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大学分科会(第135回) 議事録

1.日時

平成29年4月11日(火曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第二講堂

3.議題

  1. 我が国の高等教育に関する将来構想について
  2. 地方大学の振興等について
  3. その他

4.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(副分科会長)北山禎介副分科会長,村田治副分科会長
(委員)有信睦弘,亀山郁夫,志賀俊之の各委員
(臨時委員)相原康伸,麻生隆史,安部恵美子,伊東香織,金子元久,河田悌一,黒田壽二,小林雅之,佐藤東洋士,鈴木典比古,鈴木雅子,古沢由紀子,前野一夫,松尾清一,吉岡知哉の各臨時委員

文部科学省

(事務局)常盤高等教育局長,義本総括審議官,村田私学部長,山下文教施設企画部長,浅田大臣官房審議官,松尾大臣官房審議官,塩見高等教育企画課長,角田大学振興課長,小山国立大学法人支援課長,蝦名私学行政課長,牛尾文部科学戦略官,塩原主任大学改革官,堀野高等教育政策室長 他

オブザーバー

(オブザーバー)濱中国立教育政策研究所総括研究官

5.議事録

(1)事務局から,我が国の高等教育に関する将来構想について,資料1-1及び1-2に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【永田分科会長】  それでは,所定の時刻になりましたので,第135回の大学分科会を始めさせていただきます。
 本日から実質的な議論を始めることになりますが,本日はまず全体の4分の1ほどの時間を使って我が国の高等教育に関する将来構想について意見交換をしたいと考えています。残り4分の3ほどを使って,地方大学の振興等について,まち・ひと・しごと創生本部における検討状況を皆様に御報告し,論点が幾つか出ておりますので,論点ごとに議論を進めていきたいと考えております。
 それでは早速,事務局から配付資料について御説明をお願いいたします。
【堀野高等教育政策室長】  配付資料につきましては,議事次第のとおりでございます。不足等ございましたら,事務局までお申し付けください。
【永田分科会長】  それでは早速,議事を始めさせていただきます。申し上げましたように,我が国の高等教育に関する将来構想に関する検討をこれから始めます。それに先立ちまして,事務局から関連のデータや幾つかの観点について御説明をいたします。幾つか非常に重要な問題が諮問されていますので,今回その中で少し絞ってお話を始めさせていただこうと思います。それでは,資料の御説明をお願いいたします。
【堀野高等教育政策室長】  それでは,資料1-1でございます。高等教育の将来構想に関する検討の観点例です。大臣からの諮問事項は4点ございましたけれども,特にその中でも,今後の18歳人口の大幅な減少を考えた場合にどういうことを議論していかなければいけないのかという部分について,本日は御議論いただければと思います。
 前提と致しまして,資料1-2,参考データについて御説明させていただきます。初めは,人口の推移等です。1ページめくっていただきまして,左上に18歳人口の将来推計がございます。ここにあるデータにつきましては,諮問文にありましたように,現在119万人の18歳人口が2030年に100万人,2040年に80万人になるという推計でございます。本日,新しい推計が公表されました。それによりますと,2030年,前は100万人だったのが102.5万人,2040年は80万人だったのが88.2万人という推計に変わっておりまして,出生率の上昇によって人口の減少が若干緩和をされるのではないかという予測が出ております。
 そして,その左下が,よく御覧いただいている進学率等のグラフです。赤い折れ線グラフで描いてあるものが大学,短期大学,高等専門学校,専門学校まで含めた進学率です。現在80%,そして,一番下の赤茶色の進学率2が,大学・短期大学で56.8%,このような進学率になっております。
 そして,次のページですけれども,上が各高等教育機関の数でございます。緑が大学,その上の青が短期大学,濃いオレンジが高等専門学校,一番上が専門学校となっております。全体としての総数は減少してきております。ただ,大学の数につきましては,短期大学からの転換等もあり,726校から777校に増加しているということでございます。下が,在学者数で同様に見たものでございます。全体の総数は減少しておりますが,大学学部の学生数は251万人から257万人へと増加しているというグラフでございます。
 もう1枚めくっていただきまして,これは東京圏と地方圏を比べた人口です。これは後半の議論の中で御説明をさせていただきます。
 次の8ページ,9ページですけれども,上の8ページが,大学進学率の地域間格差ということで,都道府県別の進学率を並べております。平成17年当時,東京と一番低い鹿児島県は25%のポイントの幅がありましたけれども,平成28年,更にその幅が33ポイントに増加している。いずれの県も進学率は上がっているわけですけれども,都市と地方の格差は更に広がっているという状況でございます。下のグラフは専門学校まで含めた状況ですけれども,これも都市部と地方で差があるという状況でございます。
 次のページに,分野別の学生数の推移があります。社会科学が一番多く,工学,人文科学とありますけれども,右下辺りの保健の分野がかなり増加しているという状況でございます。
 次の12ページですけれども,私立大学における入学定員充足率の推移でございます。このグラフの下の青い部分が充足率100%の学校,赤が80%から100%,その上の黄色が50%から80%,一番上の水色が50%未満ということでございます。4割強の学校が定員未充足という状況が続いております。
 下の13ページですけれども,左側が地域別の志願倍率の状況でございます。近畿圏,東京においては高い志願倍率,甲信越,四国,九州辺りは倍率が低くなっております。右側に伸びているグラフが入学定員充足率でございます。東京,近畿圏は100%を満たしておりますけれども,東北が90数%,四国が88%という状況となっております。
 次のページですけれども,財政状況です。帰属収支差額比率,下に定義がありますけれども,学納金,寄附金等の自己収入から,人件費,教育研究経費等の支出を差し引いたものでございます。プラスの方がいいわけですけれども,これが左側の赤,オレンジのようなマイナスが大きいという大学は,特に地方,都市ともに中小規模の大学でマイナスになっています。一方で,大規模大学ではほとんどの大学で帰属収支比率がプラスになっているということでございます。その下が国公私立別の財政状況ということで,特に私立学校におきましては,学納金の占める割合が高いという状況になっております。
 そこから後は,進学者数の推計でございまして,今後の18歳人口につきまして国立教育政策研究所において推計いただいたものでございます。1ページめくっていただきまして,18ページ,上のところに定義が書いてあります。推計の方法ということで,平成27年度現在の小学1年生から中学3年生及び平成24年から平成27年度の中学校卒業生の数を基に,18歳人口の推計値を算出しているものでございます。ここに一覧で定義がございます。平成39年の小学校1年生の数のところまでは実数がありますけれども,そこから下につきましては,生まれた数に18歳まで生き延びる確率というような生存率を掛けた推計になっております。生まれた人数が分かっている一番遠いところまでさかのぼると,平成45年までは試算ができるというところでございます。
 その下に注意書きがありますけれども,ブロック別の18歳人口については,各県の18歳人口推計値に,高等学校進学者数分の高等学校入学者数を乗じ,進学時の地域間移動の影響を加味とあります。中学から高等学校に上がる段階の部分のみ地域間の移動を考慮した推計になっているということでございます。
 その下の部分を見ていただきますと,18歳人口のブロック別で見た場合の増減が出ております。平成45年の18歳人口で見た場合に,一番減り幅が多い東北では28.5%,18歳人口が減少する。減り幅が少ない東京圏でも7.5%,18歳人口は減少する。平均して16.7%,18歳人口が減少するという推計でございます。
 そして,この後に3通りの試算がございます。試算の1が,現在と同じ進学率のまま平成45年になった場合の推計。試算2が,進学希望率,今,進学を希望している方が全員進学した場合の試算。試算3は,大学入学者数が現在と同数だと仮定した場合の試算でございます。
 21項の試算1は,大学学部だけですけれども,各都道府県ごとの進学率が現在と同じであると仮定した場合には平成45年度には,平成27年の入学者数に対して全体としては84.8%の入学者数になるということでございます。ブロック別には出ていませんけれども,先ほど見ていただいた18歳人口の減り方と同じような形になるのではないかとお考えいただければよいと思います。
