資料7-1 公布通知

25文科科第399号
平成25年12月13日


  各国公私立大学長
  大学を設置する各地方公共団体の長
  各公立大学法人の理事長
  大学を設置する各学校法人の理事長
  大学を設置する各学校設置会社の代表取締役
  放送大学学園理事長 殿               
  各大学共同利用機関法人機構長
  独立行政法人大学評価・学位授与機構長
  独立行政法人国立大学財務・経営センター理事長
  独立行政法人大学入試センター理事長
  文部科学省所管各研究開発法人の長
 

文部科学省科学技術・学術政策局長
土屋 定之

文部科学省生涯学習政策局長
清木 孝悦

文部科学省高等教育局長
布村 幸彦

文部科学省研究振興局長
吉田 大輔

文部科学省研究開発局長
田中 敏

 

研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律の公布について(通知)

  このたび、第185回国会(臨時会)において成立した「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律」(平成25年法律第99号。以下「改正法」という。)が、平成25年12月13日に公布され、労働契約法の特例、労働契約法の特例に関する経過措置及び研究開発法人の出資等の業務に係る規定については平成26年4月1日から、その他の規定については公布の日から、それぞれ施行されることとなりました。
  今回の改正は、研究開発システムの改革を引き続き推進することにより研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進を図るため、研究開発法人、大学等の研究者等について労働契約法の特例を定めるとともに、我が国及び国民の安全に係る研究開発等に対して必要な資源の配分を行うことの明確化、研究開発法人に対する出資等の業務の追加、研究開発等を行う法人に関する新たな制度の創設に関する規定の整備等を行うものです。
  改正の概要及び留意事項等は下記のとおりですので、十分御理解の上、適切な運用に遺漏のないようお取り計らい願います。
  なお、改正法に関しては、衆議院文部科学委員会において附帯決議が付されております。 


第一 改正法の趣旨

     改正法は、研究開発システムの改革を引き続き推進することにより研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進を図るため、研究開発法人、大学等の研究者等について労働契約法の特例を定めるとともに、我が国及び国民の安全に係る研究開発等に対して必要な資源の配分を行うことの明確化、研究開発法人に対する出資等の業務の追加、研究開発等を行う法人に関する新たな制度の創設に関する規定の整備等を行うものであること。

第二 改正の概要

 一 研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律(平成20年法律第63号)の一部改正関係
  1 人材の確保等の支援
    国は、研究開発等に係る企画立案、資金の確保並びに知的財産権の取得及び活用その他の研究開発等に係る運営及び管理に係る業務(2において「運営管理に係る業務」という。)に関し、専門的な知識及び能力を有する人材の確保その他の取組を支援するために必要な施策を講ずるとともに、イノベーションの創出に必要な能力を有する人材の育成を支援するために必要な施策を講ずるものとしたこと。(第10条の2及び第10条の3関係)
   2 労働契約法の特例
   (1)以下の○1から○4までに掲げる者がそれぞれの期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)を期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)に転換させるための申込みを行うために2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間(以下「通算契約期間」という。)が5年を超えることが必要とされていることについて労働契約法の特例を定め、10年を超えることが必要であるとしたこと。(第15条の2第1項関係)
        ○1科学技術に関する研究者又は技術者であって研究開発法人又は大学等を設置する者との間で有期労働契約を締結したもの
        ○2研究開発等に係る運営管理に係る業務(専門的な知識及び能力を必要とするものに限る。○4において同じ。)に従事する者であって研究開発法人又は大学等を設置する者との間で有期労働契約を締結したもの
        ○3試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者が試験研究機関等、研究開発法人又は大学等との契約によりこれらと共同して行う研究開発等(○4において「共同研究開発等」という。)の業務に専ら従事する科学技術に関する研究者又は技術者であって当該試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者との間で有期労働契約を締結したもの
        ○4共同研究開発等に係る運営管理に係る業務に専ら従事する者であって当該共同研究開発等を行う試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者との間で有期労働契約を締結したもの。
    (2)(1)における科学技術には、人文科学のみに係る科学技術を含むこととしたこと。(第2条第1項、第7項関係)
    (3)(1)の○1及び○2の対象となる者(大学の学生である者を除く。)のうち大学に在学している間に研究開発法人又は大学等を設置する者との間で有期労働契約(当該有期労働契約の期間のうちに大学に在学している期間を含むものに限る。)を締結していた者については、当該大学に在学している期間は、通算契約期間に算入しないこととしたこと。(第15条の2第2項関係)
   3   我が国及び国民の安全に係る研究開発等に対する必要な資源の配分等
        国は、我が国及び国民の安全に係る研究開発等並びに成果を収めることが困難であっても成果の実用化により極めて重要なイノベーションの創出をもたらす可能性のある革新的な研究開発に必要な資源の配分を行うものとし、我が国及び国民の安全の基盤をなす科学技術については、当該科学技術の振興に必要な資源の安定的な配分を行うよう配慮しなければならないこととしたこと。(第28条関係)  
   4   迅速かつ効果的な物品及び役務の調達
     国は、研究開発法人及び大学等が研究開発等の特性を踏まえて迅速かつ効果的に物品及び役務の調達を行うことができるよう必要な措置を講ずるものとしたこと。(第32条の2関係)
   5   研究開発等の適切な評価等
     国は、国の資金により行われる研究開発等について、国際的な水準を踏まえるとともに、新規性の程度、革新性の程度等を踏まえて適切な評価を行い、その結果を研究開発等の推進の在り方に反映させるものとし、研究開発等の評価に関する高度な能力を有する人材の確保その他の取組を支援するために必要な施策を講ずるものとしたこと。(第34条第1項、第2項関係)
   6   研究開発法人による出資等の業務
     研究開発法人のうち、実用化及びこれによるイノベーションの創出を図ることが特に必要な研究開発の成果を保有するもの(独立行政法人科学技術振興機構、独立行政法人産業技術総合研究所、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、個別法の定めるところにより、当該研究開発法人の研究開発の成果を事業活動において活用しようとする者に対する出資並びに人的及び技術的援助の業務を行うことができることとしたこと。(第43条の2及び別表第2関係)
   7   研究開発等を行う法人に関する新たな制度の創設
   (1)政府は、独立行政法人の制度及び組織の見直しの状況を踏まえつつ、研究開発等を行う法人が世界最高水準の研究開発等を行って最大の成果を創出するための運営を行うことを可能とする新たな制度を創設するため、必要な法制上の措置を速やかに講ずるものとしたこと。(第49条第1項関係)
   (2)同制度においては、研究者、技術者等の給与水準の見直し、業務運営の効率化に関する目標の在り方の見直し、物品及び役務の調達に関する契約等に係る仕組みの改善、自己収入に係る仕組みの見直し、経費の繰越しに係る仕組みの柔軟化等が実現される仕組みとすることとしたこと。(第49条第2項関係)

