に採用するこによって、ポスドク問題等について解決する道筋ができるんじゃないかと思っていますので、そういうご配慮を経済界でもぜひお願いしたいなと考えているところです。
  以上です。

【三村部会長】

  ありがとうございました。
  それでは最後になりますが、片山委員、よろしくお願いします。

【片山委員】

  ありがとうございます。
  初等・中等教育って、特に初等教育なんですけれども、その初等教育になっている教員が、理数部門のリテラシーが必ずしも高くないのではないかと思うんです。率直に申しますと、小学校教員養成課程に入る段階で、既に理数はどちらかというと嫌いな人が入っている。その辺から変えていかなければいけないと思うんですね。それは小学校教員養成課程で合格させるときに、もっと理数のレベルを要求するか、それから小学校の教育現場で分業するか。1人で全部やりますから、やっぱり無理があると思うんですね。芸術部門だとか、理数部門とかを分業するということも、一つの方策としてあると思うんですけど、そういうことを考える必要があるんじゃないかな。それがないと、基盤がありませんから、幾ら理数教育を小学校で充実させようと言っても、やっぱり先生が生き生きしていないと、子供もついてきませんから、その辺を少し検討してみたらいかがと思います。

【三村部会長】

  ありがとうございました。
  柘植委員、いろいろありがとうございました。また必要に応じてご出席よろしくお願いしたいと思います。
  それでは2人の委員からのご報告、議論を終わらせていただきまして、意見交換に入らせていただきたいと思いますが、事務局から、これまでの主な意見概要というのは、ちょっと後で、時間があったらという形で、むしろ私としてはワーキンググループ等のほうで、これも含めてご議論いただいて、それを報告するという形で、ちょっと時間の節約をさせていただきたいと思いますので、意見集約のほうに入らせていただきます。
  きょうは、菊川委員のほうから書類が出ておりますので、これに基づいて、まず菊川委員のほうからよろしくお願いいたします。

【菊川委員】

  お時間をいただきまして、恐縮でございます。福岡県立図書館長の菊川と申しますが、私は若い時期から、間断的に社会教育の中の家庭教育支援の仕事をしてまいりまして、家庭教育支援について、ぜひしっかりとした教育計画における位置づけをお願いしたいということで、ペーパーをつくってまいりました。白い1枚紙のペーパーと、あとカラーの図表を出しております。
  先般も議論がありましたけれども、いろいろな教育施策を考えますときに、基盤のところで家庭教育の親の実践力が高まらないと、なかなかすべての教育施策の投資効果が上がりにくいのではないかというふうに思っているところでございます。
  それで家庭教育支援施策の充実を図る必要性ということで3点挙げておりますけれども、1点目は、家庭の基礎・基本を理解している親が少ないということ。2点目は教育基本法で家庭教育の親の責任あるいは公共団体の責務等が位置づけられたということ。3点目は、親が実践力がないと、全体の教育効果が上がらないのではないかということが理由でございます。
  具体的にはということでございますが、専門家の知見による親の基本的学習課題を精査していく必要があるのではなかろうかと思っております。家庭教育はどうしても床屋談義になりがちでございますけれども、例えば平成17年10月に有馬先生が座長になられた、「情動の調査の報告書」等々、これだけは間違いがないという知見が既にまとまっているやに聞いております。そういうものをきちっと親に提示していただくということが大事なのではなかろうかというふうに思っております。
  持ってきましたカラーのコピーペーパーは、私ども福岡県におきまして、25年間間断的に家庭教育の調査をやってまいりましたものの一部でございます。同じ小中学校に対して、同じ質問を含む項目を調査してまいりまして、25年間たちますけれども、過保護的傾向は変わらず、また親の家庭教育に対する学習意欲あるいは地域参加意欲というのは、むしろ落ちているという状況がございます。
  また2枚目でございますが、「早寝早起き朝ご飯」を妨げているものは何かというと、これはやはりテレビ視聴との相関がはっきり出ております。これはその前の年に幼児についても調査しましたけれども、同じように相関が出ております。こういう状況の中で、親がテレビ番組について注意するというのは、昭和55年から一貫して減っているというような状況がございます。
  これは1つの例でございますが、家庭教育の充実についての知見はやはり国レベル等きちっとしたところで、基礎・基本レベルを精査する必要があるのではないか。あるいはそのために大学等での研究がもっと進んでいいのではないかと思っております。学校教育や社会教育の研究は非常に講座数も多うございますけれども、家庭教育の講座数というのは、山本恒夫先生のところの八洲学園大学ぐらい、インターネットで見る限りでは見つかりませんでした。家庭教育のカリキュラムの基礎・基本のだれも疑わないところの精査をした上で、指導者養成あるいは広報・啓発をするということが大事なのではなかろうかと思っております。
  また、家庭教育は座学ではとても親の身につきませんので、そういう基礎・基本を大事にしながらも、親たちが試行錯誤しながら体得していく仕組みを地方において支援していくということが大事なのではなかろうかというふうに思っております。家庭教育学級その他、家庭教育支援の施策は、昭和30年代から、国のほうでも地方のほうでも、数多くやられてきております。
  やられてきていて、なお一世代過ぎて、力がついていないということをどのように考えるかということが、私は大事じゃなかろうかと思っておりまして、個人的な意見ですが、1つはやはり家庭教育の基礎・基本のコアとしてのカリキュラムが弱いのではないかということと、それから多様な家庭教育を支援する面としての広がりが足りないのではないかと思っておりまして、そういうことも含めて、生涯学習分科会でも当然議論していくことになろうかと思いますけれども、家庭教育支援を議論のまな板に乗せていくことがいろいろな教育投資の効果を生んでいく、あるいは先般出ていました学習に参加しない親とか、あるいはクレーマーとしての親を取り囲んでいくことになるのではなかろうかと思っているところです。

