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資料3-2 青少年の体験活動の推進の在り方に関する部会 第6回~第8回部会の主な御意見

※部会の議事内容より事務局作成

1.青少年の体験活動の定義・意義・効果について

(1)体験活動の定義について

○ 体験活動の定義や範囲をある程度明確にした方が、その教育的意義や効果がより理解されやすいのではないか。

○  体験活動そのものを目的とする場合と、体験活動を手段として何かを学び取らせるという場合があり、体験活動の捉え方についても整理して示すことが必要ではないか。

○ 「体験活動」は、五感を通して、意図的か否か、選択的か否かを問わず、直接本物と交流し、関わる活動であり、生活体験・自然体験・社会体験が含まれる。

(2)体験活動の意義について

○ 幼少期から、様々な体験活動の機会を提供することが重要である。幼い頃からの体験活動の積み重ねが、ひいては将来のニート・引きこもり等の問題の多くを未然に防ぐことに繋がる。

○ 体験活動の実施と学習意欲の向上とは大いに関連があり、決して対立する性質のものではないということを、強く訴えていく必要がある。

○ 体験活動は仲間とのコミュニケーションや自分自身との対話、実社会との関わり等を考える契機となり、体験活動を通してこそ、日本人としての心の成長や、個人や社会の歴史の形成がなされるものである。

○ 体験活動を通じて、他者と共感をするための基盤が作られる。その基盤をどのように青少年期に作るのかということが、体験活動を教育的に捉える際に重要な視点となる。  

(3)体験活動の効果について

○ 近年の調査では、子どもの頃の体験活動の多寡が、将来の年収・学歴・規範意識・職業意識・人間関係能力・文化的な作法や教養・共生感・自尊感情・意欲や関心等に幅広く影響するという結果が出ている。

○ 「小学校低学年は友達との関わりや動植物の飼育等、高学年では友達との関わりやキャンプ等の自然体験が効果がある」というように、発達段階に応じて効果的な体験活動が異なることや、中学校時代の様々な種類の体験が広く心身の成長に影響すること等が  明らかになっている。

○ 体験活動は、集団で行うこと、より苦しいことにチャレンジすること、本物に触れることによって、より大きな効果が期待できる。    

○ 実際に自然の中で体験をすることにより、豊かな心情や自然への畏敬の念が育まれる。

2.現在の青少年の体験活動をめぐる状況や課題について

○ 不登校等の課題を抱える青少年に対しては、「体験活動はできないのではないか」「体験活動等に無理に取り組ませると問題を悪化させるのではないか」と誤解されている場合も多い。発達障害や精神疾患を持つ青少年はどのようなところに気をつければ体験活動に参加できるのか、ということを更に深く議論する必要があるのではないか。

○ 独立行政法人国立青少年教育振興機構に設置されている青少年教育研究センター等は、子どもたちの体験に関するデータを、事業実施後、早期に効果を明らかにして提供するべきである。

○ 自然体験活動等は保護者にとっても縁遠く、容易に実施できない印象があり、より身近な活動として周知・普及啓発を行う必要がある。

○ 食事や挨拶、睡眠といった基本的な生活を積み重ねて「暮らしをつくる」という営みが近年乱れていることが危惧される。

○ 近年の若者は衣食住に不自由がないので、職業観として、仕事に対し「食べるため」以上のことを追求するが、「働く」ということの意味を実感として理解する必要があるのではないか。その際、田舎で自然と向き合いながら生きる人々の暮らしぶりに触れるなど、生活の原点に戻る経験をすることが、極めて有効である。

○ 近年の若者の間でのアウトドアブームは、無意識的に体験不足を補おうとしていることの現れとも考えられる。その姿勢を体験活動の普及啓発にうまく繋げるためのパイプを構築する必要があるのではないか。

3.青少年の体験活動の推進のための取組

(1)学校教育における体験活動の推進

 ア)学校教育における子どもの体験活動の機会の充実

○ 体験活動の教育的意義をしっかりと訴えていく必要がある。体験活動は、学級づくりや全体的な学校運営のためにも極めて重要である。

○ 部活動や種々の学校行事、ディスカッション等、学力向上も含めた児童・生徒の心身の成長に繋がる様々な体験的な活動の機会を設ける中で、その延長線上にあるものとして、自然体験活動等への理解を求めていくことが重要である。

