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大学分科会(第134回) 議事録

1.日時

平成29年3月29日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 東館13階13F1~3会議室

3.議題

  1. 分科会長の選任等について
  2. 大学分科会の運営について
  3. 大学設置基準等の改正について(諮問)
  4. 認証評価機関の認証について(諮問)
  5. 我が国の高等教育に関する将来構想について
  6. 「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」における議論の状況について
  7. その他

4.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(副分科会長)北山禎介副分科会長,村田治副分科会長
(委員)亀山郁夫,室伏きみ子の各委員
(臨時委員)相原康伸,麻生隆史,安部恵美子,伊東香織,金子元久,河田悌一,黒田壽二,小林雅之,佐藤東洋士,佐野慶子,鈴木典比古,鈴木雅子,千葉茂,古沢由紀子,前野一夫,吉岡知哉の各臨時委員

文部科学省

(事務局)常盤高等教育局長,村田私学部長,浅田大臣官房審議官,松尾大臣官房審議官,神山大臣官房審議官,塩見高等教育企画課長,角田大学振興課長,浅野専門教育課長,蝦名私学行政課長,濱口主任大学改革官,牛尾文部科学戦略官,堀野高等教育政策室長 他

5.議事録

(1)分科会長の選任等について

 委員の互選により永田委員が分科会長に選任された。
 副分科会長については,永田分科会長から北山委員並びに村田委員が指名された。


(2)大学分科会の運営について

 事務局から,大学分科会の会議及び会議資料の公開並びに審議参加の制限について,資料2に基づき説明があり,原案のとおり決定された。
 また、中央教育審議会大学分科会運営規則に基づき,この時点から会議が公開された。


(3)大学分科会の開催にあたり,永田分科会長から以下のとおり挨拶があった。

【永田分科会長】  それでは,第9期の中央教育審議会の大学分科会の1回目ですので,簡単に御挨拶を申し上げます。
 既に文部科学大臣から中央教育審議会に対して諮問されている我が国の高等教育に関する将来構想に関する一連の検討ですが,大変重い諮問だと受け止めています。一方で,私個人としては,ようやく懸案であったことが盛り込まれた諮問であるとも受けとめています。それは,教育の質の保証という言葉でよく言われますが,教育のコンテンツそのものに言及する部分と,外形的な枠組みについて議論する部分が両方入っているためです。
 具体的には、学位プログラムの実質化,あるいは設置審査と認証評価といったような,本当に大学の根本に関わる重要な問題が含まれています。長年,今挙げた事項に対し様々な意見が出ていたものが,ようやく本審議会の場に登場したということで、緊張しながら,しかし大変期待を持って臨もうと考えています。
 委員の皆様方におかれましては,大変お忙しいことと存じますが,平成17年の「我が国の高等教育の将来像(答申)」からこれまでの経緯を踏まえ,今回ここで次の10年,あるいは20年先の大学像を皆様と一緒に議論をさせていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。


(4)引き続き,常盤高等教育局長から以下のとおり挨拶があった。

【永田分科会長】  続いて,文部科学省を代表いたしまして,常盤高等教育局長から御挨拶いただきます。よろしくお願いいたします。
【常盤高等教育局長】  本日はお忙しい中,御参加いただきまして,誠にありがとうございます。第9期の1回目の開催でございますので,文部科学省を代表いたしまして,一言御挨拶をさせていただきたいと存じます。
 大学分科会につきましては,大学等における教育の振興について調査,審議することを主な所掌としております。第8期までの分科会にでは,教育研究の質の改善・向上,あるいはガバナンス改革,認証評価制度の充実など,大学改革の推進方策等について幅広く御審議いただいてまいりました。
 高等教育を取り巻く状況は,今非常に大きな変革に直面していると考えてございます。産業構造,就業構造の急速な変革ということもございます。しかも,そのような産業構造や就業構造を変革させている大きな要素として,「第4次産業革命」と言われますように,IoT,ビッグデータ,人工知能などの情報科学の進展であるとか,あるいは生命科学での分野での急速な進展もございますし,材料科学の分野でも進展があるということだと思いますので,そのような科学の成果が様々な産業構造,就業構造に大きな変化を与えている。そして,科学の変化自体が,また科学の方法論にも様々な変化を与えていると考えてございます。そのような意味で大学を取り巻く環境には非常に大きな変化があるということは一つございます。
 それからもう一点は,大学の正に基本的で不可欠な構成員である学生の量的な規模ということを考えますと,我が国の高等教育機関への主たる進学者である18歳人口が,2040年には現在の約3分の2に相当いたします80万人程度にまで減少するという推計もあるわけでございます。こうした大きな変化の局面にあって,人材育成,あるいは知的創造活動の中核である高等教育機関が,今後,一層重要な役割を果たしていく必要がございますし,社会の各方面から大学に対してそういうことを求められていると思っております。そのような中で,高等教育全体の規模,分野別の社会的な需要も踏まえつつ,教育の内容や質の抜本的改善はもとより,高等教育機関の在り方自体の大きな構造改革が不可欠だと認識しております。
 このため,先般3月6日に,松野文部科学大臣から中央教育審議会に対しまして,中長期的視点から,概(おおむ)ね2040年頃の社会を見据えて,目指すべき高等教育の在り方や,それを実現するための制度改正の方向性など,高等教育の将来構想について御審議いただくよう諮問をさせていただいたところでございます。その諮問に対して,基本的に取り扱っていただくのがこの分科会になりますので,是非この第9期の大学分科会において,これからの時代にふさわしい新たな高等教育の将来構想をお示しいただきますよう,お願いを申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。


(5)事務局から,第8期大学分科会の審議状況と今後の審議体制について,資料3-1及び3-2に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【永田分科会長】  
 それでは,議事に入らせていただきたいと思います。本日の概要を先に述べますが,初めに第8期の審議状況について共通理解を得るために,その審議事項内容,審議体制等の確認をします。
 続いて,大学設置基準等の改正の諮問,認証評価機関の認証に関する諮問について,議論をさせていただきます。
 その後,今期の分科会にとって最も大切な議題である「我が国の高等教育に関する将来構想について」をまず議論したいと考えています。その次に,内閣官房まち・ひと・しごと創生本部から出ている「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」の現在の検討状況について御説明いただいた上で,皆様と議論をしていきたいと考えております。
 それでは,第8期大学分科会の審議状況と第9期の審議体制について,事務局から御説明いただきます。
【堀野高等教育政策室長】  それでは,資料3-1を御覧ください。前期第8期の大学分科会の審議状況についてでございます。
 まず初めに,大学教育部会ですけれども,一つ目にいわゆる三つの方針,ディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,アドミッション・ポリシー,この三つの方針を全ての大学が策定,公表するということが学校教育法施行規則に定められたことを踏まえまして,それぞれの策定,運用のためのガイドラインをまとめたものでございます。
 続きまして,「認証評価の充実について」という審議のまとめが行われました。平成30年度から始まる第3サイクルの認証評価に向けまして,上記の三つの方針を踏まえて,各大学の自律的な改革サイクルとしての内部質保証機能を重視した評価を行う。また,ステークホルダーの視点を取り入れた評価,そういった評価制度の転換について提言をいたしております。
 その下ですけれども,大学運営の一層の改革・充実のための方策として,大学事務職員等の在り方について検討を進めまして,スタッフ・ディベロップメントの機会を設けることや,今後の事務職員等が担う業務の変化を見据えて,大学の事務職員等に係る規定の見直しを行うこと等について審議を行ったところでございます。
 次のページですけれども,大学院部会でございます。一つ目の未来を牽引(けんいん)する大学院教育の審議まとめでございますけれども,高度な専門的知識と倫理観を基礎とした新たな知の創造と活用を主導する「知のプロフェッショナル」を育成するということで,重視すべき大学院教育の基本的な方向性,それから卓越大学院(仮称)の形成などを提言いたしました。
 次に,専門職大学院でございますけれども,社会の出口との連携の強化,また,多様なニーズに対応するための学士課程・修士課程との連携の強化等々について提言をまとめております。
 次に,法科大学院特別委員会ですけれども,平成27年6月の法曹養成制度改革推進会議において決定された法曹人口の在り方を踏まえて,法科大学院の定員規模を当面2,500人程度とする。また,共通到達度確認試験について試行試験を行い,本格実施に向けた検討を行う。統一適性試験の利用を任意化する等々の提言を取りまとめ,議論を行いました。
 認証評価機関の認証に関する審査委員会では,認証評価機関の認証についても幾つかの認証を行いました。
 3ページ目ですけれども,今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する作業チームを設けまして,正にこれから御議論いただく将来構想において,どういう事項を議論すべきかということの論点整理を行ったものでございます。
 その他ということで,高大接続の平成26年中央教育審議会答申をフォローアップする議論を行ったり,二つ目のところでは,高等教育予算の充実・確保に係る緊急提言ということで,国公私立を通じた予算の充実・確保についても御提言を頂いております。
 2は,これから議論することですので,後ほど資料で御説明したいと思います。
 審議状況については以上でございます。
 続きまして,資料3-2を御覧いただきたいと思います。今期の分科会における部会等の設置についての案でございます。前期では,今御覧いただきましたように大学教育部会というものがございましたけれども,今回は,諮問に合わせまして,「将来構想部会」というものを新たに設置したいという提案でございます。その下に,将来構想部会の中でお決めいただくことですけれども,制度論のかなり詳細な部分については,「制度・教育改革ワーキンググループ」というものを部会の下に設置いただきまして,制度面を中心に御審議いただくようにしてはどうかと考えております。2,3,4,大学院部会,法科大学院等特別委員会,認証評価機関の認証に関する審査委員会は,前期と同様に設置をしてはどうかということでございます。
 5番目ですけれども,現在,実際的な職業教育を行う新たな高等教育機関につきまして法案を提出したところでございまして,国会審議を待っている状況でございます。この法律が成立した暁には,新たな高等教育機関の設置基準を早急に定める必要がございますので,関係法案が成立した場合には,この作業チームを設置するというのが提案でございます。
 説明は以上でございます。
【永田分科会長】  御説明ありがとうございます。第8期の大学分科会の審議状況についての御質問等がありましたら,この後,本格的な議論の中でお願いしたいと思います。最初に,資料3-2に基づいて御説明のあった,本分科会の下に置く部会案についてお諮りしたいと思います。
 2,3,4の部分は,先ほど御説明があったとおり,前期からの継続事案がありますので、特段のご意見はないかと思います。1が今回の諮問に対して新たに設置をするものです。それから,5は御説明のとおり,法案が国会で成立した後、専門の作業チームを置くということですが,よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】  お認めいただいたということで,この部会等は,新たな事項が生じればまた考えなければいけないと思いますが,取りあえずこれでスタートさせていただきます。どうもありがとうございました。