 そして,次のページが試算2でございます。現在の志願率,進学を希望している方が皆行くと仮定した場合には,この下の注のところで,進学率が現在の50.2%から56.7%になるということですけれども,その場合の入学者数は現在の94.0%ぐらいになるということでございます。
 その下,試算3は,現在と同じ入学者数であると仮定した場合ですので,人数は100%なんですけれども,一番下の注の囲みにありますように,これは進学率が現在50.2%から60.3%になるということでございます。
 そこから三つは,短期大学を入れた推計が出ております。これも概ね同様の傾向でございます。
 以上でございまして,その後,留学生・社会人入学についてということです。社会人の入学者状況がそれぞれ出ておりますけれども,この棒グラフの一番ピークの部分を見ていただきますと,左上の大学は平成13年がピークで減少している。大学院については平成20年がピークで,若干減少して少し増えたりしている。短期大学は平成22年がピーク,専修学校は平成17年がピークという状況になっております。
 その下,各国との比較ですけれども,社会人入学者の割合は外国と比べて低いという状況でございます。
 そして,次のページは,外国人留学生の受入れの状況です。最近は,日本語教育機関の在籍者が顕著に増加をしている。そして,国・地域別では,中国,韓国は減少し,ベトナム,ネパールが大幅に増加しているということでございます。そして,日本人の海外留学につきましては,2004年の8.3万人をピークに減少傾向ということでございます。
 最後に,各国の学生に占める留学生の割合ですが,これも諸外国と比較して低いというデータでございます。
 以上を踏まえまして,資料1-1の論点,検討の観点例を御覧いただきたいと思います。このように各地域で18歳人口が減少していった場合に,観点の例と書いてありますけれども,丸1は,個々の大学内部においてどのような検討が必要になるのか,学部・学科や研究科・専攻というのは,今と同様の数や構成を維持できるのか,変わっていかなければいけないのか,教員数や教員の構成はどう変わっていくことを予想しなければいけないのか,教育研究の質はどのようにして保つことができるのか,財務状況,校地・校舎,留学生・社会人の割合はどこまで伸ばしていけるのかということを具体的にイメージして,今後,検討が必要になるはずであるという観点を御議論いただければと思います。
 丸2は,地域単位で見た場合に,大学等の数や地域配置が人口減少時代にはどのように変わっていく,どういう議論がされていかなければいけないのか。地域内での学部・学科の配置をどのように考えていくのか。大学,短期大学,高等専門学校,専門学校の役割は変わっていくのか。これは産業構造の変化にも関係あるかもしれません。そして,法案が成立した場合には専門職大学というカテゴリーもできますので,どういった変化が起こっていくのか。国公私立の役割はどう変わっていくのか。こういったことについて御議論いただければと思います。
 そして,2とありますのは,個々の大学内で検討すること,地域単位で検討することもありますが,政府として,そういった変化を円滑に進めていくために制度改正等検討すべきことはどのようなことがあるのかということについても御議論いただければと思います。
 説明は以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは,御意見を伺いたいと思いますが,いかがでしょうか。有信委員,どうぞ。
【有信委員】  論点例で現状いろいろ紹介いただきましたけれども,論点の中で18歳人口という問題と社会人という問題と二つあって,18歳人口に対する教育の目的と,社会人に対する教育の目的は多分同じではない。しかし,高等教育機関としては両方の役割を持たなければいけないという観点で,全体の量や配置の議論も考えていく必要があると思います。つまり,一定程度の教育資質を与えた上で社会に送り出すための教育と,実際に社会で働いていて,自分に専門的な知識・スキルを身に付けるための教育。しかし,高等教育としてそこに共通性も当然あるはずで,その質を保たなければいけない。この論点で全体の数等について御議論いただけるといいと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。今,有信委員が発言された趣旨は,英語の文章等でも,最近では18歳を主に指すトラディショナルな学生と,主に社会人と留学生からなるノントラディショナルな学生,という論点で議論されている,ということですね。
 志賀委員,どうぞ。
【志賀委員】  一つは,やはり従来のように18歳から大学ということではなく,今よく話題になっている,100年という人生の中での学びの機会ということを議論する機会が結構増えてきたんですけれども,そういう意味で考えると,22歳程度まで勉強して,40年ほど働いて引退する生活ではなくて,本当にずっと人生の中で学びと働く,あるいは働く以外のいろいろなことがポートフォリオのようになっていくということを,将来構想の中ではもう少し考えていく必要があると思います。
 それから,とにかく教育もさることながら,研究という意味で,今これから時代が正に変わろうとし,技術も変わり,データ化の中で日本のイノベーションを継続的に起こしていく上で,やはり研究費が徐々に大学の中で減ってきている問題については,産学連携の強化,あるいは寄附,あるいは大学発ベンチャー等いろいろな方法を使ってでも,ここの研究を充実させるということが非常に重要になってくると思います。
 三つ目は,将来のそうした技術の変化を考えれば,やはりもっと理系の女子を増やしていくような大学の在り方。どうしても工学,理系の方になると,男女共同参画の中で今,パイプラインのネックになっていますので,そういうところも視点に考えていただきたいと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。小林委員,どうぞ。
【小林委員】  2点申し上げたいと思います。一つは,高等教育といったときに,1の方は個々の大学等の姿で,2が高等教育の姿ということになっています。専門学校まで含めて高等教育というふうに考えるということだと思うのですけれども,その辺りのことを確認しておきたいということです。国立教育政策研究所の推計でも専門学校は入っていませんので,それを入れるとまた違う姿になるかと思います。
 もう一つは,人口減少によって学生数が減るということを非常にネガティブに捉えているというふうに思うのですが,ある意味ではこれは,学生数が減るということは教育の質が向上するチャンスでもあると考えることもできるわけです。ただし,もちろん財政的な観点からすると非常に大きな問題がありますのでそういったことは別に議論しなければいけないと思いますが,必ずしも学生数の減少ということをネガティブに捉える必要はないという発想も必要ではないでしょうか。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。それでは,北山副分科会長,どうぞ。
【北山副分科会長】  前回の,平成17年の答申「我が国の高等教育の将来像(答申)(以下,「将来像答申」という。)」以降,既に10年以上経っていますので,今回の諮問においては, PDCAサイクルのCが重要だというのが私の認識です。つまり,過去10年の間に,大学改革実行プランや国立大学改革プラン等の計画が打ち出されたほか,国立大学に関してはミッションの再定義や3類型への分類,全大学に関係するものとしてもグローバル化や社会人の学び直し等の様々な項目について,多くの施策が出されてきていますが,それらがどこまで進んで,何がどう変わったのかを確りとチェックするプロセスを経る必要があると思います。
 特に,将来像答申に書いてあるような内容は,例えば,早稲田大学が数年前に打ち出した将来構想や,上智大学の「グランド・レイアウト2.0」等,それぞれ大学のミッションステートメントにも既に踏まえられていると思いますので,こうした状況の中で,全体の政策として今まで取組んできた夫々の施策について,実態として,何ができてなくて,何ができているのか,できていないのはなぜなのかということを確りと検証する必要があると思います。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。伊東委員,どうぞ。
【伊東委員】  倉敷市長の伊東でございます。今御説明いただきました資料1-2,グラフの一番最初の人口推計でございますが,昨日,国立社会保障・人口問題研究所から発表された人口推計,ここに2040年までの人口推計が書いてありますが,私,2065年の18歳人口も調べてまいりました。2016年の18歳人口が120万人程度であるものが,2065年には69万人になるという推計が出ております。この中で主に人口が減っていくのは地方であるという現実がございます。
 その中で,私は,地方の進学者を増やす,希望進学率がなるべく高まるようにする,進学率が高くなるようにするということが非常に必要であると思います。また,大学進学者収容力が,東京や京都は100%を超えておりますけれども,ほとんどの地方大学が100%未満となっております。先ほどのこの資料の中での8ページ,大学進学率の地域間格差が少しでも縮まるように,また,地方の大学の収容力が上がるようにという観点を是非注視していただきたいと思っております。また,地域社会の中での特に地方での大学の役割,また地域における産業との連携という点にも是非観点を置いていただきたいと思っております。以上でございます。
