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大学分科会(第143回)・将来構想部会(第9期~)(第26回)合同会議 議事録

1.日時

平成30年9月26日 10時~12時

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第二講堂

(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 我が国の高等教育に関する将来構想について
  2. その他

4.出席者

委員

(分科会長・部会長)永田恭介分科会長・部会長
(副分科会長)北山禎介副分科会長,村田治各副分科会長
(副部会長)日比谷潤子副部会長
(委員)有信睦弘,亀山郁夫,志賀俊之,山田啓二の各委員
(臨時委員)麻生隆史,安部恵美子,石田朋靖,伊藤香織,金子元久,河田悌一,黒田壽二,小杉礼子,小林雅之,伹野茂,千葉茂,野田三七生,福田益和,古沢由紀子,益戸正樹,吉岡知哉,吉見俊哉の各臨時委員

文部科学省

(事務局)小松文部科学審議官,山脇文部科学審議官,義本高等教育局長,村田私学部長,伯井文部科学戦略官,山﨑文教施設企画部技術参事官,平野大臣官房審議官(生涯学習政策局担当),下間大臣官房審議官(初等中等教育局担当),瀧本大臣官房審議官(高等教育局担当),信濃大臣官房審議官(高等教育局担当),塩見生涯学習総括官,蝦名高等教育企画課長,淵上国立大学法人支援課長,茂里私学行政課長,石橋高等教育政策室長,平野大学改革推進室長 他

5.議事録

【永田分科会長・部会長】  それでは,時間になりましたので,第143回大学分科会・第26回将来構想部会合同会議を始めさせていただきます。皆様,本当に御多忙の中,御出席を頂きましてありがとうございます。
 報道カメラは議事が始まるまでとさせていただきますので,御承知おきを頂きたいと思います。
 それでは,議事に入る前に義本高等教育局長から御発言がございます。
【義本高等教育局長】  大変申し訳ございませんけれども,私の方からおわびさせていただきたいと存じます。今般,文科省職員の服務規律の遵守状況等に係ります調査結果がまとまりまして,それを踏まえまして,去る9月21日の金曜日でございますけれども,逮捕・起訴された谷口被告と会食を行ったということで,国家公務員倫理規程に違反するということで,戸谷事務次官,高橋初等中等教育局長,それから私,義本の3名が減給処分を受けたところでございます。また,同日付で,戸谷事務次官,高橋初等中等教育局長は,監督責任に基づきまして辞任したところでございます。文部科学行政に対する国民の信頼を根底から揺るがす事態を起こしたこと,その一端に,部下職員を指導すべき幹部職員でございます私自身が関わったこと,皆様に改めまして深くおわび申し上げたいと存じます。
 今回の事案を受けまして深く反省し,今後二度とこのようなことを起こさないよう職務に当たってまいりたいと存じます。高等教育行政をめぐりましては,現在,この中央教育審議会で将来像のグランドデザインについて御議論いただいていますし,また大学の経営力強化やガバナンス改革,教育の質保証などの大学改革の推進,2020年から始まります高大接続改革,さらには高等教育の新たな負担軽減制度の創設など,文字通り待ったなしの重要な政策課題が山積している状況でございます。高等教育行政の責任者として,これらの課題に一つ一つ真摯に向き合いながら,国民の期待に応える施策を前進させていくことをもちまして責任を果たしていきたいと存じます。

(1)「制度・教育改革WG審議まとめ(案)」について,制度・教育改革ワーキンググループ主査代理の小林委員より資料1に基づき報告があり,その後意見交換が行われた。

【永田分科会長・部会長】  それでは,本日の議題について御説明いたします。まず1つ目は,将来構想部会の下に設置している制度・教育改革ワーキンググループ(以下,「WG」という。)からの御報告です。WGでは,長らくいろいろな教育のシステム等についての御議論を行っていただきましたが,その「審議まとめ(案)」を本日御報告いただきます。
続きまして,「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申案)」(以下,「答申案」という。)について,前回と前々回の将来構想部会において,委員の皆様から頂いた御意見を反映した案を作りましたので,これを御説明して御意見を頂きます。
 それでは,配付資料について,事務局から説明をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。配付資料が7点ございます。資料1がWGの審議まとめ,資料2から4が答申案に係るもので,要旨,本体,それから過去の答申を踏まえた議論の整理でございます。資料5が将来構想部会の今後の日程で,最後に参考資料1,2といたしまして2019年度の概算要求資料を配布させていただきました。不足がございましたらお申し付けください。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございました。
それでは,早速議事に入らせていただきます。先ほども申し上げましたけれども,最初はWGの「審議まとめ」について御報告いただきます。本日,WGの主査が御欠席ですので,小林主査代理から御報告いただき,詳細については事務局から御説明を頂こうと考えております。それでは小林主査代理,お願いいたします。
【小林委員】  資料1を御覧ください。制度・教育改革ワーキンググループは,我が国の高等教育に関する将来構想についての諮問のうち,特に制度面に関する事項について,とりわけ専門性を有する委員を中心に議論を行うということで,将来構想部会の下に設置されたものであります。WGでは,昨年の7月末から審議を開始し,12月に一旦,論点整理を取りまとめました。その後も計19回にわたり精力的に審議を行いまして,今回,「審議まとめ」を取りまとめましたので,将来構想部会に御報告いたします。
 特に昨年12月の論点整理以降は,将来構想部会の議論の進捗に沿って,専門性の高い検討が必要となった事項について,その都度,WGで議論いたしました。その具体的な事項は,11項目に及ぶ幅広いものになります。資料1の2ページ,3ページを御覧ください。大きく分けると,リカレント教育や留学生政策など学生の流動性に関するもの,それから学部や研究科等の組織を超えた学位プログラムなど,教育課程の柔軟化に関するもの,さらには全学的な教学マネジメントの確立など,教育の質保証に関わるものなど,多岐にわたっております。今回のWGの「審議まとめ」では,この11項目を答申案の項目に沿って取りまとめました。各項目については,制度改正等の方向性が示されたもの,すなわち至急実施すべきもの,あるいは,今後より深い審議が求められるものと,項目によって濃淡はございますが,いずれも2040年の高等教育を見据え,その一助になるよう鈴木主査を筆頭に各委員が精力的に議論したものであります。
 諮問との対応については3ページを御覧ください。これについて,詳細は後ほど事務局から説明いたしますが,皆様が取りまとめられた答申の中に具体的に取組として盛り込んでいただきますようお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
【永田分科会長・部会長】  小林主査代理,またWGの委員の皆さん,どうもありがとうございました。それでは,「審議まとめ」の詳細については,事務局の方から御説明をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。資料1に基づきまして,12月の論点整理以降,特に議論が深まったところを中心に御説明させていただきたいと思います。
 まず,4ページからリカレント教育について記載がございます。おめくりいただき6ページ目,特に「産学連携による教育プログラムの改善・充実」という部分の記述は,高等教育機関と企業・産業界等との対話の場の構築など産学官が一体となってこれを支える仕組みを構築していくことが必要であるということ,また社会人の学んだ成果の活用や仕事への接続が図られるような取組という観点から,記述が深くなっているところでございます。
 12ページ目,高等教育機関の国際展開に関しましては,「(3)制度改正等の方向性」において,例えば,具体的に海外校を設置する際にどのような場合が校地・校舎の自己所有原則の例外に当たるのかということについて,具体例を明示することや,海外校の定員の扱いについて,また海外協定校との連携強化を通じた新しい海外展開方策のモデルなども示していくということで整理されております。
 14ページ目からは,学位プログラムの観点について記載がございます。学位プログラムの記述も,「(3)制度改正等の方向性」において,教員組織,学生組織,以下それぞれ非常に具体的に,どのようにやっていくかということを整理いただきまして,これを基に新しい学位プログラムをどういうふうにしていくかということが,1つの基準として示されたところでございます。
 20ページ目からは,「大学間の連携による教育プログラム等の多様化」について記載がございます。制度改正等の方向性として,単位互換制度についてどのような対応が必要かということについて,21ページ以降,これまで各大学が取り組んできた単位互換の在り方を一旦整理させていただいております。
 22ページからは,「ICTを活用した教育」について記載がございまして,特に23ページ以降,同時双方向型,オンデマンド型というそれぞれのやり方について,詳細にどういうことができるのかということを整理させていただき,これに基づいて,更にICTを活用した教育が進むことが期待されているところでございます。
 最後に,28ページ目から記載がございます教育研究の質保証に関しましては,この部会でも御議論が進んでおりますけれども,制度改正の方向性として,設置基準の抜本的な見直し,また設置計画履行状況等調査や認証評価の在り方についても,具体的にどうしていくかということについて御提言を頂いているところでございます。
簡単でございますが,「審議まとめ」の詳細は以上でございます。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございました。本資料は,会議に先立ち皆様に事前配付いたしましたけれども,議論が深まった部分等については,目新しい部分もあるかもしれません。御質問を主体に御意見を含めてお聞きしたいと思います。
 例えば,以前,鈴木委員から,MOOCなどについても答申案の中にきちんと書き込むべきであるというご意見がありましたけれども,この点はWGの審議まとめに記載があります。答申案は大きな枠組みで書いておりますから,詳細についてはWGの「審議まとめ」を見ながらというのが一番分かり易いかと思います。
 有信委員,どうぞ。
【有信委員】  制度改革については非常によくまとめていただいていると思います。特に気になるのは,認証評価に関わる部分であります。30ページに,いわば分野別評価と一般評価,それぞれできるだけ統一するのが望ましいとか,29ページには設置基準ときちんと整合性を取るというような話をきちんと書き込まれているのですけれども,この中で,例えば認証評価あるいは分野別評価について,答申案にはグローバリゼーションのところでいろいろ書いてあるのですけれども,いわば国際的な通用性という視点についての議論はどの程度やられたのでしょうか。現実に国際的な通用性については,今,国外ではいろんなところで議論が進められていて,それに適合するような形で,東南アジア等々ではいろんなことがまた努力されていると聞いていますけれども,その辺の議論はどこかにあるのでしょうか。
【永田分科会長・部会長】  小林委員,どうぞ。
【小林委員】  ほかにWGの委員の方もいらっしゃいますし,事務局からも補足していただければと思いますけれど,今の有信委員の御質問に関しましては9ページを御覧ください。「学位等の国際的な通用性」ということでありまして,ここで学位を国際的に通用するためにはどのようにしたらいいかというような議論を行いまして,専攻分野の名称について一定のルールを作るなど,ある程度細かい議論をしております。
 それからもう一つは,11ページにありますが,国際的な展開ということで,この中でも,様々な展開をするために,こういった評価との関係性ということが出てまいりますし,先ほどありましたように,設置基準等についても改正する必要があるということで,具体的にはそこまでまだ議論としては煮詰まっておりませんけれど,設置基準等を改正していく必要があるというところで,課題としております。
 それから13ページのところは,「学位プログラムを中心とした大学制度」ですが,これは国際展開ということでは必ずしもないのですけど,こういったことを進めていく中で,当然,認証評価あるいは国際性の問題が入ってきますので,それぞれ相互に関連しながら進められていくと考えております。
 私からは以上です。
【有信委員】  御説明のとおりだと思うのですけれども,ただ,ちょっと気になっているのは,例えばヨーロッパで進んでいるボローニャ・プロセス等々で,EU圏内ではレファレンス学位,指定学位の共通化が図られているという格好で,結構,ある意味で進んでしまっているわけです。日本だけそこから取り残されていると,もうちょっとスピード感があった方がいいような気がいたします。。
【永田分科会長・部会長】  河田委員,どうぞ。
【河田委員】  28ページの一番上,参考②の7行目,「大学教育の質に関する情報」というところです。8月末から9月初めにアメリカ西海岸の5つの大学を視察したのですけれど,そのときに問題になったのは,日本の大学は単位を取らせ過ぎているということです。そういう大学はだんだん少なくなってきましたけれど,3年生までにほとんど単位は取れて,あと4年生は卒論とゼミを残すだけだとか,そうした大学が少なくない,かなりまだあるようですので,是非ここで履修制限の厳格化,CAP制という言葉を,「履修系統図の活用状況」の後に入れていただくといいのではないかと思います。今,日本だと,私立大学の中で玉川大学は,教員免許とか,資格を取る場合は別として,普通の大学は124単位が卒業単位とされていますが,玉川大学では128単位しか取らせない。1年間の履修の制限32単位掛ける4年の128単位をきちんと実施している。さらに,読むべき書籍のリーディングリストを学生に渡して,それを読んでこさせて,きちんと勉強させる,レポートも毎回書くように義務付けている。日本の大学は,失礼ですけれど,授業の密度が濃くないわけですから,一言,履修制限(CAP制)の厳格化という言葉を入れていただければ有り難いなと私は思います。

