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大学分科会(第133回) 議事録

1.日時

平成29年1月25日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 認証評価機関の認証について
  2. 大学の事務職員等の在り方について
  3. 作業チームの論点整理について
  4. その他

4.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(副分科会長)北山禎介副分科会長,河田悌一副分科会長
(委員)小原芳明,志賀俊之,竹宮惠子,中根滋,坂東眞理子の各委員
(臨時委員)麻生隆史,安部恵美子,天野玲子,有信睦弘,石田朋靖,岡本信明,片峰茂,勝悦子,黒田壽二,小林雅之,佐藤東洋士,佐野慶子,島田尚信,橘フクシマ咲江,千葉茂,福田益和,前野一夫,美馬のゆりの各臨時委員

文部科学省

(事務局)常盤高等教育局長,村田私学部長,浅田大臣官房審議官(高等教育局担当),松尾大臣官房審議官(高等教育局担当),牛尾文部科学戦略官,里見生涯学習政策局政策課長,塩見高等教育企画課長,角田大学振興課長,浅野専門教育課長,井上学生・留学生課長,蛯名私学行政課長,堀野高等教育政策室長,籾井留学生交流室長,根橋高等教育政策室室長補佐 他

5.議事録

 永田分科会長より,議題のうち「認証評価機関の認証について」は,中央教育審議会大学分科会運営規則の第二条第二項の「公開することにより公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認める場合」に該当し,非公開とする旨の説明があった。

(1)認証評価機関の認証について,第128回の大学分科会(平成28年6月24日)において,文部科学大臣から諮問がなされた日本社会福祉教育学校連盟の申請に関する「認証評価機関の認証に関する審査委員会」における審議経過について,事務局から報告があった。
 その後,大学分科会における審議を行い,原案通り答申することについて,可決された。