 二 大学の教員等の任期に関する法律(平成9年法律第82号)の一部改正関係
  (1)大学の教員等がその有期労働契約を無期労働契約に転換させるための申込みを行うために通算契約期間が5年を超えることが必要とされていることについて労働契約法の特例を定め、10年を超えることが必要であるとしたこと。(第7条第1項関係)
  (2)大学の教員等のうち、大学に在学している間に国立大学法人、公立大学法人若しくは学校法人又は大学共同利用機関法人等との間で有期労働契約(当該有期労働契約の期間のうちに大学に在学している期間を含むものに限る。)を締結していた者については、当該大学に在学している期間は、通算契約期間に算入しないこととしたこと。(第7条第2項関係)

 三 改正法附則関係
    1 施行期日
     改正法は、公布の日から施行することとしたこと。ただし、一の2及び6、二並びに三の3及び4については、平成26年4月1日(以下「改正法一部施行日」という。)から施行することとしたこと。(附則第1条関係)
    2 検討
  (1)国は、改正法による改正後の研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律(以下「改正強化法」という。)及び改正後の大学の教員等の任期に関する法律(以下「改正任期法」という。)の施行状況等を勘案して、一の2の(1)の①から④までに掲げる者及び二(1)の教員等の雇用の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしたこと。また、一の2の(1)の○3及び○4に掲げる者についての特例は、事業者において雇用される者のうち、研究開発能力の強化等の観点から特に限定して設けられたものであり、国は、その雇用の在り方について、期間の定めのない雇用形態を希望する者等がいることも踏まえ、研究者等の雇用の安定が図られることが研究環境の早期の改善に資するという観点から、研究者等が相互に競争しながら能力の向上を図ることの重要性にも十分配慮しつつ、検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしたこと。(附則第2条第1項、第2項関係)
  (2)国は、研究開発法人の業務の実施状況等を勘案し、研究開発法人が一の6による出資並びに人的及び技術的援助の業務を行うことの適否について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしたこと。また、政府は、関係機関等が連携協力することが研究開発の成果の実用化及びこれによるイノベーションの創出に重要であることに鑑み、関係省庁相互間その他関係機関及び民間団体等の間の連携協力体制の整備について速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしたこと。(附則第3条第1項、第2項関係)
    3 経過措置
  (1)一の2の(1)の○1から○4に掲げる者及び二の(1)の教員等のうち、改正法による労働契約法の特例の施行日である平成26年4月1日より前に、通算契約期間が5年を超えることになったものについては、従前の例により、無期転換の申込みが可能であることとしたこと。(附則第4条第1項及び第5条第1項関係)
  (2)一の2の(3)及び二の(2)の規定は、有期労働契約(当該有期労働契約の期間のうちに大学に在学している期間を含むものに限る。)であって、労働契約法の一部を改正する法律(平成24年法律第56号。以下「平成24年改正労働契約法」という。)附則第1項ただし書に規定する規定の施行の日(平成25年4月1日)から改正法一部施行日の前日(平成26年3月31日)までの間の日を契約期間の初日とするものに係る当該大学に在学している期間についても適用することとしたこと。(附則第4条第2項及び第5条第2項)
  4 独立行政法人科学技術振興機構法の一部改正等
      独立行政法人科学技術振興機構法の一部を改正し、独立行政法人科学技術振興機構の業務に改正強化法第43条の2の規定による出資並びに人的及び技術的援助を行うことを追加するとともに、独立行政法人産業技術総合研究所法の一部及び独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正し、独立行政法人産業技術総合研究所及び独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の業務に改正強化法第43条の2の規定による出資(金銭の出資を除く。)並びに人的及び技術的支援を行うことを追加することとしたこと。(附則第6条、第7条及び第8条関係)

