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資料2-2 学校安全の推進に関する計画の策定について(答申)(素案)

はじめに

 

中央教育審議会は、平成23年9月22日に文部科学大臣から、「学校安全の推進に関する計画の策定について」諮問を受けた。

 

子どもが心身ともに健やかに育つことは、国や地域を問わず、時代を越えて、全ての人々の願いであり、子どもの育つ環境が安全なものとして整えられ、また、子ども自身や保護者その他の人々が安心感を持って日々の生活を送ることができるような社会を築いていくため、たゆむことなく、一人一人が責任を持って、必要な取組を進めていかなければならない。

学校は、幼児児童生徒等が集い、人と人との触れ合いにより、人格の形成をしていく場であり、幼児児童生徒等が生き生きと学び、運動等の活動を行うためには、学校という場において、幼児児童生徒等の安全の確保が保障されることが不可欠の前提となる。また、幼児児童生徒等は守られるべき対象であることにとどまらず、学校において、その生涯にわたり、自らの安全を確保することのできる基礎的な素養を育成していくことが求められる。

 

こうしたことから、これまでも学校安全については平成20年に本審議会 において答申「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために 学校全体としての取組を進めるための方策について」がまとめられ、これ を受けて改正された学校保健安全法に基づき、各般の措置が講じられるとともに、各学校における安全に係る取組を総合的かつ効果的に推進するため、国により学校安全の推進に関する計画の策定がなされることとなっている。

 

特に、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の際には、徹底した津波や防災に関する教育により、想定された避難場所が危険であることを児童生徒等自らが判断し、さらに安全な場所に自主的に避難して津波による危険を回避した学校などもあり、学校での安全に係る取組を推進することの重要性がより一層認識されるようになったところである。

 

学校安全の推進に関する計画の策定に当たっては、今後、おおむね5年間に渡る学校安全の推進に関する施策の基本的方向と具体的な方策を明らかにするものであり、策定から5年後を目途に、計画期間中における成果や課題、情勢の変化等を検証した上で見直すことが必要である。

 

1. 幼児児童生徒等の安全を取り巻く現状と課題

 1.学校における幼児児童生徒等の安全の現状とこれまでの取組

○ 生活安全については、日常の学校管理下における事故の状況として、例えば、独立行政法人日本スポーツ振興センターによれば小学校では休憩時間中を中心に、中学校・高等学校では課外活動などにおいて、負傷が年間約113万件*発生しており、30年前と比較して約3割増加している。また、死亡例については、減少傾向が続いているものの平成22年において74件発生しており、引き続き学校安全に向けた不断の取組が求められている。

※独立行政法人日本スポーツ振興センターによる災害共済給付において医療費を支給した災害の件数

  

○ また、近年、学校に不審者が侵入して児童生徒等や教職員の安全を脅かす事件や、通学路で児童生徒等に危害が加えられる事件が発生し、大きな社会問題となっている。

 

○ 交通安全については、昭和46年から政府全体として取り組む方策をまとめた交通安全基本計画に基づき8次計画にいたるまで児童生徒等に対しても同計画を踏まえた対策を行ってきており、平成23年度から第9次交通安全基本計画が実施されている。交通事故は、成人も含め平成23年には約69万件発生し、負傷者が約85万人、死者が4,611人(24時間死者数)に上っている。子どもの交通事故による死者数は近年減少傾向にあるが、なお155人(24時間死者数)に上り、また、負傷事故も多数発生するなど交通事故は子どもの安全に対する大きな脅威となっている。

 

○ 災害安全については、我が国においては、自然災害が多く発生し、地震被害では平成7年1月の阪神・淡路大震災、平成16年10月の新潟県中越地震、平成19年7月の新潟県中越沖地震などが発生するとともに、風水害についても平成23年9月の台風12号などにより多くの被害が発生している。これらを踏まえ、学校の耐震化をはじめとした様々な対策をとってきている。しかしながら、平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、幼児児童生徒等600人以上を含む、約20,000人の死者・行方不明者を数えるとともに、東京電力福島第一原子力発電所の事故による原子力災害のため、多大な被害が生じており、これらの教訓を活かす学校安全の対策が喫緊の課題である。

  

○ 幼児児童生徒等の安全を脅かす事件・事故災害に対応して、学校では防犯を含む生活安全、交通安全、災害安全(防災)のそれぞれの領域について、学校内の施設及び設備の安全点検や、交通安全を中心とした通学路における取組など安全管理のための取組を進めるとともに、避難訓練などを含め幼児児童生徒等自身に安全を守るための能力を身に付けさせる取組が行われてきた。また、学校への不審者侵入事件などに対する取組も進められてきた。

 

○ 特に平成20年の本審議会答申を受けて、平成20年に学校保健法を改正し、平成21年から施行された学校保健安全法に基づき学校の安全を確保するため、様々な取組が推進されている。同法の改正により、学校においては、学校安全計画の策定・実施、危険等発生時対処要領の作成が義務づけられた。また、学校が保護者や警察署等の関係機関や関係団体等との連携を図るとともに、校長が学校環境の安全確保のため必要な措置を講ずることとなった。

 

○ また、文部科学省では、東日本大震災の教訓を踏まえ、学校における防災教育・防災管理等を見直すため、平成23年7月に「東日本大震災を受けた防災教育・防災管理等に関する有識者会議」を設置し、幼児児童生徒等の危険予測・危険回避能力を高めるための方策等について検討を行い9月には中間とりまとめを公表した。

 