(6)事務局から,大学設置基準等の改正について,資料4及び参考資料1-2に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【永田分科会長】  それでは,先ほど説明した2番目のところですけれども,諮問事項を頂いております。大学設置基準の改正についてということで,前期の大学分科会での審議を経て,大学事務組織の積極的な位置付け,それから教職協働につながるような枠組み,また、国際連携教育課程制度の例外的な取扱いというものについて,所要の改正を行うものです。前回ご出席の方々には分かりやすいと思いますが,事務局から今の内容について御説明をお願いいたします。
【角田大学振興課長】  それでは,資料4,そして参考資料1-2を使用いたしまして御説明させていただきます。
 まず,資料4,諮問文を読み上げさせていただきます。
 次の事項について,理由を添えて諮問します。大学設置基準等の改正について。平成29年3月29日。文部科学大臣松野博一。
 理由。大学が行う業務が複雑化・多様化する中,大学運営の一層の改善に向けては,事務職員・事務組織等が,国際的な連絡調整や組織的な産学官連携の推進等の大学における様々な取組の意思決定に参画するなど,これまで以上に積極的な役割を担い,大学総体としての機能を強化し,総合力を発揮する必要がある。
 加えて,大学教員を取り巻く職務環境の変化も踏まえ,教員・事務職員等の垣根を越えた取組が一層必要となっており,各大学が,教員と事務職員等とが連携協力して業務に取り組む重要性を認識し,教職協働の取組を進めていく必要がある。
 また,国際連携教育課程について,我が国と相手国大学における教育課程編成の制度の相違から,我が国における単位認定等の観点で当該相手国大学との国際連携教育課程の編成に支障を来す事案が生じている。かかる制度上の問題は,制度創設当初には想定されていなかったものであり,質保証を前提として,相手国大学の制度に柔軟に対応できるようにする必要がある。
 このため,別紙のとおり,大学設置基準等の改正を行う必要があるので,学校教育法第94条の規定に基づき標記の諮問を行うものである。
 ただいま読み上げました諮問文におきましては,大学事務組織が大学運営にこれまで以上に積極的な役割を果たす必要性,そして教職協働の必要性について言及をしております。これらの点につきましては,第8期の本分科会,前回の会議でございますが,御議論いただきまして,法令改正の方向性につきましては御理解いただいているというところでございます。
 具体的な改正内容につきましては,次のページの別紙,改正要綱を御覧いただきたいと思います。御説明させていただきます。
 まず,第一,大学設置基準の改正。一の教職協働についての規定でございます。教員と事務職員等との間での適切な役割分担の下,連携体制を確保し,協働によって職務が行われるよう留意すべきことを規定するというものでございます。
 次に,二,大学の事務組織についての規定でございます。現行では事務を処理するためとなっているところを,より積極的な位置付けを図る観点から,改正案では「事務を遂行するため」と改正するものでございます。これは,つい先日,国会におきまして成立いたしました学校教育法の一部改正の中で,事務職員の職務規定が事務に従事するから,事務をつかさどるに改正されることを踏まえたというものでございます。
 次に,三,国際連携教育課程についての規定でございます。この規定の内容につきましては,恐縮でございますが,参考資料1-2,こちらの方に別途資料を用意してございますので御覧いただければと思います。この参考資料1-2にございます国際連携教育課程制度,いわゆるジョイント・ディグリー(以下,「JD」という。)は,国内の大学と海外の大学との間で共同して単一の学位を授与するものでございますが,教育課程上の問題からJDの構築に支障を来す事例が出てきております。
 次のページを御覧いただきますと具体的な事例がございます。この図におきまして,A大学では,最初の1年次が学科を定めない共通の課程となっておりまして,2年次になるまでどの学生がJDの課程に入るかどうか特定されない仕組みになっております。このため,B大学のJDの課程といたしましては,2年次からA大学の学生を転入学させるという扱いになりますが,その際,A大学における最初の1年分の修業年限及び修得単位がB大学においても通算認定する必要がございます。この点につきまして,大学設置基準の第30条等において定めます入学前の既修単位の認定につきましては,国際連携教育課程におきましては,入学前に他大学で修得した単位を認定することが認められないという規定に現行なっているところでございます。この趣旨といたしましては,共同改正した課程の中で,確実に単位を修得するということが必要だという教育の質保証の観点から定めがなされているものでございます。
 ただ,このような参考資料のような事例におきましては,仮に認めたとしても質保証上の問題が生じることはないと考えられることから,特例的に既修得単位の認定を認めたいというものでございます。
 以上,大学設置基準の改正について御説明いたしましたが,高等専門学校,大学院,短期大学,専門職大学院の各設置基準の改正におきましても同趣旨の改正を行いたいというものでございます。
 最後に,施行期日でございますが,本年4月1日を予定しているところでございます。
 改正の内容の説明は以上でございますが,本日,御答申を頂けましたならば,パブリックコメント等の結果も踏まえまして,速やかにこの内容に沿いまして省令改正を行いたいと考えているところでございます。
 御審議のほどよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは,皆様から御意見,御質問等をお受けいたします。いかがでしょうか。後半の国際連携課程については極めて分かりやすいと思いますが,好事例が増えてきたので,こういうものを認めていこう,というものです。一方、相手国側の視点もあるわけです。こちらは相手の国の中で御議論いただいて,我々との調整を図っていただくということになると思います。
 それから,職員については,これは実はかなり大きな前進と我々は捉えています。先ほどの文言にあったように,単に定型的なものを処理するというのではなくて,もう少し踏み込んで大学の運営その他に当たるという内容に変わるわけです。もともとそういう考え方の大学も多いと思いますけれども,そうでないところは,現在の規定を盾に意思決定への参加に消極的になるという状況もあるかと思います。今後はそうではなくて、意思決定に積極的に参加をするようにという内容になっているわけです。
 それでは,大学設置基準の改正については,中央教育審議会令第五条第六項に,分科会の議決をもって審議会の議決とするということになっております。したがいまして,これからここで議決を行うと,これが中央教育審議会の議決ということになります。
 それでは,定足数について御確認いただきたいと思います。
【堀野高等教育政策室長】  大学分科会の委員及び臨時委員数は28名でございまして,現在21名の御出席なので過半数を満たしております。
【永田分科会長】  それでは,定足数に足りておりますので,お諮りを申し上げます。ただいま御説明があった諮問の内容について,御了解いただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】  どうもありがとうございました。この先,何らかの微修正等があるかもしれませんけれども,その取扱いについては,私に御一任いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それから,4月1日施行というわけですから,文部科学省は速やかに関係機関に分かりやすく御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。


