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大学分科会(第131回) 議事録

1.日時

平成28年11月30日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第二講堂

3.議題

  1. 今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する作業チームについて
  2. 社会人の学び直しについて
  3. その他

4.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(副分科会長)河田悌一副分科会長
(委員)志賀俊之,中根滋,日比谷潤子の各委員
(臨時委員)麻生隆史,安部恵美子,天野玲子,有信睦弘,石田朋靖,岡本信明,片峰茂,勝悦子,金子元久,黒田壽二,小畑秀文,小林雅之,佐藤東洋士,佐野慶子,鈴木典比古,千葉茂,前野一夫,美馬のゆりの各臨時委員

文部科学省

(事務局)小松文部科学審議官,村田私学部長,中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官,神山大臣官房審議官(生涯学習政策局担当),義本大臣官房審議官(高等教育局担当),永山文部科学戦略官,里見生涯学習政策局政策課長,塩見高等教育企画課長,浅野専門教育課長,氷見谷国立大学法人支援課長,堀野高等教育政策室長,塩原主任大学改革官 他

5.議事録

(1)財政制度等審議会(平成28年11月17日開催)平成29年度予算の編成等に関する建議 (国立大学法人運営費交付金関係)についての文部科学省の見解について,資料1に基づき事務局から説明があり,その後,意見交換が行われた。

【永田分科会長】  それでは,第131回大学分科会を始めさせていただきます。
 議題は議事次第を見ていただければ分かりますように,幾つかのものがございます。最初に,事務局から11月4日に開催されました財政制度等審議会の財政制度分科会における国立大学運営費交付金の取扱い方について説明いただいて,皆さんと意見交換をしたいと考えております。
 その後,議題(1)「今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する作業チーム」の現時点の審議状況について御紹介して,またこれも意見交換をしたいと考えております。
 その後,「働き方改革実現会議」,これは安倍総理大臣が議長ですけれども,11月16日に松野文部科学大臣が学び直しを含めて発言をしているところです。事務局からそのときの資料等を御紹介いただいて,これまた意見交換に付したいと考えております。
 最後に,学位に付与する専攻分野の名称について,問題意識をお持ちの先生方,また,総会,大学,分科会などいろいろなところで時折出てくるわけですけれども,学位名について,皆さんで現状の共通認識を図りたいということであります。
 それでは,事務局から配付資料の説明をお願いいたします。
【堀野高等教育政策室長】  配付資料につきましては,議事次第のとおりでございます。これに加えまして,京都府知事の山田委員から全国知事会の決議について配付してほしいということでお配りをしております。さらに,資料の一番下に職業実践力育成プログラムについてのチラシをお配りしております。
 不足等ございましたら,事務局までお知らせください。
【永田分科会長】  それでは,先ほど申し上げましたように,議題に入る前に,11月4日の財政制度等審議会財政制度分科会の内容について,事務局から説明をいたします。
【永見谷国立大学法人支援課長】  失礼いたします。国立大学法人支援課長の氷見谷でございます。財政制度等審議会につきましては,11月17日に平成29年度予算の編成等に係る件ということで議論が行われまして,そのときに出された資料につきまして,資料1にまとめさせていただいております。そちらを御覧いただけますでしょうか。
 資料1を1枚めくっていただきまして,2ページ目から,左側に財政制度等審議会の資料における記載,右側にこれに対する文部科学省の見解ということで,並べて対比をさせていただいているところでございます。
 財政制度等審議会側の資料の2ページの左側にありますように,国立大学運営費交付金につきまして,これまで1,470億円,法人化以降減となってきたところでございます。これについて財政制度等審議会の資料では附属病院の赤字解消と書いてございますが,このことや退職手当の減ということが大宗を占めていて,これを除くと1,470億円と言っているけれども,382億円ぐらいしか減になってないのではないかということで資料には記載がございます。
 ただ,これにつきましては,文部科学省としましては,2ページの右側にございますように,退職者の減少による自然減,また附属病院の経営努力による支出減を減額要因として挙げていらっしゃるところでありますけれども,この間,御案内のとおり,例えば消費税の改定でございますとか,法定福利費が増えていったという,義務的に支出される増額要因というものを全く考慮していないで,単に減額の要因だけを挙げていらっしゃるところでございまして,そういったものを計算させていただきますと,実質1,000億円以上の減額になるであろうと考えているところでございます。
 また,2ページの一番下に書いてございますけれども,例えばこの間上がってまいりました光熱水料の話でございますとか,電子ジャーナルの費用といった運営経費の増も,また交付金の中で各国立大学に負担をしていただいているところでございまして,財務省の主張は,そういったところを全く入れてないのではないかと考えているところでございます。
 また,もう一つ財務省の主張としましては,補助金等を加えた公的支出は1,470億円増えているというグラフを3ページの左側に作っていらっしゃいまして,これを踏まえると,国立大学の教育研究活動を圧迫しているとの批判は当たらないと書かれております。これに対しては3ページの右側にございます,若干技術的な話ではございますけれども,財務省が使っている1兆4,865億円の数字は,前年度の繰越額が含まれる決算報告書の数値を使用されたものでございまして,実際に国が措置した予算額に書き直しますと,補助金等を踏まえても実際は500億円減少というところでございます。そういった事実の認識において,私どもと財政制度等審議会の資料とでは隔たりがあると思っているところでございます。
 4ページにも財政制度等審議会における教育研究費の増加についての主張がありますけれども,これについても,例えば増加の要因について,教育研究費の増と言えないものが実際は含まれているのではないかというところでございまして,そういった中で,5ページにございますように,文部科学省としましては,運営費交付金の減につきましては,運営費交付金の減少によって,特に常勤教職員人件費を圧迫していて,教職員の雇用の不安定化が非常に懸念されるのではないかということで,そういった中で個人研究費の減少という御指摘もございます。教育研究の基盤の脆弱(ぜいじゃく)化というところが懸念されていると考えているところでございます。
 そういった中で,教員の体制確保について,運営費交付金は基盤的な資金でございますので,こういったところをしっかりと私どもとしては確保する中で,6ページにございますように,特に若手の研究者が不安定なポストが増加しているという状況に対しまして,これを私どもとしては何とかしていきたいと考えているところでございまして,運営費交付金をはじめとする基盤的経費を確保する中において,こういった若手教員の方々も安心してポストに就けるように,国立大学の教育環境をしっかりと確保してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは,御意見,御質問も含めてお受けしたいと思います。国立大学の運営費交付金の話になっておりますけれども,この総額というのは当然ながら私学助成等にも同じ考え方で及ぶわけでありまして,日本の高等教育の予算の議論だというふうに考えていただいて結構だと思います。
 有信委員どうぞ。
【有信委員】  ありがとうございます。この手の議論は延々とありますよね。つまり財務当局の試算と文部科学省の試算の違いを,具体的,技術的な観点で明確にしてきてという言い方があるんだけれども,これだといつまでたっても多分水掛け論なんですよね。
 それで,こちらとしてももう少し具体的に戦略を持たないと,例えば実際に運営費交付金というのは,学部の学生の人数に応じた格好で決められている一方で,現在,より教育研究で力を入れなければいけないのはむしろ大学院の部分で,そこで議論がすれ違うところがあるわけです。それから,学部の学生に関しては,年間60万人の入学生のうち,国立大学に入学する人たちはそのうちの10万人ちょっとぐらいの感じなので,全体を踏まえて学部の学生の確保の規模の部分,これも実際にはOECDでいうと,日本の大学への進学率は極めて低いというのは,大学側の体制が社会人を十分受け入れる格好になっていないという,様々な原因があるので,これをきちんと整理して,もう少し戦略的に攻めないと,数字上の戦争だけいつまでやっていても結構苦しいかなという気がしています。
【永田分科会長】  そのほかいかがでしょうか。片峰委員,どうぞ。
【片峰委員】  新聞記事での報道等を見ても,若手教員のポストがなくなっているというところが問題なんです。財政制度等審議会で,大学というのは人事マネジメントが全然できていないのではないかという御意見が出たということだったんですけれども,大学としては簡単には首は切れないし,その中で人件費を削減しようとしていくと,どうしてもしわ寄せは若手の方にいってしまうというのが現状だと思うんです。財政制度等審議会で大学の人事マネジメントに問題ありというのは,どういう観点で言われたのかというのが理解できなかったのですが,そこら辺が分かれば教えていただけますか。
【永田分科会長】  永見谷課長,いかがでしょうか。
【永見谷国立大学法人支援課長】  人事マネジメントに課題があるということ,実はこの後,実際にまとめられた建議の中においては,人事マネジメントについては具体的には書かれておりませんで,最終的な建議においては,国立大学が運営費交付金以外の収入を多様化して,かつ増幅させることが不可欠であるということでございますとか,取組構想の進捗状況の確認についての記載があるところでございます。
 ただ,実際の御議論としましては,先日の新聞報道があった後に,人事マネジメントがどうなっているのかという御議論がいろいろなところであるというのは,私どもも聞いているところでございます。特に先日行われました行政事業レベルの関係においては,人事マネジメントを含めて,しっかりとそれをやっていく必要があるのではないかという御指摘は頂いているところでございます。
【永田分科会長】  今ここでちょうど財政制度等審議会の話をしていますが,実は前振りになっておりまして,今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する議論におおむねつながっていくわけです。来年の予算の話でありますけれども,今,有信委員が言われたようにもっと大きな問題で,毎年毎年の一断面が次年度予算に見えているわけでありまして,その議論が必要だということです。
 そのほかいかがでしょうか。河田副分科会長。
【河田副分科会長】  大隅博士がノーベル賞を受賞されて,基礎研究の重要性ということを盛んに言っておられるわけですから,ここの5ページに矢印で,「国立大学の教育研究基盤の脆弱(ぜいじゃく)化が懸念される」とありますが,そういう状況に対してきちんと戦略と戦術を立てて,それを外圧として対策を講じていかないといけないと考えます。有信委員と私は一緒に大学院部会にも所属しておりますが,博士課程に学生がどんどん行かなくなっているという状況を踏まえると,20年後に恐らく今のようにノーベル賞を日本で取れるとは思えない状況が来ると思います。
 逆に,韓国や中国,台湾もそうですが,中国ではGDPの1.9ぐらい,台湾で1%から1.2%ぐらい資金を出しているわけですから,もう少し戦略的に,毎年毎年やり合いしているのではなくて,文部科学省としてはこういうことを主張しながら遠謀深慮なさっていただく方がいいのではないかと私は常々,感じております。
 これは正に私立大学にも反映するわけで,いつも国立大学の運営費交付金がこれだけ減ったから,それに合わせて私学助成費も減らすということになっていますから,頑張っていただかないといけないと思います。よろしくお願いします。
【永田分科会長】  いかがですか。文部科学大臣が皆さんの意見をもって財務省と闘っていただくという気持ちで,もちろん我々は聞いているわけです。
【永見谷国立大学法人支援課長】  御指摘ありがとうございます。私どもはこういった個別のところにつきましてもしっかり反論をしていくと同時に,今,有信委員,河田副分科会長に御指摘いただきましたように,戦略的にしっかりと,毎年毎年の話ではなくて,根本的にこれに取り組んでいかなければいけないと思っているところでございます。
 そういった中で,今年は今年として,しっかりと予算確保に努めてまいりたいと思っているところでございますし,また来年度以降についても,いろいろなところで基礎的な研究又は人件費を含めて,しっかりと確保していかなければいけないと御指摘も頂いております。
 また,正直に申し上げまして,国立大学をはじめ大学の今置かれている現状が,国民に向けてしっかりと御理解が届いていないのではないかというところもございます。
 そういった点につきましても,各大学の団体の皆様方,また大学とも連携しながらしっかりと情報の発信をさせていただいて,今,大学はどういう状況に置かれていて,また将来に向けて何をやっていかなければいけないのかということをしっかりと国民に発信することで,御理解いただきながら,国民全体として大学に対しての投資というものを考えていく。そういった醸成もしっかり作っていかなければいけないと考えておりますので,引き続き御指導いただければ大変有り難いと思っております。
【永田分科会長】  よろしいでしょうか。岡本委員,どうぞ。
【岡本委員】  教育立国ということを明確に打ち出さないと国民のところにも伝わらないのではないかと思います。留学生の問題も,人数を増やそうとしてもお金はそのままで,学校がお金を持つなら滞在費は持ちましょうとか,しかも前年度実績の何%しか上には進学させませんとか,表向きだけの数の増加に見せ掛けるような国の予算の使い方では難しいと思います。ですから,一番大事なことは,明確に日本は教育立国であって,ここで勝負していくんだというスローガンをもう一度掲げないと国民に伝わらないと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 次の議題が実によく関連している議題なので,そこでもまた御意見いただけると思います。財政制度等審議会関連の議論はここで一旦置かせていただきたいと思います。


