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大学分科会(第116回) 議事録

1.日時

平成25年12月24日(火曜日) 13時~15時

2.場所

文部科学省 3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 専門職大学院設置基準の改正について
  2. 学位の種類及び分野の変更等に関する基準の改正について
  3. 各部会等の審議状況について
  4. その他

4.出席者

委員

(分科会長)安西祐一郎委員
(副分科会長)河田悌一委員
(委員)浦野光人,帯野久美子,北城恪太郎,長尾ひろみの各委員
(臨時委員)有信睦弘,勝悦子,金子元久,北山禎介,小畑秀文,佐藤弘毅,
(専門委員)川村隆,黒田壽二,白井克彦の各専門委員   

文部科学省

板東文部科学審議官,布村高等教育局長,小松私学部長,大槻総括審議官,常盤高等教育局審議官,中岡高等教育局審議官,浅田高等教育企画課長,里見大学振興課長,豊岡国立大学法人支援課長,牛尾専門教育課長,森私学行政課長,田中高等教育政策室長,今泉大学設置室長,佐藤教員養成企画室長,今井専門職大学院室長,白井大学振興課課長補佐 他

5.議事録

(1)専門職大学院設置基準の改正について,文部科学省から諮問があった。その改正内容について,有信大学院部会長から大学院部会における審議状況の説明があり,文部科学省から資料1-1~1-3に基づき説明があり,その後,審議が行われた。

【安西分科会長】  時間でございますので,大学分科会を開催させていただきます。お忙しい中,御出席賜りまして誠にありがとうございます。
 今日は,大学のグローバル化に関するワーキング・グループの審議状況の御報告も頂きますので,ワーキング・グループの二宮主査に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 それでは,審議に入らせていただきます。本日はまず専門職大学院設置基準改正の諮問がございます。具体的には,教職大学院の専任教員について,他の学位課程の教員が兼ねることはできると,いわゆるダブルカウントの特例措置でございますけれども,それを平成30年度まで継続したいという,その継続のための改正でございます。
 この件につきましては,前回の9月12日の大学分科会で議論をさせていただいております。また,大学院部会で具体的な改正等の検討が進められてまいりました。大学院部会からも御報告を頂きたいと考えております。
 なお,これまでも教員養成課程の改善の全体的な議論について報告いただいた上で審議を頂いてきておりますけれども,10月15日に教員の資質能力向上に係る当面の改善方策の実施に向けた協力者会議におきまして報告書がまとめられております。それも併せて御報告いただきたいと思います。
 それではまず,大学院部会の有信部会長から御報告を頂いて,文部科学省から諮問の内容と改正理由等について説明をお願いしたいと思います。有信部会長,よろしくお願いします。

【有信委員】  大学院部会長の有信です。大学院部会において,教職大学院の専任教員に係る特例措置について,今御紹介ありましたようにずっと議論を行ってまいりましたので,御報告させていただきます。
 専門職大学院設置基準によって,専任教員の3分の1まで他の学部等の教員と兼ねることができるといういわゆるダブルカウントが認められています。この特例措置は,本年度25年度までとなっていますけれども,中教審答申にありますように,今後教職大学院の発展,拡充が見込まれますことから,当面の間特例措置を延長しようと,こういう内容のものであります。これによって,教職大学院の新設,拡充の中で,優秀な教員を確保し,新たな学びをデザインできる実践的指導力を身に付けた教員の養成が進むことを期待しております。
 事務局より具体的な説明がありますので,その説明の後によろしく御議論,御審議いただければと思います。では,事務局から説明お願いします。

