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大学分科会(第132回) 議事録

1.日時

平成28年12月14日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第二講堂

3.議題

  1. 大学設置基準の一部を改正する省令の制定について
  2. 作業チームの検討状況について
  3. その他

4.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(副分科会長)北山禎介副分科会長,河田悌一副分科会長
(委員)竹宮惠子,中根滋,坂東眞理子,日比谷潤子の各委員
(臨時委員)麻生隆史,安部恵美子,天野玲子,石田朋靖,大島まり,岡本信明,片峰茂,金子元久,黒田壽二,小畑秀文,小林雅之,佐藤東洋士,佐野慶子,島田尚信,橘フクシマ咲江,千葉茂,福田益和,美馬のゆりの各臨時委員

文部科学省

(事務局)常盤高等教育局長,義本総括審議官,村田私学部長,浅田大臣官房審議官(高等教育局担当),松尾大臣官房審議官(高等教育局担当),永山文部科学戦略官,塩見高等教育企画課長,角田大学振興課長,寺門医学教育課長,堀野高等教育政策室長,塩原主任大学改革官 他

5.議事録

(1)大学設置基準の一部を改正する省令の制定について,資料1-1から1-4に基づき事務局から説明があり,その後,意見交換が行われた。

【永田分科会長】  所定の時間になりました。第132回の大学分科会を始めさせていただきます。お忙しい中御出席いただきまして本当にありがとうございます。
 本日は,大きく分けて二つ議題がございます。一つは,10月26日に本分科会に諮問されました大学附属病院の大学からの別法人化に係る大学設置基準の一部改正を要する省令の制定ということの議論でございます。もう一つは,従前からいろいろと御意見を頂いていますが,大きな意味では我が国の高等教育の将来に関わることですけれども,今後の各高等教育機関の役割や機能の強化に関する作業チームからの進捗状況についてです。前回も議論しましたが,その後の検討状況を含めて御報告いただき,議論に付すということであります。
 それでは,早速議事に入ります。大学設置基準の一部改正をする省令の制定についてということで,諮問に対する答申の概要について,事務局から説明いただきます。
【寺門医学教育課長】  おはようございます。医学教育課長,寺門でございます。座って失礼させていただきます。永田分科会長から今御紹介ございましたとおり,10月の本分科会で諮問いたしまして,御説明をさせていただきました。その際に,制度の肝に関わります制度趣旨についての御質問,また運用に当たっての貴重な御提言を賜りました。この場をかりてお礼申し上げます。その後の進捗等踏まえまして,改めて簡単に御説明させていただきます。
 資料は,枝番の資料の1-1から1-4までございます。1-2以降は前回の会議で配付した資料でございます。今回は,その概要を簡単にまとめました資料1-1を中心に御説明申し上げます。
 まず,資料1-1の1の趣旨,2の改正省令の概要の部分でございますけれども,これは正に2の部分にございますとおり,従前の大学のもとに置かれている附属病院とは異なりまして,大学とは別法人の有する病院というもの,これが教育研究上に支障がなく,また別法人をして更に地域医療に大学病院が貢献をしていくという,そういう両面が達成されるという場合には,閣議決定の指示に従いまして,そういった病院についても附属病院に含むという規定をいたしまして,附属病院の位置付けのままに新たな設置を認める制度を作ろうとしているところでございます。
 3の部分にございますけれども,具体的な要件がこの3の告示の概要でございまして,この要件の肝となる魂の部分をどうやって新しい附属病院を有する法人と,従前の医学部を有する大学との間の協定というのが結ばれてございますけれども,協定の内容につきましては,本分科会での貴重な御意見というものを踏まえまして,並行して最終的にはここでお認めいただいた内容について,大学設置・学校法人審議会の方で大学からの申請があった場合には,その内容を専門的な見地から吟味いただくことにしてございますので,並行して大学設置・学校法人審議会においても今,御議論いただいているところでございます。
 この御議論に当たりましては,先生方から実際の運用に当たっての様々な貴重な御提言,金子委員からの予算面,人事面の話,また河田副分科会長からの非常にテクニカルでございますが重要な部分等の御意見につきましては,また御議論いただきますし,また天野委員から御意見ございましたとおり,従前の大学附属病院が果たしている,象徴的な防災等の機能といったものが損なわれることのないように,教育研究に当たっての場として従前どおりきちんと機能を果たせるようなものについて,この制度指針の点について,大学設置・学校法人審議会の方でお送りいただきたいと考えてございます。慎重に,適切に判断をしていこうというふうに意を用いてまいりたいと思っているところでございます。
 また,4の部分の施行期日,また参考でパブリックコメントについてもございますけれども,先生方への諮問と同時並行に,11月の一月間,パブリックコメントを実施いたしました。2件の御意見を頂戴いたしました。一つは,労務の観点からの御懸念でございました。先ほど申しましたとおり,実際に大学からこういう形態をしたいという御希望,御申請があった場合には,大学設置・学校法人審議会の審査を行うこととしておりますので,申請に当たっては学内で適切な意思決定というものが図られているかということを含めまして,適切に判断をしていただこうと考えてございます。
 もう一つは,情報開示の観点の御意見がございました。これにつきましては,本分科会の議事要旨というのはもちろんございますけれども,現在並行して行っております大学設置・学校法人審議会の御議論についての申請に係る通知等で丁寧にお示しをいたしておりますので,これについても適切に対応したいと考えております。
 また,口頭で恐縮ですが,全国医学部長病院長会議,国立大学医学部長会,私立医科大学協会,また全国の国立病院の医学部長の委員会等の関係団体につきましても,事前に御説明申し上げ,基本的には御了解いただいている。また,問題意識につきましては,本分科会で賜りました御意見と同じ御要請がございますので,適切に対応してまいりたいと思います。雑駁(ざっぱく)ではございますけれども,以上でございます。よろしく御審議お願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。今御説明があった内容につきまして,前回も頂いておりますけれども,またこの際どうしても,ということがあれば,御質問,あるいは御意見をお伺いいたします。
 御異論がないようでしたら,本件は,中央教育審議会運営規則の第3条第2項の規定によって,大学分科会の議決をもって中央教育審議会の議決とすることができるということになっております。したがいまして,御意見がなければここで議決をさせていただきます。まず事務局,定足数について御説明ください。
【堀野高等教育政策室長】  大学分科会の委員及び臨時委員数38名でありまして,現在24人御出席ですので,過半数で規定を満たしております。
【永田分科会長】  ありがとうございました。それでは,もう一度最初から申し上げます。先ほど文部科学省から説明いただきました大学設置基準の一部を改正する省令の制定に関する内容について,御了解いただいたということにしてよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】  ありがとうございます。それでは,今回の諮問に対しての回答ですけれども,これを適当と認めて,文部科学大臣に答申をするということにさせていただきます。どうもありがとうございました。


(2)今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する作業チームの進捗状況について,資料2-1~2-4に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【永田分科会長】  それでは,二つ目の議題,「今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する作業チーム」から,進捗状況について報告いただいて,議論をしていこうと考えています。その際,こちらの方で意見を頂くに当たって,三つの観点に分けて考えてみました。第1点は,高等教育の将来像を検討するために踏まえるべき観点ということです。それから,第2点は,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の創設を踏まえて,各高等教育機関の役割・機能強化ということについて議論をしたいと思います。それから3点目は,今後の,これはもっと先々というか,大きな視点で教育研究の展開方策や高等教育機関の規模などについて御議論いただきたいということです。
 この3点,できる限り一つずつ見ていきたいというふうに考えています。その三つの観点のうち,まず第1点,高等教育の将来像を検討するために踏まえるべき観点ということで,平成17年に取りまとめられています,中央教育審議会の答申「我が国の高等教育の将来像」(以下,「将来像答申」という。)以来,高等教育改革の動向や,現在の高等教育を取り巻く状況の変化,それから高等教育の将来像を検討するために踏まえるべき観点というのは一体何なのかということを皆さんから御意見を伺いたいと思います。まずは,事務局の方から,その背景等について御説明をいたします。
【堀野高等教育政策室長】  それでは,御説明をさせていただきます。本日お配りしております資料の構成ですけれども,資料2-1が本日御議論いただきたい論点でございます。資料2-2と資料2-3は,作業チームで一度議論していただいた資料を少し直したものですけれども,今後のまとめの元となっていく骨子のようなものでございます。資料2-4は,前回1週間前,7日に行われました作業チームでの御意見でございます。その後ろに参考資料が多々ついております。本日,論点のまず1点目に関わりまして,作業チームで委員の先生方に御覧いただいた資料をこの場でも紹介をいたしまして,御議論いただければと思います。
 それでは,まず参考資料を御覧いただきたいと思いますけれども,論点の一つ目に関しては,上から四つの丸がある資料について御説明をさせていただきます。参考資料を1ページめくっていただきまして,平成17年の将来像答申以降の高等教育改革の動向の概観でございます。17年の将来像答申では,18歳人口が約120万人規模で推移していくという状況及び大学や学部の設置等に関する抑制方針が基本的に撤廃されたという状況を踏まえて,かつてのような右肩上がりの時代ではない高等教育計画の策定といったこと,それに加えて各種規制という時代から,将来像の提示と政策提案の時代へと移行していくという考え方が示されております。
 そして,丸が二つありますとおり,新時代の高等教育は,全体として多様化して,学習者の様々な需要に的確に対応するということで,学校ごとの個性・特色を一層明確化するという方向,そして,各大学が自らの選択により,緩やかに機能別に分化をするといった方向が示されました。その答申に伴いまして,同じ年に短期大学士の学位の授与ですとか,その下にございます専修学校専門課程の高度専門士の称号,大学院入学資格の付与といった改正が行われました。平成18年には,教育基本法が改正をされております。