(2)大学の事務職員等の在り方について,事務局から資料2-1,資料2-2に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【永田分科会長】  それでは,「大学の事務職員等の在り方について」審議を行いたいと思います。これまで大学分科会を含めて審議を進めていただいて,ようやく今後の取組の方向性について一部まとまってきたということであります。直近では12月27日に開催された大学教育部会で議論がされていて,この大学分科会の中でも審議いただこうということであります。
 それでは,事務局から説明をお願いいたします。
【角田大学振興課長】  大学振興課の角田でございます。「大学の事務職員等の在り方について」説明をさせていただきます。資料2-1を御覧いただきたいと思います。また,参考資料といたしましてデータ,実例等を資料2-2にまとめておりますので,御覧いただければと考えております。
 大学の事務職員等の在り方につきましては,これまで中央教育審議会大学分科会及び大学教育部会を中心に御審議いただいてまいりました。平成28年2月には大学運営の一層の改善・充実のための方策についてを御提示いただき,大学の事務組織及び事務職員が,当該大学の目標の達成に向けて,これまで以上に積極的な役割を担い,大学運営の一翼を担う機能をより一層発揮できるように,今後のあるべき姿について更に検討を深め,その結果を法令等に反映させることが適当であるということについて,方向性をお示しいただいたところでございます。このたび御提示いただきました方向性を踏まえまして,大学の事務職員等の在り方について御説明するものでございます。
 現在,大学におきましては教育研究の高度化・複雑化に伴い,大学の事務職員等の関わる業務について様々な変化が生じております。その具体的な事例といたしましては,ジョイント・ディグリー・プログラムの推進,入試改革,大規模な産学官連携の推進,学問分野を超えた教育研究の展開,戦略的な大学運営等があると考えているところでございます。
 この中で,具体的なイメージをお持ちいただくために,平成26年度に制度化されましたジョイント・ディグリー・プログラムに関する業務につきまして,必要性の中で事例として紹介をさせていただきたいと思います。資料2-1の1ページ目の中段以下のところにございますが,資料2-2の18ページ以降につきましても資料がございますので,併せて御覧いただければと思います。
 ジョイント・ディグリー・プログラムは,我が国の大学と外国の大学が,大学間協定に基づき連携して国際連携教育課程を編成・実施し,共同で単一の学位を授与する仕組みでございます。現在四つの専攻が設置をされておりまして,我が国の大学の教育研究の一層の充実が期待されているというところでございます。
 このプログラムの設置に当たりましては,具体的な業務といたしまして,海外大学との密接な情報共有・調整を要するものでございます。また,学内の担当部局として法務,教学,国際,あるいは各学部・研究科との連携を図る,さらには,文部科学省と法令上の解釈・運用に関する協議が必要になるものでございます。
 こういった業務については,教員だけ,あるいは事務職員だけが対応するということは困難がございまして,事務職員と教員が互いに専門性を生かしながら,役割分担をして取り組むということが必要になるものでございます。
 そのような意味で,今回の事務職員の規定の見直しの一つの事例ということで御紹介をさせていただきました。
 また,ジョイント・ディグリー・プログラムのような教育研究に関し,高度な専門性が求められる業務以外にも,就職支援など学生支援に関する業務,また大学の評価等の大学運営に関する業務などについて,教員と事務職員が協働して業務に取り組んでいる状況がございます。
 資料2-2の16ページを御覧いただきますと,教職協働の現状についての資料がございますが,ここにございますように,今申し上げましたところについて多くの大学で教職協働の取組が行われているところでございます。
 このように大学の事務職員が単に指示された事務を処理するような業務のみに従事するのではなく,大学における様々な業務の運営や意思決定に参画をしているという現状がございます。また,互いの業務の変化を通じまして,教員・事務職員の垣根を越えた取組が一層必要となっているという状況がございます。こういった中で,教職協働の重要性を改めて認識をし,適切な役割分担の下で業務に取り組むことが求められていると考えております。
 こういった中で,現在事務職員に関する規定があるわけでございますが,この見直しが必要ではないかということで,資料2-1の4ページのところでございますけれども,三つの内容について方向性を御提示いただいているところでございます。
 まず,4ページの中段以下の1点目でございますが,事務職員について,大学の教育研究の変化に伴う業務の変化の現状に対応しまして,一定の責任と権限を持って職務に当たるという趣旨を明確にするという観点から,現在,学校教育法の第34条第14項に規定をしております「事務職員は,事務に従事する。」という,この規定の見直しをしてはどうかという点が1点目でございます。
 2点目は事務組織でございますが,事務職員の法律上の規定の改正に伴いまして,大学の教育研究の組織的かつ効果的な運営を図るという目的を明確にする観点から,現在,大学設置基準第41条に規定しております「大学は,その事務を処理するため,専任の職員を置く適当な事務組織を置くこととする。」という,この規定を見直すこととしてはどうかという点でございます。
 3点目は,教職協働でございます。大学の教育研究の組織的かつ効果的な運営を図るために,大学設置基準において教員と事務職員等とが連携体制を確保し,協働して取り組むことが重要であるといったことについて規定を設けることとしてはどうかということでございます。
 以上3点につきまして,お示しいただいているところでございまして,この取組の方向性でよろしければ,今後事務局といたしまして関係法令の改正に向けた作業を進めていきたいと考えているところでございます。
 説明は以上でございます。御審議のほど,よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。要するに,最後の3点のところに帰結しているわけです。これに関する,あるいはここに帰結する過程について御意見等を頂ければと思います。
 岡本委員,どうぞ。
【岡本委員】  一つお伺いしたいのですけれども,給与のことについては,三つの柱になっていくと考えてよろしいのですか。職務と給与の対応というようなことは,今全く触れられませんでしたけれども,もし何かお考えがあれば,教えていただきたいと思います。
【角田大学振興課長】  今回,処遇の部分につきましては,この法令の中では特に取り上げているところではございませんが,今御説明申し上げましたように,事務職員の位置付けというものが,これまで事務の内容の変化に伴いまして変わってきておりますので,そういった状況を踏まえた各大学での検討が,この規定の改正を受けて進むことが期待されると考えているところでございます。
【永田分科会長】  有信委員,どうぞ。
【有信委員】  この三つの方向については,非常にいい方向だと理解しますけれども,今,運営費交付金が毎年減らされている中で,現実には教員の数は減らさずに事務職員をどんどん減らしてきているという問題があります。
 この中で,教職協働あるいは研究教育というのが単に教員だけでやるものではないということが如実に表れているのは,こうやって事務職員を減らした結果,教員の負荷が非常に増えてきているわけです。だから,そのような意味で,事務職員に対する対応というのは,大学の経営上の問題としてきちんと捉えるという視点をどこかに入れておかないと,質的に事務職員を訓練することも,もちろん重要なことなのだけれども,そればかりやっても結果的に事務職員の数が減った部分の負担が教員に行って,教育研究が実際にはうまく回らないという構造的な欠陥を生み出しているということを,どこかできちんと議論をしてほしいと思います。
 もう一つは,大学の中の教職員の職位が,実はかなり多様になってきていると思うのです。例えば,URAを設置しなさいだとか,様々な専門的な事務職員を雇わなければいけないという状況になってきている中で,そのような専門的な事務職員というのか,教員というのか分からない立場の人たちが実は増えてきていて,このような人たちを,どのような位置付けにするのかというのは,今のところ各大学の裁量に任されている現状だと思います。これについて実際の位置付けのバリエーションの可能性をどこかで考えるか,または考えないかということは,かなり重要な話になってくると思いますので,この点の検討はお願いしたいと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 中根委員どうぞ。
【中根委員】  中根です。ありがとうございます。私は経営の実務者なのですが,理系の私立大学の経営に都合10年間,評議員,理事,理事長としてやってきました。事務に関する問題意識というのは非常にありますので,簡単にポイントだけ意見を申し上げたいと思います。
 まず事務職員等の在り方というのは,大学ガバナンス改革の一部であるということであります。大学ガバナンスの機能モデルとして,法人の経営と大学の運営と二分されると思います。教育と研究の効果,エフェクティブネス,価値,インパクト,バリュー,これは教員だと思います。事務は事務と言ってしまうと事務だけに聞こえるのですけれども,法人の経営と大学運営の両面,つまり効率に対する支援と実行責任を実態として持っています。ですから,それを踏まえた上でいろいろ考えてあげないといけない。
 今も有信委員からの御意見は,幾つかすごくいいポイントだと思ったのですけれど,教員が教育と研究に専念できるよう雑務から解放してあげるというのは,実は事務でないとできない仕事なのです。ですから,このようなこともあります。欧米のリーディング大学と私がいた大学を比べますと,大学とスタッフのレイシオ,先生一人に対する事務職員数は,私がいた大学は0.6人です。アメリカのトップは先生一人に対して6人です。ですから,これによってどちらが生産性が出てくるのかというのも,やってみればすぐ分かることだと思います。
 それから,大学の両輪の一つだということで,事務を相対的に位置付けてモチベートしてやることが必要なのだと思います。事務職員の今後のキャリアパスが,理事長とか常務理事のポジションにつながるキャリアパスを明示してあげる。更に事務職員の大学経営と運営に関する位置付けを高めるために,欧米のベストプラクティスと比較して改善をしていくことだと思います。
 最後に1点。有信委員から御指摘が出ていましたけれども,URAについて,今理系の大学は少なくとも大学院と研究に焦点がかなりシフトしています。そうすると新たな局面で新たな事務スタッフ,すなわちURAが必要なのです。URAが宙ぶらりんの体系になっているので,是非今回の法改正に合わせて,このような第3の職種についての検討を至急進めていただいて,法制化していただきたい。これは大変攻めの戦略の一つになると思いますので,是非よろしくお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 坂東委員どうぞ。
【坂東委員】  ありがとうございます。今,3点の見直しの方向は大変時宜を得たものだと思いますが,「事務職員は,事務に従事する。」の事務でございますけれども,事務イコール雑務というようにお考えになっていらっしゃる大学人が,教員の方も含めて,とても多いのです。事務は雑務ではなく,学生たちにきめ細かな指導をする上で不可欠な業務なのですけれども,それが得意な教員の方が少ないために,サポートする専門的な能力を持っている人が必要だということで,大学によって違いますけれども,研究教育以外の仕事を担当している職員を一段下に見るというような傾向は,是正していかなければならないのではないかと痛切に思っております。
 教員の方たちができることと,職員ができることには違いがあります。それぞれが得意な分野で能力を発揮して,お互い協働するためには,お互いをリスペクトするという考え方が必要になってくるのではないかと思いますが,それは大学内部だけではありません。先ほどどのような身分呼称にするかというお話もありましたけれども,例えばいろいろな産学共同のプロジェクトを担当するときに,コーディネートする職員,教員の中間的な立場の人が,往々にして特任教授ですとか特命教授ですとか,そのような肩書があった方が外向けには受け入れられやすい。事務職員のままでは,外部からもリスペクトされにくいというような問題がありまして,そうしたポストに就く人たちに対してどのような呼称を持っていただくかということも,併せて検討していただければと思います。
 ありがとうございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 竹宮委員,どうぞ。
【竹宮委員】  事務職員の規定を見直すということが書かれているわけなのですけれども,規定というものが非常にやることを限定してしまう傾向があるのではないかと思います。事務職員にも教員にも,できることならば指示なしで自分たちの仕事の何が大事なのかを考え,理想的に動いてくれるということが,立場上非常に望まれるところなのですけれども,なかなかそのようにはなりません。どうしても,規定外であるからやらないという感覚を,つい持ってしまうわけです。
 ですから,大学はその事務を処理するため専任の職員を置く,適当な事務組織を置くこととすると書いてあるところなのですが,規定を見直すのは,どの部分なのだろうかということが疑問に思いました。私としては,その「事務を処理するため」ということで,限定してしまっているのではないかというところを見直してほしいと思います。
 そして,限定するのではなく,できることならば規定を書くときに言葉を選んで,事務であれ,教員であれ,協働をする形というものを作っていけるように,言葉を選んで作っていただきたいと思います。
【永田分科会長】  美馬委員,どうぞ。
【美馬委員】  今回,大学事務職員の在り方について議論するということについては,とても期待しています。一つは,スタッフ・デベロップメントとして研修を行って,職員自身の意識改革を行うということですけれども,私としては,その後,職員の人材を流動化していくことを促進するような仕組み,制度が考えられないかということです。
 先ほど職員のキャリアパスの話もありましたけれども,一つの大学組織にとどまらず,職務を定めていろいろなところを流動していく,回っていくことが,この分野においての人材育成を更に進めることになるのではないかと思います。特に今まで国立大学では公務員採用で転勤があったわけです。私立大学では主に私立大学の歴史,あるいは文化を背負った独自の卒業生が行う場合も多く,公立大学では公務員採用のような形で,最近はプロパー採用が始まっていますけれども,そういったところでもっと枠を超えて人材が流動化していくようなものができれば良いと思います。
 特に大学では,教員の場合はそのような流動があるわけです。教員は大学を割合変わっていくということがありますので,例えば職員の場合であれば,その職能・職務に応じてそれを分析評価するようなことができれば,更に流動化を促進することになるのではないかと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは最後に,河田副分科会長どうぞ。
【河田副分科会長】  ありがとうございます。資料2-2の参考資料の4ページ目にある大学分科会のガバナンス改革の「審議まとめ」は,ちょうど3年前の12月24日に出たものです。私はこの部会の部会長をさせていただいて,ここにあるような事務職員の重要性をもう少し訴えない限り駄目だということで,これをまとめさせていただいたのでした。
 ですから,ここで大事なのは,有信委員が言われたような視点で,ただ単に学校教育法の34条を変えるだけでなく,92条にしか出てこない事務職員について,その果たすべき職務を明文化することである,と考えます。以前,本分科会で申したのですが,平成11年の6月23日に出された「男女共同参画社会基本法」の前文ごとき文章であります。そこには「男女が,互いにその人権を尊重しつつ,責任も分かち合い,性別にかかわりなく,その個性と能力を十分に発揮することのできる男女共同参画社会を実現」する,とあります。前文を付けるかどうかは別にして,男女を教員と事務職員に置き換えれば,「大学教員と事務職員は互いにその立場を尊重しつつ責任を分かち合い,教員・職員の区別にかかわりなく,その個性と能力を十分に発揮できる」,そのような体制の教職協働の大学を作ることが大事だということをうたう必要があると考えます。その中で,先ほど言われたように事務職員の地位をもっと上げるようにしないと,日本の大学は駄目なのではないかと思います。
 先ほどから出ているように,私立大学は卒業生の事務職員も多いですし,理事長まで行く人もまれではありません。ですから,事務職員の力も強いです。だけど国立大学では事務職員の力が十分に発揮されていない。国立大学法人での事務職員の存在価値は,ますます必要な時期に来ているのではないか。国立大学法人法も本年4月から変わって,寄附金であるならば資産運用してもいいというわけです。それができる人材が必要だし,様々な人材,例えば,入学試験はアメリカ的な形でアドミッションオフィサーがやってもいい。そうすると先生方が何も問題を作らなくてもいいし,採点しなくてもいいというようになれば,自らの研究に時間を使える。このような形で職務を分担してやるということをもっと進めないと,日本の大学は欧米の大学あるいはアジアの大学に教育でも研究でも負けるのではないかと感じています。
【永田分科会長】  いろいろと御意見ありがとうございました。是非とも生かしていただきたいと思います。私も一言だけ申し上げておきます。先ほど給与の話が出ましたが,いろいろな文言が変わっても,それ以上に,例えば給与表が変われば大きく変わるのだと思います。それからキャリアパスの問題は,それが成り立つだけのマスを作らなくてはいけないので,給与表は既存の事務職員を卓越した能力を持つ人を優遇する,あるいはURAのような新規の職については別途の給与表を作る等でマスを作らなければなりません。流動性の問題でも,一人だけいてもどこも次に行く場所がないわけなので,そのような意味合いでは,具体的・現実的なことをお考えいただきたいと思います。
 それでは,これはまだ具体的な文言も見えておりません。どのような規定になって出てくるかということも含めて議論を待ちたいと思います。この後,どうしても大学分科会に諮らなければいけないということもあるかもしれませんし,あるいは諮らずに,この点はどうだという指摘をしていくということもあるかもしれません。その点については,私にお任せいただきたいと思います。本日は,この案件に関しては,ここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。