(7)事務局から,認証評価機関の認証について,資料5に基づき説明があった。

 それでは,続きまして,認証評価機関の認証について,専門職大学院の認証評価について,大学基準協会から新たにデジタルコンテンツ分野に関しての認証を受ける申請がありました。これについて,これも中央教育審議会第三条第二項に基づいて,この大学分科会に諮るというものであります。
 具体的な審査については,認証評価機関の認証に関する審査委員会というのがありますので,そこで行っていただいて,その結果を待って本分科会で議論を行おうということであります。事務局の方から説明をお願いいたします。
【堀野高等教育政策室長】  資料5を御覧いただきたいと思います。認証評価機関の認証についての諮問でございます。諮問理由にございますとおり,公益財団法人大学基準協会から認証評価機関の認証の申請があったものでございます。この資料の一番最後のページにございますけれども,デジタルコンテンツ分野の専門職大学院の分野別評価を行うということでございまして,一番最後に書いてありますとおり,デジタルハリウッド大学院大学デジタルコンテンツ研究科が対象となります。永田分科会長から御説明がありましたとおり,審査委員会においてしっかり議論をして考えをまとめた上で,本分科会にお諮りをしたいと考えております。
 以上でございます。
【永田分科会長】  御説明のとおりですが,本分科会でいきなり審議を行うわけではなく,審査委員会で詳細な審議を行った上で,本分科会にお願いを申し上げるものでございます。これについてはよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】  それでは,審査委員会で審査をお願いしたいと思います。