 1ページめくっていただきまして2ページ目ですけれども,平成20年には学士課程教育の構築に向けて,教育について学士力という考え方が出されました。同年,高等専門学校教育についても答申が出ております。平成22年になりますと,キャリアガイダンスの制度化の設置基準の改正というのがありますけれども,22から23年にかけて,キャリア教育・職業教育ということについて議論がなされてきております。そして23年には,グローバル社会の大学院教育に関する答申,そして博士課程教育リーディングプログラムなどの大学院についての議論と制度改正,議論等が行われております。
 3ページ目には,平成25年,地(知)の拠点大学(COC)の推進支援開始とありますけれども,地方創生という観点も入ってきております。同じ年に,専修学校専門課程における「職業実践専門課程」制度の創設。それから,高大接続・入学者選抜の在り方という議論が行われております。11月の国立大学改革プランとありますけれども,ここにおいてはミッションの再定義ということで,各大学の強み,特色,社会的な役割を整理していく。そして,運営費交付金について三つの重点支援の枠組みという考え方が示されております。
 平成26年からは,ガバナンスという観点も出てきまして,ガバナンス改革の推進の審議のまとめ,私立学校法の改正,6月には学校教育法,国立大学法人法の改正が行われております。あわせて,グローバルという観点も出てきまして,スーパーグローバル大学の創成支援。それから,トビタテ!留学JAPANのプログラムの開始がございます。そして,8月には短期大学の今後の在り方について審議のまとめが出ております。
 4ページ目ですけれども,平成28年,高等専門学校の充実について報告がございまして,また学校教育法施行規則の改正ということで,三つの方針,ディプロマポリシー,カリキュラムポリシー,アドミッションポリシーの策定・公表の義務付け。それから,運営費交付金の三つの重点の枠組みのスタート。それから,卓越大学院構想。そして5月には,新たな高等教育機関の制度化についての答申が出されまして,その後,国立大学法人法の改正で,指定国立大学法人創設等と,そして8月には,専門職大学院についての報告が出ているというのが,過去10年間の流れでございます。
 続きまして,5ページ目から,大学に関係するデータをお出ししています。まず一つ目に人口の変化ということで,高等学校卒業する18歳人口の減少については,2005年(平成17年)に137万人であったものが,2015年には120万人にまで減少。そして,日本の将来推計人口によると,2030年には101万人,2040年には80万人となるという推計が出ております。また,少子・高齢化も進行しているということでございます。2の産業構造等につきましては,後ろにまた別のデータがございますので,そちらで説明をいたします。
 6ページの大きな2,大学の状況の変化ですけれども,高等教育機関の数につきましては,総数はこの10年間で減少しております。大学の学士課程だけは726校から779校に増えております。学生数につきましては,7ページの一つ目の丸にございますように,大学入学者数は60.4万人から61.8万人に増加している一方,短期大学入学者数は9.9万人から6.1万人に減少,専門学校入学者数は32.7万人から26.9万人に減少しております。大学院につきましては,修士課程は2005年の7.8万人から7.2万人にやや減少,博士課程も1.8万人から1.5万人に減少しております。下の丸の学士課程の社会人入学者につきましては,2005年には1.3万人だったものが2015年に1.1万人。ただ,社会人入学生については,短期大学が3.7%と,割合としては学士課程よりも高いという特徴がございます。
 8ページでございます。高等教育機関の大きさにつきましては,1大学当たりの在籍者数,2015年では日本は約3,300人ということで,欧米諸国と比べると1大学当たりの規模は小さいということでございます。その下,進学率ですけれども,2005年に全体として76.2%であったものが,2015年には79.8%となっております。OECD諸国と比較をすると,学士課程への進学率は低いけれども,高等教育機関全体への進学率は高いということでございます。
 9ページ,学科等につきましては,後ろの別のグラフで御説明をさせていただきます。11ページ,研究の状況に関しましては,諸外国の論文数の増加に比べて,日本の論文生産は停滞をしているということで,下に参考の数字が出ております。12ページでございますが,民間企業との共同研究につきましては,研究費受入額が2014年に初めて400億円超え,2005年の249億円と比べると増加をしております。一方,1件当たりの受入額は依然として200万円程度で,国際的にも小規模ということでございます。
 13ページから,分野別の在学者数等でございます。この見方ですけれども,このグラフの赤が国立,緑が公立,紫が私立でございまして,棒が2本ずつ立っておりますけれども,左側が10年前の平成17年,右側が平成27年のデータでございます。これで経年の変化を見ますと,社会科学が一番大きく在学者数が減っており,人文科学でも減っております。一方で,保健,それから教育の分野につきましては,在学者数の増加が見られるところでございます。
 次に,14ページでございます。これは分野別の割合で分けたものですけれども,14ページの上のグラフで,特に大きいところ,紫が工学部ですけれども,工学,その下,緑の理学等は若干割合は減っております。一方で,どの国立,公立,私立いずれも増えているのはオレンジの保健でありまして,特に増加が大きい私立におきましては,看護が約3倍,薬学が約1.7倍に増えているということでございます。
 15ページ,大学院の修士でございますけれども,一番数の多い工学につきましては,国立はやや増加をしておりまして,私立はやや減少しております。人文科学,社会科学につきましては減少傾向。農学につきましては,やや増えているという状況でございます。16ページは博士課程でございますけれども,一番大きい保健の分野では,いずれも在学者数が増えております。工学,理学につきましては減っているおり,教育については,やや増えているということでございます。
 17ページが専門職学位でございます。社会科学という部分は,右に書いてある法科大学院と教職大学院がいずれも入った数字でございます。これはいずれも右を見ていただきますと,法科大学院につきましては在学者数は減っております。教職大学院は,10年前にはなかったため,新たにできたものが数字が載っているということでございます。
 18ページは短期大学ですけれども,教育,家政,人文,社会,それぞれ在学者数が減少しております。比較しますと,保健についてはやや減少幅が少ないということでございます。
 19ページは専門学校の状況ですけれども,これも工業関係,教育・社会福祉関係等々,全体的に減少しておりますけれども,医療関係については減少幅が小さいということでございます。
 20ページ以降,科研費補助金の応募件数・採択状況等々のデータでございます。分野別で見ますと,右側の21ページの上が自然科学分野でございます。紫が国立大学で,薄い青が研究機関ですけれども,自然科学では国立大学や独立行政法人の研究機関の採択数が上位を占めている分野も多い。下の段ですけれども,人文科学・社会科学の分野においては,黄色が私立大学で,赤が公立大学です。人文科学・社会科学においては,私立大学が採択件数の上位に多く入っている分野もある。また,公立大学が上位に入っている分野もあるということで,四つデータを載せております。
 次に,22ページ以降が産業構造・就業構造に関する状況・予測についてというデータでございます。20年前からの動きですけれども,赤の部分が製造業,その下,ピンクが建設業ですけれども,製造,建設業につきましては,この20年の間に,右に行くほどややGDPに占める割合としては減ってきている。一方で,下のオレンジが情報通信,薄いオレンジがサービス業ですけれども,この情報通信,サービスは右に行くほど割合が増えてきているという傾向でございます。
 23ページが,卒業後の就職状況の変遷でございます。ちょっと見づらいですけれども,職種ごとに,上と下に2本ずつバーがありまして,10年前との比較になっております。一番大きいバーが長い事務従事者というのが下の方にありますけれども,若干増えている。増えたのが販売従事者,ここが10年前より増えております。そのちょっと上の真ん中辺ですけれども,教員と保健医療従事者も10年前と比べると全体の人数は増えております。それから,下の卒業後の就職状況については,ちょっと細かいので省略をさせていただきます。
 24ページですけれども,大学,短期大学,専門学校,高等専門学校,高等学校卒業者の産業別就職者数ということでございます。この一番バーが長い16が医療,福祉でございますが,内訳が赤の大学,青の専門学校,黄色の短期大学,紫の高等学校卒業者ということで,様々な機関の方が就職をされております。それから,9の卸売,小売業,5の製造業につきましては,高等学校卒業者の就職者数が半数ぐらいを占めているということでございます。
 その下,職業別就職者における学歴の割合,これも非常に見づらい資料で申し訳ないんですけれども,特徴的な変化で見ますと,上から3分の1ぐらいのところに教員というのがありますけれども,これにつきましては,青が短期大学,赤が学士ですけれども,短期大学士が減って学士が増えているという傾向がございます。ちょっと下の保健医療従事者も同様でございます。その更に少し下,事務従事者も短期大学士から学士に変わっているということでございます。
 25ページが職業別労働者の過不足状況ということで,左側がリーマンショックの前後でございます。これはグラフが下に振れているほど労働者が過剰である,余っているという状況ですけれども,右側のグラフでは過剰感はなくなって,不足している分野がいろいろあります。特に緑のグラフが一番上になっていますけれども,専門技術職については労働者が不足傾向にあるという状況になっております。
 その下,業種別雇用人員,これも過不足状況ですけれども,これについては上と逆で,上にグラフがあるほど過剰という状況です。一番上,オレンジっぽいところが製造業ですけれども,労働者に過剰感が大きく,グラフが下に振れている緑とか青が宿泊・飲食サービス,対個人サービスというところは労働者が不足しているということでございます。
 次,26ページですけれども,よく引用されるもので,人工知能やロボット等によって代替可能性が高い労働人口の割合ということで,日本は49%というデータがございます。その下に,同様に人工知能の発達により,10年後,20年後に消える仕事,残る仕事という論文がありますけれども,左側には比較的単純な作業,右側で残っている仕事を見ますと,内科医・外科医,メンタルヘルス,医療ソーシャルワーカーのような専門職と,その他,一番上にも現場監督者,危機管理責任者等々とありますけれども,監督者,責任者といったような仕事の方々は残っていくというようなことになっております。
 次に27ページです。今後の従業者数の増減の予測ですけれども,経済産業省の産業構造審議会の資料でございます。上を見ていただきますと,右で矢印がある,真ん中が従業者数でございますけれども,これによりますと,今後減っていくというのが上から三つ目の顧客対応型製造部門,自動車,通信機器,産業機械等とあります。そうした上に増えるという,72万人,24万人プラスとある情報サービス部門ですとかおもてなし型サービス部門につきましては,きちんと改革をしていけば従業者数が増えていくという予測になっております。