(3)今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する論点整理について,事務局から資料3に基づき説明があり,その御意見交換が行われた。

【永田分科会長】  それでは,続きまして,今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する作業チームにおいて,このたび論点整理ができたということですので,御報告いただきたいと思います。その後,第3期教育振興基本計画の策定に向けた基本的な考え方についての御報告もさせていただいて,併せて議論をさせていただこうと思います。
 それでは,まず前段の部分,今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する作業チームの論点まとめについて,作業チームの主査代理である佐藤委員から御紹介いただきたいと思います。
【佐藤委員】  私の方から作業チームの論点整理について報告をさせていただきます。今後の高等教育機関の役割・機能の強化に関する作業チームでは,昨年9月の発足以来,職業教育における各高等教育機関の役割や,今後の高等教育改革全体の課題について4回にわたり議論を積み重ねてまいりました。そして作業チームにおいては,早急に取り組むべき論点,又は中期的,長期的視点からより詳細に検討すべき点についてまとめつつあるわけであります。特に早急に取り組むべき論点については,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関が発足することになっておりますので,各高等教育機関,大学,大学院,短期大学,高等専門学校,専門学校それぞれからの意見を頂きながら議論をしたところであります。
 また,中期的,長期的視点からは,平成17年に「我が国の高等教育の将来像(答申)」(以下,「将来像答申」という。)がなされたわけですが,これは平成32年頃までを念頭に提言をされた答申でありますので,それ以降の施策の検証について議論をまとめているところであります。
 このたび作業チームとしての論点整理をまとめましたので,報告をさせていただきたいと思います。内容の詳細については,事務局から説明をいたします。よろしくお願いします。
【堀野高等教育政策室長】  それでは資料3に基づいて御説明をさせていただきます。ただいま佐藤委員から御説明がありましたように,資料3の表紙を見ていただきますと,大きな4の部分が実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の創設に関わりまして既存の教育機関はどうなっていくのか,そして新たな高等教育機関との関係はどうなるのかを整理した部分でございます。
 大きな5ぽつが,それに限らず,中長期的視点から大きな構造的な問題を含めて,今後大学分科会で議論していくべき事項を御議論,論点整理いただいたという構成でございます。
 開いていただきまして2ページでございます。今回の論点整理の位置付けにつきまして,二つ目の丸にございますように,三つの視点を踏まえて議論をいたしました。一つ目に,新たな職業教育機関ができるということを念頭に置いた短期的な視点。二つ目に,第3期教育振興基本計画が現在議論されているということも念頭に置く必要があるということ。三つ目に,平成17年の将来像答申以来,今後どうしていくかという長期的な視点が必要だという3点でございます。
 大きな2ぽつで,これまでの政策の動向ということで,将来像答申で示された機能別分化といった方向性に基づいて,二つ目の丸で資金・財政面においても,それから法律改正においても,こうした考え方で政策が進められてきたということが書いてございます。
 3ページの3ぽつですけれども,高等教育を取り巻く状況の変化ということで,一つ目の丸にリストアップされているような様々な人口の減少,進学率の変化,グローバル化,産業構造の変化,就業構造の変化,経済的格差の拡大や貧困問題の顕在化,地方創生,学術研究,様々な背景を考えていかなければいけないということでございます。
 次の丸で,こうした中で,高等教育としては知識・技能を学んで修得する能力だけではなく,学んだ知識・技能を実践・応用する力,更には自ら問題の発見・解決に取り組み,新たなものやサービスを生み出し,社会に新たな価値を創造する力を育成するという大きな考え方が示されております。
 それを受けて次の丸で大きく二つ,丸1,丸2,新たな価値創出の基盤となる創造的な教育研究の高度化。社会の変化,産業界等の要請を踏まえた実践的な教育の充実という方向性が示されております。
 4ページから大きな4番でございます。ここからは大学,大学院,短期大学等々,各機関別に現状の課題と目指すべき方向性,そのために必要な施策を並べております。4ページ,大学については主に学士課程教育の質の確保というのが大きな課題になってきているということが4ページに書いてございます。5ページに行っていただきまして,最初の丸で,こうした大学の機能強化の方向性として,一層の機能別分化ですとか,大学教育の質的転換,あるいは学位や単位の国際通用性,成長分野に対応する人材教育の充実といったことが大きな方向性でございます。
 こうした機能強化を支えるため,アンダーラインの部分ですけれども,今後検討を進めていくべき事項として三つの方針を踏まえた教育課程の改善や指導方法の改善。あるいは学生の学修時間の把握,大学での学修成果の可視化等々。
 それから6ページに行っていただきまして,ファカルティ・ディベロップメント等や教員の教育実績の評価等,組織的な教育体制の確立とされております。
 大学院につきましても,現状の記述が6ページにございまして,7ページ,大学院における機能強化の方向性として,優秀な学生が博士課程に進学するための体制,社会との連携の強化,また,成長分野を切り開く高度専門人材養成機能の強化,学術研究機能の強化,博士課程学生を対象とした教育能力の養成等々とされております。
 アンダーラインの部分ですけれども,今後の検討事項といたしまして,博士課程リーディングプログラム,あるいは卓越大学院構想というものが動き出しておりますけれども,こうした高度化,国内外の研究機関や企業との連携,こういったことを視野に置いた大学院教育を進めていくということ。
 2点目に,大学教員としての能力形成につながる取組を強化していくということ。さらに,研究職よりも高度専門職業人養成を主としている修士課程の専門職学位課程への移行の促進。このようなことが示されております。
 8ページから,短期大学でございます。短期大学の現状と課題がありまして,真ん中あたりの丸が,このような現状を踏まえた短期大学における機能強化の方向性ということで,幅広い教養と専門的な職業能力を備えた人材養成をする職業教育機能の充実・強化,編入学や専攻科の強化などファーストステージ機能の強化,また,社会人への再教育,生涯学習機能の強化という方向性でございます。
 そして今後の検討,機能強化を支えるための検討事項ですけれども,アンダーラインの下になお書きがございますけれども,先ほどの大学の部分で示された質の向上等については,当然短期大学にも当てはまるものだということが注意書きがございます。
 その上で,一つ目に,社会人学生のニーズに応じた教育の提供方策ということで,幼稚園,保育士,介護士等々の資格について,社会人もこれらの資格を取得しやすくなるような実践的・専門的プログラムの充実。また,出産・子育て等を機に離職した者に対して,短期大学が再就業に必要な知識や技術を提供する場として活用されるような短期の非学位プログラムの充実方策の検討。
 それから,自県内入学率が大学よりも高く,キャンパスの4割が人口30万人未満の都市に所在しているという特性を踏まえ,小規模な学科の設置を前提とした設置基準の検討が必要ではないか。また,コンソーシアム形成やe-ラーニングの積極的活用というのも有効ではないかということ。
 そして,専攻科の教育の強化,高度化ということで,大学と短期大学専攻科による共同教育課程の創設といったことも検討が必要ではないかということでございます。
 次に,高等専門学校ですけれども,一番下の丸に機能強化の方向性。実践的・創造的な技術者の養成。産業構造の変化への対応。本科・専攻科を含めた充実等々示されております。
 10ページに,アンダーラインの部分ですけれども,新たな産業を牽引(けんいん)する人材の育成。IoT,ロボティクスなど,こういった変化に応じて早期からの人材育成をしっかり従事していくということ。それから他分野の連携や新分野の人材育成に力を入れていくと書かれております。
 また,高等専門学校教育の高度化として,地域産業界との共同,インターンシップですとか,技術科学大学との連携強化等々示されております。高等専門学校教育の国際化として,留学生受入数の増加や,英語による専門教育の実施。高等専門学校制度の海外展開の促進といった方向性が示されております。
 10ページから専門学校でございます。11ページのところに機能強化の方向性。真ん中あたりの丸ですけれども,機能強化の方向性として,社会・産業ニーズに即応しつつ多様な教育を柔軟に展開するという強みを生かした人材育成機能を更に強化する。地域における人材養成のプラットフォームとして,地域産業を支える多様な職業人材を養成する機能を強化する。復職やキャリアアップなど,社会人の再教育,また留学生の受入れ等のグローバル化。他の教育機関との接続の円滑化という方向性でございます。
 こうした機能強化を支えるために,現在これからの専修学校教育の振興の在り方検討会議において議論が行われておりますので,この議論を踏まえて,例えばということで検討事項といたしまして,地域の多様な中核的産業人材養成機能の強化方策。社会人の学び直しのニーズに一層応えていくための方策。e-ラーニングの活用,社会人の学び直し講座の開設,職業実践専門課程を含めて社会人の学び直しを促進する方策の検討と書かれております。
 そして専門学校教育の質保証・向上の方策についても検討が必要とされております。