(8)事務局から,我が国の高等教育に関する将来構想について,資料6-1に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【永田分科会長】  それでは,ここからが一番重要な案件でございますけれども,「我が国の高等教育に関する将来構想について」議論を交わしたいと思います。先ほど何度も出てきましたが,3月6日に開催されました中央教育審議会において,文部科学大臣から「我が国の高等教育に関する将来構想について」の諮問が行われました。その際,北山中央教育審議会会長より,本件については大学分科会を中心に議論を進めるようにと御発言いただいておりまして,本日がキックオフということになります。
 それでは,先ほど簡単に御紹介いたしましたが,もう少し掘り下げて事務局の方から内容について御説明をいたします。
【堀野高等教育政策室長】  それでは,資料6-1を御覧ください。3月6日の諮問文でございます。1ページめくっていただきまして,理由というところから御説明させていただきます。初めの段落にございますとおり,我が国社会の大きな変化として二つ,1点目は,「第4次産業革命」は,既存の産業構造,就業構造,さらには人々の生活を一変させる可能性があるという指摘がある。もう一点は,18歳人口の推移につきまして,2016年には約119万人というものが,2030年には約100万人にまで減少,2040年には現在のおよそ3分の2に当たる80万人になるという推計もあるということでございます。
 こうした中で,人材育成と知的創造活動の中核である高等教育機関が一層重要な役割を果たす。そのための教育の質の向上が必要だということですけれども,新たな知識・技能を習得するだけでなく,学んだ知識・技能を実践・応用する力,さらには自らの問題の発見・解決に取り組む力を育成することが重要である。さらに,自主的・自律的に考え,多様な他者と協働しながら,新たなモノやサービスを生み出し,社会に新たな価値を創造する,こういった人材を育てていかなければならないという考え方が出されております。こうした要請に応えて,今後の高等教育機会の確保であったり,また財政支援の方策も含めて検討いただきたいということでございます。
 下の段落では,中央教育審議会を振り返りまして,平成17年の答申「我が国の高等教育の将来像(答申)(以下,「将来像答申」という。)」,においては,2015年から2020年頃までに想定される高等教育の将来像を提示していただきました。今回御審議いただくのは,この後の二十数年間ということでございます。将来像答申では,「高等教育計画の策定と各種規制」の時代から「将来像の提示と誘導」の時代への移行という大きな方向性が示された。そして,大学,大学院,短期大学,高等専門学校,専門学校,それぞれ学校種ごとの位置付け,役割を十分に踏まえた教育・研究の展開が必要である,また,個々の学校が個性・特色を一層明確にしていく,機能別分化という言葉も使われましたけれども,そういったことが求められております。
 併せまして,質の保証の仕組みとしては,事前・事後の評価の適切な役割分担と協調,いわゆる事前の評価である設置基準,設置審査,こういったものは準則主義化をされてきている。一方で,事後評価としての認証評価というもの,この事前と事後を車の両輪として質保証していくという考え方が提言されております。
 2ページ目でございますけれども,こうした答申を踏まえまして,これまで文部科学省で様々な施策を実施してきたことにより進学率が高まり,学ぶ機会の充実は図られてきた。一方で質保証については,各機関における取組は進められつつあるものの,いまだに多くの課題が指摘されているということでございます。
 こうした社会・経済的な様々な変化,初等中等教育における指導要領の改訂や高大接続改革の動向,更に地方創生や働き方改革といった政府全体の取組等を踏まえて,高等教育の将来構想について総合的な検討を行うことが必要ということでございます。次の段階にありますとおり,中長期観点から,概(おおむ)ね2040年頃の社会を見据えて,将来構想についての御審議をお願いします。
 そして,大きくここから四つの点についての審議事項ですけれども,第一につきましては,各高等教育機関の機能の強化に向けて早急に取り組むべき方策ということでございます。先ほど申しましたとおり,第8期の中央教育審議会におきまして論点整理というものがまとめられております。細かくは,後ほど参考資料2-3を御覧いただければと思いますけれども,大学,大学院,短期大学,高等専門学校,専門学校それぞれについて,今後の機能の強化,検討すべき論点,方策について具体的に示されております。教育課程の教育方法の改善,学修に関する評価の厳格化,社会人学生の受入れ,他の機関と連携した教育の高度化等々とございますけれども,各機関ごとにそれぞれ示されておりますので,これらについて御議論いただくということでございます。これは比較的早急にできることから進められるものについて進めるというものでございます。
 第二につきましては,より大きな制度等の在り方について御検討いただきたいということでございます。本審議会では,長い間学位プログラムが取り上げられてきております。現在の制度というのが,学部・学科や研究科といった組織に着目した在り方を中心に構成されておりますが,学問の進展や社会の変化に対応した教育,学生本位の視点に立った学修の実現をしていくためには,学位を与える課程(学位プログラム)に着目した在り方をより重視していくということが必要だと指摘されております。学部・学科という学生,教員の組織から,教えるプログラムの内容に着目する考え方に整理していってはどうかということでございます。こうした学位プログラムの位置付け,それから学生と教員比率の改善,それからICTの効果的な利活用,こういったことを組み合わせて,次のページになりますけれども,設置基準,設置審査,認証評価,情報公開の在り方を含めた総合的かつ抜本的な検討をお願いするものでございます。
 特に,先ほどの車の両輪という設置基準と認証評価ということにつきましては,第8期の論点整理の中でも,事前の設置基準というものは準則主義化によって,一定の基準を満たせば認められるというものになっており,一方で事後チェックの認証評価で厳しく質を見るという大きな考え方でしたけれども,それが実際に両輪としてうまくいっているのかといった課題意識が出されております。こういったことも含めて総合的に御検討いただきたいということでございます。
 次の段落で,更に様々な,まずグローバル化という観点から学位の国際的な通用性,あるいは外国人留学生の受入れや留学の促進,地域の産業界との連携,社会に出た者が何度でも学び直せる環境の整備,それから教員・学生の流動性の向上,高等教育機関間の連携,様々な観点から御検討いただきたいということでございます。
 第三が高等教育全体の規模を視野に入れた,地域における質の高い高等教育機会の確保の在り方についてでございます。18歳人口につきまして,今後の進学率をどう見るかということですけれども,これまで高等教育機関全体として見ますと,数や入学者数は減少してきておりますけれども,四年制大学に限ってみますと,過去10年間,726校から777校へ増加しており,入学者数も60.4万人から61.8万人に増加しております。2014年の大学学士課程への進学率49%というのは,OECD平均の59%と比べると低いという評価もできますし,一方で,専門学校等も含めた高等教育機関全体への進学率80%というのは,OECD平均68%を上回っている。さらに,留学生や社会人学生の割合というのは,OECD諸国に比べて低い。
 また,今まで日本全体の話ですけれども,地域によって高等教育への進学率や収容力といったものも異なるという状況で,少子化の中,地方の私立大学ほど厳しい経営状況に陥る傾向があるという状況がございます。こうしたことを踏まえて,高等教育の構造の在り方を御検討いただきたいということでございます。
 その際,既存の学部・学科の構成や教育課程の見直しを促進するための方策はもとより,高等教育機関間,さらには高等教育機関と地方自治体・産業界との連携の強化に関する方策も含めて,地域における質の高い高等教育機会を確保するための抜本的な構造改革の在り方を御検討いただきたいということでございます。
 その際,分野別・産業別の人材育成の需要の状況についても十分考慮するとともに,国公私立の設置者別の役割分担の在り方,国公私立の設置者の枠を超えた連携・統合の可能性なども念頭に置きつつ御検討いただきたいということでございます。
 この点について,大臣からの閣議後会見で記者からの質問がございましたけれども,大臣からは,それぞれ建学の理念,精神もあるかと思いますし,今までの各高等教育機関の歴史・経過の中においての違いというものもあると思います。そういうことも踏まえて地域性の問題も考えなければいけませんし,統合と言っても,全く一つの大学になるということもあるかもしれませんし,一つのネットワークとして存在していくという形もあるかと思います。多様な形が想定できると思いますので,2040年の姿から考えて,中央教育審議会の中において御議論いただきたいとの考え方を会見で答えております。
 最後のページ,第四の部分ですけれども,高等教育の改革を支える支援方策の在り方ということで,財政状況が厳しく,十分な人件費,研究費の確保が困難になっているという状況の中で,基盤的経費,競争的資金の充実,透明性の確保の観点も踏まえた配分の在り方等について検討をお願いします。その際,先ほど給付型奨学金の話もありましたが,学生への経済的支援の充実など教育費負担の在り方についても併せて検討をお願いいたします。
 これは次の議題になりますけれども,「まち・ひと・しごと創生総合戦略」という閣議決定の中で,地方大学の振興,東京における大学の新増設の抑制,地方移転の促進等々の対策を,教育政策の観点も含めて総合的に検討し,本年夏を目途に方向性を取りまとめるとされております。これについては,内閣官房の有識者会議で議論が始まっておりますけれども,本大学分科会において,中央教育審議会としての考え方をしっかりと御議論いただきまして,政府全体の考え方に反映させていくという御議論を,早めに議論いただきたいということでございます。
 以上が諮問の内容でございます。
 スケジュール感につきましては,明確に決まっているわけではございませんが,この全体について最終答申までとなりますと,少なくとも1年半は掛かろうかと思っております。もう少し掛かるもしれません。ただ,節目節目でまとめを出すということは考えられるところでございまして,今のまち・ひと・しごと地方創生の関係で早い時期に中教審としての考えを伝えなければいけないことは早期にまとめる。あるいは教育振興基本計画が年末ぐらいのとりまとめを目途に検討が行われていると思いますけれども,その時点で高等教育関係について,ここでまとめられるものがあれば,その時点のまとめを公表するといった節目節目での審議のまとめというのは考えられるかと思います。
 そして,参考資料2-1というのが,この諮問に関するデータ集になっております。何があるか見ますと,2ページ目の部分が将来の就業構造の予測ということで,かなり製造業からサービス産業の方に移っていくですとか,AIやロボットによって代替可能性が高い労働人口が49%であるという考えがあるとか,3ページ目の下の段でいいますと,18歳人口ですけれども,先ほどの現在119万人というのが平成28年で,2040年の方が80万人,これぐらい大きく減っていくということでございます。
 4ページの上段が進学率,4ページの下の段が,学士課程で見ると日本の進学率はOECD平均より低いけれども,高等教育全体で見ると高いということを示すグラフでございます。
