ここからサイトの主なメニューです

大学分科会(第130回) 議事録

1.日時

平成28年10月26日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 大学設置基準の改正について(諮問)
  2. 今後の高等教育政策の在り方について
  3. (報告事項)給付型奨学金の検討状況について
  4. (報告事項)国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革に関する有識者会議について

4.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(副分科会長)河田悌一副分科会長
(委員)亀山郁夫,志賀俊之,竹宮惠子,中根滋,坂東眞理子,日比谷潤子の各委員
(臨時委員)麻生隆史,天野玲子,有信睦弘,大島まり,岡本信明,金子元久,小畑秀文,小林雅之,佐藤東洋士,佐野慶子,島田尚信,鈴木典比古,千葉茂,前野一夫,松本紘,美馬のゆりの各臨時委員

文部科学省

(事務局)常盤高等教育局長,杉野国立教育政策研究所所長,村田私学部長,関大臣官房総括審議官,神山大臣官房審議官(生涯学習政策局担当),義本大臣官房審議官(高等教育局担当),永山文部科学戦略官,塩見高等教育企画課長,角田大学振興課長,寺門医学教育課長,井上学生・留学生課長,堀野高等教育政策室長,柳澤教育養成企画室長 他

オブザーバー

(オブザーバー)濱中国立教育政策研究所総括研究官

5.議事録

(1)大学設置基準の一部を改正する省令の制定について,事務局から資料1-1~1-2に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【永田分科会長】  おはようございます。中央教育審議会大学分科会の第130回を始めさせていただきます。
 議事次第を御覧いただければ要点はお分かりかと思いますが,本日は,諮問事項として,大学附属病院が大学からスピンアウトして別法人化になるという場合に,大学の医学部のありよう等について,大学設置基準の方で病院との関係が語られています。それに関して諮問いただいておりますので,議論して決めていきたいと思います。
 二つ目は,この大学分科会の最も中核となる部分ですが,今後の高等教育政策の在り方,ということで議論をしてきているわけですけれども,今回は特に高等教育機関における教育研究の展開方策,という観点に絞って議論いただきたいと思います。
 それが終わりましたら,報告事項として,給付型奨学金について,それから国立教員養成大学・学部,大学院,附属学校の改革に関する有識者会議の検討状況という報告をさせていただきます。
 今回から新しいメンバーがいらっしゃいます。前回,設置をお認めいただいた「今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する作業チーム」の先生方にも,大学分科会本体へ御参加いただくということになりました。これを最初に御報告申し上げます。
 新たに委員に加わられた方々は6名ですが,欠席の方もいらっしゃいます。事務局から御説明をいたします。
【堀野高等教育政策室長】  それでは,新たに就任された臨時委員の先生方を御紹介いたします。
 まず,本日御出席の3名ですが,学校法人第二麻生学園理事長,山口短期大学学長,麻生隆史委員でございます。
【麻生委員】  麻生です。よろしくお願いします。
【堀野高等教育政策室長】  東京大学大学総合教育研究センター教授,小林雅之委員でございます。
【小林委員】  よろしくお願いします。
【堀野高等教育政策室長】  木更津工業高等専門学校校長,前野一夫委員でございます。
【前野委員】  前野でございます。よろしくお願いします。
【堀野高等教育政策室長】  そのほかに,本日御欠席ですが,宇都宮大学長の石田朋靖委員,金沢工業大学学園長・総長の黒田壽二委員,大阪工業技術専門学校理事長の福田益和委員が就任されていらっしゃいます。
 以上でございます。
【永田分科会長】  以上のような委員に新たに加わっていただくこととなりました。
 それでは,審議に入る前に,事務局から配付資料の確認をさせていただきます。
【堀野高等教育政策室長】  配付資料につきましては,議事次第のとおりでございます。不足等ございましたら事務局へお申し付けください。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは,議事に入りたいと思います。
 まず,大学設置基準の改正についてであります。これは先ほども申し上げました大学附属病院を大学とは別に法人化するということに伴い,大学設置基準の改正が必要となりますので,改正内容について審議したいということであります。
 中央教育審議会運営規則第三条第二項に基づいて,これは大学分科会に対して諮るということで,事務局から諮問内容について説明いただきたいと思います。
【寺門医学教育課長】  医学教育課長の寺門でございます。座って御説明させていただきます。
 お手元の資料1-1,1-2を御覧いただきながら御説明をお聞きくださればと存じます。
 今回お諮りいたしますのは,ただいま永田分科会長より御紹介のございました文部科学省令でございます大学設置基準におきまして,医学又は歯学に関する学部の教育研究に必要な施設として設置が義務付けられている附属病院に関する規定の改正に関してでございます。
 まず,改正の経緯について簡単に御説明申し上げます。ページ番号がなくて恐れ入りますが,資料1-1の最後のページ,右肩に「参考2」とあるページを御覧いただければと思います。
 御承知のとおり,附属病院におきましては,設置基準に規定されておりますとおり,教育研究に必要な施設であるとともに,地域医療の拠点,最後の砦(とりで)として大変重要な役割を担っておりますけれども,一方,我が国全体の医療提供体制の在り方につきましては,超高齢社会の到来を迎える中で,各種関連制度の改善や充実が,厚労省を中心に政府を挙げて行われているところでございます。
 この制度改善の一環として,医療,介護を一体的に,また効率的に提供する今回の諮問内容に係る大学附属病院の別法人化も含む新たな法人制度の創設につきまして,経済財政諮問会議等において熱心な御議論があり,こういったものを踏まえまして,そこに御覧のとおり,まず上段の平成26年6月に閣議決定,「日本再興戦略」におきまして,次のように書かれてございます。「大学附属病院が担っている教育,研究,臨床機能を維持向上するための措置を講ずることを前提に,非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)を活用した他の病院との一体的経営実現のために大学附属病院を大学から別法人化できるよう」にすべしというのがまず課されました。
 その後,政府部内の検討等を経まして,平成28年,本年6月,直近の閣議決定,バージョンアップされたものにおきましては,次のようになってございます。まず,下段でございますが,第1パラグラフの部分ですが,非営利法人型カンパニー制度につきましては,厚労省の医療法の改正が昨年の通常国会でなされまして,地域医療連携推進法人制度が創設してございます。これにつきましては,来年度から施行になっているということでございまして,他方,文部科学省中心でございますけれども,大学病院の別法人化につきましては,「また」のパラグラフにございますとおり,「他病院との一体的経営を志向する大学附属病院の大学からの別法人化についても,「地域医療連携推進法人」制度と同時に円滑にスタートできるよう,本年中に必要な制度改正を行う」ということになってございます。
 今回は,この閣議決定に従って所要の措置を講じたいと考えまして,本審議会に方針をお諮りしているところでございます。
 次に,制度改正の概要につきまして御説明申し上げます。行ったり来たり恐縮でございますけれども,この資料1-1の2枚目,3枚目と,横長の資料1-2を相互に御覧いただきながら説明を聴取いただきたいと存じますけれども,まず別法人化するということでございます。先ほど,端的に永田先生からお話がございましたとおり,従前の大学ごとに置かれる附属病院とは別の法人格を持った法人の有する病院にまずしなければいけないということでございますけれども,まず要件の1としては,従来の設置形態と異なる場合としている許容される別法人が開設管理する病院は,その法人は閣議決定の趣旨に従いまして,資料1-2の中ほどの図示,模式図の部分を主に御覧いただきたいと存じますけれども,閣議決定の趣旨に忠実に,地域医療連携法人制度,厚労省が創設しましたこの連携法人制度にまず参画する法人に限定いたします。ただ,それだけでは,一方で閣議決定の求めております従前の教育,研究機能の維持向上を図るという趣旨,目的が十分達成できない恐れがありますので,新たに大学,従前どおり医学部を置いている大学と,新たに地域医療連携法人制度に参画する法人の有する病院,その法人との間で協定を結んでいただく。その協定の中には,従前どおり,大学の教育研究機能は十分担保されるといったようなものを十分に盛り込んでいただいて,これについて,こういったことの新しい設置形態を希望したいという大学がありますれば,こういった要件をクリアした上で,文部科学省の方に申請をしていただく。その上で,要件の適合性について,これはもう教育的,学問的,専門的見地から判断すべき事情でございますので,新たに設置審の方で要件の具備状況を審査していただきまして,可となった場合には,こういった設置形態を取れるというようにしたいと考えてございまして,これに伴う所要の改正を,法文的には資料1-1の2枚目の別紙,それから,文部科学大臣が定める要件の主なものにつきまして,参考1にそれぞれ規定をしたいと考えてございまして,本日御審議いただきまして,お許しいただけますならば,閣議決定に従いまして,本年中の公布,来年度の施行を考えてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 今御説明いただいたとおりなのですが,まず御質問あるいは御意見等を頂けたらと思います。
【岡本委員】  附属病院,第70条第1項に規定する参加法人が開設する病院を附属病院に含むことということは,大学が,そのような参加法人が開設する病院を附属病院と読みかえることができるというように解釈してよろしいんでしょうか。
【永田分科会長】  事務局からお答えしますが,少し違うのではないかと思います。
 どうぞ。
【寺門医学教育課長】  今申し上げました要件を具備した場合には,法令上,従前どおりの附属病院として位置付ける。ですから,従前どおりの附属病院ということで,法令上の位置付けは変わらないということでございます。
【岡本委員】  そうすると,例えば独自で持っている付属病院のほかに,もう一つ附属病院と位置付けるものができると,こういう理解でよろしいんですか。
【寺門医学教育課長】  そうではございませんで,今,附属病院の場合は,先生御案内のとおり,大学が自ら開設管理する場合がございます。ただ,今回の場合のように,従前の教育,研究機能を維持しつつも,より地域に貢献したいという場合には,こういった要件を整えれば,そういう病院も設置基準上全て満たしていただいた上で,そういう新たな設置形態についても附属病院として法令上認めると。ですので,一部附属病院的機能を持っているものは今でもございます。関連病院という形でございますけれども,そういうものではなくて,こういった設置形態も新たに認めるということでございます。