(2)作業チームにおける今後の高等教育機関の役割・機能の強化に関する主な論点について,事務局から資料2に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【永田分科会長】  それでは,早速,本日の議事次第の1番目ですが,今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する作業チームについて,既に11月9日,22日に2回の会議が行われています。その状況について,主に出てきた意見を取りまとめた資料が出ております。事務局から説明を御願いします。
【堀野高等教育政策室長】  それでは,資料2を御覧ください。今後の各高等教育機関の役割・機能の強化についての作業チームにつきまして,本日,御列席の委員のうち,数名の先生方にメンバーになっていただいておりますが,その作業チームが本日までに2回開催されましたので,そこで出た意見を取りまとめたものでございます。
 初めに総論ですけれども,日本の高等教育体系,今後のことを総合的に考えていく必要がある。
 二つ目のぽつで,今後の変化にフレキシブルに対応できる高等教育の体系を考えるべきである。
 設置審査の際に,伝統的な考え方から,従来の枠組みの中で審査をするために,新しいプログラムについては審査がしにくい面があるといった御意見。
 社会に出た者が何度でも高等教育機関に戻って学ぶシステムが必要である。
 職業教育,学校種にかかわらずどう考えていくかという際に,実際の業務に触れる「場」をどう作っていくかという観点が大事である。
 設置基準によって,入り口で縛るのではなく,出口のコントロールという方向でやってきたけれども,現状は中途半端な状況なのではないか。
 ここから機関別にまとめておりますけれども,大学については,それぞれの大学が同じ方向を向く必要はなく,大学ごとに異なった機能の強化の方向を強めていくべきではないか。
 国立大学については,三つの重点支援の枠組みの中でということですけれども,例えば地域を選択した大学については,その地域だけの教育研究に特化すればよいと誤解されることもあるが,こうした地域を重視した研究の中でトップを目指すということは他の枠組みとも変わりはないという御意見。
 産業構造や職業構造の変化に対応して教育内容がどんどん変わっていけるように,学生の流動性も高めていく仕組みが必要である。
 他の大学との交流の中で,単位互換などの場面でも,国際通用性がしっかり確保されるように進めていくべきである。
 学位の国際通用性についてもしっかり検討していくことが必要である,という御意見でございます。
 2ページ目を御覧ください。大学院につきましては,修士については,学術の途中という性格の修士もあれば,プロフェッショナルスクールのような修士もある。「修士」の性格も改めて考える時期に来ているのではないか。
 研究科の枠を超えた学位プログラムによって教育を行っても,結局は設置認可を受けた研究科・専攻からしか学位が出せない。こういった仕組みを見直すべきではないか。
 それから,短期大学につきましては,4年制でなくても高等教育機関に進んで,職業知識や教養などを身に付けたいというニーズに応える機能をしっかり強化すべき。
 短期大学卒業生が更に学士の学位の授与に結び付くよう専攻科を強化していくことが必要である。
 地方の小規模な入学定員の短期大学でも,質を落とさずに特色ある技能を果たせるような仕組みにすべきである。
 短期大学士についても,国際的な学位の通用性は何かということを考えていく必要がある。
 小規模な短期大学においても,変化に応じた教育体制を整えることができるよう,複数の共同体で行う仕組みを考えていくことが必要である。
 高等専門学校につきましては,5年一貫教育のこれまでの実践を更にきちんとやっていくということに加えて,IoT・ロボティクス・情報セキュリティ等々の新たな分野の人材育成が必要である。
 地域との連携,地域を支える人材育成,こういった地域への貢献を引き続き重要な役割と考える。
 東南アジア諸国など,高等専門学校システムの海外展開を進めていくことが必要である。
 高等専門学校は教育内容は充実しているけれども,社会的な認知度がまだ低いので,高めていかなければならないという御意見。
 今後とも教育の充実を図りながら,一定の規模を維持していくことが必要である。
 次に,専修学校につきましては,他の高等教育機関だけで現在のニーズに合った実務教育を行っていくのはなかなか難しいので,専門学校が組み込まれることによって,今求められる人材育成がしっかりできるのではないか。既存の大学に全て頼るということではなくて,短期大学,高等専門学校,専門学校がそれぞれ役割分担をして人材育成の前期を担うといった方向で考えるべきではないか。
 専門学校の質保証の在り方というのはこれまで余り議論が多くなかったので,これを議論していくべきではないか。
 最後に,その他全般的な事項ですけれども,高等教育で専門的な知識を身に付けた者が高く処遇されるといったことなど,日本の労働慣行自体を変えていくことが必要ではないか。質の確保を図りつつ地域の高等教育ニーズに対応するため,高等教育機関間の連携の強化も必要ではないか。編入学を促進し,多様な能力を身に付けられるようにすべき。それから,全ての高等教育機関を含めた高等教育全体の規模を増やすのか,減らすのか,現状維持なのか,また地域配置についてどう考えていくのか議論をする必要がある。多様な学習という観点から,単位累積制度についても検討すべき。学位名称が多様化しており,卒業生が何を学んできたのか分からないような状態については,見直しが必要といった御意見がございます。
 その次のページは大きな意味での作業チームでの検討の論点ということで,この論点を踏まえながら議論がなされたということでございます。
 取りあえずこれまで過去2回の作業チームで出た御意見を整理いたしました。説明は以上でございます。
【永田分科会長】  2回の議論の主な意見がまとめてございます。
 それでは,今後こういう論点で議論していただければよいのではないか,といった観点で御意見を頂くのがいいかと思います。
 志賀委員どうぞ。
【志賀委員】  ありがとうございます。今,高等学校と大学の,高大接続という形での改革が,初等教育を含めて進んできたんですが,大学と社会という接続をもう少し接点を持ってやることが,いろいろな面での大学の改革にもつながっていくのかなと感じています。例えば博士を取る大学院に進む学生が減ってきている,あるいはせっかく博士を取っても民間企業の受入れが少ないという実態があるわけですけれども,いろいろな開発部門で博士の採用が少ないということで,もっと積極的に採れないのか。
 民間企業が積極的に博士課程,ポスドクの皆さんを採用すべきだという議論はここでも何度か出ていたので,その実態を聞いてきたんですけれども,こういうことを言うと,産業界のエゴと研究者側からはとられるかもしれませんが,企業あるいは産業界で求めているものとの間に何らかのギャップがあって,大学の先生の指導の下に極めて細かいところに研究が進んでいったがために,結果的に産業界で求めているところのギャップが余り分からないまま博士を取ってしまっているケースが多くて,なかなか受入れが難しい。それであったら,まだ修士のところで,少し将来の幅がとれるところで学生を取っておいた方がということで,日産の場合は研究開発部門はほとんど修士になっております。
 そう考えると,大学と社会,あるいは産業界,企業との間にもう少し交流があって,人材の流通があって,産業界で何を学んでいるのか。そういうことを一旦分かってから,もう1回研究に戻ってくる。大学は産業界のためだけに研究しているわけではないので,全員が全員というわけではないんですが,そういう交流がもっとあってもいいかと思います。
 高大接続という表現に倣えば,大学社会接続という機能をもっと流動化させた形が必要ではないか。日本一の大学を卒業して,いわゆる日本一の会社に入って,その実態が分からないが故に仕事ですごく悩んで,自分の命まで落としてしまうような事件を聞くにつけ,実際に大学で起こっていること,あるいは学んでいることと会社で行われていること,会社自体も働き方改革等々でもっとオープンにしていかなきゃいけないというのは重々分かっているんですが,もう少し接続がなければならない。すごく分離をしていて,会社に入って初めてこんなことをやっているんだとか,こういう知識が必要だったんだ,こういうスキルが必要だったんだと分かるのが現状です。
 昔はOJTで,会社に入って5年ぐらいで雑巾がけして,勉強すればいいという時代があったわけですが,今,企業側も即戦力を求めているので,そういう面でいうと,中央教育審議会の中の議論も大学という教育関係の方々の議論が非常に多い。企業だけではなくて,公務員の世界でもいろいろと起業する,自ら会社を立てているということもあるんですが,社会との接続のところにどうも問題があるような気がして仕方ありません。そのような気持ちを持っています。
  以上です。
【永田分科会長】  金子委員,どうぞ。
【金子委員】  今のお話に関連すると思いますが,私も役割分担の委員会に出ておりますけれども,役割分担という,その言葉どおりに取ってしまいますと,一定の役割に応じて,例えば学校種を変えるとか,あるいは大学はどこまでやって,会社はどこまでやるという分担をどこで引くのかという議論に聞こえてしまうわけでありますけれども,実は現在求められているのはそうではないということが,かなり議論になっているところです。
 一つはその役割ですけれども,例えば大学が職業教育をしてはいけない理由は全くないわけで,実際,そういう機能も拡大しています。同時に,大学ないし,ほかの学校と企業との間に完全に分担を引くということが,むしろ非常に難しくなっていますし,しかも機能的ではないということがだんだん分かってきていると思います。
 例えば大学院などについても,そういった観点から,今,リーディング大学院というプロジェクトがありますけれども,リーディング大学院でやっているのは大学院のプログラムでありますけれども,そこに企業の方にかなり多く参加していただいて,教育に参加していただくということをやっていて,これはもう4年目になります。学生のアンケート調査の結果などを見てみますと,かなりポジティブな結果が出ていまして,企業で何をやっているかということについて非常に興味が出てくるとか,勤務先についてもアカデミアだけではなくて,いろいろなところに視野が開けてきているといったことが非常に起こっていると思います。
 そういったところは日本の教育に非常に今まで足りなかったところで,ドイツはよく徒弟制をやっているということをよく強調されるんですが,むしろドイツに今非常に学ぶべきなのは,大学レベルで企業と大学との人事交流が非常に盛んであることです。しかも人事交流が一方向ではなくて,日本の専門職教育というと,実務経験のある人を大学に雇うということだけなんですけれども,そうではなくて,二,三年受けて,相互交流をやることが非常に重要ではないかと思います。
 資金に関しても,産学連携といいますと,日本で言えば,企業からお金をもらうことだけが問題なんですが,そうではなく,協力して,成果を上げているところにお金を出してもらったり,知恵を出してもらって分担するということが非常に重要なわけで,そういう意味で日本の大学は今,研究センターとか研究所等,かなりいろいろなところで多様な形で作っていますので,私はそれを更に発展させることが重要だと思います。