【永田分科会長・部会長】  小林委員。どうぞ。
【小林委員】  その点については議論いたしました。これまでも単位の実質化とか厳格化ということは大きな課題になっておりましたので議論はいたしましたが,具体的にCAP制度を厳格に導入するということについては,必ずしも合意には至らなかったといいますか,そこまで議論しなかったというのが正確なところであろうと思います。1つは,資格の関係がありまして,現在,資格を取るためにたくさんの単位を取らなければいけないというようなことがありまして,CAP制を敷いてしまうと,それによりなかなか資格を取れないというようなことにもつながってまいりますので,そのあたり,どうするかという問題がございます。それから,そもそも単位について言えば,1単位について1時間の予習,1時間の復習ということで,設置基準上はなっているわけですけれど,これが現実にはなかなか機能していないと。したがって,設置基準そのものを含めて,先ほど申しましたように見直しが必要であると考えておりまして,私の個人的な意見に近いのですけれど,そういったこと全体を含めて,単位制度そのものを見直す必要があるのではないかと思っております。ですから,CAP制度もそのうちの一部にすぎないと考えております。
【永田分科会長・部会長】  事務局からも少し説明をお願いします。
【平野大学改革推進室長】  補足させていただきます。大学振興課大学改革推進室長でございます。
 小林委員の御説明のとおり,CAP制について,今,密度の濃い議論はされていないわけでありますけれども,25ページを御覧ください。今後,教学マネジメントの確立という観点から,一括した形で教学マネジメント指針を策定するべきであるという御提言を頂いてございます。この中では,しっかり密度の濃い授業をどのように設計していくのかという観点から,この「参考」という部分に,「指針に盛り込むべき事項の例」とございますけれども,例えば3つ目のポツに,柔軟な学事暦の活用,そして履修単位の上限設定(CAP制)の適切な運用,このようなものを盛り込んでいるわけでありまして,今後,引き続き,中央教育審議会でこのような点についても議論いただきまして,あるべき姿というものを大学に示していくということが求められていると考えてございます。御参考として御紹介させていただきました。
【永田分科会長・部会長】  よろしいでしょうか。それでは金子委員,どうぞ。
【金子委員】  今の点ですけれども,日本の学習時間が少ないということについて,よくCAP制,取得単位の制限とか成績の厳格化などと言われ,要するにコントロールする側からの議論がすぐ出てくるわけでありますけれども,私は最も基本的なのは,一つ一つの単位をきちんと取るために学習時間を必要とするような授業にしていくということが基本であって,まずそれをどのようにして実行していくかということが大切だと思います。単位制度の見直しということはありまして,それは全く逆でありまして,私は今の単位制度を守って,それが今,守られていないところに問題があるのであって,それを直さなければ,大学教育の実質化はあり得ないと思います。そういう意味では,むしろ学生の学習行動をきちんとモニターして,それを公表する,情報開示するというような方向は行わなければいけない。CAP制についても一応書いてはありますけれども,論旨の流れとしては,そういった形で情報公開等々を用いて学習時間を実質化するという方向で解決を図るべきだという論旨だと思います。
【永田分科会長・部会長】  黒田委員,どうぞ。
【黒田委員】  この資料の中によくまとめてあると思います。ただ,これを,いつまでも議論していても駄目で,これをやるためには,設置基準の改正や学校教育法の改正が必要になってくるんです。これを早急にやらないと,どこも動かないと,絵に描いた餅になってしまうということになりますので,できるだけ早くこれを改革する,公開するということをやっていただきたいと思っています。
【永田分科会長・部会長】  吉見委員,どうぞ。
【吉見委員】  今のCAP制に関わるところで,金子委員の補足の発言になりますけれども,日本の学生たちの履修行動の基本的な問題は,一つ一つの授業がどうしても深くならないということがあります。浅いものが集まって124単位になってしまう根本の問題は,1学期当たりの学生の履修科目数が平均して多過ぎるということです。つまり,日本の大学生は,1学期当たり大体10科目から12科目を1年生から3年生まで履修しています。国際的に見れば,これは極めて異常な状態で,アメリカですと大体4科目,多くても5科目で日本の半分以下です。その原因は,1科目当たりの単位数が欧米圏だと大体4単位,日本だと2単位だという,1.5から2単位という根本的な構造の違いに起因するわけで,こんなにたくさん科目を取っていたら,科目を取っているうちに何を取ったか学生たちは忘れてしまうし,卒業するまでには60科目から70科目を取るわけですから,1年生の頃に何を勉強したか大体忘れてしまうのが普通だと思います。この構造を根本的に変えるということが本当は必要なので,今回の答申の中ではなかなか難しいと思いますけれども,今後の課題としては,先ほど金子委員がおっしゃったことと重なりますけれども,学生の履修構造の根本を変えるという措置が必要で,それをやらない限りは,なかなか幾ら何をやっても,一つ一つの科目が深くなるということは構造的に不可能な形になっていると思います。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。先生方の御意見を全部盛り込むことは不可能かもしれませんが,これはまだ「案」ですので一部の御意見はまだ盛り込む余地があると思います。
それでは小杉委員,どうぞ。
【小杉委員】  リカレント教育のプログラムの充実に関する記述についてです。6ページ目中段の「産学連携による教育プログラムの改善・充実」の最初の丸の文章の最後の部分ですが,「その際,こうした動きに柔軟に対応できるよう学内の組織・体制等を変えていくという視点を持つことも重要である」と,非常に書き方弱い。何でこんなに弱い書き方をしているのだろうと,すごく疑問に思ったんです。リカレント教育という話は,もうそれこそ40年も前からされていて,それが日本では全然動かなかった。これだけ動かなかった事態を今,動かさなければならないというときに,やっぱりもう,これは学内の組織体制そのものからきちんとやらなければ,リカレント教育は動かないと思うんです。よく社会のせいにされますけれども,例えば2000年代に私どもがやった調査では,企業ないし個人が外の教育プロバイダーから教育訓練を買うという行動は,市場規模でいくと1兆3,000億ぐらいなのですが,ただそのうちに大学が占めるのは5.3%にすぎず,市場はあるのにそこに切り込んでいなかったという事態もあるわけなのです。大学自体がもっと根本的に動かなければならないのがリカレント教育だと思うので,「視点を持つことも重要である」といった表現が,とても私には,なぜこんなに弱い書き方になったのか不思議で仕方がないです。
【小林委員】  なかなか難しい質問で,答えるのも難しいわけですけれど,これについてもかなりいろんな議論がありました。小杉委員の言われるように,大学の動きが遅いとか,リカレント教育が提唱されたのは,そもそももう1970年代の話ですから,50年近くたっていると。それで,この間,一体何をやってきたんだというような議論がかなりありました。今言われたとおり,産業界がなかなか受け入れてくれなかったのだというような意見もかなりありました。それに対しまして,大学についても,なかなか氷山を動かすようなものですけれど,少しずつは動いているのではないかというのが,大体,認識だったと思います。それを反映して少し弱い書き方になっているので,このあたりはどういう書き方がいいかということはもう少し議論したいと思いますけれど,そのようないろんな審議の中でこういう表現になったと御理解いただければと思います。
【永田分科会長・部会長】  野田委員,どうぞ。
【野田委員】  本文の14ページから記載のある教員組織に関しまして,大学における教職員の働き方についての論議がどの程度されたかというのを,少しお聞きしたいと思っております。15ページの上段には,「勤務状況を適切に管理し」という文言は入っているのですけれども,少しこれでは弱いのではないかと感じておりまして,とりわけ中央教育審議会初等中等教育分科会の学校における働き方改革特別部会において,小・中・高校の働き方改革の論議は進められておりますし,年末にはそれが提唱されるということも聞いているわけでございますが,この諸課題については,大学をはじめとした高等教育機関で働く教職員の皆さんにおいても不可欠なテーマではないかと思っておりまして,もう少し突っ込んだ表現などを頂ければいいのではないかと思っておりまして,そういった論議があったのかというところをお聞かせいただければと思います。
【小林委員】  この点に関しましては,15ページにありますのは,全体として学位プログラムをどうするかというような議論が出てきていて,現行の設置基準では,全て学部が単位で設置基準というのは組み立てられておりまして,専任教員というのは必ず1の学部にしか置けないというような決まりになっているわけですが,これが非常に足かせになっている。学部を超えたプログラムを作ることが難しいというようなところから出てきたわけです。ただ,そうしますと,複数の学部,あるいは将来的には複数の大学ということもあり得ると思いますけれど,そういったところに所属するようになりますと,レポートをどういうふうにするかということが非常に問題になってくると。そのような議論の中で出てきた問題でありまして,それ以上の議論はここではいたしておりません。それから,今御質問になったことに関連して言えば,教員の評価をもっとすべきだというような意見は複数の委員からありましたけれど,これについてもそれ以上の議論というのは,今のところしていないというところが現状です。ですから,これはエフォート管理というようなことを全体としてどういうふうに考えるかという観点から,更に検討する必要があるのだと考えています。
【永田分科会長・部会長】  古沢委員,どうぞ。
【古沢委員】  29ページの認証評価のところですが,(3)のところで,(2)にも書いてありますが,定性的な規定について解釈の明確化を図るというところで,確かに認証評価は大変な労力を掛けてやっていらっしゃると思うのですけれど,一般の人であるとか学生から見ると分かりにくいというのが正直なところで,その分かりやすさ,ひいては質保証につなげるためにも,明確化というのは是非やっていただきたいと思います。
 その下の方で,大学設置基準の抜本的な見直しを検討するというところなのですが,私の読み込み不足かもしれないのですが,方向性とあるのですけれど,抜本的に見直すというのは,もうちょっと具体的に書き込めないかなというのは思っておりまして,例えば28ページからある,設置認可制度の弾力化や事前規制から事後規制への移行という今までの流れも踏まえて,抜本的に見直すという理解でよろしいのかなと疑問に思ったので,それだけちょっと伺えればと思います。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。それでは小林委員,どうぞ。
【小林委員】  簡単にお答えしますと,認証評価については御指摘のとおりで,なかなか社会一般では分かりにくいということもありますし,かなり微細に至っていますので,余計,大学外の方には分かりにくいというようなことがあるかと思いますので,それは工夫していかなければいけないということと,もう一つは,逆に評価疲れと言われますように,やった割には効果が見えないというような問題もあります。いずれにいたしましても,それをもう少し,機関別評価でありますとか分野別評価をどういうふうにするかとか,そういう問題を含めて検討し直すということと,もう一つは,先ほど金子委員も言われましたけど,大学の情報公開とか,そういうことを進めていくということの中で,社会に対して大学が何をやっているかということを示すということが重要だということで,これについてはかなり議論いたしました。
 それから後半の質問ですけれど,設置基準の抜本的見直しについては,これは先ほど少し申し上げましたけれど,今の設置基準というのは学部を中心に組み立てられておりますので,それが非常にいろんなことで制約になっている。それだけではないのですけれど,設置基準自体が,これは私の個人的な意見に近いのですけれど,いわばパッチワーク的に少しずつ直してきていますので,新しい事態になかなか対応できない。例えばサテライトキャンパスというようなものについても,設置基準では,そのものについては明確な規定がないわけです。それから,非常に大きな議論になったのは,やはり日本の大学が国際展開する,つまり海外キャンパスを作るときに,日本の設置基準と同一のものにする必要があるというのが現在の設置基準なのですけれど,それについても実情に合わないのではないかというようなことで様々な議論がされまして,そういったことを含めまして,最終的にやはり設置基準を見直す必要があるのではないかというような議論になったということであります。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。答申案では,昭和31年に制定された大学設置基準が現状にも適応するかどうか等において検討する必要がある,という文言に置き替わっています。それでは金子委員,最後にお願いします。
【金子委員】  先ほどのリカレント教育ですが,小杉委員がおっしゃったように,大学に対する要望のところが少し弱いのではないかという話ですが,私は,もっと問題なのは,この部分は企業に対する要求が非常に弱いということです。企業に隠して大学に行っている人が多いというようなことが書かれているわけですが,それに対する対策というのは全く書かれていない。私は,中央教育審議会としてやはり企業社会に,こういったことを容易にすることを考えろという要望を,要望として明確に記すことが重要だと思います。そういった面から見ると,ここの部分は非常に弱いと思います。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。私も1つだけお伺いしたいのですが,11ページの学位名の英文表記は,「Bachelor of」と,学士課程についてだけ言われていますが,大学院課程についても議論はされましたか。
【小林委員】  そのことについては,必要性は意見として出ましたが,まだそこまではまとまっていないということと,それからもう一つ,これは一応,英語表記だけの問題でありまして,課題になっているのは,日本語の方もどういう風にするかということも課題になっているということがあります。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございました。今,皆さんから頂いた御意見は,別途専門委員会を立てて,その中で具体的な法律に落とし込むための,例えば文言等も含めて,議論をこれからしないといけません。現時点での共通認識として,ここで挙げられた論点はおおむね答申案に入っており,課題としている部分は,答申案の「今後の課題」というところに明確に書いているところです。
以上になりますが,「審議まとめ」について本日御意見がいろいろと出ました。これらの御意見を踏まえ,WGにおいて「案」を取る前にもう一度御議論いただき,最終まとめとしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,この案件につきましては御報告という位置づけでしたので,ここまでにさせていただきます。