【永田分科会長】  佐藤委員,どうぞ。
【佐藤委員】  資料1-2の5枚目の表,各高等教育機関の在籍者の推移が出ていますが,これから将来を展望するに当たって,国公私立が同じように動くというふうに私は思いません。つまり,国立大学の在学者数は多分変わらない。それから,地方も,私立大学,国立大学,公立大学を一つにまとめて議論しますが,実は地方においても,国立大学の学生数あるいは公立大学の学生数は余り変わらないと私は思っています。そうすると,将来推計するときにこの一概に緑で描かれているところも,それを踏まえたような議論の仕方も考えておく必要があるのではないかと思っています。
【永田分科会長】  ありがとうございます。今のご意見は,実はなかなかシビアな意味を含んでいるかと思います。現実問題として,やはり考える必要があります。それは,先ほど小林委員がおっしゃった事にも関連しています。一方で,横軸に研究者数,縦軸に論文数,あるいは横軸に論文数,縦軸にトップ10%論文をとったグラフは,全部正比例しています。これと同様の問題が,学生数が減ることによって当然起こり得る,ということだと思います。そうならないために,どういう教育をどこがやるかによって,高いレベルの市民生活が送れ,高度な産業構造の中で働くことができる人を多く育てることができるのか,という両方の見方があると思います。
古沢委員,どうぞ。
【古沢委員】  直接は別の部会になるのかもしれませんけれども,正に今,大学入試の方はいろいろ改革が進められていると思いますが,高大接続という視点がやはり今後の将来の大学を考えていく上では欠かせないのではないかと思います。ここで重要なテーマになっております地方での進学率の向上とか,あるいは社会人の受入れということを考える上でも,どのような形で各大学が学生を受け入れていくのか,選んでいくのか,あるいは選ばれるのかということだと思いますが,それも是非何らかの形で連動して踏まえていきたいと思います。以上です。
【永田分科会長】  松尾委員,どうぞ。
【松尾委員】  名古屋大学の松尾です。この人口推計は非常にミゼラブルというか,暗いデータではありますが,一方で,日本では今すごく人手不足であり,もう一方では,今の日本のものづくりを中心としたこういった産業構造が変わっていかないと,それこそアメリカのラストベルトみたいになってしまうという危機感があります。
 それを変えるためには,もちろん将来ビジョンが必要ですが,その将来の社会で働いていく人を作っていかないといけない。大学に入った人から一から作るのか,それとも既にもう働いている人が大学で学び直して,大量に新しい技能や知識を身に付けるという構造を考えないと,恐らく時間がかかり過ぎて非常に難しい。そういう意味でいうと,今までと質と量の全く違うような,学び直しの構造も必要かと思います。特に,地方においてそういった人材がどんどん出てこないと,ますます一極集中するというようなことになりますので,是非その辺りのところを考えていく必要があると思います。そうすると,教育需要も多く出てきます。早く産業構造が転換できるということで,是非この辺りは重要視していただきたいと思います。
【永田分科会長】  分野では決して縮小していくのではなくて,増加しなければいけない分野もあるだろうという御意見です。この点はやはり,私たちは詳細に詰めていかないといけないだろう,という御意見だと思います。
 また,古沢委員から先ほど出た御意見は,高大接続の問題ですが,実は高大接続システム改革会議では,外国人に対して高大接続をどうするかという話は全く出ていません。誰を対象にどのような分野で教えるかによって考えていかなければいけないことが山のように出てくるということだと思います。
 吉岡委員,どうぞ。
【吉岡委員】  これは高等教育の将来構想に関するということですが,一方で,高等教育に行かない部分,日本は今,52%が大学に進学しますけれども,残りの半分は進学していません。大学をどのような形にしていくかということに加えて,大学に進学しない層が今後どうなっていくのかということを考えておいた方がいいと思います。例えば,大学の数を減らす,多過ぎるという議論,あるいは少ないという考え方もあるのかもしれませんが,数の問題といったときに,大学がどういう人材を育てるのかというときに,大学に進学しない層が大学で育てた人間と比べてどのようになっていくのか。これがそのまま格差に繋がるということが起こってくると,要するに,大学はエリート教育をすればいいということになれば,そうではない層が,常に底辺化していくことが起こってくるわけで,その辺の社会構造の中における大学の位置ということはどこかで考えておかなければいけないと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。そういう意味合いで,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関も議論されていました。つまり,学位を持つことで,ものづくりや現場に近いところであっても国際通用性を持つことができる,というような議論が行われていた,ということです。
 麻生委員,どうぞ。
【麻生委員】  高等教育を担っているのは私立大学が大変多いですが,やはり地方の私立大学はどうしても,大学を維持したいという財政基盤の問題が出てきます。私立学校振興助成法等に関しましては,毎年補助金が減っていくという中で,どうしても辞めざるを得ない大学もあります。そうなると,地方には私立大学がなくなっていくことになります。もちろん教育の質の保証を担保しながらやっていきたいと思っていますが,国がいかに教育に投資するかという観点も含めて,今後,是非御議論いただきたいと思っております。
【永田分科会長】  ありがとうございます。


(2)事務局から,地方大学の振興等について,資料2,3-1,3-2,3-3及び4に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【永田分科会長】  地方大学の振興等について,内閣官房から「まち・ひと・しごと創生本部」の検討状況がいろいろ出てきています。まずは論点が四つありますので,共通認識を持った上で論点ごとに議論をしていきたいと思います。
 それでは,事務局から説明をお願いいたします。
【堀野高等教育政策室長】  それでは,資料2以下に基づいて御説明させていただきます。
 まず資料3-3を御覧いただきますと,日程が出ております。内閣官房に設置されている,地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議,2月から始まって,既に4月3日までに4回の議論がなされております。あと2回で中間報告案を取りまとめるということですので,前回と今回御議論いただいた内容を取りまとめまして,4月18日の会議に中央教育審議会の考え方として御紹介をして,議論していただくという段取りになります。
 そして,資料2が論点でございます。改めて確認しますと,最初のページにありますように,昨年12月の閣議決定,この点線の枠囲みにございますように,東京一極集中の是正に資するよう,地方大学の振興,地方における雇用創出と若者の就業支援,東京における大学の新増設の抑制,地方移転の促進等について緊急かつ抜本的な対策を,教育政策の観点も含め総合的に検討し,2017年夏を目途に方向性を取りまとめる。これは閣議決定ですので,文部科学省も含めまして全体として,特に「教育政策の観点も含め」というところを本分科会で御議論いただきたいということでございます。
 そして,論点に入る前に,有識者会議で紹介されている基礎資料が資料4でございます。資料4の中に各種資料がありますけれども,例えばページをめくっていただきまして,右下に6ページと書いてある図ですけれども,人口の転入超過,これは緑のグラフが,上が東京圏への転入超過でございます。1993年及び1994年を除いて転入超過がどんどん増えている。最近も1回減りましたけれども,転入超過が増えているということでございます。
 右側にあります8ページですけれども,東京圏への転入超過数の大半は15歳から19歳,これはグラフの青い部分,20歳から24歳,緑の部分でございます。いわゆる大学進学時,大卒後の就職時の東京圏への転入が多いということでございます。
 その下のグラフにありますのが,東京圏に移動する理由です。下のグラフの,10歳代,20歳代,青い部分が入学・進学,オレンジが就職ということで,10歳代,20歳代では入学・進学,就職が理由で来ている,30歳代以上は仕事や家族に関連した移動であるということでございます。
 そして,次のページをめくっていただきまして,上の段の東京圏への移動理由についての考えです。右側の円グラフにありますように,東京園での進学・就職した人の50%は,東京圏での生活を志望して東京圏に来ている。オレンジの部分は,志望する学校や企業を選んだところ,結果的に東京だった。緑はやむを得ず東京圏,そして,最後は,東京圏ということは特に意識してなかったということで見ますと,東京圏で生活してみたかったという方が半分ということでございます。