 ただ,その場合に,今,大学の組織とか人事の在り方自体にかなり制約があって,それが現実的な制約になっている。それから費用であるといったかなり具体的なところで問題が生じていることがある。分担の問題というと,原理原則で,どこからどこまでという線引きのように聞こえますが,そうではなくて,実態としてはむしろ流動化していて,相互交流が必要なところで何が具体的に必要かということに議論が進んでいくという方向に今あると思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。中根委員,どうぞ。
【中根委員】  中根です。最初に,議題(1)に関連するところで4パラグラフ,その後,二つパラグラフ,この関連で申し上げたいと思います。3分ぐらいで。
 議題(1)のケースですけれども,日本の経済環境,国際競争がより激しく厳しくなる。これは皆さん御存じだと思います。一方,国民人口が減少の一途だと。これも皆さん御存じだと思いますし,財務省もよく知っているはずです。よく考えなくちゃいけないのは資源のない我が国,それから国内経済のスケーラビリティーの深刻な問題を抱えてしまった我が国,この二つがあるんです。
 経済はもう伸びないんですね。資源もありません。そういうことをしっかり認識したら,国家として教育だけではないですよ,教育と研究。教育を学部教育というふうに置き換えていただいて,研究を大学院と置き換えていただくと,私の気持ちが通じるんですけれども,教育と研究への戦略的投資の量と質が国の将来を左右することに,議論の余地はないと思うんです。
 ですから,単純に予算がないのでカットするという考え方だと,国を滅ぼすということだと思います。しかも,これはリードタイムの長い課題なので,待ったなしで始めていかなくちゃいけない。これが最初のポイントです。
 次に,基本的方向性で申し上げたいのは,前回も申し上げたんですけれども,大学の出口を国内における学生の就職と設定されている日本の大学モデル,つまり学部オリエンテッドな大学モデルを変えていかなくちゃいけないのではないかと思います。
 先ほど来,組織とか人事の問題があるという御指摘が出ています。私もそのとおりだと思います。なぜか。それは学部というのは,大学であるという形で作られた組織と人事施策なんです。大学院が中心になったときには,また全然違ってくるわけです。
 ですから,出口に就職ではなくて,出口にイノベーションをどんどん輩出する大学院,大学による研究,これに軸に持つ大学モデルに誘導していくべきだというふうに思うわけです。このような新しい大学モデルを実現することを,今後の高等教育政策の基本的方向性に是非していただけないかと御提案をする次第でございます。
 これは大学と産業のすれ違いなんです。TLOってありましたけれども,冗談のような,大変申し訳ない表現で恐縮ですけれども,年間で日本で12億円とか20億円の話をしているんです。日本の産業が全部で使っているR&Dのお金は何十兆円ですよ。1%も大学の研究に投資してない。すれ違いなんです。これは何かというと,大学院というところに軸を変えて,研究,イノベーションというのをアウトプットに持ってくる。これでようやくコミュニケーションがうまくいくのではないかというところであります。
 企業は成果が期待できるところにはどんどん資源,人と金を投入しますので,イノベーションを輩出する大学は少し出てまいりましたけれども,そういう大学には企業からのR&Dの資金は自然に集まってくる。1%でも大きいですよね。50兆円の1%はすごいお金ですね。企業が積極的に大学に投資するようにしていけば,大学の運営は極端な授業料収入,あるいは運営費交付金に依存した経営モデルからの脱却も同時に図れていくのではないかと思うわけです。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 次,河田副分科会長,お願いします。
【河田副分科会長】  私立大学についてはこの4月から私立大学等の振興に関する検討会議という会議が行われています。そのときにも私は申したんですが,国立大学と私立大学と公立大学の機能なり役割をどう分担するのか,そういうグランドデザインがないのではないか。これを是非やりながら,私立大学の問題を取り上げてほしいと言ったんですが,それができなかったので,是非ここでは国公私の在り方についての本格的な議論をお願いしたいと思っています。
 今,国立大学の場合は1兆945億円の運営費交付金,私立大学の場合は3,200億円余りの交付金が出ています。それから,公立大学には総務省から地方交付税として自治体に公立大学積算分として出ている。そこからどういう形で,どれだけが公立大学89校に交付されているのか,そういうことも明らかにしながらすると,本日の財政制度等審議会の問題も,公立大学にはこれだけ出ているではないかというふうに反論ができると思うので,どういう形で税金が配分され使われているのかということを考えながら,国公私立大学の機能,役割という問題を是非ここで論じていただければ有り難いと思っております。
【永田分科会長】  美馬委員,どうぞ。
【美馬委員】  今回の高等教育政策については,資料1の報告にもありましたけれども,高等教育政策を考える上で教育政策の中の高等教育,あるいはもう一つ,私は生涯を通した人材育成としての政策の中で考えていく必要があると思います。
 どういうことかというと,20年後,日本がどういう状態になっているのか,そういったものは労働人口,人口予測等から見ています。そのときに,幼児教育から高等教育まで含めて,また生涯教育も含めて考えていく必要がある。それは20年後ということを考えれば,今,幼稚園に入る子供たちが大学を出る,あるいは,例えば,70歳を超えたときに,リタイアして悠々自適に暮らすなんていうことはあり得なくて,日本の労働人口を考えれば多分働き続けているということが容易に考えられます。
 そういう中で人材育成としてどうしていくか。それは先ほど産業界とのつながりということでお話もありましたけれども,学術界,産業界,行政,どういった分野に進もうという中で必要とされるスキルというのはあると思うんです。今,例えばそれが新しいことをどんどん学んで,課題を解決していく力のような21世紀型スキルとか,デザインスキルとか,コンピュテーショナルシンキングのようなものを踏まえて,人材育成の政策,その中での高等教育の政策ということを考えていく必要があるのではないかと思っています。
 以上です。
【永田分科会長】  千葉委員,どうぞ。
【千葉委員】  こちらの作業チームに入っておりますので,そこで専修学校に関して発言をさせていただいておりますので,少し説明をさせていただこうと思います。
 今回の高等教育機関の見直しに関しては,前回の新しい高等教育機関の制度化というところでも議論をいたしましたけれども,今は,高等学校を卒業した若者たちが自分の適性に合った進路を選ぶということがなかなかできない形になっている。それは今,大学一本化という形になっているものですから,それを改善していこうということがまず一つありました。取りあえず大学というのはやめようではないかと。
 それから,出口の部分でいいますと,これは指導的な技術者,開発的な人材,あるいはベンチャーを起こせるような人材,こういう人材をこれから創っていかなければいけない。また,国家戦略本部でもIT,ロボット,サービス,こういったことに特に特化した人材をこれから創っていかなければいけない。
 そういう大きな流れの中で今回,私が提案させていただいたのは,短期大学,高等専門学校,専門学校,そして今度新しくできるであろう専門職業大学の前期というところで,高等教育前期を受け持つということをやってみたらどうだろうかということです。
 皆さん方は専門学校の教育というのはあんまり触れる機会がないと思いますけれども,ITなどに関しては,専門学校の学生さんたちというのは,例えばIoTというところでいけば,非常に重要な言語であるC言語やPythonといった言語を十分に訓練された学生たちがいますし,建築ではBIMとかCIMという,これからの建築に欠かすことのできない技術を実践的に勉強している学生さんたちがいます。その子供たちが20歳になったときに,既存の大学の2年生の若者と専門的な教育に特化した若者というのは,当然20歳のときの姿というのは大分違うのではないかと思うんです。
 諸外国の専門大学で学んでいる20歳の学生と,そうでない一般大学で学んでいる20歳の学生というのは,多分人物像が違うのではないかと思うのです。これからはそういう専門に強い実践的な基礎教育を受けた若者たちが,その上にマネジメントを勉強したり,あるいは更に高度な専門技術を勉強したり,教養を身に付けたり,専門学校,あるいは専門職業大学前期の後にプラスアルファの教育を受ける道を作ることによって,国が求めている多様な人材を創るということに一歩近づくのではないかと私は思って,提案をさせていただいたところでございます。
 以上です。
【永田分科会長】  勝委員,どうぞ。
【勝委員】  ありがとうございます。本日の議論ですけれども,各高等教育機関の役割・機能の強化に関するものということですが,それぞれの中身の機能強化,機能分化の強化というのは方向性として非常に重要であると思うわけです。
 国立大学も三つの重点支援がありますけれども,それだけではなくて,国立大学,私立大学を問わず,それぞれの大学の強みをこれから伸ばしていくことが非常に重要だと思うのですが,そのときに例えば,先ほど岡本委員からもお話がありましたけれども,大学の国際化政策ということを考えた場合に一律になってしまっていて,留学生の30万人計画であるとか,送り出しであるとか,そういった同じ指標で考えていくわけですが,それぞれの大学がどういったところに強みがあるのかということを考えていくと,国際化の政策もおのずと違ったものになるべきだろうと思います。
 例えば研究大学であれば,もっと欧米のトップスクールとの共同研究関係を強化していく,あるいはカリキュラムを強化していくことが重要であるだろうし,その中で,例えば同じように留学生に奨学金を出していくということが果たしていいのか。これは資源配分のお話ですけれども,運営費交付金の絡みでいえば,もともと奨学金も国のお金なので,そういったものも踏まえた上で高等教育への予算というものは考えていく必要があるのではないかというのが第1点です。
 第2点としては,先ほど来お話がありますように,何で大学は変わらなければいけないのかといえば,日本全体がこれから知的基盤の社会になっていくという意味で,大学の強化は必要不可欠であるということがあるかと思うのですが,先ほどの国立大学の交付金の話の中でも,博士課程入学者が年々減少しているということでした。これは非常にゆゆしきことで,なぜ問題かといえば,ほかの先進国は過去10年間で全て伸びているのに対して,日本だけが唯一数が減ってきている。これは長期的にかなり大きく効いていくことが懸念されるかと思います。
 その意味からいうと,大学院の強化,特に博士人材がなかなかキャリアが持てないという根本的な話があって,彼らは大学でのポストに就きたいのだけれども,先ほどのお話ではないですが,任期付きポストが増大しているだけで,任期なしのポストは減少しているという中であぶれてしまう。企業もなかなか博士人材が採れないという形で,出口がないので入口も縮小していくわけですから,ここを拡大していくことが重要だろうと思うのです。
