大学分科会(第148回) 議事録

1.日時

令和元年6月13日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階 第二講堂

(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」を踏まえた学校教育法施行規則及び大学設置基準等の一部改正について
  2. 「2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿(審議まとめ)」を踏まえた学校教育法施行規則及び大学院設置基準の一部改正について
  3. 教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について
  4. 「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」からの報告について
  5. その他

4.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(副分科会長)村田治,渡邉光一郎の各副分科会長
(委員)有信睦弘,亀山郁夫,志賀俊之,日比谷潤子,吉岡知哉の各委員
(臨時委員)麻生隆史,安部恵美子,宇山恵子,加登田惠子,金子元久,河田悌一,小林雅之,佐藤東洋士,清水一彦,鈴木雅子,髙倉明,髙宮いづみ,伹野茂,曄道佳明,長谷川眞理子,福田益和,古沢由紀子,益戸正樹,三島良直,三村信男,山田啓二の各委員

文部科学省

(事務局)生川大臣官房長,白間私学部長,瀧本大臣官房総括審議官,山﨑大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官,玉上大臣官房審議官(高等教育局担当),森大臣官房審議官(高等教育局担当),平野大臣官房審議官(総合教育政策局担当),増子大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当),岩本文部科学戦略官,蝦名高等教育企画課長,三浦大学振興課長,原振興企画課長,石橋高等教育政策室長,坪井科学技術・学術政策研究所長 他

オブザーバー

一般社団法人日本経済団体連合会 宮田教育・大学改革推進委員会企画部会長,一般社団法人日本経済団体連合会 長谷川SDGs本部長
河野俊介氏(三菱電機株式会社 先端技術総合研究所)
新美潤一郎氏(学校法人 名城大学 経営学部 助教)

5.議事録

【永田分科会長】  おはようございます。所定の時刻になりました。第148回の中央教育審議会大学分科会を始めさせていただきます。御多忙中,御出席いただきありがとうございます。
 報道関係者の方に申し上げますけれども,カメラは議題1に入る直前までということにさせていただきたいと思いますので,御理解をお願いいたします。
 前回第10期の初回第147回は,フリーディスカッションということで,教育研究を一体的に進めるためにどうしたらいいのか,いろいろな御意見をいただきました。そのほかには,大学分科会の下に,質保証システム部会,大学院部会,教学マネジメント特別委員会,法科大学院等特別委員会,認証評価機関の認証に関する審査委員会の5つの部会等を置くことをお認めいただきました。
 本日は,幾つか議題があります。最初は「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」を踏まえた学校教育法施行規則及び大学設置基準等の一部改正についてです。要点を申し上げますと,学位プログラムを中心とした教育システムを可能とする改正,それから,実務家教員の登用の促進に関する制度改正等になります。制度改正の内容はパブリックコメントを経た文部科学大臣からの諮問ですので,本日の審議の結果,御了解いただければ答申するという段取りになっています。
 2点目は,「2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿(審議まとめ)」を踏まえた学校教育法施行規則及び大学院設置基準の一部改正についてです。これは第9期の最終回で取りまとめました大学院教育に関する審議まとめで提言されている内容のうち,既に学士課程では実行されている3つのポリシーの策定を大学院においても「三つの方針」という形で策定・公表を義務化するための省令改正です。
 3つ目は,今期の一番中心となるテーマである教育と研究を両輪とする高等教育の在り方ということについて、前回いろいろな御議論をいただきました。そのまとめを御報告するとともに,本日は、博士課程教育リーディングプログラムの修了者お二人に来ていただいて,実際に御経験された内容を御披露をいただき,我々の議論に活かしたいということです。
 4点目は,経団連と大学が現在協力をして本年1月に産学協議会を立ち上げ,いろいろな議論を経て4月22日に中間まとめが公表されました。その内容について,本日は経団連から宮田様,長谷川様をお招きしておりますので、御説明をいただきます。
 議題は以上の四つです。最後に,文部科学省から,グランドデザイン答申の中で提言されている学生調査について,概略を御紹介いたします。
 それでは,事務局から,本日の配付資料の説明をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。配付資料,議事次第を御覧いただければと思います。少し多くなっておりますけれども,資料1と資料2が設置基準等の関係の資料,それから,資料3-1から3-5が,主な議題となっております,教育と研究を両輪とした高等教育の在り方についての関係資料でございます。経団連様からの資料が4-1,4-2でございます。それから,資料5は学生調査。あと,参考資料と致しまして,少し多めでございますけれども,1から6まで準備しておりますので,不足がございましたらお申し付けください。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは,カメラ撮影はここまでとさせていただきたいと思います。
 早速,最初の議題に入りたいと思います。先ほど申し上げました「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」を踏まえた学校教育法施行規則及び大学設置基準等の一部改正について,事務局より説明をいたします。
【三浦大学振興課長】  失礼いたします。大学振興課長でございます。
 資料1-1を御覧いただけますでしょうか。1-1,1枚目,概要に沿って御説明をさせていただきたいと思います。
 まず1つ目,学部等連係課程等についてということでございます。改正の趣旨が最初にございます。冒頭,分科会長からも御紹介いただきましたグランドデザイン答申の中,アンダーラインのところでございますけれども,「大学が自らの判断で機動性を発揮し,学内の資源を活用して学部横断的な教育に積極的に取り組むことができるよう『学部,研究科等の組織の枠を越えた学位プログラム』を新たな類型として設置可能とする」という答申を頂いているところでございます。
 これを受けまして,主な改正の内容でございます。1つ目のチェックのところでございますが,学部等連係課程実施基本組織という名称にさせていただきたいと思っておりますが,この専任教員は類似する分野の学部等と同じ数を置くということではございますけれども,教育上支障を生じない場合には当該学部等連係課程と緊密に連係及び協力する学部等の専任教員が兼ねることができるということとしたいというのが1点目。
 それから,校舎,附属施設等の基準についても,それぞれ連係協力学部が基準を満たせば足りるということとするということ。
 それから,学生の定員につきましては,連係協力学部等の収容定員の数を合計した数の範囲内で学則において定めるということ。
 それから,当該学部等連係課程実施基本組織等が学位の分野の変更を伴うような場合には認可の対象となるということでございますけれども,伴わない場合はできるだけ審査プロセスを簡略化したいということを考えておりまして,大学,大学院,それから,短期大学におきまして,社会のニーズ等に柔軟かつ機動的に対応した学位プログラムの構築を促進したいという趣旨でございます。
 下に図といいますか,絵がございます。改正のイメージでございます。従来の学位プログラムが左側にございまして,組織と1対1の関係になっているというのが基本的な考え方,従来の考え方でございます。右側の方でございますけれども,複数の,緊密に連係・協力し合って,組織に立脚しない形の新たな学位プログラムの制度を設けたいということでございます。学部等とございますけれども,大学院においては研究科,短期大学においては学科ということになろうかと思います。
 裏面に参りまして,2番目でございます。これ,3点ございます。まず改正の趣旨でございます。これも答申を踏まえてということでございます。多様な学生を受け入れるためのリカレント教育の推進や教員の多様化に向けた,こちらは学校教育法施行規則等の改正ということでございます。
 まず1点目は,実務家教員の参画促進ということでございます。いわゆる実務家教員を大学に置く場合であって,その教員が6単位以上の授業科目を担当するような場合には,当該教員が教育課程の編成に携われるように大学が努めるべきであるということを規定させていただきたいということでございます。
 2点目は,履修証明プログラムへの単位の付与ということでございます。いわゆる履修証明のプログラムというのは,現在でも各大学で実施されているところでございますけれども,履修証明プログラムに係る学修のうち,大学等が大学教育に相当する水準を有すると認めたものについては,単位として付与することを可能としたいということでございます。その履修証明プログラムについて,大学が公表すべき事項が現在でも決まっておりますが,それに実施体制とか単位の付与等についても追加をするということで,こういったものが重なって単位累積加算というような形で,社会人の多様な学修形態に対応する形でのリカレント教育を促進したいということでございます。
 3点目でございます。学修証明書の交付ということでございます。現在でも,各大学におきまして,主専攻,副専攻というような形で教育が行われているという状況がございます。法令上,そういった学修の成果については学位を授与するという形で証明されているわけでございますけれども,一定の例えば副専攻のようなものをまとまった教育課程を修得,履修した場合にも,きちんと大学として証明書を出せるということについて,法令上の位置付けをきちんと設けるという趣旨でございます。現在でも出していけないということはないんですが,法令上の位置付けをきちんと設けたいということでございまして,大学の正規の学位課程において,体系的に開設された授業科目の単位を修得した学生に対し,その事実を称する学修証明書を交付することができるという旨を新たに規定したいという内容でございます。
 2枚目以降は,実際の省令等の条文,改正前,改正後ということで書いてございます。内容としましては,今申し上げたことを条文に落としたということでございますので,説明は省略をさせていただきたいと思っております。
 それから,資料1-2は,これも冒頭分科会長から御紹介がございました,設置基準の改正につきましては大臣からの諮問事項ということでございますので,その大臣からの諮問の文が資料1-2ということでございます。
 資料1-3は,お認めいただけました場合の答申の案をお付けさせていただきました。
 説明は以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。それでは,今の御説明についての御質問等ございますでしょうか。お受けいたします。
 有信委員、どうぞ。
【有信委員】  学位プログラムに関しては,やっとここまで来たかという感じで,特に新分野とか新しい学際分野等の学問を体系的に作るという機会が公にこういうことで堂々とできるという建前なんだけど,ただ,ちょっと気になるのは,設置認可との関わり合いの中で,学位分野が変わる場合とかうんぬんという項目があって,設置認可制度の中で学位を与える分野というのは幾つか規定をされています。だから,これから多分議論がされると思いますけれども,設置認可制度を根本的に見直すという議論の流れの中で,これが有効に機能するようになっていないと,規定されている学位分野がそのまままた適用される,その中で審議をされるという話になってしまうと,かなり制約が多いものになると思います。設置認可制度の審議,我々の方から何が言えるのかというのはなかなか難しいところだと思いますけれども,そこの関連は是非注意をしておいてほしいと思います。それが1点。
 それから,第2点は,実務家教員を積極的に入れるというのは非常にいいことだとは思うんだけれども,この採用をするときにこれも注意をしなければいけないのは,これだけ変化が激しい時代に,過去の成功体験がほとんど役に立たないような時代になっている中で,どういう形で実務家教員を活用していくのかという点に関しては,大学側は相当よく考えないといけないということだと思うんです。特に教育プログラムの編成に実務家教員が加わるのは非常にいいことだと思いますし,専門職大学院等でも実際に産業界と教育プログラムの編成に関して議論する場を設定されていますけれども,今言ったように,こういう変化の激しい中で,実務能力ということの考え方を是非明確にしていく必要があると思いますので,その点も是非よろしくお願いします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 小林委員,どうぞ。