【三村部会長】

  ありがとうございました。
  今の発表に対する何かご意見等々ございますか。あるいは中間的な報告、これからワーキンググループ等でまとめていただくわけですが、前回までもいろいろなご意見がありました。新たにこの場でいろいろご意見をいただければありがたいと思いますが、田村委員、何か方針というか、おありですか。ちょっと言っていただければ。

【田村副部会長】

  ありがとうございます。
  特別に方針とか、そういうのを現在持ち合わせているわけではないんですけれども、少なくとも今まで議論されたものが、かなり膨大に既に蓄積されております。つまり、基本法改正提言が平成12年から始まって、言ってみれば、最初の提言の中に振興基本計画を樹立すべきだという提言が入っておりましたので、平成12年から延々と議論を積み重ねてきているわけでございます。それを一回とにかく整理して、まとめてみる必要があるのかなと。その上に立って、おまとめをしていただくという段取りで、差し当たりは取り組んでいいんじゃないかなと思っております。
  例えば従来やってきたから、いいことだからやっているので、それを維持するためにお金を増やせという発想でない形で、意見がまとめられるといいなと思っているんですね。例えば、先ほどの小川先生のお話はそのとおりなんですけれども、あのワーキンググループに私もご一緒させていただいてやってきたんですけれども、例えば時間外という話を言った場合、その時間外というのは、上司が命令して、させたのが時間外というのが世の中の常識なんですけれども、学校における時間外というのは、本人が必要と思ってやっているのが時間外になっているわけですね。全くそれは上司が命令するというか、要するに仕事上必要であるという判断がそこにないわけですね。
  これは仕組みとしてそういう仕組みですから、しようがないんですけれども、だから4パーセントというのが生まれたわけなんですが、その辺の議論をきちっとして、提言していかないと、ただ予算を増やせといっても、なかなか世の中の納得が得られない。仕事の遅い人が勝手に残って時間外になったんだということを言われてしまうと、反論できなくなりますから、その辺はきちっと精査して、差し当たりは今まで議論していただいて、かなり積み上がっていますので、それをまとめるところだけさせていただくのかなと思っている次第でございます。
  よろしゅうございましょうか。

【三村部会長】

  ありがとうございました。
  それでは、ここの場でご意見のある方、どうぞいつものとおり、札を立てていただいてよろしくお願いしたいと思います。梶田委員、どうぞ。

【梶田委員】

  この前もちょっとだけ申し上げましたけれども、実はきょうも出ております基本資料を見ておりまして、この場では、ほんとうは振興基本計画というのは、理念を語るよりは、ほんとうは具体的な予算請求費目を語らなきゃいけないというふうに私は理解しているわけですけれども、ほんとうを言うと、この過去10年といいますか、文部科学省の予算の費目ぐらいがずっと出ていればいいのになというのが、私の印象なんですね。といいますのは、理念を語ったり、具体的な施策を語るだけですと、この前申し上げましたけれども、中教審というのは6つ分科会があり、そしてプラス特別部会があり、そういうところでいろいろな具体にわたっての議論をしているわけですね。初等・中等教育だけでも、その分科会の下にまた部会が、きょうの議論から言いますと、教育課程部会もあれば、教員養成部会もあって、具体のいろいろな話が出ているわけですね。
  それのなぞりになったのでは、幾ら5カ年計画、10カ年計画といってもだめなので、やはりこの会では予算請求費目、つまり具体的な事業とか、具体的な要求のこれこれについて、これだけのものが必要だというところに行かなきゃいけないのかなと思っておりまして、こういう考え方が狭過ぎるということであれば、またちょっと。私はそう思っているんですけれども、またいろいろとそうではないというご議論もいただいた上で、この部会の我々のターゲットといいますか、使命といいますか、もう少し明確にしたほうがいいかなと思ったりしております。