 そうすると,こちらの主な意見の3ページ目に,「高等教育で専門的な知識を身に付けた者を高く処遇するなど日本の労働慣行も変えていくことが必要」という意見がありますけれども,特に企業において,例えば博士あるいはマスターといったものを持っている労働者が高い処遇を受けるべきであろうと思いますし,これは恐らくこの後で出てくる働き方改革ともかかわると思うんですけれども,そういったことをトータルに考えていかないと,これからの日本の知識社会への移行というのは難しくなるのではないかと思います。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは,小畑委員,どうぞ。
【小畑委員】  高等専門学校に関して一言意見を言わせていただきたいと思います。資料2に書かれている高等専門学校の部分については全面的に全く異存ありませんが,一つ欠けているかなというところがございます。
 それは専攻科の強化というところです。高等専門学校の卒業生は産業界から大変高く評価されていて,産業界の期待に応えているのが現状かと思っておりますが,専攻科の卒業生に対しても需要が大変強くなっております。一方では,大学院の優秀な学生集めのために,個別にある大学院とある高等専門学校の専攻科とが連携をする,というケースもございます。要するに,大学院に対する人材供給にも非常に大きな役割を果たしております。
 短期大学の部分には,「学士の学位の授与に結び付くような専攻科の強化が必要」と書かれておりますが,これは全く高等専門学校にも通用する話であって,今の高等専門学校における専攻科の位置付けというのは極めて曖昧でございます。もちろん予算が全く付いておりません。ただ,専攻科での教育というのは高く評価をされているということもあって,産業界からの要望に応え得る技術者育成という視点からも,大学院への人材供給という側面からも専攻科の果たす役割は大変大きいので,是非専攻科の強化という部分を付け加えていただきたいと思っております。
 以上です。
【永田分科会長】  次,天野委員,どうぞ。
【天野委員】  先ほど志賀委員がおっしゃった社会と大学との連携ということで,私からも少し言わせていただきたいと思います。
 金子委員もリーディングプログラムというキーワードをお出しになりましたが,まだ途中ですが,確かにいい成果を出してきていると思います。それで,見ていて非常に思うのは,学生さんも非常によく育ってきているんですが,それと同等に,学校の先生方の意識が随分変わってきているのではないかという気がします。
 これは文部科学省のリーディングプログラムを実行する体制で,かなり強制的に大学の方に連携を促すような仕組みを持っているというのは非常に大きいと思うんですけれども,産業界の状況の把握ですとか,産業界のメンバーの入ってくる度合いというのも,このリーディングプログラムというのはかなり大きくて,学生さんもそうですが,先生方も一緒に産業界のことを学んでいただいて,その結果として,良い成果が出てきているのではないかという気がしています。
 例えば,きょう東京大学総長の五神委員がいらっしゃらないんですが,東京大学の数学科が産業界で数学を何とか生かそうというプログラムがあったんですが,初めは学生の方も先生方も戸惑われていて,なかなかうまく進んでないような感じもあったんですけれども,途中からICT技術の活用ということが非常に社会で大きく言われるようになりまして,産業界はすぐに取り組みますので,この状況で学生の方と先生方の意識が大きく変わりまして,結果として,学生さんが一番育っているプログラムになりつつあるということもあったりします。
 この後の課題にも関係するのかもしれないんですが,リーディングプログラムを見ていると,博士課程を出てすぐに産業界に入る必要はないのではないかという分野もあると思います。研究者としてある程度ポテンシャルを付けてから産業界に行って勉強して,また研究者になるなり,産業界で活躍するなりという姿も考えられるような気がしますし,産業界でずっとやってきた方がリーディングプログラムの中に入ってきて,新しいポテンシャルを身に付けて,非常に活躍されるというケースも見られるようですので,産業界と大学との連携というのはこれからとても必要なのではないかという気がしています。
【黒田委員】  私も私立大学等の振興に関する検討会議を担当させていただいているわけですけれども,そこで一番問題になりましたのは,日本の高等教育のグランドデザインはどうあるべきかという議論です。しかし,そのグランドデザイン全体を考えるのは私立大学の機関だけでなしに,国立大学や公立大学も含まれるので,この部分については中央教育審議会の大学分科会でやりますという話だったのです。
 ですから,少し極端なことを言いますけれども,今までの議論というのは既存の大学,既存のシステムの中での継ぎはぎでしかないのです。ですから,継ぎはぎを幾らやってもよくならない。抜本的に高等教育の在り方,国立大学の役割の在り方をしっかりやらないと,日本という国は,先ほどから話がありますように,どんどん人口は減っていますし,産業界の構造も変わってきている。それに対応できなくなります。
 よく企業の方は,日本のMBAは要らないと言われるのですが,日本の大学のMBAを取っても何の役にも立たないと。それはなぜかといったら,日本には外国人が入ってきてない,ですから,世界的ネットワークが作れないというのです。だから,世界的ネットワークを作るために,企業はMBAを採用しているのだという話をよくされています。そうなってきますと,日本の大学も外国から優秀な人材が集まる大学に本当に変わらないと駄目だと思うんです。
 ですから,先ほどから学部教育と大学院教育の在り方について議論がありますけれども,教育と研究の在り方を抜本的に見直していかなければならない。そうしないといつまでたっても日本の大学はよくなりません。これだけ政府の予算がないときに,幾ら言ったって国立大学の予算が増えるわけがないのですよ。だから,増えるわけがない中で,どうしていったらいいかということを考えなきゃならない。そのときにはそれぞれの大学が目標を持って,目的,特徴を出していかないと駄目なのです。国立大学といえども。国立大学は法人化されても国立大学であるということが書いてあるわけですから,おんぶに抱っこでいいんだという意識がまだ変わってない。意識改革が浸透していないのです。
 だから,意識改革をさせるためにいろいろな手立てを文部科学省は打ってはいるのですけれども,中に浸透していかないのです。びっくりして燃えているのは学長だけで,あとの方はみんな知らん顔している。極端で言い過ぎかもしれませんが,ここにいて研究できればいいんだという先生ばかりですから,本当に改革するためには大学の規模や適正配置,国公私の在り方を含めた日本の高等教育のグランドデザインをしっかりと作り直さなきゃ駄目だということを,一言申し上げておきます。
【永田分科会長】  日比谷委員,どうぞ。
【日比谷委員】  ありがとうございます。私も今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する作業チームの一員でございますが,学位名称が多様化している,実は多様化し過ぎているのではないかという話をしたのです。早速,資料4と参考資料3を御用意いただきましてありがとうございます。
 これは質問でございますが,最初にこの二つの関係について,資料4の1ページ目の下半分に名称数の推移の棒グラフがございます。資料4では,平成27年で学位の名称が723となっています。それで,参考資料3も平成27年度の名称一覧でたくさんございますが,要するにこれは参考資料3にある全ての名前を全部足し上げていて,重複を取ると723と読めばよろしいんでしょうか。
【堀野高等教育政策室長】  そのとおりでございます。
【日比谷委員】  ありがとうございます。やはり非常に多いなと思います。次は意見ですが,参考資料3のところで,例えば3ページ,商学・経済学関係というところにただ経営学というものも188ありますが,経営学の下に何とかプログラムとかコースとか,それから次の4ページはアジア太平洋学といって,何も付いていないものもあれば,ここは今度クラスターという新しいものも出てきているんですが,こういうものを一つ一つ,どんどん新しいものが作られてしまうというのは大変分かりにくいと思いますので,是非これは作業チームで今後も議論していくところでございますが,改めてここでも問題を提起したいと思います。ありがとうございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。最後のポイントに対する御意見だったと思います。
 ここで,次のテーマに移りたいのですが,今お聞きしていて,私からこの作業チームに是非ともお願いをしたいのは,禁句に触れてないということが一番の問題だと思います。中根委員や黒田委員から言われた部分について,実は積極的に取り組む議論になっていないですね。今現在は,大学院課程であるとか各課程について,どういう役割であるか,どうしたらいいかと言っているわけですけれども,黒田委員,あるいは河田副分科会長や中根委員の意見をお聞きすると,それは当然,認識すべき基本的問題であって,今ここで今後の高等教育機関の役割と機能の強化を考えるときに,それぞれを分断していてはいけないだろうと思います。
 例えば高等教育を受ける人は,今のままでいいのかという議論がどうして出ないのでしょうか。質の高い人材を育成したければ,マスを増やさなければならないはずなのに,そういう議論はなぜ行われないのか。実はそういうことを話した上で,一体充実すべきはどこなのか,という議論になっていないのです。
 是非とも作業チームに御参加の委員の先生方には,河田副分科会長から出た,国公私立大学の役割分担といった,禁句になりそうなことも議論していただきたいと思います。そう言うと,いきなり話が進まないといけないと思うので,今回御提案したいのは,分野ごとに考えてみたらどうかということです。
 要するに課程ごとに分けました,ではなくて,今度は例えば工学分野とか分野ごとという考え方で,議論を1回してみていただけないでしょうか。分野によって,学士課程の持つ意味,大学院課程の持つ意味,あるいは高等専門学校や短期大学が持つ意味は少し違うはずです。今聞いていて,是非ともお願いをしたいのは,課程別には議論したので,設置者別にやるのは一旦置かせていただいて,その前に分野別について一度是非とも議論していただければいいのではないかと思います。
 人材育成で産業界の現場でいろいろなマニピュレーションができる方が増えるのはいいのですけれども,日本にとって大切なのは,この世に今存在していない新しい発見と価値を創造すること,だと思います。例えば,可能かどうか分かりませんけれど,常温核融合のようなことは,,それが出た瞬間に世界が変わる,産業界も変わるわけです。そういう発見と価値を創造することができる人材は一体どういうマスの上に成り立つのか,次いで,今度それを実際に材料を使って,1個ずつを組み立てる人たちも必要なわけで,その人たちは一体どのぐらいのマスが必要なのか,ということです。
 これは役割の違いであって,それぞれに必要な人材はいると思うのです。その人材要請というのは一律ではないわけですから,どういう人材がどれだけ必要なのか,そういう議論をした上で,それは多分,分野別に話していけばきっと出てくるはずだと思います。分野ごとに少し議論をしてみると,課程別であるとか,設置者別を超えた議論になるのではないかと思うので,私からのお願いですが,作業チームの方で一度是非ともそういう議論をしていただきたいと思います。サマリーのかわりにお願いをしてしまいましたが,是非とも受けていただきたいと思います。