【小林委員】  私も実務家教員について御質問です。これ,確認と言ってもいいかもしれません。今回の提案についてですけれども,みなし専任教員という概念がありまして,これとどう違うのかよく分からない。あれもたしか6年ということでやっていると思いますので,教員のカテゴリーが増えていますので,その辺の整理が必要じゃないかと思います。
 それから,第2点目と致しまして,そもそも実務家教員というのは,専門職大学院から始まって,専門職大学,そして,工学教育についてもこれを認めるということで進んできたと思います。その3種類に限定されているのではないかと思うんですけれども,それについてこういう提案をされているのかということの確認をしたいと思います。そもそも大学設置基準は,専任教員については一の学部に置くという規定しかないので,実際今,有信委員が言われたように,具体的な内容がもうかなりばらばらになってしまっておりますので,その辺はもう少しきちんと整理する必要があるのではないかと思いますけれども,いかがでしょうか。
【永田分科会長】  今の小林委員の御質問について、文科省からお答えください。
【三浦大学振興課長】  まず今回の実務家教員の規定については,いわゆる設置基準上の専任教員数の必要数との外の話だというふうに位置付けをしておりますので,当然,みなし専任うんぬんという話にはならないというふうに理解しております。そもそも実務家教員をどう考えるかということについては,今回のグランドデザイン答申の議論,また,将来構想部会の下に置かれたワーキングにおいても,そもそも実務家教員というのはどういう位置付けなんだとかなり様々な御意見が交わされたというふうに承知しております。ただ,今回はその中で,法令上は専門職大学院等の外形的な基準,5年の実務ということを引用しつつ,教育課程の作成に参画することができるということを確認的に規定するということでございますので,それぞれの大学において適切に御判断いただければ有り難いと思っております。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 最後に,河田委員,どうぞ。
【河田委員】  今日の資料の1-1の2。実務家教員の活用促進,履修証明プログラムへの単位付与等の「学修証明書の交付」というところに,体系的に開設された授業科目とあります。この「体系的」というのがよく分からないんですけれども,1つの目安として,今,かなりの国立大学は,ナンバリング,授業番号制で100番,200番,300番と上がっていく,段階的かつ体系的に授業を組み立てられているのですが,私立大学の場合,多くの大規模大学では,まだナンバリングはなされていない大学が非常に多いわけです。ですから,文章にされるかどうかは分からないけれども,文部科学省の方から指導されるときに,1つの目安は,授業番号制のナンバリングがきちんとなされていますか,ということを言っていただくと改善されていくと思うので,是非そういう具合にしていただければと考えます。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございました。有信委員,河田委員の御意見については,法律の実際の運用の場面で各大学が十分考慮すべき問題として指摘いただければ良いかと思います。
 学位プログラムに関する制度改正については,まだまだ不十分かもしれませんけれども大きく前進したと思います。博士課程教育リーディングプログラムで京都大学が思修館を立ち上げた際に,新たに専攻を設置する必要があるということで大変御苦労されましたが、今回の改正によりおそらく問題は解消されます。また,履修証明プログラムや学修証明書の交付等については,理想としては単位の蓄積を可能とできないか、という話が出ていたと思います。そこまでまだ行っていませんが,正規の単位として認定するという道が一歩進んだということで歓迎をしたいと思っております。
 他に御質問,御意見はありませんでしょうか。
 大学設置基準の改正については,中央教育審議会令第5条第6項によりまして,分科会の議決をもって審議会の議決とすることと定められています。従いまして,今のこの内容について議決を行いたいと思います。
 。それでは,定足数等については事務局から御確認をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。大学分科会の委員及び臨時委員数は30人であり,現在29名の御出席でございますので,中央教育審議会令第8条第1項に基づく過半数を満たしております。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは,お諮りをさせていただきます。先ほど文部科学省から説明をいただきました諮問の内容について,御了解を頂いたということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】  ありがとうございました。今後軽微な修正がある場合は私に一任をお願いしたいと思います。
 それでは,事務局におかれましては,この案件を先へ進めていただくようにお願いを申し上げます。ありがとうございました。
 続きまして,2番目ですが,「2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿(審議まとめ)」を踏まえた学校教育法施行規則及び大学院設置基準の一部改正について,事務局から説明をいたします。
【三浦大学振興課長】  続けて失礼いたします。資料2を御覧いただけますでしょうか。本年1月におまとめいただきました「2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿(審議まとめ)」に御提言を頂いている内容につきまして,省令改正等を考えているものについて,本日御説明をさせていただいて,御意見等を頂戴したいという趣旨でございます。
 省令改正案の概要がございます。まず1-1,学校教育法施行規則の改正というので2点ございます。まず1つ目,「三つの方針」の策定・公表の義務化ということでございます。現在学部におきましては,この「三つの方針」――学位授与の方針,教育課程編成・実施の方針,入学者受入れの方針でございますけれども,義務化されているわけでございますけれども,大学院におきましては入学者受入れの方針のみが義務化済みということでございますので,残りの2つもあわせて,学部同様,「三つの方針」についての策定・公表の義務化を省令上位置付けたいということでございます。
 2点目は,学位論文に係る評価の基準の公表の義務化ということでございます。マル2の四角の,小さいポイントで恐縮ですが,※印の1つ目でございます。現在は学位論文に係る評価の基準を学生に対しては明示をすることは義務付けられているという状況でございますけれども,これを学生に対してだけじゃなくて広く公表するということを義務化したらどうかということでございます。その内容は,学位論文が満たすべき水準とか,あるいは審査の方法・項目等について公表するということを想定しているところでございます。
 1-2は,大学院設置基準の改正ということでございます。マル3とございます。博士後期課程のプレFD実施又は情報提供の努力義務化ということでございます。博士課程の学生に対しては,授業を実施するために必要な能力等を身に付けさせるための機会の提供又は当該機会に関する情報の提供に努めるものとし,それぞれの大学院においてプレFDを実施していただく,又は自らの大学で実施しない場合では,他大学等が実施するものに自分の大学の学生さんが参加をすることができるような必要な情報提供を行うということについての努力義務化ということでございます。
 それから,マル4でございます。経済的支援や学費等に対する見通し,ファイナンシャル・プランと言っておりますけれども,これを学生に対して示すことを努力義務化したいということでございます。学生の経済的負担の軽減を図るための措置,授業料,入学料,その他の大学が徴収する費用に関する情報,奨学金等も含めて,学生,それから,入学志願者に対して明示するように努めることについて,正に努力義務化ということでございますけれども,大学院設置基準上で位置付けたいということでございます。
 右下の方に,施行期日(予定)というのがございますけれども,施行につきましては,マル3,マル4につきましては,公布日施行,それから,マル1とマル2については,来年度の4月から施行できれば有り難いということで準備を進めていきたいということでございます。
 2ページ以降は,今説明を申し上げた項目ごとに,該当する審議まとめの文章の抜粋をさせていただきました。また,4ページ以降は,関連するデータについても,一部ではございますけれども,状況等をお示ししているところでございます。
 説明は以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 いかがでしょう。御質問等ございましたら,お受けいたします。3つのポリシーについては大学院においても各大学の御努力で進んでいるという現況の中で,それを法令により規定化するという内容です。残りは,学生の学修やキャリアを支援する趣旨の改正が多いかと思います。
 御質問よろしいでしょうか。
 よろしければ,一言だけ申し上げます。4番目の経済支援等のファイナンシャル・プランを示すことは,学生にとっては大変有り難いことだと思います。この改正案とは別の観点ですけれども,大学院生の経済支援については様々な観点からも考えなければいけないという御意見は前回も出ておりましたので、改めて強調しておきます。
それでは,大学院における「三つの方針」の策定・公表の義務化等に関する省令の改正案,お認めいただければ,この後パブリックコメント等を進めていただいて,最終的には改めて分科会に諮っていただくという形でよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは,事務局においては,パブリックコメント等の手続に入っていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 続きまして,教育と研究を両輪とする高等教育の在り方についてです。前回もいろいろ御意見をいただきましたが、最初に申し上げたとおり,本日は博士課程教育リーディングプログラムの修了者であるお二方をお招きしております。新美潤一郎さんと河野俊介さんでございます。新美さんは,名古屋大学PhDプロフェッショナル登竜門を修了し,博士(経済学)を取得後,現在,名城大学経営学部経営学科の助教でいらっしゃいます。まずは新美さんから10分程度で御発表をお願いしたいと思います。それでは,新美さん,よろしくお願いいたします。
【新美氏】  お世話になります。名城大学経営学部の新美と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 私は,名古屋大学博士課程教育リーディングプログラムPhDプロフェッショナル登竜門の第1期修了生としての御説明を申し上げます。本日お渡ししている資料に関しては,かなり多めに作ってきてしまっているんですけれども,基本的にはキャリアの部分を中心にお話を申し上げたいと考えております。
 まず私,略歴ですけれども,学部時代は金融専攻で,名古屋大学の経済学部から,大学院は修士課程・博士課程までずっと経済学研究科の方で学位を取得しております。学部時代は金融専攻で,大手銀行なんかに入れればいいかなと思っていたんですけれども,そこから,当時2013年というのは,社会的にはいわゆるデータサイエンティストだとか,あとは,AI,ディープラーニングみたいな,そういったものが結構はしりの時代だった,社会的には結構関心が高まっていた時期でございました。そういった中で,私もそういった分野で就職ができたらいいなということを考えた上で大学院に進んだという形でございます。
 5ページに移ります。そういった中で修士課程に上がったんですけれども,そこでなぜリーディング大学院に入ったのかというところです。また,データサイエンティストとかいったものを夢見る中で,しかしながら,現実で社会で見てみると,もちろん修士課程で大学院に入って,計量経済学だとか,統計だとか,あとは,ビッグデータ,そういったものは扱うことはもちろんできるんですけれども,一方,データサイエンティストの必要なスキルを考えると,やはりビジネス的な知識とか,あるいは情報学あるいは工学みたいな,少なくとも経済学研究科にいる中ではほとんど得ることができないような学修の機会,そういったものがやはり必要なんじゃないかと考えておりました。そういった中で,指導教員よりこういったプログラムについて御説明いただいて,結果として,経済学研究科の代表として推薦を頂いて加入をしたという流れになります。
 具体的な中身については,本日お時間の関係で割愛させていただきまして,10ページでまとめた部分から御説明をさせていただきたいと思います。様々,プログラムに関しては,中でいろいろなことを行ったんですけれども,例えば代表的なところといえば,複数専攻。これに関しては,オールラウンド型のプログラムですので,例えば学位を取得するみたいなことではないですけれども,例えば名古屋大学の若手の研究者の方の中で短期間,半年間とかいう形で共に研究を行ってみたりだとか,あるいは外部の企業様と組んで中で半年間インターンを2件行ったりだとか,そういったことを続けておりました。
 あるいは,海外経験と致しましては,先ほどビジネス的な知識が必要だということを申し上げたんですけれども,そういった中で,実際この登竜門というプログラムの中でも,発展途上国に何件か行きまして,そこで現地の学生と共に例えばビジネスの事業提案なんかを行って,現地で現地の実務家の方に対してプロポーザルみたいなものを提案させていただいて,これは収益性がどうだとか,これは現実性がないんじゃないか,そういったことを現地の実務家の方といろいろお話をさせていただくみたいな形でいろいろなプログラムを続けておりました。
