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資料3-1 青少年の体験活動の推進の在り方に関する部会「これまでの意見のまとめ」(平成23年9月12日)と今後の主な論点(案)

 1. 青少年の体験活動の重要性

(1) 体験活動が青少年の人格的成長に与える影響について

  • 幼少期における異年齢の子どもたち同士での「群れ遊び」を通じて、自然と力加減や人の痛みを知り、思いやりが育まれる。
  • 子どもの頃に自然の中で思い切り遊んだ体験は、思い切り命を燃やして生きた記憶として、その後人生で行き詰まったときに、最後の心の支えとなってくれる。
  • メディアを中心に世の中に流通している情報は、ほぼ全てが、心地よく感じられるよう計算され加工された情報であり、そのような環境の中でのみ育ってくると人間としての「許容量」が狭いままになってしまう。自然の中で、気持ちの悪い物や不快な物にも触れながら、その存在を認める経験を積むことで、大人になったときに、思い通りにならない他者や状況に直面したときにも、うまく対応していくことができるようになると考えられる。
  • 他者や他の生物への配慮を含め、社会全体を考える人間を育むためには、教育的視点に裏打ちされた自然や文化などに触れる幅広い体験が必要である。

(2) 現代的課題に対する体験活動の意義について

  • 鬱病などメンタル不全の問題への対処においては、職場や学校から離れた自然の中で人や自然と繋がる体験をし、普段の生活を客観的に見つめ直すことが重要である。
  • 特に、不登校などの課題を抱える子どもたちに対しては、楽しみながら色々な世界の入り口を見せることができる、体験活動を取り入れた教育が不可欠である。
  • 課題を抱える子どもたちは、衣食住など基本的な生活習慣から丁寧に教育する必要がある。時間がかかっても様々な体験をして、基本的なコミュニケーションや生活習慣を身に付けていくことが重要である。
  • 地域文化の継承のためには、体験活動を通じて地域のつながりなど重要な価値観を伝えていく必要がある。
  • 今後社会で求められるコミュニケーション能力や自立心、主体性、協調性、チャレンジ精神、誠実性、責任感を育むためには、社会貢献活動や集団活動等様々な体験活動が必要不可欠であり、学校教育と社会教育が協働して体験活動の充実を図る必要がある。
  • 自然環境や海外の人々とのつながりを持って生きる次代のリーダー育成のためには、自然の偉大さを体験したり、海外の人々と共に自然の中で問題を解決しながら進んでいく体験をしたりすることが重要である。
  • 規範意識や道徳心の育成においても、体験活動の意義は大きい。現在、「思いやり」や「礼儀正しさ」など日本人が古来大切にしてきた精神性の復活が求められており、そのような日本特有の道徳的価値観の涵養を図るためには、神社や寺院等の「場」の教育力を活かした体験活動が有効である。

2. 現在の青少年の体験活動をめぐる状況や課題について

(1) 現在の青少年の体験活動をめぐる状況

  • 便利・快適・安全な現代社会においては、青少年は全力を出す「スイッチ」を入れるチャンスを失っており、青少年の生きる力を育むためには、意識的に、目標を持って体験活動等にチャレンジする機会を創出する必要がある。
  • 都市化、少子化、電子メディアの普及といった社会の変化や公立青少年教育施設の激減、社会教育主事の不足等により、青少年の体験活動の機会は急速に減少している。
  • 保護者の経済力や保護者自身の経験の多寡、学校の判断によって、青少年の体験活動の機会に格差が生じている現在の状況は問題である。
  • 体験活動は学力向上と相反するものではないが、学校現場では、とかく直接的な学力向上が重視され、体験活動の重要性が必ずしも認識されていない場合が多い。また、仮に体験活動の重要性は認識されている場合でも、教員は授業時数の増加、生徒指導上の問題への対応等の様々な課題で忙殺されており、体験活動の機会の確保が十分になされていない現状がある。
  • リスクを恐れるあまり、周りの大人が子どもに対して過保護になってしまい、青少年期に必要な体験活動の機会を奪っている傾向があるのではないか。