第三 留意事項

 1 改正強化法第15条の2による労働契約法の特例の対象者は、研究者、技術者等とされており、同条による労働契約法の特例の対象者と有期労働契約を締結する場合には、相手方が同条に基づく特例の対象者となる旨等を書面により明示し、その内容を説明すること等により、相手方がその旨を予め適切に了知できるようにするなど、適切に運用する必要があること。また、改正強化法第15条の2第1項第3号及び第4号に掲げる者についての特例は、事業者において雇用される者のうち、研究開発能力の強化等の観点から特に限定して設けられたものであり、共同研究等に「専ら従事する者」に限定されているものであること。  
 2 改正任期法第7条の適用対象である「教員等」とは、教育研究の分野を問わず、また、常勤・非常勤の別にかかわらず、国立大学法人、公立大学法人及び学校法人の設置する大学(短期大学を含む。)の教員(教授、准教授、助教、講師及び助手)、大学共同利用機関法人、独立行政法人大学評価・学位授与機構、独立行政法人国立大学財務・経営センター及び独立行政法人大学入試センターの職員のうち専ら研究又は教育に従事する者であること。
     なお、労働契約法第22条の規定により地方公務員は同法の適用除外となっていることから、地方公務員の身分を有する公立大学法人化されていない公立大学の教員等は、そもそも労働契約法の適用対象となっておらず、本条の適用対象とはならないこと。     
  3 各大学等において、改正任期法第7条に定める労働契約法第18条第1項の規定の特例を適用するに当たっては、「大学の教員等の任期に関する法律」(平成9年法律第82号)(以下「任期法」という。)第5条第1項の規定に基づき、同法第4条第1項各号のいずれかに該当することが必要であるとともに、同法第5条第2項の規定に基づき、あらかじめ当該大学に係る教員の任期に関する規則を定めるなど、適切に運用する必要があること。
   4 国立大学法人、公立大学法人若しくは学校法人又は大学共同利用機関法人等は、今回の改正法に係る就業規則及び任期に関する規則等の制定又は改正等を行うに当たっては、労働関係法令及び任期法の規定に従って、適切に実施すること。 
  5 労働契約法第18条は、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し労働者の雇用の安定を図る趣旨で設けられた規定であり、改正強化法第15条の2及び改正任期法第7条は当該規定について研究開発能力の強化及び教育研究の活性化等の観点から通算契約期間の特例を定めたものであること。また、当該特例は、通算契約期間が10年に満たない場合に無期転換ができないこととするものではないこと。
     なお、労働契約法第19条において、最高裁判所の判例で確立している「雇止め法理」(一定の場合に雇止めを無効とする判例上のルール)について規定されていることも考慮されたいこと。
   6 改正強化法第15条の2第2項及び改正任期法第7条第2項において、学生として大学に在学している間に、TA(ティーチング・アシスタント)、RA(リサーチ・アシスタント)等として大学等を設置する者等との間で有期労働契約を締結していた場合には、当該大学に在学している期間は通算契約期間に算入しないこと。
    7 改正法附則第4条第2項及び第5条第2項の経過措置については、平成24年改正労働契約法附則第1項ただし書に規定する規定の施行の日(平成25年4月1日)から改正法一部施行日の前日(平成26年3月31日)までの間に、研究開発法人又は大学等を設置する者との間で有期労働契約を締結した場合における当該大学に在学している期間も、通算契約期間に算入されないことを確認的に規定したものであること。
   8 平成24年改正労働契約法附則第1項ただし書に規定する規定の施行の日(平成25年4月1日)から改正法一部施行日の前日(平成26年3月31日)までの間に開始された有期労働契約については、平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に労働契約法第18条第1項に基づき有期労働契約を締結している者が無期労働契約への転換を申し込むことができる権利(以下「無期転換申込権」という。)が生じていない場合については、今回の特例の対象となり、当該有期労働契約の期間が通算契約期間に算入されること。また、平成25年4月1日から平成26年3月31日までに、すでに無期転換申込権が生じている場合については、今回の特例は適用されず、従前の例(5年の通算契約期間)により、無期労働契約への転換申込みが可能である旨の経過措置を確認的に置いたものであること。
    なお、平成24年改正労働契約法附則第2項において、第1項ただし書に規定する規定の施行の日(平成25年4月1日)前の日が初日である有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しないこととされていること。
 

添付資料
【別添1】 研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第99号)
【別添2】 研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律 新旧対照表
【別添3】 研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法案に対する附帯決議(衆議院文部科学委員会)
 

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-- 登録:平成26年01月 --