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スポーツ振興に関する特別委員会(平成19年~21年)(第12回) 議事要旨

1.日時

平成20年7月31日(木曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省庁舎3階 2特別会議室

3.議題

  1. スポーツを文化として定着させるために
  2. その他

4.出席者

委員

永島委員長、岡島委員、加藤委員、平野委員、笠原委員、中川委員、上村委員、北村委員、宮嶋委員、勝田委員、黒須委員、内藤委員、原田委員、三木委員、佐々木委員、中村委員

文部科学省

尾﨑大臣官房審議官、野家スポーツ・青少年総括官、鬼澤企画・体育課長、坂元生涯スポーツ課長、芦立競技スポーツ課長

5.議事要旨

(1)黒須委員より、「スポーツを文化として定着させるために~地域に根ざしたスポーツの振興という観点から~」について説明が行われた後、以下のとおり、質疑応答・意見交換が行われた。

○:委員 ●:黒須委員 

[質疑応答・意見交換]

○:広域スポーツセンターを中心に総合型地域スポーツクラブの運用がうまくいっている都道府県と、そうでないところの違いはどこにあると考えるか。

 また、総合型地域スポーツクラブの本来の目的は行政主導型から住民主導型に移行することだと思うが、民間企業が総合型地域スポーツクラブに移行するケースについてはどのように考えるか。

●:総合型地域スポーツクラブについては、積極的な市町村と消極的な市町村の二極化が進んでいる。消極的な市町村は、財政難や人材不足等できない理由を羅列することに終始する傾向がある。一方、積極的な市町村は、財政難や人材不足をマイナス要因として捉えるのではなくチャンスと捉える傾向がある。

 また、うまくいっている富山県では、クラブをつくるということだけではなく、できたクラブをいかに自立させるかというビジョンを明確に描き運営しており、現在18クラブが法人格を取得して、11クラブが指定管理者制度を活用している。

 一方、兵庫県は108億円をかけて831のクラブをつくったが、つくることが目的となってしまい、どう育てて発展させるかについてはビジョンを有していなかったため、衰退していくクラブが多く見受けられる。総合型地域スポーツクラブとは、多種目、多世代ということのみならず、地域の中で自立して運営していく組織であるということが十分に理解されていない。

 次に民間企業と総合型地域スポーツクラブの関係については、例えばコナミやカワイ等の民間企業が関与して、地域の人たちがより多くのスポーツに楽しめるクラブをつくっているという良いケースもある。但し、このような場合、住民が自主的に運営をすることなく、サービスの受け手で終わってしまうという問題がある。クラブの本来の目標は、住民が自主的に地域のコミュニティを作る点にある。企業とクラブがコラボレーションを行う際、地域住民をいかに主体的に関与させるかが課題である。

○:総合型地域スポーツクラブが誕生してまだ10年にも満たない段階では、何が起こっても、建設的に考えて育てていくという姿勢が重要である。会費のみならず、自主事業により財政基盤を築くクラブが多くなっており、今後クラブ間で事業権益の争いが起こると考えている。

●:クラブが誰でもスポーツに親しめる公益性のある組織として運営されるためには、家族全員で入っても無理のない金額に会費を抑える必要がある。このため、まずは、寄附文化が進んでいるアメリカや、全てのクラブが法人格を取得しているドイツを参考にしながら、スポーツを誰もが身近に楽しめる文化財として明確に位置づける必要がある。その上で、総合型地域スポーツクラブが経営感覚を生かしながらニーズを開拓し、規模の大小に関わらず、地域の中でいかに存在意義を出していくかが重要である。

○:成功しているクラブにおいて、小・中・高等学校と継続して活動を続ける子どもの確率はどれぐらいあるのか。またどれぐらいあれば良いと考えるか。

●:我が国の中・高校生会員が総合型地域スポーツクラブの会員を占める割合は低く、小学生の低学年や年配の方が中心となっているのが実情である。日本中学校体育連盟(中体連)や全国高等学校体育連盟(高体連)が主催する大会には、これらの連盟に加盟する学校のみ出場が認められおり、最近は柔軟な対応も一部見られるが、クラブに所属していてはこれらの大会に出場することが難しいことが理由としてあげられる。

 総合型地域スポーツクラブが、長期的にスポーツ好きな方を増やすという役目を果たしていくためには、基盤のしっかりした偏らない組織が必要であり、中・高校生会員が少ない今の組織編成を改善する必要がある。

○:日本体育協会が認定しているクラブマネージャーの資格と総合型地域スポーツクラブの関係についてお伺いしたい。

 また外国では、クラブが借用している施設を買い取り、自前の施設として所有するケースがあると聞く。我が国でも、クラブのメンバーが自力で資金を出し合い施設を買い取るというビジネスモデルは定着するか。

 ●:総合型地域スポーツクラブにおいても専任スタッフを雇用する動きは出ており、クラブマネージャーの有資格者が活躍する機会も増加していると思われる。ただ、同時に十分措置が得られず、ワーキングプアの問題も看過できない。いかに一つの職業としてこのクラブマネージャーを位置づけるかはこれからの課題である。