 なお,付言いたしますと,今,医学部の新設はできません。閣議決定によりできませんので,こういったものが新たにぽこぽことできるということはございません。新たに今ある附属病院の設置形態について,大学がいろいろなことをお考えになって,こういった設置形態でもより望ましいと,従前の教育,研究を維持できながらも地域の医療貢献もできるということを判断すれば,こういう設置形態も新たに認め得るということだと御理解いただきたいと思います。
【永田分科会長】  よろしいですか。
【岡本委員】  何となく分かりにくいです。
【永田分科会長】  現在の大学病院ではできませんが,例えば,地域医療連携法人に大学病院が参加した場合,これに参加する別の病院が薬を安価に一括購入して,大学病院がそれを使うことができる,というようないろいろな利便性が考えられます。つまり,大学附属病院としてのアイデンティティは変わらないけれども,機能上,そういうものと重複して現在制度上不可能なことが一部できるようになる,ということです。
【岡本委員】  分かりました。
【永田分科会長】  河田副分科会長,どうぞ。
【河田副分科会長】  誰も質問がないと思って手を挙げたんですが,1-2の図を見ますと,大学とは別の法人を大学で作る。ここを抜きにして,大学附属病院を上に上げれば一度で済むのではないかというのが一つ目の疑問であります。
 とともに,今,私立大学には30の医科大学がありますが,複数の大学附属病院を,例えば順天堂大学などは五つの病院,医療センターを含めれば六つ持っている大学もあるわけですね。そうすると,二つは別法人になることができて,あと四つの病院はそれを望まないという,そういう選択も可能になるわけでしょうか。その辺はいかがですか。
【寺門医学教育課長】  よろしいでしょうか。まず1点目ですが,河田先生がおっしゃった1点目,要するに,地域医療連携法人が直(じか)付けした病院があればいいということですが,それは閣議決定の趣旨に忠実に考えますと,教育研究面での担保を考えなければいけない。そうすると,地域連携法人に直接ぶら下がった病院であれば,主目的は地域医療連携が主目的ですから,教育,研究とのコンフリクトが起こる可能性がある。したがって,そのコンフリクトを避けるために別法人をかませて,その別法人と大学との間で教育,研究面を主たる目的とする,そういう協定を結んでいただくというふうにしたいと考えてございます。
 後者の点については,理論的な可能性は排除されるものではないと思いますが,基本的にまずは大学設置基準上の附属病院というスペック,これがきちんと満たされている病院かどうかという点を考えたときに,そのような設置形態でバリエーションがあるかという点については,具体の申請を待って,設置審の先生方のもと,御意見を伺いながら考えてまいりたいというように考えてございます。今段階ではまだ分かりませんけれども,そういったことも可能性としては排除できないと思います。
【永田分科会長】  天野委員,どうぞ。
【天野委員】  二つ教えていただきたいんですけれども,説明では,大学の方で希望すればというお話だったんですけれども,私,防災の方をやっているものですから,いざ発災ということになると,災害拠点病院が非常に重要になってくるんですが,地域によっては非常に大きな大学病院があって,いざというときにここが災害拠点病院で機能してくれると非常にいいのにというような場合もあるんですが,この地域医療連携推進法人の方から,大学病院を地域連携の中に生かしていただけないでしょうかという働きかけができないのでしょうかというのが一つ目です。それと,もし,どこかの大学が希望して,こういう地域医療連携をやると,発災時に機能するためには,平常時からかなりいろいろやっておかないと,発災時には使い物にならないですけれども,そうすると,この病院の教育機関ということ以外に,新たな機能はものすごく増えると思うんですが,これは非常に下世話な話ですが,文部科学省以外からもこちらの大学病院の方にはお金が入ってくるというような流れはあるんでしょうか。人材とか,予算とか,非常に必要になってくるのではないかというふうに少し心配するものですから。
【寺門医学教育課長】  御指摘ありがとうございます。
 直接的には,今,先生がおっしゃった点は,この制度とは関係ないと考えてございます。と申しますのは,地域連携法人制度は,先ほど,分科会長が御指摘いただいたとおり,資料1-2にあるとおり,一定の限られた連携,地域医療そのものを,非常時ではなく,通常の地域医療をいかに効率的に介護も含めてやっていくかという制度でございますので,その範囲内においてのアライアンスでございます。
 ただ一方で,これは大事な点ですが,むしろ大学附属病院が従来果たしている,更に充実が求められている防災医療への貢献を果たすためには,従前どおり,教育・研究機能をきちんと維持されることが必要だと思います。その点は確保しながら,更にアライアンスに入っていくことでございますので,先生がおっしゃっていることは,今後,充実を図るべき重要な課題だと受けとめてございますが,今回の制度は別だと御理解いただければ有り難いと存じます。
【永田分科会長】  はい,佐野委員,どうぞ。
【佐野委員】  資料1-2に関しての質問ですけれども,従前,大学医学部が持っている大学附属病院がございます。これがこの要件を満たして希望すれば,設置主体は大学法人から切り離されて,一般社団法人等になるということでしょうか。
【寺門医学教育課長】  おっしゃるとおりです。
【佐野委員】  そうしますと,医学部で附属病院を持たない大学法人が出てくるということでしょうか。
【寺門医学教育課長】  いえ,そういうことがないように,疑義が生じるので,こういう一見すると従前はない設置形態も法令上含むという形で附属病院として扱うということです。したがって,設置基準での教員等の条件は十分具備していただく必要があるというふうに考えてございます。
【佐野委員】  なるほど。そうしますと,大学法人として考えた場合には,大学附属病院を持たない医学部のある大学法人があるということでしょうか。
【寺門医学教育課長】  いや,持たないということは法的にはないです。
【佐野委員】  ないんですね。
【寺門医学教育課長】  はい。医学部には必ず附属病院を持っていただく。こういう設置形態も許容して持っていただく。持たない大学は医学部としてないので,それは許容されないと思います。
【佐野委員】  そうすると,ここにあります図の中にある大学附属病院の上にある別の法人というのがございますね。これは法人格を持って設置主体になるわけではないわけですか。
【寺門医学教育課長】  あります。ですから,病院の開設管理権限は,この別法人がありますが,今申し上げたような要件を具備した形であれば,医学部の附属病院として含むというふうに法令上位置付けるということです。
【佐野委員】  在り方としては含むということですね。
【寺門医学教育課長】  はい。
【永田分科会長】  金子委員,簡潔にどうぞ。
【金子委員】  ただ分かりにくいのは,実態としての現在の大学附属病院の人員,それから予算というものが,この新しい法人に移管されるのかどうかというところだと思います。機能のイメージが必ずしも対応していないので,非常に分かりにくい。
【寺門医学教育課長】  移行面における財政の予算措置等については,これは予算要求事項でございます。最終的に財務当局にお願いしようと思いますけれども,基本的には円滑な移行でございますし,先ほど申し上げましたとおり,設置形態が異なった今回の場合の医学部の附属病院であっても,設置基準上必要な専任教員数を置きますので,その方々については,当然予算措置がなされるだろうというふうに認識がございます。また,円滑な移行という点については,現在の職員についても,そういった点について意を用いてまいりたいと考えてございます。円滑な移行の点についても,申請の大学等の状況を見ながら適切に指導,助言してまいりたいと思ってございます。
【永田分科会長】  よろしいですか。
 金子先生が最後に財源についての疑問点を指摘していただいたわけですけれども,これは契約を結ぶということになっています。ですから,大学の教育,研究に支障が生じるような問題があれば契約できないわけです。教育・研究機能を担保した上で契約をするのですが,例えば,医学部の先生が病院で行っている外来も今度は他法人なので契約条項になります。一方,別法人となる大学病院は,収益を出している部分で,大学本体と別途の給与表を作って,病院が雇うことができるはずです。そのほか,運営費交付金等の予算措置の問題は,今,御回答いただいたとおりで,円滑に今の大学の中でも別セクターとして動いている病院は,当然支援されるという前提だと考えます。
 鈴木委員,どうぞ。
【鈴木委員】  この資料1-2のところの下の方で,地域医療連携推進法人とありまして,今御説明は,大学とは別の法人を作るということですが,その右の方に,医療法人,そして民間病院,それから社会福祉法人,そして介護施設というのが並列されていますが,この大学とは別の法人を作ることによって,民間病院を含む医療法人,介護施設を含む社会福祉法人などの全体の医療体制に対して,どういうインパクトがあるのか,あるいはないのか,その辺の予想をちょっとお伺いできればと思うんですけれども。
【寺門医学教育課長】  御質問ありがとうございます。
 地域医療連携法人制度にまず参画する法人ということが第一条件でございますので,この地域医療連携法人制度は,各都道府県の知事が認定します。ですので,今,鈴木委員がおっしゃった地域医療のインパクトという点については,都道府県知事が各都道府県の医療審議会の意見を聞いて認定するかどうか決めますので,その点で十分な御議論がなされた上で,申請されてくるものだと考えております。
 ですから,ネガティブなインパクトがあるものは基本的に地域医療連携法人として認定されないだろうというふうに考えております。
【永田分科会長】  いかがですか。前野委員,どうぞ。
【前野委員】  不慣れなため,少し教えていただきたいんですが,この別法人化のシステムは,例えばグローバル化とか,国際協力の面からはメリットがあるものなのでしょうか。それとも現状と余り変わらないシステムなのでしょうか。
【寺門医学教育課長】  釈迦(しゃか)に説法と存じますけれども,病床数が増えていくという点が教育・研究面において臨床事例がたくさんあるといったような,そういったインパクトがあると思いまして,全くないことはなく,副次的にはあると思いますけれども,主目的はるる申し上げましたような地域医療の充実構想が主目的でございますので,まずはそういう点を眼目に置いて運用されるべきものだろうと考えてございます。
【永田分科会長】  いきなり今回,諮問事項として出てきたので,十分咀嚼(そしゃく)されていないところもあるかもしれません。本日決めてしまうわけではなくて,今頂いたような御意見に対して,もう少しスムーズに回答できるような状況を作って,その上でまたもう一度御議論をさせていただきたいと思っております。
 これは雑駁(ざっぱく)に言ってしまえば,新しい大学病院ができるということはありませんので,現況,日本の大学が持っている大学病院のみが対象となる制度である,という認識を持っていただく。そのうえで,その大学病院がより機能を発揮しやすい状況を作ろうとしている,というふうに考えていただければ分かりやすいかと思います。先ほど申し上げましたように,飽くまでも大学病院が持っている教育・研究機能を損なう可能性がある合は,設置審で認められないという回答になります。
 よろしいでしょうか。
 それでは,今頂いたいろいろな御意見,御議論をもう少しまとめて分かりやすい形で,次回,サマリーをして,もう一度御説明を申し上げて議論をした上で,先へ進めたいと考えています。
 どうもありがとうございました。