 また,PhD登竜門の1つ目玉と言ってはあれなんですけれども,1つ,シェアハウスというものがございました。これに関しては,日本人,留学生交えて1つ屋根の下で同じ家に住んで,5年間継続的に,例えば自分の専門の研究分野が社会に対してどういうふうに価値を持っているのか,あるいはこの先社会で働いてみるに当たって,どういうふうに自分たちが振る舞っていけばいいのか,そういったことを継続的に議論を続けていくということを行っておりました。
 こういったいろいろな試みがあったわけですけれども,いずれも私の専門性とか知見を広げるという意味で大変すばらしいプログラムだったなというふうに考えております。そういった深い相互理解を得るためには,これは当然ですけれども,やはりある程度長期間のプログラムであることが必須であること,あるいはある程度の拘束力も必要なんじゃないかと考えております。これはどういうことかというと,拘束力というのは簡単に言うと金銭的な支援なんですけれども,やはり金銭的な支援があったからこそ,本来博士を取得しなかったような人材が,金銭的な支援があるのであれば,もうちょっと博士まで進んで,やりたいこと,自分の研究を突き詰めた上で社会に出てみたらどうかというふうに判断をしたという学生が,事実,うちのプログラムの第1期生にも多数おりました。そういった意味で,拘束力というものも重要なのではないかと考えております。
 こういった中で,名古屋大学の博士を修了いたしまして,キャリアへの影響というところに移りたいと思います。12ページですけれども,まず私は去年の4月から理化学研究所の方に着任いたしました。これは特別研究員なんですけれども,当初データサイエンティストとして社会に出たいということを考えていたにもかかわらず,なぜ研究機関に行ったのかというところなんです。これに関しては,私がデータサイエンティストとか,あと,マーケティングに関するビッグデータの活用みたいなところを研究している中で,そういったデータの利活用を武器にして社会に価値を創造していくということを考えた場合に,やはりどうしても1企業に所属した上でプロジェクトをいろいろ進めていくというよりは,ある種研究機関みたいなところに所属した上で,複数のいろいろな企業,例えばこの企業にしかないデータ,あるいはこの企業でしかやっていないプロジェクト,そういったところにどんどん参画していくことによって,自分のこれまで蓄えてきた知見みたいなものを存分に発揮できるんじゃないかということを考えた結果,研究機関に移りました。
 あるいは,もう一つ理由もございます。これは理研様の方から私にお誘いを頂いたんですけれども,これ,AIPセンター,研究センターですけれども,こちらにお誘いいただいた点として,理研は今年で102年程度の創立で続いている機関ですけれども,そういった中で実は経済学を主分野とした博士人材が理研に入ったのは私が初めての事例でございます。そういった中で,やはり人と違うこと,これまでやっていなかったことをやりたいということが1つございまして,そういった中で理研からこういったお話を頂いたという中で,では,一から全部,例えばチームをチームリーダーの方と一緒に立ち上げていくといったことを経験するというのは自分の中でもすごくプラスになっていくんじゃないかということを考えた結果,理研に入所したという形になります。
 実際は業務としては本当にいろいろなことをやっていたんですけれども,やはり同期の人たちは,例えば情報学博士だとか,あるいは物理学博士,そういった人々と一緒に働いていくという中で,そういった彼らができることはできる前提になっているといった意味で,やはり複数専攻というか,いろいろなことを経験した上でないと,こういった機関に所属することはまずできなかったんじゃないかと考えております。
 続きまして,2019年,この4月から学校法人名城大学経営学部の方に移りました。1年で大学に移ったことに関しては,1つには,理研で企業連携のノウハウがたまったということがございます。やはり自分でこれから先,案件を自分で取ってきて,好きなように研究をやって,外部の企業と価値を作っていくということができるんじゃないかと考えたというのが1つございますけれども,もう一点として,やはり私のような文系人材としてAIの解説だとか,あるいは中身が分かっている人材というのはやはり社会でいうと結構まれなのかなと考えておりまして,そういった中で,自分の持っている価値を世の中に提供することを考えると,まずやるべきことは,もちろん研究はやるんですけれども,それ以上にやはり教育に対して価値を還元していくということが必要なんじゃないかと思い至った結果になります。
 具体的に着任して感じたこととしても,例えば学生に「4年間で何したい?」と言うと,まず資格を取れるだけ取って,インターンに行って,留学に行って,就活に役に立つことをやりたいということをおっしゃる学生さんがとても多いんですけれども,しかしながら,やっぱり4年間自由に学修だとかということをやるに当たっては,どうしてもずっと4年間最初から最後まで就活のことばかり心配しているようでは,やはり自由な活動ができないのではないかと考えております。
 そういった中で,例えば役に立つことしか勉強したくないということをおっしゃる学生さんもいますけれども,しかしながら,彼らの言う役に立つというのは非常に近視眼的なものでありまして,例えば4年後の就職活動の時点では役に立つことかもしれませんけれども,それが10年後に同じように役に立つかと言われたら別問題であって,もしかしたらAIに代替されているかもしれないということを考える必要がある。
 なおかつ,多くの学生はAIがそもそも何なのかというのが分かっていないということが分かりました。例えば世の中では,技術的にAIが仕事を代替する可能性があるということはよく言われますけれども,現実考えると,実際には例えばコスト的に導入ができないとか,あるいは倫理的に導入ができないとか,そういったいろいろな問題があるはずであって,そういったことを技術以外の包括的なというか,AIの代替可能性みたいなことまで話のできる人というのはやはりまだ余り,特に文系学部にはいないということが1つ問題だと思っています。そういった意味で,私のような人材が教育面でも価値を提供するということが1つ重要なんじゃないかと考えた結果,この4月から名城大学の方に移ったという流れになります。
 お時間の関係もあるので一部飛ばせていただきまして,最後,18ページの方に移りたいと思います。こちら,結局こういった形で,登竜門というものを皮切りにいろいろなことをさせていただいたことになりました。実際私も就活を行いまして,そんな中でいろいろな企業さんとお話をさせていただいたんですけれども,企業さんが博士人材にどういうことを求めているのかということを考えると,企業の方々は皆さん,やはりT型人材が欲しいということをおっしゃっています。
 しかしながら,例えば私たちのPhD登竜門もT型人材の育成ということを考えていますけれども,やはりそれだけでは足りない。つまり,博士課程というだけで既にT型人材の育成を行って,更にその上で,例えばリーディング大学院みたいなものでプラスの何かしらの価値を提供するということが必要なんじゃないかということを考えております。そういった意味で,大学院教育自体の構造であったり,あるいは大学院プログラムでそこで更に付加価値として何を提供できるのかということについて考える必要があるのではないかというふうに感じております。
 ちょっと急ぎ足になってしまいましたけれども,私の発表は以上とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
【永田分科会長】  新美さん,本当にありがとうございました。実体験なので,大変説得力のあるお話だったと思います。質問は後でまとめて受けさせていただきます。続きまして,河野俊介さんから御発表をいただきます。河野さんは,早稲田大学リーディング理工学博士プログラムを修了されまして,博士(工学)を取得後,現在,三菱電機にお勤めでいらっしゃいます。それでは,河野さん,10分程度で御説明をお願いいたします。
【河野氏】  河野と申します。よろしくお願いいたします。今御紹介いただいたとおり,私は早稲田大学のリーディングプログラムを修了して,現在,三菱の研究所で研究職を務めさせていただいているという立場でございます。私も同じように,これまでの略歴と志望動機と,どんな経験したのかというのと,今の職務内容を御説明させていただければと思います。
 2ページ目,まず私の略歴です。2010年から2017年まで早稲田大学の林先生の研究室で,再生可能エネルギーが普及したときの電力系統安定化制御技術に関する研究に従事しておりました。研究室の方針で,なるべく民間企業とかそういうところとの共同研究を積極的に学生にやらせるということもありまして,私自身は民間企業との共同研究が3件,それから,文部科学省さんのCRESTの研究に従事しておりました。現在は,三菱電機の研究所という立場で,実はこの林研究室に委託研究を出させていただいていまして,その共同研究に参画しているというところでございます。
 リーディング博士プログラムにつきましては,2013年から2017年まで参画しておりまして,主なイベントを4つだけあえて挙げさせていただくとすると,海外企業インターンシップでは,ドイツのジーメンス社のプロジェクトに参画しておりまして,海外研究機関実習では,韓国の高麗大学の研究室で研究に従事しておりました。また,ラボローテーションというシステムがありまして,自分のいる研究室以外の研究室でも一緒に研究ができるというところで,私も同じく時代の流れとして,確率と統計とか機械学習が専門の研究室で勉強をしておりました。4つ目,経営デザイン専攻技術経営リーダー専修コースとありますけれども,早稲田大学にある経営システム専攻の授業を履修することができて,早稲田のプログラムが社会,民間に学生を出すというところが念頭にあったので,そういうところを受けることができました。
 2017年4月から三菱電機の研究所で従事しております。研究内容としては,学生の頃から続けている電力系統安定化技術に関する研究に従事しております。主な職務内容としては,社外の民間企業さんから頂ける受注の案件,共同研究とか委託研究を担当しているほか,大学との共同研究・委託研究,研究を企画して依頼して研究を進めていただくというところをやっております。また,弊社は米国にも研究所がありまして,そこに研究依頼を出して,その成果を製品につなげていこうというところも担当させていただいています。
 最後は,学会活動にはなるんですけれども,国際大電力システム会議というのがありまして,いろいろな国の同じ専門分野の人が集まって,どんな課題があるとか,そういうところを共有する場がありますので,そういうところに参加させていただいています。というところが略歴でございます。
 続きまして,3ページ目です。私が早稲田のリーディングプログラムに進学しようと思った動機と,早稲田のプログラムがどういった人材養成をうたっているかというところを簡単に説明させていただきます。
 まず志望動機です。修士課程の1年時,私はもともと産業界で研究職に就きたいなと思っていたところで,進学して学位を取るか,社会人になってから博士を取るか迷っていたんですけれども,その過程でちょうどこのプログラムが始まるというところを知りました。なおかつ,このプログラムのターゲットが産業界へ輩出できるような博士人材を育成していくというところであったので,進学を決意したところがあります。また,学費を払わないといけないので,経済支援があることと,タコつぼにならないための仕組みが後押しということで,プログラムの人材養成について説明させていただきます。
 早稲田のプログラムでは,大きく,専門力,俯瞰(ふかん)力,進取力と3つの能力を人材養成の3つの柱としておりました。専門力については,次々世代のエネルギー科学・技術の基盤となるいろいろな分野を横断する学問領域について知識を深めましょうということで,研究室での研究活動はもちろんですけれども,先ほど申し上げたラボローテーションとか,あとは,いろいろな学問の座学とか演習を受けることになっておりました。
 俯瞰(ふかん)力としては,専門知識だけではなくて,情報受発信力とか,社会要請や事業化をにらんで研究の道筋を構築できるようにということで,先ほど申し上げましたけれども,経営デザイン専攻の授業を受けさせていただけるとか,アドバイザリーボードというのがありまして,年に1回自分の研究を学外からお招きした役員クラスの人に研究を説明して研究費を獲得すると,そういうところの練習ができたりというのがありました。
 最後,進取力ですけれども,専門分野や文化背景などを超えて,多様な人材と信頼関係を築き,チームに巻き込みながら,新しい領域を開拓するための素養ということで,海外企業インターンシップとか海外研究機関実習に行って,日本人は自分しかいない中でプロジェクトを推進していくというところを体験することができました。私の場合は,インターンで風力発電システムを,具体的なお客さんがいる中,それを提案していくというプロジェクトに参加することができました。
 最後,4ページ目です。現在のキャリアとの関連ということです。私自身は今メーカーの研究職に希望どおり就職することができたということで,学修内容がキャリアに大いに役立っていると感じているところであります。