2.学校安全の推進に関する計画を含む今後の学校安全の方向性

○ 成人への安全教育と異なり、子どもへの安全教育は、将来につながる安全意識・能力の基盤を培うものであり、長期にわたる教育の継続によって、次代を担う子どもたちに安全に関する考え方を定着させる効果がある。また、子どもに対する安全教育がなされることにより、適切な指導を受けた子どもが緊急時に率先して避難行動をとり、安全意識が必ずしも高くない大人に避難を促すという効果も期待できる。こうしたことから、中長期的な視点で考えた場合、学校教育において安全に関する指導を行うことは、次代の安全文化を構築するという意義も担っている。

 

○ 学校保健安全法では、学校における教育活動が安全な環境において実施され、幼児児童生徒等の安全の確保が図られるよう、学校における安全管理に関して必要な事項が定められており、この中で、各学校における安全に係る取組を総合的かつ効果的に推進するため、国が学校安全の推進に関する計画を策定することとされている。

 

○ 学校現場では、学校安全について十分な時間がとりにくい現状があるため、幼児児童生徒等の安全を守る取組を効果的・効率的に行うことが求められる。そのため国は、学校安全のため各学校が行うべきことを検討し、分かりやすく学校現場に示していく必要があり、国が策定する学校安全の推進に関する計画は、学校において具体的に何をすべきかイメージすることができる計画とするべきである。

 

○ 学校が、学校内外で幼児児童生徒等の安全を守るための取組を効果的に進めていくためには、校長等管理職のリーダーシップの下、学校安全計画(各校で策定する総合的な学校安全のための計画)を策定し、体制を整備することが必要である。そのため、学校保健安全法において学校が策定することとされている学校安全計画を全ての学校が策定するよう徹底することと併せ、その内容の充実を図ることが急務である。

 

○ 自然災害や学校への不審者侵入事件など、学校内外において突発的に発生し、その後の被害の拡大が予想される事件・事故災害の発生時の安全管理に関しては、学校保健安全法において、学校が危険等発生時対処要領(危機管理マニュアル)を当該学校の実情に応じて作成することとなっている。しかしながら、必ずしも全学校で作成されていないため、全ての学校において作成し、これを活用した訓練などを行うことを徹底し、さらには、緊急時に有効に機能するよう適切な見直しを行う必要がある。

 

○ 国が策定する計画は、セーフティプロモーションの考え方に則り、科学的な根拠に基づいた施策を進め、評価もできる仕組みが必要である。また、安全推進に関わる様々な機関が連携し、取り組んでいくことが重要である。

その際、インターナショナルセーフスクール*の取組などにも留意しつつ、国が策定する計画が国際的にも進んだ内容となることが望ましい。

※世界保健機関(WHO)セーフコミュニティ協働センターが、より安全な教育環境づくりを目指す学校に与える国際認証

 

○ 国が策定する安全に関する計画には、災害対策基本法に基づく防災基本計画や防災業務計画、交通安全基本計画等があり、学校安全の推進に関する計画についても、それら関連する計画との調整が図られる必要がある。

 

 

2. 学校安全を推進するための方策

 1.安全に関する教育の充実方策

○ 平成20年の本審議会答申に示されているように、学校に求められる役割として第一に挙げられるのは、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間など学校の教育活動全体において行われる総合的な安全教育によって、幼児児童生徒等自身に安全を守るための能力を身に付けさせることである。

   具体的には、

  1. 日常生活における事件・事故、自然災害などの現状、原因及び防止方法について理解を深め、現在や将来に直面する安全の課題に対して、的確な思考・判断に基づく適切な意思決定や行動選択ができるようにすること、
  2. 日常生活の中に潜む様々な危険を予測し、自他の安全に配慮して安全な行動をとるとともに、自ら危険な環境を改善できるようにすること、
  3. 自他の生命を尊重し、安全で安心な社会づくりの重要性を認識して、学校、家庭及び地域社会の安全活動に進んで参加し、貢献できるようにすること、

などについて、発達段階に合わせて、子どもの能力をはぐくむことが求められている。

 

○ 本審議会で別途議論している第2期教育振興基本計画の策定に向けた基本的考え方においてキーワードとされている「自立、協働、創造」は、の観点について、学校安全教育においても踏まえる重要な観点である。

 

○ 学校安全における生活安全、交通安全、災害安全は、いずれも重要な課題であり、いずれかに偏ることのないよう十分な配慮が求められる。

 

(1)安全教育における主体的に行動する態度や共助・公助の視点

<課題・方向性>

○ 平成20年答申の理念や第2期教育振興基本計画策定へ向けた本審議会の議論でも示されているように、事件・事故災害発生時に、自ら危険を予測し、回避するためには、知識とともに習得した知識に基づいて的確に判断し、迅速な行動をとることができる力を身につけることが必要であり、そのためには、日常生活においても状況を判断し、最善を尽くそうとする「主体的に行動する態度」を育成する教育が必要である、このため、安全教育を各教科等における学習活動としてのみならず、学校の教育活動全体の中でとらえ、総合的に実施していくことが重要である。

 

○ 進んで安全で安心な社会づくりに参加し、貢献できる力をつける教育を進めていくべきあり、自助だけでなく、共助、公助(自分自身が、社会の中で何ができるのかを考えさせること等も含む)に関する教育も重要である。その上で、家族、地域、社会全体の安全を考え、安全な社会づくりに参画し、自分だけでなく他の人も含め、みんなが安全で幸せに暮らしていく社会づくりを目指すところまで安全教育を高めていくことが望ましい。

 

○ 支援者となる視点からの防災教育が非常に重要である。特に発達の段階に応じて社会に貢献する、災害時に自ら行動するという安全教育を行うことが必要である。

 

○ 高校生による被災地でのボランティア活動の経験を教材にして、防災教育を広げていくことも考えられる。

 