 その下,職業別ということでございますけれども,従業者数が増えていくという予測がされている分野が濃いオレンジの部分ですけれども,1の上流工程。経営戦略策定担当,研究開発者等。3の営業販売(低代替確率)が,高額な保険商品の営業担当等々,代替の効かない仕事をする営業販売。あるいは,サービスについても低代替率のサービス業。そして,7,IT業務,こういったものについては従業者数が増えていくという予測はされております。
 最後28ページですけれども,上が経済再生シナリオ,下がゼロ成長のシナリオとありますけれども,いずれにしても就業者数が特に増えていくという予想がされている分野は,この赤いバーが立っている医療・福祉,それから情報通信業が上げていくという予想となっております。
 以上が背景となるデータ等々でございまして,これを受けまして,資料2-2を御覧いただきたいと思いますが,資料2-2の1ページ目というのが,今説明しましたような全体の踏まえるべき状況について,まとめの骨子として前回の作業チームで出されたものでございます。こうしたことを踏まえまして,資料2-1の論点1にあります,今後の将来像を検討するために踏まえるべき観点について,本日御議論いただければと思っております。説明は以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。大変分かりやすい資料だったかと思います。資料の中に,新機関の創設にも関わる部分もありましたけれども,まずはもう少し大きな視点で,高等教育の将来像を考えるために必要なポイントについて,資料2-2に取り巻く状況の変化や検討の方向性ということで,キーワードがずっと並べられています。これを見ながら,また今御説明いただいた内容を把握し,個々に先生方の御専門等にも鑑みて,こういう観点が必要である,まだまだ議論する必要があるのではないか,といった議論をさせていただきたいと思います。
 例えば,ただいまの御説明の中には出なかったものとして,資料2-2の2ページ目の中段の少し下に,教員,学生の流動性の向上とか,入学する学生の多様化(伝統的な学齢以外の社会人,留学生などの受入れ)とあり,こういう観点でも考えるべき,ということをまとめていただいています。そういう意味で,今の資料だけではなくて,先生方から,特に今後の高等教育の在り方に関する検討の方向性のキーワードが出てくると良いなと思っております。
 それでは,橘フクシマ委員,どうぞ。
【橘フクシマ委員】  御説明どうもありがとうございました。私,しばらく欠席をしてしまいましたので,もう既に御検討になっているのかもしれませんが,これからの日本が立ち向かわなければいけない課題である世界の環境変化は,グローバル化と新産業革命の二つだと思います。特にこの新産業革命の進捗状況が想像以上に早く,私は日々,早く追いつかなければという危機感を覚えています。
 AI,IoT,ビッグデータ,こういった領域の人材を早く育成しないと,日本も立ち遅れてしまうという不安があります。今回の資料をずっと拝見しましたが,今回の資料の中では,あまり強調されていないので,AI,IoT領域は日進月歩ではなくて秒速で進んでいる世界ですので,もう少しスピード感を持って専門学校的なところで早く育成をしないと立ち遅れてしまうのではないかと心配しています。そこをもう少し強調する必要はあるのかなというのが私の意見です。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。今の御意見,恐らく2番目にも関係があります。
 小畑委員,どうぞ。
【小畑委員】  今,キーワードというお話がございましたので,一つ提案をさせていただきたいと思いますが,この検討事項は15年とか20年先の,大きく社会構造,あるいは産業構造が変わるときの最初の5年間ぐらいの教育の在り方を検討するということなんだろうと思いますが,日本学術会議の総合工学委員会の中に,今,「工学基盤における知の統合分科会」が設置されており,そこで知の統合の重要性,そのための人材育成の重要性が議論されております。実は科学技術会議の方では,もう10年以上前から知の統合の重要性が議論されていて,何度か提言,あるいは報告という形での文書が出されております。今,総合工学委員会の中でまとめつつあるものは,日本学術会議の中の位置付けが提言なのか報告なのかはまだはっきりしませんが,現状では提言の形でまとめようということで,議論が進んでおります。是非一度,そこの代表者の意見をお聞きいただいて,知の統合という視点からの高等教育の在り方を議論していただければと思います。以上です。
【永田分科会長】  知の統合という意味で,先生が御存じな部分で,もう少し皆さんに御披露いただけると有り難いのですが,いかがですか。
【小畑委員】  例えば,資料2-2の最初のページの下の枠の中の,3の高等教育を取り巻く状況の変化のちょうど中央に産業構造の変化とあって,AI,IoT,ビッグデータ,セキュリティ,このあたりの話です。例えば,ビッグデータを分析すると非常に有用な知見,あるいはシステムが構成されて,人間の能力を超えるようなソフトウェア,ハードウェアができるという話があります。例えば囲碁の問題だとか,将棋でもそうですし,医療の分野の診断でも同様です。
 これらのものというのは,ある一つの専門家が1人で,あるいは同じ分野の人間が束になってかかるという話ではなく,非常に広い分野の知の集団を構成しないとなかなかうまくいきませんし,単に異分野を「融合」するだけでは不十分で,それを超えた新たな知を生み出すレベルにまで高める必要があります。その辺の人材育成が今非常に手薄で,これからその必要性が増大していきますので,今後の高等教育の人材育成という視点からは,知の統合人材というものは非常に重要かなと思っております。
【永田分科会長】  ありがとうございます。表裏のような部分があると思いますが。天野委員,どうぞ。
【天野委員】  今のお話に関連してなんですが,今,いろいろな国立研究開発法人の成果の社会実装とか,いろいろなところでお手伝いしているんですけれども,とにかくIoTの技術がきちんと成果を展開していく上には,人も必要だということは日々実感しています。そのときに,ただ単に情報工学の専門家がいるだけでは全然役に立たないんですね。今小畑委員がおっしゃったように,知の統合ということはありますが,例えば土木を修めた人間がIoTのことも勉強して,それできちんと成果をシステム化していくというようなことが,今とても求められているのではないかと思っています。
 なので,それぞれの分野が集まるということだけではなくて,資料2-1の3番に少しかかってくるかもしれませんが,いろんな分野を出て,,自分の専門を持った方が,更にIoTの勉強をするとか,逆もあると思います。そのような教育機関同士が一つで終わるんじゃなくて,いろいろ必要なところに行ってまた勉強するというような機会がたくさんとれるようなシステムが必要になってきているんじゃないかということを実感しています。
【永田分科会長】  ありがとうございます。それでは,坂東委員,お願いいたします。
【坂東委員】  大学の機能の強化は,これからの日本の経済だけではなく,社会の在り方に対しても大変大きな影響を与えると思いますので,是非いろいろな御意見を反映していただきたいと思います。一つ今,大学の経営に携わっている立場から申しますと,研究機能の充実,あるいは研究者をいかに育てるかということについてはいろいろな機会に議論がされておりますけれども,教育者,大学教育を担う人の養成,育成,あるいは技量の進化,そういったようなことについては余り議論されていないような気がします。高等学校までの教員ですと教員免許状が必要ですけれども,大学の教員は研究者であれば,あるいは実務的な経験をもっていれば,教育はおのずとできるであろうという前提のもとで行われております。そして,教員の業績といったときにも,査読付きの研究論文を幾つ書いたかとか,研究業績を上げたかということを評価はされておりますけれども,教育についてどのような業績を上げたか,統計を上げたかということは,余り問題になりません。
 これから大学が多様化する中で,研究の方に特化される大学はもちろんどんどん頑張っていただきたいんですけれども,ユニバーサル教育,多くの学生が進学する状況においては,大学の教育を担う人材をいかに育てるのか,その人たちをエンカレッジしてまた評価するのかということを,十分この中の一つの要件として入れていただければ有り難いなと思います。大学の研究機能のみならず,教育機能の充実ということをお願いしたいと思います。
【永田分科会長】  島田委員,どうぞ。
【島田委員】  少し論点がずれるかもしれませんけれども,確かに高等教育の関係を議論しているんですが,本来であれば,基礎技術とか基本があって,その中で高等教育をどうしていくかという話だと思うんですね。これを見ると,最近のトピックスがあって,IoT含めて書いていますけれども,これは既に始まっているわけですよね。常にその瞬間瞬間をとっていく世界。これが5年後,10年後にはもう変わっている可能性があるわけですよね。そうすると,高等教育でその都度その都度後追いするのでしょうか。
 企業で言えば本来,企業の研究というのは,20年後を目指して基礎研究を確立しながらスタートしていって間に合う世界を作るわけですよね。でも,この今の皆さんの高等教育の話をお聞きしていると,この5年間に対応すべき形を議論するという話であればそうかもしれないけれども,実際の高等教育は,基礎研究ではベースをぴしっと形にした中で,都度その中で特別なものが出てきて,そこをどれだけ早くみんなが分かった中ですぐ変換できていくか。でも,基礎だけは絶対に変えないよと。基本ベースの研究含めて,いろいろな考え方のここは必ずやるんだと。我々はそこに全然焦点が当たってなくて,華やかな方ばかり目を向けてしまうけれど,本当はここのベースの人材も含めて,研究機構とかいろいろな部分をもうちょっと押さえておかなきゃいけない。その中で,今回の議論があっていいのではないかなという気がしております。
【永田分科会長】  ありがとうございます。次は美馬委員,どうぞ。
【美馬委員】  今回,この論点の中にないものとして,私は地域格差,大学の偏在ということについて考えていく必要があるのではないかと考えています。地域の経済格差,教育格差の負の連鎖を断ち切るには,やはり高等教育政策が大きな意義があると思っています。特に地方に暮らしていますと,大学に進学できない人たちがいて,そういう人たちが進学,卒業することによって,個人的収益が上がるだけではなく,社会的収益にもつながっていきます。,逆に考えれば,それがうまくいかないと社会的な損失になっていくわけです。
 特にこういう人たちに奨学金を与えればよいかというと,それだけではなくて,大学に行くことの意義が分からない,感じられないのだと思います。特に地方においては,大学が存在しないところがあります。そうすると,地域に大学があるということ,身近に大学生にいるということで,大学に行くことの意義というのを身近に感じることができる。また一方で,今度は大学を出ても,就職がないので全部首都圏に出てしまうということですが,ただ幾らかでも残っていけば,それは地方を創生していく人材に十分なり得ると思います。つまり,人口減少が差し迫った全国的な問題としてある中で,労働生産性を上げていく,向上していくというために,高等教育に進学できる環境を整備していくということ。これは今後の仕事の在り方としても,サービス業だけではなくて,農業とか漁業とかそういうところに従事する人材であっても,高等教育が与えるものというのはとても大きいと思います。以上です。