(2)高等教育機関の教育研究の展開方策について,事務局から資料2に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【永田分科会長】  続きまして,審議事項の二つ目,今後の高等教育政策の在り方ということでございます。
 本件については,資料2を御覧になりながらお聞きいただけると,分かりやすいかもしれませんが,これまでに1,2,3という三つの論点を設定して自由に御意見を頂くという形で議論をしてきました。そのうちの1点目の論点である,各高等教育機関の機能と役割という部分にフォーカスをして議論を進めてきました。今回は,2番目の高等教育機関の教育研究の展開方策についてという部分について,意見を頂きたいという趣旨です。
 作業チームのメンバーの選任は,前々回,分科会長に御一任いただいており,参考資料2のとおり選ばせていただきました。その中で,お忙しい中,鈴木委員に座長をお願いし,お引き受けいただいております。感謝申し上げたいと思います。
 また,先ほどありましたが,この作業チームのメンバーで大学分科会に所属されていなかった先生方に,新たに本分科会にも御参加いただくというのは,議事に入る前の御説明にあったとおりです。
 この作業チームにおいては,今後,検討を進めていただいて,必要な施策等についても含めて御議論いただいて,一定の進展をあったところで,本分科会にも御報告いただきたいとお願いをしているところです。
 ここまでのプロセスは,既に前回決めていて,本日は参考資料2を御報告しているわけですが,次に,論点の2番目の,高等教育機関の教育研究の展開方策について,これは質の一層の向上という論点が中心になるかと思いますが,その方策を中心に議論いただきたいということです。
 資料に説明がありますけれども,以前から言われているように,学生の学修時間が短いこと,それから,指導方法の改善や学修成果の評価が十分でない,といったような課題もあります。こういった課題をどのように改善したらいいか,具体的な方策,あるいは政策としてどのように改善していくべきか,というようなことがあります。
 また,2に書かれていますけれども,社会構造の大きな変化に対応して,という点について,社会やいろいろなところから指摘を受けております。それについてもここで御議論いただきたいと思います。特に,ここに例示してありますけれども,新たな高等教育機関の制度化についてはもう既に答申されているものですけれども,来年度に具体的な準備が行われると思います。さらに,卓越大学院プログラム構想の検討などは,大学,産業界,あるいは国外の組織との連携等を踏まえて行う共同教育研究ですから,これにまつわることについても目配りをしながら御議論いただきたいということです。
 また,ここに書いておりませんけれども,私から申し上げたいのは,特に1も2もそうなんですが,教育プログラムはどの大学でも創成されていますけれど,学位を授与する基礎となる教育プログラム,つまり,学位プログラムについての議論を,本当はもっといろいろなところでしていただきたいのです。特に,質を向上させるという意味で,先ほど申し上げた作業チームにおいて議論しようとしている第2のポイントについては,是非とも考えていただきたいですし,卓越大学院プログラムを構想するに当たっては,現況の組織である学科や,この場合は大学院ですから専攻というものを改組再編しない限り学位が与えられない,という状況があり,自由な発想での教育展開はできない可能性があります。したがいまして,こうした背景にある課題もあるのだ,ということを御認識の上で,是非とも作業チームの方で具体的に練っていただきたいというふうに考えております。
 ここまでは概要の説明なのでですが,これはこちらの方で前から作ってきた検討事項の1,2,3の2について,再度御議論をしているということになります。
 これについて御意見をこれから伺います。その前に,今申し上げた1の部分については,ずっと議論の俎上(そじょう)に上っているわけですけれども,実際どのような状況であろうか,ということを御紹介させていただこうと思います。その御紹介をお聞きになりながら,1の,あるいは2の問題点について,お考えいただき,その後に議論をしたいと思います。
 それでは,特に1の部分について,大学生の学習実態に関する調査研究,これに取り組まれております国立教育政策研究所の濱中総括研究官をお招きしております。この研究成果を伺った上で,更に議論をしたいと思います。
 それでは,濱中総括研究官,御説明をよろしくお願いいたします。
【濱中国立教育政策研究所総括研究官】  国立教育政策研究所の濱中と申します。どうぞよろしくお願いします。
 資料3は先月,所内で国立教育政策研究所のプロジェクト研究の成果報告会という形で報告させていただいたときの資料の体裁をとっておりますが,本日は,時間の関係上,データのところを中心に御説明したいと思います。
 もともと大学生の学習実態に関する調査研究というのは,平成24年の「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて(答申)」を受けて,スタートしたものだということではございますが,平成25年から27年の3年間のプロジェクトで,25年に試行調査という形で2,400名程度の無作為抽出による学生の調査,続いて,平成26年度に,日本学生支援機構が長期間行っております学生生活調査と共同で,約4万人規模,回収ベースでいくと2万人の大規模調査を実施いたしました。本日は,この二つの調査の集計結果を御報告いたします。
 具体的な本日の分析課題ということですけれども,そもそも学生の学習時間,学習経験が変化したのかということで,こちらにつきましては,東京大学の大学経営・政策研究センターが2007年に行いました全国大学生調査の学習時間のデータと比較を行っております。
 続きまして,学習時間を増やす,あるいは増大を促進する,阻害する要因は何なのかということで,幾つかの変数とか学習時間の関係を集計しております。
 3番目に,学習時間あるいは学習経験と,本来,大学教育のアウトカムを全体評価できるような指標があればよいのですが,本日は,大学での成績との関係を分析いたしましたので,そちらを紹介したいと思います。
 まず大学生の学習時間がどうなっているのかという実態を御紹介いたします。
 8ページのグラフになりますが,これは2014年度(平成26年度)の調査における学習時間の状況です。御覧のとおり,学年によってかなり変わるわけでございまして,一,二年生はほぼ似ておりまして,大体授業が20時間,授業の予習・復習の時間が5時間前後。それに対してアルバイトの時間が8から9時間ぐらい。アルバイトの時間は学年によって変わりませんが,授業の出席時間は3年生,4年生と減っていくという形になっています。4年生は,確かに卒業論文の時間が多いわけですが,卒業論文そのものが課されていない場合もありますので,それほど大きな時間になっているというわけではございません。
 この学習時間がどれぐらい2007年度の調査と変化しているのかというのが9ページのグラフになりますが,上の段が我々が行った国立教育政策研究所のデータ,下の段が東京大学の調査でございます。
 長時間のところの率がちょっと違いますが,ほとんど学習時間そのものは変化していないと見てよいのではないかと思います。7割程度の学生は週に5時間以下,1日にすると1時間以下の学習量で,授業の予習・復習の時間であるということになります。
 ただし,学習時間はほとんど変化していないということなんですが,授業の内容・方法等の改善については,ある程度進んでいるという結果が得られております。
 10ページ目には,「小テストやレポートなどの中間課題が出される」以下,授業の内容や方法等の工夫といったものがどれぐらいあったかという頻度を尋ねたものですが,赤い方の棒,2007年度の調査に比べて2014年度調査では,多くの項目で「よくあった」あるいは「ある程度あった」と回答している率は増えておりますので,教育方法等の改善はかなり進捗しているということかと思います。
 ただし,次のスライド,この教育改善の進捗状況は,どうも大学の類型によって異なるということも明らかになっております。以下3ページは,私立大学等の振興に関する検討会議の方で紹介させていただいた資料に,国立大学と公立大学のものもそのときにあった方がいいんじゃないかということがありましたので,付け加えさせていただいたものです。
 上の第1世代中核から第4世代と書いてあるところまでが私立大学,以下,国立大学,公立大学を付け加えてあります。大学類型の細かいことについては,本日は時間の都合上説明できませんが,大学の歴史と規模によって分類されている。本日も出席されておられます金子委員が1996年に発表された論文で使用されているものでございます。
 これも見て分かるとおり,まずグループワークなど学生が参加する機会があるというものについては,要するに,歴史のある伝統的な大学に比べて,新設の大学,第3世代,第4世代と比較的最近できた大学の方が,そうした機会が多いということは明らかかと思います。大学の数が多過ぎるのではないか,大学を作り過ぎではないか,そういう議論は社会的にあるわけですが,大学教育で行われている学習経験の質というようなものを勘案する限り,必ずしも作り過ぎ,質が低下しているということは言えないのではないかということを示すために紹介したグラフでございます。
 もちろん学生数の規模が大学の歴史によって違いますし,専攻分野等の構成も大きく異なりますので,そうしたものの特性を反映していることは確かでございますが,大学類型によってかなり違う。
 次のページは,教員との関わりに関するものを二つ並べておりますが,「適切なコメントが付されて課題などが返却される」,あるいは「先生に質問したり,勉強の仕方を相談している」という項目についても,やはり伝統的な大規模大学に比べると,比較的規模の小さな新設の大学の方が教員と接触する機会が多く確保されているのではないかということが言えます。
 ちなみに,国立大学,公立大学について見ますと,国立大学の方が一般的にはST比が低くて教育条件がいいと言われているわけですが,こういった面で見る限り,必ずしも国立大学の教育が学生にとって充実しているかというのは疑問であるということになるかと思います。
 もちろんそうした大学の学生の方が学生が自主的に学習している,先生に直接質問したりすることはなく自主的に学習しているということを示しているのかもしれませんが,学習経験の質としてはこのような分布になっているということでございます。
 続きまして,学習時間の増大を促進あるいは阻害する要因を紹介いたします。
 最初に阻害する方から参りますが,最近よく言われているのは,学生の家計の状況が厳しいがゆえに,アルバイトをせざるを得ない。アルバイトが学習時間を阻害する要因になっているのではないかということであるわけでございます。確かに15ページに示しましたグラフのように,アルバイト時間が長くなれば長くなるほど,学習時間,授業の時間にしろ,授業の予習・復習にしろ,その他の学習時間にしろ,少しずつ短くなっているということはいえます。特に,20時間を超えるようなアルバイトを行っている学生においては,やはり学習時間が優位に短くなっているということが読み取れるわけですが,そうは言っても,それほど大きな差があるというわけでもないということかもしれません。
 そのことを示しますのが,次のページの表になりますが,こちらはアルバイト収入の使途と週当たりの授業,予習・復習の時間の関係をクロス集計したものでございます。
 こちらを見ると分かるとおり,学費のためにアルバイトをしていると回答した学生は低所得層に多いことは確かなのでございますが,こうした学生の方が,予習や復習の時間はむしろ長いという結果になっております。これは授業,予習・復習の時間で見ましたが,学業成績とのクロス集計をとっても,ほぼ同じ傾向が確認できます。
 学費のためにアルバイトをしているというのは,実をいうと,アルバイトを学期中に全くしなかったという学生と比べても若干学習時間が長い,そういう傾向になっていまして,家計事情による長時間のアルバイトの悪影響が指摘されているわけですが,調査結果を見る限りは,その傾向は確認できないということになろうかと思います。
 もちろんそうした学生が存在しないというわけではなくて,そういう学生が一定数探せばいるということは確かなわけですが,マクロで見れば,こういう状況にあるということだと思います。
 アルバイトがそれほど重要でないとすれば,ほかに何なのだということで,次に見たのが履修科目数の多さが影響しているのではないかということです。我々の調査では,1から2年生では,平均して1学期に13から14科目の登録となっています。一つの授業当たりが1.5時間(90分)とすると,13から14で大体週に20時間の授業出席時間になりますので,冒頭で紹介した学習時間の授業出席時間20時間とほぼ一致いたしますので,確かに学生の出席率は近年かなり高いということはいえるかと思います。
 ただし,1セメスタ当たりで13から14科目,20単位以上の習得ということになりますので,先ほども見たように,3年生当たりでペースを落とさないと,大体6学期,6セメスタ,3年生で卒業要件を全て満たしてしまうといった状況が今日に至ってもほとんど変わっていないということではないかと思います。
 特にこの17ページのグラフにつきましては,一,二年生は週に15から19,あるいは20科目を超えるような学生もかなりいるわけでして,1学期に30単位以上習得というのもざらにいるということになろうかと思います。