(2) 現在の青少年をめぐる課題

  • 不登校の背景として、発達障害や子どもの精神疾患が深刻化しているという状況がある。
  • 職場において、近年、若年層の鬱病件数の増加や早期離職、コミュニケーション不足等の新たな課題が深刻化している。
  • 睡眠や食生活など基本的な生活習慣の乱れや、お手伝いや近所付き合い、身近な自然との触れ合いなどの生活体験の不足が、青少年の心身に悪影響を及ぼしていると考えられる。
  • 子どもの教育の場として、従来、家庭の食卓が重要な役割を果たしてきたが、家族で食事をしない家庭が増え、家庭教育の機会が大きく不足している。行政として、保護者の意識啓発が必要ではないか。
  • 遅寝等の生活習慣の悪化により、体温やホルモンに乱れが生じ、それが不安定な情動や欠食率の増加、学習面での悪影響、性の早熟化といった、青少年をめぐる諸問題を引き起こす要因になっていると考えられる。
  • 日本の子どもは国際的に見て睡眠時間が短く、添い寝や、絵本を読むこと、子守歌を歌うこと等就寝時の親子のコミュニケーションも近年少なくなっている。
  • 朝食の有無など生活習慣に関しては、平成生まれの若い世代の方が昭和生まれの世代に比べ比較的悪い傾向にあるとともに、良い生活習慣が身についている層と全く身についていない層に二極化している傾向にある。また、データでは、文部科学省が推進している「早寝早起き朝ごはん」運動が平成18年に開始されて以降、生活習慣が改善されている。

【今後の主な論点(案)】

○ いわゆる「体験格差」問題の解消のため、どのような方策が考えられるか。

○ 青少年や保護者等の「ユーザー」側に、自然体験活動をはじめとする体験活動の重要性・必要性をより認識してもらうために、どのようにストーリーを組み立てていくか。

○ 体験活動の効果をより活かすため、発達段階に応じて、その時々に必要な体験活動を促進するために、どのような取組が必要か。

3. 東日本大震災における青少年をめぐる動きと、東日本大震災を教訓とした今後の青少年の体験活動の在り方について

(1) 東日本大震災における青少年をめぐる動き

  • 中高生をはじめとする青少年がボランティア活動に数多く参加し、被災地の過酷な環境の中で大きく成長する姿が見られた。
  • 国立青少年教育施設は、多数の被災者の受け入れやボランティアの拠点として機能する等、被災地の支援に重要な役割を果たした。

(2) 東日本大震災を教訓とした今後の青少年の体験活動の在り方

  • 用意された答えを探すだけの勉強では、今回の東日本大震災のような非常事態をはじめ、知らないことや分からないことに出会ったときに適切な対応をとることが不可能である。瞬時に適切な対応をとることができる感性や生き物としての野生の勘を磨くためには、青少年期に自然の中で様々な体験を行うことが必要である。
  • 単純に知識を教えるだけの防災教育では、災害時に臨機応変に判断し、迅速な行動をとることは困難であり、非常時を想定した体験型の防災教育プログラムを策定し、全国の学校で実施する必要がある。
  • 東日本大震災では、多くの被災者の方々が、長い間、避難所となった学校の体育館等での共同生活を送る事態となったことを踏まえ、今後、平常時から、体育館やテントでの宿泊、野外炊事といった非常時の生活を想定した体験をする機会を設けることが必要である。このような取組は、非常時にどのような行動をとるべきかを体験的に学ぶ機会となるとともに、地域住民で協働して取り組んだ場合、災害時にも互いに助け合うことのできる地域の絆づくりにも繋がるものと考えられる。
  • 被災地を中心に、青少年教育施設を拠点として、災害現場から学ぶ体験的防災教育の仕組み作りを被災者
  • 行政・ボランティアなど多様な主体が一体となって進めるべきである。
  • 青少年教育施設において、災害への対応や防災に係る研修プログラム、「サバイバル」の要素を持った研修プログラムの開発・実施などを行い、青少年教育施設を防災拠点として機能強化を図る必要がある。
  • 東日本大震災において、多くの青少年がボランティア活動を通じて成長したように、社会の一員としての自覚と責任感を高めるため、平常時においても、様々なボランティア活動等の社会貢献活動を積極的に奨励すべきである。社会貢献活動は、相手の役に立つという意義だけでなく、活動を行う側にとっても、多くのことを学ぶことができる学習の機会である、という認識を持つべきである。
  • 東日本大震災後、子どもたちは、東京電力福島第一原子力発電所の事故や、限られたスペースで活動しなければならない避難所生活の影響で、日常生活の中で多くのストレスを抱えることとなった。こうした子どもたちに、自然の中で思い切り遊び、様々な体験をさせることは、子ども達の心身の健全育成やリフレッシュを図る手段として有効であり、今後も、被災地の子ども達に対して、こうした体験活動の機会を積極的に設けることが求められる。

【今後の主な論点(案)】

○ 震災のような非常時にも生き抜くための地域のつながり作りや青少年の防災教育の在り方についてどのように考えるか。

○ かつて日本の子ども達が自然の中での遊びを通じて身につけていた危険を回避する能力や自然現象への対応力、いわゆる「サバイバル力」の育成の必要性についてどのように考えるか。