【三村部会長】

  ありがとうございました。予算要求項目というと、ちょっと抵抗があるんですけれども、そうじゃなくて、具体的にこういうことをやりたいということをぜひとも具体的に羅列してもらいたい。これは私としてもそのとおりだと思います。理念は教育基本法で、ある意味では十分なされているわけなので、そういう意味でしたら、私としても賛成させていただきます。
  そしたら、門川委員。

【門川委員】

  いろいろな意見が出されたんですけれども、できるだけ地方の時代ですので、地方の特色が出るということは大事でありますが、とりわけ義務教育については国が責任を持ち、教育の機会均等を保障することも大事です。創意工夫があったらいいんじゃないかということで、例えば35人学級とか30人学級ですけれども、やはり最低限35人学級は実施していくなどの新たな指針を出す必要はあるんじゃないかと思います。ただし地方の工夫次第で35人学級のその予算を別な指導方法の改善に使うということができるような、画一的にしないという方法があるなら、それはそれでいいと思うんです。これだけ財政事情が厳しく、行財政改革、公務員の削減の重要性が増しているときに、何か新しい基軸を打ち出さないことには、予算が確保できないのではないかと思います。
  同時に、片山委員から話がありましたことですけれども、小学校5、6年生ではやはり数学、理科等は専科にしていく必要があるんじゃないかなと感じます。小学校の先生を目指す人は文系理系という分け方は、私は正しくはないと思いますけど、どちらかといえば文系の人が多いと思います。
  それからさらには音楽とか美術も専科にしていかなければ、これから音楽も美術も相当レベルの高い子供がいる中で何もかも教えられないといけないというのは、小学校教員の競争率が非常に落ちてきているということの原因にもなっているのではないか。専科制ということも含めて打ち出していく必要があるんじゃないかなと感じます。
  それからもう一点、家庭教育のことをお聞かせいただきまして、必要性、重要性を痛感するわけなんですけれども、そこで国レベルでも文科省、厚生労働省あるいは法務省。地方でも今、縦割り行政を超えようという、いろいろな取り組みが進んではおりますけれども、まだまだ難しい問題がいっぱいあります。
  したがいまして、大胆に文部科学省を中心にしつつ、子供のそういういろいろな問題について、子供家庭省をつくるようなことを打ち出してはどうかと考えます。地方もいろいろなことを統一していく。例えば鑑別所と児童相談所の機能を統合できないか。保育園と幼稚園の問題が制度上いろいろな課題になっており、認定こども園という新たな制度が動き出したわけです。例えば1つの例を言います。虐待の問題が今深刻です。しかし、虐待の子供は保護する。しかしその親は立ち直りのカリキュラムや学ぶ機会がない。いずれまた子どもが戻ってくる。また繰り返すということになっております。ちょっと極端な例でありますが。
  そういうことに適確に対処できる文科行政と厚生労働行政と法務省の行政の子供に視点を当てた部分の統合ができてないか。最近もいじめの問題が大騒ぎになったら、法務省、人権擁護委員会のほうからすべての子供に相談窓口や制度がありますよということをお知らせするプリントが配られます。全部重なっています。こうゆう状況を統合して、非常に有機的に融合できるような制度というものが、この会で提言できるんじゃないか。そうすると、あまり公務員を増やさなくても、いろいろな蓄積、知見も含めて融合したときに、新たなものができてくるんじゃないかな。いろいろな課題に的確に対応できるんじゃないかなということを思います。この辺もワーキンググループのほうで研究・検討していただければありがたい。よろしくお願いしたいと思います。