 そして,次の13ページの下の資料です。東京圏の構成比という部分にありますように,東京圏の学生数というのは40.8%,約4割を占めております。そして,国立と私立で見ますと,青い字が下の平成13年と比べて減小した部分ですけれども,国立は東京,地方双方で学生数が減っている。私立についてはいずれも増えている。ただ,神奈川,埼玉,千葉の私立については学生数が減っているという状況でございます。
 またページをめくっていただきまして,16ページですけれども,都道府県別の大学進学者数・入学定員ということでございます。例えば上から2段目の一番左が東京です。東京で高校から大学に進学した方は約7万6,000人いるわけですけれども,東京の大学の定員は約15万1,000人,入学者数も約14万8,000人という状況であります。一方で,富山県ですと,大学進学者数は4,593人おりますが,県内の定員は2,350人。県外へ出ているということでございます。
 その下にありますとおり,東京圏と近畿圏については大学入学者数が多いということでございます。
 その後に,次のページから,それぞれ各大学,地域と密着した活動をしている大学の例が並んでおります。
 その後,24ページを御覧いただきますと,医科系大学,教育系大学等と並んでおりますけれども,医師や教員など直接職業資格につながる分野の大学に対しては,自県からの入学者や自県への就職者が多い。そして,入学者の自県比率よりも卒業者の自県比率が高いという,県外から来て自県内で就職するという方も多いということでございます。
 次,めくっていただきまして,26ページです。大学の自県進学率でございますけれども,地域ブロックの中心となる棒が高い部分,北海道,宮城,東京,愛知,京都,兵庫,広島,福岡等,地域ブロックの中心の都道府県は自県進学率が高い。
 そして,その下の図ですけれども,各都道府県の高等学校卒業者がどこに進学しているかというところです。青が自県内に進学している,緑が東京圏に進学しているということですけれども,左側の東北や東日本の学生は,緑の東京圏への進学が多いわけですけれども,右側の西日本に行きますと,赤が多く,域内のどこかの大学に行っている方が多いという状況でございます。
 それから,次の29ページ。これがよく議論に使われていますけれども,都道府県別の大学進学者の収容力ということで,東京と京都が突出して200%近い収容力がある。そして,長野県,三重県,和歌山県は4割を切っているというグラフでございます。
 その後幾つか資料がありますが,飛ばしていただきまして,38ページ,39ページでございます。緑色の帯のデザインのところですけれども,工場等制限法について書いてございます。御案内のとおり,かつて制限施設,1,500平米以上の床面積を持つ大学の教室の新増設等を禁止というのがありました。その下のグラフにありますとおり,工場等制限法が制定された一番上が昭和35年でございます。その頃から人口急増期を迎えまして,昭和51年の時点で東京圏の学生数は約2倍,31.3万人から60.2万人になっていますけれども,全体に対する割合で見ると減っております。そして,工場等制限法が廃止された平成14年までの間に,東京23区での学生数は減り,割合も減っておりますけれども,23区だけではなくて東京圏全体で見ると増えている。23区外の東京,埼玉,千葉,神奈川の割合がかなり増えている。そして,工場等制限法が廃止になった後,現在は23区の割合が少し増えてきているという状況でございます。
 そして,その後幾つか資料がございますが,最後から3枚目ぐらいのところに50ページ,51ページとあります。東京圏の産業別就業者数ということで,増えていく分野が,情報通信業,卸売・小売業,医療・福祉とあります。下に地方圏の産業別就業者数で,5年前と比べて増えているのが医療・福祉という状況でございます。
 そして,最後,もう1ページめくっていただきまして,54ページですが,地方から東京圏に転入した若年層の意識ということです。仕事を選ぶに当たって重視したことは,男女ともに,給与水準や関心のある仕事ができること,また男性では企業の将来性,女性では1都3県で仕事をすることという割合が高く,女性ではさらに,育児・介護の制度が充実していることも一定程度重視している。また,東京圏転入者が地元の就職先を選ばなかった理由としては,男女ともに,1都3県で仕事をしたかったからが最も多い。また,男性では,希望する仕事がなかったから,女性では,1都3県で暮らしたかったからも相当程度高い割合というのが出ております。データについては以上でございます。
 これにつきまして,資料3-2ですけれども,坂根座長からペーパーが出ております。特にポイントになるところだけ言いますと,1番の1ぽつ,丸4というところで,東京圏への進学希望が多い理由として,地方出身の受験生や親が,就職や学外研修,留学の機会など全て東京にいた方が有利と思っていることや,一度は都会で生活したいといった率直な希望がある限り,東京の大学の学部・学科の新増設の抑制の議論はともかく,東京の入学定員数削減を議論の目的にするのは現実的ではないのではないかというようなことを書いてございます。
 さらに,またこれに関して,後ろの2ページ目の一番下の辺りを見ていただきますと,(2)東京の大学の学部・学科の抑制,地方移転,ここにおいては,東京圏においても,学生のニーズへの対応,社会経済情勢の変化に対応した大学経営の主体性の確保は必要である。一方で,18歳人口が減少する中,学生の過度の東京圏への集中,地方大学の経営悪化等の現況を踏まえた対応(例えば学部・学科の新増設の抑制)が必要と書いてございます。丸2の部分では,地方大学と東京圏の大学がタイアップして,単位互換制度等により学生が地方と東京を相互に対流・還流する仕組みを構築といったような座長の私案が紹介されております。
 それを前提と致しまして,資料2の論点を御覧いただきたいと思います。資料2の2ページ目を御覧いただきますと,一つ目の論点が,地方大学の振興等のための方策とございます。資料2の2ページ目でございます。地方大学の振興につきましては,ここに御意見が出ておりますとおり,地方の国立大学が「総合デパート」では魅力が薄れる。コアとなるものを見つけて,どういう分野に投資して研究成果を出していくか考える必要がある。また,東京の大学から地方の大学に国内留学する仕組みを推奨してはどうか。あるいは,COC+事業は地方の意見を尊重し,弾力的に運用するとともに,継続的に取り組めるようにしていただきたい。地方に魅力ある大学を作ること,そして,学生寮を造るべきではないか。また,地方の国立大学の授業料を安くするか,東京23区の国立大学だけでも授業料を引き上げ,引き上げた費用を活用して,東京の学生が地方の大学で学修して単位を取るような取組を支援すべきではないかといった意見が出ております。
 次のページが,大学の新増設の抑制についてです。囲みの中の,最初が,新増設の抑制を進めるべきとの意見ということで,出生率の一番低い東京にこれだけ一極集中しているのは,市場が失敗しているわけであり,市場が失敗した以上は行政が介入する余地があるのではないか。工場等制限法当時と現在とでは,18歳人口が減少しているということで前提条件が異なっている。東京の収容力は200%と突出しており,これ以上収容力を高める必要があるのか。社会のニーズに応えて新しい学部を作りたいという場合には,既存の古くなった学部をスクラップして,新たなニーズに対応すればよいのではないか。定員を増やさない範囲でやればいいのではないかという御意見でございます。
 そして,次が,私立大学の自由を確保すべきとの意見ということです。学問は時代のニーズに応じて必要な分野への再編は自ら遂げていくもの,とりわけ私立大学の場合には,自由な発想を確保していくことが重要。私立大学は,学生の数を増やさずに学部・学科を改組しても収入が増えないので,収入を増やす努力の余地をなくして新しいチャレンジを求められても厳しいのではないか。
 三つ目に,国立大学の在り方ということです。国立大学は,人口が増えた時代に対応しなかった。人口が減った段階でも対応していない。これだけ人口が減っているので,国立大学の在り方というのは根本的に考えなければならないのではないかといった意見が出ております。
 次のページですけれども,大学の地方移転についてということです。地方のサテライトキャンパスを推進。地方と東京圏の大学がタイアップして,単位互換等により相互に対流・還流する仕組みの構築。そして,東京の地方移転については,既存の大学の学部との競合が起こらない分野,地域ニーズがあるところに出ていくようにするなど,学生の取り合いにならない配慮が必要ではないかという意見が出ております。