(3)社会人の学び直しについて,資料3-1から3-3及び参考資料2に基づき事務局から説明があり,その後意見交換が行われた。

【永田分科会長】  それでは,社会人の学び直しについてということで意見交換を行いたいと思います。参考資料もたくさん用意されております。
 最初に,事務局から参考資料を簡単に説明をいたします。
【堀野高等教育政策室長】  それでは,資料3-1から3-3で御説明をいたします。
 資料3-1ですけれども,働き方改革実現会議というものが9月に設置されまして,安倍総理議長の下,文部科学大臣を含む関係大臣及び有識者の方々,経済界,労働組合,学識経験者等々の方々で議論をされております。全体としては同一労働同一賃金の実現ですとか,正規・非正規労働者の格差を埋める,そういった観点から議論が行われまして,11月の第3回の会議に松野文部科学大臣が出席したときの資料が3-1でございます。
 1ページめくっていただきまして,2ページ目を御覧いただきたいと思いますが,文部科学省としてのこの案件へのかかわりとしては,主に社会人の学び直しの推進ということで,3-1の2ページ目,上の欄に現状・課題と多々ありますが,就職・転職のために学び直したい人の課題,非正規労働者の学び直しの課題,女性の学び直しの課題,学歴と賃金の関係等々の背景の下,左下にありますように,大学・専修学校において働きながら学べる教育機会の提供,例えば短期間で学べるプログラムの創設の検討ですとか,e-ラーニングの活用等々について考えられることを提案しております。右下は,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関もこれに役立たせるということでございます。
 3ページ以降は,格差を埋めていくための給付,奨学金等々について書かれてございます。
 以上が資料3-1でございまして,これに関連をいたしまして,参考データといたしまして資料3-2を御覧いただきたいと思います。
 資料3-2,主に多くの部分は,2ページ目を御覧いただきますと,2ページ目の下に出典がありますが,文部科学省の先導的大学改革推進委託事業として調査研究したデータを主に使っております。
 最初に2ページ目,企業等の認識ということで,企業において,従事者が大学等で学ぶ許可条件というものをそもそも全体としては定めていないケースが,紺色の帯ですけれども,多い。また,小規模や中堅では,そもそも許可をしていないという割合が1割を超えている。その下のグラフでは,小規模,中堅では大学等で学んでいる実績がある企業は少なく,大規模でも4割弱となっております。
 3ページ目ですけれども,大学等での就学を認めないとする理由としては,「本業に支障を来すため」という回答が半数を超え,次いで「教育内容が実践的ではなく現在の業務に生かせないため」が挙げられております。
 4ページ目,大学等に教育環境面で実施してほしいこととしては,「夜間,土日,休日等の時間帯の問題」「短期間で修了できるコース」「インターネットの活用」ということに関心がいっております。
 次の5ページ目ですけれども,大学等に重視してほしいカリキュラムとしては,「特定職種の実務に必要な専門的知識・技能を修得できる内容」等々が挙がっております。
 大きな二つ目が社会人等の学生の認識ですけれども,次の7ページ,ここだけ少し違う調査ですけれども,国民一般の調査におきまして,社会人が学びやすくなるのに必要な取組としては,第1に経済的な支援,第2に就職や資格取得に役立つプログラム,第3に土日,祝日等時間の問題でございます。
 8ページは,社会人で実際に社会人学生になっている方が大学に期待する教育環境としては,「授業料を安く設定する」「夜間,土日等の時間の問題」が出ております。
 9ページですけれども,社会人学生が大学に期待するカリキュラム,「特定の分野を深く追求した研究内容」「知識に基づいた深い洞察力を養う内容」などが比較的多いですけれども,関心は様々に分散しております。
 10ページ,職業実践力育成プログラム(BP)については,「知らない」という方が非常に多く,認知度が低いという状況でございます。
 次のページから大学側の認識,大学等側ですけれども,カリキュラム内容で重視しているのは「特定職種の実務に必要な専門知識等々」でございます。
 次,13ページですけれども,社会人学び直しのために重視している教育環境としては,「時間帯の問題」「体系的な教育カリキュラムの充実」。
 14ページです,実際に社会人を対象としたプログラムを提供している大学のうち,「取組を縮小させる」と回答した大学等の理由として,「社会人の入学が余り見込めないため」との回答が最も多く,「コースの維持にコストがかかるため」「教員の確保が困難であるため」と並んでおります。
 次のページですけれども,更にプログラム提供の条件として,今,社会人プログラムを提供していない学部が提供する条件としては,「教員の確保」「国等からの財政的支援」「社会人ニーズを把握できること」。理工農系では,「企業と連携したプログラムが実施できる状況」「企業との連携」が特に言われております。
 16ページでは履修証明プログラムの開設に参加していない学部の理由としては,「学部教育の研究内容が履修証明に適していない」,あるいは「受講生が集まる見通しが立たない」「そもそも履修書の社会的認知度・評価が低いので,メリットを感じない」等々でございます。
 最後に改善すべき点,最後のページでは,「国の周知により,認知度・評価を高めてほしい」,あるいは「修了した者の処遇が改善されるべき」という御意見でございました。
 これらのことを資料3-3にまとめて,学び直しに関する論点(例)として,一つ目の丸は,まず学び直しの役割,検討項目例とありますが,在職者向け,転職を目指している人向け,非正規で働く方々向け,高齢者向けにどういうものが必要か。
 二つ目に,プログラムの提供を縮小させた大学の理由,「社会人入学は余り見込めない」「維持にコストがかかる」「教員確保が困難」,こういったものを解決する方策としてどんなことが考えられるのか。
 また,次の丸として,民間企業が余り就学に積極的な対応をしていないということについて,どのようなことが考えられるのか。
 次の丸,費用の負担や時間の確保が問題となっているけれども,どのような方策が考えられるのか。
 最後に,制度等について改善するべき点はあるか。
 こういったことを論点の例として挙げております。
 次のページには参考といたしまして,文部科学省における今後の取組の方向性(例)として,短期間で学べるショートBPの創設,あるいは新たな職業機関の創設ということを挙げております。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 先ほどと似ている部分もあります。フォーカスを社会人に変えて,社会人の学び直しについてがテーマです。
 それでは,意見交換をさせていただきます。有信委員,どうぞ。
【有信委員】  さっきの話もあるんですけれども,さっきは将来2050年を見据えて,短期,中期,長期だから2030年,2020年ぐらいを規模に,まず何をやらなきゃいけないかということを考える中で,志賀委員からミスマッチという話が出ていて,これも専門分野的に,実は大学から輩出される人材のスキル・能力が産業界が期待しているスキル・能力とミスマッチを起こしている。
 この議論は日本だけではなくて,アメリカでも随分やられていて,特に最近はIT絡みで,データサイエンスとか,データセキュリティとか,そういうところでの人材が決定的に不足しているということで,奪い合いになっているという状況があります。
 これが日本とアメリカで根本的に違うのは,雇用環境が市場原理に基づいていないということなんです。つまり,必要な能力を持つ人間が足りていないのであれば,当然給料を高くして,自分のところでいっぱい雇うというのが基本的な市場原理なんですけれども,日本の場合は基本的に大学を卒業した人の初任給は,それぞれ業界ごとに幾らとか,何年たてば幾らとか,戦後の労働慣行の中でそういう形で形成されてきていて,労働組合の監理の下に,実際の人材そのものの処遇がコントロールされているわけです。
 前置きが長くなり過ぎますが,これは国際化の中で,実際に大企業は市場原理に基づいて海外から人材を採用しているので,大企業の側(がわ)から今のような状況は多分崩れていくだろうと思っています。こういうことを見ながら今の教育環境を考えなければいけないと思います。
 そういう中で二つ重要なことがあると思っていて,一つは,社会人の学び直しというのは当然そういう雇用環境の市場原理化,必ずしも典型的にはいかないと思いますけれども,そういうところで様々な能力が要求されるものが,きちんと社会人教育によって与えられるということを整備しなければいけないということ。