 次に国内でクラブのメンバーが施設を買い取る動きについては、日本は地価が高く、一般的に総合型地域スポーツクラブはソフトボールやバレーボール、バスケットなどのスポーツに広いスペースが必要になることなどから広がっていない。ただ、校庭の芝生化やその維持管理を通じて、メンバーの交流を図るクラブや企業の遊休施設を利用するなど、自主的に様々なアイデアを持って取組をしているクラブもある。

○:大都市のスポーツクラブは閉鎖的なところが多く、地域交流の場、子どもを元気に育てる場といった考え方がなかなか浸透しない。総合型地域スポーツクラブ自体が魅力的であれば、そういったスポーツクラブの関心を集めることが出来ると思うが、課題や成功例を教えていただきたい。

●:まず課題の一つとして、自治体において、地区の体育協会や競技団体、体育指導員協議会などの既存団体と総合型地域スポーツクラブの役割分担の整理が出来ておらず、それぞれが個別に活動していることがあげられる。今後は既存の団体も住民の視点に立ち、地域のスポーツをつくり直す、再生するという考えを持つことが必要。また、自治体や住民も意識改革を行い、一部の人のみならずすべての人々にとってスポーツはかけがえのないものであり、すべての人々にスポーツを提供するためには現在の仕組みを変更する必要があるという意識を持つことが重要である。

○:4月から小規模な総合型地域スポーツクラブを運営しているが、長く続けていくために、面白い・楽しいと思ってやらなければならないし、人数も増やさなければならないので、スポーツ少年団や遊びのクラブに入会している約100人の子どもとその家族を半強制的に登録させることにした。施設については、学校が非常に協力的で、体育館や図書館を開放してくれている。文部科学省には、長い目でクラブの魅力や運営を見て頂きたいと思う。

●:現在は少子化の影響により、学校部活動やスポーツ少年団の中で実施しているスポーツ種目が少なくなってきているが、総合型地域スポーツクラブは複数の種目から自由にスポーツを選択できる点で魅力的である。

 また、総合型地域スポーツクラブは学校スポーツや競技スポーツ以外のスポーツを行う場と受け止められてしまっているが、0歳から100歳までのスポーツ振興に取り組むのが総合型地域スポーツクラブであり、あまり棲み分けを考えると受け入れられないのではないか、トータルに見直すことが必要である。競技スポーツのヒーロー(地元のヒーロー)を生み出すことも視野に入れて活動を行っていくことが必要である。

○:総合型地域スポーツクラブの中でも、それぞれの地域に根ざした文化をうまく取り入れているところは成功している。例えば川のある地域でカヌーを教えたり、寒冷地でスケートを教えるなどの好例がある。

 また、集える場所をいかにうまくつくるか、といった視点も重要である。現在、校庭の芝生化が進んでいるが、クラブも芝生化が進んでおり、そこに行くだけで気持ちが良いという場所が増えてきている。公共性に着目し、行政がサポートしていくことが必要である。

●:文化としてのスポーツという議題で議論しているが、そもそも文化とは、人がつくって人がつないでいくものであり、文化の一旦を担うスポーツも人と人をつなぐメディア性を有している。さまざまな知識、経験、ノウハウ、人脈を持った人が、スポーツをきっかけにネットワークをつくることで、住民サービスの目玉になるのではないか。

○:地域住民の視点に立って、特に新参者にクラブの存在を知ってもらうためには、総合型地域スポーツクラブとは何かについて広報活動を行うことが重要である。

●:総合型地域スポーツクラブは、何百万円もかけて新聞広告を行う財政力は持ち合わせていない。したがって、イベントを行うときは地元の新聞社やテレビ局に魅力あるプレスリリースを行い、取材をしてもらうことが必要である。クラブによっては、独自にFM局や有線、ケーブルテレビを持っているところもあると聞いている。

○:地域住民にとって、回覧板も非常に有効な広報手段であり、私も多用している。

○:小規模の総合型地域スポーツクラブの例として、皆瀬スポーツ・文化クラブを挙げていただいたが、これを総合型地域スポーツクラブとみなして差し支えないのか。このクラブは、皆瀬村のスポーツや文化行事をそのままそっくり引き受けているようである。

●:行政主導でこれまで行ってきた運動会や市民体育祭だが、市町村合併の影響で、旧市町村まで手が回らなくなったり、財源や人材の確保に悩むケースが増加している。皆瀬村はこのような状況を乗り越える知恵として、既存のクラブやイベント部会を総合型地域スポーツクラブの中に取り入れて引き続き実施を図ろうとするものである。未だ課題は多いと思うが、総合型スポーツクラブの一つの在り方であると考えている。但し、この場合においても、住民の帰属意識やロイヤリティーをどのように出していくかが重要である。

○:総合型地域スポーツクラブの参加者に中高生が欠落している要因は各競技団体そのものの登録方法に問題があるのではないか。ほとんどの場合、一人一チームにしか登録できない。複数のチームに登録できるようにすべきではないか。