 最後に,次のページ,若者の雇用機会の創出と東京圏からのUIターン就職の推進ということです。真ん中の囲みの一番上ですけれども,魅力的な大学を作って地方に学生が来たとしても,結果として就職するときに都会に出ていってしまうので,魅力的な就職先を作ることが重要ではないかといった意見。その次の次に,地方から東京に来たいのに来られない学生に,どうやって来てもらって,地元に帰ってもらうかという,人の循環を作っていくことが必要ではないか。東京の大学と連携して,3年間東京で勉強して,4年目に地方に戻って教育を行うというプログラムや,地元企業と大学とのコンソーシアムを作って様々な活動をするなど,学生が地元に残る努力をするべきではないかといった御意見。
 そして,その下に,企業の研究開発部門などを地方に移すということを決断した企業については,政府が全面的にバックアップをしてほしい。また,企業は,地方にも研究開発拠点を持っているのに,採用を全部東京でやってしまうので,そのようなシステムを変えれば,学生の選択肢も地方に行っても広がるのではないか,こういった御意見が出ております。説明は以上でございます。
【永田分科会長】  どうもありがとうございました。今回は,ここで出た御意見を取りまとめて,中央教育審議会大学分科会の意見として「まち・ひと・しごと創生本部」にお届けする,ということになります。
 では,佐藤委員,どうぞ。
【佐藤委員】  キーワード的に幾つかの場所で,地方大学と東京圏の大学がタイアップするという言葉も出ているわけですが,なかなか地方大学の振興というのは,雇用との関わり等も考えると,一挙に全て解決できるような案はないと思います。
 参考になりそうな事例だと思うのでお話ししますが,桜美林大学では,沖縄国際大学と学生交流を行っています。沖縄国際大学は,国内でいうと,札幌学院大学との単位互換を最初に始めました。これは1年若しくは1学期間,学生を国内留学させるということです。ほかにも,名城大学,それから,京都学園大学,松山大学,熊本学園大学というような形で,今日に至るまで,沖縄国際の学生が1学期間若しくは1年間それぞれの大学に行って学ぶという形にした。
 内容は,お互いに授業料は互換しましょう,持ち合いましょうということです。大枠としては,沖縄国際の方は,大学としては30人程度,外に出すということにしていて,1大学5人と考えて交流していたんですね。桜美林大学は,沖縄国際大学と名桜大学の両方で,過去に沖縄国際大学は各年15人程度ずつ受け入れています。それから,名桜大学は,多いときは6人あるいは2人,1人というような形です。
 授業料は互換ですけれども,実は私どもの方から出掛けていく学生は,多分受け入れている学生の4分の1程度です。ということは,単純に授業料の収入だけでいうと,余分に受け入れている。1人に対して4人ずつぐらい受け入れているという形です。ただ,本来は,もっと多くの学生がこういう試みに参加したいと言うのですが,実は授業料は互換でも,ほかの経費はそれぞれの学生が負担するということですから,一番大きな,アパートを借りるということ,その負担を考えると二の足を踏んでいるという学生もいるという状況であります。
 私は,地方の大学がネットワーク的に大都市の学校との間で積極的に交流をした方がいいと思います。余り国立,公立,私立という枠組みにとらわれずにやるということ。どちらかというと,入学した学校,124単位全部を入学した学校で取らなければいけないという考え方だけではなく,もう少し学生のモビリティーがきちんとあった方がいい。外国に対しては1年間40単位まで認めるなど様々なことが言われておりますし,国内の方は,他大学で履修した単位を全部で60単位,1年間40単位という枠組みを作っているはずですが,それを十分に生かしていない。その辺から始めてはどうかと思います。
 ただ,これは基本的に地方創生に関わるところですので,その地域がお互いに活性化すればよいということで,恐らく財源としては,文部科学省が持っている財源だけではなく,さらに幅広く,地方に対する財源を含めて議論していかなければならないと思います。
 そのため,今はキーワード的に地方大学と東京圏の大学が議論されていますが,東京圏だけではなく,関西も含めて議論した方がよいと思います。沖縄国際大学の内容を見ていると,やはり地方が都会でその地域地域の特色を持つことができれば良いと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。鈴木委員,どうぞ。
【鈴木(典)委員】  ありがとうございます。私も,東京の私立大学の学長と,地方の公立大学の学長と二つ経験しております。やはり,今,東京圏と地方圏という中の交流を進めるべきということがありましたが,地方は地方で,学生のニーズを本当に考えて各自努力をしている,あるいは努力し始めていると思います。
 私のところも,そのような観点で努力していて,今年の入学生も全国の都道府県から集まってきており,やはり努力をして独自色を強めていくということがどうしても必要だと思われます。
 ただ,私のところは公立大学ですので,県からの運営費交付金等で運営していますが,各公立大学が地域の特性あるいは特色を生かした地方の創生政策を展開する上でも,大学のイニシアチブが取れるような,自由度をもっと上げていただいて申請できるような交付金等の活用の新たな枠組みを是非作っていただきたいと思います。そのようなバックアップがあって初めて,やはり地方でやる気のある大学あるいは独自性を出そうとしている大学が伸びてきますので,このことを切にお考えいただきたいと思います。
【永田分科会長】  続けて,志賀委員,どうぞ。
【志賀委員】  論点として三つありますが,まず丸4の部分です。やはり産官学連携で,地方の自治体,地方の大学,地方の企業,これらが地元の企業の業種に合わせて,地元の自治体が補助金を出しながら,大学での研究と合わせていくと,少しきめ細かく産官学連携を地方で行っていくというのが,やはり一番地元に人を残すことかなと思います。
 二つ目が,早稲田大学の北九州キャンパスの取組みですが,教養課程は東京で,専門課程は北九州のキャンパスで行い,そのまま地元の企業に就職するというもので,これは非常によいと思いました。新たにキャンパスを建てるのは大変なので,地方大学と東京の大学が連携をして,地方大学の施設で専門課程から大学院までうまくやれるとさらによいのではないかと思います。
 それから最後は,企業側として考えなければいけないことで,やはり企業の採用を変えなければいけない。日産自動車の九州工場は,高等学校卒業者までは地元採用で,大学卒業者は本社採用という形になっていますので,地元で働きたいと思っていても東京で就職しなければならない。無限定雇用になりますので,基本的にはどこに配属になるか分からない。やはり雇用形態を限定雇用を一般化して,地元の大企業に就職できて,そこに残っていられるというような雇用の形態も企業側としては今後考えていく必要があるのではないかと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。亀山委員,どうぞ。
【亀山委員】  ロシアでは,広大な土地の中に点々と都市が存在して,地方という観念が我々の考える観念とは全く違ったレベルにあるわけです。日本における地方とは一体何なのかということをより広い空間的な観点から見直した方がいいのではないかと思います。前期の中央教育審議会のある委員が,徹底して市場原理に任せましょうということを何度も言われたことがありますが,大都市に大学を作るのを抑制しようというのは,市場原理に反するわけです。つまり,一定程度,人間の需要と供給の関係で都市が造られるということがあるわけなので,その市場原理というものをどのように捉えるのかということをまず考えてほしいということです。
 私の大学,名古屋外国語大学は,1学年1,000人,そのうち400人から500人近い学生が半年ないし1年の海外での留学を経験します。これは全て,経営努力でやっています。先ほど鈴木委員がおっしゃったように,例えば国立大学の場合には運営費交付金をどこまで自主的に弾力的に運用できるかということは大きな課題になると思いますが,弾力的に運用できるほどには運営費交付金が配られていないわけです。私立大学はその点は,余裕があればかなり弾力的にやっていける。つまり,四,五百人を全額支援という形で送り出すことができるわけです。そうした形の経営努力でもって,本当に地方の外国語大学がそれなりの偏差値を確保できているということです。
 ですから,それぞれの大学が例えば都心に行かないようにするために設備をよくしようといった形で受験生の気持ちを引き付けようということをやっている以上は限界があると思います。やはりどこまで教育に投資するのか,還元するのかという観点から考えないと駄目です地方創生なのか,大学創生なのか,ここをきちんと切り分けて議論する必要があるのではないかと思います。
【永田分科会長】  相原委員,どうぞ。
【相原委員】  ありがとうございます。相原です。1点目は,やはり地方大学において,各地域における知の拠点としての期待値があるというのは十分承知をするところです。ただ,都道府県別の研究開発費の伸びは既に提起されていて,上位五,六県以外は,この10年15年研究開発投資が各地方にはほぼ振り向けられていない,ほとんど伸びがないということになっています。したがって,知の拠点化を目指すにしても,民間企業から見た場合の地方における魅力がなかなか開発しにくいということが現実としてあるのではないかと思います。したがって,限られた財源を民間企業がどこへ財源投資するのかとした場合に,国内か国外か,国内の中でどこかという厳しい選別がある中において,地方における財源的な投資を環境として作っていく必要があるということが一つです。