 それからもう一つは,例えばデータサイエンスの人材が不足しているからといって,単純にデータサイエンスのスキルを与えましょう,という教育体系を作るとしても,今の不足状況は永久に続くわけではないわけです。常に必要な能力・スキル・知識は変わっていかなければいけない。
 ただし,それぞれの体系を作り,それが将来的に役に立つような形で学問要素をきちんと整備していくのは大学側でできる話で,例えばデータサイエンスの学問要素である統計学をそれにかかわるような形できちんと整備をしていくとか,数理解析の話をそういうふうにしていくとか,そういうたぐいの話は大学側の責任できちんとやらなければいけない。
 そういうことを今までされてきていないので,社会人教育として大学に人を送っても役に立たない。今,企業は実際にそういう能力を持った人がいないと困る状況になっているはずなんです。それを今,大学が与えられていないというのはミスマッチで,それの解決策として社会人教育をきちんとやるときに,余りにも短期的な視野でやると良くない。でも,大学は長期的な視野で,学問のベースにのっとってそういう構造が作れるはずなので,それをきちんと作るような努力をしていってほしい。それが希望です。
【永田分科会長】  鈴木委員,どうぞ。
【鈴木委員】  社会人の学び直しということですので,一旦学部なら学部を卒業して社会に出て,そしてまた学び直すために戻ってくるということを意味しているわけですけれども,先ほど黒田委員から日本のMBAが全く意味をなしてないとか,それからグランドデザインがどうしても必要だという話がありました。私もアメリカのビジネススクールでMBAを10年ほど教えていた経験からして,あの当時,三十五,六年前の話ですから,今はかなり変わっているわけですけれども,あの当時,社会に出て,リーダーシップを執って職業を遂行していくためには,MBAを取らない駄目だという,ある意味のエリート教育ではあったわけです。
 ほとんどの学生は1回就職をして,そして自分で学費を稼いで,四,五年たって,またMBAに戻ってくるということで,年齢的にいっても27,28歳から30歳ぐらいの学生がほとんどだったということからすると,MBAあるいはエリートになるためには,1回外に出て金を稼いで,そしてまた戻ってくるんだということが一般の通念として存在していたと思います。
 35年たって,今,アメリカのビジネススクールはどうなっているかというと,MBAは決してエリート教育ではなくなっています。これがないと普通のキャリアを築いていけないというくらいに総体化された,あるいはMBAプログラムが増加したという状況にあって,決してエリートではない。しかし,1回外に出てお金を稼いで,また戻ってくるというのは依然として存在している学生の学び方なのであって,その考え方あるいはキャリアの積み方が日本の社会の中で,あるいは産業界と大学の中で一般的な通念になっていかないと,なかなかうまくいかないのではないかと思っております。それが一つです。
 それから,先ほどの今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関するところで,私もこの作業チームに属しているものですから,一言申し上げたいんですが,国際化あるいは国際通用性というものは,先ほど美馬委員が20年後という話をなさっていましたけれども,20年後を考えたときに非常に変わってきていて,これも一般通念化しているであろう,あるいはしなければいけないと思っております。
 資料2の大学のところにも,「単位互換などの国際通用性を念頭に起きつつ」とか,「学位の国際通用性に関する検討が必要」だということが言われておりますし,短期大学のところでも「国際的な学位の通用性は何かを整理する必要がある」と。それから,高等専門学校でも,「高等専門学校の教育システムの海外展開を一層進展させることが必要」だと。全て海外あるいは国際通用性ということが述べられていて,これは高等教育機関が20年後には今の状態ではあり得ないと。その意味では,黒田委員が先ほどおっしゃったグランドデザインというのを根本的に考え直す必要があるというのは,私も強く同感いたすところです。
 以上です。
【永田分科会長】  佐藤委員,どうぞ。
【佐藤委員】  一つは質問です。今の鈴木委員のことにつながっていくのかもしれないのですが,先ほど過去5年間で従業者を大学へ送り出した実績が141人という数字が出ていたと思います。このデータをとったときに,大学等へという中に必ずしも国内の大学ばかりではないのではないかと思いました。そういう意味では国内の大学に出す数というのは,例えばMBAでスローンスクールに出すとか,コーネル大学に出すとか,そういうのは企業できちんとシステムを持って出したりしているところもあるわけで,それはカウントしているのかどうかということが気になります。
 それからもう一つは,分野ごとで議論するという分科会長の先ほどからのお話,正にそれをやっていくべきだろうと,私は思っています。
 最近,片仮名の著者でイケダハヤトさんという人が『まだ東京で消耗してるの?』という本を出していて,これが非常に受けているのだそうです。そういう意味では地方をどういうふうに整備していくのかということを,高等教育機関の役割・機能の強化に関する議論の中に入れていただいたら有り難いと思います。
 つい最近,離島問題や,そのほかのことで沖縄へ行ってきました。沖縄に大学院大学を一つ政策的に作ったものの,琉球大学を除けば私立大学は3大学,公立大学が一つですよね。それでいいのかどうかというのはとにかく,大学というものは地方にあっても,それこそ黒田委員のところみたいに全国から集まってくるようなものに作っていくということをしないと,うまくいかないのではないかと思っています。東京で消耗しているよりも地方に行って学んだ方がいいという風潮が出てくれば,なおのことです。秋田の鈴木委員のところも,全国から優秀な学生がみんな集まってくるわけで,そういう学校の在り方を考えないといけないかなと思っています。
【永田分科会長】  社会人の学び直しについても,地方というのは大変重要なポイントだと思います。
 それでは,安部委員,その後,中根委員,どうぞ。
【安部委員】  ありがとうございます。社会人の学び直しの推進を考える場合に,今,正規職の中で意欲のある人がキャリアアップのために資格取得等を,あるいは学び直しをするために大学や大学院に行っても,卒業しても学んだことが職場で生かされないというのも問題なのですが,もう一つ,社会人の学び直しを考える場合に,日本の経済が伸びないと言われていますが,それはEU諸国に比べますと労働生産性が低いことに一つの原因があるのではないかと思うのです。それでも今までは豊富な労働力で何とかやっていけたのだけれども,今後労働力が減ってくる。そうすると,多様な人を労働人材としてブラッシュアップさせなきゃいけない。
 資料3-1の一番初めのところに高等学校中退者とか非正規,あるいはニートといった人たちがもう一度リベンジできるというか,高等教育機関に行って職業人として活躍するというところを作っていかなければならない。高等学校までの教育を補い,人材を宝にするという高等教育機関のこれからの役割ってすごく大きいと思うんですけれども,そのときに大学が今のままでいいのか。
 例えば私は短期大学をやっていますけれども,先ほどの分野によって,もちろん教育内容は違うんですけれども,修業年限とか教育方法というのは当然違ってきます。そうすると,社会人の学び直しをするために必要な枠組みを考えていく必要があるのではないかと思います。大学というのは4年モデルなんですけれども,分野によっては修業年限などもフレキシブルに考えていくということを,高等教育グランドデザインの中で積極的に推進していただくことが必要ではないかと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。職業教育に特化した後期課程で編入学の幅が広がれば,一つのチャンスだろうと思います。
 中根委員,金子委員の順でお願いします。
【中根委員】  ありがとうございます。第2期振興基本計画においても,社会人の学び直しを基本施策に取り入れてきたが,大学で学んでいる社会人の数は一向に増えていません。そこがステートメイトなんだ,何が問題なんだと,さっき御説明がありましたけれども,私は一つ錯覚があると思っているんです。それは日本がまず年功序列社会であるということ。昇進と給与なんですけれども,給与の中に年齢給というのがかなり配慮されている,年をとると給料が高いということですね。
 そのことを念頭に置いて考えますと,30代,40代,50代になって学卒と同じ程度の知識とスキルを付けて,果たして市場性があるかどうかということです。企業にとってみれば新卒を雇った方が安いし,素直だし,同じレベルのスキル・知識であれば,その方がいい。ですから,市場性のある教育を社会人に進めているのか,これは一つ見直さなければいけないと思います。