 そして,5ページ目ですけれども,大学の学校数と在学者数がありますけれども,全体としては減りつつありますけれども,一番下の緑のバーが大学の四年制課程ですけれども,この緑の部分だけ若干まだ増加しているという全体像でございます。
 6ページ,上が社会人の割合がOECD平均と比べて低い,下が留学生割合が低いということでございます。
 7ページ以降には,それぞれ各地域間,進学率の差というもの等々ございまして,7ページの上にございますとおり,都道府県別に見た場合の進学率というのは,かなり都道府県別に差があるわけですけれども,その差が平成17年より更に広がっているのではないかという状況等々データがありますので,御参考にしていただければと思います。
 説明は以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。ここから議論でございます。キックオフなので御自由に御発言いただいて結構だと思いますが,お考えの間に少し申し上げたいと思います。今の四つの大きな諮問内容ですが,その中の1番と4番は,言ってみれば,今現在の我が国における高等教育の機能の最大化に関わっているということで,新たな将来像というよりは,今現在持っているものを最大限発揮するためにどうしたらいいか、という観点だと思います。これについては比較的早めに議論を進め、結論を得る必要があります。
 もう一つは,2番目と3番目,4番目にも関わりますが,こちらは,我々が我が国の未来に対して責任を持つ内容になっています。2040年に急に施策が変わるわけでも,急に財政状況が変わるわけでもありませんから,それに向けてこれから我々としていつどのように始めたらいいのか、そういうことをここで議論をしなければいけないということです。
 内容は二つに分かれていて,高等教育のコンテンツそのものをどうしていくかということと,それから高等教育の枠組みをどうやって決めるかということです。先ほど高等教育局長からも規模の問題が出てきました。しかし,最終的に数の問題になる可能性はありますけれども,それ以前に、いかに大学を設置して,いかに大学の機能をきちんと評価することで,国全体に質の高い高等教育を供与していくか、という検討がより重要な問題です。
 ですから,もう一言だけ申し上げると,例えば留学生の問題は,機能の最大化の中に入っておらず、2番目に書いてあります。ということは、留学生の数が増える増えないという以前に、我々の国にとって留学生は一体どのような存在なのか、ということを考える必要があります。そのうえで、我々として我々の国の高等教育を授けてどのような人材に育てていくのか、ということになります。
 そうすると,今国費留学生その他に関して,収容定員の内枠であるとか外枠であるとかという議論がありますが、いつまでも日本人学生と別扱いでいいのか、という議論に当然ならざるを得ないわけです。このように,今現在の機能の最大化の部分と,それから2040年の社会を思い描き,我が国の高等教育の将来の枠組みをどのように考えるのか、ということを話し合うということであります。大きく分けてこれらの視点を頭の中に入れておいていただけると,議論がお互いに把握しやすいのではないかと思います。もちろん,両者の間に架け橋的な議題はたくさんあると思いますので,この点も申し上げます。
 それでは,自由に御議論をお願い申し上げます。それでは,河田先生,いかがでしょうか。
【河田委員】  非常に大事だと考えていることがあります。それは,本日の資料6-1の中で特に第三のところの下から2行目,「国公私の設置者別の役割分担の在り方」という言葉が出てまいります。それから,第四のところでは,2行目にありますように,人件費や研究費が十分に確保できず,教育研究活動に大きな影響を与えかねないという,そういった状況であります。昨年度を見てみますと,国立大学は86校あって,運営費交付金が1兆945億円,年々ずっと下がってきているわけですね。それから,公立大学は89校あって,これは総務省からの交付金が1,754億円出ている。公立大学は割合に小規模の大学が多いわけですが,それでもこれだけの国費の資金が入っているわけであります。私どもの担当します私学の方は,昨年の段階だと604校の四年制大学と328校の短期大学,さらに3校の高等専門学校があって,わずか3,153億円しか出ておらない。しかも,新たに学校教育法第1条のいわゆる“1条校”として,専門職業的な教育をする高等機関を大学として認めるということを文科省はなさってきている。これだけの国費が入っている,それが年々減ってきている中でどういうグランドデザイン,どういう国公私立の役割分担をさせようとしているのか。文科省自身がどうお考えになっているのか。その辺のことを,私どもとしては知りたいところであります。
【浅田大臣官房審議官】  基本的にこれまでも国立,公立,私立,それぞれが役割を果たしてきていると思っていますし,これからもそれぞれの果たすべき役割は当然あると思っています。ただ,ここでも触れておりますが,全体として,少なくとも18歳人口というのは減りつつあるし,これからも減っていく。そういう中で,この先,我々として,国立,公立,私立それぞれが,引き続きそれぞれの機能はあると思うのですけれども,その中でどういう役割をどの程度担っていくべきものなのかということは,常に問い直さないといけないと思っています。むしろそういうことを考えなければいけない,あるいは御議論いただかなければいけないということでここに出させていただいているということであります。
 当然,その際には,ここにもいろいろ書かせていただいているように,国公私立の役割分担ということだけではなくて,連携ということもあるでしょうし,各分野別に見たらどうか,地域別に見たらどうか,様々な要素があると思います。それから,国公私立というだけではなくて,大学,大学院,短期大学,高等専門学校,専門学校等々,様々な高等教育機関があるわけですけれども,そういったものがそれぞれどういう役割を果たしていくかということが課題になると思います。
 また,今朝の新聞にも幾つか出ていましたが,18歳人口ということだけではなくて,一旦社会に出た方々の学び直しといいますか,生涯学習的な面で高等教育機関がどういう役割を果たしていくのかということ。それから,先ほども出ましたが,外国からの留学生や研究者に対してどうしていくのかと,いろいろな要素があると思います。我々は我々で高等教育全体のグランドデザインということは念頭に置いて考えなければいけないと思っていますが,我々だけで考えるのではなくて,是非この大学分科会の場で様々御意見を頂いて,それを踏まえながら考えさせていただきたい,そういうことでございます。
【永田分科会長】  今の観点は本当にそのとおりですね。国公私立の設置者別の観点だけではなくて,分野や地域などの観点もあると思うので,忌憚(きたん)なく御意見をどんどん出していただければと思います。
 北山副分科会長、どうぞ。
【北山副分科会長】  ありがとうございます。前回の将来像答申から、10年以上経過しておりますので,PDCAサイクルのCに当たる部分、チェックを確り行う必要があろうかと思います。すなわち、17年以降に出されてきた様々な改革プランや,構想について、それらが実質的、実態的に行われてきたかといった点についての棚卸しが重要だと思います。
 もう一点、地域における教育機会の確保については,参考資料2-1にデータがありますが,例えば、大学卒業後の就職に伴う東京圏への転入者数は極めて多く,近年増加傾向にあります。したがって、東京一極集中の是正を検討する際には,当然のことながら,22歳以降の就職の問題,つまり産業、企業に関係する問題を切り離して考えることは難しいのではないかと思います。
 また、有識者会議では,東京23区内の大学の学部の新増設の抑制といった議論もありますが,これについては、各大学が社会の変化に応じた自己変革を進めていく際の阻害要因となりかねない点には留意が必要だと思います。例えば、社会の変化やニーズに対応した教育内容の新陳代謝がうまくいかなくなるといった懸念もあろうかと思います。
 そうした一律の抑制よりも、各大学に対して変化への対応や,それぞれの強みを生かした機能強化を促していくことが重要だと思いますので,有識者会議でも、そういった点を踏まえて検討していただきたいと思います。地方の大学といっても一括(くく)りで考えることは難しく,その状況はまちまちだと思いますが,地域の特色のある産業に根差した質の高い教育研究を行う地方大学も既に多く存在していますので,今後、各地域の特性を踏まえたよりきめ細かい支援方策や対策を検討していくことが必要だろうと思います。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。佐野委員,どうぞ。
【佐野委員】  この諮問事項の3ページの第二のところに関連してですが,ここで学修の質の向上に向けた制度等の在り方,次のページにも設置基準を含めて,在り方について総合的かつ抜本的な検討ということがございます。教育そのものの質保証については,3ページ目の上にもありますように,各機関において,その充実に向けた取組が進まれつつあるとございますけれども,教育の質保証ということを更に支える土台としては,実効性あるガバナンス,それと盤石な財政状態,この二つは欠かせないものと思っております。
 設置主体別には,例えば国立大学であるとか,株立もあります,私立大学もあります。設置主体が違うということで,ガバナンスの制度であるとか,会計基準についても異なるものが併存して,それはそれなりによろしいかと思うんですけれども,例えば私立大学について言えば,情報公開の点で十分性が満たされているかというと,必ずしもそうでない部分がある。国立大学も同様なことが言えるかもしれないのですけれども,それぞれ情報公開の仕方が違うということもあって,なかなか社会一般の理解を得にくい状態にあるのではないかと思います。
 ここで、見直しであるとか,地域連携であるとかをアナウンスするわけですけれども,やはり社会の理解を求めて,またそれを得られるような状況にしなければ,こういったものも順次進んでいかないのではないかと思うんですね。従いまして,社会に分かりやすく説明できる各基準の検討,見直しであるとか,情報公開の在り方,何をどういうふうにしたら分かりやすくできるのか,といったことについて十分な検討が必要なのではないかなというふうに思っております。その辺のところも十分認識して進めていきたいと思っております。
 以上です。
【永田分科会長】  千葉委員,どうぞ。
【千葉委員】  諮問文の,2ページ目のところに第8期の中央教育審議会大学分科会においてまとめられた役割・機能強化というところがありますけれども,そこの中に専門職大学が含まれていないのですが,どこかの時点で入れた方がいいのではないのかなというふうに思います。
 こういうふうに社会が変わっていく中で,あるいは対象とする入学生が変わってくる中で,大学の機能強化も必要ですけれども,機能分化もやはり必要だと思います。これまでの提言の中にも七つのタイプに大学を分化しようということが盛り込まれていますけれども,そういったものもやはり現実のものにしていかないと,ここに書かれているような社会人学生が学びやすいような大学,留学生が学びやすいような大学,あるいは地方の創生のために役に立つような大学,そういった機能の分化というものも併せて行っていく必要があると思いますので,専門職大学という新しい機能を分化した大学が誕生する予定になっております。そこも盛り込んでいただければということをお願いしたいと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。法案が通って全部確定すれば,当然入ると思います。 そのほかいかがでしょうか。はい,どうぞ亀山委員。