 もう一つは,学ぶ側の改革にも繋げるべきという点です。その点の延長線上で言うと,やはり今回の大学改革というのは,地方分権と一緒に考えていくべき側面が多いのではないかと考えております。というのも,地域に根差した人材を開発しようとすれば,地域における政策決定に深く関与していける,その領域が大変広いというところを学生自身が若いころから体得する,若しくは承知するということが大変大事でして,まちづくりを通じて人づくりしていくというようなところが今回のキーワードになってくるのではないかと思っております。地域行政,地域の活性に関わっていける幅や裁量が大変大きいということが,弱みではなく強みだということへ逆にスイッチを入れていくという大改革と地方分権のセットで進めていくべきだと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 鈴木委員,どうぞ。
【鈴木(雅)委員】  ありがとうございます。鈴木でございます。今回のこの部分については,地方の自治体と,企業,大学が三位一体になることが重要であると思います。その中の一つで,都内ですと,今,学生のインターンシップが非常に盛んです。見ていますと,大学の2年生から勇敢な人は実際に体験をしています。それを聞いたときに,やはり地方の大学もあわせて,東京の学生が地方に行ってインターンシップをしたり,地方の学生が東京でインターンシップをしたり,それをすることによって,企業が地方に拠点を持っているところのPRができると思います。そして,様々な情報が循環すると思います。
 大学によっては既にインターンシップが単位化されているところもありますので,それを更に自治体と協力して行っていく。おそらく地方で受入れ企業が少ないとなれば,自治体で面白いイベントを開催するなど,様々なことをしていると思います。そういうところで学生がインターンシップをするということもできると思います。今後更に学生のインターンシップは,ある意味で就職の前の活動として見られている部分が多いため,社会体験を重視して双方がうまくやりとりすることによって,魅力的な地方,そして,東京の面白さというものをお互いにチェンジできるのではないかと考えます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。それでは,有信委員,どうぞ。
【有信委員】  それでは,最初に2番目の話からさせていただきます。実際にデータを見ると,国立大学の学生数は基本的に変わっていません。東京集中といっても,東京圏でも国立大学の学生総数は全然増えていない。以前に東京大学の中で議論があったのは,東京大学に入学する学生の中で,やはり東京,関東圏の学生の比率がどんどん増えているということです。そのため,外部から東京大学に入学してくる学生の数よりも東京圏の学生の方が増えているという状況になっていて,実際に東京集中のメーンのところは,私立大学がいろいろ努力をされて,それから,就職のキャパシティーがあるということで東京に集中している。
 ただし,東京に就職のキャパシティーがあるからといって,東京で教育をしなければいけないというわけではないので,基本的には私立大学をどういうふうにガイドしていくか。私立大学は,もちろん建学の精神がそれぞれあって,自由に経営をするというところを侵すわけにはいきませんが,何らかの形の施策をとった方がよいのではないかと思います。
 1に関連しますけれども,実際に学生の数,つまり,学生,若い人たちが増えればその地域が活性化するというのは,いろいろな意味でその試算があるはずです。そのため,地方への大学の移転や新設を活性化することは経済的にも効果があるということです。
 それはただ単に若者が増えるという部分の経済効果ですが,本来必要なのは,地域の産業活性化で,しかも産業構造がこれからますます変わっていく中で,従来のように,例えば工業地帯だとかコンビナートというように集中的にある場所に集めて効率的に物事を運営するという事業形態よりは,より分散的に様々な事業ができるという形態が可能になってきているはずです。したがって,そのような中で新しい産業を地方に起こしていかないと,地方で教育を受けた人が全員東京に出てくると,ますます地方そのものの学歴が低学歴化をして,悪循環が止まらない。これをどこかで止めなければならない。
 これを止めるのが,例えば具体的な施策としては,地方の国立大学あるいは地方の自治体が核となって,いわば情報化に対応した新産業を育成するような施策をあわせてやりつつ,それに関連した新しい教育機関を作っていくというようなことを考える必要があるのではないかと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。それでは,黒田委員,どうぞ。
【黒田委員】  ありがとうございます。今まで様々なところでの議論を聞いていると,地方大学の振興というときに,東京から見た目線で語られていることが多いように感じます。地方の大学が今何をやっているかということをあまり御存じない。そのような中で,東京にある大学は優秀で,地方にある大学がその下であるかのような話が多く出てくるように思います。
 地方は地方で真剣に頑張っています。産業界とも地方自治体とも連携を取りながら,地方の産業界の振興に非常に地方の大学は役立っていると思います。そういった意味で,本当に地方の目線で地方の大学を語ってほしいと思います。そうでなければ,偏った施策が出てきてしまう。文部科学省でいろいろな競争資金が出ていますけれども,検証されていません。本当にそれでよかったのかということが全く見えてこない。予算が終わればその事業は終わりという,継続性のない事業ばかりが生まれているという,そういった実態があるわけです。
 地方大学がそれだけの地元企業,産業界,地方公共団体と連携を取りながらやっていますので,きちんとしたプラットフォームを形成するということが大事だと思います。プラットフォームを作って,そこに資金を投入して,地方交付税から資金を出していくという,そういうことをしながら地域を育てていくということをやらないと,いつまでたってもこれは同じことになってしまう。
 それともう一つは,国立大学の在り方です。全国一律の総合デパート的な国立大学というのはもう必要がない。これだけ財政が逼迫(ひっぱく)しているので,国立大学もやはり特化していく必要があると思います。世界的に競争できる大学,それから,本当に地域と連携して貢献できる大学。地域に貢献して連携できる大学というと,全部一律に同じことをやっているんですね。全国どこへ行っても国立大学が同じことをやっている。それでは駄目なので,その地域地域できちんと役に立つ連携をしていくという,そのようなことをやらないといけないと思います。東京にいて議論していてもなかなかその内容,実態が見えてこない。そのため,地方の意見を吸い上げていくということが必要だと思います。
 それからもう一つは,東京における大学の新増設の抑制。これは規制をする必要は全くないと思います。国民が望んで東京に出るのであれば,それでいいと思います。
 それからもう一つは,社会人の問題です。これは産業構造,働き方が変わらないと,進まないと思います。その辺の議論をしないと,社会人の受入れは増えてこないと思います。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。安部委員,どうぞ。
【安部委員】  私も地方で大学をやっていて思いますが,地方の振興のために地方の大学に何ができるかということを考えたときに,地方というのは,この表からも分かるように進学率が非常に低いです。ということは,高等教育機関に進学していない人の割合が大変高いということになります。しかし,その大半は,高校を卒業すると都市部に就職してしまうし,大学に行く人は東京等の都市部の大学に行ってしまい,地方には,高等学校卒業であれ,大学入学者であれ,人が残らないというのが非常に困ったことです。また,資料3-2にも書いてありますように,地方においては労働者の生産性が非常に低いということが言えると思います。よって,地方の大学の役割の一つは,地方に残る特に若人を,もちろん18歳だけでなく,社会人の学び直しも含めて,しっかりと教育をして,地方に必要な産業に従事する職業人を育てていくということであり,それは非常に大きな役割ではないかと思います。
 そのためには,例えば地方の大学は,高大連携を更に進めて,高等学校との連携等による職業教育等をやれるような柔軟性のある高等教育機関を地方に作ることが,必要ではないかと思います。そして,4年間通してだけではなくて,区切りがある,職業と学びと労働を循環する社会を地方自治体の関係者と作っていければと思います。高度な知識・技術修得のためには東京等の先端的な教育を行っている大学との連携等が必要です。地方の大学が地方でイニシアチブを取って,地方活性化に取り組むべきと考えます。特に,地方の中核・中堅人材をどうやって育てていくかということを考えたときに,そういった大学と地方自治体の連携が今後必要ではないかと思います。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございました。河田委員,どうぞ。