 こうした各それぞれ既存の高等教育機関の機能強化の方策を踏まえまして,(2)の部分で実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関についてまとめられております。
 二つ目の丸にございますとおり,平成28年5月の中央教育審議会答申において制度化が提言されました。そして,その際,様々な機関と新機関との整理ですけれども,次の丸にございますとおり,職業教育には多様な分野がありまして,専門性のレベル,あるいは卒業後に働く組織での役割の違い等々によって,必要とされる教育内容はそれぞれ異なってくる。そうしたものに応じて大学,短期大学,高等専門学校,専門学校それぞれの持つ強み,特長を生かして役割を果たしている。
 下に例えばということで,医師,法曹,教員,保育士,看護師など資格取得のための教育が学問分野として確立をしているものについては,それぞれの教育機関で養成が行われています。例えば,13ページ上にございますように,6年制の修業期間を要する医師,あるいは大学院までの教育を基本とする法曹といったような,比較的長期の教育で養成を行うものもあれば,幼稚園教諭や保育士のように比較的短期の教育で養成を行うものもございます。こうした教育は今後とも変わらず重要であると書かれております。
 次の丸で,また,伝統的な実学教育であった工学や農学をはじめとして様々な分野の人材育成というのは,引き続きそれぞれの高等教育機関で行われております。さらに次の丸で,特定の職業への就職を前提としない幅広い教養教育・専門教育というものは,大学,短期大学において行われておりまして,いうまでもなく高等教育においては就職後直ちに役立つ知識・技能だけではなく,変化する状況の中でも多様に応用できる根本的な学術知を教えていくことは,今後とも重要な役割として残ってまいります。
 次の丸では,さらに経済のグローバル化が進展する中では,人文,社会科学というものが職業教育においては果たす役割も重要だという認識が必要だとしております。
 こうした中で,産業界からは,より高度で実践的・創造的な教育,成長分野での人材育成というものを求める声があるということで,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関は,こうした声に応え,ある分野の専門業務を牽引(けんいん)し,又は新規分野を開拓するような人材を育成するために,産業界と密接に連携して高度かつ実践的・創造的な教育を行おうとする場合に最も適した教育機関として創設が検討されているものであって,従来の高等教育機関における職業教育に加えて,新たな選択肢を提供しようとするものであると整理をされております。
 次の丸で,更にこうした高度な実践的・創造的な職業教育のために必要な教育内容・方法,あるいは教員の資格など様々な基準が制度として定められ,実践事例ができていくということは,既存の高等教育機関が自らの職業教育を改善していく上でも参考となるものであると整理をされております。
 以上が,既存の機関と実践的な職業教育機関との関係でございます。
 14ページから,さらに今後,中長期的視点から検討すべき事項,論点が示されております。(1)といたしまして,将来像答申以降の施策の検証ということで,一つ目に大学の機能別分化について適切に進んできたのか検証をする必要がある。その際には,学士課程,専門学校等と横の機関の機能別分化だけではなくて,学士課程と大学院など,縦の機能別分化に関する視点も必要ではないかということでございます。
 次に,高等教育の質の保証ということで,これは本来各機関が自発的に取り組み,責任を果たすべきものであるということを前提としつつ,事前評価としての設置認可,事後評価としての認証評価,これは両輪として位置付けて質の保証を行うということで来たわけですけれども,十分に機能しているのかということを検証するとともに,情報公開を含めてしっかり今後の在り方を検討するということでございます。
 15ページでございますけれども,新たな学生本位の視点に立った教育の実現ということで,学位プログラムの問題でございます。現状では一旦設置認可されると,組織の在り方が硬直化し,必要な教育課程の見直しも行われにくくなっていると指摘されている。今後,学生の学修の視点に立って柔軟に教育プログラムを設計していけるような仕組みについて検討する必要があるとしております。
 次の丸で具体的に,現行制度は学位プログラムの実施に着目した大学制度とは,まだなっていないということ。そして次の次の丸の部分ですけれども,こうした大学教育の質的転換の実質化や,真(しん)に学生本位の視点に立った教育の実現に向け,学位プログラムを中心とした大学制度への転換などを含めた教育課程の改善方策。質的転換を実質化するためのST比など教育環境の水準の改善方策。PBLによる課題解決型教育など,こういった教育内容の改善について,設置認可や認証評価の在り方などを含めて総合的に検討していく必要があるとしております。
 16ページでは一番上の丸で,大学ポートレートなど情報公開についても重要であって,併せて推進方策も検討していく必要があるということでございます。
 次に,国際的な学位等の通用性の確保について,二つ目の丸では国際的な学位の通用性や教育課程の改善に向けた検討を行うに当たっては,学位の名称の在り方についても併せて検討すべきであるとしております。
 その下に,社会人の学びへの貢献の強化ということで,産業構造の変化に伴い社会人も知識・技能を不断に刷新していくという観点から,転職あるいは子育てからの職場への復帰等々,様々な場面で社会に出た者が何度でも高等教育機関で学ぶことで,その都度必要な専門性を身に付けるシステムを構築する必要があるとしております。
 下から二つ目の丸で,例えば職業実践力育成プログラムや履修証明制度,経済的支援などについても検討していく必要があるとしております。
 その次に,教育・学生の流動性の向上ということで,教員にも学生にも多様性や流動性を高めていく必要があるとしております。
 17ページ,二つ目の丸では,また都市に立地している大学と地方に立地している大学の学生同士の交流なども,今後検討していく必要があるということでございます。
 その次に,高等教育機関間の連携の強化ということですけれども,一つ目の丸において,特に地方における高等教育機会の確保のためには,例えばe-ラーニング等を活用したり,地域でコンソーシアムを形成するなど,中小規模の機関が他大学と連携しながら,より円滑に教育課程を編成できるといったようなことも検討していく必要があるとしております。
 その下,2の学生の学びの質を向上させるための基盤整備ということで,高等教育の規模について,2015年120万人の18歳人口が,2030年には101万人,2040年には80万人となるという推計がございます。一方で,学士課程への進学率はOECD平均59%と比べると,我が国は49%と,まだ低いというデータもあります。
 次のページですけれども,一方で,社会人学生は多くないといったことも踏まえながら,高等教育の規模を考える上で,検討しなければいけないことが多々あるということでございます。
 次の丸で,検討の際には分野別の人材需要の状況,国公私立大学の役割分担,地域における高等教育機会の確保。そして,また地域間,男女間,所得階層間の格差といった様々なことを踏まえて総合的に検討する必要があるとしております。
 そして,人口減少社会の中で,機会の確保と教育機能の維持・向上を図っていくために,高等教育機関間の連携の強化,あるいは地方自治体や産業界の協力を得るという方策についても検討とされております。
 なお,まち・ひと・しごと創生総合戦略において示されておりますけれども,東京一極集中の是正に資するよう,地方大学の振興,地方における雇用創出と若者の就業支援,東京における大学の新増設の抑制や地方移転の促進等について緊急かつ抜本的な対策を,教育政策の観点も含めて総合的に検討するとされております。これを踏まえて,今後,中央教育審議会においてしっかり議論していくとされております。
 そして,学位プログラムを中心とした大学制度や,高等教育の規模等を踏まえて設置基準などの設置認可の在り方と,認証評価の在り方をしっかり検討していくということとされております。
 さらに,現在,私立大学等の振興に関する検討会議においても議論されている内容や,国立大学の運営費交付金の三つの重点的な支援の枠組み,また,ガバナンスに関する制度改正,こういったことを踏まえたガバナンスの強化について検討していくべきとされております。
 そして最後19ページに,国立大学の運営費交付金,私立大学への経常費助成等々,財政的基盤の強化の問題について,今後ともしっかり議論していくということ。
 最後に,その際,学生への経済的支援の充実など,教育負担の在り方についても議論が必要であるということで,論点整理がまとめられたところでございます。
 説明は以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。
 第3期教育振興基本計画のお話を聞く前に,一つだけ質問させていただきますが,この論点整理は,この後どのように扱われていくかという点について説明願います。
【堀野高等教育政策室長】  この論点整理につきましては,2月14日までが今期中央教育審議会の委員の任期となっておりまして,新たな委員による次期中央教育審議会におきまして,この論点整理を踏まえて,今後の高等教育の将来構想について大臣から諮問をしていただいて,本格的な検討をする際に,この論点整理をベースとして御議論いただくという性質のものでございます。
【永田分科会長】  それでは,第3期教育振興基本計画の基本的な考えというのがまとまってきているところでございます。中央教育審議会会長であり教育振興基本計画部会の部会長である北山副分科会長から御報告をお願いいたします。
【北山副分科会長】  北山です。教育振興基本計画部会の部会長を務めている関係で,部会での現在の審議状況等について簡単に説明させていただきます。まず,教育振興基本計画というのは,教育基本法に基づき政府として策定する5年計画で,今は第2期計画の4年目に当たります。したがいまして,次の4月から第2期計画の最終年度に入り,来年度でこの第2期計画が終わることとなりますので,現在,特別部会で平成30年度から始まる第3期計画の策定に向けた審議を行っております。