 そこで,二つ御提案があるんですけれども,であれば市場性のある,付加価値の高い教育を振興したらどうか,つまり大学院です。大学院に社会人を引っ張ってくるということであります。より高度な教育と研究の機会を得たいという潜在ニーズはすごくあると思います。今後,日本企業の海外での一層の活躍,発展が進むと予想されますので,国策としてもこれはすごく理にかなったメイクセンスの話だと思います。外国ではドクターの学位を持っている社会人はとても多い。そこで,社会人が大学院で是非学びたいとモチベートされるような仕組み,産学官での仕組みを作る必要があります。
 一つ御提案なんですが,教育のための休暇制度です。産休がありますよね。赤ちゃんを産んで子供を育てるという休暇。産休があって教育休暇はできないということはなかなか考えにくいので,そういう制度を作ればかなりいけるのではないか。
 二つ。学生側の経済負担の軽減ですよね。つまり家庭を持っていて,お子さんもいるとなると,大学院の授業料,研究の追加のコストは大変だと思うんです。私どものことで恐縮ですが,東京理科大学では博士課程の授業料の実質免除をやっております。無料だからいらっしゃいと言うわけです。そのくらい日本の大学を大学院に引っ張っていかないと駄目なのではないかというのが危機感なんです。
 それから,今度は企業側への配慮です。先ほどの教育休暇中の従業員に関する人件費等の税の全額控除等の制度を是非プロモートしていただきたいと思います。
 最後ですが,学位取得コースに加えて,それに余りこだわらずに短期でのサティフィケートに対しても適宜同等な配慮をしてあげると,社会人から大学院への大きな流れが作れるのではないかと思う次第です。ありがとうございました。
【永田分科会長】  金子委員,どうぞ。
【金子委員】  今の御意見ともかなり似ているところがありますが,社会人の大学教育参加はもう20年来,必要だと言っていて全然進んでないですし,過去5年間は少し減っているという非常に悲惨な状況にあります。しかも,これは日本の社会の転換に必要だという非常にクリティカルな問題だと言われているのに,全く進んでいないという状態が続いているわけです。私はこれは非常にゆゆしき問題で,私はいろいろなところで言ってきたんですが,アクションがほとんど起こらないという非常に不思議な構造がありまして,現在これをやるのに非常に重要な時期に立っていると思います。
 でも,社会人の大学院参加というのは需要が高いんです。私どもは大卒社会人を調査しましたけれども,5割くらい大学院に行くことに興味があると言っています。2割くらいは適当なところがあったら行きたいと言っています。しかし,現実としては2万人くらい。非常に大きな差があります。
 これは二つ理由があると思うんですが,一方では企業の側(がわ)の問題があって,実際私たちは調査をやりまして,もし大学院に行くとしたらば企業は認めてくれますかと言いますと,9割くらいは認めないと答えているんです。先ほど出ていたアンケートだと少し違いますが,人事部が言っていることと,特に直属の人事関係の人たちの言うことは全然違っていて,やはり認めてないんです。しかし,これは大きな問題だと思います。
 もう一つ,今,非常に重要だと思いますのは,先ほどもお話がありましたが,人口が老齢化して,中高年部分の労働者が増えていて,この部分は自分の会社では働けなくなって,転職しなければいけないという需要が,今,潜在的には非常に大きくなっているわけです。ですから,労働力が流動化して,高い生産性を作ってもらうためにも,日本にとってはクリティカルな問題になっていると思います。
 何が必要かということなんですけれども,私は企業が労働者にある程度訓練を受ける機会を認めることを義務付けるような何らかの社会的なアクションが必要なのではないかと思います。先般,復職についてのガイドラインを出すという話が一時ありましたけれども,復職よりもはるかに教育再訓練についての一定のガイドラインを出すことはリーズナブルだと思いますし,労働経済学者の中にはキャリア権というのがあるのではないかとか言っている人もいるわけです。一定の権利として認めるべきだということを。これは内閣でそう言っているわけですから,中期方針として要求するくらいのことがあってもいいのではないかと思います。
 それからもう一方で,受入れ側の大学院ですけれども,現在のプログラムに多少かたさがあって,使いにくいということは事実であります。これは今,履修証明制度があるわけですが,これは120時間要求しているわけです。一つの問題は,多いか少ないかという問題があります。もう一方で,これは修士課程に全然結び付かないんです。時間で定義していて,学位と今のところ全く切り離されて作られています。これは履修証明プログラムを普通の大学院教育の中に取り入れて,一定の単位を積み上げたら履修したという証明を与えるとか,その間の連関性を強めなければ魅力は出てこないですし,いろいろな大学でそういったことをするという試みも余り出てこないのではないかと思います。
 今,パンフレットでブラッシュアッププログラム,職業実践力育成プログラムというのを出されていますが,これを見ますと,ほとんど履修証明プログラムになっています。では,何で一定の大学院の教育課程が履修証明プログラムとして認定を受けられないのか。これは今,厚労省から補助金が出ているわけですけれども,それがファイナンスの面でも一般に行われている大学院教育と少なくともある程度の積み上げでつながる,あるいは一般の大学院教育プログラムの中に組み込まれて,こういった実践教育プログラムができるという姿勢は非常に重要なのではないかと思います。ただ,プログラムというものを大学教育課程の中に組み込まれることはまだ法令的にはやられていませんので,なかなかやりにくいところもあります。
 先ほどの学位名称の問題も,基本的には学位が研究科名と連結しているから非常にややこしいことになっているわけで,学位プログラム名としてきちんと出すということになれば,これは学位名を独立としたものとして出せるようになるわけです。そういった意味でも学位プログラムの考え方というのを作って,制度的な整備をなるべく早い時期にやるべきだと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  それでは,この件に関しては美馬委員を最後にさせていただきます。どうぞ。
【美馬委員】  社会人学生,社会人教育については具体的な分野,カリキュラムだけではなくて,中長期的視野で臨む必要があると思います。今,大分お話が出ていた中では,大学を卒業した人に対してというものがいろいろ出ていましたけれども,地方にいますと,高等学校を卒業して働いている人がたくさん存在しているわけです。そういう中で教育格差,経済格差というのが更に広がっていく。先ほども20年後というお話をさせていただきましたけれども,そのときになくなる仕事,単純労働とか機械的な作業はなくなっていきますし,残る仕事,新たに出現する仕事としては知的な作業とか,創造的な仕事が出てくる。その中で労働人口が減っていく。そうすると,一人一人が質の高い仕事をすることで国を維持していく。労働生産性を上げるという話でした。
 そこで必要なことは,一つは,これは産業界の大きな協力が必要だと思いますけれども,高等学校卒業後に働いてから大学に入るという進路というのは,今,日本の中では余り考えられてないと思います。とにかく大学の新卒を同じ時期に雇うということから,それが一方ではそのまま高等学校から大学に行くという学習動機が低下しているということもあります。そういう中で経済問題もあって,徹底的な問題もあることから,高等学校を卒業して,仕事をしてから大学に入るという進路をもっと積極的に作っていってもいいのではないか。
 2点目は,社会人教育については地方にある大学,あるいは地域にある大学,これは別に国公立,私立,そういった設置母体とは関係なく,こういうものが経済格差,教育格差の解消に重要になってくると思われます。
 その中では,現代社会,あるいは近未来社会に合った知識やスキルというものを積極的に適用していくということ。そして,成人学習,大人が学ぶということについては,高等学校を卒業してすぐの人と違うわけです。それは例えば自律的で,実利的で,動機が必要ですし,目的志向性が高いとか,豊富な人生経験を持っている人たちが学び直すということですので,例えばこういうところにアクティブラーニングのようなものを積極的に導入する。プロジェクト型のような学習をして,産学官民で連携していけば,そういう中で新たな,近未来に合った知識やスキルを得ていくことができるのではないか。また,そういった学んだものを生かす場というのも,一方で提供していく場が必要だと考えます。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございました。この問題については大学側,企業側,本人そのもの,それぞれの問題点を十分整理し直して,できることを考えないといけないということかと思います。これもまた,いずれ引き続き議論はしていくものと思っております。