(2)「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申案)」について,資料1に基づき事務局から説明があり,その後意見交換が行われた。

【永田分科会長・部会長】  続きまして,「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申案)」についてです。すでに,再々お示ししながら,皆さんの御意見を取り入れて,順次修正しているところです。今回,その資料の説明をさせていただいて,御意見を賜ります。これまで25回にわたり,議論してまいりましたが,そろそろ答申案の最終バージョンとしたいと考えています。ひとまず,前回までに頂いた御意見を踏まえた答申案をまず説明させていただいて,意見交換をさせていただきます。それでは事務局から説明をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。答申案の関係の資料は,資料2,3,4とございますけれども,先生方には是非文章を見ながらというところでございますので,資料3の答申案本文そのもので御説明させていただきます。
 まず,目次で全体構造を御確認いただければと思います。
冒頭,「はじめに」は2ページに短縮させていただきました。
 第1章「2040年の展望と高等教育が目指すべき姿-学修者本位の教育への転換-」には,教育の高い質保証,学修者本位に転換していくという観点,それから2040年頃の社会変化の方向性,そして高等教育と社会の関係を整理させていただいております。
 第2章「教育研究体制-多様性と柔軟性の確保-」は,学生,教員,プログラム,ガバナンス,強みの強化という5点で整理させていただいております。
 第3章「教育の質の保証と情報公表-「学び」の質保証の再構築-」では,今回も議論になりました設置基準の見直しなども含めて,情報公表,それから質保証をどうしていくべきかというところを整理させていただいております。
 第4章は,規模,地域配置のところでございまして,実際の推計させていただいた部分と規模,それから「国公私の役割分担」,「地域における高等教育」というところで整理させていただいております。
 第5章が各高等教育機関の役割等,第6章が高等教育を支える投資について,そして最後に第7章「今後の検討課題」という構成でございます。
 「はじめに」のところは,2ページ目からでございますけれども,高等教育は多様であるというところが,この部会の中でも様々に御議論いただいたところであると思っておりますので,そのあたりを特に整理させていただいたところでございます。それから,めくっていただきまして3ページ目です。段落を3つに分けておりますけれども,何を学び,身に付けることができるのかということを明確にし,このような教育が行われていることを確認できる質の保証の在り方へ転換されていること。また,18歳人口が88万人に減少し現在の7割程度の規模となるということを前提に,規模の適正化を図った上で,社会人及び留学生の受入れ拡大が図られていること。地域における高等教育のグランドデザインが議論される場が常時あり,地域のニーズに応えるという観点からも高等教育が充実し,強みや特色を生かした連携・統合が行われていくこと。以上を実現すべき方向性として整理させていただいているところでございます。
 4ページ目,第1章に入りますけれども,まず2040年という年は,本年生まれた子供たちが,現在と同じ教育制度の中では,学部段階を卒業するタイミングとなる年であるというところでございまして,その下は,どういう能力が必要かということを,OECDなどをベースに整理させていただいております。
 5ページ目をめくっていただきまして,今後は,数理・データサイエンスなどのSociety5.0などを見据えた基盤的リテラシーを,文理を超えて共通に身に付けていくことが重要であるということを,最初のところには書かせていただいております。また,「学士課程共通の学修成果に関する参考指針」というところで,「学士課程教育の構築に向けて」の答申も引かせていただいたところでございます。その下,今後の必要な能力,必要な人材というところでございますけれども,「予測困難な時代の到来を見据えた場合」というところで,専攻分野についての専門性を有するだけでなく,このような幅広い基盤の上で教養を身に付け,21世紀型市民となっていくというところを整理させていただいております。また,AIについてはその下に,AI時代を迎えますけれども,「一言で言えば,AIに果たせない真に人が果たすべき役割を十分に考え,実行できる人材が必要となる」という整理にさせていただいております。
 6ページ目からは,「我が国の世界における位置付けと高等教育への期待」ということで,高等教育が社会や経済を支えることのみならず,課題を解決していくという使命を帯びていること,また高等教育システムがオープンな時代になってきているということを整理させていただいております。
 7ページ目に関しましては,「高等教育が目指すべき姿」ということで,「何を教えたか」から,「何を学び,身に付けることができたのか」へということで転換していくこと。その際は,自らが学んだことを学生が説明していける体系的な内容であることや,時間や場所の制約を受けにくい,またICT等の活用,それから達成状況の可視化,そして生涯学び続ける体系への移行というところを整理させていただいているところでございます。
 8ページ目からは,社会の変化の方向ということで,ここは「中間まとめ」から変わっておりませんが,「SDGsが目指す社会」,「Society5.0,第4次産業革命が目指す世界」,「人生100年時代」,「グローバリゼーションが進んだ社会」,「地方創生」というところで整理させていただいております。
 11ページ目からは,「2040年を見据えた高等教育と社会の関係」でございますけれども,12ページ目,御議論いただきました,学問の自由,大学の自治というところから,建学の精神やミッションは時代の変化の中で変わるべきものと変わらないものがあること,それをきちんと社会に分かりやすく発信していくことが重要という整理をさせていただいております。
 また,「研究力の強化と社会との関係」を少し付け加えさせていただいておりまして,多様で卓越した新しい知が,イノベーション創出や科学技術の発展をも支えるものであるということと,新たな知識や価値の創出に多様な専門性を持つ人材を結集して,チームとして活動することの重要性等を入れております。
 13ページ目は「産業界との協力・連携」ということで,通年採用導入や,ポテンシャル採用からジョブ型採用への転換ということ,それから教育の質,学修成果を活用した採用活動の拡大ということもやっていっていただく必要があるということ。それから,今,ワーキングの議論でもございましたけれども,リカレント教育を考えていく際にはというところで,次のところでございますが,「産業界の雇用の在り方,働き方改革と,高等教育が提供する学びのマッチングが必要不可欠」ということを整理させていただいております。また,その後,インターンシップや複線型のキャリアということにも触れさせていただいております。
 14ページから第2章「教育研究体制」に入ります。ここは中間まとめから大きくは変わっておりませんけれども,多様な学生・教員等の整理をさせていただいておりまして,冒頭は,それを全体俯瞰した文章を入れさせていただいております。
 14ページ目の後段からが「多様な学生」ということで,15ページ「リカレント教育」の部分でございますけれども,やはり課題を整理した上で,具体的には履修証明制度の見直しや単位累積加算制度なども導入していきながらというところでございますが,企業においても採用時や処遇に関して成果を適正に評価していただくということが必要であるということと,「地域連携プラットフォーム(仮称)」や「大学等連携推進法人(仮称)」などを活用して,複数の高等教育機関が連携してこういうプログラムを提供することを併せて推進すべきであるとしております。
 次に,「留学生交流の推進等」でございますけれども,留学生に関しましては,留学生の動向をよく分析して,優秀な留学生を引き付けていくということを,連携も含めて考えていく必要があるということと,それから在留政策の転換も出てきておりますので,就職に結び付けていくことが必要であるということを書かせていただいているところでございます。
 続いて「高等教育機関の国際展開」でございますけれども,我が国の大学の海外校の設置,海外協定校との連携などを通じた国際展開を進めていく必要があるとしております。17ページの枠の中は,今申し上げました,リカレント教育,留学生,それから国際通用性,国際展開というところで,WGでの議論を整理して書かせていただいたところでございます。
 19ページ目からは,「多様な教員」というところでございますが,若手,女性,外国籍など様々な人材ということを登用していく必要があるということと,必要な研修や業績評価,教育研究活動を行うことができる環境の整備というところで,ここにも働き方改革という観点も入ってくるかと思いますけれども,整理させていただいているところでございます。
 20ページ,「多様で柔軟な教育プログラム」ということで,まず初等中等教育段階の状況を御紹介した上で,21ページにアドミッションやその後の高等教育において,高大接続の観点をどう生かしていくのかということが必要であるということと,「文理横断,学修の幅を広げる教育」ということで,1つのパラグラフで整理させていただいております。「多様で柔軟な教育プログラム」というところでは,学位プログラムの観点,それから単位互換制度の運用の改善,ICTを活用した教育の推進ということで,箱の中は,これもワーキングで御議論いただいたことを整理させていただいております。
 23ページ目が「多様性を受け止める柔軟なガバナンス」でございまして,基本的には連携・統合の関係,それから学外理事の関係を整理させていただいており,このあたりは中間まとめから変わっておりません。
 25ページ,「大学の多様な『強み』の強化」というところも,中間まとめから大きく変わっておりませんけれども,機能別分化の考え方は,将来像答申から維持されていくものであるということで,各大学が軸となる「強み」や「特色」をより分かりやすく整理していただくことが大事であって,これに限定されるものではなく,それにどのような価値を付加していくのかが大事だということで整理させていただいております。
 27ページ目からが,第3章「教育の質の保証と情報公表」でございます。質保証に関しましては,学修者の伸び,それから満足度というのをどう考えていくのかということが大事であるというところでございますが,先ほど議論にもなりました,授業以外の学修時間が非常に短いことや,受講する科目が多いということは,その後に書かせていただいているところでございます。
 28ページ「保証すべき教育の質」というところでございますけれども,何を学び,身に付けることが明確になっているのか,それから学んでいる学生は成長しているのか,学修の成果が出ているのか,魅力的な教員組織・教育課程があるのかということが重要な要素で,この観点を情報公表でもしていきますし,設置認可,認証評価の段階でもきちんと確認していくということが重要であるとしております。