【安部委員】  ありがとうございます。第4次産業革命と言われるIoTとかAIとかロボット産業とか,それを作り出したり,新たにビジネストレンドを生み出す人材というのは,早急に大学教育で育成しなければいけない。そこにもお金をかけなければいけないのですけれども,一方,それらを使って共に働く仕事も,今後増えてくると思います。確かにこういうものが進むと単純労働は減ってくるけれども,若者が減って労働人口が減る中で,それを使って共に働く,仕事をする人の質を上げなければいけないというふうに思います。ITで代替できないような対人サービスとか,それから,情報産業の中でも,例えばセキュリティ対策など,必然的に取り組むような人材というのは,当然高等教育で養成しなければいけないと思います。そのために,高等教育にアクセスするハードルというのを今よりも下げていき,大学に行きたいという人は行けるような仕組みを作っていかなければいけない。
 先ほど永田分科会長が,社会人だとか,今までの伝統的な学生と違うタイプの学生をたくさん受け入れることが必要だということを論点として言われたんですけれども,そのためには,一つに先ほど奨学金のお話が出ましたけれども,経費負担というものをなるべく小さくするという方法があります。そのためには,公私格差という問題もありますし,あるいは学生の経済状況に配慮した細かい奨学金制度というのを新たに創設するべきだと思います。そしてもう一つは,教育内容というものを,伝統的な学生とは違う人に合わせた教育内容,機関というのが必要になってくると思うし,当然修業年限に関しても4年だけではなくて,2年とか短期の修業年限で,また職場に出て学び直すというようなシステムも,将来像を検討する際には必要ではないかと思います。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。次は中根委員,どうぞ。
【中根委員】  ありがとうございます。中根です。1番のポイントについて。日本の高等教育をどうするか,グランドデザイン。デザイン,設計ということを言いますと,設計目標,デザインオブジェクティブがないと,何ができ上がるかよく分からないというところを御提案したいと思います。やはり日本が国家として,高等教育を改善して,何をするんだという,デザインオブジェクティブをはっきり書いてはどうか。それによってベクトルが合っていくのではないかと思うんです。
 例えば,どういうことを思っているかといいますと,世界の経済のことだとか,最近のアメリカの選挙のことだとか,いろいろなことを念頭に置いた上で,例えば「WORLD PEACE through INNOVATION」。日本は,イノベーションで世界のリーダーシップをとることによって,世界平和と人類の幸せに貢献する国家なんだと。こういうビッグピクチャーのデザインオブジェクティブをはっきりとセットしていただくと,真ん中に落ち着きが出てくるんじゃないかなと思います。日本がどこで何をやるか。
 先ほど,産業構造,就業構造について御説明あったんですが,国内の就業構造だけでなく,日本の資本が海外でどのぐらいの人たちを雇っているか。つまり,日本からどのぐらい動員しているか。これはアメリカファーストと同じような,ジャパンファーストの考え方なんですけれども,こういう考え方というのは,やっぱり世界の趨勢(すうせい)としてこの先10年動いてくると思うんですね。これをうまく教育,研究という観点から操りながらいけば,地域と地方に工場が帰ってくるということも考えられる。そのときに高等教育はどうあるべきなのかということであります。それから,デザインオブジェクティブ,これをきちんとステートしてあげれば,大変有り難いというふうに思います。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。小林委員,どうぞ。
【小林委員】  観点について三つ申し上げたいのですが,それに関連して少し事務局に質問があります。高等教育政策について,かなり大きなものとしては,大学改革実行プランというのがあったかと思っているんですけれども,これがこの資料には入っていないのではないかと思うのですが,それは入っていないのでしょうかという確認がまず御質問です。
 何を申し上げたかったかと言いますと,前回の平成17年の将来像答申からずっと高等教育政策を細かく整理されているのですけれども,この目標と成果のチェックというのは,やはりどこかでやらなければいけない,それぞれがそれを出しているわけです。特に大学改革実行プランとか,国立大学改革プランとか,かなり具体的にどういうことをするかということを書いていますから,それがどういう成果をもたらしたかというチェックが必要ではないかと思います。
 大学院に関しましては,大学院教育振興施策要綱がどういう成果をもたらしたかというのは,中央教育審議会でワーキンググループを作ってかなり細かく成果をチェックしていますから,それと同じようなことを,将来像答申以降どうなったか,やはり見ておくということが必要ではないかというのが第1点の観点です。高等教育政策のチェックです。特にこの間,大学間の競争をして,一種の疑似市場を作ってそこに誘導していくという政策でやられていたと思うのですけれども,その方向性をそのまま続けていくのかどうかということを考えていく。そのためにもチェックが要るのではないかというのが第1点です。
 第2点は,高等教育をシステムとして考えたときの全体をどういうふうに考えるかという問題で,これまで分野別,あるいは機関別というのは非常に水平的な分業というか分化をどう考えるかという問題ですけれども,私は垂直的な分化をどう考えるかというのはかなり大きな論点としてあると思っていまして,現在大学院,4年制大学,2年制というのが基本なんですけれども,その間にも専攻科とか様々な垂直的な分化が起きておりますので,それをどう見るかということが観点として必要ではないかということです。
 それから,第3点は,既にほかの委員の方からも出ましたけれども,教育費負担をどうするかという問題を考えないと,国庫の補助の問題とか,奨学金とかいろいろな問題がありますので,教育費負担の問題を取り上げていただければというように思います。以上です。
【永田分科会長】  小林委員,ありがとうございました。それでは,河田副分科会長で1回この部分については終わりにします。
【河田副分科会長】  先ほど坂東委員から,教員の技能ということがありましたが,やはり作業チームにも全て教員の先生方が入っておられますが,事務職員の方が一人も入っていないのが残念なんですね。今週の『AERA』にも大学職員のことが出ております。私は以前にも,大学分科会で申した記憶がありますが,やはりこれからの大学において,職員というものが重要であり,かつその身分を明確にしなければ駄目だと思います。学校教育法の92条には,大学には学長,教授,准教授,助教,助手及び事務職員を置かねばならないと,書かれています。事務職員はここに1度だけ出てくるだけなのです。その中でずっと学長はこんなことをし,副学長は,学部長は,准教授は,助教は,助手はと,その果たすべき役割が列挙されていて,そして最後10項目目には,「講師は,教授又は助教授に準ずる職務に従事する」とあって,事務職員が何をするかという規定は全く表記されていないわけです。
 事務職員は,やはり大事であると考えます。私立大学も,国立大学もいろいろ見せていただいて,地方でも元気な中小規模の大学,競争的資金をしっかり取って,地域と結び付いている大学というのは全てみな事務職員がしっかりしています。既にある私立大学では,入学試験において事務職員,アドミッションオフィサーが面接して,先生方は関与しないというアメリカ式の大学も出てきておりますので,是非,最後の92条に書き加えることができるならば,大学においては教育職員と事務職員とが教職協働のもと,大学の教育,研究,入学試験などの諸活動を円滑に進めるために一致協力して貢献するとか,そういう項目が必要であると声を大にして主張いたします。このことは,平成26年の大学のガバナンス改革の審議まとめにも指摘してあるんですけれども,全くそれが進んでいないというのが実情かと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございました。中根委員がおっしゃるような核となるような内容は,平成17年の将来像答申のときに,21世紀はこうだと述べたのと同じように,今度も,そういう大きな1行で書けるようなものは何なのか,というところからスタートして,いろいろな御議論を頂く必要があります。ただ,先ほどお配りしてある資料2-2の2ページの上の方の,今後の機能強化の方向性のところを見ていただくと既に書かれているものもあります。つまり,これは島田委員が述べられた御意見に通じるのですが,新たな価値創出の基盤となる創造的な教育研究の構造化をしなければいけない,ということです。ですから,そのために今,直近の課題を解決するだけではなくて,高等教育というものはこうした取組を進めるのだ,ということだと思います。
 それから,地域について,社会の変化及び地域という項目が出てきていて,実践的な教育に基づく人材育成について書かれています。これは御意見の中で,仕事をする人の質の向上という言葉で表していただいたと思いますが,世界の舞台で,日本の舞台で,地域の舞台でそれぞれの中でベストを尽くすにはどうしたらいいか,ということだと思います。
 知の統合の御意見を頂いて,これも大変そうだと思うのですが,言い換えると,研究であれば学際性,あるいは仕事であれば多様な職業を,というように,多様性を必要とする分野を支える専門家が実は必要だとおっしゃった部分がありました。そうなると,協業しなければならない部分と,協業できる能力を持つ人,若しくはそのマインドを持った人を育成する必要がある,ということになるわけだと思います。それは今言われたことの中で,幾つかここに書いてあるものと書いていないものを一旦サマリーさせていただいています。
 それでは,続けて,今の御議論とも重なる部分は必ずあるはずですが,2番目の新機関の創設を踏まえた高等教育機関の役割・機能強化です。これは実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の創設についての諮問に対して,答申がもう出ています。それをどう位置付け,あるいはその機関が,よりどういう特長を持てば,既存の高等教育機関の機能を補うものになっていくのか,ということを考えてみたいというわけです。正に今,大枠で出てきた議論を,もう一度今度は,この新しい高等教育のシステムの中で議論しようということです。
 事務局から,背景等の説明を簡単に行います。
【堀野高等教育政策室長】  論点2の前に,先ほど小林委員から,大学改革実行プランには載っていないのではないかという御指摘をいただきました。今後それも視野に入れて整理をいたします。
 それでは,論点2でございます。資料2-1の2とありますように,二つ目の論点の中に三つ,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の位置付け。それから,職業教育におけるそれぞれの高等教育機関の役割。三つ目に,各高等教育機関の機能強化の方向性という三つの観点から御議論いただきたいと思っています。