<具体的な方策>

○ 国は、主体的に行動する態度の育成、被災地などへのボランティア活動等を通じて、安全で安心な社会づくりに貢献する意識を高めるといった教育手法の開発・普及を行うため、モデル事業などを通じ、各学校や地方公共団体における取組を促す。

 

(2)教育手法の改善

<課題・方向性>

○ 安全教育は、講話だけで教育することでは十分ではなく、例えば、交通安全教育であれば警察、自動車教習所等の協力を得ることなどによる実技を伴う体験的な学習やロールプレイングなどの活動が必要である。その際、事前・事後の学習を組み合わせて行うことも重要である。

 

○ 学校安全に関する調査研究結果が、学校安全の向上につながるためには、調査研究内容の充実に加え、それが分かりやすく学校現場に伝わることが必要である。

 

○ 幼児に対する安全教育では、幼い命をどう守るかを考えると同時に、3歳、4歳という発達の段階の特性を十分踏まえつつ、自らの命を守ることへの意識を高め、集団で迅速な行動が取れるよう繰り返しの体験を計画的に行うことが強く求められる。

 

○ 国により良質な教材や参考資料等が作成されているにもかかわらず、学校現場で知られていない、使いこなせていないといった現状があり、改善が必要である。

                       

○ 地域で語り継がれてきた災害教訓の中には地域特性によらない普遍的内容も含まれているものもあり、それを継承する中から具体的な対策が発見されることもあることから、例えば、児童生徒等による災害教訓の語り継ぎなどにより、その継承を行うことが重要である。その際、中央防災会議においてまとめられる予定の災害教訓の事例集など、文部科学省以外における取組にも着目し、幼児児童生徒等の発達の段階などに留意しつつ、各学校の必要に応じ活用されることが望ましい。

 

○ 児童生徒等に対する自転車の安全教育について、特に、中高生が加害者となる自転車事故が課題となってきており、今後は、例えば自ら自分たちの自転車の乗り方が安全なのかを理解するような、自己理解、自己評価型の教育を進める必要があり、そのための手法の開発・普及が必要である。

 

○ 野外炊飯など、防災教育にも資する自然体験活動の振興方策を学校安全の観点からも検討することが望ましい。

 

<具体的な方策>

○ 国は、体験的な教育手法を含め、各学校現場で行われている安全教育や安全研修等について情報共有し、優れた実践事例が全国に拡がるよう、関係機関とも連携し、全国的な発表の場を設定する。

 

○ 国は、作成する安全教育に関する参考資料等の利用状況を把握するとともに、今後その確実な利用を目指す。そのため、国は、全国的な教員研修の場などで安全教育に関する参考資料等の活用推進に努めるとともに、どういう場面でどのように活用するべきかを併せて学校に周知することにより、利用を促進することを通じ、全国的な安全教育の質の向上を図る。

 

○ 学校内で起こる事故を未然に防ぐという観点から、各学校では、例えば、課外活動等において、けがや熱中症などが起こらないよう、幼児児童生徒等に対して適切な指導を行うことが重要である。

 

○ 国は、地域で語り継がれてきた災害教訓を幼児児童生徒等に伝える学習活動が円滑に進むよう、関係機関が連携し、災害教訓の取りまとめや学校現場への提供に努める。

 

○ 防災教育にも資する自然体験活動がなされるよう、例えば独立行政法人国立青少年教育振興機構において、防災教育の視点に立った先進的な体験活動プログラムを開発し、全国の公立・民間の青少年教育施設等に情報提供を行うなど、国において、効果的な取組の全国的な普及・啓発を推進する。

 

○ 国は、各地域の特性に応じた体験的な防災教育を推進するため、学校等を避難所と想定した生活体験等の防災教育プログラムを地域住民や保護者の協力を得て実践する防災キャンプの実施と成果の普及に努める。

 

(3)安全教育に係る時間の確保

<課題・方向性>

○ 平成20年及び21年に改訂された学習指導要領及び幼稚園教育要領において、安全に関する指導の充実が図られ「安全に関する指導は学校教育活動全体を通じて適切に行う」こととされているが、系統的な指導を行うための時間は限られている。

 

○ 体育・保健体育における安全教育の時間数は限られており、体育・保健体育のみでは主体的な行動能力の育成には不十分である。各学校において、体育・保健体育をはじめ関連する教科等での安全教育の指導内容の充実を図ることが強く求められる。

 

○ 我が国は、地震などの災害の発生が、国土の面積に比して非常に多いという特徴を踏まえ、学校教育全体の中における安全教育の重要性について全ての関係者が改めて認識を共有し、学校教育活動全体の見直しの一環として、国及び学校において、安全教育のための時間の確保について検討することが必要である。

 

<具体的な方策>

○ 学校においては、現行の学習指導要領や幼稚園教育要領の下でも、これまで取り組んできた安全教育を不断に見直し、安全教育として最優先で取り組むべき課題を意識して教育を行うことが求められる。学校で安全教育にかける時間は限られているが、朝の指導の時間やショートホームルームなどの時間、特別活動の時間等を工夫した上で、まとまった時間を安全指導の時間に充てることも考えられる。

 

○ 幼稚園教育では、幼児が幼稚園生活を通じて、安全に気をつけて行動することができるよう、幼児の発達を踏まえた安全教育を行うことが必要である。

 

○ 国は、学校における安全に関する指導が系統的・体系的になされるよう、学校現場で実際に行われている安全教育の効果を検証し、各教科等における安全に関する指導内容を整理する。その際、学校現場で効果的・効率的な指導ができるよう、分かりやすく示すことに留意する。

 

○ 国は、中長期的には、研究開発学校制度などの活用により各学校における新たな取組を促し、安全教育に関する教育課程の改善を視野に研究を進める。

 