○ 学校教育における自然体験活動等については、学校から遠く離れた所に行かないと実施できないと考えられていることや、教育に学力向上等の即時的実利性を求める大人社会の体験活動への理解不足、教員の多忙感の増加等の懸念が、大きな課題となっている。

○ 学校教育で体験活動を推進する上での課題は、1.自然体験のような体験活動と教室内での教科学習の中間に位置付けられるような部活動・休み時間の遊びを体験活動の準備段階として見直し、さらに有効に活用できるようにすること、2.体験活動の重要性についてのデータを示し理解を促すことで、克服できるのではないか。

○ 教室の中と外での教育、経験や勘に基づく言語化が困難な「暗黙知」と文章や図表・数式化によって表現可能な「形式知」をうまく組み合わせ、バランスよく補完しあえるようにすれば、全人格的な教育に発展させることができるのではないか。

○ 例えば理科の実験や、図画工作、美術、技術家庭科のような、学校の中でできる体験活動は、子どもが自分自身の興味関心・得意分野を見つける重要な機会となっており、将来のキャリア形成にも大きく影響するので、そのような教科の体験的な学習まで視野を広げて推進方策を提言していくことが必要ではないか。  

 イ)教員の体験活動の指導力向上

【総論】

○ 教員が、体験活動の意義・効果や実施の際の留意点等を理解し、体験活動の指導力を修得できるよう、教員養成課程等で体験活動の機会を積極的に設けるべきである。

○ 自然体験に限らず、教員が広く社会体験を積めるような時間や機会を確保する必要がある。

【効果】

○ 教員養成段階において体験活動の機会を取り入れることで、直接的・具体的な物の見方や考え方、豊かな心情や畏敬の念、謙虚な態度、コミュニケーション能力、人間関係形成能力、試行錯誤を重ねるたくましさや思慮深さ、主体性・能動性・自立性、文化・社会・自然・環境等への総合的な知識等、全人格的な成長が期待できる。また、特に子どもと触れ合う体験的な実習では、子どもの成長を実感したり、予期せぬ子どもの行動も予見し対応したりする、教員に必要な能力を身につけることができる。

○ 教員養成課程で体験活動を取り入れることによって、学生は学年を上がる毎に、子どもや学校への理解や指導技術等、教師としての多面的な能力を磨いているという自信と実感を得ている。

【具体的な取組】

○ 島根大学教育学部では、教員志望の学生に対し、「1000時間体験学修」プログラムの履修を卒業要件として導入しており、  学生は4年間を通じて、学校現場や社会教育施設等で様々な体験活動を行うことになっている。

○ 島根大学教育学部では国立三瓶青少年交流の家と連携し、教員志望の学生を対象に体験活動を伴う実習を実施し大きな成果を上げてきたが、そのような取組が成功するためには、大学と施設が十分にコミュニケーションを取り、目的・意識の共有を図ることが必要不可欠である。

【課題等】

○ 教員養成課程を置く大学において体験的な実習の機会を充実させるためには、事後評価のシステムの整備や、学校と青少年教育施設等の機関や地域との連携を担うコーディネーターの配置等が重要である。

○ 学校現場において今後体験活動を充実させていくためには、教員養成段階でのシラバスへの記述や、採用試験における面接・書類審査、研修の内容、教員の養成・採用・研修段階それぞれで体験活動の一層充実を図る必要があり、また、何より校長等管理職の理解とリーダーシップが必要不可欠になる。

○ 教員養成課程で体験活動を実施する際の課題としては、学生の希望と受け入れ側の学校・機関の意図との間のミスマッチや、受け入れ側の理解不足等があげられる。これらの課題に対しては、学生の活動の成果や課題を次の年度の取組に活かすために事例発表の場を設けたり、大学側と受け入れ側の機関の意識共有を図るため定期的に会議を設けたり、また学生への事前・事後の指導を徹底したりする等の対応が効果的である。

 ウ)学校・家庭・地域の連携による体験活動の実施

○ 学校で体験活動に取り組むに当たっては、地域との連携が極めて重要である。色々な立場の人とのコミュニケーションの体験が子どもにとって必要であり、活動のみ体験して終わるという形では、体験活動の効果は少ないと考えられる。