 資料でいきますと,まず先ほどの参考資料の29ページをお開きいただきたいと思います。5月30日の中央教育審議会答申で示されました実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度でございます。これについて改めて復習をしますと,養成する人材と一番上にありますとおり,基礎・教養やっぱり理論にも裏付けられた優れた技能等を強みに,事業の現場の中核を担い,現場レベルの改善・革新を牽引(けんいん)していくことのできる人材を養成すると。もう一つの方では,専門的な業務を担うことができる実践的な能力とともに,変化に対応し,自らの職業能力を継続的に高めていくための基礎(伸びしろ)を身に付けた人材の育成ということで,人材例が書かれております。
 制度化のポイントですけれども,下にまず修業年限として,2・3年制,4年制。4年制課程については,前期・後期の区分制課程も導入をして,前期終了後,一旦就職してから後期に再入学する方とか,入学する方,また社会人が学び直しのために後期から編入学するなど,積み上げ型の学習スタイルができるようにするということでございます。
 下に,教育内容・方法として,卒業単位の概(おおむ)ね3割から4割程度以上が実習等を行うと。そしてまた,企業内実習等を,2年間では300時間以上,4年間の場合には600時間以上履修する。そして,教育課程については,産業界・地域の関係機関と連携して教育課程を編成・実施するということでございます。
 次に30ページですけれども,教員については,必要専任教員数の概(おおむ)ね4割以上は実務家教員とする。更にその半数以上は,研究能力を併せ有する実務家教員とするということでございます。
 入学者の受入れについては,専門高等学校卒業生,社会人学生,編入学生など,様々な学生を受け入れる。また,選抜のときには,実務経験や保有資格,技能検定での成績等を積極的に考慮する。質の保証としては,質の高い実践的な職業教育を行う機関としてふさわしい設置基準を制定をする。各授業科目についての学生数を,原則40人以下とする。大学・短期大学と同等以上の情報公開をする。認証評価についても,分野別質保証の観点を取り入れた評価を行う。研究機能の位置付けとして,新たな機関の目的には研究を含めるということでございます。学位については,それにふさわしい学位名称を付ける。そして設置形態として,大学・短期大学が一部の学部,学科を転換させるなど,新たな機関を併設し,提供することも可能とする。財政措置については,必要な財源の確保を図り,ふさわしい支援を行っていく。このような答申が出されまして,今,制度化の作業を進めているところでございます。
 31ページが,過去の分科会でも示されました全体像でございます。それぞれについて,専門教育,職業教育ということが,各機関にそれぞれ入っております。この役割がどうなっていくのかということを,本日御議論いただきたいということでございます。
 32ページは,平成17年答申で示されている各高等教育機関の役割でございます。これをもとにしまして,資料2-4の2ページ目を御覧いただきたいと思います。作業チームで御議論いただいた内容でございます。点線の枠囲みが,事務局の整理案として示したものをまとめたものでございますけれども,職業教育,各機関やっているわけですけれども,様々な職業教育をやっているだろうということで,皆同じではないということでございます。
 一つ目のぽつは,例えば医師,教員,保育士,看護士の養成など,資格取得のための教育が学問分野として確立しているものは,各高等教育機関(大学,短期大学,高等専門学校,専門学校)で行われておりまして,これは今後とも変わらず重要な役割であろう。
 二つ目のぽつですけれども,特定の職業への就職を前提としない幅広い教養教育・専門教育は,大学,短期大学において行われており,これも今後とも変わらず重要なことであろうと。
 このように,様々な分野の人材育成は,引き続き各高等教育機関で行われるわけですが,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関は,ある分野の人材育成のため,産業界と密接に連携して高度で実践的な教育を行おうとする場合には最も適した教育であるとして,創設が検討されているということの基本的な考え方の案をもとに御議論いただきました。
 その他,様々なそこから議論がございましたけれども,その職業教育を考える際には,海外への事業展開などを考えると,その国の宗教,歴史といったことも重要なので,人文科学,社会科学といったこともしっかり役割があるということを整理するべきではないか。
 あるいは,職業教育については,分野で考えるだけではなくて,短期大学,大学,大学院等々レベルの問題というのも含めて考える必要があるのではないかという御意見が出ております。その後,各機関別の御意見が出ている部分については,資料2-3で御説明いたします。
 それから,次のページの御意見の中で,下から最後から2番目ですけれども,「実践的」ということが軽く使われると,学んだことがすぐに廃れてしまう。20年後,30年後に古くならない素養を育てるのは研究であり,新しい知を創造する,こういう体験をさせることも重要ではないかという視点が出ております。
 様々な各機関別の御意見が出たものを整理したものが,資料2-3でございます。資料2-3を御覧いただきますと,各学校種共通の要素とございますけれども,その次の大学(学士課程・大学院)を御覧いただきますと,大学における機能強化の在り方の観点として,一つには,多様化した学生を迎えるため,大学が自ら持つ特色,強化すべき機能を明確にすることにより,多様化を一層進めること。進学率上昇が続く中,教育機能をしっかり強化すること。それから,博士課程の進学率が減少する中で,博士課程に優秀な学生が進学するための体制を強化すること。また,グローバル化に対応した教育の強化,学位や単位の国際通用性を踏まえた質の保証。産業界と連携した高度に実践的な教育の充実。それから,学術研究機能の強化といった機能強化の観点がございます。
 こうした機能強化を支える基盤として,学位プログラム等の教育課程の改正,これにては論点3のところで詳しく御議論いただきたいと思います。また,ガバナンスの強化,それから学習時間の把握と,それから教育研究の基盤となる経費の確保といったことが併せて検討が必要だろうということでございます。
 2ページ目,短期大学でございますけれども,機能強化の在り方として,幅広い教養教育を踏まえた地域の産業を支える人材育成,この機能を充実・強化すること。それから,大学との体系的な接続等による多様な進路の選択肢を充実させるファーストステージ機能の強化。また,職場復帰を目指す女性,ブラッシュアップを求める地域人材など,社会人への再教育機能・生涯教育機能の強化。それから,外国人留学生の受入れや,海外の大学への編入・留学の促進,こういった機能強化。そして,これを支える基盤として,小規模な学科の設置も可能とすることにより,日々変化する学習ニーズに応えられるようにするべきではないか。あるいは,大学との連携により,専攻科の教育を強化すべきではないか。あるいは,短期の非学位プログラムの充実のための方策を検討すべきではないかということでございます。
 高等専門学校については,機能強化として,実践的・創造的な技術者養成の機能の充実。産業構造の変化に応じた新たな分野の人材育成の強化。それから,専攻科や大学への進学者の増加に対応した教育の充実。地域産業界との連携の強化。国際化に対応した教育,また高等専門学校システムの海外展開の推進という方向性でございます。これを支える基盤として,15歳からの早期教育という特色を更に活用する方策の検討。大学との連携等による専攻科の教育の強化。高等専門学校全体として一定の規模を確保といったことが出ております。
 最後に3ページ目,専門学校ですけれども,機能強化の方向として,社会・産業ニーズに即応しつつ多様な教育を柔軟に展開する強みを生かした人材養成機能の充実・強化。地域の産業を支える多様な職業人材を養成する機能の充実・強化。復職やキャリアアップを目指す社会人等への再教育機能の強化や,外国人留学生の受入れ等のグローバル化。そして,他の教育機関との接続の強化。こうした機能強化を支える基盤として,地域の中核的人材を養成する機能の強化方策。社会人等の学び直しニーズに応えていくための方策。実践的な職業教育を行う専門学校教育の質保証・向上の方策ということで,資料はまとめられております。
 このうち,まとめを更にこれから文章化していくに当たって,本日様々と御議論いただいて,肉付けをさせていただきたいと思いますので,資料2-1の論点2ということで,御議論をお願いいたします。
【永田分科会長】  今御説明いただきました内容について,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関のサマリーは,5月の中央教育審議会答申の内容,それからその後の作業チームで様々な御意見がまとまってきています。本分科会はその上部会議ですので,作業チームで議論していることで足らない論点などを見つけていく,ということが必要なのだと思います。
 それで,皆さんに御意見を伺うのに一つだけ申し上げますが,そこの三つの観点を少し別の側面から考えていただいてもいいかなと思っています。一つ目は受益者,つまり学生から見たときに,どうなっていたらいいのかということ。二つ目は,その教育課程,言い直せば設置者ということになるんですが,設置者の観点では一体どうすべきなのかということ。三つ目は,その設置者が定めたカリキュラムを受益者が学んだ後に,どういうふうに社会に出ていけばいいのかということ。ここに書いてあることを少し違う言葉で言い換えると,そういうことになると思います。学生に魅力のないものではいけないわけなので,学生の観点から考えるのは非常に重要です。それから,設置者は非常に厳しいことになるであろうと思います。これは先ほどの,ここ数年の間に産業界に対応しながら,教育課程は常に進化を続けないといけないと私は思います。だとすると,設置者は大学の機能を持ちつつ,こういうアップデートな内容を進めていかなければいけない,ということです。また,前期・後期というのがありましたけれども,社会から入ってくる人,あるいは前期課程を終えた人は,気に入らなければもっと魅力のある後期課程を選ぶことも可能になるとすると,相当に設置者も厳しい状況になるでしょう。それから,社会から見たときに,先ほど島田委員からも御意見がありましたけれども,急に産業全体の構造が変わっても,その中で生き抜くことができなければなりません。ここの学校を出た後,急に必要とされるスキルが変わって違うものになったとしても,その前段階までの教育は全部受けていて,きちんと適応していかなければならない,ということになるのだと思うのです。それを考えて,今言ったような観点から,お話をいただけると良いかと思います。
 それでは,千葉委員からどうぞ。
【千葉委員】  今,永田分科会長が言われたことは正にそのとおりで,私も今,同じことを考えていたんですけれども,この新しい高等教育のグランドデザインを考えるときに,学ぶ者の立場に立った検討というのも一つ必要なんじゃないかなと強く思っております。フィンランドは日本よりも人口の少ない国で,一人の落ちこぼれも出さないということが教育の方針だそうですけれども,それは日本の一億総活躍社会とも通じている話ではないかと思います。
 そういうようなことを前提に考えたときには,現在高等教育機関には,短期大学,高等専門学校,専門学校,そして専門職大学,そして大学,こういうような選択肢がこれからできるようになってまいりますので,それぞれ学ぶ側(がわ)の個性に合わせて,どのような形で高等教育の勉強をスタートしてもかまわないと,そして,そこの流動化ということも確保してあげて,最終的には日本で役立つ人材をそこから作っていくというような考え方を一つ取ることがよろしいのではないかと思っています。