【亀山委員】  大学分科会というよりも,学術分科会の話題に関わってくるテーマかもしれないんですけれども,私が東京外国語大学の学長をしていた2010年から11年の間あたりに,いわゆる大学の改革をめぐって大変熱のこもる議論があり,120億円近いお金が出るということでそれぞれの,国立大学を中心に改革の議論があったわけですね。そのときに,私も例えば東京の四つの大学の連合による様々な改革プランといいましょうか,連携のプランを出し,それが全部否定されるようなことがあったわけです。
 しかし,実際に様々な地域でそういった連携プランがあり,ほとんどが,それが流れてしまったという状況があって,それが非常に苦々しい記憶があり,それ以降,何か国立大学の中に,真剣にそういった形の改革をやろうという機運が失(う)せているのではないかという,そういう印象を持ちます。現在,私は私立大学の学長ですので,国立大学の状況は分からないんですけれども,これは文部科学省に対する一つの批判になるかもしれませんが,何か提案しておきながら,実際にはそれを本当のところでサポートしないみたいなことがある。その不信感を取り除くということは非常に重要じゃないかということを痛感しています。あの時期に提案された幾つものプランというのは,もう一回見直してみる必要があるのではないか。そのあたりから議論しても良いのではないかということが一つです。
 もう一つは,これも若干学術分科会に関係するところかもしれないんですけれども,いわゆる21世紀COEとグローバルCOEという二つのプログラムが走ったわけですね。あのときの知的熱気というのは相当に高いものがあって,それがプラスに作用したか,マイナスに作用したかということについては,大きく評価が分かれるところだと思います。とりわけ世界の大学ランキングで,逆にこれが行われた後に,メジャーな日本の国立大学のランキングが劇的に下がっていたという,そういう状況があるので,事によると,その二つのプログラムというのは否定的な評価につながるべきものなのかもしれません。ただ、世界の大学ランキングでカウントされる大学数は950ですね。ランクインしている大学の数でいうと,日本の大学はかなり数的に増えているので,基盤の部分では強化されているのではないかとも思います。
 問題は,国際性という部門でまったくポイントが稼げていないということで,日本の大学の評価が世界的に低いということが言われるわけなので,国際性を獲得するための何らかの方策を国が主導してやっていくというようなことがあれば,日本の大学の世界における認知度も更に高まるのではないかと日頃考えております。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。どうぞ,伊東委員。
【伊東委員】  失礼いたします。今回から委員として参加をさせていただくことになりました岡山県の倉敷市長の伊東と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 地方公共団体の観点からお話をさせていただきたいと思います。先ほど事務局の方から参考資料2-1の,先ほどもお話が出ておりましたけれども,7ページ,8ページのところの大学進学率の地域間格差,そして東京圏への転入超過数というところについて,地方の観点の意見を申し上げたいと思います。
 7ページの上の棒グラフのところでございますけれども,10年前と比べまして,地方と東京圏との間で大学進学率の差がますます広がっているという状況にあるということを,地域といたしましては,もちろん社会の経済状況ということもあるかと思いますけれども,非常に深刻に捉えているというところでございます。
 そして,8ページの右の上の東京圏への転入超過数,こちらも一番増えているところは20~24歳ということで,雇用の状況により,大学等の卒業後に東京圏へ就職される方が多いということはもちろんあるかと思っておりますけれども,15~19歳,つまり高校,大学,特に進学のところにつきましてもますます増えていると。東京圏への転入の数が増えているということにつきまして,非常に課題意識を持っているところでございます。
 2060年の日本の人口を,もともとの状況であれば,今の一億二千数百万人が8,000万人を下回るんじゃないかという中で,何とか1億人程度に留(とど)めていくためにはどうすればいいかということで,まち・ひと・しごと等の会議が開催されているという状況があると考えておりまして,その中で,私ども地方の自治体といたしましては,地方の子供たちが,もちろん東京の大学に行っていただいて,また帰ってきていただくということも大きく必要だと思っておりますけれども,一方で地方大学の充実,そして体力強化ということ,そしてまた,地方に子供たちが是非進学して地方で働いていただくということが,今後の人口形成という中で大きなことではないかというふうに考えているところでございます。初めてでございますので,今回はこのくらい発言させていただければと思っております。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。小林委員,どうぞ。
【小林委員】  今のことにも関連して,まち・ひと・しごと創生の方に御意見ということだったので,3番目の論点の地域における高等教育機会と,4番目の支援方策のことですが,地域における高等教育機会を拡大するということと,地方の大学を活性化するというのは必ずしも同じ問題ではありません。もちろん密接に関連しているわけでありまして,それは地方の高等教育機関が増えれば,それだけ地方の高等教育機会は増えるわけでありますけれども,今,伊東委員からありましたように,学生の移動というのがありますので,必ずしも同じ問題ではないわけです。特にこの問題は就職問題というのも関わっていますので,両方分けて考えなければいけない。
 ですから,整理しますと,高等教育機会の問題と,地方における高等教育機関をどうするかというのは別の問題だということと,それからもう一つは,就職の問題というのが,また別の問題としてある。その上で,学ぶ機会の保障のため,学生への経済的支援の充実ということが書かれているのですけれども,ここに今の問題が関わってくるわけであります。当然のことながら,学生の移動を促進するという観点からも,学生への経済的支援は考えていかなければいけないということを意見として伝えていただければと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。黒田委員、どうぞ。
【黒田委員】  ありがとうございます。今回の諮問では,平成17年の将来像答申に代わる新しい将来像答申を出すということでありますが,2040年頃を見据えてということになりますと,これはちょっと長期過ぎると思います。それよりも今すぐやるべき課題がたくさんあります。そのことは分けて考える必要があると思います。
 諮問にも第一に,早急に取り組むべき方策というのが載っているわけでありますが,この中で,結局,専門学校も入れた,高等教育機関というものが,日本にとってどれくらいの価値を持つのかということをはっきりさせていく必要があると思います。いつまでたっても社会一般には分からない内容になってしまっているのは,やはり専門家が専門家としての言葉で語るものだから一般には分からないということなんですね。ですから,それを少しかみ砕く必要があるのではないかというふうに思います。
 一番の問題は,各学校種において特徴をどう出していくかという,その地域地域によって全部運営の仕方も違いますし,やっている内容が違うわけですね。それがあたかも東京を取ると同じ内容になってしまうという,そこに問題があるので,その辺のことをきっちり,機能分化でありませんけれども,各大学が特徴を持ってやれるようにするということが非常に重要だと思います。
 それから,もう一つは,大学の国際通用性の問題ですけれども,なかなか,言うのは易しいんですけれども,実行できないんですが,学位プログラムをしっかりと押さえていただくということです。今は組織に着目した基準になっているわけですが,学位というものに着目した基準に変えていかなければいけないというふうに思います。こうしないと日本で出す学位が世界に通用しなくなってくると思います。このことは早急に示していく必要があると思いますので,第一,第二の課題というのは,長期の将来像とは分けて,ここに議論をする必要があるのではないかと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。次,古沢委員,どうぞ。
【古沢委員】  今回から参加させていただきます古沢と申します。よろしくお願いいたします。
 先ほど来議論になっています地方の高等教育の問題なんですけれど,頂いた資料の2-1の7ページの大学進学率の地域間格差という表を私も非常に興味を持って拝見したんですけれど,やはりかなり差が拡大しています。一概にもちろん関連付けられないのですけれど,文部科学省の全国学力テストの成績を見ますと,前から注目されていますが,かなり突出して成績が良い県が大学進学率と必ずしも連動していないという状況があります。いろいろな要因があると思いますし,この度拡充された奨学金なども大きな効果を発揮するとは思いますが,まだ潜在力というか,いろいろ地方で条件整備をしていく意味とか,伸びしろがあるのではないか思っています。ただ,先ほど北山副分科会長がおっしゃったように,かといって大都市部での新増設を抑制するというのは,いろいろ副作用があるのかなというふうに個人的には思っておりますので,慎重な議論が必要かと思います。
 あと1点,これは質問になってしまうのかもしれませんが,資料6のうち,諮問の中で国公私立の設置者別の役割分担の在り方というのを注目してしまうんですけれど,設置者の枠を超えた連携はともかく,統合というのが現在の枠組みで可能なのかというのが,様々課題があると思うんですけど,その辺を,今すぐでなくてもいいのですが,情報を頂ければと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。設置者の枠をこえた統合については,必要ならば,その枠組みの在り方を考える立場にあるのがこの分科会です。ですから,それが是非とも必要であれば,どうしたらそういう枠組みが作れるかということを議論しなければいけないと思います。
 鈴木委員,どうぞ。
【鈴木(典)委員】  ありがとうございます。いろいろ資料を頂いて,とにかく18歳人口がずっと減っていくということで,今,大体2016年120万人くらいいる。それで大学進学率というのは意外と安定していて50%くらいの進学率ではないかと思いますが,そうしますと,120万の50%,60万人くらいの1学年の学生がいるわけで,4学年で240万くらいということになっているかと思います。それが2040年になりますと,18歳人口が80万人ということですから,その50%といいますと40万人,4学年で160万人に減ってしまうということになります。だから,2040年には,今の時点から80万人ほど学生が減ってしまうという,単純な計算ですから,こうはならないかもしれませんが,しかしこれに近いような状況になるのではないかと推測できます。
 片や,主要国の大学の人口を私も調べてはいるんですけれども,例えば中国あたりは2020年には3,700万人になります。インドが2,800万人,アメリカが2,000万人,インドネシアが900万人というあたりで,中国,インド,インドネシア,アメリカ,ロシア,この5か国で1億人の学生ということで,世界全体で3億3,000万人くらいなんですが,その3分の1をこの5か国が占める。日本が240万人から200万人になって,それから160万人になっていくという,この相対的な減少は何としても防がなければ,あるいは逆転させなければという,数だけの論理からしてもそういうふうに考えられます。もちろん質からして,いろいろなプログラム,プロジェクト,カリキュラムがあるわけですが,質と量からして何としても大きな手を打たないと,日本の国の高等教育というのはしぼんだままになっていってしまうのではないかというふうに思います。