○ 東日本大震災で国立青少年教育施設が果たした役割を踏まえ、行政刷新会議の指摘等も踏まえつつ、新たな事業展開や施設機能の充実の方向性についてどのように考えるか。

○ 国立青少年教育施設は、その機能を被災した青少年の心身のケア等、被災地支援のために、今後さらにどのような取組を行う必要があるか。

4.青少年の体験活動の推進のための取組

(1) 学校教育における体験活動の推進

  • 学校教育の中で全ての子ども達が必ず一定期間の体験活動を実施できるような態勢を整備する必要がある。
  • 学校教育の中では、体験活動を特別活動として実施するほか、教科の学習を「体験的に学ぶ」という観点からのアプローチも重要であり、外国では学習効果を高めるとして、体験学習を積極的に導入する流れも見られる。
  • 教員養成課程において体験活動を必修化したり、教員研修等において体験活動の重要性や指導方法の具体策を示すなどして、教員の意識・スキルの強化を図ってはどうか。教員には、野外教育・環境教育など体験型学習指導法を修得し、体験活動を学習指導の一環として、学びの場を生み出し構成する力が求められる。
  • 青少年の体験活動の推進のためには、学校教育と社会教育の連携強化が不可欠であり、目標の共有や発達段階に応じた実践プログラムの整備・普及啓発のほか、学校教育と社会教育をつなぐコーディネーターの配置などの態勢整備が必要である。
  • 学校教育では、防災教育・環境教育等様々な名目で、多様な主体がそれぞれ体験活動に携わっているが、体系的に連携して体験活動を推進することが重要である。
  • 学校教育の中に体験的な活動を取り入れる際には、指導内容の増加、指導時間の増加という現状の中で、子どもや教員の過重な負担とならないなど、学校現場の状況を十分把握して検討すべきである。
  • 学校教育の役割の一つとして自然体験活動を位置づける場合、具体的に育成すべき資質・能力等について十分吟味したうえで行うべきである。
  • 教員が自然体験等の指導者としての一定程度の資格を取得した際には,処遇についても配慮することを検討すべきである。

【今後の主な論点(案)】

○ 新学習指導要領において、体験活動の充実が盛り込まれていることを踏まえ、授業時数の増加や様々な課題の対応に忙殺されている教員や学校の負担増とならないように体験活動の機会を確保・充実するためには、どのようなアプローチや支援策が考えられるか。

○ 教員を目指す者に体験活動の重要性を理解してもらうためには、どのようなアプローチが必要か。

(2) 青少年教育施設の役割分担と連携の強化等

  • 国立青少年教育施設は指導者養成、調査研究、先進的なプログラムの開発
  • 普及等を実施するとともに、学校・企業・民間団体など地域社会との連携や、国公立及び民間の青少年教育施設・青少年教育団体相互のネットワーク作りを促進する必要がある。
  • 公立青少年教育施設では、効率的な管理運営の観点から指定管理者制度の導入が進んでいるが、優秀な人材の確保や安定的な運営の面で問題が生じているとの指摘もある。公立青少年教育施設が、学校や各種団体と連携して地域の体験活動の拠点として、より一層活用されるように、行政としても多面的な支援をすべきである。
  • 国立青少年教育施設を民間活力によって活性化することは重要であり、「新しい公共」型の管理運営の実施や、所長から一般職員までの幅広い人事交流、民間出身所長のサポート体制の整備等が必要である。
  • 繁忙期以外においては、青少年教育施設を様々な年齢層の利用者に幅広く提供するなど、施設の有効活用の在り方を検討するべきである。
  • 都市部における青少年の体験活動の不足が深刻であることから、都市型青少年教育施設のニーズは非常に高いと考えられる。他方、農村部の青少年についても、遠方に所在する体験活動を実施できる施設に行く機会は少なく、屋内でのゲームが遊びの大半を占めている場合も多い。家の近所で体験的な遊びができる環境づくりが求められている。
  • 青少年教育施設での活動内容の充実だけでなく、青少年施設の指導者を学校や教育委員会主催の研修会に講師等として派遣するシステムや、教育委員会との連携による教員指導育成プログラム作りを考えるべきである。

【今後の主な論点(案)】

○ これまで、青少年教育施設が果たしてきた機能・役割、今日求められている機能・役割をどのように考えるか。特に、近年の行政刷新会議等の指摘も踏まえつつ、国立青少年教育施設が今後果たすべき機能・役割をどのように考えるか。