 また,もう一つは企業の側(がわ)に立った検討ということで,これはこれまでも度々指摘をされていることでございますけれども,大学の方は学位,学術というところに偏重しているために,実務能力が足りないということを企業の方から度々指摘をされているところでございます。その実務能力をどういうふうに付けていくのかということも,一つの検討の材料ではないかというふうに思っています。
 また,研究者というところでいろいろと議論をされますけれども,学部卒業生のほとんどは,大半は事務職や販売職についているという状況が現在の実態でございますので,研究ということと実務ということを二つ分けて考える必要があるんじゃないかという気がしております。また,そこの新しい高等教育機関での教育者というところでは,一つの観点は,実務者がそこにどんどん参画をしてくれるような,そういうような制度というものも検討する必要があるのではないかと思っております。そういう意味では,今度の新しい専門職大学,あるいは専門職業大学というところでも,講師の比率というものもある程度確保して,実務者がどんどんと教壇に立ってもらえるような,そういう特徴を持った教育をするということが,学ぶ側(がわ)の視点に立ったときにも,一つ重要な視点かというふうに思っております。
 そういうことで,研究大学と実務大学というような形に分けて議論していきませんと,大学というものが実務も教えられるし,研究もできるしというところをいつまでやっていても,非常に大きなフレームの中での話ということになりますので,なかなか話がまとまっていかないのではないかと思います。聞くところによると,日本には3万種類の職業があるというふうに言われていますけれども,その中には研究的なものから単純的なところまであるわけで,それぞれの仕事に合わせた,ふさわしい高等教育機関というものを用意していくということも必要ではないかと思います。以上です。
【永田分科会長】  金子委員,どうぞ。
【金子委員】  私が申し上げるのは実践的な就業教育を行う機関の具体的なイメージについて余り寄与するところはないのですが,ただ,これを考えるに当たって,全般の議論との関連もあり,非常に重要だと思いますので申し上げたいと思います。
 それはやはり,先ほどお話がありましたが,新しい教育制度を設計するわけですから,設計の思想というのは非常に重要だと思います。私は端的に言って,20世紀後半の設計の思想は,社会の,特に産業的なニードがある程度特定できて,それに立脚して学校制度が対応するという考え方だったと思います。特にこれは製造業を中心として,ある程度予測ができる成長パターンの場合は,それに対応する学校を作るというのは非常に意義があったと思いますし,あるいは職場での職位に学校制度を対応するということもあったと思います。ただ,この社会的な産業のニードは特定できて,それと学校制度をきちんと対応するという思想が,21世紀に通用するかどうかというところがまず基本的な問題ではないかと思います。先ほどの資料の御案内にもありましたが,既に学卒者の製造業への就職者数は,1990年ぐらいでピークに達していまして,今は4割以上はサービス業に就職している状況です。それは実は非常に多様な内容に就職するようになっています。
 それから,先ほど先端の分野としてAIとかIoTとかいうお話がありました。そういうところで人材不足だと言われていますけれども,何が問題かということなんですが,私はたまたまAI人材の育成の委員会に入っておりまして感じたこととして,基本的にAIそのものの専門性を持っている人の需要はそんなにあるわけではありません。一種のアルゴリズムを開発するという,特定の人たちがいますが,そんなにたくさん要るわけではない。むしろ問題は,医療とか教育とかマーケティングとか,AIが使われるところでそのような知識をどのように使っていくのか,その境界の知識のところが非常に重要で,しかもそれは専門学校でちょっとAIを教えるとかそういう問題ではないんですね。むしろ各分野で非常に進んだ知識とAIが結び付くということが非常に重要であると思います。
 そういう意味で,日本の企業の非常に大きな問題点は,企業,組織が固定的ですので,そういった新しい知識の要素を企業の中で結び付けるということはできない。その意味で,大学の役割は非常に大きいと思います。しかし,その新しいAI学科をたくさん作ればそれで解決するという質の問題では全くないのではないかと思います。
 同じようなことはいろいろなところで起こっていまして,例えば調理とかそういったものは,調理だけで成り立つかといえば,それは食品科学とかいろいろなものと需要でしか成り立たない。新しい実践性は,職場でやっていることを習えば実践的かというと,実はそういうものではなくなっているんですね。新しい高度の専門性というのは,実はむしろ統合的な知識であると私は思います。
 それから同時に,先ほど長期的な変化も重要だというお話がありましたが,新しいそういう分野というのは,時間的には非常に早く変わっていくものだと思います。そういう意味でも,新しい専門性の部分が変わるということを初めから許すような制度が必要になってくる。それも非常に重要な点であると思います。
 それからもう一つ,やはり前回のこの分科会でも問題になりましたが,人口構造が変わっていって,私は40歳から50歳ぐらいでかなり大きな職業転換をするマーケットがこれからできてくるのではないかと思うんですが,そういうところの需要にも対応するということが必要になってくるのではないかと思います。そうしますと,今一番重要なのは,特定の社会ニードを長期的に確定して,それに制度を対応させるのではなくて,個々の制度の中で新しいニードを見つけて,それに対応するような柔軟性を作っていくということが,基本的な設計の思想ではないかと思います。研究の面でも教育の面でもそうだと思います。研究などは典型的に,例えばアメリカの大学の研究センターというのは非常に短い期間で作ったりしていますので,そういう形で対応するとか,教育についても,教育プログラムというのはそういうものだと思います。一定のニードができたら,それを作って対応するということです。
 大学の組織自体は,やはりある程度学術的な基盤がなければいけないし,組織的な基盤がなければいけないので,一定のロバストの思想は持っていなければいけない。そういったものの中で,柔軟に流動的なニードに対応していくという制度をどうやって作るのかというのが,私はこれからの大学,高等教育制度の全体の課題であって,それは大学であろうがどこであろうが,みんな同じニードがあるので,そこの点で,どういう種別でなければそれはできないということは,私は言えないのではないかと思います。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。答申が出た後に,今の先生の御意見のどういう部分がこれに盛り込めるか,ということを考えていかないといけないのだと思います。石田委員,どうぞ。
【石田委員】  この実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関というのを伺ったときに,非常に危惧したのは,先ほど永田分科会長の方からもございましたけれども,いわゆる実践的な教育という言葉の持つ不確かさです。ある意味で,どこの学校種であっても,あるいは分野であっても,質や量の違いはありますけれども,実際に実践的な職業を意識したスキル的なものは現在のどこでもある程度やっているんだと思います。しかし,実践的というのが非常に狭い意味に取られて,近視眼的,あるいは表面的に捉えられてしまうと,簡単なノウハウ,あるいはスキル,テクニックといった面が強調されてしまいかねないということを非常に危惧しています。なぜかといいますと,先ほど何度も出ていますように,10年,20年たったときに,そういったすぐ使えるものは,すぐに使えなくなってしまうという観点があるからです。
 では,どうしたらいいか。そうはならないように,この教育機関は作っていかなければいけないことが,先ほどの答申等にも出ているわけですけれども,そのためにどうしていったらいいんだろうか。当然毎回の議論の中にも出ていますように,人文社会を含めた幅広な,あるいは俯瞰(ふかん)的,あるいは複眼的な視野を持つということが重要であることは言うまでもありません。更に加えて,前回,有信委員の方からもありましたけれども,単純なノウハウやテクニックを教えざるを得ない部分もあるが,しかし,単にそれだけではなくて,その裏にあるロジックや理論的な部分をそれぞれのレベルなりに理解させておくということが重要です。例えば,エクセルの統計計算できるけれども,統計の意味するところも知らないなんていうことであっては,新たな次の段階に進むことはできません。ノウハウ,スキルを重視しすぎる場合の危険性だと思います。
 さらに,もう一つ,先ほど研究という話が出たんですけれども,やはり研究のための研究である必要はないと思っています。ただ,時代によっていろいろ変化していく中で,新たな課題,あるいは実践的な課題に対応する力を身に付ける,その素養として私は研究的な営みというのが非常に重要だと思っています。例えばPBLなどと言われるような課題解決型学習なども含め,どういうレベルであっても新しい知を創出する力を養う教育と,研究的な素養はやはり次の新しいチャレンジをする上で必要なのではないかと思っています。
 さらに,もう一つは,学び直しというよりも,いわゆるJABEE等々の技術者教育の中でもありましたけれども,継続的教育ということをある程度常識とする,あるいはシステマティックに行うようなシステムを付随させておいた方が良いのではないかということです。長くなりますので,そこの部分は割愛させていただきます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。大島委員,お願いいたします。
【大島委員】  ありがとうございます。この実践的な職業教育は,多分スピード感をどうやって出すかということが一番大事なところだと思います。今,社会が非常な勢いで変化していますので,ニーズというものが急速に変わっている。一方で,教育というのは,時間をかけて人材の教育をしていかなければならないために時間がかかる。そこに評価も入ってくるということなので,それをどう両立するかということだと思います。
 その中で,ここで求められている基礎能力というのは,多分二つ観点があって,一つ目は,いわゆる学術的な基礎的な能力。例えば,医療であれば,医療で求められている基礎能力,それにプラスして,社会でのニーズに対応する新しい能力。一方,もう一つは,ニーズは社会の変化とともに変わっていきますので,基礎としての普遍的な研究に対して,問題解決能力が必要になります。その2点目をどうしていくかということだと思ういます。そのためには,やはり実践的なプロジェクト型の学習というのは,欠かせないと思います。それらを実践するためには,必要としている分野,例えば,医療であったりとか,産業との連携を欠かせないということです。
 一方で,連携しながらそれを教える方,特に企業の方が教員となる場合には,今のシステムですとなかなか難しいです。例えばクロスアポイントメントなどを企業の方がきちんと参加できる形にするような制度設計ということも,改めてしていただく必要があります。実務家教員が必要といっている中で,実際の実務家教員という方を制度的に受け入れられないということが出てくると思います。そのような制度設計も含めて,是非いわゆる産業界との連携を進めていただければと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。次,北山副分科会長,どうぞ。