○ また、例えば、総合的な学習の時間の学習活動の例示として、福祉・健康、環境と同様に安全を位置付けることなど、各学校等の実情に応じて、安全教育のための指導時間を確保するための方策について、その必要性や内容の検討を行うことが考えられる。

 

○ 国は、以上のような先進的取組について、学校や学校の設置者に適時情報提供する。

 

(4)避難訓練の在り方

<課題・方向性>

○ 各学校における避難訓練は、基礎的な訓練を確実に行うことが重要であるが、さらに、例えば、教職員や幼児児童生徒等に予告なく行う、地域や保護者の参加を得て行う、警察・消防・救急への通報訓練を行うなど、より実践的な内容にするための工夫も必要である。

 

○ 安全に関する科学技術の発達や実用化の状況に応じて、緊急地震速報による避難訓練など、従来の訓練を見直し、新しい訓練を取り入れていくことも重要である。

 

<具体的な方策>

○ 国は、安全に関する科学技術の実用化の状況を踏まえ、緊急地震速報などを活用した防災教育手法の開発・普及のためのモデル事業を行うことにより、学校における新たな防災教育手法の普及促進に努める。

 

○ 各学校においては、基礎的な訓練を確実に行うことはもとより、地域や学校の実状を踏まえたより実践的な避難訓練を行うことが期待される。国及び地方公共団体においては優良な実践事例の情報が共有されるよう努める。

 

(5)幼児児童生徒等の状況にあわせた安全教育

<課題・方向性>

○ 運動能力や判断能力は、個々の幼児児童生徒等によって相当異なるため、学校においては、運動能力や判断能力の高い幼児児童生徒等だけが逃げられるような避難体制ではなく、全員が安全に避難する体制を作ることが求められる。このため、学校安全計画の検討に際しては、どのような幼児児童生徒等を基準として避難体制を作るのかを考えることが必要である。

 

○ 学校においては、危険等発生時対処要領を確実に作成し、それに沿った適切な対応ができるようにすることに加え、個々の幼児児童生徒等の状況等に応じた臨機応変な指導にも留意する必要がある。

 

○ 幼児期には、幼児なりに、自ら危険を回避する能力を高めることが必要である。

 

○ 幼児児童生徒は、心身の発育発達面からみると、一生のうちでも極めて大きく変化する見せる時期である。こうした発育の発達の段階における特徴を考慮して、学校安全の内容や進め方を検討することが重要である。

 

○ 例えば、災害時に落ち着いた行動をとれる児童生徒は避難や災害後の対応において大きな役割を果たすことが期待される。防災教育では、発達段階に応じて、避難するだけではなく、災害時に児童生徒がどのような役割を果たしていくかを示していくべきである。このことは、社会貢献をする意識、社会への帰属意識、社会における存在感の醸成にも役立つ。

 

<具体的な方策>

○ 国は、学校における安全教育の充実のために、安全教育についての参考資料を作成するに当たっては、学校種や幼児児童生徒等の状況を踏まえた留意点を明らかにする。各学校においては、職員会議でこのような参考資料を用いて共通理解を図るなどし、日常における教育や防災訓練などに活かすことにより各学校での指導の充実が図られることが期待される。

 

○ 国は、被災地などへのボランティア活動等を通じて、安全で安心な社会づくりに貢献する意識を高める教育手法の開発・普及を行うため、モデル事業などを通じ地方公共団体や学校における取組を促す。

 

(6)情報社会への対応

<課題と方向性>

○ 近年、情報化の急速な進展により、児童生徒等が携帯電話やパソコンを利用する機会が増加しているとともに、違法・有害情報サイトを通じた犯罪等に巻き込まれたり、携帯電話等を使ったいじめが発生するなどの問題が起きている。

 

<具体的な方策>

○ 国は、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成20年法律第79号)」等の法令に基づき、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境を整備していくため、青少年におけるフィルタリングの普及促進その他のインターネットの適切な利用に関する啓発活動に取り組む。

 

(7)原子力災害への対応

<課題と方向性>

○ 地方公共団体等の学校設置者は、原子力災害について、東京電力福島第一原子力発電所の事故による原子力災害の教訓を踏まえ、学校の近隣における原子力関連施設の設置状況等に応じて、原子力災害時に幼児児童生徒等の被ばくを最小限に留めるために迅速な対応がとれるよう普段から準備を行っておく必要がある。

 

○ 学校においては、学習として原子力施設関係者から話を聞く際には、原子力の有効性と負の側面の両面を幼児児童生徒等がしっかりと認識できるように、事前に十分な打合せを行うなどの工夫が必要である。

 

<具体的な方策>

○ 国は、関係機関が連携し、必要な情報を整理して提供する等の方策を通じて、各学校や設置者において適切な準備が可能となるよう努める。特に、災害時に正確な情報が学校現場にまで迅速に伝達されるよう十分留意する。

 

○ 地方公共団体等の学校設置者は、原子力災害について、学校の近隣における原子力関連施設の設置状況や地方公共団体の定める災害発生時の措置についての対策に応じて、原子力安全担当の部署と連携をとりつつ、避難訓練等必要な措置を実施するよう努めることが期待される。

 

○ その際、特に、原子力災害発生時における緊急時対応の在り方について、原子力安全委員会において原子力防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ)を見直す考え方が示されるとともに、緊急時環境放射線モニタリング、周辺住民に対する防護対策等の原子力防災対策の技術的、専門的事項等について基本的考え方を示した「原子力施設等の防災対策について(防災指針)」について、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた改訂が、検討されており、その結果に十分留意する必要がある。

 