 順番に申し上げますと,特に海外企業インターンシップとかでは,具体的な顧客にプロポーザルを前提にして研究活動を進めていくというところを体験できたので,それが今にも役に立って,有意義だったと感じています。現在では海外研究所との共同研究があったり,当時の英語で議論する経験が役立っていると思いますし,プログラムの中では,インターンとかいきなり行く前に少人数の英会話コースのサポートがあったりということで,だんだんと経験できるというところが非常にステップアップしやすかったかなと思っています。
 俯瞰(ふかん)力というところで,修士1年という段階で技術経営のコースを受けて,企業の技術マネジメントとか,SWOT分析とか,そういうもののさわりを知った上でアカデミックの研究活動に従事できたということで,アカデミックとしての立ち位置を意識した研究活動が当時は実践できたのかなと思っています。アドバイザリーボードでは,経営層に自分の研究をプレゼンして,評価に応じた研究費を獲得するということがあったんですけれども,企業に入ってからも当然,上層部に研究を説明する機会が多々ありますので,学生のうちに,企業に入って研究をするということはこういうことなんだということを経験できたというのはよかったかなと思っています。
 最後,専門力です。専門は電力系統技術なんですけれども,水素とか蓄電池とか,私,専門がエネルギーシステムということもあるんですけれども,関連する技術が物すごい多岐にわたるというところで,自分の電力系統だけじゃなくて,ほかの専攻の授業とかラボローテーションでほかのちょっとずれたところの知見も勉強できたというところは非常に役に立ったかと思っています。また,化学など全然違う分野の人たち,ただ,また水素とかで関わってくるような人たちと知り合いになれた,今もその人的ネットワークが続いているというのは,私は非常に大いに役に立ったと思っています。
 私からの説明は以上です。(拍手)
【永田分科会長】  河野さん,どうもありがとうございました。これまた示唆に富む御発表だったと思います。
 それでは,委員の方々から,新美さん,河野さんへの御発表について御質問を頂ければと思います。
 志賀委員,どうぞ。
【志賀委員】  ありがとうございます。まず,こういういろいろなプログラムを実際に受けた方の声を中央教育審議会で聞けるというとてもいい機会で,私,4年やっていて初めての機会なので,感謝をいたします。こういう機会は非常にいいなと思いました。
 お二人にそれぞれの質問があるんですが,産業界の立場で,いろいろなデータサイエンティストを採用して企業の中でもいろいろなデータの分析をお願いしているんですが,現時点でやっぱりマーケティングだとか顧客情報,あるいは需要予測みたいなところでデータを使うことが増えてきていて,そもそもマーケティングというのは文系の世界に入ってしまっているので,文系出身のデータサイエンティストが増えるといいなと思っていて,実際に今日お会いできていいなと思ったんですが,文系であるが故に,つまり,これ,私,持論なんですが,高校時代からもう理科,数学,物理を捨てた人たちが,私からすると,数3を受けていない人たちが,統計を勉強していない人たちが,統計・集合・行列,あそこら辺をやっていない人たちが,大学に上がっていってデータサイエンティストでまた統計に入るわけじゃないですか。そこで,文系があったが故にハンディだと思うようなことはなかったですか。
【新美氏】  ありがとうございます。文系としての,実際,理化学研究所に入っても,周りはみんな,先ほども申し上げたとおり,物理学とか理学とか本当に幅広い理系の皆様と一緒に働いていた中で,ハンディというようなことでやっぱり山ほどあってですね。それはもちろんおっしゃったとおり,数学,統計みたいな部分でも,私は博士後期に関しては計量経済学のゼミでずっと統計学をメーンで研究をしていたので,そこに関しては能力的にはそんなに遜色はなかったかなとは思っています。
 ただ,実際データサイエンスというものを文系学部にも普及させようと思うと,やはり少なくとも例えば入試科目に最低限数学があるとかいうところじゃないと,学部1年から数学,統計をちゃんと実用レベルになるまでたたき込もうと思うとちょっと間に合わないというのが多分あるので,そういった意味でやっぱり,それこそデータサイエンティスト学部みたいな形で,初めからそういったものに興味がある方々を集めるのか,あるいは私のように経済学研究科に入ったそこで,やりたい人は基本的には,特に私はそうですけれども,自分のやりたいことは全部やりたいという人間なので,やりたいことのための障壁は自力で乗り越えることがやっぱり必要だと思っているので,そういった人であれば,どこの環境であろうと乗り越えることは可能だと思います。
【志賀委員】  ありがとうございます。
 次,河野さんにも続けて質問なんですが,例えばドイツなんかだと,共同研究を企業とやって,大学あるいはフラウンホーファーみたいなああいう研究所でやると,大学で研究していて,共同研究やって企業側に行って,また企業側から大学に戻ったりという流動化が起こりますよね。日本は私,それが余り流動化していないことが,企業側のニーズを大学側が取るのも大変だし,大学側で何をやっているか企業側も知らないという。もっと流動化すべきだと思っているんですが,やっぱり一旦企業側に来てしまったら,また大学に戻ろうという気は余りないですか。
【河野氏】  私の意見でということですか。戻ろうと思う気持ちが全くないことはもちろんないですね。しばらくはやっぱりどういうことを勉強したら社会に還元できるかという視点が,ずっと今までアカデミックにいたので足りていないと思うので,まずそこを勉強してできるだけ還元できるように努めていきたいと思います。ただ,将来的にそういった知見が大学教育の場で役に立つ,なおかつ自分の経験が役に立つということであれば,別に戻ることには抵抗があるとかいうわけではもちろんないです。
 ジーメンスでも,一緒にいた研究者が大学に行くというのは,隣の席の人がいなくなってしまうとかいうレベルでありましたので,それを見ていて,やっぱり産業界の経験が大学に返っていくのはいいなというのは感じました。
【永田分科会長】  そのほかいかがでしょうか。
 三村委員、どうぞ。
【三村委員】  どうもありがとうございました。新美さんに質問があります。18ページでT型人材プラスアルファの能力を持つことが重要だと書いてありますよね。正にそうだと思うんですけれども,その中身の問題として,体系的な学理というか,ある学問分野に対して体系的な知識だとか学理の理解が必要ですよね。それは座学だとか講義でやられるのかもしれませんけれども。それと,研究を通して課題解決力だとか,あるいは創造的な研究力を養うというのはあると思うんですね。それで,大学院の教育の中で,新美さん自身のあれでは,講義だとか座学だとかというようなものがどれぐらいの比重を持つものなのか。それと,そこで得たものと実際のプロジェクトなんかがどういうふうに組み合わさっているのか,そういうことについて何か考えておられることがあれば教えてほしいんですけれども。
【新美氏】  ありがとうございます。つまり,それはリーディングプログラムの中ではなくて,博士課程の中での座学に関して?
【三村委員】  そうですね。
【新美氏】  それでいうと,大学院の特に博士の後期に関しては,基本的には,講義よりはむしろ自分でやりたい研究が既にあって,そこの上で必要なことは自分で学んでいくというスタンスでいたので,もちろん授業が役に立たないことはないんですけれども,そうですね,基本的には……。
 あと,特に私の場合だと,それこそAIだとかディープラーニングの中の要素技術の話だとかそういったことを学ぶのは,どちらかというと,リーディング大学院を通して,それこそ日本IBMさんから更に例えばニューヨークのIBM研究所の方に直接お話を伺うだとか,そういった形で自分で吸収をしていったので。
 博士課程の中で役立ったことというと,やっぱり基本的には座学というよりは,そこの中で同じように履修している学生との専門性を深め合うというところかと思います。同じように講義を履修していて同じような方向に向かっている人たちと,相手はどんな能力を持っていて,どういうふうに,何を目標に自分の価値を作っていくということを考えているのか,そういったことを相互理解を深めることによって,結果的に自分にもプラスになっていくという部分が大きかったのではないかなと考えております。
【永田分科会長】  ありがとうございます。 
 長谷川委員、どうぞ。
【長谷川委員】  どうもありがとうございました。リーディング大学院というのは特にいろいろなことを自分からやって,インターンシップとか,プログラムを自分で開発するとか,いろいろなことができるところでとてもいいと思うんですけれども,最後に博士論文を仕上げるということ,何か自分のテーマ1つ新しいことを書くというその作業と,いろいろなことをやるというののバランスがどのぐらい大変かというのと,それと,論文を1つ書いてまとめる,そして,それに審査を受けるということのその重みというのは,自分の中ではどう感じておられるか。
 というのも,うちの大学院も研究所中心だからたくさんこういうのはあるんですけれども,なかなかやる人がいないんですね。論文をいいのを書いてすぐ出版するということをするためにはこんなことをしている暇ないみたいな人が多いので,それをどう説得しようかと思っているのでお聞きしたいです。
【永田分科会長】  実体験で,大変だったかどうかというところをまず言っていただけると有難いです。では、河野さんから、どうぞ。
【河野氏】  大変だったかどうかというと,それはもちろん大変でしたね。もちろん学位論文をまとめるだけでもそれなりの労力がありますし,研究課題の設定から解決まで一通りやるというところはやはり大変ですので,そこができていない中でインターン行っていてとか,そういう不安ももちろんあったと思いますし,私の友人を見ていても,不安に思っている学生が多かったかと思います。ただ,こういうプログラムに入ってくる人たちは,それを承知で入ってきているというか,それは乗り越えるつもりで入ってきている人が多いので,不安に感じながらもやってやろうという人が多かったように思います。
 というのでよろしいですか。どうすればエンカレッジできるかという回答にはなっていないかもしれないんですけれども,私の印象はそんな感じです。
【永田分科会長】  続いて、新美さん,どうぞ。
【新美氏】  ありがとうございます。私も同様に,自分の研究分野とリーディング大学院の両立は相当大変でした。負担にはなったんですけれども,ただ,やっぱり私自身,というよりも,先ほど申し上げたように博士人材がT型人材であるべきだということを申し上げたとおり,やはり博士人材を目指す以上,自分の研究分野以外に対してもどれだけでも知識欲求を持つということが絶対に必要だと思います。そういった意味で,もちろん研究はやりたい。それももちろんです。一方で,それ以外に,研究の部分では学べない部分をどんどん外部のプログラムで補完したいと思える人材である方が,結果的に研究にも還元していくと思います。
 事実,私に関しても,博士論文はもちろん大学院の集大成ですけれども,その中には,例えばいわゆるディープラーニングみたいなそういった機械学習系の,少なくとも学べなかった,経済学研究科にいたらできなかったようなことまで全部専門性の中に取り込んでしまった上で研究に,1つ博士論文という形でまとめて,結果的にそれによって私も独自性が生まれたという部分があると思うので,そういった意味で,博士である以上は,やり遂げられないのであれば,やめた方がいいかなと思います。
 あとは,簡単に補足するのであれば,1つ先ほど申し上げた拘束力という点で,金銭的な支援というところは重要かなと思います。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 残り時間が少なくなってきましたが,わたしも一言だけお尋ねしたいことがあります。お二人は大学院の博士前期課程に入るときにこのようなプログラムがあって良かったと思うのですが、もし、学士課程で同じようなプログラムがあったら入っていたと思いますか。
【河野氏】  私もプログラムを知ったのが修士1年の夏休みぐらいで,企業さんのインターンとかも行ってちょっとだけ外も見てから考える機会があったので,すごくタイミングがよかったと私は感じています。
 学部のときに決意できたかという,ちょっとたらればになってしまうんですけれども,できてなかったかなと思います。学部生ですと,研究のケの字もまだよく分からないですし,研究が,アカデミックの論文を書くための研究と産業界の研究があるなんていうことも多分そこまで意識もしていなかったと思うので,その中で,じゃ,5年でという決意ができたかというと,余り自信はないというのが正直なところです。
【永田分科会長】  学士課程では全く同じプログラムは難しいかもしれませんが,同じような考え方の学士課程向けのプログラムが入っていたと思いますか。
【河野氏】  そういう意味であれば,例えば海外にインターンに行けるとか,そういう経験が積めるというのは,すごい前向きに捉えると思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 新美さん,どうぞ。
【新美氏】  ありがとうございます。私も伺う限り,面白そうだなとは思います。ただ,修士課程でこういったプログラムに入るのと,学士課程で入る,それこそ4年間ということは,ほぼ入学と同時か,あるいは入学から半年ぐらいで多分始まるプログラムだと考えたときに,じゃ,そこで大学教育として得られている専門性がどれぐらいあるのかというのは1つ問題になるんじゃないかなと思います。