 もちろんこれだけ授業に出席した上で大学設置基準を満たす予習・復習などの自習の時間を入れようとしたら,週に60時間ぐらい勉強しなければいけないわけで,そもそも無理なことがまかり通っているということになろうかと思います。
 この履修科目の多さの問題点については,後ほどもう一つ,学業成績との関係で御紹介させていただきたいと思います。
 次のページになりますが,一方で学習時間を増大させる,促進する方の要因についてでございますが,ここでは教育改革,教育内容・方法の改善と学習時間の関係を集計してあります。
 18ページのグラフは,先ほど示しました授業の内容・方法等の改善が「よくあった」,「ある程度あった」と回答した項目数によって,その学生が受けた授業のカリキュラム,形態を三つのグループに分けたものです。これは我々の研究グループの岩田先生の分析によるものなんですが,数が多いほど最近型,中間型,旧来型と,ネーミングはともかくとして,改善が多く進んでいるかどうかを示したものだというふうに理解していただければと思います。
 18ページのグラフにありますように,確かに授業改善の工夫が進んでいる,より多く行われていると答えた学生の方が学習時間が長い。授業の時間についてはほとんど変わりませんが,授業の予習・復習の時間は少しだけ長くなっているということが確認できます。
 もっとも,そもそも勉学に対して意欲の高い学生がこうした授業に多く参加しているという可能性も考えられますので,以下では,文部科学省が行っている「大学における教育内容等の改革状況調査」と呼ばれている各大学学部に対して回答してもらっている機関調査のデータと,我々が行った学生調査のデータをマージしまして,どういった取組を行っていると学生の学習時間が増大するのかという要因の分析を行いました。幾つか学習時間に関連すると思われる要因,専攻分野とか学年とか,そうしたものはあらかじめコントロールした上で,教育改革の取組について,改革状況調査は41項目あったのですが,それを順番に回帰分析と呼ばれる手法に説明変数として投入していって,効果があったものを残す,そうした手順で分析したのが,20ページの表になります。
 こちらの表については,細かく説明はいたしませんが,改革状況調査でこういう取組を行っていますと答えた学部に所属する学生の学習時間が伸びている,そうした効果を示す項目は,41項目のうち,学生の学習経験等を問うアンケート調査,学習行動調査等を実施しているという項目のみでした。これは予習・復習の時間に対しても,授業に関係ない自主的な学習の時間に対しても,プラスの効果を持っているということでした。
 なぜこの学習行動調査が学習時間を増やすのか,学習を促すのかというのは,そのメカニズムについてはいまひとつよく分からないと言えば分からないのですが,学習プロセスをモニタリングすることが一定の効果を持っているのか,あるいは,こうした調査が繰り返し行われることで,何となく学習時間が多いところに丸を付けるのか,その点についてはもう少し詳しくやってみないと分かりませんが,面白い結果が得られております。
 ただし,教育改革の取組によってもたらされる学習時間の増大分の効果は,かなり小さいわけで,むしろ学生の個人的な態度や構えのようなもの,卒業後にやりたいことが決まっているとか,興味が湧かない授業でもきちんと出席する,あるいはなるべくよい成績を取る,こうしたものの方が学習時間を増加させる要因としてははるかに大きいということがいえます。この点については,後で出てきます大学の成績の規定要因の分析についてもまた御紹介したいと思います。
 というわけで,次のページに参りますが,三つ目の課題,学習時間・学習経験と学業成績の関係ということで,こちらについても我々の研究グループのメンバーが行った分析結果を紹介したいと思います。
 まず,23ページ目ですけれども,これは学習時間と学業成績の関係をパス解析と呼ばれる手法で分析したものです。結論だけ申しますと,大学の授業の予習・復習などの時間は,大学の成績には直接的な効果を及ぼしていない,他の要因をコントロールした場合に直接的な効果はないという非常に不思議な結果になりました。
 むしろ大学の成績に大きな影響を与えているのは,先ほど申し上げましたような,よい成績を取ろうとしているとか,興味のない授業でも出席するようにしているとか,そうした授業への取組意欲みたいなものの方が大きく影響して,それをコントロールしてしまうと,学習時間そのものは直接影響しないということになります。そもそも学習時間の短いところに集まっているので,こうした結果になることもある程度想定できるかと思います。
 むしろ重要だと思うのは,更に次のページの単位の修得状況と学業成績の関係というグラフでございまして,こちらは当研究所の朴澤研究官の分析によるものです。横軸はパーセントが書いてありますが,これは卒業要件のうち何%ぐらいの単位を既に修得しましたかというもので,1年生に関して言うと,15%以下,15から30%,30%超ということで,大体1年生の中で平均的な人が15から30%,多く取っている人が30%超,15%以下というのは少なく取っている,これが3分の1ぐらいに分かれるように分類したもので,縦軸の方には標準化されたJPAをとっています。
 1年生のグラフはかなりはっきり出ているわけですが,30%超,要するに,124単位の30%超ですから,1年生の最初の学期に30単位とか以上修得したという学生になりますが,明らかに平均的な修得単位数の学生と比べて,成績が低いということが見てとれます。2年生については若干その傾向は弱まりますが,やはり単位を多く取っている学生の成績はちょっと下がります。統計的に優位ではないということでしたが,若干差があるのです。ただ,3年生,4年生になると,その関係は見られなくなって,むしろ要領よくたくさん取った方が成績がよくなっているということなので,何とも言えませんが,一,二年生に関しては,最初に紹介したように,授業の登録数が非常に多いのです。授業出席時間も長い。ただ,過剰に授業を履修することで成績を下げているという側面も見られますので,やはり授業の時間をどう考えるか,どれだけ中身の濃い履修の仕方を考えるかということが大切になるのではないかということがここから示唆されます。
 以上がデータの紹介でありまして,学生調査の活用可能性ということを書いてあります。こちらは省略して,こうしたデータは,やはり全国的な状況で継続的に調査していくということは重要かというふうに我々も考えておりますので,今年度(平成28年度)につきましても,学生生活調査,日本学生支援機構と共同で,11月1日から調査を実施する予定にしておりますので,各大学の皆様におかれましては,引き続き協力をお願いしたいと思います。
 報告は以上でございます。ありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは,今の濱中総括研究官からの御説明に対する御質問でもよいですし,先ほど,その前に御説明した資料2に対する御質問あるいは御意見でも構いません。どうぞ御自由に御発言をください。
 志賀委員,どうぞ。
【志賀委員】  すみません。いろいろなところで話す機会があるので,誤った理解をしているとよくないため,少し質問したいんですが,学習時間は,例えば文系と理系で差が大きいとか,あるいは,大学を卒業したときに,例えば文系であれば,弁護士資格だとか,公認会計士資格だとかの国家資格に関わるものを取る,理系であれば,一級建築士だとか,いろいろあると思いますけれども,そういう資格を取ることを前提としたところとの差があるのか,教えていただけませんか。
【濱中国立教育政策研究所総括研究官】  まず,専攻分野による違いですけれども,これも5月ぐらいに日経新聞に寄稿させていただきましたが,社会科学系がどうも圧倒的に少ないということは明らかである一方,理系がそんなに長いかというと,一,二年生に関してはそれほどでもない。ただ,卒業論文の時間は理工系は非常に長いということは明らかになっております。
 それから,資格関係ですけれども,今回,紹介した学習時間を見ても,五,六年生は医学部,歯学部などですから,当然,資格関係で授業に関係ない時間みたいなものが非常に長くなる。文系についても,やはり3年生ぐらいになると,資格試験を受験するであろうと思われるような学生は,若干授業に関係ない学習の時間が増えるという傾向になっているかと思います。
【永田分科会長】  そのほかいかがでしょうか。
 河田副分科会長,どうぞ。
【河田副分科会長】  濱中先生のお話は,とても参考になって,私立大学等の振興に関する検討会議でも御説明いただいて,とてもよかったんですが,24ページと17ページのところで,自習が多くなればなるほど,一,二年生のときは成績がよくないという,そして17ページを見ていただいてもそうなんですけれども,ほぼ3年生で卒業の要件を満たすという大学が国公私立合わせて非常に多いと思います。日本の四年制大学では,恐らく本日御出席になっておられる鈴木委員の国際教養大学と日比谷委員の国際基督教大学(以下,「ICU」という。)が一番きちんとした教育をなさっていると私は思っております。本日来ておられない小原委員の玉川大学は,資格を取らない学生であるならば,1年間の履修の上限を32単位で切っておるわけです。ということは,124単位で卒業できるのに対して,128単位までしか履修を認めない。それはいわゆる文学部,教育学部,それから農学部,工学部,8学部あったと思いますけれども,全ての学部でそのようにしている。もちろん教員免許を取ったり,図書館司書を取ったり,そういうところは別でありますけれども,CAP制というのでしょうか,そのような形できちんと履修制限をさせている。ということは,1単位に対する勉強時間が非常に密度が濃い。私は私立大学の中ではいつもこの玉川大学のCAP制度をモデルになさいと言っているんですが,やはりそういう資格を取らない学生について,日本の大学はたくさん単位を集めればいいというがごとき雰囲気,おかしな伝統があると思っています。そういう意味では,きちんとしたカリキュラムポリシーの中で,単位を過度に取らさない,そうすると1時間当たりの学生の勉強時間はどんどん増えるのではないかと考えますが,その辺,いかがでしょうか。
 国際教養大学の鈴木委員,あるいはICUの日比谷委員はどうお考えでしょうか。
【鈴木委員】  よろしいですか。
 今,河田副分科会長の御質問に,私,直接答えるということではないんですけれども,この学習時間とアルバイトとの関係とか,いろいろ出ておりますが,たしか金子委員がおやりになった東大の研究の中で,日本の1年生の学生の学習時間と,アメリカの1年生の学生の学習時間は非常に対照的になっていて,日本の場合,ここに書いてありますように,週に1時間から5時間くらいというのが70%くらいで,逆にアメリカの場合ですと,週に11時間からそれ以上というのが70%,80%だという非常にはっきりした対照が出ていたように記憶しているんです。
 それで,例えば,20ページのところに,重回帰分析をおやりになって,これは先ほどのお話ですと,41項目ということだったかと思いますが,ほとんどが学習時間に関係がないというような意味のお話もあったかと思うんですが,勉学に対する強制力を持つものをきちんとこの41項目の中に入っていたと疑問に思います。例えば,シラバスなどは入っていたのかどうか等がこの重回帰分析の結果を多少変えてくるのではないかというふうに思うんですけれども,その辺が一つと,私は,金子委員のお考えを頂ければと思うんですけれども,日米の比較からして,どのようにお考えになりますか。
【堀野高等教育政策室長】  机上に配付されている資料の緑のファイルが置かれておりますけれども,その79ページに今の日米の比較のデータがございますので,これを御覧になりながら,お話を頂ければと思います。
【永田分科会長】  小畑委員,どうぞ。
【小畑委員】  今の濱中総括研究官の研究成果,実は期待を持ってお聞きしていました。学習時間がほとんど伸びていないということで大変残念に思ったんですが,この問題の解決には,ある程度,外圧がないと駄目なのではないかと思います。非常に古くからある課題だったと思うんです。来年の4月1日には各大学は三つのポリシーを明確に検討の上,社会に公表するということになっているかと思います。これはある意味では大変怖い話で,我が大学ではこういう能力を授けた人に卒業認定をし,学士号を授与しますと,社会にある意味では約束をすることになります。それを信用して企業がその大学からこういう能力を持っているだろうと思ってある人材を採用したら,とんでもない,全然その能力には達していないというような人を採用するというケースが現状のままでは多々発生する可能性があります。そうすると,あなたの大学はおかしいと,訴訟沙汰ということだってあり得るのではないか。ですから,大学の自覚と,それからそこを卒業した学生を採用する企業,社会が一体となって,この問題をよい方向に持っていくような仕組みをもう一つ考えたらどうかと思います。
【永田分科会長】  日比谷先生,どうぞ。
【日比谷委員】  河田副分科会長から御紹介いただきましたので。まず,非常に興味深い調査結果だと思いました。御説明ありがとうございました。
 その中でも,特に1年生の履修科目数の多さというのは,私,これ,衝撃的だと思います。CAP制がかなり導入されてきている中で,これはCAP制がありますかというようなこととクロスした分析ができるようなデータは取られているんでしょうか。