 先週の1月19日に開催されました教育振興基本計画部会では,本日皆様のお手元にお配りしております資料4-1と資料4-2の基本的な考え方の案を基に意見交換を行いました。本日の資料はその際に配ったもので,これを一部修正したものを当部会としての取りまとめとすることといたしました。
 今後につきましては,この基本的な考え方に基づき,中央教育審議会の総会や,各分科会に御報告し,併せて,事務局においてパブリックコメントに付して,国民の皆様からも広く意見を募ることとしております。
 2月の途中から始まる次期の中央教育審議会でのスケジュールとしましては,春以降に具体的な指標や施策等について審議を行い,夏頃に審議経過報告を取りまとめた後,更に議論を重ねた上で,本年末に答申を行うことを予定しております。その後,年明け以降の閣議決定を経て,来年4月から第3期の新しい5年計画がスタートする予定です。
 本日,皆様から頂く御意見につきましても,今後の教育振興基本計画部会における議論に反映させていきたいと考えておりますので,よろしくお願いしたいと思います。
 それでは,配布資料の詳細について,生涯学習政策局の里見課長からお願いします。
【里見生涯学習政策局政策課長】  それでは資料4-1,4-2で御説明をさせていただきます。ただいま北山部会長から御説明がございましたように,基本的な考え方でございますが,まず,これは中間的なものでございまして,今年の12月まで引き続き御議論いただくという性質のものでございます。諮問事項に基づきまして,資料4-1の青い部分,教育をめぐる現状と課題を,まず整理をしております。五つございます。教育の使命,これまでの成果と課題,そして教育の目指すべき姿,社会の現状や2030年以降の変化等を踏まえ,取り組むべき課題,そして国際的な教育政策の動向でございます。このうち一部は,まだ完全に精査が終わっていない部分もございますので,次期も引き続き御議論いただく点がございます。
 これを踏まえて,右側の薄緑色の部分でございますけれども,今後の教育政策に関する基本的な方針でございます。この点につきましては五つに整理をされてございますが,詳細な内容につきましては,資料4-2の方の本文9ページからを御参照いただきながら,御覧いただければと思っております。
 まず,「夢と自信を持ち,可能性に挑戦するために必要となる力を育成する」でございます。ここは,確かな学力,豊かな心,健やかな体といった,よりよい人生を送るとともに社会に主体的に関わるための基礎・基本を学校・地域が連携・協働して保障するというところでございます。
 2点目でございますけれども,「社会の持続的な発展を牽引(けんいん)するための多様な力を育成する」でございます。これは1の基礎・基本を前提に,優れた才能の伸長を含め,それぞれの得意や分野での個性や能力を最大限に伸ばすというものでございます。
 3点目は「生涯学び,活躍できる環境を整える」でございまして,働きながら学び直すこと,あるいは障害者の自己実現を目指す生涯学習,そして人生100年を見据えた「二つ目の人生を生きる力」といったような内容が含まれてございます。
 4点目が「誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットを構築する」でございまして,五つ目が「教育政策推進のための基盤を整備する」でございます。
 そして3でございますが,一番下に,そのために必要な教育投資・教育財源の問題につきましては,こうした教育の目指すべき姿の実現に向けて,教育投資の効果や必要性を社会に示し,教育は未来の先行投資であるという理解を醸成する必要があるということ。そして,その上で教育投資を充実することが不可欠であるということで,引き続きこの点も御議論いただくというようになっているところでございます。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。詳細は北山部会長からあったとおり,まだ最終修正が済んでおりませんけれども,今,里見課長から御説明いただいた大枠のところで見ていただければ,書かれている内容は御理解いただけると思います。
 それでは,特に,先ほどの今後の高等教育機関の役割・機能の強化に関する作業チームのまとめについてを中心に御意見を頂ければと思います。
 北山副分科会長,どうぞ。
【北山副分科会長】  先ほどの高等教育の機能強化について,資料3の論点整理には,議題2で議論した事務職員の件が書かれていません。せっかくですから,この論点整理の中の1項目として,そういった論点も入れても良いかと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 志賀委員,どうぞ。
【志賀委員】  高等教育機関の役割・機能の強化の作業チームのまとめで一番気になるのは,最後に書かれている教育研究を支える基盤的経費,財政の部分です。今,年々研究開発に回せるお金が日本の大学で減ってきているわけですが,これによって今,産業界と大学との関係で悪循環が起こっているような気がして仕方がありません。何度も同じような数字を出しますけれども,産学連携で民間企業が大学に使っているお金は,わずか九百数十億で,全体の0.7%です。ドイツが3.4%で,アメリカが2.5%ぐらいですから,日本がドイツ並みになると,あと4,000億円ぐらい民間のお金が大学に流れるわけなのですけれども,実際は大学の研究にお金がなかなか回らずに,日本の産業界では,アンケート結果でいうと50%の企業は海外の大学との産学連携を念頭に置いているのです。どこと組むかは,論文を読んで,論文を書いた大学とコンタクトして共同研究に入るわけですが,そのようなものも含めて,どうしても目が海外に行っています。
 したがって,日本の大学にお金が入らない。お金が入らないから,研究のレベルが上がらない。また海外にお金が行くということで,これは今後,この状態がずっと続くことに大変な危惧を感じています。特に今,第4次産業革命で新しい技術がどんどん生まれてきて,そのシーズはアメリカを見ていても,大学がほとんど研究成果としてシーズを出しているわけですから,ゼロから1というのはなかなか民間企業の研究では出てきません。ゼロから1のシーズは大学が世界中に委ねられているわけなので,ここにもう1回注目をしていただいて,将来の日本のために,本当にお金を削っていいのかということ。文部科学省の人は予算を頼む立場なのですが,私はどこかに書かれている,将来に対する日本の一番大きな投資であると思います。人への投資,それから研究への投資,これが毎年削られている現状で,日本の企業は海外の大学に目が向いている現状です。
 財政上のお金が取れないのであれば,真剣に本音ベースで産学連携を進めていって,民間のお金を大学に入れるということを,正に今やるべきだろうと私は思います。
【永田分科会長】  現場からなので,大変力強い御意見です。
 次,中根委員どうぞ。
【中根委員】  今の志賀委員の問題意識,私も全く同じであります。論点整理について御指摘とお願いがあるのですけれども,まず2ページに,我が国の高等教育の将来像として参照しているビジョンが平成17年に策定されたと書いてあります。3ページの3で,平成17年から後に起きたことが羅列してありますが,平成17年というのは2005年ですから,皆さん御案内のようにiPhoneすら存在していなかったわけです。IoTという言葉もなければ,テクノロジーシンギュラリティという言葉もなかったことなのだということで,ビジョン参照するのは古いのではないかという感じを率直に受けました。
 それからもう一つ。論点整理なので,これでいいのだと思うのですけれども,部品点数がたくさんあるジグソーパズルだと捉えますと,それぞれの部品はなるほどと思うのですが,全部組み立ててみると絵が見えないのです。ジグソーパズルを組み立てたときに,教育の結果としてどのような人材が出てきて,その人材が日本の国をどのように導いていくかということが見えないのです。絵が見えないので,何のジグソーパズルを組み立てるのかというところが必要です。もちろん,大変なお仕事だというのは,よく分かっております。
 志賀委員のポイントにオーバーラップするのですけれども,大学の研究予算なのですが,就職の人材養成機関である限りは,絶対企業などの予算を取れないのです。ですから,前回も御提案しましたけれども,大学,とりわけ大学院はイノベーションの拠点に進化させていかないといけないということだと思います。
 「WORLD PEACE through INNOVATION」というのを提案しましたけれども,大学院教育,大学の研究力を充実させ現在では海外にも流出している,これは志賀委員がおっしゃっていましたが,日本企業の莫大(ばくだい)なR&Dは幾らぐらいかというと,大体17兆円から18兆円です。それを本来大学は10%ぐらい狙うべきだと思っています。さらに,海外のR&Dの総予算というのは大体150兆円なのです。アメリカの大学は,実はこのR&D予算を物すごく取っているのです。日本の大学はほとんど取っていない。ですから,ここに改善の余地があるのではないでしょうか。
 それはプログラムを立てたのでは駄目で,大学と大学院のビジネスモデルを,人材養成機関偏重型から人材&イノベーションという拠点に直していかないと,絶対参加できないと思います。企業サイドに期待感が生まれないのです。
 以上であります。ありがとうございました。
【永田分科会長】  小林先生に行く前に一言述べさせていただきます。この中には,どこにも黒文字で高等教育機関の研究機能をまとめた項目がありません。それでは,今両委員がおっしゃった御意見を書く場所がありません。
 これは何度も申し上げていますが,高等教育局でも生涯学習政策局でもよいのですが,研究3局も全部巻き込んで,高等教育というものを考えていただきたいというのはたってのお願いです。今両委員がおっしゃったことを黒文字で一つ書いて,丸を三つほど書くと十分国民に対しても訴える価値のある文言が書けるのではないかと思います。