 地方の大学というのが苦境に置かれていて,どうしても挽回(ばんかい)しなければいけないとは思いますけれども,これも通常のやり方では特色も出てきませんし,また,学生を引き付けるということもできないのではないかと思っております。よほど政府や文科省,あるいはいろいろな機関のアドバイスなどがあるとは思いますが,各大学が本当に性根を据えて大胆な改革をやっていかないといけないというふうに思います。そのうちの一つは,留学生を受け入れるということでないと人数を補強するということはできませんから,少なくとも将来的には日本の学生数の4分の1くらい,あるいは30%ぐらいは留学生で占めるというふうな構造にしていく必要がある。そのための教育というのはどうあるべきなのかということを考えていかざるを得ないと思います。以上です。
【永田分科会長】  まだ議論しなければいけない課題があります。今から申し上げる順番に御発言をお願いします。佐藤委員,室伏委員,村田委員,安部委員,鈴木委員,次に議題があることを鑑みて,なるべく簡潔にお願いしたいと思います。実は次の議題がまち・ひと・しごと創生総合戦略に関わることなのですが,これに関連した意見も、今、出ているので,予定している時間よりは長めにこのセッションを取ってもいいなとは思っています。
 それでは,どうぞ,お願いいたします。
【佐藤委員】  今回の9期の間にかなり長いこと懸案になっていることを,是非先が見えるような形にしていただきたいと思います。今回の第二の事項ですか,組織に立脚するのではなくて,学位を与える課程に着目した学位の出し方というようなことを言っているわけですが,質の問題,あるいは国際的な通用性の問題からいって,学位の在り方について,学士,あるいは修士,博士として,今700かもっと学位が出されているということで,今までかなり長いこと整理をしようと言ってなかなかできませんでした。今回,設置基準,設置審査,認証評価,一連の流れの上で質保証していくという仕組みの中で,学位の点についても国際的な通用性があるものをきちんと議論してまとめていただきたいと思っています。
【永田分科会長】  ありがとうございます。室伏委員,お願いします。
【室伏委員】  室伏でございます。私もこの会議,初めてですので,1点に限ってお話しさせていただきたいと思います。
 第三の論点ですが,やはり個々の大学が特色ある存在であるべきで,それぞれが工夫して様々な改革を続けていくということが,非常に大事なことだと思っております。その努力と一緒に,国公私立の大学間の連携とか,地域や企業との連携・協力を強めていくことが,これからの高等教育の構造としては必要なのではないかと思っております。いろいろな地域にいる学生たちが,どこでも質の高い教育を平等に学べるような環境を作るということを考えていきますと,それぞれの大学が個々に努力するだけでは駄目であろうと思います。様々な強みを生かしながら,お互いに協力し合うこと,そこに地域や企業などをどんどん引き込んでいくことで教育の質も上げていくことができるでしょうし,かなり抜本的な構造改革も成し遂げられるのではないかなと考えております。高大接続や社会人教育にもつながりますし,教職員や学生などの流動性も高めることになります。国の内外,海外の方々との共同事業もうまくいくのではないかと思っておりまして,小さな国立大学の学長としても,今,様々なところとの連携を強化しているところです。
 以上です。ありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。次は村田委員。
【村田副分科会長】  私の方からは2点,少しお話をさせていただきます。一つは,2040年に向けての将来構想ということでございますけれども,基本的にはAIが大きなキーワードで,仕事の在り方が今とはがらっと変わってくる。そのことを考えたときに,先ほど北山副分科会長からもございましたように,首都圏の大学,都市圏の大学のいろいろな意味での学部の設置だとか制約することはあり得ないんですね。どういう仕事がなくなってきて,新しくどういう仕事が出てくるかということはまだ分からないわけで,それに対応して,やはり大学が学部・学科を柔軟に設置できるような形にしておかないといけないと思います。正にそのことが,ここにあります学位プログラムのところの重視というのが一番の本質ではないかというふうに思います。同時に,これまでと違って知識・技能だけではなくて,いわゆるコンピテンシーレベル,あるいはもっと言えば,メタコンピテンシーレベルのような能力・資質が高等教育でむしろ必要となってくる。
 そういったことを考えた場合に,今,アクティブ・ラーニングという言葉で呼ばれていますけれども,双方向の教育が必要になってくるわけですが,当然そこにはST比を改善して,きめ細かな形で授業をしていかないといけない。当然そのことは,4番目にあります改革を支える支援の方策をどうあるべきかというお金の問題にも絡んでくるわけで,総合的に考えていかないといけないのだろうと思います。特にそのときに,今,私は私立大学の学長ですから,国私間の格差をもう少し,一人当たりの学生に対する支援というところを考えていかないと,全体の80%の学生を担っている私立大学の教育が低下してしまう。そのことがひいては国全体の高等教育の質を下げてしまう,そんなふうに考えます。
 以上です。
【永田分科会長】  安部委員,どうぞ。
【安部委員】  ありがとうございます。先ほど永田分科会長が高等教育の価値の最大化を図ることと未来への責任をというお話がありましたけれども,高等教育の価値の最大化を図るためには,例えば18歳だけではない,日本人全体や,あるいは留学生等,これまで日本の高等教育にアクセスしたことがない人にどうやったら高等教育を提供できるか,どんな高等教育だったら,そういう人たちがアクセスしてくれるかということを考えていくということがとても大切だと思います。その際に,将来像答申以来,大学の役割,機能の分化がずっと言われてきたわけですけれども,これをさらに弾力化・柔軟化していくことを考えていかなければいけないと思います。
 2040年は理想としては学修・職業往還型社会というか,職業に就いて,また学び直すことが円滑にできるような,そういう高等教育とは何なのかと考えなければいけないと思います。その際に,今まで大学は,改革は進んでいますけれども,以前は象牙の塔と言われていました。一方,大学にも市場原理がかなり入ってはきました。しかし、市場原理のみのやり方では,どうしても中間ボリューム層,言葉を換えればサイレントメジャーというか,そういう層に高等教育を提供するということがなかなかできにくいということだと思います。でも本当は社会全体としては、広く高等教育が必要になる時代だと思います。ユニバーサル化に真に対応する高等教育の提供の仕方というのを考えていければ,2040年が明るい高等教育の時代になるのではないかなと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。鈴木委員、どうぞ。
【鈴木(雅)委員】  私も今回初めて参加させていただきます。私は大学関係ではなくて,産業界に今所属をしておりますので,逆に産業界の立場から少しお話をさせていただきます。
 今我々が持っているキーワードというのは,社会の変化にいかに付いていくかということと,それに対するスピード感です。たとえばグローバル化を考えると産業界の中では,5年後にはほとんどの社員が,英語がしゃべれなければ仕事が来ないと言われており,語学強化が進んでいます。このように様々な社会の動きが進んでいったときに,産業界のスピード感と大学改革のスピード感は,ある程度合っていなければ社会に出てから学生は付いてゆけないのではないかと思います。
 先ほどもAIの話が出ましたが,ここ数年来においては,AIが仕事量の6割をやってしまうと言われています。その中で残るものというのは,企画ですとか,立案とか,判断の必要な部分が人間に残ると。そうなってきますと,学生の中に一番必要なものというのは,それぞれ持っているスキルも必要ですが,社会のうごきをいち早く察知して,それを自分で活かし切れるスキル,これが今,産業界の中で大きくクローズアップされ始めています。そういう意味では,将来という点になるかと思いますが,学生一人一人が夢を持って,どういう学びをして社会に貢献していくのか。これが見える化できるような情報を各大学が外に発信することによって,進学であるとか,就職であるとか,その後の社会に向けての自分の成長性みたいなものが見えるような教育方針が出てくれば,学生にとって分かりやすいのではないかと感じています。
 また,都内も地方もそうですが,両方の学生と会っていますと,私は余り差はないと感じています。地方にいる学生は地方にいるなりに一生懸命地方活性化のためにかなり物事を考えています。都内にいる学生は,グローバル化を考えた上で,それなりに勉強している学生が結構多いです。そういう意味では,これからここにある四つのテーマ全て「スピード感」を持った形でそれぞれに発信をしてゆくということを是非やっていけたらと感じました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。最後に,相原委員、どうぞ。
【相原委員】  今回から臨時委員になりました相原です。よろしくお願いいたします。
 さきほどの鈴木委員のお話にも通じる部分ですが,足元では産業界は大変厳しい人材獲得競争に置かれています。少し言い方は悪いかもしれませんが,質を問わず人材獲得に懸命な状況にあります。今までは,大企業と中小企業,若しくは正規と非正規,さらには都市と地方,それぞれの間における格差が問題視されていましたが,今後は大企業の中での格差,中小の中での格差,地方の中での格差といった,それぞれの層においての格差が広がっていくことが大変懸念されています。こういた点を踏まえると,主体者である大学の変革,組織の改革が一人一人の競争力を引き上げるとともに,産業構造の変化が働き方の変革を進めることになります。したがって,今回は大学に対する変革を求めるのではなく,学ぶ方の学び方変革を国民に呼びかける,メッセージも必要であると思います。組織の変革ではなく,学び方の変革という,タイトル付けが必要であると考えており,さらには生涯の生き方の変革というテーマにつなげていければと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございました。これから一年半、こうした議論を重ねていきますが、本日はキックオフなのでいろいろな意見を述べていただきました。学位プログラムの話がありましたが,それ一つでおそらく,将来構想も,まち・ひと・しごと創生総合戦略も,構造改革も、全てに共通するテーマになっています。ですから,次回以降,少しずつテーマを絞りながら先生方と御議論したいと思います。
 ただ,大学分科会長として一言だけ申し上げておくと,世界中で歴史的に変わっていない基本組織構造を持っているのが唯一大学だと思います。産業構造が変わろうが,社会にどんなことが起ころうが,大学は大学として存在してきました。それは大学が変わらなかったからではなくて,常に変革を続けてきたから大学でいられるのだ、と私は考えています。黒田委員や鈴木委員からあった大学の価値というのは根本的に何なのかというのは,そういう意味合いでは歴史が一部証明している部分があると思います。大学は実は自ら変革できるのだ,というふうに考えて,最後にあった意見のように,社会変革をもたらすような議論になれば,これは本当にすばらしい審議になると思います。