【濱中国立教育政策研究所総括研究官】  可能です。
【日比谷委員】  可能ですか。私,いろいろなところで見ますと,CAP制を導入しているところは増えていると思うんですが,これではCAPになっていないよというのがかなりあると思います。
 私,1年生が特に重要であると思いますのは,やはり1年生のときに大学における学習習慣とか態度というものが養成されると思いますので,1年次に多くの科目をとって,余り学習時間もない状態で,これでいいのだというふうに思ってしまうことは非常に大きな問題だと思うので,特に初めが大事ということで,そこは是非多くの大学に共有される必要があると思います。
【永田分科会長】  金子委員,どうぞ。
【金子委員】  先ほどの鈴木委員のお話もありましたので。
 一つは,この結果を見ますと,学習時間がむしろ減っているみたいな結果になっているんですが,この二つのサンプルについては,私どもが2007年にやりました調査のサンプルと,この2014年に国立教育政策研究所がやりました調査で,サンプルが変わっておりまして,この比較からは難しいと私は思います。私どもがやりました調査は120大学ぐらいで全国の大学の6分の1くらいですので,やっぱりこれはかなり差がありました。それから,私立大学が少なかったのと,特に大規模大学が少なかったということもありますので,その差がかなり出ているのかもしれません。私の感じでは,ここ10年くらい学生は勉強する時間は少しは増えている感覚があります。あちこちでお話を伺っていると増えています。
 それから,新しい教育方法に対する興味も,これはこの調査でもそういうことになっていますけれども,かなり増えていて,先生方はかなり積極的になっているのではないかと思います。
 ただ,これを見て非常に感じますのは,私どもは余りサンプル数が大きくなかったので,きちんと比較できなかったのですが,明らかに大規模大学がそんなに成績がよくないということです。これは中小規模の大学は学生を確保しなければいけないので,相当真剣に先生方もいろいろな新しいことをやって,少なくとも教育面での努力は相当やっているからではないか。これはあちらこちらの大学に伺うと非常に感じるところです。
 逆に,大規模私立大学や国立大学,特に有名大学で相当な後れが起こっている。これは非常に大きな問題でありまして,本来,学習力が非常に高い人たちに更に学習できる環境を与えているわけで,むしろ選抜制の高い大学は,どんな授業をやっていても,学生はある程度理解して出席していますから,それで成り立っているというのが現状ではないか。ここのところは実は最大の問題で,一番安定していると思われている大学,社会的人気の高い大学が一番改革が進んでいない,これは非常に危惧する点でありまして,例えばアメリカのハーバードとか,イェールというのは,実は教育改革では一番先頭を切って常にいろいろなことをやっていて,むしろ中小規模の大学がそれを追いかけるというパターンなんですが,日本は全く逆になっている。非常に明確にそういう問題が出ているということが一つ明らかではないかと思います。
 それから,先ほど,教育改革の取組による影響はないということですが,これは少し誤解を招くようなタイトルで,教育改革をどう捉えているか。基本的に文部科学省が推薦する様々な小道具みたいなものは,やっているかどうかということではないかと思うんですが,はっきり言って,文部科学省が推進しようと思っている改革というのは,それぞれのものはいいんですけれども,例えば,CAP制とかなどもいい例ですけれども,それだけで名目的に導入していると言っても,それは実質的にカリキュラムに主体的に考え直して入っていないということではないかと思うんです。シラバスなども非常にいい例ですけれども,シラバスを作ってもほとんど形骸化してしまっているとか,比較的小道具に類するものがかなり既にやられていて,それが直接には余り影響が出ていないのではないかと思います。やはり大学が自分でそういったものを背景として,自分たちがどういうことをやっているのか把握して改善するということが必要なので,学習時間の調査をやっているところは比較的いいというのは,そういうところに大学自身が関心を払ってそのような対応をしているということで,よく解釈すれば,そういうことではないかと思います。
 そういう意味で,改革の取組という書き方は私は非常にけしからんと思うので,これはやめてもらいたいんですけれども,文部科学省が出している改革項目とか,そういうことだろうと思うんです。出しているスローガンが大学がやっている個々の授業のやり方とかカリキュラムの構成とかに必ずしも反映しているものではない,それが非常に重要なところではないかと思います。
 それからもう一つ,成績との関連が授業時間と関係ないということですけれども,これも一つ留意していただかなければいけない点で,成績に一番響く要因は,よりよい成績をとるために頑張っているというのが一番響くんです。要するに,成績をとるには相当タクティカルにいろいろなことができるんです。むしろ,例えばレポートを出させて,それにコメントを返すというのが学習時間の拡大に一番効くんですが,そういうことをやると,成績はむしろ厳しくなるんです。やればみんないいということは出せないので,やっぱり厳しく出す。ですから,そういう授業の成績はよくないんです。だから,成績のみを見るというのは非常によくないのです。いろいろな多様な指標を見ていかなければいけないということだと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 濱中先生に教育改革は何をもって教育改革だと考えるのか,と今お伺いすることは置いておいて,今,金子委員が言われたことは御意見として残しておくべきと思います。
 佐藤先生,どうぞ。
【佐藤委員】  一言だけです。17ページ,学習時間の増大を阻む要因(2)として,授業出席時間数の多さとありますが,実はかなりの大学は,2学期制,あるいは3学期制に切りかえていったと思うのですが,従来の通年で単位を出すという感覚が,まだ残っているようです。私どものところでも,セメスタ制にしたときに,月木,火金,水土というようなパターンで授業を入れるということにして,週2コマずつ配分をし,同時に履修登録をする科目数を減らすという努力をしました。ただ, 4単位を2単位ずつに一つの科目を区切って,2学期続けてやると,1学期当たりの履修登録の科目数は昔並みに10科目を履修登録する。例えば,本学はCAPで20単位セメスタにしているのですけれども,4単位1科目として5科目の登録というはずなのですが,だんだんそれが崩れていってしまうのです。
 ですから,そういう意味では,同時に並行して履修登録をできる科目の数をある程度制限しないと,学習時間はなかなか分散してしまって集中できないのではないでしょうか。先ほど少しお話がありましたが,日比谷先生のところ,国際基督教大学(以下、「ICU」という。)は,多分3学期制で,1学期当たり70分が3回あって,それで3単位を出すという形になっている。そうすると,多分ICUは1学期当たりに登録できる単位数は10単位ちょっとぐらいではないかと思いますけれども。
【日比谷委員】  13と,体育の実技の数え方が,13と3分の1です。大体多くても四,五科目です。
【佐藤委員】  四,五科目でしょう。ですから,そのようなところでも,同時並行して履修できる科目数が多いことも一つの問題点なのかなと思います。
 いろいろな議論の中で,ファカルティ・ディベロップメントなどいろいろやってきたのですけれども,その辺が十分に理解されているかどうか。
 それから,かなり以前からシラバスと言っていますが,相変わらずシラバスが授業科目の概要みたいなもので,この授業ではこれだけのことをやりますとありますが,1行足らずの言葉だけで,何が目的で,どのように授業をやっていくか記載がなくシラバスがシラバスになっていないということが見受けられるのではないかと思います。
 ですから,シラバスを作ってあるので,それだけでよしとするのではなくて,少し内容にまで踏み込むと同時に,ルールを作るだけではなくて,評価をするときにそこまで評価できるように何か仕組みを考えるということも一つの方法ではないかと思っております。
【永田分科会長】  中根委員,どうぞ。
【中根委員】  中根です。ありがとうございます。
 二つ,皆さんとシェアしたいポイントがあります。一つは,研究ということを軸に,日本の大学から少し距離を離して全体を見てモデルをどうしようかという意見。もう一つが,教育。教育の品質をどう上げていくかという具体論です。
 最初なんですけれども,日本の大学をニワトリに例えると,金の卵を産むわけですが,産む卵は就職を目指す人材が主体なんですね。したがって,日本の大学は圧倒的に学部生が多いんです。企業から莫大(ばくだい)な研究資金を集めている米国のニワトリは,私立系大学のトップの場合,産む卵はイノベーションなんです。ですから,彼らの学生構成は,学部が4割,大学院が6割です。留学生は,学部が1割,大学院生は6割を超えている。日本の産業が日本の大学に投資しないのは,一部の例外を除いてイノベーションを生んでいないからではないかなと感じることがあります。大学による教育と研究と産業というパラドクスは,従来型就職人材輩出機関という大学から,イノベーション輩出機関へとトランスフォーメーションを行わないといけないのではないか,これが一つです。
 もう一つ,教育の質なんですが,大学は出口における学生の実力に責任を持つということだと思うんです。単位が取れた,取れないではなくて,実力に責任を持つ。
 私どもの例で大変恐縮ですが,東京理科大学における品質保証は,皆さんの御存じの物理学校伝来の落第制度であります。私が現役のときは5割が落ちました。今でも1割から2割の間です。この落第制度が,実は大学の出口の品質保証であります。品質を伴っていない,実力が伴っていない者は卒業させないということであります。入学時の成績,入試の成績は,卒業時の成績に全く比例しておりません。私どもの調査です。データを提供できます。では,何に比例しているかというと,1年が終わったときの成績に卒業時の成績が正比例しています。ですから,勉強するということです。大変なリスクなんですよ。ですけれども,それは大変必要だなと。
 その中で,落第させるということは,先生も大変に負担がありまして,先生方はどうしたらいいか。お手元に理科大の先生方が作っている教科書を参考のために出させていただいておりますが,めくっていただくと,学長の話があります。ちょうどこの2年間ぐらいで五つ,このような教科書を作ってまいりました。二,三ページめくっていただいて,「はじめに」というページがあります。ここに最初の文章だけ,興味を持ちながら学ぶことができる教科書。学生が興味を持ちながら学ぶことができる教科書を作る。今,建築学の場合は,何冊どころか何十冊連携しないと建築学が分からないんです。ですから,全体が分かりやすいように,目次をちょっと見ていただくと,実は建築に至るまで,建物を構想する,それから建築のエンジニアリング,建物を設計する等々流れが書いてある。読みたくなる教科書。これも一つの教育の品質を上げるということだと思います。とてもいい例で,結果的に教育内容に客観性と透明性が非常に上がりました。
 今ですと,どの先生が何をどの程度教えているか。大変ブラックボックスに近いような状況があるかと思いますけれども,そういうことに対して大きなメスを入れることができた。組織としての教育,内容の標準化,学習時間の徹底,厳格な成績評価,効果的なシラバス等にもつながっていって,大学教育の質的充実につながっていっている。とても大切だと思っている,その出口の学生の実力に対する責任感,教員による品質の主なオーナーシップというのは非常に高まってきたというふうに肌で感じることがあります。
 以上です。ありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは,坂東委員,どうぞ。
【坂東委員】  ありがとうございます。先ほど,金子委員のおっしゃったことに全く同感をするんですが,それに少し付け加えさせていただきますと,11ページから12,13,14で,各大学の類型によってどういう教育が行われているかという比較の中で,第1世代中核,第1世代周辺というのが,いわゆる有名私立,大規模大学です。それに対して,私どものようなニッチ,小さくて,古いけれども余り大きくない大学ですとか,第3世代,第4世代の方たちが一生懸命いろいろな試みをしているわけですが,私立大学の振興に関する研究会のときには,実はこの国立大学,公立大学のデータはなかったような気がするんですけれども,改めて私は,国立大学,公立大学の方で,教育に余り力を入れておられるのかなという,このデータを見て大変感心いたしました。
 御存じのように,学生1人当たりの補助金から言いますと,私立大学は15万円で,国立大学は176万円というのは,もちろん専攻分野の差が影響しているとは思いますけれども,にもかかわらず,教育の部分に対しては,こういう国立大学の方たちのさらなる奮起をお願いしなければならないのではないか。
 それからまた,第1世代ニッチですとか,第3,第4世代の努力が,どうして一般に伝わらないのだろうか。私どもも本当にいろいろ工夫をしているつもりですけれども,そんな自己満足をしていてもしようがないので,どうしたら受験生,あるいは産業界の方たちに通じるのだろうかと苦慮しております。