●:少子化社会が進行する中で、子どもたちにとって最善の仕組みとは何かを考えて、競技団体の登録問題等についても考えていく必要がある。

○:総合型スポーツクラブについては、マネジメントや組織論ではなく、実施するプログラムの内容を魅力あるものにすることが重要である。また、どんな人が集まり、どんなスポーツをしているのか、ということが外部からでも分かりやすいように、実施しているプログラムの内容を体系化するなどの取組が必要である。

●:確かに総合型地域スポーツクラブは一見わかりにくい。野球やサッカーのようなオーソドックスなスポーツ、ウオーキングやヨガのような健康系のスポーツ、トレッキングなどのアウトドア系のスポーツ、ストリートダンスのようなトレンド系のスポーツ、ビーチバレーなどニュースポーツといったものまで提供している。

○:ほとんどスポーツをやっておらず、またやる機会もないといった大学生が多く、非常に危惧している。ヨーロッパのように、スポーツを文化として認めていくことは重要であるが、基本的な戦略をつくる必要があるのではないか。その場合、どうしたらみんなが楽しめるのか、どうしたら強くなれるかという2つの視点から競技団体等と協力しながら、スポーツに経営の発想を位置づける必要がある。

(2)続いて永島委員長より、「スポーツを文化として定着させるために」について総括的な説明が行われた後、以下のとおり、質疑応答・意見交換が行われた。

○:委員 ●:永島委員長

○:文化はもともと広い概念であるが、スポーツを文化として議論する際、スポーツ振興法におけるスポーツ振興基本計画の範囲以内に特化するべきか、もっと範囲を広げるべきかご教示願いたい。

●:これまでもスポーツ振興基本計画において、「スポーツは・・・人類の文化の一つ」と明記されており、本委員会における議論はこれまでの議論から外れるものではないと考える。ただ、文化としてのスポーツの範囲をどこまで広げるかという問題は、議論の中で確認していかなければならないと考える。

○:中学の学校体育において武道が必修化されるが、武道というものをどのように捉えていくか、考えていく必要がある。

○:スポーツを文化として捉えるということは、新しい価値観を広げていくということである。縦割り行政打開のためにも、今回の議論のとりまとめを幅広い省庁に呼びかけていくとよいのではないか。また、各種のマニュフェストの中に、総合型地域スポーツクラブを含めた、スポーツ振興が書き込まれるようにしていくべきと思う。

 また、社会人になると特にスポーツから離れてしまうことは、スポーツを取り巻く課題の一つである。社会人のライフスタイルを改め、ライフワークのバランスを図る観点からも議論しなければならない。

 更に、総合型スポーツクラブを発展させていくためにも、totoの収益がより地域に還元されるようなビジネスモデルや地域の努力が開花するような国体の在り方について検討を進めていくべきと考える。

○:日本ではスポーツは文化と認識されていても、文化としての処遇はされていない場合が多い。いくら文化として認められても、ある程度処遇をしていただかないと何も変わらない。日本の伝統的な武術である柔道に関しても、外国からは「日本の文化」と認められているにも関わらず、国内での表彰は少ない。

 スポーツを子どもの体力作りや健全な心身の発達に生かすためには、いつでもどこでもスポーツを体験できる場の提供と、指導者やシンボルとなる選手の処遇改善が必要である。

○:見るスポーツという観点から考えると、同じものを皆で一緒に見て、一体となって感動するスポーツは、完全に文化と言える。一方芸術は、文化の代表的なジャンルという立場に安穏しているのではないか。芸術の世界で活躍されている方も、スポーツに携わっている方のように熱い思いの方が多ければ、オリンピックのような世界規模の舞台ができるかもしれないと、逆に夢を持たせていただいた。スポーツというジャンルが文化としてしっかり位置づけられていくと、芸術の世界にとっても刺激となり、互いに良い相乗効果がもたらされるのではないか。

○:スポーツの価値や文化性を全面に打ち出し、その意義を広く伝えることがマスコミの使命だと感じている。先日ハンマー投げの室伏選手が「スポーツは心の自由な表現です」とおっしゃっていた。心の自由をいかに肉体として表現するかを研究し実践している室伏選手の姿勢はスポーツの本質を示しており、非常に共感できる。

オリンピックを通じてこのような意義を伝える責任を感じている。

○:日本のスポーツ文化を、メディア文化戦略として対外的にアピールする場合、日本にしかないスポーツ文化(例えば武道や企業スポーツ等)を発信していくことが必要である。日本オリジナルのスポーツ文化を築いていかないと、ヨーロッパなどの文化に負けてしまう。

○:人間は他の動物と異なり、「~のために」動くのみならず、運動そのものに心地よさや楽しさを感じ価値を見いだすところがあり、それが文化の核になると認識している。

(3)閉会

 次回は8月27日(水曜日)10時から文部科学省庁舎3階2特別会議室で開催を予定している旨、事務局より説明があり、閉会となった。

(了)

お問合せ先

スポーツ・青少年局 企画・体育課

(スポーツ・青少年局 企画・体育課)

-- 登録:平成22年03月 --