 次が,「大学が行う『教育の質の保証』と『情報公表』」ということで,当然,教育の質保証は第一義的には大学自らが率先して取り組むということで整理させていただいておりまして,三つの方針(学位授与の方針,教育課程編成・実施の方針,入学者受け入れの方針)に基づいて,このような観点で不断の改善に取り組むことが必要であることを29ページの冒頭から記載させていただいております。また,カリキュラム,ガバナンス,学修成果の可視化に関しても記載させていただいておりますし,情報公表に関しましては,この後,30ページ後段からの枠内,「具体的な方策」に細かく記載させていただいているところでございます。また,国の取り組みに関しましては,先ほども議論になりました設置基準の見直しということで,30ページに記載がございます。具体性をどこまで出すかというところでございますが,定員管理,教育手法,施設設備等について,このような状況を踏まえまして在り方を検討してはどうかというところを入れさせていただいているところでございます。設置基準は,既存の大学を含んだ全ての大学を対象といたしますので,この後,専門的な審議を経た上で見直しを行うということを書かせていただいておりますが,これらの方向性を踏まえつつ,解釈の明確化,設置計画履行状況等調査,また認証評価の結果を踏まえた厳格な対応などは,速やかに対応を行うということで整理させていただいております。具体的には,WGの議論を30ページから32ページまでの枠の中に整理させていただいております。
 33ページから,第4章の「高等教育機関の規模や地域配置」でございます。ここは本審議会,本部会が始まってから行われた推計を基に整理させていただいておりますけれども,34ページを御覧いただきますと,高等教育への進学者は2040年には約74万人で,現在,平成29年と比較しますと23万人減少。これは,大学で捉えますと51万人となり,12万人の減少ということでございます。ただ,それをどういうふうに考えていくかということでございますけれども,やはり将来像の提示と政策誘導という,この考え方は変わらないということを書かせていただいた上で,現状においても,全体として学生数は増加する一方で,定員割れの私立大学も約4割あるということや,小規模な大学ではどのように対応していくのかということを考えていく必要があるというところを記載させていただいております。
 34ページの下の方でございますが,各高等教育機関は,「18歳中心主義」では現在の規模を維持することはできないということを認識した上で,いかに学生の能力を伸ばすことができるかという教育改革を進めていただいて,規模の適正化について御検討いただく必要があると。質保証ができないということであれば,それは結果として,やはり社会からの厳しい評価を受けていくということになるということを書かせていただいております。他方,社会人や留学生の規模ということに関しては,拡大することが期待されているという整理をさせていただいております。
 35ページ中段からは,「大学院の規模」についてです。大学院に関しましても,当然,諸外国と比較いたしますと,なかなか規模がそのように大きくないということはございますけれども,まずは早急に体質の改善をしていくということ。それは,大学院の専攻ごとの入学定員の充足状況なども考えていくということをした上で,対応を考えていく必要があるのではないかという整理をさせていただいております。
 次が,35ページの下からは,「国公私の役割分担」ということでございまして,少し歴史を振り返った上で,国立大学の役割については,18歳人口の減少を踏まえた定員規模の検討を行うとともに,大学院の機能の重視,また文理横断型の学士課程の見直しなど,こういうことをやっていく必要があるということで,今後でございますが,国において国立大学と議論を図りつつ,学士課程教育,大学院教育等において,それぞれの大学の強み・特色や地域の事情にも留意しつつ,課程や分野,規模でどのような役割を果たしていくのかということについて整理をするということにさせていただいております。
 また,公立大学に関しましては,設置者である地方公共団体については人材養成等各種政策を直接的に体現するという役割があるということを申し上げた上で,教育機会の均等の実現,地域活性化の推進,行政課題の解決に向けて,どのような役割を果たしていくのかということを考えていく必要があるということを書いております。
 それから,私立大学に関しましては,建学の精神に基づきということでございますけれども,学生/教員比率等も踏まえまして,教育研究の更なる充実を図りつつ,経営基盤の強化とともに,高等教育の中核基盤を支える方向で改革を進めていただく必要があるという整理をさせていただいております。
 38ページからが,「地域における高等教育」でございまして,これも将来構想部会の中で,各都道府県別に進学動向と学部の配置状況を整理させていただいたところでございますが,39ページから「国が提示する将来像と地域で描く将来像」ということで,将来像に関しましては,国が示すだけでなく,地域においても是非議論していただきたいということ,その際には,いろいろな地域の単位ということを考えながら御議論いただければということを整理させていただいているところでございます。その際,「地域連携プラットフォーム(仮称)」というものを構築していただいて,その中で具体的に,ニーズ,それからどのような高等教育をその地域で作っていくかということを御議論いただきたいということで整理させていただいておりまして,国の役割としては,最後のところで,40ページの黄色い部分でございますけれども,データの整備や制度的な整備などは国が担うべきということで整理させていただいております。
 41ページからが第5章,「各高等教育機関の役割等」というところでございます。この中では,各機関と,機関ではありませんが大学院ということで,それぞれ特異な検討課題をそれぞれ整理させていただいております。
専門職大学・専門職短期大学に関しましては,産業界と密接に連携してということが期待されている観点という,短期大学に関しましては,短期であること,またアクセスの容易さということを,強みとして生かしていただきたいということを整理させていただいております。
高等専門学校に関しましては,新たな産業を牽引する人材育成の強化,また大学との連携などを進めていくということと,海外展開についても進めていっていただきたいということで整理させていただいております。
専門学校に関しましては,平成26年度からの職業実践専門課程の中で,必要な評価,それから質保証・向上の取組がされておりますので,そのようなことを全体でも進めていただくことが重要ではないかということを整理させていただいております。
大学院に関しましては,大学院部会の御議論を踏まえまして,42ページ後半から44ページにかけて少し長めに整理させていただいております。三つの方針に照らしてコースワークと研究指導を適切に組み合わせて行うことが前提として必要ということと,各専攻で養成する人材の需要について調査・把握,また修了者の状況を追跡することが,こういうことも進めていく必要があるのではないかということ。三つの方針に関しては,その策定と公表を法令上義務付けるというような整理もさせていただいております。また,44ページにおいては,それぞれの学生を獲得していく方策として様々に御議論いただきました観点を入れさせていただいているところでございます。
 45ページからが第6章,「高等教育を支える投資」でございます。投資に関しましては,冒頭,必要な公的な支援を確保しつつということを整理させていただいた上で,個人や組織に対しても,様々な所得や収益としての投資の回収もございますし,当然,諸活動においては,雇用の創出,新たな産業の創生など,その効果は様々であるという整理をさせていただいております。また,直ちに経済効果には換算できないような普遍的な価値も持っているということも整理させていただきました。その上で,また公的な支援についても,一人一人の能力の最大化を図っていくということで,国力の源としていくのであれば,効果を最大化するような形で投入されるべきであるということを,その次のパラグラフでも整理させていただいております。併せて,コストを明確化することが重要ということで,教育研究のコストをどのように明らかにしていくかということに関しましては,今後,整理しながら進めていきたいと思っておりますし,また高等教育全体の社会的・経済的効果を社会に示すような試みも行っていくことを検討すべきであるという整理をさせていただきました。
 46ページでございますけれども,「必要な公的支援を確保し」ということを再度言わせていただいた上で,財源の多様化に関しましては,多様化とともに資産マネジメントが重要であるということを整理させていただいております。また,本答申では様々な改革を促しておりますので,当然,必要となるコストについては十分検討するということを申し上げた上で,高等教育機関が現在の社会を支え,未来の社会に貢献していくとともに,時代に合わせた取組の重点化,効果の最大化を実施していくことが,今まで以上に求められるということで,必要な投資をやれていくように,これは国としても後押しをしていく必要があるという整理をさせていただいております。
 また,最後のところでございますが,今後の課題としても教育や研究への投資の在り方や,限られた財源の中で個人負担も含めてどのようなバランスで考えていくのかということを整理させていただいております。
 48ページが第7章「今後の検討課題」になります。議論になっております設置基準の見直し,それから教学マネジメント指針については中央教育審議会でも更に専門的な御議論を頂きたいということ。また,国においては,「地域連携プラットフォーム(仮称)」,また「大学等連携推進法人制度(仮称)」についてどのような内容にしていくのかということを,更に詳細に議論していく必要がある,作っていく必要があるということ。国立大学においては一定の方向性を示していくということ。また,先ほど黒田委員からも御指摘がありましたけれども,必要な法改正に着手していくということを整理させていただいたところでございます。
 49ページ目が,「おわりに」というところでございますけれども,中央教育審議会からの御提言といたしましては,学修者が自らの能力の伸長を実感できる高等教育の在り方を実現していくということ,それから,やはり厳しい評価を受けるということについても覚悟しながら対応していく必要があるということを整理させていただきました。また,今回の前半の議論でもございましたけれども,初等中等教育からの接続の中で,文理分断の状況を改善していただく必要があるということと,キャリアをどう考えていくのかということは初等中等教育段階でも重要であると。また,産業界においても,学修成果が適正に評価されていくということをやっていく必要があるという整理をさせていただいております。また,是非,今,高等教育機関で学んでいる方々には,この改革に共に参加していただきたいということを言わせていただいて,整理させていただいているところでございます。
 答申の内容については以上でございますが,この観点を,資料2に要旨としてまとめさせていただいております。要旨でございますので,全ての観点を入れ込んでいるわけではありませんけれども,できるだけ分かりやすくという観点からそういう整理をさせていただいているものですので,またお手元で見ていただければと思います。