2.学校の施設及び設備の整備充実

(1)学校施設の安全性の確保のための整備

<課題と方向性>

○ 学校施設は、幼児児童生徒等の学習・生活の場所であり、非常災害時には地域住民の応急避難場所ともなることから、その安全性を確保することは極めて重要であるが、未だに耐震性が確保されていない学校施設も存在している。そのため、安全教育の充実のみならず、一刻も早く全ての学校を耐震化するなどの施設整備が不可欠である。

※公立小中学校の耐震化率(平成23年4月1日現在):80.3%

 

○ 学校施設は、構造体の耐震化だけでなく、非構造部材の耐震対策も速やかに実施する必要がある。特に、屋内運動場の天井材等の落下防止対策を進める必要がある。

 

○ 学校施設は、東日本大震災における津波被害の教訓を踏まえ、津波による浸水が想定される地域では、各地域の状況に応じて必要な津波対策を講じる必要がある。

 

<具体的な方策>

○ 国は、平成23年5月24日に改正した「施設整備基本方針」(正式名称:「公立の義務教育諸学校等施設の整備に関する施設整備基本方針」)を踏まえて、学校設置者が行う公立学校施設の耐震化及び防災機能の強化(備蓄倉庫の整備等)を支援する。さらに、私立学校についても同様に耐震化等防災機能の強化を推進するため、継続的に支援する。

 

○ 学校や学校の設置者は、学校施設の非構造部材の耐震化に関する参考資料等を活用して、非構造部材の点検・対策を行う。

 

○ 学校の設置者は、近隣の高台や裏山など安全な場所へ速やかに避難できるような避難経路の整備、学校の上層階に速やかに避難できるような屋外避難階段の設置など学校施設の立地状況に応じた施設整備を推進する。

 

(2)学校における非常時の安全に関わる設備の整備充実

 

<課題と方向性>

○ 学校においては、不審者を侵入させないための対策を設備も含めて考えていくべきである。地域に開かれた学校を作っていくためには、児童生徒等の安全確保を図られていることが前提であり、外部からの不審者等の侵入防止の対策がとられていることが重要である

 

○ 学校においては、災害発生等の非常時において安全を確保できるよう、必要となる防災設備、消防用設備、防犯用設備等を整備するとともに、非常時に活用できるようメンテナンスをしっかり行っておくことが重要である。

 

○ 学校設備については、転落事故による死亡事故等も発生しているところであり、安全点検を実施するとともに、点検を踏まえた設備等の必要な改善措置をとることが重要である。

 

<具体的な方策>

○ 学校において災害発生等非常時における幼児児童生徒等の安全を確保するため、国は、例えば、救命処置等のための設備として、自動体外式除細動器(AED)などの整備を行うよう促す。

  ※学校における自動体外式除細動器(AED)設置率:82.2%

(平成22年3月)

 

○ 国は、学校における防犯対策の徹底を図る観点から、防犯カメラや防犯センサー、インターホン(門や建物の出入り口等への設置)、認証装置などの防犯監視システムや校内緊急通話システム(インターホン等)、警察との連絡システム、警備会社との連絡システム、防犯ベル・ブザー・非常押しボタン等(普通教室等校内への設置)、携帯型押しボタン(教職員への配布)などの通報システムなど安全対策に資する設備の整備を促す。また、さすまた、盾、催涙スプレー、ネット、杖などの安全を守るための器具の整備を促す。

    ※防犯監視システムの整備率:76.2%(平成22年3月)

  ※通報システムの整備率:94.2%(平成22年3月)

  ※安全を守るための器具の整備率:88.2%(平成22年3月)

 

○ 国は、学校の設置者において学校設備の改善措置が適切に行われるよう必要な情報提供を行う。特に新たな科学技術を活用した設備等については、その円滑な導入が図られるようモデル事業の成果等の必要な情報提供を学校の設置者に対して行う。

 

3.学校における安全に関する組織的取組の推進

(1)学校安全計画の策定と内容の充実

<課題と方向性>

○ 学校安全計画を策定している学校は増加しているが、全体では、92.3%(平成22年3月)にとどまっており、早急に全ての学校が策定することを目指すべきである。

 

○ 学校安全計画は、安全管理のみの内容にとどまるのではなく、避難訓練等も含めた安全教育に関する内容も盛り込むなど、その内容の充実が必要である。

 

○ 学校ぐるみの安全確保の取組を促す例として、セーフティプロモーションという概念を提唱する世界保健機関(WHO)セーフコミュニティ協働センターが認証するインターナショナルセーフスクール(ISS)の認証を取得する取組があげられる。取得に向けた取組の中で、1 児童や教員などのけがや事故等の減少、2 「安全」という同じ目標に取り組むことによる、日常的活動の活性化、3 児童生徒等自らが危険を把握、予測、回避し安全な環境を構築する「安全力」の育成、4 学校を中心に、児童、教員、保護者のつながりが強化され、地域との連携により安全な「コミュニティ」づくりを推進、5 安心安全に対する心の充実や価値観が向上等の様々な効果がみられたとの報告がある。

 

<具体的な方策>

○ 国は、早急に全ての学校において学校安全計画が策定され、その内容の充実が図られるように、必要な情報を収集するとともに、積極的な情報提供を行う。

 

○ 国は、インターナショナルセーフスクールなどの優れた取組が各設置者の判断において進めていけるよう、必要な情報を収集するとともに、積極的な情報提供を行う。

 

(2)学校における人的体制の整備

<課題と方向性>

○ 学校においては、学校安全計画を立案し、実行していく中心となる者を校務分掌において位置付けることは有効な取組であり、特に、中学校や高等学校は教科制で、教員も専門に分かれているため、安全教育のコーディネートをする担当を明確にしておくことが必要である。また、全ての学校において安全の中核となる教職員等に一定水準の知識や資質を備えることが必要である。