 というのも,特に私たちの場合,修士で本当に私もタイミングよく1期生として入ったわけですけれども,それは既に私の方である程度やりたいことがあったりとか,あるいは最低限専門性みたいなものが何となく形成されつつある中で,こういったもので更に周辺知識を補完できたからこそ,1つ形になったんじゃないかなと考えています。だからこそ,学士の頭からやるとすれば,ちょっと形を変えるべきじゃないかなというふうには,具体的な形はこの場では申し上げられませんけれども,多少変えるべきなのではないかなとは感じる部分はございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。もちろん学士課程レベルなので当然違うんですけれども,プログラムの理念としてどうだったかという点を確認するための質問でした。
 もし他に御質問がなければ,お二方とも残っていただき、我々の議論を聞いていただきますので,途中で何かお気付きの点があればまた御質問いただくということで,先に進ませていただきます。
 いまのお二方の御発表は,教育と研究を両輪として回すという議題の一部だったわけですが,このテーマについては、前回フリーディスカッションで随分いろいろと御議論いただきました。その結果をもとに、事務局で今後の検討のたたき台という形でまとめを作っていただいておりますので,御覧いただきたいと思います。それでは,御紹介をお願いします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。資料3-3から3-5を使って御説明をさせていただきます。
 まず今回の教育と研究を両輪とする高等教育の在り方に関して,検討する背景と目的でございます。前回に,第10期をどのようなテーマで議論していくかというところにおいて1つお決めいただいた主題の中の1つに,教育と研究を両輪とする高等教育の在り方が入っております。折しも,第10期科学技術・学術審議会においては,特に総合政策特別委員会を中心に,第6期科学技術基本計画,これは2021年から2025年がスコープになりますけれども,これに向けた検討が進んでおりますので,ここにどのような形で高等教育の部分を入れていくかということをベースにしながら今回議論を進めていただければ有り難いと思っております。
 今回進め方でございますけれども,下に書いてありますように,6月13日が本日でございまして,もう一度,8月9日の大学分科会でも同様のこのテーマを取り上げて議論をしていただきながら,このエッセンス,また,この後まとめております資料3-4を科学技術・学術審議会の方にお渡ししながら,第6期科学技術基本計画の中に盛り込んでいっていただければという提案ができればと思っております。
 資料3-4を御覧いただければと思います。まず資料3-4の冒頭でございますけれども,2018年11月にまとめた中央教育審議会のグランドデザインの答申におきましては,今,高等教育段階で取り組むべき課題を整理し,各機関,教員,学生のアクションを求め,その改革を支援していくこととしているということが,現在の中央教育審議会の立ち位置を整理しているのが最初のパラグラフでございます。
 第6期科学技術基本計画に関しましては,先ほど申し上げた年限がスコープとなっておりますけれども,総合科学技術・イノベーション会議の有識者議員からも,やはり2030年から2050年のあるべき国家像,社会像を明示して,社会にその方向性を示していくことが重要であるということ,さらに,その国家像,社会像からバックキャストすることによって,どのように行動していくべきかを明確に打ち出すべきというようなお考えが示されておりますので,これは賛同の上,このような方向性を重視していただきたいということを述べてはどうかというのが次の段落の2つでございます。
 これらに加えということでございますが,中央教育審議会大学分科会として重要な観点として認識している事項を以下に整理しております。1つ目が,教育と研究を両輪とする大学の役割についてということでございます。大学は,科学技術・イノベーション創出の活性化に寄与するとともに,あらゆる分野の人材育成を引き受け,リベラルアーツから専門教育までを行う高等教育機関として,教育と研究を両輪としつつ,そのバランスを不断に検証しながら役割を果たしていく必要があるということ。特に,学生が学んでいるという大学,高等教育機関の特性が,新たな知見の創造やイノベーションを導き出していることを強く認識する必要があるということ。ここは少し厳しい言葉で書いておりますけれども,我が国においては,企業も社会も「教育の質」を問うてこなかった歴史を顧み,社会全体で大学が本来の役割を果たせるよう支援していく必要があるということで,前提の考え方を整理しております。
 施策例に関しましては,大学院を中心に,やはり科学技術基本計画になりますので,どのようなことを具体的に取り組んでいく必要があると中央教育審議会は考えているかということで整理をさせていただいております。最初の大きく5つの丸は,教育の内容。具体的に申し上げますと,全学的な教学マネジメントの確立が重要である。また,めくっていただいて,コースワーク,それから,先ほどお認めいただきました学位プログラムの活用なども書かせていただいております。また,修士,博士,それも区分制,一貫制,また,専門職大学院の各課程の有する役割に留意していくというようなことも書かせていただいております。
 それから,上から5つ目の丸からでございますけれども,ロールモデルの提供と修士課程等の学生に対するリクルートの改善,また,今も2人の方々からも御発表がありましたけれども,経済的支援の充実ということを書かせていただいております。次が,就活の時期,また期間の転換,それから,その下は,昨今からずっと議論になっております文理融合の関係,また,研究支援人材の配置ということも書かせていただいております。
 めくっていただきまして,3ページ目でございます。もう一つの大きなメッセージは,博士人材が活躍する社会の実現ということで,博士学位取得者が社会のあらゆる分野で活躍することはグローバルスタンダードになっておりますので,この社会の実現が急務であるということを考え方として述べております。具体的な施策例は,やはり大学院に求める人材像の明示,適正な評価,積極的な採用と処遇ということが企業側には求められていくだろうということ,また,文理の垣根を取り払う中で,新興・融合領域の教育研究が起こりやすいような切磋琢磨(せっさたくま)できる環境が必要ではないかということを下2点で整理させていただいております。
 これ以外の観点と致しましては,研究力の低下の本質とは何かという検証,また,第6期科学技術基本計画でございますので,そのスコープの中で重点的に投資すべき領域を特定していくことが必要ではないかということ。また,産学連携も組織対組織として進んできておりますけれども,このタイミングでやはり産学連携の今後の在り方,このまま進めて大丈夫なのかということも検証していく必要があるということを整理しております。
 これが第6期科学技術基本計画に盛り込まれるべき事項のたたき台でございますが,併せて資料3-5で,大学分科会における論点の整理をこのように進めていってはどうかということで3点整理をさせていただいております。
 まず1つ目は,先ほどの施策例の中でも教育のことが多く含まれておりますけれども,やはり大学教員の在り方,教育の方法などはもっと議論を進めてはどうかということが1つの論点でございます。
 また,真ん中でございますが,昨今から議論に出ております文理融合ということを考えたときに,やはりこれは大学分科会のみならず,初等中等教育分科会等との合同で議論をしていく中で,初等中等教育段階から高等教育段階までを見据えた文系・理系の在り方について,融合の在り方について議論を進めてはどうかということです。
 それから,最後の点は,大学院部会で既に議論を進めていくということで決まっているところでございますので,第4次大学院教育振興施策要綱の策定は大きなテーマになりますので,その旨を整理させていただいております。
 以上,このような形でこの論点を整理してはどうかということで事務局としてまとめさせていただきました。
 参考資料を多く付けさせていただいておりますと先ほど申し上げましたけれども,参考資料1-1が,科学技術・学術審議会において今後第6期科学技術基本計画に向けてどういうスケジュールで行われるかということを入れさせていただいた資料でございます。また,今の科学技術・学術審議会における論点整理を参考資料1-2に入れさせていただいております。また,参考資料2は中央教育審議会のグランドデザイン答申の中でのこの関連部分,そして,参考資料3が大学院の審議まとめの中の関連部分でございます。また,参考資料4と致しまして,「研究力向上改革2019」ということで,文部科学省がまとめました今後の方向性の御紹介としてさせていただいております。
 また,参考資料5におきましては,文部科学省科学技術・学術政策研究所が今回定点調査として出しました資料を出させていただております。例えばでございますけれども,37ページ,下に38と書いてあるところでございますが,例えば博士課程後期の状況などもデータとして出させていただいておりますし,めくっていただいて,学部学生に社会的課題や研究の気付き・動機付けを与える教育ができているかなども40ページに御紹介させていただいておりますので,御参考いただければと思います。
 最後,参考資料6でございますが,高校教育の在り方については,教育再生実行会議第11次提言が出ております。裏面でございますけれども,2ページ目のところに,中高・高大の接続ということで特に入試の関係が挙げられておりますけれども,このような整理も進んでおりますので,参考に今後議論を進めていただければと思っております。
 簡単ですが,説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございました。資料3-4と3-5が中心となる資料になります。我々のこの第10期で話す内容が,ほぼ第6期科学技術基本計画に盛り込むべき事項として作ったたたき台の中にいろいろな論点として含まれています。時宜的に難しい問題もありますが,科学技術基本計画に盛り込むべき事項はなるべく早め早めに出していかないと間に合いません。教育と研究を両輪とする高等教育の在り方については,一旦そういう大きな枠組みを作って示した後に,更に詳細の制度設計を検討するという形にならないと,効力を発揮しないまとめになる可能性があります。つまり,どちらも念頭に置きながらということですが,今回もう一度資料3-4と3-5を御覧になりながら,先生方に前回頂いたいろいろな御意見を集約してまとめたものになっていますので,これを見ながら御議論をいただいて練り上げていきたいと考えております。
 それでは,御自由に発言をお願い申し上げます。
 金子委員,どうぞ。
【金子委員】  有信委員が,多分私,反論されるかもしれませんが,ちょうどいいと思うんですけれども,たたき台の2枚目の上の方ですけれども,コースワークの活用,それから,博士論文基礎力審査が述べられています。それで,リーディング大学院がかなりのお金を投じて一定の成果が上げられている。今日の話を聞いていると非常に感銘するわけであります。
 ただ,大学院部会の議論のかなりの部分はむしろここに書いてあることが基本でした。大学院のコースワークといいますか,教育課程の大学院としての大学院のコースワークを明確にすること。それから,日本の大学院の問題は,文理を問わず余りに早く専門化を進めることであるので,幅を広くするために博士論文研究基礎力審査をやったらどうかと。
 ところが,この博士論文基礎力審査を実施しているところは非常に少ないんですね。しかも,実際に今の2人のお話を伺っていますと,どうも基礎力審査をやったらうまくいくという問題ともちょっと違っていて,やっぱりいろいろな経験を身に付けさせるのと,あと,それから,研究室の交換,ほかの研究室に行く,これは結構,リーディング大学院の結果を,学生のアンケート調査を見ても評判がいいんですが,それはあるかもしれない。
 申し上げたいことは,リーディング大学院はかなりお金を掛けた実験だったわけですけれども,これをもう少し精査する必要がある。どこがうまくいっていて,どこがうまくいっていないのか。何か基礎力審査みたいなものを設定するということが本当にいいのかどうか。今のように縦断的な分野で新しい活動が始まっているようなときに,基礎力審査みたいな形が本当に望ましかったのかどうかということはかなり考えてみないと。それ以外に,新しい分野との融合を進めるにはどうしたらいいのかということもかなり重要だと思うんです。
 特に今のお二人の話を聞いていますと,大体,このプログラムに入る前からそういう素質があったんじゃないかと思うんです。幾つかのリーディング大学院の例を見ていますと,一定のそういうポピュレーションはあるんですが,それはかなり枯渇しやすいポピュレーションで,数年やっているともうそういう人がいなくなるという話も聞いたことがあります。そういう意味で,リーディング大学院の経験をどう使うのかということについて,かなり具体的な議論が必要だと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。さきほどお二方に,学士課程に同じようなプログラムがあったらどうですかと聞いてみましたけれども,大学としては若人がみんなそういう意気込みを持って大学に入ってこられるように準備すべきなのでしょう。
 益戸委員,どうぞ。