 また,今回,資料4に,これまでの中央教育審議会の議論と今回の答申案の関係を整理させていただきました。古くは昭和46年の答申から引いているところでございますけれども,今回の答申の大きな柱がこの4つ(質の保証,連携・統合,規模の適正化,財政支援)というふうに整理いたしますと,まず,質の保証に関しましては,ずっと教育活動,質保証システムというのは,類似の答申で相当御議論いただいてきておりますが,その改革に着手して,実際,実効を高めていくというのが今回のポイントでありますし,そのための教学マネジメントの確立や,学修成果の可視化,情報公表だと考えております。また,設置基準等の見直しにつきましては,昭和31年にできたものを,少しパッチワーク的に少しずつ直しているという御指摘も先ほどございましたけれども,その全体を見直していく必要があるというところでございます。連携・統合に関しましては,特に,2ページ目でございますけれども,大学改革実行プランの中で言われてきたような連携・統合の方式を,正に今回整えていこうというところの整理でございますし,地域においても議論を進めていただきたいというのは,今回初めて出させていただいた内容かと認識しております。規模の適正化につきましては,従来の答申が大きく方向性を示しておりますけれども,今回,18歳人口減少を踏まえて,質の向上を図っていくための適正な規模という整理をさせていただいております。財政支援に関しましても,公的な支援の充実というのはこれまでも中央教育審議会では御議論いただいてきているところではございますけれども,財源の多元化,それから教育研究コストの可視化,社会的・経済的効果の提示というのは,今回初めて御整理いただいたことかと認識しております。
 以上,簡単ではございますが,説明とさせていただきます。御議論のほどよろしくお願いいたします。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございました。それでは,特にここ2回ほどの間でいろいろと御意見を頂きましたが,そうしたところを中心に見ながら御意見を頂きたいと思います。
益戸委員,どうぞ。
【益戸委員】  ありがとうございます。先ほど来,黒田委員をはじめ多くの先生方から,早く動かすことが重要だというコメントがございました。過去26回,いろんな意見交換やヒアリングを通じて,私はすばらしいまとめができてきたのではないかなと思うんです。その中で,私は民間企業に勤める者でしたから,この答申案を読んでもそう思うのですが,相当緊張して読まないと,読み飛ばしたり,「あれ,これは何だっけ」と思うこともございます。それで,事務局からは,この答申の,更に分かりやすくするための要旨という御説明がございましたけれども,私は,最も大切なのは,この答申の中に入れるか入れないかは別として,これをどうやって世間に伝えるかということなのだと思うんです。やはり改革というのは抵抗勢力が付き物ですから,大変な改革になっていくのだと思います。ただ一方で,改革というのは,どれだけ理解者を集めるかということも重要です。それで,この改革で最も理解者となり得る新しい人たちは誰かといいますと,学修する御自身,学生と,御父兄なのだと思います。この方たちによく分かっていただくということがとても重要だと思いますので,これをどうやって伝えるのか。ですから,これでは難しいんです。もっと分かりやすいものを作らないと,私は伝わらないと思うんです。やっぱりアカデミアの議論と,一般の方が受け止められることというのは違うと思いますので,これは答申の中に入れる,入れないは別の問題ですが,これを受けて動くところにおいては是非やって,これが大改革につながるようにしていただきたいと思います。
【永田分科会長・部会長】  大変ありがとうございます。村田委員,どうぞ。
【村田副分科会長】  ありがとうございます。今,益戸委員の大きなお話とは違いまして,少し現場を担っている立場からお願いといいますか,意見を言わせていただければと思います。
 28ページ,29ページ,それから30ページの「具体的な方策」のところにもあるのですけれども,いわゆる3ポリシー(ディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,アドミッション・ポリシー),DP,CP,AP,そしてそれに更に「アセスメント・ポリシー」という言葉が出てきているのですけれども,例えばDPは学位授与の方針で,どういう形で,それぞれの大学が学位を授与するかの方針。これはよく分かるんです。それに対してアセスメント・ポリシーという,方針ではなくて方法でしかないわけなんです。3つのポリシーとアセスメントは同列ではないと思いますので,少なくともアセスメント・ポリシーという言葉は逆に混乱を招くだけで意味がないと私は理解しております。
 それで,後ろの方に教学マネジメントとして全体の方針を出す。例えば,DPに基づいてカリキュラム・ポリシー等々をやっていく。そしてそれを全体として,まさにPDCAを回していく。先ほど少しありましたように,認証評価も含めて,そのPDCAをどう回していくかということが,全体が教学のマネジメントであって,学修成果の可視化をどうしていくかというようにPDCAを回してやっていくわけであって,教学のマネジメントはよく分かります。しかし,DPに対して,それを評価する,学修の可視化をするための方法というのはよく分かるのですが,それはアセスメント・ポリシーというポリシーではないんです。次元の違うものを同じ言葉で言うのは,ちょっと逆に混乱を招く。さらに,教学マネジメントという言葉があるにもかかわらず,別途,アセスメント・ポリシーと,ちょっとわけの分からない言葉が入ってきてしまっているなということで,ここは是非取っていただかないと現場として混乱を招くばかりで,逆に,教学マネジメントとしての学修成果をPDCAを回すという非常に重要な視点が入っているにもかかわらず,アセスメント・ポリシーなどという言葉を使うと矮小化されてしまいますから,この言葉は是非取っていただきたいと思います。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。千葉委員,どうぞ。
【千葉委員】  ありがとうございます。全体としては大変よくまとまっていると思いますが,私の立場から二,三点,意見を申し上げさせていただこうと思います。資料の15,16ページの「リカレント教育」と「留学生交流の推進等」のところでございます。
 リカレント教育につきましては,これは基本的に日本人が対象ということで,一億総活躍社会を作っていく上で,現在無職の方たちが,有効求人倍率は大変高いとはいえ,自分が就くべき仕事がないというような方たちに,やはりリカレント教育を受けていただいて就職に結び付けていくということも,非常にこれは大変重要なことではないかと思いますし,また学び直しということももちろん重要なことであります。そういう中で,我々専門学校,専修学校は,生涯学習政策局というところに所属しておりまして,正にリカレント教育は生涯学習でございますので,私ども専門学校を是非有効に使っていただいて,一億総活躍社会というものに我々も貢献させていただきたいと考えております。しかし,そこにある「地域連携プラットフォーム(仮称)」というのが何回も出てくるわけでありますが,この地域連携プラットフォームの中に,どうも専門学校はオミットされているように感じるのでございます。もし間違いであれば私の勘違いでありますけれど,是非,高等教育全体で日本人の雇用の拡大というものを進めていただきたいと思います。
 それから留学生に関しまして,就職ということにつきましても,これは先ほどの一億総活躍社会の二次的なものということになるのかもしれませんが,この文章にあります高度外国人材というものと,一般の人手としての留学生と,2つのものがあるのではないかと思いますので,これについては少し分けて考えた方がいいのではないかと思います。我々の専修学校にも留学生がたくさんいるわけですけれども,これから新しい就職を認めていく制度の中に専門学校はどうも含まれないというようなお話も聞いているのですが,その理由は1つは質保証がされていないからだと私は理解しております。専門学校,専修学校ならではの質保証というものも含めて,多くの留学生が日本の社会に貢献できるように制度を作っていただければと思っております。
 あと,細かなことですけれど,これは部会長の方からも,翻訳の機能がこれから機械化されるので必要ないというようなお話も,一時,頂いたこともございましたけれども,高度人材というところに関しては,英語科というものに対する文科省の支援というものを是非行ったらいかがかなと思っております。
 以上です。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。千葉委員から専門学校の質保証という言葉が出るのは大変心強いですね。他のいろいろな論点にも関連していると思います。石田委員,どうぞ。
【石田委員】  ありがとうございます。非常に細かい点を幾つか,三つ,四つ,述べさせていただきます。
 まず,18ページに「学位等の国際通用性の確保」について記載がございます。関連するところで,16ページの真ん中あたりに,「教育のレベル等についての国際通用性の確保が求められる」という記述がございます。そうした観点で言うと,その部分は18ページ目の丸2つ目の,ユネスコの枠組み,東京規約あるいはNICの設立準備ということがあるのだと思うのですが,それをより明確化するために,ワーキンググループの「審議まとめ」の記述にもありましたように,教育レベルの国際通用性を確保するためにもというような,若干の目的みたいなものがあった方が分かりやすいのではないかというのが1点です。それから,先ほど有信委員からもありましたように,もしも可能であるならば,欧米等で進んでいる相互認証等についても早急に検討するというようなこともあってもよろしいのではないかというのが1つです。
 2つ目が24ページになります。24ページに「3.国公私立の枠組みを越えた連携の仕組み」というのがあるのですけれども,ここの「定員割れや赤字経営の大学の安易な救済とならないよう配慮するとともに」というのが若干気になるところです。これは本来の目的は,多様な教育人材を活用して連携しながら教育の質の保証をしっかり確保するというところが本来の趣旨なのに,ここの部分が入ってしまうと,別の意味が入ってきてしまうのではないかということをちょっと感じた次第です。
 それから3つ目は,30あるいは31ページあたりの学修成果の可視化という観点ですけれども,特に学修成果の可視化をする上で基準をしっかりと明確化するということをどこかに記述しておいていただきたいと思います。例えばワーキンググループの「審議まとめ」にありましたが,GPA一つ取ってみても,名前は同じですけれども定まったルールもない。あるいは就職率というものも,分母を何に取るか等々,いろんな違いがある。そういった点も含め,基準をしっかり明確化していただきたいというのが3つ目です。
 最後はちょっとよく分からないのですけれども,36ページの一番下の方に,「国立大学の役割」として,全国的な高等教育の機会均等の確保は,変化が生ずる可能性があるとあるわけです。ただ,11ページ等を見てみますと,例えば11ページの真ん中あたりに,「都市に出なければ教育機関や働く場所がないということではなく」ということを踏まえると,「変化が生じる可能性がある」で切ってしまうのではなくて,どこかで,いずれにしても,教育機会の均等を確保するというふうに入れないと,教育機会の均等が少し弱まってしまうのではないかということでございます。
 以上でございます。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。志賀委員,どうぞ。
【志賀委員】  今までの議論したものをしっかりと入れていただいてありがとうございます。感謝します。