○ 学校で体験活動を推進するためには、教員やPTAの理解が不可欠である。また、地域と連携し、幅広い大人が参画することにより、教員の負担は軽減されるということを理解してもらう必要があるが、現在、学校支援のためのボランティア等がばらばらに活動しているような状況である。学校での体験活動にどのような大人がどのような形で関わっているのか、一度整理することが必要ではないか。

○ 商店街等地域の様々な主体が青少年の体験活動の推進に関わり、地域全体で青少年を教育する態勢を作れば  、地域活性化の大きな原動力となる。

○ 学校では同学年の子ども同士で遊ぶことが多いが、子どもは異年齢の子どもと交わることで成長するので、そのような機会を意識的に提供する必要がある。

(2)青少年教育施設における取組

○ 青少年教育施設は、日々多くの青少年により利用されており、体験活動の効果等を計画的に掘り下げて研究する等、社会に対して体験活動の教育的意義を積極的にアピールしていくことが必要である。

○ 青少年教育施設では自然体験だけではなく、集団で食事や入浴をしたりする生活体験の機会を提供する場でもあり、青少年の成長に大きな影響を与えている。

(3)社会全体で体験活動を推進するための機運の醸成

 ア)体験活動に関する理解の増進

○ 子どもや保護者、学校それぞれにとっての体験活動の意義や目的を提示するとともに、その目的に沿ったプログラムや実施体制の整備等を検討する必要がある。

○ 顕在的・潜在的な社会のニーズを踏まえ、体験活動の意義や効果をそのニーズに合わせてストーリーとして組み立てて、進学塾やゲームなどの他の選択肢に比べどのような利点があるかを示していくことが重要である。

○ 事業を実施する際にも、NPOや民間企業、市民等、様々な主体を巻き込むことで、青少年教育施設の意義についても幅広く理解が得られるようになる。

○ 特に、保護者に対しては、子どもの発達段階に応じて実施するべき体験活動とその効果を根拠を示しつつ周知することで、体験活動への理解を広げられると考えられる。

○ 体験活動に関する有効な調査研究や取組の成果を、保護者や学校に対し、もっと情報発信をしていく必要がある。

 イ)体験活動の指導体制の向上

○ 日本は体験活動の指導者の社会的認知が低い。認知度を高めるためにも、指導者の更なる質の向上を図っていく必要がある。また、公的資格としての位置付けを検討することが考えられる。

○ 体験活動を推進するためのプログラムの企画とともに、その実施体制を検討する必要がある。プログラムの企画・実施が、担当者の異動や個々の教員の経験の多寡等、属人的な事情により大きな影響を受けないよう、組織としてプログラムの成果を蓄積できるようにする必要がある。

○ 体験活動プログラムの企画・実施においては社会教育主事の活用が鍵となるのではないか。

○ 質の高い指導者養成の他、指導者等をコーディネートできる人材をいかに養成するかが重要である。

○ 青少年には良質な体験と指導者を用意することが必要不可欠であり、教室外の体験も指導できるような指導者資格を賦与する仕組みを国全体で検討する必要があるのではないか。

 ウ)様々な主体の連携・協力による子どもの体験活動の推進

○ 学校のみならず、地域の商店街や児童会等が協働して青少年の体験活動の推進する取組を実施し、日常生活での様々な体験を通じて子どもを教育する仕組みを作ることが求められている。

○ NPO法人の中でも体験活動等に関わる社会教育関係の数は多く、各種の文書でも、「地域社会の担い手」という位置づけで記載されることが多いが、実態としては、担い手となりうる実力がまだまだ不足している。NPO法人が担い手となりうるために、どのような仕組みや対応が求められるのかを踏み込んで検討する必要があるのではないか。    

4.東日本大震災を教訓とした青少年の体験活動について

○ 学校に宿泊するなどの体験を盛り込んだ防災キャンプは、防災訓練の意味と共に、楽しみながら様々な体験活動を実施できる良い機会となり得る。単なる訓練で終わらせず、体験活動を身近に感じるきっかけづくりにしてほしい。

○ 被災地では子どもの心のケアが大きな課題となっており、青少年教育施設を心のケアの拠点として活用することを検討してはどうか。

お問合せ先

スポーツ・青少年局青少年課

(スポーツ・青少年局青少年課)

-- 登録:平成24年04月 --