【益戸委員】  今日の新美さんと河野さんのお話を,私は人事の採用担当者のような気分で聞いておりました。お二人は,当然,ぜひ採用させていただきたい方です。私は従来から,委員会の場で外資系にはドクターがいますよというお話をしてきました。まさにお二人のようなタイプのドクターがいます。皆さんお気付きになったと思いますが,このお二人は大変よく勉強しているし,専門性を持っています。それだけでは駄目だということに気付き,他の分野の方と更にコミュニケーションを取るというようないろいろな努力をしています。
 結果として,外資系企業においてドクターがどんな仕事をしているかというと,その専門だけの仕事をしているわけではなく,ドクターへのプロセスへの訓練や経験に基づいてプロジェクトリーダーや本部長になったり,出世が早かったりという現実があります。当然,外資ですから,給料が年功序列的に上がっていくわけではありませんから,きちんとした処遇もされています。 やはりドクターのような大切で貴重な存在という方はきちんとした処遇をしなければいけません。企業側の努力もこれから必要だと思います。私たちはグランドデザイン答申を考えるとき,2040年を見据えました。当然のことながら,2040年にはそういう社会が訪れているでしょう。是非この機会に,特に資料3-4の2番の博士人材が活躍する社会の実現の中のというところの3行目,「あらゆる分野で活躍することはグローバルスタンダード」という言葉が出てきますが,これは当然のこととして入れていくべき言葉ではないかなと感じます。
 また、資料3-5ですが,2つ目の丸,大学分科会で審議,初等中等教育分科会等との合同審議も検討という項目があります。先ほど志賀委員のご発言の通り,私自身も過去の反省として,なぜ文系・理系と初等中等教育の段階で自ら自分を分けてしまったんのかと人生を振り返り,強く反省しております。新美さんお河野さんのお話を聞いて,やはり分けることはよくないと強く実感しました。そのためにも,初等中等教育段階から高等教育側と議論をするということは重要です。以上,2つの点を本日特にお二人のお話を聞いて感じました。
【永田分科会長】  ありがとうございました。
 有信委員,どうぞ。
【有信委員】  それぞれ個別にここで取り上げられていることについては異論は特にないんですけれども,特に科学技術基本計画との絡みでいろいろな物事を考えようとするときに,科学技術基本計画側というか,科学技術側でいわゆるイノベーションシステムとか,研究環境がどうだとか,様々な議論がされているんだけど,一番気になるのは,大学の立ち位置と,それから,いわゆる国研,国の研究所の立ち位置が基本的に違うので,そこの部分をまず明確にした上で具体的な議論に入らないと,何か相変わらず大学の議論は何かピントが外れたようなところで議論をしているのでないかという感じの印象を持たれる。
 国の研究所は,御承知のように国の科学技術政策を実行するためにあるわけで,そのために様々な仕組み,環境整備が行われている。大学は,別に国の科学技術政策を実行する主体という位置付けではないわけですね。なぜ大学で基本的に自由な研究をやらなければいけないかというのは,基本的に国の科学技術政策で決められた方向性が常に正しいとは限らない,あるいはそこで見落としているというか,スコープに入り切れていない部分が新たに大学から新しい知識の体系として出てくる可能性があるという部分を,ある意味担保しなければいけない。
 したがって,そういう視点で制度設計をしていくと,それは国研の制度設計とは大分違ってくるので,最初のところで私たちの議論のスタンス,中央教育審議会の議論のスタンスをやっぱり明確にした上で,日本のイノベーションシステムに大学がどうやって貢献できるのかという流れになってくると,そこのすり合わせはうまくいくと思うんです。その上で,それを支える教育はどうあるべきかという形にやっぱり全体の構成を組んだ方がいいような気がします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 今現在8名の方から発言を求められておりますが、時間の都合上手短に御意見を頂ければと思います。
では,曄道委員。
【曄道委員】  先ほど益戸委員がおっしゃったこととほぼ同じ感想なんですけれども,3-4に書いていただいた,博士学位取得者があらゆる分野でと,これは本当に是非しっかり書いていただきたいと思います。
 それから,その前の1ページ目にある,企業も社会も教育の質を問うてこなかったというところも,きつい言い方とおっしゃいましたけれども,これもしっかりとやはり書いていただきたいなと。やはり問う場がなかったということも,私は我々しっかり考えるべきであろうと思います。
 先ほど御指摘いろいろ伺っていると,志賀委員は,リーディングのプログラムについて評価をされておられるし,長谷川委員の御指摘や,あるいは新美さんの実感というものは,現在の大学の博士課程の研究教育の在り方について正にこの方向に向かっていない部分があるということを指摘されているんだと思います。
 やはり我々,こういったものを考えるときに,どう最終的に評価をするかということに徹底的にやはり社会と,社会と大学と言うと大学は社会に入っていないように聞こえてしまいますけれども,議論する場が必要だと思います。それが今どこにあって,どういう議論が交わされているかということがもっと共有されるべきだと思いますし,ないのであれば,それを作り出して,意見交換というレベルではない,徹底的な議論の場が必要ではないかなということを御提案したいと思います。
【永田分科会長】  当然、ここはそういう場だという認識です。
 吉岡委員,どうぞ。
【吉岡委員】  済みません,3-4のところで,真ん中辺の下線部で,まずは2030年から2050年のあるべき国家像,社会像を明示しうんぬんと書かれていて,そこからバックキャストして問題を立てていこうという考え方が示されています。私はこれ,非常に重要なことだと思うんです。ここで重要なのは,「あるべき」というところはだろうと思います。
 というのは,単にこのままこの社会が進んでいくとこうなっていく。だから,それに対応するために今こういうことをしなければいけないというような議論にどうしてもなりがちだと思うんです。理想の社会はこういう社会だという議論をしようと言うつもりは全くないんですけれども,しかし,例えばこのまま行くと,グローバル化が進むので,グローバル人材が必要だ。じゃ,英語教育やりましょうと。そういう議論というのは,もうここの場ではやらなくてもいいのではないかと思うわけです。
 グランドデザイン答申の最初の部分にSDGsを入れたというのは多分そういうことだろうと思うんです。単に将来こういう社会になるから,それに必要な人材をここでこういうふうに育てましょうという議論から,やはりもう少し自由な議論ができればいいと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  大変重要な御指摘ありがとうございます。
 清水委員,どうぞ。
【清水委員】  ありがとうございます。資料3-5の論点整理の中で最初の丸が私は非常に重要でないかなと思います。戦後70年で,大学院の位置付けといいますか役割が社会に認知されてこない。ここで高等教育の復権と同時に,やっぱり大学院の再生をすべきだと私は思っております。
 検討課題で,教育と研究を両輪とする高等教育とあります。これも,高等教育をあやふやにしているのではないか。私はむしろそのイメージの中にある,研究に基づく教育と,これを高等教育の柱にすべきだと思っております。それは研究所とも学校教育とも違う。学術の中心,学問の中心地というイメージにつながると考えています。
 その根拠は,御存じのように,200年前に近代大学ができまして,フンボルト理念に基づくベルリン大学です。ここで初めて研究に基づく教育が提唱されました。我が国も京都帝国大学で最初にそれを取り入れ,アメリカでは19世紀に9,000人もの留学生がドイツの大学院で勉強して,それによってアメリカ型の大学制度を作った。正に原点はそこにあると思います。それは研究に基づく教育というものです。そういう意味では,教員力が最終的に非常に重要になると思いますので,教員力を高めるために国も積極的に支援すべきだと思います。それはFDとか,あるいはプレFDも含めて,優秀な教員を育成することにあります。さらに,その研修を生涯にわたって積むことも求められます。そこに私は最終的な着地点があるのではないかと思っています。
 以上です。
【永田分科会長】  三島委員,どうぞ。
【三島委員】  ありがとうございます。今回申し上げたいのは,学部の1年から3年の教育がものすごく重要なんじゃないかということです。私も学生の1,2年生と随分話をしましたけれども,授業がつまらないという意見が非常に多いので,もうびっくりする次第でございます。
 これは平均的に4年生になったら研究室に入って,研究室で研究をしながら教育を受けるということを考えると,その前の段階の3年のところでいかに基礎学力を付けておいてあげるか,あるいはいろいろなことに興味を持たせるかというところが重要なので,要は,企業も社会も教育の質を問うてこなかった歴史を見直して,体系的な教育あるいは体系的な履修ができるようなカリキュラムの編成とか,一つ一つの事業の内容をもっと検証していかなくてはいけないと思います。
 それで,例えば方法としては,カリキュラムをしっかり編成して,まだ教わっていないことを別の先生が平気で教えるようなことをやるから学生たちは授業がつまらないと言うわけなので,そういうカリキュラムの編成をまずしっかりした上で,1つの科目に対して複数の教員が携わるようにするべきと思います。それで,例えば3人でやれば3年に1度自分がその講義を持てばいいというメリットもありますから,3人でカリキュラムやシラバスを作って,そして,お互いの講義を一緒に聴いて,ここのところを学生がかなり困っているようだから,もっとこういう教え方をしたらいいんじゃないかと思います。,そんなようなことで,作業は増えると思いますけれども,1年から3年の間の子供たちにそういう教育をしてあげられれば,新美さんや河野さんのような志について,もっと早く気が付いて育っていくんじゃないかなと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。ひとつだけ意見を述べたいのですが,科目ナンバリングもカリキュラムの体系化も大賛成ですけれども,個々の教育内容は大学ごとに面白くなくてはいけません。全ての大学が教育システムはもちろんナンバリングも体系化もしていただきたいのですが,教育内容が横並びだったらつまらないですよね。そこは先ほど言われているような,それぞれの大学が有している特性をうまく生かすように作らないと,どこの大学に行っても同じ教育内容ということではいけません。
【三島委員】  そう思います。それが大学の特色にならなければいけないと思います。
【永田分科会長】  どうもありがとうございました。
 髙倉委員,どうぞ。
【髙倉委員】  私からは,地方の企業の事業再生に支援をしている官民ファンドである地域経済活性化支援機構が100%出資をして地方創生のために設立した株式会社日本人材機構の取組について触れさせていただきたい。
 具体的には,首都圏で働く社会人が,週に3,4日は長野県の企業で働いて,更に週に1日ないし2日は,信州大学の客員研究員としてゼミを中心に学び直しをしているという取組であります。これは中小企業庁の実証事業であります中核人材確保スキーム事業に採択をされたものであって,首都圏の社会人が学び直しをしながら,地域の企業との関係を構築し,転職にもつながっていると聞いております。
 現在,地方の高等教育機関においては実務家教員の確保が大変大きな課題となっていると伺っておりますが,リカレント教育と融合するという観点からも,こういった具体例,先進的な事例の全国展開を進めていったらどうかと思っております。現在のところ,この取組は信州大学を含め2大学のみと伺っております。正に教育と研究を両輪とする高等教育の在り方の1つであり,こういった事例の全国展開を含め,いろいろ検討いただきたい。
 以上です。
【永田分科会長】  実例を紹介いただきありがとうございます。
 古沢委員,どうぞ。
【古沢委員】  ありがとうございます。私はこの論点整理の2番目の丸の文系と理系の問題について一言申し上げたいです。文系・理系に分けないというメッセージは非常に大切だと思います。ただ,特に高校の現場の先生方のお話をお聞きすると,非常に簡単ではないということで,特に入試の影響が非常に強いというのは否めないことだと思います。ここにも言及されてありますが,20年度から共通テストが始まって,24年度にリニューアルされると聞いておりますが,そこの新課程に沿った入試に向けて,文理の問題もかなり意識していかなければいけないのではないかと思います。
 特に文理選択については,女子の理系選択を促進するということは考えなければいけないと思いますし,幅広い理系分野ということだと思いますが,それと,今の社会で文系を選ぶ人が将来ビジョンを非常に描きにくくなっているというのは皆さんおっしゃっていて,私も文系の一員として思うんですけれども,その辺をやっぱり課題として意識して,何らかのサポートを考えていかなければいけないと思います。
 先ほど新美さんのお話を伺って関心を持ったので,もしお時間あれば後ででも結構なんですけれども,理化学研究所に経済学博士の方が初めて入られたということで,いわゆる文系人材の方が理系がほとんどの研究機関に入る上での効果とか課題というようなものも是非伺えたらと思いました。
 以上です。
【永田分科会長】  新美さん,お答えできるようであれば後ほど簡潔にお答えください。
 山田委員,どうぞ。