【三村部会長】

  ありがとうございました。中込委員、お願いします。

【中込委員】

  失礼いたします。委員の先生方のお話の大部分は、幼・小・中・高・大学まで、生涯学習にわたるまで、とにかく教育にはお金がかかるんだよということで、国のほうはたくさんお金をくださいと、いろいろな施策の項目をそれぞれつけて、お金を要求することだろうと思うんですが、一方で、考えてまいりますと、GDPの2パーセントとか4パーセントとか、いろいろな数字がございますが、どれだけのお金を使ってもいいから、人材育成をしていかなければいけないというのは大命題でございますが、逆に、使ったお金につきましては、当然のことながら、各家庭別には結果責任を国民の場に公表する義務があるんじゃないかと、私はこのように思っています。
  そういうことを考えますと、とにかくお金はどんどん、どんどんというわけではありませんが、必要なお金はとにかく使いたいと思います。しかし、必ず予算・決算があるように、当然のことながら使ったお金については、どのように使われたかということはちゃんと国民の皆様に見せなければならないと思います。
  以上でございます。

【三村部会長】

  ありがとうございました。片山委員、よろしくお願いします。

【片山委員】

  ありがとうございます。
  2つお願いしたいんですが、この計画をつくるときの視点なんですが、1つは毎回同じようなことを申し上げるんですが、初等・中等教育と高等学校は、いずれにしても地方自治体でこれを担っていくわけです。それでどんなに立派な計画をつくっても、担い手がしゃんとしていないとうまく機能しないわけです。昨今、教育をめぐって、特に初等・中等部門でいろいろな問題が出てきておりますけれども、やっぱりいろいろなところで担い手の力量が問われるようなことがあるんですね。
  これをどうするのかということなんですが、結局は地方自治のシステム、特に政治システム、これは首長というものと、それから議会というものがこれを構成するわけですけれども、これが教育に対して、きちっと鋭敏であるかどうか。特に議会の教育リテラシーが高いのかどうかという、この辺が最後問題になってくるんですね。これは狭い意味では中教審の検討の領域から外れるかもしれませんけれども、そこに光をあてて、点検して、提言をしていかないと、担い手の問題が解決しないんだろうと思うんです。ですから、ぜひ地方自治の政治システム、これは教育の面からとらえて、今何が問題で、どうすべきかということを一つの視点に入れていただきたいということです。
  もう一つは、先ほど私が申し上げたことと関連するんですけれども、やっぱり学校現場を見ていますと、教員中心主義、もっと言えば教員偏重主義になっていて、教員が何から何まで全部やるということ。これがマネジメントの欠落を招いていることがあると思うんです。ですから、学校のマネジメントということ、それは必要な専門家集団、多様な専門家によって構成される集団として形勢されなければいけない。特に事務なんかがもうちょっとやっぱりプレゼンスが高まってもいいんだと思うんです。教員が事務的なことでかなり繁忙になっていると思うんですね。事務は事務として、もっと集中すれば効率的により高度に処理できると思うんです。
  そういうふうな事務も含めた専門家集団の多様化と、それからあとは社会が変わってきましたから、スーパーバイザーが随所で要ると思うんですね。スーパーバイザーがいることによって、その他の教員の皆さんとか、その他の専門家集団の皆さんも、より質の高い仕事が楽にできるということになって、結果的には事務量というか、仕事量というか、そういうものがスリム化することにつながる可能性があると思いますので、学校におけるマネジメントというものを計画の中でも1つの視点として取り上げていただきたいと思います。

【三村部会長】

  ありがとうございました。渡久山委員。

【渡久山委員】

  ありがとうございます。実は中教審で平成15年に答申をいたしました教育基本法と、振興基本計画の答申は一等最初に教育改革国民会議から提言があったときには、教育振興基本計画の策定についてだったんですよね。しかし、最終的に中教審で議論をして、この教育改革についての振興計画を出したときには、振興計画のあり方について答申したんですよね。ということは構想を出したんですね。ですから、構想の段階であれは終わっているんですね。
  ただ1つだけあえて言えば、いじめを5年間で半減すると、出ていたんですね。これも政策目標なんですね。じゃ、半減するために何をどうするんだというところまでは、書き込まれていないんですね。ですから、ぜひ今度、ワーキンググループでやられる場合は、やはり策定というような言葉を重視していただいて、施策計画、施策目標と実施計画をひとつ策定していただく。先ほど部会長からも言われていたんですが、数値目標というのを明らかにしていくという面では、梶田先生がおっしゃったようなことと同じだと思うんです。
  そのためには、僕は2つあると思うんですね。国の財政もさることながら、今、片山委員の言われた地方の財政が大変なんですね。ですから、総務省もいろいろ考えて、消費税は地方に回そうじゃないかといういろいろな意見もあるようなんですが、ひとつ、そういうのを視野に入れて、最終的には政策でどれぐらいの数値目標というのを出しておいても、政策選択は政府がやるんだと。だから、こちらであえて最初から政策選択をして、自主規制的なものにしないで、5年間でできる、やや理想的な目標までは行けるような感じで、数値目標までつくっていただければ、ありがたいと思います。
  以上です。