【河田委員】  先ほど,佐藤委員の方から,国公私立の枠組みにとらわれないという話がありました。また,黒田委員から文部科学省の様々な取組の話がございましたが,私からは二つ申したいことがあります。一つは,大学教育再生加速プログラム(AP)が3年目で,そろそろ検証の時期に入っています。
 このAPには五つのテーマが設けられています。アクティブラーニング,学修成果の可視化,それから,高大接続や入試改革等といった様々な項目があるのですが,各テーマの幹事校を決めまして,その幹事校が国立大学の場合もあれば,私立大学もあれば,短期大学もあり,それら地方の大学と大都市の大学が大学改革を協力してやっていくかという,そういった取組みが進んでおります。これは割と将来的に明るい芽が出かけているのではないかと思います。
 もう一つは,今の大学設置基準によると,それぞれ大学の規模にかかわらず教養の教員あるいは外国語の教員については,各大学が独自で教員を設置しておかないと駄目だとされています。その点をもう少し自由にして,地方の中小規模の大学あるいは短期大学は,語学の教員を雇わなくてもいい,あるいは教養の教員はいなくても,専門の教員だけでやる。その代わり,語学の授業あるいは教養の授業は,例えば放送大学の授業を使えばいいわけです。放送大学の利用金額をもう少し下げて安くしていただければ,どんどん地方の大学がそれを利用できるわけです。 したがって,そういった形で設置基準を見直していけば,地方の大学も十分やっていけるし,地方の大学として更にその地方に根付いた,そして,役に立つ,そのような教育あるいは研究ができると思います。今のままの設置基準でやっていったのでは,地方の大学はどんどん衰退の一途をたどることになるのではないかと考えます。以上二つです。
【永田分科会長】  ありがとうございます。松尾委員,どうぞ。
【松尾委員】  名古屋大学の松尾です。2点申し上げます。一つは,丸1についてですけれども,先日,アメリカのラストベルトの真ん中にあるオハイオ州に行ってきました。そこで,随分寂れているだろうと思って行ったのですが,全然違っていて,首都のあるコロンバスや隣にあるピッツバーグは,非常に町が再生していました。その中心には必ずしっかりした大学があり,人材育成や企業との共同研究を行い,失業率も非常に低い。
 日本も東京一極集中というのはいいか悪いかという話は別にして,恐らく経済や国の今後の振興を考えると,地域が活性化しなければ,やっていけない。そのときに,これまで国も投資してきましたし,恐らく私立大学は民間というか,自助努力もあるのでしょうけれども,大学が地域再生の核になるという,そのような考え方を是非中心に置いておかなければ,人材育成とイノベーションというのは日本の核なので,これをしっかりやらないといけない。
 ただ,それがやれるのかということです。先ほど国立大学は,3類型に分かれて,類型ごとに同じことをやっているというお話がありましたが,私はそういった見方は間違っていて,個別の地方大学は大変努力して特色を出そうとしています。ただ,それがうまくいってないように見えるのは,個別の大学が努力してやれることには限界があります。したがって,同じ攻め方ではなくて,恐らくやり方を変える必要があるのではないかと思います。
 例えば,大学が三つか四つ集まると,お互いの足りないところを補い合って相当のことができます。それから,個別の国立大学というのは,例えば地域といっても,その地域の産業界が外国へ出ていくときには当然国際交流もやるわけですから,地域だけに特化してやっているのではなく,実は様々なことをやっている。ただ,それが一つの大学の規模ではなかなかやり切れないというところがあるので,これからは今までのように個別で頑張るのではなく,今,産学連携では,本格的な組織対組織の産学連携とよく言われていますが,大学の連携も踏み込んだ連携,本格的な連携を更に模索しないといけません。
 設置形態の壁を超えた連携もなかなか難しいと思いますが,少しマインドセットを変えると,もっといろいろなことが自由にできて,今あるリソースをもっと生かしてやれるのではないか。それで成果が上がれば,更にそこに投資する意欲が国の方も企業の方も沸いてくるという,そのような好循環を作らないと,今のままではデフレスパイラルだと思いますので,是非今後はそういった観点で御検討いただきたいと思います。
【永田分科会長】  伊東委員,どうぞ。
【伊東委員】  ありがとうございます。主に丸2番と丸3番の観点でお話をさせていただきたいと思います。まち・ひと・しごと創生法が平成26年11月に制定されたわけですけれども,その第1条の目的の中に,東京圏への人口の集中を是正するということが初めて入れられたわけでございます。もちろんこれは大学だけで解決できる問題ではないということはよく分かっておりますけれども,東京への人口の転入がますます加速しているという状況を踏まえ,まち・ひと・しごと創生戦略の中で,文部科学省においても入学定員の超過の適正化に関する基準の厳格化等の措置が始まっております。
 私は,まだそれだけではなく,今後,18歳人口が120万から69万人になるという状況の中では,東京における大学の新増設の抑制については是非進めていただくべきだと考えております。これは大学,学科については,時代のニーズに合わせてスクラップアンドビルドなどをしていただくということはもちろん別とは思いますけれども,18歳人口が120万人から69万人になった場合に,その人たちの多くが東京圏の大学に行かれた場合に,地方はどうなってしまうのかということを是非訴えたいと思っております。
 私は,大学設置等の認可における措置,また国立大学の運営費交付金,また私立大学の経常費補助金等において,地方の大学についてはむしろ緩和をしていただいて,地方にもっと優位性を持たせていただくということが国の政策として必要であろうと思っております。
 例えば政府関係機関につきましても,今後東京での新設ということは原則駄目だということを,まち・ひと・しごと創生会議の中でも示されています。ですので,東京におけるいろいろな課題がもちろんあるというふうに思っておりますけれども,是非行っていただきたいと思っております。また,大学等の地方移転,インターンシップや奨学金などを是非進めていただきたいと思っておりまして,地方移転の場合には,是非,大学進学者収容力が低い地域への移転等を優先していただきたいと思っております。
 また,もう一つ最後に,東京の大学における就職の相談をしていただく窓口のことですけれども,そこの中で,出身県への学生の回帰ということについて力を入れて是非やっていただきたいと思っており,むしろいかに多くの学生を自県の方へ就職として帰していただいたかということを,例えば大学の評価の基準,交付金や補助金などの評価においても取り入れていくべきだと思っております。以上でございます。
【永田分科会長】  金子委員,どうぞ。
【金子委員】  今の伊東委員のお話にありましたように,やはり東京の一極集中を是正すべきだという意見は社会全体としては非常に強いということです。今まで出ていた意見をお聞きしますと,一つはやはり地域のニードに応じた地域貢献を大学はきちんとやっていく。そういったことを進めることによって,地方での就学率も上がり,バランスの取れた発展もできるのではないかという,そういう方向が一つ言われていると思います。
 それからもう一つは,やはり制度的な制限をすることによる実効性が本当にそれほどあるのかという議論もあるのだろうと思います。私も今のところ,法律的な制限をすることに実効性があるかどうかということについては多少疑問を持ちます。
 もう一つの問題,資料4の有識者会議で出している資料の39ページに工場等制限法が出ています。非常に原理的な問題として,政府が私立大学の立地について恣意的に制限ができるかどうかという制度的な問題があると思います。工場等制限法において,工場及び大学を含めて制限できることになっていますが,この下のグラフを見ても分かりますように,工場等制限法を施行してから実は大都市の学生数というのは倍近く増えているわけであります。
 私が覚えている限りでは,工場等制限法を大学に適用し始めたのはもっと遅かったのではないかと思います。そのときに,何で政府が大学の設置を,特にロケーションについて左右することができるのかと文科省の人と議論をしたときに,一般のお店でも,近くに同種のお店がある場合には制限されることがあるとのことでした。
学校教育法の理念からしても,今,私立大学に関しては,基本的には大学教育の条件を満たしていれば認めるというのが基本的な考え方だと思います。全国的なデマンドなどについてどの程度あるから私立大学を作ってもいい,作ってはいけないという判断はしないのが原則で,私立大学はそういうものだと私は思います。しかし,それは当然,様々な観点から,社会福祉の観点から,公共の観点から制限をしなければいけない事由はあるでしょうが,東京と地方のバランスということが直ちにそういったことを政府に許すことができるようになるのかどうかということは少し疑問があります。