 その上で,実行に当たってのところなのですが,特に産業界との関わりの部分で,今回の答申案の中では,例えば就職,採用,インターンシップの在り方,リカレント教育,特に地域での産学連携,あるいは大学生,大学院生,特に博士の採用,それから企業からの寄附等々,産業界に関わる部分が結構多く入っているんです。特に今回,就職に関して,就職に対するガイドラインを経団連が出さずに国あるいは文科省が設定するという形で,その設定に関われるチャンスになってきているので,特に就職の在り方からインターンシップの在り方,あるいは学業を重視する採用の在り方等々,イニシアチブを取って,一連の産業界での動きに,どうしても文科省なので教育界に対する働き掛けが非常に多いわけですが,先ほども御意見がありましたけれども,これは間違いなく産業界に働き掛けていかないと,産業界が変わらない。従来のような採用活動をやっていたり,学業を余り重視しない採用活動をやっていたり,博士はもう基本的には採らないとか,そういうことをやっていたりすること自体が,ここで何度議論していても進まないので,何らかの実行の段階で産業界に具体的に働き掛けていくみたいなことを,せっかく経団連が就職ガイドラインをやらないと放棄しようとしたわけなので,これはイニシアチブを取る絶好のチャンスだと私は思うので,是非やっていただければなと思います。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。山田委員,どうぞ。
【山田委員】  ありがとうございます。前回私の申した意見も大分取り入れていただきましてありがとうございます。その中で特に,初めに書いてありますように,3つの方向性が示されて,特に地域における高等教育のグランドデザインというものが記されたというのは,私は非常にすばらしいことだなと感じております。
 ただ,そうしたものが出てきている中で,まだここは少し生煮えになっている部分があるのではないかなと思っておりまして,例えば正に大学のこれからの将来人材のところで,地方創生が目指す社会を書いていただいているのですけれども,高等教育と社会の関係のところでは,地域などという言葉は全くなくなってしまって,産業界だけが出てくるというのは,少し寂しい感じがいたします。それから,先ほどのワーキングの話でも言おうかなと思ったのですけど,リカレントのところも,確かに産業界の要請というのは大きいと思うのですけれども,同時にこれからの高齢化社会を考えますと,高齢の皆さんが地域で第二の人生を頑張っていく,NPOとか公共的人材として頑張っていくという面が大変あるのではないか。そして地域で実際に不足していることも考えるべきです。また介護福祉とか保育関係とか,産業界の要請とはまた違う地域ニーズ。これはもう「はじめに」に書いてあるわけなのですけれども,そうした観点がやっぱりリカレント教育のところにもう少し出てくればいいなと感じている次第であります。
 それから,正に今回の特徴であります,地域における高等教育のグランドデザイン。これが連携・統合のところでまとめに書いてあるのですけれども,実際書いてあります24ページのところの「大学等の連携・統合の促進」の中には,地域のグランドデザインを踏まえて連携・統合の在り方を考えていくという筋にはなっていないというのは,少し矛盾があるのではないかなと思っております。それから就職活動については,今,志賀委員からもお話がありましたけれども,本当に学業と採用活動をどういうふうに考えていくのかということは,きちんとどこかで中央教育審議会としても言うべきではないかなと感じております。
 それから,最後に,これは質問になりますが,40ページ,「地域連携プラットフォーム(仮称)」に対する,国が担うべき役割の中で,構築への関与が国の役割であるとなっているのですけれども,これはちょっと意味がよく分からないので,教えていただければ幸いです。
【永田分科会長・部会長】  最後のご質問には後ほどお答えします。それでは伊東委員,どうぞ。
【伊東委員】  失礼いたします。前回,第142回大学分科会は,倉敷市真備町で起こりました大変な水害がございまして,欠席させていただきまして失礼いたしました。皆様から御支援いただきましたことに心より感謝申し上げます。
 前々回,141回のときに,地方創生の観点を踏まえた大学の規模の在り方というところについて発言させていただきました。第141回の資料3「中間まとめ(案)」の12ページには,大学の規模の設定について,「その地域の実情や人材養成の観点を踏まえて」ということで記載されておりましたが,地方としまして人口が東京よりも減っているという状況の中で非常に心配しており,「地方創生」という観点を是非入れていただきたいということでお話をさせていただきました。142回の「中間まとめ」の資料13ページでは,「地方創生や人材養成の観点を踏まえて」,今後,規模の設定の検討が必要だということを書いていただいておりまして,安心しておりましたわけでございますけれども,今回の答申案の 37ページ中では,例えば国立大学のところの37ページの上から6行目ぐらいのところで,「大学の強み・特色や地域の事情等」に留意しつつ,いろんな規模等のことについて検討するというふうな記載となっております。私が141回のときにお願いを申し上げましたのは,地域全体の中で,地方創生の観点で,各大学,高等教育機関が役割を果たしていただきたいということで,その規模を考える際に,是非,地方創生の観点,その中にはもちろん「地域の事情」ということもあると思いますけれども,「地域の事情」といいますと,何となく分かりにくい気がいたしました。先ほど山田委員からもお話もございましたように,13ページのところで,この高等教育と社会との関係で,地方との関係というところが明記されていない,大きな項目でないということにつきましては,私も是非入れていただきたいなという思いもございますし,また規模のところ,各国公私立大学の役割を記載していただくときに,どこに記載していただくのがいいのか分かりませんけれども,国立大学のみでなく,地方創生の観点で規模の設定,つまり私ども地方にとりまして,大学が地域にあるということは非常に大切なことであり,地方創生の観点で非常に重要なものだということが,是非,地方の観点から記載していただきたいと思っております。これは,今のグランドデザインの48ページの上から10行目ぐらいのところで,「国立大学において,それぞれの大学の強み・特色や地域の事情等にも留意しつつ」ということで,また「地方創生」というところから「地域の事情」ということに単語がまた変わってといいますか,最初のような段階になっているので,どうしてかな,という思いと,地方創生という観点での規模の設定について,何らかの御配慮を是非頂きたいと非常に強く思っております。
 以上でございます。
【永田分科会長・部会長】  金子委員,どうぞ。
【金子委員】  34ページですが,ここのところの人口の変化が及ぼす影響のところは,比較的簡潔になって読みやすいのですが,ただ2040年の大学進学率が57.4%になるというのはどういう根拠なのかが,すぐにはここから読み取れないです。それから,数字がランダムに出てきますのは分かりにくいので,こういった答申に表を入れないのが普通かもしれませんが,これはかなり肝心なところなので,簡単な小さな表の形にして入れた方がいいのではないかと思います。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。吉岡委員,どうぞ。
【吉岡委員】  ありがとうございます。1つは,先ほど村田委員がおっしゃったアセスメント・ポリシーのことです。確かにこれは前々から出てきていて,何となくよく分からない言葉で,そのまま残っているという気がいたします。
 この点のほぼ同じところに書かれている,尺度に関わる内容のことで,真ん中あたりですが,国のことが書かれていて,国は全国的な学生調査云々で,比較できるよう一覧化して公表すべきであるという文章が入っています。情報公表,情報公開というのがガバナンスにとって一番重要なことであるというのは私もそのとおりだと思うのですけれども,指標については,どのようなものをどういうふうに立てるか,何を指標にするかはとても難しいことだろうと思います。先ほどGPAの話がありましたが,この「具体的な方策」のところに出ている,「教員一人当たりの学生数」というのも,初等中等教育であればクラスサイズの問題だと思いますけれども,大学の場合は授業も,個々の教員が持っている授業や専門によってものすごく違いがあると思います。学部の学生/教員比率,あるいは大学での学生/教員比率を取ったとしても,実際の授業がどのように行われているのかということは実はほとんど掴めないと思います。また,留年率についても,例えば,留学する学生や留学生,あるいは今後社会人が増えてくると,当然,留年率は上がってくる可能性が高いと思います。そういう意味では,むしろ各大学が自分たちの新しい政策を立てていくときに,留年率という指標が足枷になってしまうと,いろいろと問題が生じると思います。そうした意味で,何らかの指標を立てていくということは大事だと思うのですけれども,市場が持っている意味が誤解されないように,風評被害にならないようにと言ってもいいと思いますけれども,きちんとそのことが伝わるようにしていくということが必要だろうと思います。公表すべき情報の例が,参考として書かれていますけれども,これが独り歩きするということもちょっと気になるところです。
 もう一つは表現の問題で,「18歳中心主義」という言葉が出てくるのですけれども,これは,議論の中で18歳中心主義と言われると何となくよく分かる言葉ですが,まだ実はこなれていない言葉で,これが中央教育審議会の文章の中に入ると,大学というのは18歳中心主義なのかと一般の方々に受け取られると,余り望ましくないだろうと思います。浪人生は幾らでもいるわけですし,彼らを傷つけるということになるわけではないにしても,ほかのところでは,20歳前後を中心にした従来のあり方,のような表現に崩してあるので,「18歳中心主義」という言葉は使わなくてもいいのではないかと思います。
 もう一点は,「強み」ということについての考え方です。以前にもちょっと申し上げましたが,強みの強調ということが,それぞれの大学や高等教育機関の,ある種,特化していくということを加速させるということは,必ずしも望ましくないと私は考えています。ある種の高等教育の分業化みたいなことが起こると,長い目で見ると教育の質を逆に下げていってしまう,状況に対応することができなくなっていくのではないかと思います。ただ,全体としては言いたいことは伝わっていくという気がいたしますので,そこはいいのですけれども,同じように個々人の強みを最大限に引き出すという,今度は個人の方にも使われています。これはもしかするとドラッカーだと思わないでもないのですけれども,何が個人の強みであるかというのは,なかなか分からないと思うんです。就職のときに学生は,私の強みはこうこうですと言いますけれど,人事の方が,大体それは当たっていないと判断するだろうと思うのですけれども,そういう意味で,「強み」という言葉を個人のところで余り使わずに,むしろ「可能性の開発」であるとか「潜在的な能力の開発」であるとかというような言い方をした方がいいと思います。SDGsの話から,共生であるとかという,インクルーシブな考え方というものが最初に入っているので,その中で,個人にとって強みの強調というのが,ある種の競争性が前提となっているというような文脈になってしまうと,最初の趣旨とずれてきてしまうのではないかなと思いました。
 以上です。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。それでは,頂いたご質問について,お時間の許す限り事務方から回答いただければと思います。
【義本高等教育局長】  志賀委員から頂いた,産業界にもっと発信して働き掛けるべきではないかという御意見ですが,そのとおりでございまして,今年の5月だったと思いますけれど,林文部科学大臣が経団連と具体的な教育の問題について,大学改革を中心テーマとした協議の場を設けたということがありましたし,またそういうことを定期的にやっていくことによって話をさせていただきたいと思っています。