 そしてまた,先ほど,中根委員がおっしゃいましたように,出口に責任を持たなければいけない。卒業させる学生たちにしっかり力を付けて出さなければならないということで,教員たちは,卒業論文を書かせると大変力が付くから,文章を書かせないのを卒業生として送り出すのは恥ずかしいからと言って,大変な負担ですけれども頑張っているんですけれども,例えばそれは,就職率には全く関係ないんですね。就職は卒論など始まる前に決まっております。ですから,そうしたような努力をどうしたら伝わるのか,評価していただけるのか,ということを考えますと,かねがねお願いしておりますように,出口時点での成果,アウトカムを客観的に評価するような仕組みがないと,幾らインプットのところでいろいろな仕組みを変えたり,働きかけをしても,なかなかそれは一般の社会に通じないのではないか。しかし,例えば,AHELOですとか,ほかに何か変わるものがあり得るかもしれませんが,卒業するときに,例えば法学部ですと司法試験ですとか,医学部ですと国家試験ですとか,薬剤師の場合もそのような国家試験などの合格率によってどれだけ成果があるかというのが分かるんですが,社会科学,人文系あたりでどうすればいいということを是非御検討いただければと思います。ありがとうございます。
【永田分科会長】  それでは,志賀委員,どうぞ。
【志賀委員】  ありがとうございます。産業界の人間なので,反省も込めてお話をしたいなと思うんですが,やはり採用する多くの学生が就職を目指して勉強しているとするならば,非常に残念なんですけれども,一部のグローバル企業の採用スタイルが変わりつつあるものの,依然として大半の日本の企業は,いわゆるメンバーシップ型雇用採用です。
 メンバーシップ型雇用というのは,成績よりもいわゆる協調性であったり,意欲とか,やる気とか,そういうところで採用していて,例えばサークル活動だとか,アルバイトでリーダーをやっていましたという,そういうところで採用をしていて,結果的に,今,政府でやられている働き方改革の大きなポイントですが,メンバーシップ型というのは,メンバーの中に入ってさえいれば仕事ができるので,いわゆる長時間労働の温床になっているわけですね。これを今,日本の企業が競争力を失いつつある中で,いわゆるジョブ型,プロフェッショナル型に変えていく。プロフェッショナル型というのはどういうことかというと,同一労働同一賃金と政府はおっしゃっているんですが,企業からすると,同一成果で短時間に成果を出してくれた人は給料が高くなる。同一成果同一時間だったら同一報酬だと,同一賃金だという考え方です。そうすると,同一の時間で成果を上げるというのはどうするかというと,私は大学のときに学んできた専門性と教養だと思います。メンバーシップ型で課長が残業しているから自分も残業するという従来の時間をかけて仕事をしてきた社会を受け入れているところに,学生の皆さん方が大学時代に一生懸命頑張って勉強しても,会社へ入ったら長時間労働でという,この社会の構造を,方策を議論しろと言われているのに方策を出していなくて恐縮なんですが,ここを変えていくということが非常に大事で,高大接続でいい議論がされているんですが,やっぱり大学と社会の接続という議論がもう少しあって,私は,当初ここの委員になるときに,グローバル人材を大学は育てていないと文句を言って帰ってきたんですが,どうも産業側がこういう人材をきちんと欲しいということを明示しないでやってきているところに,要するに,産業側が採用する人間のハードルを下げているので,学生が勉強しなくても,そこそこ世の中渡っていけるという社会を作ってしまっている。長時間労働という温床を残したままだというのが,ちょっとコメントで恐縮です。
【永田分科会長】  千葉委員,どうぞ。
【千葉委員】  調査結果を見て,私は決して驚かないんですけれども,それは以前と比べて大学が非常に入りやすくなったということで,今は私立大学の場合には,推薦で入る学生さんの方が一般試験で入る方よりも多いという状況ですから,以前に比べて勉強習慣のない人たちが大学に大量に流れ込んでいるということは容易に想像できるわけです。そういう方たちのモチベーションをどうやって高めて勉強させていくのかを考えていかなければいけないと思うんです。
 一つの私の考え方では,努力をした結果,どういういいことがあるのかということをやはり伝えていかなければいけなくて,例えば,薬学の勉強をしている方は,薬学の資格を取るというモチベーションがありますし,それ以外にも医療保健系でもそうでありますし,そういう資格系の学科については,努力の結果というものが目に見える形でイメージできるということがモチベーションにつながっていくのではないかというふうに思うんです。
 今の若者たちが努力の結果,何を得られるかということは非常に世の中見えにくくなっておりますので,私ども学校の一つの例で申し上げると,今,大田学という科目を設けておりまして,近隣の大田区にあるものづくりの企業の方々の経営者13人に来ていただきまして,シリーズで授業をやるんですけれども,それをやると,自分の勉強の努力の結果,日本を支える一員になれるんだというモチベーションが生まれてきて,非常に教育の効果が上がっているということが経験としてございます。
 そういう科目も含めて,やはり高等学校時代の勉強との決別という導入教育というところを徹底して行って,自分の努力の結果がどういう形に結び付いていくのかという,このことの意識改革をすることが非常に重要なのではないのかなと思っております。
 いろいろ申し上げたいことはございますけれども,簡潔に申し上げさせていただきます。
【永田分科会長】  大島委員,どうぞ。
【大島委員】  2点ございます。先ほど,中根先生がおっしゃっていた研究と教育という観点で述べさせていただきます。
 1点目は研究についてです。日米の比較にも出てきていましたが,日本の大学教育のユニークさというのは,授業とともに卒業研究に非常に重きを置いているということが,多分アメリカと違うところだと思います。例えば,アメリカですと,卒業論文を課すところもなかったりします。大学院でも,授業の単位だけでマスターが取れるのに対して,日本は学部から卒業研究というものを課しています。その位置付けが日本教育のユニークさとともに,そこを充実させることは非常に大事だと思います。教養教育から専門に移って,いろいろな知識を卒業研究で課題解決型,という形で取り組んでいます。教員側の問題がもあるかもしれませんが,学生の方も主体性を持って取り組まないという現状があります。そこをきちんと教育の中で体系化していくということも一つ大事な観点なのではないかと思います。
 2点目に,品質保証の出口管理についてです。大学も大学院もそうですが,今の時期から就職活動が始まっています。そのため卒論発表の段階で,既に就職が決まっているという状況です。就職が先に決まっている中でどのように学生を指導するのかが教員の悩みでもあります。また,どうしても4年間,修士は2年間で卒業しなければならない中で,そこはある程度柔軟に対応していくということも大事ではないかと思っています。就職との関係もあるので,出口の品質保証の観点から,卒業年限,及び,就職活動について考えるということが大事なのではないかというふうに思います。
 以上,2点です。
【永田分科会長】  では,金子委員,どうぞ。
【金子委員】  こういった調査をやると,御覧のように非常に面白いことが分かるわけで,こういったデータはこういった場で議論の基礎とすることも非常に重要だと思いますが,私はやっぱり基本的に個々の大学でどう使ってもらうかというのが非常に重要だと思うんです。
 一つは,これ,認証評価にどのようにこれを反映させていくのかということで,これはかなり微妙な問題で,こういったデータをそのまま公開するということは,大学別に公開することはやっぱり非常に問題だとは思いますが,しかし,認証評価において,こういったことから明らかにされたものを大学の評価に反映させることは私は非常に重要ではないかと思います。
 アメリカもアクレディテーション団体は,何らかの学生の学習行動に対して,しかも自大学だけではなくて,比較できるようなデータを使うことを義務付けられています。やはりそういった形で適格認定にこういったことを使っていくというのは,将来の課題として非常に重要なのではないかと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 このことについてはもう少し議論をしたいわけですが,先ほど述べたように,専門のチームで話し合うのがいいかなとは思っております。
 いずれにしても,皆さんの御意見の中で,画一的な部分と,それからそれぞれの大学が目指す部分に呼応したそれぞれのコメントがあるはずです。もっと言えば,学習時間が伸びたら社会に役に立つ人材が育成できたという証拠はまだないわけで,それは大学自らが検証していかなければいけないわけで,こうしろああしろという問題は,やはりまだまだいろいろ議論をした上でないとできないだろうと思います。
 費用対効果とか,そういう単純な問題では一切なくて,やはり学習することと,その学習成果としての社会,あるいは学問分野などでの学生たちの活躍,という部分を併せて見る必要があります。たくさん勉強したけれど社会で役に立たない,という結論にならないようにしないといけないので,忘れてはいけない観点がたくさんあったと思います。研究の観点だとか,アクレディテーションの観点だとかというのは,そういう重要な要素を含んでいるのだ,と私は認識しています。
 では,松本委員,どうぞ。
【松本委員】  済みません。教育の話がしばらく続きましたので,発言する機会があろうかと思っておりましたが,次の議題とおっしゃるので。
 今の資料2が本日のガイドラインかと思って拝見しておりましたけれども,資料2の下の方に,本日主に議論いただきたい論点というふうに挙がっておりますが,その中の一部として今までの議論があったかと思いますけれども,教育,研究,あるいは研究教育という一くくりで議論が進んでおりますが,大学の役割・機能強化,これは恐らく日比谷先生の委員会でやっておられるのではないかと思いますが,日本の大学の研究力の低下ということが前の論点にも書かれておりますけれども,これについて,是非この分科会で,本日は時間がないようですけれども,これ,真剣にやっておかないと大きな問題だと思います。この資料2の2ページ目の後半の白三つぐらいがそれについて書かれておりますけれども,具体策は一切書かれておりません。この議論がどこかで行われるということが是非必要で,研究力の向上のためには,今までの制度の見直し,研究助成の制度の在り方等々も含めて検討するということが書いてありますけれども,その議論はなされているのでしょうかというのが素直な疑問です。
 それから,限られた予算の中で,チームをどう組んでいくかということも重要だとは指摘は1行ありますけれども,これが具体的にどういうふうになっていくかということも,この審議会で是非取り上げていただきたいと,これはお願いでございます。
【永田分科会長】  今の松本委員の御意見は,実はこの大学分科会で話していると必ずいろいろな意見の最後に出るところです。大学は,新しい知識を生んで,それを付け加えながら教育をしていかなければいけないわけですから,既存の教科書を持ってきて教えているだけでは大学ではないので,研究という部分が,今,大切だというふうに松本先生はおっしゃっています。ですから,研究は教育につながっていないわけではなくて,大学の機能を考えたときには直結しているんだという観点から,忘れないで必ずこの分科会で早々に議論をしたいと思います。少なくとも先生の御意見をそういう具合に昇華させて,なるべく早々にそういうことを議論する場を設けたい,これはお約束しておきたいと思います。
 それでは,美馬委員,どうぞ。
【美馬委員】  ありがとうございます。先ほどの検討課題についての今後の内容についての確認を1点させていただきたいと思います。
 本日いろいろ議論になったときに,やはり学生の学習に対する動機付けの問題というのがかなり大きく出てまいりました。その際に,今回の調査研究でも,アルバイトをやっているとか,学費のためというのが出てきたときに,多様なパスということを検討していくことができないかということです。つまり,多様なバスというのは,高等学校を卒業したら,すぐそのままに大学に入る,大学を4年間終えたら,そのまま就職する,つまり,例えば,学費の問題等いろいろあるのであれば,1回社会に出てから大学に入るということ,それから,大学でもいろいろな経験をして就職する,つまり,そこには一斉採用ということの壁があると思うんですけれども,そういう社会経験をした人の学習の動機付けというのは,かなり上がると思っています。つまり,そうすると,そこでは大学の高等教育の政策を超えて,入試の在り方,社会の在り方に関係するわけで,例えば,本日,志賀委員のお話のあったグローバル人材,そういった人を採用していきたいといったときに,年齢とか,経験とか,採用時期とか,そういったものも全て関係してくると思われますので,今回の検討課題にこういった大きなものまで含まれるかどうかというのを確認させていただきたいと思いました。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは,残念ながら2の方は余り御意見がありませんでしたけれども,2の方は,私の方がいろいろなことを追加で申し上げましたので,そういった観点を持って,これからも議論を進めていきたいと考えています。