 それでは,小林委員どうぞ。
【小林委員】  高等教育全体について,高等教育機関あるいは制度について包括的な検討が必要であるということは何回も申し上げたと思いますけれど,その観点から,例えば縦の機能別分化というのは14ページに入れていただいたり,いろいろな配慮をしていただいたとは思うのですが,幾つかのところで,高等教育という言い方と大学とかいうのが使い分けられていて,その辺が少し気になります。
 それで,例えば16ページのところに大学ポートレートのことで,大学の情報公開というような言葉で書かれているのですけれど,これは大学に限らず,全て高等専門学校も専門学校にとっても重要な問題でありますので,大学に限定する理由はないと思います。
 それから9ページの方に,地域における高等教育機会を確保する仕組みということで書かれていて,短期大学の課題ということで書かれているのですけれど,これも別に短期大学だけの課題ではなくて,大学にとっても大きな課題でしょうし,専門学校,高等専門学校にとっても課題であると考えられます。
 8ページの下の方に,学士課程で示した検討事項については,いずれも短期大学にも該当するということなのですけれど,逆に言うと,短期大学で該当するものが,ほかのところにも該当するということがありますので,その辺の整理が少し要るのではないかということです。
 最後に,高等教育機会について,これについても地域における高等教育機会ということで非常に強調されていて,この辺に絞るというのは,それも一つの政策の在り方だとは思うのですけれど,例えばこれはもう少し一般的な問題でありまして,例えば都市における教育機会,特に低所得層に対する教育機会をどうするかというのは,それなりの問題でありますし,これは地域における高等教育機会というように考えるかどうかということをはっきりさせる必要があるのではないかと思います。
 もう一つ言えば,今の高等教育の定義に関わるのですが,従来の場合,こういった場合に大学,短期大学しか対象になっていませんでした。高等専門学校は入ったり入らなかったり,専門学校はこういった対象の埒外(らちがい)に置かれていたわけでありまして,そのあたりのことをどのようにするかということは,少しきちんとしておいた方がいいのではないかと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  それでは,福田委員,御発言をお願いいたします。
【福田委員】  福田でございます。今日が2回目の出席ということで,全体感が見えていないこともあって,お許しいただきたいと思います。一つ,事務職員に対する規定が70年前からあったこと自体に非常に驚いたのですけれども,事務職なくして,特に私立大学は立ちいっていないと断言してもいいと私は思います。
 専門学校の代表で来ていますけれど,大学であろうと,学生を集めてくる,アフターケアをする,全て事務職の方のある程度のプランに教員が乗っかっています。教学的なことは別ですけれども,学校法人の運営,また,管理と経営といったところでは事務職の方が大きなウエートを占めていると思います。
 先ほども,教員から見て目線が下になるというお話がございました。大学の設置,また,新しく学部学科の設置のときに,設置申請の中で,文部科学省も教員の平均給与はこれぐらい,事務職は概(おおむ)ねこれぐらいという目安で設置経費を見られます。その時点で,もう既に上下ができているのではないかとも考えてございます。
 それから,私も作業チームの方に入れていただいておりまして,今後の各高等教育機関の役割・機能の強化という中で,3月に実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する法案が閣議決定されるというような話も漏れ聞いておりまして,この新しい制度でやっと複線化されるのならば,質の問題,第三者評価の問題については,特に他の高等教育機関に編入をするとき,先ほども短期大学でもファーストステージとしての機能と,学び直しの中でも第三者の認証機関が丸のみできるような単位というものを明確に出していただければ有り難いのかなと思っています。
 ですから,そのような意味で,海外へ就職する場合もそうですけれども,シラバスを持っていったり,カリキュラム別表を持っていったりというようなことを各々でしなくてもいいような,そのための認証評価機関を,この機会に専門職大学からでも作っていただければ大変有り難いと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。認証評価機関は,すでに新制大学と同じ歴史を持つ機関がきちんとできております。
 それでは,片峰委員,どうぞ。
【片峰委員】  3ページに高等教育を取り巻く状況の変化と今後の高等教育に求められる役割・機能というところがございます。この一番下に,高等教育の機能強化の方向性として,新たな価値創出,地域や産業界の多様な要請を踏まえた実践的教育の充実と書いてございます。これが基本的な2本柱で,全体もそういった流れの中で作られているのではないかと思います。
 しかしながら,御案内のとおりアメリカでトランプ大統領が選出されたり,ヨーロッパを中心にして様々な社会の中で大きな動きがあるわけです。恐らく行き過ぎたグローバル経済による矛盾がアンチグローバリズムを生んで,排外主義,内向き志向等々ということだと思うのですが,更なるグローバル化も絶対進んでいくわけですし,その中で,いかにサステーナブルで平和な世界をというあたりというのが非常に大きな問題になってくるのだろうと思うのです。
 その中で,そういった非常に不安定な社会で生きていく今からの若者たちに対して,どのような資質を身につけるかという観点もここに盛り込むべきではないかと思っています。例えば,グローバル化社会をサステーナブルにするためには,どうしてもダイバーシティの考え方は不可欠ですし,グローバル社会のイシューが地域の問題であったり,国の問題にも直結するわけです。
 そういった意味では,例えばより良いグローバル社会を創出する,あるいはより良い日本,あるいはより良い地域,そういったところに積極的にコミットできるような志であったり,思考法であったり,資質であったり,そういったものを先ほどの教育振興基本計画には理念的なところで書いてあるのですけれど,大学の機能強化の方向性としても,そこは打ち出すべきではないかという気がして全体を見ていたのですけれども,いかがでしょうか。
【永田分科会長】  ありがとうございます。前文のようなところですね。
 美馬委員,どうぞ。
【美馬委員】  これからの人口減少や,限られた財源の中でやっていくには,私は資料4-1のローマ数字の3,薄く一番下に書かれている黄色い枠。あるいは資料4-2ですと,22ページに当たるところがとても重要ではないかと思っています。幾らいい議論をしていても,最終的にここに結び付いて国民社会の理解が得られるということ,これは教育の投資であるということを強調することがとても大事だと思います。
 教育格差の解消が経済格差,地域格差,男女格差の解消につながっていくわけで,その中で特に高等教育は,個人的には職業や収入に直結していますし,このような人口減少社会においては生産性が向上することが大きく社会的な収益にもつながると考えます。
 その中で,例えば今回いろいろなデータもありますけれども,データを更に見える化する,あるいはそこから推測をして複数のシナリオを提示していく。国際社会の動向も入っていますし,日本が人材や研究の分野も含めて,どのようなリソースを持っているか,それを政策として幾つか分かりやすい文言で,グラフで簡潔に示して,教育の政策として幾つかのシナリオを提示していくこと。それによって国民社会の理解を教育投資にはっきりと向けていくことが,今後の5年間には必要だと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは,天野委員,どうぞ。
【天野委員】  私は教育界ではないのですけれど,資料3の11ページ目の中ぐらいに書いてある,キャリアアップを目指す社会人への再教育機能の強化ということが非常に引っ掛かるのです。私は一応産業界を一度定年退職して,国の研究機関の方に異動しましたので,さほど不都合は感じていないのですけれど,現実に社会人の学び直しというような場合で,キャリアアップにつなげるためには,元の企業を退職しないで,出向で学び直しをして元の会社に戻るというような感じでしか,今の日本の社会ではあり得ないのです。
 ただ,国の研究機関にいますと,周りでは自分の意思で退職して,更に次のステップを踏み出して勉強して国の研究機関に来たという方は結構たくさんいるのですが,皆さんとても自分の人生設計には苦労しています。というのは,年金はつながっていませんし,保険なども場合によっては非常に難しくなりますので,生涯独身でいいというような覚悟を持ったような方たちが非常に一生懸命やられているような傾向が強いと思います。
 ですから,これからの日本の社会を考えると,社会人の学び直しで,こういった方たちをもっと有効に使うことが必要になってくると思いますので,是非そのような方たちにもきちんとした,安心した人生が送れるような人生設計の仕組みの在り方のようなものを,文部科学省さんだけではなくて府省連携で日本全体で考えていくような方向を,是非盛り込んでほしいと思います。
 先ほどの議題に上がりました大学の事務職員について,特定の知財であったり,運営であったりというようなところに,このような社会人が学び直して知財なり何なりの勉強をして役に立つというようなことは大いに考えられると思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。聞くやに,産休,育休と同じように,学び直し休というものの検討もどこかで行われているということです。文部科学省だけでは無理かもしれませんが,そのような制度の導入を積極的に考えることが重要だと思います。
 それでは橘フクシマ委員。