 それから就職の問題につきましては,今後でございますが,具体的な目前のルールをどうするかという問題だけではなくて,今も御指摘いただきましたような,働き方の問題と連動した教育の成果をどうやって可視化していくかとか,インターンシップの在り方につきましても含めて,今後恐らく政府の場でしっかり議論することになりますし,恐らく未来投資会議等もありますので,そこには実は文部科学大臣もメンバーとして入っていますので,しっかりそこでの対話をしていくということもやっていきたいと思っております。
 それから,ワーディングの話について幾つか頂いたところでございます。これはまた石橋高等教育政策室長からも補足があると思いますけれど,例えば31ページに少しその問題についても触れておりまして,教学マネジメント指針を例えば作る中において,一番下の方の参考の丸2でございますけれども,先ほど吉岡委員に頂いたような留年率など,定義をしっかり整理して,それを統一的に使わないと結局分からないということになりますので,その点も含めて,こういうことを検討する中においても御議論いただければ有り難いなと思っているところでございます。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。補足で何点かお答えさせていただきます。
 まず,金子先生から頂きました34ページの推計の考え方でございますけれども,黄色いマーカーにしていなくて大変恐縮でございますが,その上のところに,この推計は過去4年間の都道府県別・男女別の進学率の伸び率等を条件に置いて機械的に計算したということは書かせていただいておりますが,今の御指摘は恐らくどういうふうな計算をしたのかということも併せて出しておいた方がいいのではないかということだったと理解しておりますので,ちょっと工夫させていただければと思っております。
【金子委員】  すみません。57.4%は比較的高い推計だと思います。この頃,52%ぐらいでずっと推移していますので,トレンドで,これはこうしておられるとしても,余りこうなるとはちょっと思えない。いずれにしても,注か何かに入れるということは必要だと思います。
【石橋高等教育政策室長】  ありがとうございます。
 それから,山田委員から御質問がございました40ページのところの「『地域連携プラットフォーム(仮称)』の構築への関与」というところでございますが,関与という言葉がちょっと適切ではないかもしれないかもしれませんので,そこは検討させていただければと思っておりますけれども,実際は「地域連携プラットフォーム(仮称)」というものがどういうものかということに関しましては,ガイドラインを策定するなどが必要かと思っておりまして,その枠の中に書かせていただいておりましたので,その観点,それから各地域でそのようなことを立ち上げていっていただくときに,国として何かさせていただくことがあればというようなイメージで書かせていただいております。
【山田委員】  ちょっといいですか。非常に,地方分権一括法の中で,国の関与ということについてはかなり法的に厳しく,今,厳格に解釈されているので,ワーディングには気を付けていただきたいと思います。
【平野大学改革推進室長】  失礼いたします。学修成果の可視化,また情報公開等に関して幾つか御指摘を頂きましたのでお答え申し上げます。
 まず第1点でございますが,アセスメント・ポリシーという言葉について御指摘がございました。先ほど吉岡委員から補足を頂きましたけれども,実は平成24年の答申において3つのポリシーというものを位置づけたときに,併せてこの3つのポリシーというものをしっかり回していくという観点から,このようなものが必要であるということで定義されているものでございます。また,今回のWGの「審議まとめ」の内容におきましても,先ほど御説明がありましたけれども,位置づけがされているというものでございます。ただ,この実態というものをどう進めていくのかというところ等については,また今後,教学マネジメントの指針を作る中で,しっかりまた位置づけ等も含めて検討していく必要があると考えてございます。
 その上で,また数値の公表という部分について,数字が独り歩きをするのではないかという御指摘がございました。これはWGの方でも議論があったと記憶してございますが,例えばWGの方の資料の28ページということでございますが,ここはさらっと書いてございますが,法令の義務付けが考えられる情報の定義や数値の算出方法についても,各大学の実態等を踏まえた上で示す必要があるとしていただいているものでございます。おっしゃるとおり,退学率というものは,しっかりと学修成果を身に付けて卒業させるということを追求すれば上がると思います。上がるというか,卒業させられないということもあるという可能性もあるわけでありますし,また留学等の問題というのは留年率にも大きく影響するわけでございます。こういった実態というものを踏まえまして,どのような形で公表するか。例えばどのような情報と併せて公表する必要があるのか。このようなことについても,多面的な姿を描き出すという観点から,必要な情報を併せて公表するといったようなところも考えられるわけでありまして,今後,ここについても中央教育審議会で専門的な御議論を頂きたいと考えているものでございます。
 以上でございます。
【永田分科会長・部会長】  村田委員,どうぞ。
【村田副分科会長】  アセスメント・ポリシーに関しましては,先ほども申し上げましたように,考え方,方法というのではいいのですけれども,言葉自体が,いわゆるディプロマ・ポリシーと同じようなレベルで考えられないと思うんです。その点は具体的にどうお考えなのでしょうか。
【平野大学改革推進室長】  今,ディプロマ・ポリシーなどというのは,いわゆる省令上は,「○○の方針」という形で並び立っていて,その三つの方針というものとアセスメント・ポリシーというものとは区別されており,いわゆる四つの方針となるということを申し上げているということではないと思っています。ただ,用語の部分というのは,平成24年にこのような形で定義をしてこれまで来ているところでありますので,また進め方について必要な検討というのがあれば,教学マネジメントの中で具体的に検討したいと思っています。
【村田副分科会長】  逆に現場から言うと,ポリシーという言葉で,3つのポリシーと同じようになってしまうと現場が混乱するので,アセスメント・ポリシーという言葉はやめてほしい。メソッドとか方法ではありますから,考え方であるというのはよく分かる。中身は全くよく分かるんです。ただ,言葉が,ディプロマ・ポリシーと同じ,並列で考えられているとなると,現場が混乱する。その言葉,正にワーディングなのですが,そこをお願いしていることを,御理解いただければと思います。
【永田分科会長・部会長】  例えば,アセスメントのプランですとか,これに代わる言い方はあると思います。
吉岡委員の御質問について,事務局から回答していただきましたが,小林委員の御意見をお伺いしようと思っておりました。つまり,WGの審議まとめ案では,いろいろな指標が括弧書きで並べられています。この指標の考え方というのは,今,大学振興課の方から御説明いただいたように,各大学が決める部分もあるという風に理解すればいいと思います。それ以前に,先生の持論をお伺いしたいのですが,指標の問題と関連してお答え頂けますでしょうか。
【小林委員】  すみません。ありがとうございます。それは非常に私の持論ですので,今回はわざわざ述べるまでもないと思ったわけですけれど,せっかくの御質問ですから,まずそちらから少しお話ししたいと思いますけれど,先ほど来,設置基準の見直しということが必要だということを申し上げてきましたけれど,これが非常に古いものでありまして,例えば定員という考え方もありますし,専任教員という考え方,あるいは標準修業年限というようなことでありまして,これも,2年,4年,専門学校の場合には3年,短大も3年がありますけれど,固定されているわけです。しかし,なぜ年度で区切らなければいけないのかとか,なぜ定員というものを決めなければいけないのかということについて,根本的に見直しということは今までなかったわけです。これ自体の考え方も含めて2040年を考えるのであるのだったら,もう少し,すぐできるものではありませんけれど,2040年に向けて再検討してもいいのではないかというのが私の個人的な意見です。
【永田分科会長・部会長】  その後意見が「抜本的」という単語に込められているということでしょうか。
【小林委員】  はい。それで,吉岡委員,村田委員あるいはいろんな方の意見について,WGの考え方として申し上げますと,指標について,ここに書いてあるのは飽くまで例示であります。それで,これが非常に難しいということは御指摘のとおりでありまして,これは実は最後にあります,教育の便益とかパフォーマンスあるいはアウトカムというような言葉についても全く同じでありまして,教員の評価についても同じでありまして,非常に難しいわけです。これにつきましては,大学ポートレートを作るときに1年以上掛けて激しい議論をいたしまして,そこでもなかなか全部については合意に至らなかったというような経緯があります。例えば中退率,卒業率,就職率というようなものを取ってみましても,どのように定義するかということで非常に変わってしまいますから,これについて合意が得られなかったわけです。ただ,そう言っても,先ほど益戸委員からありましたように,では高等教育機関が社会からどのように見えているんだというのは見えにくいという,そういう点からしますと,こういった指標を作っていかなければいけないということも事実であります。私も委員として加わって感じておるのですけれど,大学側と社会の側が非常に,最近の言葉で言いますと分断されているというようなことを感じます。大学側は大学側の論理でいろいろ,先ほど来申し上げているわけですけれど,社会から見ると,非常にそれが見にくくなっている。そこで,大学の情報公開というのが1つのキーになるわけですけれど,その大学の情報公開自体が,今申し上げたように非常に難しい,困難な課題になっているということであります。
 それで,言葉の問題も,先ほど来ありましたように,そうです。村田委員のおっしゃるアセスメント・ポリシーという言葉が混乱するというのも,やはりまだまだ答申が,本文が説明不足だと私は思います。様々な言葉で,私たちにとってはある程度,常識化している言葉なのですけれど,それがもう,説明もなしにあちこちで使われているということがありまして,これは社会から見たときにこれが読みこなせるかというと,先ほど非常に難しいというお話がありましたけれど,そのとおりだと思います。これは,大学人というより研究者の責任だと思っていますけど,そういうことをもう少し分かりやすく伝える必要があるとは痛感しておりますけれど,難しいということも事実ですので,私が申し上げたいのは,これは今回で終わりではないので,是非こういったことをもう一回検討する場を作っていただきたい。これは中央教育審議会のような大きなところでやるかどうかは別の問題ですけれど,大学の情報の公開でありますとか,質の保証でありますとか,そういったことを含めても結構ですけれど,そういったことをもう少し細かく,今のようなことを検討する場がないと,多分この話はいつまでたっても同じことで繰り返しになりますので,是非そういう場を作るということを答申に入れていただければ逆にやりやすいかと思います。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございました。それでは,小杉委員,どうぞ。
【小杉委員】  ありがとうございます。