(9)「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」における議論の状況について

 事務局から,資料7に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。
【永田分科会長 】  それでは,最後の議題ですが,共通認識を持ちたいということで,実は既にもう関連した御意見が幾つも出ております。何かというと,地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議で議論されている課題ですけれども,その有識者会議の議論の内容を共有したいということが一つです。その後,我々として,もう幾つも実は意見が出ておりましたが,意見を拝聴して,これについては早々に,中央教育審議会としての考えを表明していきたい、というふうに考えています。
 それでは,事務局から資料7に基づいて御説明をお願いいたします。
【堀野高等教育政策室長】  それでは,資料7を御覧ください。初めの趣旨にありますように,内閣官房に設けられました有識者会議の検討事項ですけれども,東京一極集中に是正に資するよう,地方大学の振興,地方における雇用創出と若者の就業支援,東京における大学の新増設の抑制や地方移転の促進等について,緊急・抜本的な対策を検討するということでございます。
 1ページめくっていただきますと,有識者メンバーの一覧ですけれども,コマツ相談役の坂根先生を座長といたしまして,このメンバーです。教育関係からは石田宇都宮大学長,鎌田早稲田大学総長,それから金子委員,黒田委員,この4名が参加をしております。自治体からは富山県知事,島根県邑南町長,北九州市長でございます。元岩手県知事の増田先生も御参加をされております。このメンバーで2月から既に3回会議が行われております。
 1ページめくっていただきますと,1回,2回分の意見について公表されておりますので,ポイントだけ申し上げますと,めくって2ページ,3ページが地方大学の振興でございます。左側に論点,右側に意見と並んでおりますけれども,3ページ目の一番下の部分に(6)として,地方大学を振興するためにどのような方策が必要かという論点について,例えば国公立大学と私立大学において,公費支出が大きく違うのでそれを踏まえて支援をしてほしい。地方中核都市に魅力ある大学を作ることが重要。学生寮をつくることも有効ではないか。また,地方私立大学の公立化について,安易にやることは考えなければいけないのではないか。地方交付税が相当つぎ込まれている。COC+のような事業は地方の活性化という意味でいい仕組みであって,弾力的に運用,継続的に実施できるようにしてほしいという御意見がございます。
 4ページがいわゆる東京一極集中として学部の新増設の抑制についてという論点ですけれども,上の三つぐらいが抑制すべしという意見でございます。東京に今あるものはそのままにする形で,新増設については,必要であれば抑制をやっていくべきではないかということ。二つ目の御意見のように,東京の収容力は200%と突出していて,これ以上収容力を高める必要があるのか。そして,新しい学部を作りたい場合には既存の古くなった学部をスクラップして新たなニーズに対応すればよい。収容定員を変えない範囲でやっていただければよいのではないかという御意見などが出ております。
 真ん中あたり,五つ目,六つ目あたりから逆の意見ですけれども,学問は時代のニーズに応じて必要な分野への再編を自ら遂げていくものであり,とりわけ私立大学の場合には自由な発想を確保していくことが重要。そして,就職先が地元にあれば学生は戻るので,東京一極集中是正のために規制をかけるべきではない等々意見が出ております。
 第3回でも御議論された際には,先ほどの御意見について,収容定員の範囲内でやるべきということについては,特に私立大学については,収入の確保をしているのは学生の授業料が最も多いわけであって,自らの経営努力の手段を奪われるような形でのやり方というのは,なかなか賛成できないということも主張されております。
 そして,その他の御意見として,ここには書いてありませんけれども,東京に出ていきたいという若者の希望を抑えて,地方にいてくださいという方策ではなかなかうまくいかないのではないかという御意見も出ておりました。
 下の部分,(3)の部分が東京の大学・学部の地方移転(サテライトキャンパス等)についてどう考えるかと。一つには進学者の収容力の低い県に,例えばサテライトキャンパス等,地方移転など優先して検討していくことが必要ではないか。その際,子供の取り合いにならないような地方移転というのはどういう形か考える必要がある。また,東京の大学の地方移転に関しては,既存の大学の学部と競合が起きない分野でニーズがあるところに出ていくようにしないと,逆に地方が疲弊するのではないか。また,特色あるキャンパスを持ってこようとした場合,首都圏に優秀な教員が集まっていて,地方にどれだけ来てもらえるかといった課題もあるなどの意見が出ております。
 5ページ目が若者の雇用機会の創出ということで,初めのところで地元に就職したい理由やしたくない理由などを調査してみると,「いい企業がない」,「やりたい業種や職種がない」,「調べてみたら給与水準が低いということが分かった」,「今,自分が学んでいることが発揮できる仕事先がない」など様々な声があったということ。
 (2)の若者が求める雇用条件,保護者の意識という論点につきましては,東京において一括採用するというやり方についてどうなのかと。正に東京で,地元企業が地元で採用するよりも東京で一括した方が転勤させやすいというような考え方も企業にあるのではないか。また,東京,関西の方に出ていく人に聞くと,本社採用の試験を受けるときに,どうしてもそちらの近くの大学の方が有利と思う親が多いようだと。企業が地方に拠点を置くよう,国としても進めてほしい。
 そして(3)の部分では,トップの判断で本社機能を移転するということをもう少し企業の方が考えるべきだ。また,企業が研究開発拠点などを持ってくるという場合には,決断をした企業に政府がしっかりバックアップしてほしいといった意見が出ております。
 最後のページ,次のページではUIターンの就職の促進というところで,(2)の部分では,自県内に就職した人に対して奨学金の返済を免除する仕組みなどがもっとあれば,人材も増えるのではないか。こういった議論が行われております。
 今後の進め方というのがありますけれども,2回目において,大学関係団体のヒアリングも行っておりますが,今,3回目まで終わっておりまして,4月中に4回目が行われ,5月中旬には中間報告書案,議論の取りまとめということになっております。したがいまして,大学分科会としては,本日及び次回4月中にもう一回会議を開催いたしまして,次回まででしっかりと考え方,意見を取りまとめて,有識者会議の方に紹介してぶつけていくというような段取りになりますので,御議論をお願いいたします。
【永田分科会長】  そういうことです。先ほども,これに関する御意見があったと思います。ここでは,今,この観点でどうしても次回以降に議論を深めたいということがあれば,簡潔に述べていただければと思います。
 麻生委員,どうぞ。
【麻生委員】  ただいまの有識者会議の内容を見て,東京一極集中化に対する地方の活性化という観点から,短期大学だけのことだけを述べたくないのですが,全体の大学進学率や,先ほど頂いた資料2-1の下を見て,何となく見えてくるのは,都市部の短期大学の進学,これはあくまで進学率で少ないです。しかし、地方では相当多いです。まち・ひと・しごと創生という観点からも,短期大学がいかに地方の教育・研究を担っているかという部分に関しましては,大学分科会におきましても認識を持っていただいて,今後の議論につなげていただければと思います。お願いします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。村田副分科会長,どうぞ。
【村田副分科会長】  私の方から1点でございます。このまち・ひと・しごと総合戦略のところに書いていますように,地方を担う多様な人材を育成,確保しということでございますけれども,関西全体で見ますと,大学入学時よりも就職時に関西から東京に出ていくんですね。ですから,恐らく大学入学時よりも,地方は就職のときにまた出ていく。幾ら地方の大学をどうするかこうするか考えても,結局職がなければ,最後は大学を卒業した,あるいは短期大学を卒業したときに地方から都市圏へ出ていきます。抜本的には地方の活性化というのは産業がないと駄目なんですね。そういう意味では,大学をどうするという問題より,ここでの議論でないのかもしれませんが,むしろ産業をきちんと各地域に持ってくるような仕組みにしないと抜本的な解決にはならないわけで,幾ら大学をどうしようこうしようと議論しても,余り実りのある議論にはならないのではないかと私自身は思っております。
【永田分科会長】  亀山委員,どうぞ。
【亀山委員】  産業のみならず,文化振興といいましょうか,それぞれの地域が文化をどうやって活性化していくかという視点からの発想も重要ではないかなというふうに思います。
【永田分科会長】  金子委員,どうぞ。金子委員はこの会議の委員でいらっしゃいますね。
【金子委員】  そうです。その話は比較的関連してといいますか,全体として規制すべきかそうではないかというところに今集中していると思うんですが,今,いろいろとお話があったような点は既に議論されています。ただ,私は形式的に規制することはどのぐらい意味があるかというと,かなり疑問を持ちます。既に大都市の大学で定員拡大しているところはかなり拡大していまして,充足できるかどうかは,実は私は怪しいのではないかと思っています。それから,1970年代半ばに工場等制限法によって,一旦大都市での増設を規制したことがあるんですが,そのとき何が起こったかといいますと,地方からの流出分はそんなに減らずに,むしろ大都市での中間学力層,あるいは低所得層の進学率が減ったという結果になりました。そのときと今は状況がかなり違いますが,ただ,地方からの東京への流入層はかなり高学力層で,これは東京で制限しても,流入が減るということはまずないと思います。
 私は,むしろ積極的に考えるべきなのは,地方において社会のニードに合った教育プログラムをどう作っていくことができるのか。それも地域を,人口自体が非常に減少しているところに大学を持っていっても,私は余り意味がないと思うんですが,地域の産業クラスターみたいなところはかなり有力なものが幾つもできているわけですから,それに対応して大学が連携して,地域のニードに合った教育プログラムをいかに柔軟に作っていくのか。それが前向きに考えれば非常に重要なことで,今,四年制大学の進学率は大体52%ぐらいですけれども,45%以下の県というのはかなりあります。ここは中堅層がいかにニードに合った教育プログラムを作っていくのかということによって,かなり需要は上がる。先ほど安部委員がおっしゃっていましたが,そこに伸びしろはあるわけで,積極的に考えるのであれば,そちらの方が私は非常に重要だと思いますし,それは大学分科会のテーマと非常によく重なるところで,そういう積極的な意見が出れば,向こうにも一種のインプットになるだろうと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。それでは,吉岡委員を最後にさせていただきます。
【吉岡委員】  私も形式的に首都圏の大学とか,大都市の大学を規制しても余り意味がないだろうと思いますが,一方で地方の大学を活性化することは絶対に必要であると思います。それは,大学の活性化というのは,それ自体,例えば大学にだけお金を投下したとしても機能しないことは明らかなので,やはり企業,それから先ほど亀山委員がおっしゃったように,文化的なものを活性化させていくということが必要だろうと思います。
 それともう一つ,この議論で気になっているのは,要するに地方の大学は,その地方の産業のために地方の学生を教えればいいと。つまり,その範囲の中で閉じるような形の議論になっていくということが非常に気に掛かります。この議論は,一方で,先ほどの機能分化の議論と結び付いて,要するに大学の形を固定化させるような議論になっていくと,これは非常に教育全体の可能性というのを閉じていくと思います。地方の大学がグローバルに活躍するシステムを構築しても,もちろん構わないわけです。それから機能分化というのは,それぞれが自分の得意分野を強化してある程度分化した後に,お互いが刺激し合って次の機能を生み出していかないと意味がないだろうと思います。日本の大学というのは,明治以来,基本的に非常にはっきりしたハイアラーキがあって,先ほどの機能分化の議論がハイアラーキの固定みたいな議論になっていくということを非常に恐れますので,その話が地方の大学の在り方のような議論と結び付いて,地方の大学というのはこういう大学だということになるのは,むしろ地方の大学にとっても不幸なことだろうと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。キーワードはたくさん出ましたので,次回,こちらの方で少しまとめて,集中的に議論をして,早々に分科会としてまとめたいと思います。特に、最後の金子委員,吉岡委員のご意見は,エッセンスだと思います。要するに地方大学の活性化という問題だけではなくて,大学の価値は何か、という問い掛けをされているわけなので,我々としてはそこから答えないといけないのだろうと思います。
 それでは,本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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-- 登録:平成29年09月 --