【北山副分科会長】  2番目の論点に関して申し上げたいと思います。まず,各高等教育機関の機能強化の方向性という論点に関してですが,今,私の手元に平成17年,約10年前の「我が国の高等教育の将来像(答申)」の要約版があります。この資料には,将来像の主な内容として5本の柱があり,例えば,高等教育の多様な機能と個性・特色の明確化や,高等教育の質の保証,高等教育機関の在り方といった点は,今の議論にも非常に近い論点かと思います。ここには,先ほど小林委員もおっしゃったように,それぞれの項目に対してかなり細かい戦略が盛り込まれています。したがって,先ほど御説明のあった参考資料の中に,大学改革実行プランなど17年答申の後に策定されたいろいろな方針を時系列順に並べたものがありましたが,それらを項目別に整理し直して,何がどこまでできているのかをチェックすることも必要だと思います。つまり,答申を出して戦略を作っただけでなく,それを実行できているのかという点について,もしかすると作業チームでは整理しておられるかもしれませんが,そういったものがあれば,お見せいただきたいと思います。
 もう一点,私が部会長で永田分科会長にも委員に入っていただいている部会で,今,教育振興基本計画についての検討を行っています。これは来年末頃に最終的な答申を出す予定で,それに向けて今後,まず素案を作る作業に入ることになりますが,その中では,当然,高等教育に関する検討も行われます。それが今ここで議論している内容と整合性を持つ必要がありますので,そうした点も踏まえてスケジュールを組んでおられるかという点について,教えていただきたいと思います。以上です。
【永田分科会長】  最後の部分だけ,事務局からどうぞ。
【堀野高等教育政策室長】  御指摘のとおり,教育振興基本計画の議論とも足並みをそろえていかなければいけませんので,今スタートしているものについて,来年年明けて2月に新たな任期となる第9期中央教育審議会の委員の先生が入って,そこで更に本格的にこの議論も進めていくわけですけれども,大きな柱の部分は教育振興基本計画ができるまでのところでしっかり考え方を整理して,更に詳細な制度化に関わるようなことについては,教育振興基本計画のできた後にもわたって続くものも残るだろうと思いますので,その教育振興基本計画の議論と足並みをそろえながら進めていきたいと思っております。
【永田分科会長】  ありがとうございます。では,坂東委員,天野委員,麻生委員の順で,述べていただきたいと思います。
【坂東委員】  ありがとうございます。実務的な職業能力を身に付ける教育の場として,新しい教育機関というのは大変意義があると思いますが,例えば職業訓練校というものがございました。そして,その職業訓練校は,製造業中心の技能を教える分野では充実していたと思うんですけれども,専門学校に完全に負けました。専門学校の方が学生たちの需要に応えることができたし,社会の需要に応えることができたので,どんどん成長したのです。どこに一番大きな差があったかというと,教育訓練校の場合は,教える方たちが地方公務員で,教務転換ができなかった。そのスキルに対するニーズがなくなったとしても,教える人がいる限り,その科目が存続するというふうなことをやっていて,全然社会の需要に応えてなかったわけですね。
 一方,専門学校は,今でもどんどんどんどん新しい科目が増えておりまして,この前もびっくりしたんですが,葬祭マネージャーというお葬式の司会をする人を教育するようなコースができるというぐらいに,新しいコースを変わり目早くして作っています。それが強みです。でも,それがもし専門職業大学になった場合は,そうした専門学校の強みというのは,かなり規制されることになってしまうんだろうと思います。そこの部分をどの程度社会の需要に合わせて,どんどん新しいニーズに応えていくかというところのフレキシビリティを確保する配慮というのがとても大事なのではないかと思います。
 そして今,これから御存じのように人生100年時代で,就職した仕事に40年,50年と就き続けるということはありません。途中でキャリアチェンジが絶対に必要になります。そういったときに,新たなニーズに応えるような教育訓練が受けられるような場として,むしろそこを卒業したら30年も40年ももつような教育訓練ではなく,むしろ5年,10年でいいのだと割り切って,そのかわりにまたそのニーズがなくなったら関連分野でまた学び直せばいいんだといったような新しい発想も必要なのではないかと思います。新しい教育機関については,今後の新しい分野については,どうしても人生の初めにしっかりとした教育をといったお考えにならない発想が必要かなということで,私の意見です。
【永田分科会長】  天野委員,どうぞ。
【天野委員】  実践的な職業教育云々(うんぬん),位置付けと書いてあるんですけれども,ニーズとどう結び付いて,このキーワードが出てきたのかということがよく分からないんですね。平成17年に我が国の高等教育の将来像という答申が出て,その後10年間,将来像に向けていろいろ対策をなさったんだと思うんですが,現状で,先ほど北山副分科会長もおっしゃっていましたけれども,どうなったのかということが,棒グラフばかり見て,こうなりましたというだけではよく分からないので,そこのところを是非整理していただきたいと思います。
 それで,現在,これから先を見たときには,社会の在り方としては,5年規模では第5期科学技術基本計画の中にある程度出ていますし,ノーベル化学賞を受賞された方が,将来ノーベル化学賞を取れるかどうか心配だというような御意見もあります。これからの社会のニーズに対してもしっかり,あるところは出されているはずなので,それに対してどういうふうにやっていくかということを考えていくべきじゃないでしょうか。そのときの一つの視点としては,先ほど分科会長もおっしゃったように,現状,学生が,若い人がどういう状況に置かれていて,それが今後の社会にどう影響していくのかという視点で整備されてもいいと思います。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。麻生委員,どうぞ。
【麻生委員】  それでは,簡潔に申し上げます。新たな高等教育機関を作るに当たって重要なことは,分科会長もおっしゃいました,先ほど学生から見た面と設置者,それから社会に出るという観点から考えますと,このような中央教育審議会の答申が出た後,関係法令ができますけれども,一番重要な点は,これ自身を生かして制度化するに当たって,今後でき上がる設置基準をきちんと作っていくことです。そこに養成する人材がちゃんと反映でき,最終的に大学設置・学校法人審議会等でそれをきちんとこの目的に沿ってやっていくということが,今回の新たな高等教育機関を作るに当たって,さらにこの高等教育全体の中で生きていく,生かされていくというところにつながると思います。設置基準が重要だと思いますので,よろしくお願い申し上げます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。間違いなく設置基準のところで,深い議論をしていただきます。
 美馬委員で最後にします。どうぞ。
【美馬委員】  この実践的な職業教育を行うということについては,私は教育の内容と方法及び大学入学者の受入れ制度について考える必要があると思っています。すぐにあるニーズに対応するだけではなくて,やはりそこには,先を見通すということが実務家教員であれ,今いる教員であれ,大学教員には必要です。特に学生たちには,新しいことを学ぶ力という,どんどん変わっていくのに対応できるような学ぶ力を付ける。それには基礎力とか汎用力であるという教育の内容についてと,受入れ制度については,高等学校を卒業して1回就職して経験してから大学にまた戻ってくるパスということ。それから,先ほどもありました,30代から50代のキャッチアップをするような,そういった人たちも必要だということで,多様な年齢,あるいは背景を持つ学生を受け入れていく制度をどうするのかというのが重要だと思います。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございました。美馬委員に最後,答申の内容の一番大切なところを述べていただいたような気がします。
 いずれにしても,これで専門学校がなくなるわけではなくて,専門学校は専門学校として,より花開いていただいて,それから大学は大学として,一番いい設置の内容になるように議論を進めたいというふうに思っております。
 それでは,この意見は更に作業部会等にお伝えして,議論をしていただくということにさせていただきます。次にこの3番目が一番重要なんですが,今後の教育研究の展開方策,高等教育機関の規模などについて,ということです。今まである意味では,表立った議論が行われてこなかった問題を挙げていただきたいわけです。例えば,学部・学科の枠を超えた教育を行う学位プログラムの検討,これは大学設置・学校法人審査会を超えている問題です。
 あるいは,最新の専門知識や技術を学ぶことができるような流動性の高い,つまり一つの機関ではできないようなものを,どうやって多機関の中で協働してやるかというようなこと。あるいは,人口減少社会において,今の状態の設置基準で本当にいいのか,また,方策があるとすれば,その方策を現在の施策を極端に抑制しないで推奨するようなことができないか,といったような問題も考える必要があります。それは先ほど既に先生方にお示しした幾つかのデータからも読み取れていて,明らかに分野が変わってきていたり,設置者によって得意とする部分が違っていたりするという現状は既にあるわけです。したがって,今後これがどういう方向に向かっていくのかという中で,こういう点は是非とも検討すべきである,ということについての御意見をいただければ一番有り難いということです。
 それでは,片峰委員,どうぞ。
【片峰委員】  将来の高等教育の形を考えるときに,将来の産業構造,あるいは将来の職種別のニーズといったものは非常に大きな要素だと確かに思います。しかしながら,それだけではなくて,日本の社会構造自体をどう変えていくのか,そういったビジョンがあって初めて将来の高等教育が語れるし,高等教育のセクターといったことを提言していくということも非常に重要なんだろうと思うんです。僕は今厚生労働省で,医師の適正数,あるいは適正配置の検討会のまとめ役をやらせていただいているので,ちょっと医師養成のことに関して申し上げると,医師のニーズはものすごくたくさんあります。地域には医師が足らないし,基礎医学の研究者はいないし,海外に行って国際貢献等々やる医師もいないんですよね。だからといってどんどん増やすか。これまでもずっと増やしてきて,医学教育もそれなりの成果は上がっているんだろうと思うんですけど,根本的な解決は実はできていないんです,増やしても地域に医者は残らない等々です。
 結局何が起こるかというと,18歳人口がもうすぐ100万人を切ります。今どんどん増やしまして,医師は1年に約1万人近く出てくることになります。そうすると,100人に1人がお医者さん。職業のバランス,構成上がこれでいいのか。しかもかなり優秀な部分が全部そこに行くわけです。それと当然のことですが,今の日本の財政構造を考えますと,老齢化が進むわけですから,医療費とか社会保障費がどんどんどんどん上がっていく。それが教育も圧迫しているわけですけれども。お医者さんを増やすと,あるいは医療従事者を増やすと,それがもっと増えるんですよ。このままいくとという話なんですけど。要は,そういったことも含めて,社会のシステム自体を変えていかないと,恐らく将来の日本は駄目なんですよね。