 

○ 学校現場の実状を踏まえると、小学校をはじめとして、校務分掌において学校安全担当となった教員が、十分な取組を行うことが困難であることから、管理職が学校全体の業務を適切に見直す等の配慮が不可欠であるとともに、国においても引き続き、教育環境の改善を図る必要がある。

 

○ 学校や学校の設置者の判断により、警備員を配置し、学校内の幼児児童生徒等の安全を守る取組を進める学校が見られる。また、学校支援地域本部や放課後子ども教室といった地域と学校が連携する取組を通じて、ボランティアなどが学校内を巡回し、常駐するような取組も見られる。学校や学校の設置者において、地域の実情に応じて、このような外部の人材を活用した人的体制を充実する取組を今後とも進めていく必要がある。

 

<具体的な方策>

○ 国は、管理職及び学校安全の指導的な役割を担う教職員の研修を地方公共団体において行う体制を整え、全ての学校において学校安全の中心的役割を果たす職員が一定水準の知識や資質を備えることを目指す。

 

○ 事件・事故災害に関するリスク情報(データ)の収集・分析など、学校にとって非常に重要ではあるが専門性が求められ手間がかかる事務を効率的に行うため、地方公共団体において、外部の専門家などの協力を得られるような体制をあらかじめ用意するなど、学校を支援する体制を整備するよう努める。

 

○ 安全教育の実施や安全計画の策定などについて、各学校で教職員が十分な対応ができない場合にも留意し、地方公共団体においてスクールガード・リーダーや学校防災アドバイザーなどの学校安全に関する外部の専門家等の協力を得て、体制を整えるよう努める。

 

○ 学校や学校の設置者において、地域の実情に応じて、このような外部の人材を活用した人的体制を充実する取組を今後とも進めていくことが可能となるよう、国において適切な支援を行う。

 

(3)学校における安全点検

<課題と方向性>

○ 大阪教育大学附属池田小学校の事件から10年が経過し、門や玄関が開かれたままの学校があるなど、一般の学校現場では、その教訓が活かされていないという課題が指摘されており、今一度、不審者侵入に対する安全点検を各学校現場に徹底する必要がある。

 

○ 学校においては、登下校において幼児児童生徒等の安全の確保がされるよう通学路の定期的な点検を行い、必要に応じ道路管理者、警察等に提言することが重要である。

 

○ 校舎からの転落事故、学校に設置された遊具による事故等が発生していることや、地震等の自然災害による被害も想定されるため、学校や学校の設置者においては、学校施設・設備の経年劣化等による危険箇所等の点検・確認を法令に基づき確実に行うとともに、必要に応じて補修、修繕等の改善措置が必要である。

 

○ 学校施設については、学校保健安全法に基づき、安全点検を行うこととされているが、学校施設の安全性を確保するためには、平常時の安全性のみならず、地震や台風などの自然災害に対する構造上その他の安全性を確認することが重要である。そのため、日常的並びに毎月又は毎学期1回以上定期に行う安全点検に加え、数年ごとなどの中長期的に行う学校の設置者における安全点検が実施されるようにすることが有効である。

 

<具体的な方策>

○ 学校の事故の多くは環境と行動の改善で防げるという考え方に立ち、事故が発生した後には、各学校においては、事故事例を踏まえた具体的な改善の取組を行っていくことが必要であり、国及び地方公共団体はそのために情報提供体制の確立に努める。

 

○ 学校及び学校の設置者においては、学校や通学路での幼児児童生徒等の安全を確保するため、保護者や地域のボランティアの協力のもと、事件・事故災害の起こりにくい環境を構築していくよう努める。

 

○ 学校や学校の設置者においては、必要に応じ道路管理者、警察等と共同して、交通安全、防犯、防災等の観点から通学路を定期的に点検し、その結果に応じて適切な措置を採るよう努める。

 

○ 災害共済給付の事故情報は有益な情報であり、独立行政法人日本スポーツ振興センターにおいては、そのデータを学校における対策に活用できるよう整理・分析した上、学校現場に分かりやすく提供するよう努める。

 

○ 学校及び学校の設置者においては、学校施設、設備、備品について、日常的並びに毎月又は毎学期1回以上定期に行う安全点検に加え、数年ごとなど中長期的に行う各学校の設置者における安全点検の実施について明確化することに努める。

 

(4)学校安全に関する教職員の研修等の推進

1.教職員研修の推進

<課題と方向性>

○ 学校現場で実際に安全教育等を行うのは教職員であり、その知識・技能や意識の向上が求められる。このため、現職の教職員に対する学校安全に関する研修の推進が必要である。

 

○ 文部科学省の学校安全教室の推進事業の中で行われる心肺蘇生の実技講習会を受講すれば、救命技能などの認定証が付与される例もあり、受講を促す観点で効果的である。

 

○ 災害安全の取組に資するよう、国において各種の研修や事業実施の機会を活用するなどして、被災地の教職員の経験を非被災地の教職員に伝える取組を実現する必要がある。

 

<具体的な方策>

○ 国は、管理職及び学校安全の指導的な役割を担う教職員の研修を地方公共団体において行う体制を整え、全ての学校において学校安全の中心的役割を果たす職員が一定水準の知識や資質を備えることを目指す。(再掲)

 

○ 地方公共団体においては、関係機関と連携を図ることにより、受講者が何らかの資格を取得できるなど研修の在り方について工夫することにより、受講を促進することが期待される。

 

○ 国は、安全課題に応じて、全国の教職員が学校安全に関する一定の知識を持つことができるよう、最新の安全知識や優れた取組事例などについて教職員向け参考資料を作成・普及する。

 

○ 国は、教職員の研修等を推進するためにも、研究者等の指導者を養成するための方策を検討する。

 