【橘フクシマ委員】  ありがとうございます。実はこれを読ませていただきましたが,大変よくまとまっていて,いろいろな課題を網羅的によく整理されたのには大変感心をしました。2点ありまして,1点目はまず,これがどのように最終的なアウトプットに結び付くかというのは書いてくださっているのですが,どうもアウトプットのイメージが思い浮かびません。いずれにしてもこれだけ膨大な課題並びに解決すべき課題を最終的にアウトプットにしたら,超膨大なものになるのではないかという気がしています。通常ですとアウトプットのイメージがあって,それに向けて論点整理をしていって,最終的には優先順位を付けて,それをアクションプランに落とし込んでいくということが,作業の工程として必要で,最終的には,明日何をするかというアクションプランに落とし込まないと,結果的に描いたものを棚に置いて終わりになってしまうのではないかという不安を感じています。イメージ的にアクションプランに落とすところまで行く予定がいつ頃になるのかというのを教えていただければと思います。
 2点目なのですが,なぜそのようなことを申し上げるかというと,今世の中は物すごいスピードで変化しています。この中にもAIやIoTのこととか,グローバリゼーション等の変化,先ほど御指摘がありましたように米国ではトランプが大統領になって,どう変わっていくかというのは課題ですが,急速に世の中が変わっている中での,5年というこの長さなのです。教育は当然時間が掛かりますので,早くから始めないと追い付けないという危機感があります。その点で,もう少し具体的にすぐ何をするかのプランを早めに見たいということが2点目です。
 これを読んでいるときに,何か欠けているなという感じがしていました。それが先ほど分科会長が御指摘になった,研究の部分,これは日本の大学の競争力を測るときに,世界から見て,「どれだけ来て勉強したいと思うような研究をしているか」ということが大変重要になるというポイントだと思います。先ほど分科会長が御指摘になったときに,「そうだったのかと,それが欠けているので,腹落ちがしなかったのだ」というのが理解できたのですが,研究機能というもの,これも是非入れていただきたいと思います。これだけ変化のスピードの速い中で,先ほど志賀委員と中根委員が御指摘になったように,ビジネスのサイドから見たときにも魅力を感じて,是非企業も投資をしたいという教育機関を作るということ,その観点も十分に書き込んでいただきたいと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは,石田委員どうぞ。
【石田委員】  大学における研究の観点,今,橘フクシマ委員のおっしゃったとおり,あるいは先ほど中根委員,あるいは志賀委員のおっしゃったとおり,正に人材育成とともにイノベーションを作り出す大学,これは全く私もそのとおりだと賛同いたします。
 もう一つ,私が今お話ししたいのは,先ほど福田委員が述べられた人材育成,教育面ということです。この会議の中でも,いろいろな形で教育の質保証,あるいは教育の同等性,あるいは国際的通用性というような観点が指摘されております。これについて,今後議論していく上で是非ともお願いしたいということでございます。
 すなわち教育の質保証について,それを教育のシステムとしてどう維持していくか,これはいろいろな形での認証もしやすいものです。ただ,実際に教育の中身に触れずにシステムだけであるなら,教育の質保証といっても,その実質化はなかなか難しい。例えばJABEE等の認証では,個々の科目の試験問題まで,あるいはレポートの内容まで全部チェックするというようなことがあります。そこまでできるかどうかは別にして,システムではなく,中身の部分もある程度踏まえた上で,質保証や同等性,通用性ということを考えていただきたいというのが意見です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。認証評価も内部質保証という観点で来年以降始まるはずなので,重要な観点だと思います。
 では,安部委員どうぞ。
【安部委員】  ありがとうございます。先ほどから高等教育に関する名答申といわれた17年の将来像答申は,もう古いのではないかというお話もありましたが,3ページの次なる高等教育を考える際に,高等教育の使命の再定義ということが,3ページの下から二つ目の丸に書いてありますけれども,教育再生実行会議などで教育は未来の社会のための先行投資であるというようなことがいわれておりますので,是非,高等教育の使命の再定義の中にその意味を含め,高等教育の役割として先端的な研究をやってイノベーションを生む研究の強化と,それから職業分野における労働生産性や地域社会を支える人材をしっかりと教育していく機能を高等教育の使命としていただきたいということ。
 その際に,現在の既存の大学を含めて,高等教育の役割は大きく,特にその中心となる学士課程への課題を解決していくということはとても大切なことだと思うのです。学士課程の課題に関しましては,もちろん私などが所属しております短期大学でも,それをやらなければいけない。新たに生まれる教育機関においても,この課題というものをしっかりと受け止めて,日本の高等教育機関としての質を担保するというような内容の将来像を,是非描いていただくような内容にしていただきたいと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。すっきりしますね。
 坂東委員,どうぞ。
【坂東委員】  ありがとうございます。大変いろいろ御苦労なさってまとめていただいたことに感謝いたします。まずこれは大変網羅的であらゆる課題をカバーしようとしておられるだけに,かえって読む人が少なくなることがあるのではないかと懸念しています。よくいわれるようにイギリスがEUに残留するかどうかということについて,政府側は300ページの大報告書を作ったけれども,それを読む人はおらず,反対側のスローガン的なアピールだけが一般の方たちの耳に届いたというようなことを考えますと,専門家の方たちが十分議論して納得されるような本報告書と,一般の方たちに理解していただけるような,何を一番言いたいのかということを記したものを別々にお出しになったらどうかと思います。
 特に高等教育に対しまして財源投入については,一般の世論はまだ納得しておりません。初等教育,中等教育に教育投資が必要だという部分については一般的な理解が得られておりますけれども,現在の日本でも家庭の負担によって高等教育が支えられていますが,それは当然ではないかというのが,まだ世論調査等々で一般的です。その理解なく財源投入を求めても,非常に難しいのではないかと思いますので,皆さんが納得できるような強力なスローガンというものが一つ必要ではないかと思います。
 二つ目ですが,特に大学の教育の分野に関してです。5ページの一番下の丸の方にありますように,学生の学修時間の把握,成果の可視化,情報発信というのはとても重要ですが,特に学修成果の可視化,何を身に付けたかという部分については,本当に具体的,客観的な基準があることを希望しておりますし,併せて大学の教員の方たちの業績というときに,査読付きの論文を何本書きましたということが,例えば流動性,別の大学へ移られるときにも業績として評価されるのですけれども,いい教育をされたというのは,教員の方たちの成果を証明するものがなくて,そうした分野での評価は乏しいのかなという気がします。ですので,研究についてと同じように,教員の方の教育業績についても可視化して,流動性が高まればいいなと期待しております。
 ありがとうございます。
【永田分科会長】  それでは勝委員,お願いします。
【勝委員】  ありがとうございます。将来像答申という話が出ているわけですが,私の感触としては,この間,大学分科会を中心にかなり学士課程の改革というのは進んでいるのではないかと思います。学長のリーダーシップ等も含めた大学のガバナンス強化,さらに機能分科という点でも,各大学がそれぞれの大学のミッションを再評価して,それに沿って改革を行うという意味では,非常に進んできたのではないかと思います。
 これからのことを考えた場合,何が一番重要なのかという,先ほど来いろいろ御意見が出ていますけれども,イノベーション・オリエンテッド,そういった大学の在り方というのは非常に重要で,もちろんユニバーサルな教育サービスというのも重要なわけですが,むしろイノベーションを牽引(けんいん)していくという知的プロフェッショナルとしてのサービスを提供することは非常に重要であると思います。その点からいうと6ページの大学院のところで修士課程への進学率,博士課程への進学率が共にやや減少しているという文面があるのですけれども,むしろこちらが非常に悩ましいといいますか,他国はこの10年間で博士人材はかなり増えているのに対して,日本の場合はむしろ減少している。
 それはなぜかというと,なかなかポジションがない。苦労して学位を取ったとしても,なかなかポジションがないという悪循環に陥ってしまっているということであるので,その点からいうと,先ほど大学の事務職員の在り方について,もっと専門的な人材が必要だというところとも整合しますが,そういったところを真剣に考えていかないと,国際的な競争からは置いていかれてしまうことが懸念されます。
 この点と,財政の問題も先ほど来いろいろ御指摘がございましたけれども,そういった研究への投資プラス国際的な学位の通用性の部分が,このペーパーには書いてあるのですが,現状を見ると単に海外に行くというところに助成金が付いている場合もあるので,そうではなくて質的に高いプログラム,あるいは海外のトップスクールとの連携したプログラムに参加する学生に厚く付けるとか,そういったプログラムベースの対応というものもしていくことが質の向上につながるのでないかと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございました。大変貴重な意見をたくさん頂きまして,今日出てきた御意見は次期の中央教育審議会及び大学分科会にお伝えをして,継続的に議論をしていただくということをお伝えをしておこうと思います。本当にありがとうございました。


