ここからサイトの主なメニューです

資料7 日本体育系大学学長学部長会 資料2

中央教育審議会スポーツ・青少年分科会 スポーツの推進に関する特別委員会 資料7-2
(平成23年10月18日、場所:文部科学省)

(補足資料)スポーツ基本計画策定への提案:主として大学の諸機能の利活用について

 全国体育系大学学長・学部長会
阿江 通良(筑波大学体育専門学群長、教授)
白坂 研(事務局、日本女子体育大学)

 今回の特別委員会のヒアリングでは、わが国におけるスポーツの推進に資すると考えられる体育・スポーツ系大学を中心とした大学の諸機能の利活用に着目して提案を行う。

1.スポーツ基本法の規定との関連から

1.第十一条(指導者等の養成)に関連して

(1)スポーツ指導者の国家資格あるいは準国家資格の制定

  • すべての国民が等しくスポーツからの果実を享受するためには、一定レベル以上の能力を有するスポーツ指導者が不可欠である。全国体育系大学学長・学部長会では、体育系大学の教育の質を高め、卒業者の能力を保証するために、現在「体育・スポーツ・健康分野参照基準」の策定に取り組んでいる(資料7-4、体育・スポーツ学分野における教育の質保証に関する報告会、12月17日、東海大学校友会館)。
  • 今後、体育系学部や大学院で体系的に学び、所定の資格試験等に合格した者を認定し、指導者の質の向上を図るべきである。指導者資格には、トップアスリートのナショナルコーチ資格から地域スポーツ指導者資格まで複数の段階を設ける。

(2)再入学、編入学、再教育システムの整備

  • 日本を代表する選手等が現役引退後、すぐれた指導者となるために体育系大学の学部や大学院で体系的に学べる機会を提供し、そのシステムを整備する必要がある。

2.第十二条(スポーツ施設の整備等)、第十三条(学校施設の利用)、第十四条(スポーツ事故の防止等)、第十七条(学校における体育の充実)に関連して

(1)スポーツ施設認定制度の導入

  • 大学および学校の体育・スポーツ施設に関して基準を設け、基準を満たしたもの、あるいは補助を行って基準を満たしたものを認定する制度を導入する。

(2)教員の担当分担制の導入

  • これまでに問題が多いとの指摘がある学校のスポーツ施設の開放を推進するため、体育教員の増員あるいは資格試験に合格したスポーツ指導員(コーディネーターあるいはマネージャー)の配置が必要である。その際、教科体育(体育授業)を中心に担当する教員(担当1)と運動部あるいは地域スポーツの指導(施設の運営を含む)を中心に担当する教員(担当2)に分け、数年ごとに半舷上陸的に担当を換え、マンネリ化を防ぐと共に、教員としての質とスポーツ指導者としての質の向上をはかる。

(3)学校における体育の充実:小学校体育専科の導入、教員の指導力向上

  • 体育という用語には、専門的には、狭義(体育教育)と広義(スポーツを含む各種の身体活動により人生を豊かにしたり、身心の健康や人間の能力の維持、向上を図る現象、スポーツ基本法の前文や基本理念に近い)の意味がある。
  • 学校における体育は、広義の内容を踏まえながら、各種の身体活動を通しての教育でなければならない。これまで、ヨーロッパ諸国では、スポーツが主流であったが、EUになってから貧富の差が拡大し、スポーツに参加できるものとそうでないもの、特に子どもの健康、体力の低下が生じているとの指摘があり、学校の体育や身体活動の重要性が見直されている。わが国の学校体育は欧米に比して、質・量ともに充実していたが、最近では授業時間と内容の削減、指導者の指導力低下などがみられ、十分な目的を達成できなくなっている(体力だけでなく、Movement-ABCなどのスコアが低下しているとの指摘)。
  • 学校において人間としての基礎的な動きを習得し、個々の子どもの特性に応じてそれぞれがスポーツに親しみ、運動・スポーツ習慣を身につけることは、スポーツが教養の1つになっていく今後10年間を考えると、地域スポーツの推進に大きく貢献すると考えられる。
  • 学校における体育の充実のために、小学校に体育専科の導入、教員の指導力向上(特に、小学校教員養成課程における体育に関する科目の充実)が不可欠である。

(4)大学体育の充実:体育・スポーツの教養教育の再構築・再導入

  • スポーツ基本法では、大学におけるスポーツを含む体育、いわゆる大学体育についてはほとんど言及されていない。しかし、小学校から大学まで正課として体育授業が行われているのはわが国だけであり、このことは日本人の器用な動きの基礎を作り、スポーツへの興味・関心を持たせ、健康に関する高い意識などの基礎を形成するのに役立ってきており、非常に意義深いことである。下記の理由から地域スポーツの推進および競技スポーツの推進のためにも、日本学術会議の提言「21世紀の教養と教養教育」報告書(平成22年4月5日)で言及されている教養教育としての大学体育は重要である。そのためには、大学院修了者で指導者資格を有する教員が担当する体育・スポーツの教養教育ユニットあるいは室の設置を推進するか、義務づける必要がある。
  1. 人材育成(教育)、健康増進、競技力向上の観点から日本のスポーツにとって不可欠である。
  2. 多くの学生にとっては、身心の健康や体力の保持増進のためにスポーツを効果的に活用し、その価値を享受するための知識や能力を身につける最後の教育機会である。
  3. 大学体育の充実に不可欠な体育・スポーツ施設は地域スポーツおよび競技スポーツの推進のための貴重な施設である。
  4. 教養教育を担当する教員は、高度かつ優秀なスポーツ指導者の宝庫である。
  5. 次世代の指導的立場に立てるエリートアスリートの養成の場である。
  6. 世界的には、大学を拠点としたトレーニングサイトが多くなっている。これは、選手のセカンドキャリア、さらにはデュアルキャリアを考慮した、高度なトレーニングと高等教育が両立できる環境を大学に求めていることを意味する。