2.教職を志す学生への学校安全教育

<課題と方向性>

○ 教員の資質として、幼児児童生徒等の健康と安全を守る上で必要なことは何か、幼児児童生徒等にどういう指導をすべきであるかということは、土台としてしっかりと備えられている必要がある。

 

○ 教職を志す学生が、学校安全教育に関する知識技能を修得することができるよう、教員養成課程などにおいて、行政や学校現場で行われている安全教育に関する新しい動きを学ぶことができる環境を整えることが重要である。

 

<具体的な方策>

○ 教員養成段階にある学生への学校安全に関する教育については、各大学の自主的な判断の下、必要な内容を整理するとともに、関連講義を設定するなどの積極的な取組が期待される。

 

○ 大学の教員養成課程において、学校危機に対する予防プログラムを開発したり、そのプログラムを研究授業などに活用する取組などを国が支援しており、引き続き、このような大学の取組を地域の実情に応じて展開することについて支援する。

 

(5)危険等発生時対処要領の作成と事件・事故災害が生じた場合の対応

<課題と方向性>

○ 学校においては、学校の危険等発生時対処要領(危機管理マニュアル)について、実際の災害時に活かせるのか、今一度見直しをする必要がある。その際、学校のマニュアルが、学校単独で完結している側面もあり、より地域と連携した内容にする必要がある。

 

○ 東日本大震災の経験を踏まえ、災害時に保護者等の迎えが来なかった場合の対応や、スクールバス乗車中に災害が起きた場合の安否確認など、これまでの各学校のマニュアルは見直すことが求められるところである。地域の特性を勘案し、起こり得る様々な状況に応じた対策や具体性に欠けていたことが課題である。

 

○ 避難訓練は、毎月同じような形で実施するのではなく、例えば、教員にも予告なく行うなど、より実践的な内容にするための工夫をすることも必要である。

 

○ 地域と連携した避難所開設訓練などは、継続的に行うことにより効果が高まると指摘されている。

 

○ 災害の事後対応に関して、実際に発生した際に学校で円滑に対応できるよう、各学校においてあらかじめ十分に検討する。特に、被災地での経験を踏まえ、物質的な被害の回復のみならず、心のケアや授業の再開に向けた対応なども含め、検討項目を整理しておく必要がある。

 

○ 学校においては、地震災害発生後、安全が確認された後の、保護者等への引渡については、情報伝達ができないことや保護者等の迎えが不可能な事態を想定し、あらかじめ保護者等との間で災害の規模や状況によって引渡しの基準や条件を詳細に決めておくことが必要である。特に、家庭の状況を把握した上で、保護者等の帰宅が困難になるような家庭の幼児児童生徒等については、学校にとどめるなどの事前の協議・確認を保護者等との間で行っておくことが必要である。なお、在校時に限らず、登下校中に災害が発生した場合の対応も検討しておく必要がある。

 

○ 学校においては、地震による津波など、限られた時間での対応が迫られる場合には、保護者に対しても災害に関する情報を提供し、幼児児童生徒等を引渡さず、保護者とともに学校にとどまることや避難行動を促すなどの対応も考える必要がある。

 

<具体的な方策>

○ 国は、東日本大震災を踏まえて国において作成するマニュアル作成の手引き等を活用し、各学校設置者に対し速やかに、全ての学校において危険等発生時対処要領(危機管理マニュアル)を作成するよう促す。

 

○ 国は、学校や学校の設置者に対し、作成した危険等発生時対処要領(危機管理マニュアル)の適時の見直しを求めていくとともに、それを促進するために、外部の有識者等から適切な助言を受け、チェックできる体制を整えられるよう都道府県単位で支援を行う。

 

4.家庭、地域社会との連携を図った学校安全の推進

(1)地域社会との連携推進

<課題と方向性>

○ 学校外はもとより、学校内も含めて幼児児童生徒等の安全を確保するためには、学校、家庭及び自治会、商店街組織、大学生など多様な層からなる地域のボランティアが協力して幼児児童生徒等を守るための活動を行う。学校においては、防犯を含む生活安全、交通安全、災害安全などに関して専門的知識を有し、活動を行っている関係機関や団体、民間事業者(交通安全教育に関する教習所など)と連携して、安全のためのより効果的な取組を進めていく必要がある。

 

○ 学校においては、地域との連携を進める上で、防災担当部局や気象台、警察などとの連携が必要である。それにより、例えば体験型の安全教育をより充実させることができるなどの効果がある。

 

○ 公立学校は地方公共団体との情報ネットワークが機能しているが、私立学校や国立学校には情報が入らないこともあるとの指摘がある。各学校においては改めて地域との連携をとりながら、情報ネットワークの多層的な在り方について考えていく必要がある。

 

○ 校区における防犯や防災などの地図の作成等を通し、学校・家庭・地域が、危険な箇所についての認識を共有することを一体となって考えておくことが重要である。

 

○ 阪神・淡路大震災では、普段から地域住民と連携している学校においては、避難所としての運営が円滑に行われたという事例がある。今回の震災においても、学校支援地域本部が設置されている学校では、避難所となった際に混乱が生じなかったという調査結果がある。防災教育では、地域の絆づくりという視点が必要である。

 

○ 安全教育は、学校だけが行うのではなく、保護者や地域の意識も高めて行うことが必要である。各学校においては、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)や学校支援地域本部等の取組を進め、安全教育について、保護者や地域住民と連携して検討をするという視点が重要である。

 

○ また、幼児児童生徒等の安全確保において、例えば、学校を拠点とする総合型地域スポーツクラブとの連携・協働を進めることは重要な視点である。

 