(3)給付型奨学金の検討状況について,事務局から資料4に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【永田分科会長】  それでは,幾つか報告の方に移らせていただきますが,皆さんも御関心かと思いますが,給付型奨学金についてということで,最初に学生・留学生課から御報告いただこうと思います。
【井上学生・留学生課長】  学生・留学生課長の井上でございます。資料4をもとに御説明をさせていただきます。
 我が国の奨学金事業につきましては,現在は無利子と有利子の貸与型のみでございまして,今,全ての学生の約4割が利用しているというなくてはならないものとなっているわけでございますが,給付型奨学金を含め,奨学金事業の拡充ということで,まず政府の方針が出ております。これが資料4,お手元の資料の1枚目でございますが,既に閣議決定されておりますニッポン一億総活躍プラン,また,経済対策等で言及されておりまして,一番コンパクトに書いてある真ん中の「未来への投資を実現する経済対策」のところで説明させていただきますが,まず給付型奨学金については「平成29年度予算編成過程を通じて制度内容について結論を得,実現する」とあります。
 これに加えまして,無利子奨学金についても速やかに残存適格者,この残存適格者というのは,これ,無利子奨学金は,現在,47万人ほど利用しておりますけれども,無利子奨学金を借りる要件を満たしている,成績基準,家計基準によって借りる要件を満たしているにもかかわらず借りられない方が2.4万人いらっしゃいます。これは予算の制約でございます。これを解消するということが一つ。
 それと,低所得世帯の子供たちについては,成績基準を実質的に撤廃をし,多くの学生が借りられるようにしようと,いったことが,今,方針として掲げられております。
 1枚おめくりください。それに基づきまして,文部科学省においても来年度予算について,概算要求しておりまして,左上にあります給付型奨学金の創設,低所得世帯の子供たちに係る無利子奨学金の成績基準の緩和,無利子奨学金の貸与人員の増員,また,来年度から導入を予定しております所得に連動して返還をしていただく新しい制度を実施していく,こういった要求をしている次第でございます。
 真ん中にイメージ図がございます。これは奨学金の全体像を表している図でございます。横軸に家計支持者の年収,縦軸に成績,学力(評定値)ということで書いておりますが,今,無利子奨学金というのは,高等学校5段階の評定値3.5以上,これで一定の収入要件を付した青色のところ,ここに無利子の方がいらっしゃいます。そして,ちょっと赤いピンク色のところが有利子でございますけれども,基本的には,まず給付型奨学金は低所得世帯,破線で書いてありますけれども,緑色の破線であるところをターゲットに導入を考える。また,無利子奨学金の成績基準の緩和ということで,その下のところ,赤色のところを青色にしていく。それと,残存適格者の解消ということで全体像を考えております。
 特に給付型奨学金につきましては,義家副大臣の下に有識者の先生にも御参画いただくプロジェクトチームを作っております。本分科会の委員でいらっしゃる佐藤先生,小林先生にも御参画いただいております。このプロジェクトチームで,これまで給付型奨学金をどのようなものとすべきかということを検討してまいりました。その議論の整理でございます。
 まず,制度創設の趣旨でありますけれども,「奨学」の考え方を基本としつつ,「育英」の考え方も取り入れる。基本的には,経済的事情により進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しする制度としようということを考えてございます。
 そして,三つ目の丸,対象者でございますけれども,対象とする学校種,これは現行の日本学生支援機構の奨学金と同様でございますが,大学,短期大学,高等専門学校,専修学校専門課程ということで考えております。
 また,家計基準については,基本的に低所得ということで,児童養護施設出身者,生活保護世帯,住民税非課税世帯といったところを念頭に,現在,検討をしているところでございます。
 また,学力要件につきましては,一定の成績基準を設定するということを検討しておりますが,これ,特に低所得の家庭のお子さんは,非常に様々な事情がございますので,成績だけで切ってもいいのかというお話もあり,学校推薦などの方法による選定も併せて検討しているという状況でございます。
 そして,給付額につきましては,これは財源も絡んできますけれども,進学を後押しするという観点から,現在,様々なシミュレーションなどを行いながら,検討しているところでございます。学校種別や設置主体,通学形態なども踏まえ,金額を設定していくということで考えてございます。
 給付の在り方,最初から渡しきりにするか,返還免除型ないしは条件付給付,これは毎年ある範囲,ある期間,今のところ毎年と考えておりますけれども,学習状況を確認して,きちんと学習しているということをきちんと確認した上で給付を確定する。あるいは,余り学習状況がよくなければ,給付をしたけれども返還していただく,そういったことを考えてございます。
 財源につきましては,これは鋭意様々な財政当局とも折衝中でございますが,基本的には給付型奨学金は未来への投資ということで,将来は国民全体に社会的便益をもたらす制度であり,必要な予算の獲得に向け調整をしているといった状況でございます。
 私の説明は以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 何か御質問,御意見等ございますでしょうか。
【河田副分科会長】  先ほど,松本委員から研究の話が出ました。今,理系,特に大学院への進学が少なくなっています。それから,博士前期課程のマスターまで行っても博士後期課程には進学せずに企業に入るため,なかなか研究職に残らない状況です。私も学生時代にこの奨学金(当時は日本育英会)を頂きましたけれども,たしか2003年までは研究職あるいは学校に勤務をしていた場合には,返還が免除という制度がありました。職業差別だ,ということでこの制度がなくなったわけですが,是非大学院にたくさんの学生に行っていただくためにも,また博士後期課程に進学してもらうためにも,その制度をもう一度,有識者会議においても考えていただいて,研究者になったり,あるいは学校に勤務するいわゆる教育職に就いた場合には,以前のように返還が免除される制度を復活していただかないと駄目なんじゃないかと考えております。よろしくお願いいたします。
【井上学生・留学生課長】  ただいまのことに関しまして事務局からでございますが,実は今御指摘いただきました返還免除制度はなくなったわけでございますが,それと同時に,大学院,これは博士課程も含みますけれども,成績優秀者の返還免除制度というものを新たにその後導入をいたしておりまして,現状,成績優秀,上位30%の方は,トップ10%は全額免除,あとの20%の方は半額免除という制度も新たに入れております。こういったものも是非PRしてまいりたいと思っております。
【永田分科会長】  河田副分科会長がおっしゃっているのは,新たに導入した制度があることは分かった上で,問題はそれが機能しているか,ということです。以前のシステムが機能していて,今回のシステムも機能しているか,ということを議論なしにおっしゃっても,それは皆さん分かっていることだと思います。
【小林委員】  一言よろしいですか。
 今の説明のとおりですけれども,学部生について返還免除制度が全くなくなってしまっているということが問題で,大学院までつながらないということが問題ですので,そこは是非今回の給付型奨学金で充実させていただきたいと思います。
【永田分科会長】  そのほかはいかがでしょうか。
 金子委員,どうぞ。
【金子委員】  給付型奨学金が問題になっていて,政治的にこれは問題なんですが,ここにも規模が書いていないんですが,今,貸与型は全部で130万人くらい借りていて,1兆円くらい貸しています。これに対して給付型奨学金というのは,どの程度の規模が今想定されているんでしょうか。
【井上学生・留学生課長】  この資料4の最後のページの右下に,今,低所得世帯の後押しということで考えておりまして,その低所得世帯の範囲,児童養護施設退所者,生活保護世帯,住民税非課税世帯ということで検討しておりますが,これはそれぞれ外数ですので,例えば住民税非課税世帯まで全部を対象としますと,高等学校1学年当たり,今大体16万人ぐらいだと思いますけれども,そのくらいの生徒数がおります。現在,これは高等学校1年の生徒数ですが,低所得の世帯での進学率が3割ぐらいでございますので,これに30%を掛けるぐらいの人数が,全体,1学年の規模でございます。
 これにつきまして,成績要件なり,学校推薦なりで,どのくらい採用していくかといったようなところで検討しておるところでございます。
【金子委員】  もう一つよろしいですか。
【永田分科会長】  はい。
【金子委員】  所得連動型奨学金が新設されるということですが,この所得連動型奨学金は,今の有利子,無利子の貸与者に対して全員に適用されるのでしょうか。
【井上学生・留学生課長】  今のところ,まずは無利子からとしております。この理由は,所得連動返還型になりますと,社会に出た後,給与が上がらなければ,一番低い返還額で2,000円という設定からになりますが,これは概して返還期間が非常に長くなる可能性がございます。これは有利子ですと,返還期間が長くなると利子が非常に膨大になりまして,かえって利用者の方が困ることに陥る可能性があるということで,これを利用する方がどういう所得の方かとか,そういったことに非常に関わることですので,まずは無利子,基本的には私どもは有利子も導入すべきだと考えております。ただし,幾つか今申し上げましたような課題がございますので,無利子の運用状況を見て,有利子に合う制度設計を検討したいと思っているところでございます。
【永田分科会長】  千葉委員,どうぞ。
【千葉委員】  ここで発言するべきことなのかどうか分からないんですけれども,この給付型奨学金制度を実質的なものにしていくためには,バウチャー的な扱いにしていただくということを是非検討いただきたいと思うんです。それは家庭に給付しますと,生活費に使われてしまうとか,そういうようなケースもあると聞いておりますので,そういう不幸な人を作らないためにも,是非そういう方式についても御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【永田分科会長】  中根委員,どうぞ。
【中根委員】  給付型のスケールの御質問が出ていましたけれども,例えば,MITだと,学生の8割が給付型のスカラシップをもらっていますね。ですから,そういうところと日本の教育研究はどうやって競争していくのかという,後ろにある太い戦略が必要なんだと思うんです。今回の予算的なもので,量的に日本の競争力をどこまで伸ばしていくのかというポイントですね。アメリカの場合,すごくドライですから,学力中心主義でスカラシップをクリエートされるんですけれども,ただ,1年ごとにリクオリフィケーションがありますので,厳しいことは厳しい。戦略とのリンクです。是非よろしくお願いしたいと思います。
【永田分科会長】  では,この件については,御報告なので,ここで出た意見がどこまで伝わるかは別として,考慮いただきたいということで終わりにしたいと思います。
 貴重な御意見ありがとうございました。