○ より効果的な体験活動を行うため、国立青少年教育施設は、公立・民間の青少年教育施設、さらにはNPOや民間団体等とどのように連携を図っていく必要があるか。

○ 青少年教育施設をさらに有効活用するためには、どのような取組が考えられるか。

(3) 青少年の国際交流の推進

  • 国際社会で活躍できる能力・感覚を育成するためには、文化や社会体制の異なる人々と寝食を共にしたり、実際に意見交換を行ったり、自然体験活動等の様々な活動を協力して実施するなどの国際交流体験を積むことが必要不可欠である。
  • 例えば、4年に1度開催されるボーイスカウトの世界大会である世界スカウトジャンボリーでは、様々な国の青少年が、言葉は分からなくても、自然にうち解けて交流を深め、互いの文化を学び合う場が形成される。このような国際交流の体験は、自国の伝統と文化を尊重するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する人材の育成に資するものである。2015年には、日本(山口県山口市)で第23回大会が開催されることを契機として、青少年の国際交流の機運を醸成していく必要がある。
  • 青少年の国際交流を推進するためには、自分の意見を正々堂々と述べたり、自分の意見とは異なった考え方を受け入れたりすることができる能力や態度を育成する必要がある。そのためには、学校教育の中にディべートやプレゼンテーション等の体験学習を積極的に取り入れ、コミュニケーション能力の育成を図るとともに、日本の豊かな伝統や文化を理解し、世界に情報発信する力の修得を図ることが、きわめて重要である。
  • 青少年の国際交流の推進にあっては、国の明確な方針の下、地方公共団体への財政的支援等についても検討し、円滑に活動が推進される条件整備を図るべきである。

【今後の主な論点(案)】

○ 様々な分野における我が国の将来を担う人材やグローバル化する社会に対応できる青少年の育成のため、今後の青少年の国際交流は、どのような観点を重視して推進していく必要があるか。

(4) 体験活動を実施する際の安全の確保

  • 特に、自然体験活動は、生命に関わる事態が発生する危険性もあり、安全管理は最も優先されるべきである。ただし、不測の事態に臨機応変に対応する力を身に付けることが体験活動の目的の一つであり、過度に過保護な環境を創出することは体験活動の趣旨に反することから、安全確保ができる範囲を可能な限り広げるように努めるべきであり、安全確保のために活動範囲を縮小することのないよう留意する必要がある。
  • 研修による指導者の能力向上や連絡体制の整備、情報共有等により、体験活動の安全確保策を徹底する必要がある。
  • 安全の確保のための指導事例集やマニュアルの開発を進め、教育関係者が広く活用できるようするなど、安全指導に関する具体的な情報提供の方法を検討する必要がある。

【今後の主な論点(案)】

○ 体験活動を行う際の安全確保について、現在どのような課題があると考えられるか。

○ 施設の安全管理について、どのような取組が考えられるか。

○ 安全で質の高い体験活動を行うため、指導者の質を向上するためにはどのような方策が必要か。また、質の高い指導者の活躍の場をどのように拡大すべきか。

(5) 社会全体で体験活動を推進する機運の醸成

  • スポーツ基本法が制定されたように、体験活動の推進のための法的根拠を整備する必要がある。
  • 体験活動の範囲・定義を本部会として明らかにする必要があるのではないか。
  • 子どもや保護者をはじめとする学校教育関係者等の「ユーザー」側に体験活動の重要性をアピールし、社会全体で体験活動を推進する機運の醸成を図るためには、そのニーズを把握し、体験活動がそのニーズに確実に応えるものであるというエビデンス(根拠)とストーリーを組み立てて、具体的に伝える必要がある。そのため、体験活動の具体的効果を示す調査研究の充実・深化が不可欠である。
  • 顕彰制度の導入によって、体験活動を幅広く普及・啓発ができる可能性がある。
  • NPOや子ども会、青年会議所等多くの民間団体が青少年の健全育成を目指して体験活動を企画・実施しており、これらの団体に対する資金面等での支援を充実させる必要がある。

【今後の主な論点(案)】

○ 学校教育法や社会教育法において、自然体験活動の促進や体験活動の充実等について規定されていることを踏まえつつ、今後さらにどのような取組を進めていく必要があるか。

○ 青少年や保護者等の「ユーザー」側に、自然体験活動をはじめとする体験活動の重要性・必要性をより認識してもらうために、どのようにストーリーを組み立てていくか。(※再掲)

○ 社会全体で体験活動を推進する機運を醸成するため、海外で実施されている顕彰・評価制度も参考にしつつ、我が国でそのような制度の導入を検討することについてどのように考えるか。

○ 民間団体への支援の在り方について、現在どのような課題があるか。

お問合せ先

スポーツ・青少年局青少年課

(スポーツ・青少年局青少年課)

-- 登録:平成24年04月 --