【三村部会長】

  ありがとうございました。北脇委員。

【北脇委員】

  この教育振興基本計画に何を盛り込むかということをはっきりさせていく必要があるというふうに、今ずっと感じているんですが、1つは教育環境の整備というのは当然あると思うんですね。それで、教員の給与のあり方とか、また教員の数の問題、さらには学校施設の問題とか、そういったことが出てくると思うんですが、やはりそれだけじゃなくて、教育の内容ということで、初等・中等教育から高等教育の間で、何を教えるのかということを考えて、それで必要なことをやっていくという、その視点も必要だと思うんですね。
  特に先ほど、科学技術の教育のことが出ましたけれども、日本の国民が世界の国民に伍して、これから発展していくために、その教育内容で今欠けているものがどういうところがあって、そこをもっと強化していくためには何をするべきなのかという、そういう教育内容から出てくる具体的な施策というようなことも必要だと思うんですね。
  それとあわせて、学校というのが子供たちにとって生活の場であるというところから出てくるいじめの問題など、それをまた少しでもなくしていくには何をしたらいいのかとか、そういう教育内容について検討することとセットで何をすべきかを計画化していかないといけないという感じがします。
  ですから、それは非常にそれぞれの教科内容に応じての専門的な領域になるので、これから分科会といいますか、ワーキンググループでどんなふうな議論がされるのか、ちょっと私もよくわからないんですが、やはりそういう教育の内容と関連した部分の検討もぜひしていただきたいなと思います。

【三村部会長】

  梶田委員、どうぞ。

【梶田委員】

  もうおっしゃるとおりだということはよくわかる。特にきょうも、科学技術の人材育成。ただ私、中教審全体で考えなきゃいけないなということをいつも思うんですよ。きょうもちょっとご発言がありましたように、内容の問題を教育課程部会で、2001年からずっとやっていまして、今も教育課程部会だけで、500人ぐらい委員の方がおられて、16の専門部会に分かれて、例えば理数系の教育をどう充実させるかだけでも、ずっとやっているわけですよ。
  ここで例えば、私は大きなことを話し合っていいと思うけれども、そうでないと腰だめ、大体教育の話というのは下手すると床屋談義になるんです。大事にしましょう。これをやったらいいですという、大事にしましょうまではいいと思うんですが、これをやったらいいですというのは、それはおもしろい話は出てきますけど、それがほんとうにできるかどうかを例えば理科教育の部会で、2001年からずうっと長く議論を積み重ねているわけですね。
  同じことは今の教員養成、それとだれが教える、これも教員養成部会がずっとやっておりまして、というようなことで、私は今おっしゃることはよくわかるんですが、必要に応じて、この特別部会にそういう議論を例えば報告をしていただいて、ご意見をいただいたり、あるいはここの議論をそういうところにも反映するということをやらないと、やはりほんとうに実のある専門性の高いものはできないんじゃないかなと思いますので、申し上げておきたい。

【三村部会長】

  ありがとうございました。
  それでは、きょうの議論はこれで終わらせていただきます。先ほど申し上げましたように、田村副部会長を中心とした、それから各分科会の委員長、それから臨時委員として5名程度の方にお願いしたいと思います。その10人でワーキンググループのようなものをつくって、これから議論していただきたいと思いますが、ただ、どうか各委員の方々、だれかに責任を転嫁したなんて思わないで、これは私たち全員の問題ですので、引き続き活発な意見交換をよろしくお願いいたしたいと思います。
  それでは事務局から今後の日程についてご紹介ください。

【宮内生涯学習企画官】

  失礼いたします。
  次回の本部会につきまして、5月24日木曜日、10時から12時、丸の内東京会館のゴールドルームを現在のところ予定しておりますが、また改めて日程等につきましては、各先生方のほうにご連絡させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【三村部会長】

  ほかにありますか。よろしいですか。
  それでは皆さん、お忙しい中ありがとうございました。きょうの部会はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

お問合せ先

生涯学習政策局政策課

-- 登録:平成21年以前 --