(4)国立教員養成大学・学部,大学院,附属学校の改革に関する有識者会議について,事務局から資料5に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【永田分科会長】  それでは,次の報告事項の方に移らせていただきます。
 次は,資料5を御覧になってください。国立教員養成大学・学部,大学院,附属学校の改革に関する有識者会議についてでして,これは資料5を基に,事務方から御説明いただきます。
【柳澤教員養成企画室長】  よろしくお願いいたします。大学振興課教員養成企画室長の柳澤でございます。資料5に沿って御説明をさせていただきます。
 国立教員養成大学・学部,大学院,附属学校の改革に関する有識者会議を8月に設置をいたしまして,9月から会議を開催しております。
 趣旨としましては,昨年の12月に中央教育審議会で三つの答申を一緒にまとめていただきました。教員の資質向上,チーム学校等でございますけれども,それらの実現に向けて,最も重要な役割を期待されるのは教員であろうということ,この観点が一番大きな観点でございます。
 その中で,とりわけ教員の養成はいろいろな大学で行われておりますけれども,国立の教員養成大学・学部が全体をリードすべき役割であろうということから,ここに焦点を当て,現状,国立の教員養成大学・学部は,例えば教員就職者に占めている比率が若干落ちてきている傾向がある,これは全体の定数の問題等いろいろ兼ね合いはあるのですが,少なくとも教員就職者に占めるシェアが低下しつつあるですとか,あるいは,教育委員会等,地元のニーズに応えた教員養成が必ずしもできていないのではないかといった,いろいろな課題が指摘をされているという状況にございます。
 今後,答申を踏まえまして,教育公務員特例法ですとか,いろいろものの改正が動いてまいりますが,それに加えまして,今年度中に次期の学習指導要領の改訂に向けた動きも進んでまいります。
 それから,大学関係では,今年度(平成28年度)にも教職大学院が新たに18を設置されまして,また,来年度には更に増えるということで,教職大学院が全国に設置をされるという状況に来てございます。
 それらの状況を踏まえまして,次世代の学校づくりにスムーズに対応できる教員を養成するための国立大学等の在り方を検討し,改革の方向性を示していきたいということを考えております。大学に限らず,大学院,あるいは国立の附属学校,これも全体も含めた議論をしていきたいと考えてございます。
 委員は,2枚目のとおりでございまして,15名の関係の方々にお願いをしております。
 それから,3枚目にありますように,既に2回開催させていただきましたが,再来週,また11月にもありまして,大体月一ペースで開催をして,来年の夏までには報告書を取りまとめていただきたいと考えてございます。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 これは報告だけとさせていただきます。
 今,議事は一応大体終わったわけですが,参考資料3が配付されていると思います。これは法科大学院特別委員会の提言そのものであります。これは本日御説明をする時間もございませんので,配付をさせていただきます。是非とも参考にしていただければと思います。
 それでは,次回の分科会でまたお会いしたいと思います。

―― 了 ――

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

-- 登録:平成29年09月 --