○ 学校の防災訓練に地域の方々の協力を得るだけでなく、地域の一員として児童生徒等が防災訓練に参画して、発達の段階に応じた役割を体験的に学んでいくことによって、大人になった時にその地域を守っていくことにつながっていくことが期待できる。

 

○ 登下校時における安全確保の観点からは、学校において地域と連携して緊急時に幼児児童生徒等が駆け込める場所を増やし、表示することで、緊急時の安全確保だけでなく、防犯に熱心な地域であることが示されることとなり、犯罪の抑止にもつながる。

 

<具体的な方策>

○ 国は、地方公共団体において、学校と警察などの関係機関、団体との意見交換等の場(学校警察連絡協議会、地域学校安全委員会等)が設定されるよう促していく。

 

○ 国は、学校における安全活動や学校外における見守り活動を行う地域のボランティアに最新の警備情報、不審者を発見した場合の具体的な対応方法など専門的な指導を行うため、スクールガード・リーダーを活用した保護者や地域のボランティアの養成・研修を促進する。

   ※スクールガード・リーダー:約1,770名(平成23年8月現在)

 

○ 国は、科学警察研究所などの研究成果など最新の知見を積極的に取り入れ、見守り活動など学校と地域が連携した安全確保の取組に必要な情報提供を行う。

 

○ 学校や学校の設置者においては、必要に応じ道路管理者、警察等と共同して、交通安全、防犯、防災等の観点から通学路を定期的に点検し、その結果に応じて適切な措置を採るよう促す。(再掲)

 

○ 学校及び学校の設置者においては、警察、道路管理者等の関係機関の協力を得て、自動車道等の通学路の交通安全施設等の重点的な整備、幼稚園及び小学校を中心に周囲500メートルを範囲とするスクール・ゾーン(特に子どもの交通安全の確保を図る特定地域)の設定及び定着化を促す。

 

○ 国は、各地域の特性に応じた体験的な防災教育を推進するため、学校等を避難所と想定した生活体験等の防災教育プログラムを地域住民や保護者の協力を得て実践する防災キャンプの実施と成果の普及に努める。(再掲)

 

(2)家庭との連携強化

<課題と方向性>

○ 児童生徒等は生活時間の3割程度しか学校におらず、それ以外は社会、家庭で過ごしている。そのため、学校だけでなく、社会や家庭での安全指導が重要である。特に、家庭における安全対策は重要である。

 

○ 交通安全教育については、まず大人が交通ルールを遵守することが重要である。また、学校だけで交通安全教育の全てを行うという考え方を改め、家庭や地域、保護者も含めて交通安全教育に関わっていくことが必要である。例えば、自転車の安全点検などは、自転車を購入した家庭で行うべきであり、そのため保護者など大人への啓発活動が必要である。

 

○ 自転車事故により中学生や高校生が加害者になるということが課題となっており、このような点からも家庭と連携して、安全教育を充実させていくことが重要である。また、機会をとらえて、保護者等に対する各種保険制度の周知が図られることが望まれる。

 

○ ほとんどの保護者は、学校の安全計画等、安全教育の情報を把握していない。学校で行っている情報を保護者が得て、それを地域に活用していくことが重要である。そのため、学校は、保護者が来校する機会等を捉えて、学校の安全計画等を周知する必要がある。

 

<具体的な方策>

○ 国は、学校における安全活動や学校外における見守り活動を行う地域のボランティアに最新の警備情報、不審者を発見した場合の具体的な対応方法など専門的な指導を行うため、スクールガード・リーダーを活用し、保護者や地域のボランティアの養成・研修を促進する。(再掲)

 

○ 学校及び学校の設置者においては、学校安全に関する取組の情報を共有し、PTA等の協力を得ながら、家庭と連携した安全対策について必要な方策を検討し、実施することが期待される。

 

3. 方策の効果的な推進に必要な事項

 1.国における推進体制の整備

<課題と方向性>

○ 文部科学省をはじめ関係各省が連携しながら取組を進めていくべきである。

 

○ 学校安全については、次代を担う幼児児童生徒等が一定の水準の指導を受けることができるようにすることが必要であり、国においても地方における取組が進むよう努めることが重要である。

 

<具体的な方策>

○ 学校安全に関する施策を効果的に推進していくため、国は、関係府省庁間相互の密接な連携を図るとともに、関係機関、地方公共団体、民間団体等との連携をさらに深め、方策の効果的な推進を図る。

 

○ 国は、関係機関等の活動の円滑化を図るため、学校の安全を推進するための関連情報を広く収集・提供するよう努める。

 

○ 国は、学校安全の担当者会議などを活用し、国と地方との役割に留意しつつ、国の施策について十分な理解が図られるよう努める。

 

○ 国においては、安全教育を担当する部署の充実に努める。

 

2.地方公共団体における推進体制の整備

<課題と方向性>

○ 地方公共団体は、地域と連携しながら学校安全の取組を進めていく上で、防災や地域の生活安全を担当する部局等と教育委員会が積極的に連携をとるほか、市町村や都道府県の枠組みを超えた連携が望まれる。

 

<具体的な方策>

○ 地方公共団体は、公立学校について設置者として責任を持つとともに、私立学校、国立学校の設置者との間においても連携を進め、地域における学校の安全対策の充実を図ることが重要である。また、個々の学校においては、私立学校が私立学校同士のネットワークをつくり、防災対策などを検討している例がある。地元地方公共団体との連携や公立学校との連携も更に進めていくことが望まれる。

 

○ 地方公共団体は、安全教育を担当する部署を明確にするため検討することが期待される。

 

お問合せ先

スポーツ・青少年局学校健康教育課

(スポーツ・青少年局学校健康教育課)

-- 登録:平成24年04月 --