3.第十六条(スポーツに関する科学的研究の推進)、第十八条(スポーツ産業との連携等)、第十九条(国際的な交流と貢献)に関連して

(1)Sport Promotion College/Universityプログラムの導入

  • 体育・スポーツに関する大学の諸機能をスポーツの推進により貢献できるように強化するためには、スポーツ版のCOE プログラムに相当するSport Promotion College/University(SPC)プログラム(原則として公募)を導入し、大学の状況に応じて国が補助する必要がある。対象は総合型SPC(スポーツ科学研究、指導者養成、地域スポーツおよび競技スポーツの推進の拠点)、地域スポーツ型SPC、競技スポーツ型SPCなどである。

(2)スポーツコンサルテーション拠点の設置

  • スポーツ基本法が契機となって、人文社会系、自然科学系(含スポーツ医学)、実践系にわたる広いスポーツ科学の各分野で研究活動が活発に行われるようになると予想されるが、基準を満たした大学にスポーツコンサルテーション機能を持たせるか、拠点としてスポーツに関わる最新の情報や知識を発信させる。また各拠点の活動や得られた情報や知識は、スポーツ・体育庁(仮称)に設置した部門(スポーツ情報部門、仮称)が統括し、スポーツに関する施策に反映させる。

(3)スポーツ産官学連携リエゾンの設置

  • スポーツ産業の事業者との連携等については、チームニッポン「マルチサポート」事業(B)研究開発(幹事校:筑波大学)の実施状況から考えると、まず競技スポーツを対象に実施し、その成果を学校体育や地域スポーツに適用していくことが望ましい(自動車技術開発におけるF1と一般車の関係に類似)。

(4)スポーツによる国際貢献政策の推進

  • 大学を拠点としてアジア諸国や多くの開発途上国に対して、体育・スポーツ(ユネスコでいうPhysical Education and Sports)を通じた国際貢献政策を推進すべきである。

4.第二節、特に第二十一条(地域スポーツの振興の支援)に関連して

(1)スポーツ施設認定制度の導入

   前掲2.(1)

(2)大学の地域スポーツクラブ化

  • 大学は、適切な補助を加えることにより、スポーツ施設、指導や管理運営の人材を備えることが可能であり、学生競技者やトップレベルの競技者と地域の人々との交流も行えるハード・ソフト両面で地域スポーツクラブ(総合型から中・小型まで)の基になり得る。さらに、多くの大学では障害者への対応も可能である。

5.第三節(競技水準の向上等)、特に第二十五条(優秀なスポーツ選手の育成)、第二十八条(企業、大学等によるスポーツへの支援)

(1)第3のナショナルトレーニングセンター化

  • 4.でも述べたように、大学は、適切な補助を加えることにより、スポーツ施設、指導者、トレーニングパートナーが完備でき、さらに最近のスポーツ科学による研究開発等の成果をトレーニングに応用できる基盤が形成できる。また、拠点となる当該大学の学生に加え、周辺の教育機関(小中高校、専門学校、大学)と連携することによって、その生徒・学生に整ったトレーニング環境(施設、指導者、プログラムなど)を提供できるので、既設の中核ナショナルトレーニングセンター(NTC、東京)、各地のNTC競技別強化拠点に次ぐ第3のNTC(長期合宿しながら、単位取得もできるNTC)となり得る。

(2)学生競技者支援制度(仮称)の導入

  • 大学でトレーニングする学生競技者を物心両面でサポートする学生競技者支援制度(仮称)を導入する(経費については国、競技団体、企業、大学で分担)。条件を満たす支援企業については、法人税などで優遇措置を設けることにより、企業の支援を促進する。

(3)デュアルキャリア制度の導入

  • セカンドキャリア制度も整備する必要があるが、それ以上にこれからはデュアルキャリア制度(整った環境でトレーニングをすれば、学業とスポーツの両立は可能であり、このことにより真のスポーツによる人材育成が可能となる)を導入し、将来の職業的基盤を作りながら、競技者として活動するような制度(Japan Student-Athlete Program、仮称)を準備すべきである。例としては、イギリスのTASS(Talented Athlete Scholarship Scheme)がある。

6.Sport Promotion College/University(SPC)プログラム(スポーツ版のCOE)の導入

 前掲(3.(1))したとおりであるが、大学の諸機能を強化し、スポーツの推進に有効に利活用するためには、大学の高度研究拠点化プログラム(COEプログラム)、大学の国際化を推進するグローバル30、大学院教育を強化するリーディング大学院プログラムと同様のスポーツの推進拠点化プログラムが必要である。

お問合せ先

スポーツ・青少年局スポーツ・青少年企画課

(スポーツ・青少年局スポーツ・青少年企画課)

-- 登録:平成23年11月 --