【山田委員】  ありがとうございます。私の意見も吉岡委員や髙倉委員と共通するところがあるんですけれども,一番の大きな問題点は,これから示すべき国家像,社会像の問題。これが非常に難しいのではないでしょうか。つまり,社会が多様化し,複雑化していく中で,1つの統一的な像を描くことが難しい時代にいかにその統一的な考え方を示せるのか,この教育と研究の両輪を考える上では大切な部分を占めるのではないかと思います。例えばSDGs1つ考えましても,環境という数値を考えるだけではなくて,そこに経済的な問題が入ってくるし,更に格差や貧困という社会的な問題が入ってくるからこそ,SDGsという形になったんだと思います。そうした点を捨象してさらっと書いてしまいますと,単なる産学連携の推進みたいな話にしかならないのではないかなと思っておりまして,是非とも社会像の問題,国家像の問題についても十分な議論をお願いしたいと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 鈴木委員,どうぞ。
【鈴木委員】  ありがとうございます。皆さんとはまた少し論点が違うので,御参考にしていただければと思います。産業界の1人として採用をしている中で,本日出ました文理融合という部分に関しては,結構文系でも理系でも関係なく,就職に関しては皆さん,理系出身だからといってそういった仕事を選ぶということがなくなってきており,採用に関しては文系・理系を問わず一般企業に訪れる方が本当に増えています。
 そういう意味では文理融合というのは大賛成ですが,今回の教育ということを捉えたときに1つ我々が忘れてはならないのは,多分人間力という部分の養成を必ずどこかに織り込んでいただきたいと思いました。逆にどんなに知識があっても,博士号を取る等,学位を取るにしても,それで実際に社会に出たときに人間力が低下していると,どうしても全てのものに対して壁ができてしまって,個人だけのとらわれ方になってしまうのではないかと考えます。
 今回この博士号を取る等の他に,社会と,産業界と大学の間においての,どういった人間像というものをきちんとそこに組入れをして教育に照らし合わせをしていくことが,必要だということをどこかで出していただきたいと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。おそらく,具体的な教育の外郭とその精神がそういう力を育成するものでなければあえて述べる必要が出てきます。そうならないように話を進めないといけないのだろうと思っております。
 宇山委員,どうぞ。
【宇山委員】  済みません,ありがとうございます。初めて発言するので的確かどうか分からないんですけれども。まず3-4の部分の企業も社会も教育の質を問うてこなかったということと,それから,最後のページの産学連携の在り方についてということに関連するんですけれども,私は東京医科歯科大学というお医者さんと歯医者さんがいる大学で広報を担当しています。
 そこでオープンイノベーションシステムみたいなことで産学連携をやろうと思うんだけれども,セミナーをやろうとしたら誰も集まってこないんですという,産学連携の方たちからありまして,何かアイデアありませんかといって,どんなところに,どんな企業に声掛けしているんですかと言ったら,製薬会社と精密機械とか医療機器を納めてくださっている会社ですという話をしたので,そこだけじゃなくて,もっとたくさんいろいろな企業があるので,医科歯科とは全く関係がなかったところにどんどん行ってみたら,PR出してみたらどうですか,お手伝いしますということで,私の方からお声掛けをしたら,100社ぐらい集まって,新しいイノベーションが幾つか生まれました。
 今,三井物産と一緒にAI関係で歯学部で新しい研究が始まったりということで,全く今まで付き合いがなかったところ,こんなところで共同研究できるはずがないというところにやっぱり声掛けを大学の方から,アカデミアからしていく必要があって,それを後押しする際に,アカデミアにいらっしゃる先生方はなかなかやっぱり企業目線に下りてというか,立って自分たちの研究が役に立つか立たないかという判断もできない部分もありますし,新しいアイデアを融合させるためには,全く関係ない企業の方を呼んでディスカッションをするというのが非常に大切かなと思いました。
 そのときに大学が作る仕組みとして,寄附金というか共同研究の金額が少ないという悩みもあるんですけれども,ハードルを低くしていくことがすごく大切かなと思って,私ども,新しいイノベーションの共同研究のシステムということで,10万円から,20万円からという非常に低い設定で企業が入りやすいような形の共同研究をしましょうという,共同研究を探る下準備をしましょうというようなシステムを作ったところ,それに賛同してくださる企業もたくさん現れてくれたというので,1つ方向性が,アカデミアの方で探るべき方向性があるかなと思っております。
 それから,リーディング大学院の話,若いお二人のお話を聞いたときに,お二人に共通しているところというのは,やっぱりインターンシップの選び方とか,それから,新しい人材をどういうふうにピックアップするかというパイオニア的な動きをされているということがすごくほかの大学院生の方とは違うかなと思ったんです。それをお二人は,大学院の中でどなたかの教官に学んだことなのか,それとも,オリジナルで持っているものなのか,それから,ニーズを持ってこられはやらなければいけないと思ったことなのかというのがちょっとこれから問題かなと思ったので,もし誰にも教わっていないとしたら,それをアカデミアは取り入れて,次の新しい人材育成のための教育のノウハウに生かしていかなければいけないかなと思いました。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 さきほどの質問について、新美さん,お答えをお願いします。
【新美氏】  簡潔に申し上げます。先ほどの文系として研究所に入る件ですけれども,スキルセット,理系として,例えば数学だとか,あるいはプログラミングだとか,そういったことに関しては,文系でそういう研究所に入るという時点で多分ある程度評価とかスキルはあるんだと思います。
 しかしながら,そういった点では別にいいんですけれども,それ以上に問題なのは何かというと,やはりマインドとかカルチャーが文系と理系で全然違うというところがございます。私たち,それこそ私の研究だと,ふだんはやっぱり研究としては社会に最終的にどういうふうに役に立つのか,どういうふうに価値があるのかということを考えた上で研究をやらないと予算が付かないと思っていたんですけれども,実際理系の研究所に行くと,自分が面白いからやってみる,興味があるからやってみる,価値があるかどうか分からないけど,別にそれでいいじゃない? と思っている方がやっぱりたくさんいらっしゃるという中で,私の場合はたまたま文系のチームの中で動いていたので,そういったすり合わせとかは不要でしたけれども,本当に文系・理系のいろいろな人材が集まって1つ価値を作っていくということを考えると,多分そういったところで何かしらの問題が発生してくるのではないかなとは感じております。
【永田分科会長】  博士課程教育リーディングプログラムでは,インターンシップはプログラム化されているということで理解していいんですか。
【新美氏】  そうですね。私のリーディングに関しては,必ずどこかしらの企業に行くということはもう決定しております。
【永田分科会長】  河野さんはいかがでしたでしょうか。
【河野氏】  私のプログラムでも,インターンが修了要件になっておりました。
【永田分科会長】  修了要件ということは,単位認定をしていただくということですね。
【河野氏】  そうですね。プログラムの修了認定で,学位の取得の認定とまたちょっと違うんですけれども,飽くまでも……。
【永田分科会長】  なるほど,必要十分条件のうちの一方ですね。
【河野氏】  そうです。
【永田分科会長】  分かりました。
 それでは,小林委員、どうぞ。
【小林委員】  済みません,2度目で恐縮です。
【小林委員】  どうしてもこれだけは言っておきたいことなので。というのは,大学院進学の阻害要因というのは,やはり第1は就職問題だと思いますけれども,第2は経済的な問題ですので,今日お二人も,それから,部会長も,経済的支援の重要性ということはおっしゃったと思うんですけれども,これが3-4の資料の3枚目ぐらいのところの裏側で書かれているわけですが,大学院生に対する経済的支援を充実しというのは当然だと思うんですけれども,博士課程学生の2割以上が生活費相当の受給をすると,何かここだけ非常に具体的に数字まで書かれていて,こういうことを書くのでしたら,やっぱり根拠をちゃんと書かなければいけないと思いますしということもありますし,ここは博士課程だけなんですね。
 こういった問題というのは,実は博士課程だけの問題ではなくて,当然修士課程の問題でもあるし,それから,もっと言えば,学部の時代,学士課程のことから経済的支援というのはつながっているわけですから,そのことを何かここだけ,博士課程だけ2割というのは,何か非常に書き方がバランスを欠いているように思います。それ以外にも,大学院でいいますと,授業料減免とか,TA・RA,そういった様々な支援措置を各大学がかなり努力してやっていますので,そういった総合的に経済的支援を行うというような書き方の方がよろしいのではないかと思います。
【永田分科会長】  修正いたします。
 長谷川委員,どうぞ。
【長谷川委員】  いろいろと社会全体として大学教育や大学院教育をどういうふうに考えていくかということを今初めて非常に広い視野から論じられるようになったんだと思うんです。1971年だか70年だかにアメリカの社会学者が,アメリカの大学というのは,大学進学率が増えてきたとともに,そこは職業訓練所でもあれば,結婚相手を見つけるクラブでもあれば,スポーツクラブでもあれば,レジャーランドでもある。もう何でもありのごた混ぜになってしまったと警告したんです。そこから先,アメリカの大学は,いろいろと,どういうミッションで,どういうつもりでということを,みんな社会との関連でそれぞれの,シラバスの在り方とかそういうことも決めるようになった。それを今,日本がみんなでやろうというふうになっているんじゃないかと思います。
 あと,3-4の2ページ目の最後に,大学は,大学教員の研究専念時間を拡大するため,研究活動のタスクシェアリングを実現する研究支援人材を配置することが必要と書いてあるんですが,大学教員の研究専念時間の拡大と表裏一体なのが,そこの大学院生がどういう教育を受けて,どういう研究者になれるか,能力を身に付けられるかということなのですよ。先ほどの新美さんでしたっけ,ああいうことをやると,指導教員に出ていってくれと言われるとか,そういうことがあるように,本当に大学院生が研究室の研究力を支える歯車として使われていたらいけないんですね。
 大学の院生として教育をどういうふうにするかということと,研究室の研究成果がうまく出ていくということは本来別の問題のはずなので,その研究の底力を支えるためにはポスドクが必要で,そのポスドクとか研究支援者というのが,先生の労力も減らすとともに,大学院生に本当にまともな研究能力を身に付ける教育を与えることのできる場にもなると思うので,研究支援人材は,大学教員の研究専念時間の拡大と表裏一体に,大学院のまともな教育に直結しているんだと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。このような議論を今後何度も続けますので,どんどん深化させていきたいと思います。
 本日お願いしたいことは,資料3-4については,科学技術・学術審議会総合政策特別委員会にもお見せする必要があります。つきましては、本日先生方から頂いた意見を踏まえて修正させていただきますので,修正については御一任をいただきたいと思います。取り分けて,有信委員や清水委員から,大学における研究とは本来どのような意味を持っているのかについて何らか記述すべきであろうという御意見がありました。さらには,山田委員や吉岡委員から,社会のあるべき姿を想定して考えるという点について,もう少し柔軟に考えることができるような記述が必要だろうというのが,前文部分についての重要な御指摘でした。
 そのほか,所々御指摘を頂いた点を修正させていただきまして,科学技術・学術審議会にお見せして第6期科学技術基本計画策定の議論に反映していただきたいと思っております。御了承いただけますでしょうか。ありがとうございます。
 新美さん,河野さんのお二方はここまでということにさせていただきたいと思います。どうも本日はありがとうございました。(拍手)
【永田分科会長】  それでは,最初に申し上げた,大学の産業界との産学協議会の進捗状況に関しまして,経団連から,宮田教育・大学改革推進委員会企画部会長,並びに長谷川SDGs本部長をお招きしておりますので,御説明をいただきたいと思います。それでは,よろしくお願い申し上げます。
【長谷川SDGs本部長】  経団連SDGs本部長の長谷川と申します。本日は貴重な機会をいただきまして,ありがとうございます。