 お医者さんのことで言いますと,やはり今,お医者さんになったら,自分の好きなところで,自分の診療科で全く自由に若い人たちはやるわけですよ。それだけでは問題の解決にならない。だから,偏在を解決するためには,年齢層のシステムを入れなきゃいけないと僕は思っているんですけれども,そういったことも含めまして,社会のシステムを変えること,あるいは将来のビジョンを書くことと,高等教育改革が連動しなければいけないんだろうと思うんです。そういう点で,ニーズだけではなくて,積極的にそういったことを発信するみたいなことが必要だろうと思います。
【永田分科会長】  片峰委員,ありがとうございます。先ほど中根委員が1のところで述べられたことと大きな意味では関係していて,その下で戦略的に考えなければいけない,という御提言です。
 補足説明いたしますと,資料2-1のところには,これまで出された意見として四つほど書いてあります。先ほど既にほとんど事務方から関連の資料もあったので説明を省略しましたが,ここにあるのは,これからしばらくの間,高等教育で解決すべき問題です。それから,その問題を解決するとしても,中根委員や片峰委員がおっしゃった,その上にある,更にそれがもたらすものもあるわけなので,そういう大きな視点で考えなければならない,ということなのだと思います。
 黒田委員,どうぞ。
【黒田委員】  ありがとうございます。私も2点言いたいと思いますが,まず高等教育機関の在り方についてです。新しく職業大学ができるということですけれども,これと既存の大学との関係をどうするかということが非常に重要なことであります。今の学校教育法では,大学を学部とか大学院という機関でしか規定していないのですね。その中で教育が行われている,教育プログラムについては何も書かれていません。ですから,これを早く直して,学位プログラムに基づく教育を行うということを変えていかないと,なかなか改革が進まないと思うのです。これが学位基準の在り方にも影響してくると思います。
 学位プログラムになると,バチェラー,マスター,ドクターとずっと連動していかなきゃならないんですね。そういう中での学位プログラムというものを作り上げていかなければならない。それが第1点です。今までいろいろなことで学位プログラムを作りなさい。三つの方針を指定して,今年中に発表しますということになっているわけですけれども,これをやるためには,やはり教育の在り方,そこでどういう教育がなされているかということが説明できないと駄目だと思うのです。そこをしっかりやるためには,やはり学校教育法の規定を変える。設置基準の内容を変えていくということが必要だと思います。
 それから2点目は,実践的な職業教育の場合ですと,これはずっと将来に向かっての産業界の構造が変わっても転換できる人材を育てるというのも非常に重要なんですけれども,一方では目先の働き手の高度な専門人材の養成をいかに位置付けるかですね。これは日本経済団体連合会というよりも商工会議所が望んでいることなのですが,中小企業で働く人材が不足しているということから要求が非常に強かったんですけれども,そういう意味この人材養成には,産業界との連携が重要です。この大学のプログラムを作るときに,産業界との連携を図るようよく言われるのですが,産業界というよりもその業種,職種というところとの連携,そういう団体との連携によってプログラムを作るということが必要になりますし,重要だと思っています。
 そういう意味で,専門学校との差別化。専門学校というのは,先ほど話がありましたように,自由に何でもできるようになっているのです。したがいまして,一企業の従業員を養成するという,そういうところまで専門学校は入ってきているのですね。それはそれとして地域に根ざした専門学校としての特徴を出しています。一方,新しく制度化される大学と名の付く職業大学というのは,やはり一般の大学と同じ学位を出すということでありますから,その辺の規定は相当厳しく作らなければならないだろうと思うのです。そういう中で,将来の大学というものがどう差別化されていくかということを考えながら,現行の規定を抜本改正しないのであれば,既存のシステムの中でこれをどういうふうに維持すべきかということ,本当に早急に考えていかないと,なかなかこの構築というのは難しいなと思いますので,ちょっと申し上げました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。黒田委員の御意見の最初の部分は,実は大変画期的な御意見です。また改めて時間を割いて,皆さんと共有したいのですが,設置基準とは,教育の内容だけではなくて,人の配置その他を全部含めている,ということです。佐藤委員,どうぞ。
【佐藤委員】  特に実践的な職業教育を行う高等教育機関というのは,公立大学が若干入るかもしれませんが,ほとんど私立大学でできると認識しています。実は今日の資料の中に,2015年の一大学当たりの在籍者数は,日本は約3,300人となっています。2005年よりも700人減ったということですけれども,かなり小規模な学校がたくさんまた増えていくということだろうと思います。そうすると,例えば1学年200人,800人のこういう学校ができたとする。恐らく帰属収入全部考えても10億円ぐらい,今の授業料の推移からすると考えなければならないということで,それで本当にしっかりとした教育が準備できるのかどうか。教員の人件費率その他考えた場合に相当厳しい状況があると思います。
 それに対して,やはり国としてきちんとした補助金であったり,あるいは何かほかできちんと手当をしないと,始まったもののやはり運営が厳しいという話が続いてしまうかもしれない。これはどこかで一度議論して良いのかと思います。それは今の実践的な職業教育を行うための新たな高等教育機関だけではなく,日本の私立大学全体を見て,やはり規模の小さい大学がたくさんあるという現実を受けて,将来にわたってどのような方針を作るのかということを,国として考えた方が良いのだろうと思います。
 それからもう1点は,今後の在り方の中で,教員,学生の流動性の向上ということが出てきたのですけれども,地方創生,地方活性化の原則からいっても,教員,それから学生の流動化は重要です。今は秋田の国際教養大学にいらっしゃる鈴木典比古委員も渡り鳥ということをおっしゃっています。学生については1か月地方の大学に行かせるなど,そういう流動性が何か可能になるような方法を考えたら良いのではないかということです。
【永田分科会長】  ありがとうございます。本日御発言いただいていない委員の先生方から先に御発言いただきます。それでは,日比谷委員,どうぞ。
【日比谷委員】  ありがとうございます。私,黒田委員の革命に同調する意見を述べようと思っているところでございますが,今の設置基準を根本的に見直す必要を本当に痛感しています。そんなに大きいとは言えない学科に入学定員を付けてというような今の考え方では,全く学位プログラムはできないと。そうなると,学位プログラムで大学を動かしていったときに,何を基準にして質を担保するかということを,次に真剣に議論すべきことだと思います。
 それから,入ってくる人の多様化にもこれは関連すると思うんですが,例えば社会人というと,高等学校を卒業してしばらく働いてから学部に入るというような方々。それから,学士課程を出て,一度仕事をして,そういう方々の場合は社会人として入る学位プログラムは修士であり,博士であり,専門職大学院であると思いますが,どのようなところにどのぐらい社会人が入るということについて,人口の構成とか産業構造の変化に即して,ある程度のイメージを持った方がいいと思います。留学生も同様で,学部に行く留学生なのか,修士,博士に行くのかということで,30万人計画が出ていますが,それをどのぐらいのイメージで,どこに配置するかということも非常に重要だと思います。以上です。
【永田分科会長】  福田委員,どうぞ。
【福田委員】  今日初めて大学分科会に出席させていただきました。私は,専門学校と大学の両方をやっております。両方のいいところ,悪いところをある程度は分かっているつもりでございます。その中で,設置基準の問題になろうかと思いますけれども,研究と教育をもう少しどちらかに傾斜をさせた方がいいのではないかと考えてございます。
 なぜかといいますと,先ほど坂東委員がおっしゃったように,優秀な研究者が優秀な教育者であるかどうかということは甚だ疑問でございます。例えば,学部の学生に教える場合と,修士,また博士課程の学生に教える場合では,研究者も全く教え方が違うということは,皆様お分かりかと思います。特に大学を設置されている方はお分かりだと思います。そういう意味では,先ほど現状の設置基準の変更というお話も出ておりましたけれども,やはり教育と研究のバランスをもう少し明確に変えていって,国立大学,又は公立大学が担うところは,どちらがどうなのかというのは決めなくても,先ほど話にもあった受益者が勝手に選択をしてくれると思います。用意をするだけでいいのではないか。留学生にしてもしかりです。研究までやりたい留学生もいれば,早く職能を身に付けたい留学生もいるわけでして,後者が多いから専門学校の留学生がどんどん今増えているのが実情だと思います。
 ですので,ある程度の用意を国としてやったら,判断は受益者がしていくのではないか。そこだけを明確にすることが大事かなと考えていますので,意見として申し上げさせていただきました。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。では,金子委員,つづいて小林委員,どうぞ。
【金子委員】  私が申し上げたいのは,3番が本来考えるべき,本来の問題だと思います。そういう意味で,問題は,新しくできる機関も,広い意味での大学制度の中の一部ですから,3番にどのような方向が出るかによって,議論も相当変わるはずなんです。例えば,教育プログラムみたいなものの概念ができなければ,2番の実践的な職業教育機関についても実際の設計が非常に難しくなると思います。その論理的な問題をどう考えるかは非常に重要なところだと思います。
【小林委員】  観点として,教育の機会の均等というのを入れていただきたいと思います。地域については地域背景が出ていますけれども,性別とか所得階層といった点が抜けておりますし,進学することができるか,ということだけではなくて,どのような学校種に行けるかということが重要ですので,そのあたりの観点が必要かと思います。
【永田分科会長】  それでは,中根委員,どうぞ。
【中根委員】  ありがとうございます。一つは,全国民学士構想。全員大学に入れたらどうかということであります。大学に進学する日本人は10人に1人から,今2人に1人になりました。ということは,大学に行っている人と行っていない人と2種類に分かれてしまった。これを私は,ディグリーデバイドと言います。大学に行けない国民がかわいそうだという感情もありましたので,是非やっていきたいと思います。オーストラリアは大学進学率98%です。やればできると思います。
 二つ目は,大学院のリミッション。大学院を教育機関というニュアンスから研究ハンズオン機関へ是非リミッションしていただいて,大学卒業生の3人に1人をドクターに送り込んでほしいという提案です。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは,時間も来ましたので,ここで締めさせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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-- 登録:平成29年09月 --