(4)平成29年度の高等教育局主要事項予算(案)について,事務局から資料5に基づき説明があった。

【永田分科会長】  それでは,平成29年度の予算案が閣議決定されましたので,その概要について,簡単に御説明をお願いいたします。
【堀野高等教育政策室長】  それでは,資料5を御覧ください。平成29年度予算(案)でございます。1ページ目,奨学金については,この次に学生・留学生課長から御説明をいたします。
 2ページ目の下の部分が,国立大学運営費交付金等でございますが,この審議会でも御議論いただきました。おかげさまで対前年度25億円増の1兆970億円を確保したところでございます。国立大学の継続的・安定的な教育研究活動の必要性について,エビデンスに基づいて財務省に説明をした結果,お認めいただいたものと認識をしております。
 次に,4ページから私学助成予算でございますけれども,文部科学省予算全体としては前年度80億円減という厳しい中にありまして,平成29年度予算案では2年連続で前年度と同額である3,153億円を確保できたところでございます。引き続き私学助成の充実に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。いろいろと精査するとありますけれども,まずは,頑張れたということだと思います。


(5)大学等奨学金事業の充実について,事務局から資料6に基づき説明があった。

【永田分科会長】  続きまして,給付奨学金の御説明に関して,井上学生・留学生課長,よろしくお願いいたします。
【井上学生・留学生課長】  学生・留学生課長でございます。資料6-1と6-2を用意してございます。資料6-1に全体をまとめてございます。来年度,奨学金事業につきましては,我が国で初めての給付型奨学金制度が創設されるというような予算案になってございますが,我が国の奨学金は基本的には貸与で事業を行ってまいりました。また,この資料の右側の方にありますとおり,無利子奨学金も大幅に拡充をされるということになっておりまして,来年度からは基本的に希望する方,適格である方は全てこれが貸与できるという状況で,更に無利子奨学金については返還の負担を大幅に軽減する所得連動返還型を導入することになっております。これに加えて,更に進学を断念せざるを得ないような経済状況の方への給付型奨学金を入れるということで,制度の詳細は詳しくは説明しませんが,御覧のような制度が導入されるということになっております。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。まだまだ小さい額かもしれませんが,これを機に,議論を続けていただきたいと思います。


(5)高等教育機関における外国人留学生の受入推進に関する有識者会議の審議経過報告について,事務局から資料7に基づき説明があった。

【永田分科会長】  次は,高等教育機関における外国人留学生の受入れ推薦に関して,有識者会議の審議経過報告を事務局からお願いいたします。
【籾井留学生交流室長】  留学生交流室長でございます。資料7を御覧ください。外国人留学生の受入れに関しましては,政府全体といたしまして2020年までに30万人を受け入れるという目標を立てて進めております。
 その中で,単なる数だけではなく,より戦略的な受入れの拡大に向けて,どういった方策が取れるのかということを今回御議論いただきました。設置要綱等につきましては,資料7の36ページ以降にお付けしてございますので,後ほど御覧いただければと思います。
 少しおめくりいただきまして,16ページに全体の概要がございます。今回一番大きなポイントといたしましては,単に留学生というだけではなくて,どのような学生を,どういった目的で受け入れるのかということを分類した上で,様々な呼び込み方策について御議論いただきました。
 分類は大きく六つございまして,まずターゲットとなる学生につきまして,国際的な人材獲得競争の中で,我が国として戦略的に招き入れるべき留学生。それからもう一つが,我が国の国際化活性化のためにはより大きな規模での受入れが必要になってきますので,そういった意味で,広く日本に関心を持ってくれる学生の受入れという,この二つのターゲットに分類をしてございます。
 それぞれのターゲットごとに目的を三つ掲げてございます。戦略的な受入れに関しましては,途上国等の人材育成を通じた二国間関係の強化。それから,より開かれた大学の教育研究の促進。三つ目が,我が国企業の国際競争力の維持・強化ということでございます。
 それから二つ目の学生の分類に関しましては,留学生交流を通じた大学の国際化・多様化。途上国等のニーズに対応した人材育成。それから日本の高等教育機関に進学する外国人学生の育成という,この三つの目的に分類をしてございまして,それぞれのカテゴリーごとに呼び込み方策を御議論いただきまして,今回の審議経過報告の中では,今後これらを進めていく上での課題というのを整理いただきました。
 今後,作業部会を設けまして,夏ぐらいまでにより具体の方策を議論して最終報告を取りまとめる予定でございます。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは,本日が今期の中央教育審議会の大学分科会に関しては最後の分科会となります。つきましては,事務局から一言お願いをしたいと思います。
【浅田高等教育局審議官】  今,お話がございましたように,第8期の中央教育審議会大学分科会も本日で最後ということになります。これまで2年間にわたって様々な課題について御議論いただきました。本当にありがとうございました。
 この2年間で,大学分科会としては12回,それから各部会等を含めると72回もの会議を開催していただいています。一つ一つ詳しく述べることは今は差し控えさせていただきますけれども,教育について言えば,三つの方針の策定・公表の制度化を提言いただいて,既に制度改正がなされ,今年の4月から施行されるという段階に至っています。
 これとともに認証評価制度についても,新しい仕組みを御提言いただいて,これも平成30年度から始まるということになっています。大学院教育に関しましても,卓越大学院の形成など,新しい改革を進めるための方策,あるいは専門職大学院を中核とした高度専門職業人養成機能の充実,更に法科大学院の関係等,様々と御審議いただきました。
 そして本日も御議論いただきましたように,今後の高等教育の将来構想の策定に向けて,分科会の下に作業チームを設置して論点整理を行うなど,本格的な検討を始めていただいたという段階でございます。
 本日も大勢の方に傍聴に来ていただいていますが,高等教育の在り方というものは,これからの日本の社会をどうしていくのか,そのために高等教育はどのような役割を担っていくのかということと一体の話であって,非常に国民の関心,期待が強いと感じています。
 文部科学省としても,それに応えていかなければいけませんし,そのためにも,この第8期の中央教育審議会大学分科会で頂いた様々な御意見,そして検討の成果を今後の検討にしっかりと生かしていきたいと思っているところでございます。
 これまでの御協力,御尽力に御礼(おんれい)申し上げますとともに,今後も是非様々なところでお力をお借りしたいということをお願い申し上げて,御礼(おんれい)の御挨拶とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございました。
 私も大学分科会長として一言ご挨拶申し上げます。いきなりこの若輩者が分科会長を務めさせていただきましたが,経験豊かな二人の副分科会長のおかげ,それから委員の方々の積極的な御参加によりまして,うまくいったところも,いかないところもありながら,何とか進めてこられました。まずはお礼を申し上げたいと思います。
 中央教育審議会大学分科会というのは,この起源をたどっていくと,大学審議会という独立のものであったということを,是非とも次期以降も頭に置いていただきたいと思います。世の中がいろいろ変わってくるのも当然なのですが,それ以前に,我々教育に携わる者たちから,政府の方針を変えるような提言が,本当はできるはずです。ですから,そういう提言を目指して事あるごとにそのような論調で私は意見を述べてきたつもりではあります。
 しかし,次期にも是非ともそのような精神をつないでいただいて,ここは我々が決めて,それを政府に嫌でもやっていただく,我々は政府にやらせる側(がわ)なのだ,という認識を是非とも持って,先々やっていっていただきたいと思います。
 コンテンポラルな問題を素早く処理をして,今日あったような大きな大学の将来像というものについて,常に議論をできる場所であってほしいと思います。
 先ほど,今回の今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する論点整理というのがありましたが,そこで出た御意見と,それから今の精神を次期に申し送りをしたいと思います。
 是非とも,今後とも我が国の高等教育に関して,様々と御意見いただきたいと思いますし,我々個々人も粉骨それに資する努力をしていきたいと思います。
 この2年間,どうもありがとうございました。
 それでは,これで閉会とします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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-- 登録:平成29年09月 --