 資料の4-1「中間とりまとめと共同提言―概要―」に基づきまして,簡単に御説明をさせていただきます。ページを1ページめくっていただきまして,産学協議会の概要でございます。これはもともと中西経団連会長が去年の10月に経団連として採用指針は作成しない,採用のスケジュールの策定に関与しないということを発表された後いろいろ議論が巻き起こりまして,その中で,問題というのは単に採用スケジュールではなくて,今後の日本を支える人材を育成するために必要な大学教育とは何か,また,企業の採用や中長期的な処遇の在り方をどうしていくかということではないかということで,経団連側から大学の方にお声を掛けさせていただきまして,今年の1月31日に採用と大学教育の未来に関する産学協議会を立ち上げさせていただきました。経団連と大学のトップが直接対話をする枠組みを作るというのは今回が初めてということでございます。経団連側は中西会長,それから,大学側は,就職問題懇談会の座長でもある埼玉大学の山口学長に座長をお願いしております。
 基本的に,その後,1月以降,2月から4月にかけまして,3つの分科会を立ち上げまして,各3回,計でいきますと9回,分科会の会合を開催いたしまして,そこでSociety5.0人材育成に求められる大学教育,それから,今後の採用とインターンシップの在り方,そして,地域活性化人材の育成の在り方というというテーマに分かれまして検討を進めまして,今年の4月22日に第2回の産学協議会を開催して,これから御説明いたします「中間とりまとめと共同提言」を公表させていただきました。その内容につきましては,5月の政府の未来投資会議で中西会長から安倍総理の方にも御説明をさせていただいております。
 協議会のメンバーは,2ページ目にもございますが,こちらに本日御出席の永田学長,それから,日比谷学長,それから,経団連でいえば渡邉副会長などにメンバーになっていただいております。
 それでは,中間とりまとめの内容につきまして,Society5.0人材育成に関して,経団連側の分科会長をお願いしておりました宮田様から説明いただきたいと思います。
【宮田教育・大学改革推進委員会企画部会長】  宮田です。それでは,産学で共有された認識として,Society5.0時代に求められる人材と大学教育について御報告をいたします。
 まず今まで企業側は,リベラルアーツを身に付けた人材とか,イノベーションを起こせる人材が欲しい,そういう抽象的な言葉でした。それから,大学側からは,それだとどういうカリキュラムを作っていいか分からない,もっと具体的にという御意見もあって,今回この1枚の7ページの資料に,これから今後議論をしていく上で共有できるゴールとしてこの資料を作りました。
 まず一番下のグレーのところに書いている忍耐力とかリーダーシップ,チームワーク,これは以前から企業側の採用の立場でいうと,やはりこういうことができる,体育会人材みたいなことが言われてきていたわけですが,その上に,リテラシーとして,数理的推論,データ分析力も含めて,とにかくこれは読み書きそろばんレベルのリテラシーとしてこれからは知識労働者となる国民全員がこういうものを身に付けるべきだろうということをまずベースとして,一番上に書いています論理的思考力と規範的判断力をベースに社会システムを構想する力を備えた人材,これがSociety5.0時代に求められる人材というふうに定義をしました。
 この人材は,論理的思考力と規範的判断力をリベラルアーツ教育を通じて涵養する。これを基礎としてということで,この中身ですが,1つの専門分野を学ぶことによって,思考のフレームワーク,それから,論理的な考え方を身に付け,また,望ましい社会や企業を考え得る規範的な判断力,そして,文理の枠を超えて,1つだけではなくて他分野への好奇心を持ってそういうものも学んで,幅広く柔軟な思考力,クリティカル・シンキング,こういったものを持った,まず基礎力としてこれを身に付けた上で,この上に,課題発見・解決力,そして,未来社会の構想・設計力。左の課題解決は,今,与えられた課題を解くではなくて,自ら社会の課題を見つけてそれを解決していく,そういったことを自ら行動する,そういう力。それから,未来社会,これも数年後のパラダイムシフト先の社会を見据えた上で,バックキャスティングして順番に優先順位を付けてそれを実行していく力,こういったものを身に付けるということがSociety5.0人材に求められていることである。そうすると,その中からやはり深く学びたいということが出てきて,そういったものを,高度専門職に必要な知識と能力ということで更に学ぶ。こういう人材がSociety5.0人材としてこれから必要になってくるだろう,こういう定義を共有させていただきました。
 8ページ目です。では,それに向けてどういう具体的なことが必要かということですが,まず1つ目,4点挙げています。初等中等教育から高等教育に至る全ての段階でこういうことを関与していく必要がある。これは大学だけでこれをやるわけではなくて,子供の頃から,初等中等教育のときからこういうことをゴールとして育成していくということです。そのために,双方向型のゼミとか,実験,それから,PBL型の教育,それから,海外の留学経験,こういったことを,当然,異なる意見を持った人たち,グローバルなそういう人たちとロジカルにいろいろな議論ができる,そんな力を身に付けていくことが必要だろうと。
 それから,そうしてくると,現行の採用日程ですと,大学3年の3月から就職活動にシフトしてしまって,十分な学修の期間が確保できていないという課題があります。従って,採用日程の在り方を考えていくとか,大学院レベルまででちゃんとこういうSociety5.0人材としての必要な教育をしっかり身に付けて育ってもらう,そういうことが必要で,やはり3年では短いだろうと。
 3点目,広く国民がSociety5.0のビジョンを共有した上で,国全体でマインドセットの変革をして,これから価値創造の社会,それから,知識労働者,そういったことにどんどん国民全員が変わっていかないといけない。そういうことをやはり国全体でマインドセットを変えていくということが重要だろう。
 それから,4点目,5年,10年後の社会の主軸になるのは,今企業で活躍している人材です。この人材を従来型のものづくり中心の人材から,価値創造ができる人材に変革をする。そういう意味で社会人のリカレント教育のプログラムの拡充をして,能力向上が重要だろう。こんな4点をこれからベースに検討していかないといけないということです。
 課題として,この下に書かれております。そうはいっても,やはり教えられる人材が不足しているとか,大学と企業でそういうマッチングをする場がなくて,お互いに見つからない状態になっているとか,企業側も,修士・博士課程に進学する人たちのインセンティブや学修意欲の向上につながるような採用・人事評価への転換が必要だとか,それから,大学側には具体的な専門性とか能力の明示が必要だとか,また,資金の問題,こういったことが今後の課題として提示されました。
 以上です。
【長谷川SDGs本部長】  それから,そのほか2つの分科会につきまして,簡単に御説明します。
 9ページです。今後の採用とインターンシップの在り方については基本的に,これは日経新聞の報道がちょっと誤解を生むものであったんですが,協議会で合意したのは,新卒一括,いわゆるメンバーシップ型採用に加えて,今後はジョブ型を念頭に置いたいわゆる通年採用も含め,複線的で多様な採用形態に秩序を持って移行していくべきだということと,そのためには,大学と企業側が共通理解によって,学生の学修経験時間を確保し,かつ質の高い大学教育を実現しつつ,学生の主体的な選択,それから,学修意欲の向上に資する就職・採用方法を考えていくべきだろうと。大学側には卒業要件の厳格化を徹底してほしいということでございました。
 また,インターンシップについては,今,定義というか,インターンシップというものの中にキャリア教育的なものからいわゆる職業に直接結び付くものまでいろいろなものが入ってきてしまいますので,そういったことについての共通理解の確立が必要であろうということ。それから,ワンデーインターンシップについては,これはいわゆる教育目的を持つインターンシップとは呼べないので,この呼称は使うべきではないということで合意をしております。
 それから,10ページ目,地域活性化人材については,地域の問題としては,やはり人材流出が激しく,還流が少ない,雇用機会が少ないといったことが一番大きいということでございますので,地域の産業発展,それから,産業の創出に資するマッチング,地域の大学と企業間でそういうシーズとニーズのマッチングを強化していく必要があるというようなことで合意をしております。
 最後に,今後でございますが,14ページ以降でございます。今回の中間とりまとめは,飽くまでも最初にいろいろ認識を共有したというところでとどまっておりますのでこれからなんですけれども,Society5.0人材を育成するカリキュラムとか,社会人のリカレント教育を活性化するためには,大学側,企業側はどういった条件整備若しくは促進策が必要かとか,そのほか,採用形態の変化に対応していくためには,具体的にはどういう方法があるのかとか,キャリア教育とインターンシッププログラムを実際にどのようにプログラムを開発して促進していったらいいのかといったようなことにつきまして,一応ここの案では7つに今,整理・統合しているところでございますが,タスクフォースを更に分科会の下に設置して,これからそこのタスクフォースで集中的に議論したものを,更に分科会,それから,産学協議会の方に上げていって,更なる提言若しくは共同で実施するジョイントアクションなどにつなげていきたいと考えております。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございました。中間取りまとめの概要及び今後のタスクフォースの設置について御説明がありました。中央教育審議会大学分科会としては,改めて進捗状況を踏まえて是非ともお招きをして,御報告をいただきたいと思っております。
 宮田様,長谷川様,本日は大変短い時間でしたがありがとうございました。
 それでは,最後ですけれども,グランドデザイン答申の中で学生調査が提言されています。文部科学省の方でまずは試行という形態で用意をしているということなので,御説明をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。資料5を御覧いただければと思います。学生調査についてということで,今回,試行調査ということで,今年の秋頃にかけてやってみようと考えております。
 学生調査の実施イメージは,左下のオレンジの枠で,学部3年生を対象とするウエブによるアンケート調査です。調査項目は非常に簡潔なもの,スマホで10分程度で回答可能のもの考えております。原則,大学・学部ごとの集計結果を公表し,学生には調査結果をフィードバックしたいという,そういう仕組みでございます。
 後ろの10ページ,11ページを御覧いただければと思います。これは学生さん向けに配布するチラシのイメージとして作らせていただいております。右側にどういう項目を聞くかということを整理しております。まず経験を聞くようにしておりまして,大学での授業・学習等についてということで,問3が授業の内容,問4が大学でのさまざまな経験,それから,問5が学習時間等生活時間,そして,問6が講義の形態,そして,問7が,こういう知識・能力を身に付けるときに大学教育は役に立っているかということを確認する,このような簡単な項目でやってみようと思っております。
 今回は試行ですので参加大学を募らせていただいて,本格調査においては,できるだけ多くの大学に御参加いただき,多くの学生の声を伺えるようにしていきたいと思っております。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。試行調査ということなので,御意見があれば,事務局にお伝えいただきたいと思います。おそらく、この調査の回答の中からそれを更に深掘りするアンケートというのは考えられていると思いますので,まず気軽にスマホで回答してもらおうという試みです。
 今日は若干定刻を超過してしまいました。大変申し訳ありませんでした。
 後半駆け足で進めましたが,最後に何か付け加えて御質問なり御意見なりございますでしょうか。
【河田委員】  1分間だけしゃべらせてください。既に御存じかと思いますけれども,今回,国立大学協会の新しい会長に永田分科会長がご就任されました。1950年(昭和25年)7月の設立以来,初代会長は東京大学の南原繁先生でしたが,会長代行を含めますと34人目の会長として永田分科会長が選任されたのです。やはり研究・教育の面では国立大学が頑張っていただく。私立大学の方も,国立大学の運営費交付金が減額されると私学助成金も減額されるわけですので,私立学のためにも頑張っていただきたいと思いますし,大学分科会も多くの意見を取り入れながらすばらしい議事運営をしておられますので,そういう形で日本の高等教育をリードしていっていただきたい,というのがメンバーの一員としてのお願いでございます。御苦労さまです。是非拍手を。
( 拍手 )
【永田分科会長】  どうもありがとうございます。分科会長を務めているのは永田恭介個人ですので,引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは,今後の日程等事務局から最後に御説明いただいて,お開きにさせていただきます。
【石橋高等教育政策室長】  ありがとうございます。次回は8月9日金曜日10時から12時を予定しております。会場は調整中のため,追って御連絡いたします。
 資料の郵送についてはいつもどおりでございます。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  どうもありがとうございました。5分超過してしまいました。申し訳ございませんでした。それでは,これでお開きにさせていただきます。

―― 了 ――

 

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