 実際,1976年に東京での新設が非常に厳しく抑制されましたが,そのときは,私立学校に対する経常費補助金が出来たときでして,そういった政策がセットになっていたので,ある程度私立大学にも受け入れられたのではないかと思います。結局法的にそういったことはどうして可能なのか,どういう条件が必要なのかということをはっきりしておいた方がいいと思います。
 それから,必ずしも非常にハードな法律的な制限でコントロールすべきものなのか,あるいは,地方の私立大学について,もう少し例えば自治体からの補助金など様々な方法があると思いますが,そういったインセンティブを使う。今でもやはり私立,国立,公立を含めた地域連携については各種の補助金が一応少しながら出ている例も幾つかあるわけでありまして,そういったインセンティブを使っていくということも十分考えられると思います。
 そういったことについて,事務局はどのようにお考えなのかお聞きしたいと思います。
【堀野高等教育政策室長】  ちょっと今,直ちに正確に確認できてないんですけれども,私の曖昧な記憶に関して言いますと,法律はもう昭和35年から出来ているわけですけれども,過去の高等教育計画を作る段階におきまして,かつては18歳人口の増減に合わせた各地域ごとの収容力をどう考えて設置認可をやっていくかという計画を立ててやっておりましたので,昭和50年代以降の計画において設置認可をする際に,工場等制限法で定められた区域の中では新増設を抑制的に対応すると。ただし,大学院とか社会人とか特別なものについては例外だけれども,原則として抑制的に対応するというのが大学の設置認可の際の審査の取り扱い方針ですかね,審議会で定めた抑制の方針を設置審査の際の内規に定めて抑制をしていたと。それが平成14年に工場等制限法が廃止になった後,15年からだったと思いますけれども,我々の抑制をやめるというふうに方針転換をしたという経緯だと思います。またちょっと確認させていただきたい。
【永田分科会長】  前野委員,どうぞ。
【前野委員】  高等専門学校の立場の人間から少しお話をさせていただきます。まず大前提としまして,高等専門学校というのは,いわゆる高大連携の実態を行っているような状態でございまして,早期高等教育と飛び入学を実施しているような状況を全高等専門学校で実施しているということでございます。高等専門学校の立場からすると,今,統計にもありますように,1%に満たない学生数でありますので,バイパスの教育システムを充実させるということからすると,もう少し人数的に増えてもよいのではないかという印象を持っております。
 それはさておき,2と3に関しましては,やはり新増設を都心部でやる場合に,地方の大学とのタイアップシステム,地方の大学や高等専門学校とできるだけセットで考えるようなシステムを視点として入れてほしいと思っております。これは寮やアパートメントのシステムを含めまして,あるいは1年,2年の学生の交流も含めまして,地方とのタイアップシステムを考慮するという,都心部の大学の新設におきましては,是非そのような視点を持ってプランニングをしてほしいという気がいたします。
 これはまた特に大災害時における高等教育の維持と復活,これは非常に重要な課題でございますが,大きな災害が起きたときに,都心部の高等教育が全て思うようにいかなくなる可能性もありますので,そういったバックアップシステムとしての機能もしっかりと持たせた方がいいのではないかと思っております。
 また,4に関連しまして,様々な話題の中に,今,ITやAI,IoTの視点が全く抜けているのが若干気に掛かっております。IoTは,ある意味最先端の科学ですが,同時に極めて人間的,文化的です。例えば囲碁や将棋の例もありますけれども,囲碁のプログラムやAIシステムはそのままでは将棋に適用できません。極めて人間的な行動を高度の情報から見直すという,あるいはビッグデータから見直すということでございます。
 IoTの進展具合は恐らくこの人口推計の10年から20年のスパンよりもっと早く変革する可能性がありまして,それに対応できるように都心と地方の高等教育も考えていただきたいと思います。具体的にもう今,MOOCや科学アカデミー,あるいはそれに対応する国内の遠隔教育が非常に進んでおります。ここ数年でまた抜本的に変わると思いますので,そういった視点も是非入れていただいて,大規模情報のセキュリティの問題もありますので,都会と地方のバランスを最先端のIoTの視点も入れていただきながら考えていただけると有り難いと思っております。以上です。
【永田分科会長】  吉岡委員,どうぞ。
【吉岡委員】  やはり議論の中で,地方の振興を図るという話と,地方の大学の振興を図るという話がやや混乱していると思います。関連していることは確かですが,やはり分けて考えるべきところがあるというのが一つです。
 それから,資料上,年齢の東京への転入超過数ですが,20歳から24歳の枠を組んだ場合に,これが就職なのか就学なのか。20歳から24歳だと,むしろ就職で東京に来る人間というのがやはり圧倒的に多いのではないかというように思います。その二つです。
 全体については1と4に関わると思いますが,高等教育ということを考えるときに,例えば大学をどのようにするかということを考えることは,やはり基本は個々の学生が自分のキャリアデザインを組めるかどうかということだと思います。自分が地方にいようが,東京にいようが,今後どのように考えていくと自分のキャリアが組み立てられるかということについてのある種の展望がないと,制度を幾ら見直しても非常に空虚な議論になるのではないかと思います。
 もう1点は,将来を担う人材を育てるという場合に非常に重要なのは,やはり多様性を確保するということだと思っています。ごく簡単に分けてしまうと,一つは環境を多様にしておくことで,キャンパスを多様にしておくことは非常に重要だと思っています。どこの大学もそうだと思いますが,例えば留学生を増やそうということもそうですが,もう一つは,例えば東京の私立大学はかなり大手のところも含めてどんどん地方大学化している感じが強いです。つまり,今や7割から8割が東京及び東京周辺の学生です。これは非常に問題であると思います。つまり,どの私立大学もできるだけ地方の学生に来てほしいと思っています。それはやはりキャンパスを多様化していくということです。地方の学生と外国の学生を増やしていくということは非常に重要だと思っています。
 それから,もう一つは,キャンパスの多様化と,学生のキャリアの多様化ということで,留学させる,地方の大学にインターンシップに出掛けるなどですね。立教大学の場合だと,農業体験や被災地支援など様々なボランティアやサービスラーニングをやっていますけれども,そういった機会を作っていくことが,東京の大学にとっても,あるいは地方の大学にとっても必要だと思います。地方の学生が,地方で生まれて,地方の大学に行って,地方の企業に就職するということをモデルにするというのは,やめた方がいいと考えております。以上です。
【永田分科会長】  佐藤委員,どうぞ。
【佐藤委員】  是非有識者会議に理解してもらいたいのは,地方と東京,地方と大都市というパターンだけではやはり議論できないということです。例えば黒田委員のところは金沢,それから,鈴木委員のところは秋田ですが,それぞれの地方で,特色を持っているところは学生募集に苦労するわけではないのだろうと思います。
 逆に最近,募集停止や,募集ができなくて困っているという大学は,埼玉でも千葉でも東京でも神奈川でもかなり出てきています。それは,きちんと現状について理解をしていただくことが必要だと思います。また,この中で今の設置認可に,従来の伝統的な文学部や経済学部や法学部,あるいは理学部の新設はほとんど出てきていません。それぞれのニーズに,社会的な必要性に応じて手を挙げたところが申請をしていますので,学生募集についても,地方であっても何とかできているところがあるのだと思います。
 東京でも,やはり募集ができていないところ,運営がうまくいっていないところというのは,ガバナンス,あるいは事務能力に問題があるかというようなところが多いので,地方対東京とか,一つのそういう見方だけではやはり判断できないということは是非理解していただきたいと思っています。
【永田分科会長】  ありがとうございました。地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議への意見については,皆様の意見の中から,更に議論が必要なものと,有識者会議に回答していくものに仕分けさせていただきたいと思います。
 それから,中にはとても大きな論点もありました。それは当然のことながら,将来像の検討の中でより詰めて話をしていくべきものもあったと思います。つきましては,その取捨選択を分科会長に御一任いただけますでしょうか。

 (「異議なし」の声あり)

【永田分科会長】  ありがとうございます。それでは,本日の議論はここまでにさせていただきます。第135回の大学分科会を閉じさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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-- 登録:平成29年09月 --