 私は,今の小林先生の分断ということにすごく関係があるのですけど,29ページあたりに書かれている,学修成果をもっと産業界の採用行動に積極的に使えという文脈なのですが,基本的には賛成なのですけれども,その前提にあるだろうという話です。今,企業さんが面接で多く採るというのは,主体的に行動できるかとか,あるいは課題解決に向かって行動ができるか,あるいは新しいアイデアを出す創造力があるか。こうしたことを面接の中で一生懸命拾おうとするわけです。企業が必要としているそうした情報が学修成果という形で本当に開示されているなら,それは使わないはずがないと思うんです。そこの部分で,この中で書かれているような,何を学んだかが分かるような形の教育であり,そしてその教育の内容が21世紀型スキルでは非常に幅広い,汎用的なものも含めての表記で,そこでその学修成果が,企業にとって知りたい情報を含めた学修成果として情報開示されるなら,使わないはずがないと思います。そこのところで,おそらく社会との分断というような話が出てきて,実は大学が教育しているのだけど,そのことがきちんと情報として,企業の方はある意味で信用されていないから,一々,面会,面接で全部採ろうとするというところがある。これは選考活動に使うべきなのですが,その使う前提として,やはり企業と大学との間の共通認識を持てるようなもの,それを私は地域連携プラットフォームに非常に期待しているのですが,そういうところも含めて,学修成果について共通の理解を得た上で,是非積極的に使えと。そのような文脈にしていただければなと思います。
 以上です。
【永田分科会長・部会長】  河田委員,どうぞ。
【河田委員】  具体的なことを4つ,短く言います。1つは,答申名にせっかく「2040年に向けた」と書いてあるのですから,その下の平成30年の表記部分にせめて括弧して西暦で2018年と入れていただいた方がいいのではないかと思います。
 2つ目は,次の2ページの「はじめに」の出だしの5行が非常に長ったらしい。せっかく格調の高い文章で執筆してあるのに,出だしがちょっとごちゃごちゃし過ぎているというのが印象です。ですから,例えば2行目の,「100年時代を迎えるというこれからを」の部分は,「100年時代を見据えて」でもいいと思います。それから,「その前の学校段階」の部分も,「学校の前段階」などとしたらいい。最初に,「本答申を何々と位置づけた主目的は何か」,そして,「それは」と続けて,最後に,「提言するからである」とすれば,もう少し読みやすい文章になるのではないかと思います。
 3つ目は46ページです。小宮山東京大学元総長と私は,現在,寄附募集を一生懸命啓蒙活動しているのですが,真ん中の財政のところに,良いことが書いてあるのですけれど,いささか分かりにくいので指摘させていただきます。黄色いマーカーの2つ目ですが「また,高等教育の財源を安定的に確保していくには,公的な支援だけに依存することなく」とか,少し文章を変えていただければと思います。また,「民間企業や個人」ではなくて,先ほど山田前知事が言われたように地域も入っていますから,「民間企業,地域,個人などから,寄附文化を醸成しつつ寄附金募集を積極的に行い」などと,非常にいいことが書いてありますので,是非これを少し変えていただければと思います。
 それから最後4つ目は,48ページの黄色いマーカー部分の一番下の丸,大学間の連携・統合の部分です。国立大学だけが一法人複数大学制度をやるのではなくて,私学も今後,このような制度を考える可能性もあるかと思いますので,「国立大学・私立大学の一法人複数大学制度」とすれば,宗教がキリスト教の場合は新教と旧教,あるいは仏教でもいろいろ宗派があっても仲間になれるので,これは是非,私立大学も入れていただければいいのではないかと考えます。
 以上です。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。安部委員,どうぞ。
【安部委員】  ありがとうございます。まずは,これまでの審議会の多くの意見を取り入れていただいた答申案の提示を頂きましてありがとうございます。
 その上で,短期大学の立場として,41ページからの「Ⅴ.各高等教育機関の役割等-多様な機関による多様な教育の提供-」の部分について意見を述べさせていただきます。これまでの部分はいわゆる4年制大学のことを中心に書いてきたのだということで,ここでは既存の4年制大学以外の多様な高等教育機関の役割や期待,課題などについて書いていただいているのですけれども,専門職大学・専門職短期大学,短期大学,高等専門学校,専門学校と来まして,次に大学院が出てきます。この章の冒頭で多様な高等教育機関ということで,学位の授与の有無などの観点から整理されているのですけれども,大学院については全くまた違うのではないかという気がいたします。大学院部会等で大学院についてはかなり検討されたと聞いておりますが,これが前の部分の学校種と並立的に書かれていることがどうなのかなと思いましたので,質問させていただきました。
【永田分科会長・部会長】  それでは伊東委員,どうぞ。
【伊東委員】  すみません。先ほど一言言い忘れましたので申し上げたいと思います。先ほどのラインで,今回の答申案の要旨の5ページの記載も同じような状況でございます。そして,非常にちょっと心配いたしておりますのが,資料4の「主な議論の整理」の表なのですけれども,その中で,「今回の答申案」ということで,赤の大きな枠で囲ってあるところで,「規模の適正化」というところの右側のところで,「18歳人口減少を踏まえた,教育の質を維持・向上するための適正な規模」ということで非常に簡潔に書いてあるわけでございます。とかく大きな枠組みでマスコミ等が取り上げるところで,要は規模については18歳人口が少なくなっているので減らすと。そして,その観点は特に,もちろん教育の質を維持・向上するためのということがあるわけですけれども,通常で考えれば,東京の人口は多く,地方の方が人口減少が大きいという状況と見ますと,やっぱりこの議論の中で,例えば「18歳人口や地域における高等教育機関の社会的な役割を踏まえた」というような単語など,つまり人口だけでそれぞれの学校の規模が決まっていくというようなことに,ぱっとマスコミなどに思われないような観点ができれば,何とかお願いしたいなと思っております。我々地方都市にとりまして,どこもそうでございますけれども,本当に,大学,短期大学,また高等教育機関というのは非常に大事なものであり,また地方創生のための正に今2040年に向けての本当に原動力であると思っておりますので,そういう観点も是非前面に今回の,全国の人口が減るという中でのものですけれども,打ち出していただきたいと強く思っております。以上でございます。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございました。それでは福田委員,どうぞ。
【福田委員】  ありがとうございます。大変すばらしく,まとめていただいていると,私としましては思っております。ただ,いろいろな立場によって違うことはあろうかと思いますけれども,私が1つお願いをしたいことは,48ページ,要するに今後の検討課題の中で,中央教育審議会でできることと,それから国においてということで,2つございます。国においての中で,「地方連携プラットフォーム(仮称)」についてのガイドラインの策定ということについては,なかなか地方を理解している人たちがこれだけ少ない中でできるのかと考えてございます。
 といいますのは,地方創生,先ほどから出てまいりますけれども,例えば11ページに,「都市に出なければ教育機関や働く場所がないということではなく」,「その地域を豊かなものにしていくための継続的な営みができる社会の実現」ということがあって,これは言い替えれば,企業と教育機関,要するに人材養成と働く場所が必要だと。そういったことかと思いますし,では人材がどんどんと都市へ出掛けていってしまうという,各地方の知事さんなどのお話でもよくございます。そのとおりだと思いますが,では人材をどこから引っ張ってくるのという中では,留学生というのも大きな人材としては十分考えられるのではないかと。実習生ではなく,留学生の就職ということでございます。したがいまして,今後,地域創生の中の大きなキーポイントとして「地域連携プラットフォーム(仮称)」があるとするならば,少なくとも主催していただくのは,こちらで地方の首長さん,それから地方の経済団体,中央の連合会ではなしに,そういった生の声が聞けるような形でのワーキングを是非お考えいただきたいというお願いでございました。以上です。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。最後の部分は恐らく先生がお考えのとおりだと思います。「地域連携プラットフォーム(仮称)」は,高等教育機関だけでなく,地域を支えている自治体,それから産業界など,多々あるいろいろな声を聞く場であるべきです。したがって,ガイドラインというのは,それぞれの地域の置かれた状況を踏まえた柔軟なあり方が認められる内容になると思います。
 ガイドラインに関する記載のなかで、国においてはというのは主に文部科学省においてという意味です。
 それでは,皆さんの御意見を伺いましたが,骨子が大きく変わるような意見はありませんでした。1つは用語の問題でして,分かりにくい用語はできる限り注釈を加えたいと思います。それから,産業界と地域に関する記載について,若干書き分け過ぎているかもしれません。先ほどの寄附の問題をはじめとしていくつかの課題について,「産業界及び地域では」のように書いていきたいと思います。
 そのほか,本日頂いた意見は,全体の整合性に大きな支障がない限りは極力取り入れていこうと思っておりますが,ここで皆さんにお願いしたいことが1つあります。この答申案は,中央教育審議会の総会に諮った後に,パブリックコメントや各種団体からのヒアリングの手続きに進みたいと考えています。そのうえで,11月の将来構想部会でお諮りして最終答申案としたいと考えております。
 そこで,総会やパブリックコメント,ヒアリングに向けて,本日までの3回,集中的に議論させていただいた御意見を踏まえた答申案の修正を,部会長に御一任いただきたいと思います。もちろん,これら手続きの過程で出た意見を踏まえた修正については,改めて説明させていただくとお約束いたします。いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。それでは,本日頂きました御意見を勘案した上で,総会に出す答申案の原案とさせていただくことにいたします。
 それでは今後の予定について,パブリックコメントあるいはヒアリング等についてもあわせて,事務局から皆さんにお知らせください。
【石橋高等教育政策室長】  ありがとうございました。10月5日に中央教育審議会の総会が予定されておりまして,ここに,今,部会長からお話のありましたとおり,答申案ということで一度諮らせていただきたいと考えております。その後,パブリックコメントに入るという運びになるかと思っております。また,そのパブリックコメント期間中になりますが,10月10日,17日に,今,部会長から説明がありました団体ヒアリングの実施を考えておりまして,その後,パブリックコメントの御意見,それから団体から頂いた御意見等を踏まえまして,11月6日にもう一度御審議を頂ければと思います。なお,11月20日は予備日ということで考えておりまして,その後,11月末頃に予定されております中央教育審議会の総会で答申が決まるという形でどうかと考えております。スケジュールは以上でございます。
【永田分科会長・部会長】  以上のとおり予定しております。よろしいでしょうか。
 それでは,本日は有益な御議論をありがとうございました。

                                                                  ―― 了 ――

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-- 登録:平成30年12月 --