(4)学位に付記する専攻分野の名称について,資料4に基づき事務局から説明があり,その後意見交換が行われた。

【永田分科会長】  それでは,本日,最後に考えております,学位に付与する専攻の分野についての議論です。今,金子委員からも出ましたけれども,各高等教育機関の役割・機能の強化に関する作業チームに出ていた,設置基準によって入り口で縛るのではなくて,出口のコントロールで対応するという方法でやってきたが,中途半端な状況となっている,という御意見です。これははっきり分からないのですけれども,設置された大学そのもののコントロールという意味で,学生のことではないと思うのです。
 そういう意味合いでは,設置基準そのものについても考えなければなりません。その設置基準の中に実はこの専攻分野という,学位の名称は必ず書いて申請しているので,そのときに決まるわけです。ですから,ある意味,これは設置基準の中身について意見を伺おうということになります。
 それでは,資料4に基づいて,事務局から簡単に説明をいたします。
【堀野高等教育政策室長】  資料4を御覧ください。初めに,資料4の3ページ目でございますけれども,まず過去の経緯として,平成3年以前は学士は称号であったわけですけれども,学士の種類は限定列挙されておりまして,昭和31年の大学設置基準制定当初は25種類,その後の改正を経て平成3年には29種類ありました。また同様に,修士の学位は28種類,博士の学位は19種類と規定されておりました。
 1ページに戻っていただきまして,平成3年に行われました大学設置基準の大綱化の際に,教育・研究の多様化,学際領域への展開等に対応して柔軟な設計を可能とするために,学士,修士及び博士の種類を廃止いたしました。他方,その専攻分野で学位が授与されたかを表記することは社会的に有用であることから,学位規則を改正し,各大学において学位を授与する際には専攻分野を付記するものといたしました。
 平成3年の改正施行通知におきまして,付記する専攻分野の名称は社会的通用性に配慮し,過度に細分化しないようにする必要があることを留意点として示したところでありますが,学位に付記する専攻分野の名称は年々多様化し,その種類はグラフのとおり平成27年度時点で723に達しております。また,一つの大学でしか用いられていないような学位も多いところでございます。
 4ページ目の参考3を御覧いただきたいと思います。このような現状に対して,平成20年の中央教育審議会「学士課程教育の構築に向けて(答申)」では,大学に期待される取組として,学位に付記する専攻分野の名称については,学問の動向や国際的通用性に配慮して適切に定めると提言をされましたが,平成20年度以降も名称の多様化はなお進んでおります。また,同答申では,文部科学省においては日本学術会議や学協会等々と連携しながら,一定のルール化を検討することが提言されまして,5ページ目の参考4にありますとおり,平成26年9月に日本学術会議より,「学士の学位に付記する専攻分野の名称の在り方について」,報告をされたところでございます。
 文部科学省としても,このように過度に細分化された状態が真(しん)に学問の進展に即したものなのか,能力の証明としての学位の国際的通用性の確保の観点から問題はないのか,懸念があると考えております。
 一方で,学位の記述方法の在り方や専攻分野の種類の適正規模については,一義的には大学の中での議論によるべきものであると考えており,また制度的手当てを行うとした場合には,設置認可や学部・学科等の名称といった問題とセットで検討していく必要があると考えております。
 このため,学位の問題については,大学人の皆様としっかり意見交換をしながら,大きな大学改革全体の文脈の中で議論していきたいと考えております。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。先ほどの議論の中で日比谷委員からも質問があって,少し資料の理解が進んだかと思います。
 これはしばしば議論となるのですけれども,実はこういう形で話すのは今回初めてだと思います。ですので,大変重要な議論ではないかと思います。これは皆様がよく気にされる教育の質の保証と,ある意味一致している部分があるわけです。学位名が増えれば増えるほど,それだけのバラエティーを持った,それぞれの分野の特性が生まれていくわけです。それは本当にいいのかという問題です。
 有信委員,どうぞ。
【有信委員】  どうもありがとうございます。一つ質問があるんですけれども,少なくとも学部の設置については設置認可で認められていて,そのときに学位名称が決められているという理解でいたんですけれども,大綱化以降はそれがもっと自由になった。つまり学部の設置認可以降でも,学士括弧何とかの中身は大学の判断で変えていいということになっているのかどうかということをお聞きします。
 それから,意見として,今のような細分化というのが現実的に起こしている弊害としては,結局,学部,大学院と進むにつれて,細分化された中で,もちろん知識というのは深く狭くという方向で追求していくものですが,実際に大学院というのは教育の場でもあるわけで,学生を研究のための道具に使う場所ではありません。研究を通じて学生を育成していく場であるべきなのに,極めて狭い専門性の中に閉じ込めることによって,いわば学生のフレシキビリティーというか,ポテンシャルをある意味でねじ曲げるような結果になっている。
 平成17年の将来像答申のときにも,この反省が極めて強くあったわけですけれども,それがいまだに改善されていない。つまり,これは学部教育,大学院教育という人材育成の在り方の問題で,研究はもちろん重要なんだけれども,大学院生は飽くまで教育対象なので,これを研究の道具に使い回すというやり方をして,それで教育だというわけにはいかないということをもう少し自覚する。そうすると,ある範囲の中でどれぐらい学生が能力,ポテンシャルを持っているかということを表現するような形で学位名称を決めればいいので,こんな細分化をした名称の決め方は全く意味がないと私は思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 今,有信委員は,簡単に言ってしまうと,教育の内容そのものにまでこの学士名が影響しているんだということをおっしゃったのだと思います。今現在,いろいろと分野横断的な,あるいは社会との連携を含めて,というわけですけれども,それぞれ1個ずつに名称を付けている状況です。しかし,今言われたのは,学生に学習してもらいたいという基本的なことからいえば,学士課程,修士課程,博士課程それぞれで学修し,その上で,ある専門分野を通じて何かを学びましたということもなるはずなのですが,そうはなっていないという有信委員の御意見です。
 そのほかいかがでしょうか。では,佐藤委員,どうぞ。
【佐藤委員】  これだけあると,整備していかないといけないというのが率直なところです。審査の仕組みの上でこれは決められてしまっているような感じがして,例えば文学関係でも教育があり,括弧教育で出しているところがあります。それで,教育学関係でも教育があり,教育学がありということですから,申請をしているときの審査の領域が,こういうふうになっているのかと思ったり,改めてリストにしてみると大変なことだなという感じがしますから,これももう少し整理した方が良いと思います。例えば同じ外国語でも文学関係にもあれば,別なところにもあるという形になっていますから,それはきちんと整理しないと,社会から見て,よく分からないということではないかと思います。
 ですから,整理をするというのが一つと,それから先ほど永田分科会長が領域で議論するというお話がありましたけれども,それに付随して議論するのがいいのかなという感じがします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。非常に分かりにくいのですが,この表を全て読み直すと,昔の呼び方でスペイン語・文化学士となりますが,果たしてそういう学士があるのか,ということです。極めて煩雑であり,かえって学生の不利益を招いている部分があります。工学部で学んだはずなのに,学位は工学ではなく,何か別の分野のような名称である,ということもあるわけです。
 これは私の持論なのですが, Ph.D.とドクター・オブ・エデュケーションは違う,という概念でどうして捉えないのか,ということです。また,アーツ・アンド・サイエンスと言いますが,アーツかサイエンスどちらかでいいのではないか,それ以上分ける必要があるのでしょうか。学位記には何々の分野を学びました,したがって修士括弧アーツとか,それで十分だと思うのですが,それがスペイン語・文化学という表記である,というのはどうなのかと思います。
 それが社会との連携も悪くしているような気がしてなりません。先生方も経験があると思うんですが,就職する際にこういう役に立たない名称の学位しか出ないのであれば入学しません,という学生もいるわけです。そういう意味でも,真剣に考えるべきだと思います。
 前野委員,どうぞ。
【前野委員】  高等専門学校の側(がわ)から一つお話をさせていただきたいと思います。
 高等専門学校は称号としての準学士といった形で推移してきておりまして,高等専門学校の準学士の取得に関しては,非常に厳しい条件が内部からも外部からも課せられております。さらに,専攻科では学位授与機構の認定,あるいはJABEEの側面からの認定,こういったものを合わせて初めて学士と名乗れる形になっておりまして,外部評価の手法が確立していると言えるのではないかと思うのです。
 一方,学位としての学士の700以上の名称を見ると,果たしてこれは外部の評価がなされているのかどうか。私どもはマイナーで肩身が狭いんですけれども,逆にメジャーである学士が果たしてきちんとした学士の称号として外部評価を受けているのだろうかという認識がございます。極端な例で恐縮なんですけれども,例えば機関車や鉄道の好きな人が集まって大学を作ると,学士・蒸気機関車学なんていうのはあるのかな,と,あるいは人力車学なんてあり得るのかなというひどい話になってしまうわけで,これは外部評価も併せた形,あるいはネットワークを作って,最適地を探す必要があるのではないかと,私は外の人間として思います。
 以上です。
【永田分科会長】  義本審議官,どうぞ。
【義本高等教育局審議官】  佐藤委員より前の話にも関連いたしますけれども,特に設置審査の実情のところで組織の認可,あるいは届出と連動して学位の種類,あるいは名称が出てくるということになっておりまして,今の実務的な取扱いとしては,十数年前に学位の分野を変えない場合については届出でもできるというやり方に変えましたけれども,それと連動して,先ほど佐藤委員から御紹介がありましたように,学位の分野については届出ということで,結局,今あるところは複数の領域を設定するという形になっていまして,それに連動してかなり独特な名前が付けられているということになっております。
 逆に,届出において名称まで具体的に変更するかということについていうと,これは今のところ,余りルールがないものですから,個別個別の水際の中において大学設置・学校法人審議会の委員の先生方に,これはどうかということについてはお話を頂いておりますけれども,なかなか進んでいませんので,ここは先ほど室長から御提言させていただきましたように,一義的には大学の御判断になりますけれども,一定の共通的な考え方を整理する必要があるのではないかと事務局では思っております。
 それからもう一つは,我が国の場合については,例えば大学の学部とか学科の設置イコール学位条件を認めるという形で,オートマティックになっておりまして,それによりまして,先ほど前野委員もお話しされましたように,例えば認証評価においては大学の在り方について評価いたしますけれども,学位の国際通用性とか名称そのものについてどうかということについての評価には,実務的にはなかなか及んでないところでございます。そういう点も本日御指摘いただきましたので,これら御議論を深めていただいて,私どもとしては政策についても考えていきたいと思っております。
【永田分科会長】  ありがとうございます。私は中央教育審議会で初めてこの件に関して前向きな見解を頂くことができました。学生の立場になって考えたときに必要な検討事項だと強く思っております。
 時間がそろそろまいりましたので,また継続的に御紹介を申し上げたいと思います。
 それでは,本日はこれで閉会とさせていただきます。お忙しい中ありがとうございました。お開きにさせていただきます。

―― 了 ――

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-- 登録:平成29年09月 --