【佐藤教員養成企画室長】  大学振興課教員養成企画室長の佐藤でございます。今回は教職大学院の専任教員に関する省令改正について,あわせて,関連いたします,先ほど御紹介ありました,10月15日に協力者会議の報告がまとまってございますので,それについても若干御説明をさせていただきたいと思います。
 それではまず,資料が前後して恐縮でございますが,資料1-3を御覧いただければと思います。大学院段階の教員養成の改革と充実等についてということでございます。これは昨年8月に中教審の方で答申をおまとめいただきまして,それを踏まえまして協力者会議を設置して議論してきたものでございます。二つのワーキング・グループ,「修士レベルの教員養成課程の改善に関するワーキング・グループ」,それから,「教職課程の質の保証等に関するワーキング・グループ」を設置いたしまして議論を進めてきました結果,それぞれで議論をまとめた上で,親会議といいますか,協力者会議の方で議論いただいて,おまとめいただいたというものでございます。
 資料1-3でございますが,まず現状認識といいますか,課題と致しまして,1番のところでございますが,そこに1から4まで,新しい学びへの対応,学校現場での今日的課題への対応,それから,教員の大量退職・大量採用等を踏まえた対応,それから,スクールリーダー養成の必要性と,こういう現状認識の上に,教育課程の質の保証,あるいは特に大学院段階では必ずしも体系的なプログラムを提供してこなかったのではないかということで,その認識の下に提言をおまとめいただいたというものでございます。
 今回,冊子で報告書をお配りさせていただいておりますので,お手数ですが,そちらを御覧いただければと思います。概要にもございますが,冊子の方の14ページを開けていただければと思います。14ページに3番として今後の大学院段階の教員養成機能の在り方の方向性,(1)大学院段階の教員養成の高度化への対応の2番目の○でございます。その中で,「「学び続ける教員」を支援するため」,以下途中省略いたしますが,「教員養成系修士課程の在り方を見直し,教職大学院を中心として高度専門職業人としての教員の養成を抜本的に充実・強化していくこととする」とした上で,次の16ページでございますが,(3)の三つ目の○,「国立の教員養成を主たる目的とする修士課程については,高度専門職業人としての教員養成機能は,今後教職大学院が中心となって担うことから,原則として教職大学院に段階的に移行する」と提言を頂いているところでございます。
 具体的な教職大学院の拡充方策,あるいはその組織,あるいは教育課程についてでございますが,19ページでございます。19ページの教職大学院に共通に開設すべき授業科目,そこの二つ目の○でございます。「学部新卒学生と現職教員の両方に向けて,引き続き,全ての領域について授業科目を開設することを求め,総単位数は現行どおり20単位程度を目安とし,学生は全ての領域を必修とする。ただし,各領域を均等に履修させる現行の考え方は改め,コース等の特色に応じて履修科目や単位数を設定することができるようにする」とした上で,今回のダブルカウントに関しましては,教員の組織の在り方として,22ページの(3)教職大学院の教員組織とございますが,具体的には23ページでございます。
 23ページの一つ目の○の,「教職大学院における専任教員のダブルカウントについては,高度専門職業人養成に特化した独立性の確保という専門職大学院制度の趣旨から慎重な検討が求められる一方,国立の教員養成系修士課程が教職大学院に段階的に移行するなど,今後も教職大学院の発展・拡充が見込まれるため,優秀な教員を拡充期においても確保することが必要となる。
 そこで,中央教育審議会の検討状況を踏まえ,教職大学院の発展・拡充が見込まれる当面の間,教職大学院の専門職大学院設置基準上必ず置くこととされる専任教員が,他の学位課程の教員を兼ねることができるような措置を行う方向で検討する必要があるが,教育研究上支障を生じないよう留意する」となっているところでございます。
 資料1-3の概要にお戻りいただければと思います。真ん中の2の大学院段階の教員養成の改革と充実の教職大学院の在り方の一番下の○ですが,いわゆる実務経験のある実務家教員の比率については現行どおり4割以上を維持,また,国立の教員養成系修士課程の改善につきましては,研究指導教員等の配置について,設置する専攻の教育課程等に応じた適切な規模にできるよう,現行規定の改正を検討する必要ということです。これにつきましては,話が後先になってしまいますが,現在文部科学省で具体的な方向について検討しているところでございます。
 また,専修免許状の在り方については,中教審の答申を踏まえまして,今回の協力者会議では,実践科目について必修としていくことを促進するという言い方になっているところでございます。
 以下,教職課程に関する情報の公表,あるいは教職課程のグローバル化対応等について御提言を頂いているところでございます。協力者会議の報告については以上でございます。
 続いて,資料1-1及び1-2でございます。今回,この協力者会議の報告も踏まえまして,また,中教審の答申でも各都道府県に教職大学院を設置するということで御提言を頂いております。また今回,国立大学改革ということで,やはり教職大学院の設置を促進していくという状況にございます。
 こうしたことから,当面の間,教職大学院の設置拡充が見込まれるということ,また,これから御説明いたします特例措置につきましては,今年度まで専門職大学院について認めていただいているものでございますが,教職大学院については5年ほど遅れてスタートしているということもございますので,そういうことも併せて5年間延長をお願いしたいということでございます。
 資料1-2に改正の趣旨として今申し上げたようなことについて書いてあるところでございます。改正の概要にありますように,下の方でございますが,「そこで」の段落の2行目,教職大学院の必置教員について,現在の特例措置と同様に,学士課程・修士課程・博士課程前期を担当する教員についてはその3分の1を超えない範囲で,博士課程(前期を除く。)を担当する教員についてはその3分の1を超えて,これを兼ねることができるよう所要の省令改正をお願いしたいということでございます。
 資料1-1でございますが,専門職大学院設置基準の改正についてということで,理由のところを読み上げさせていただきます。
 「教職大学院の新設が見込まれる平成30年度までの間,優秀な教員を確保する必要があるため,教職大学院に必ず置くこととされる専任教員について,学部の専任教員又は修士課程若しくは博士課程を担当する教員(博士課程(前期を除く。)を担当する教員以外は三分の一を超えない数に限る。)がこれを兼ねることができる制度を整備する必要がある。
 このため,別紙のとおり,専門職大学院設置基準の改正を行う必要があるので,学校教育法第94条の規定に基づき標記の諮問を行うものである。」ということで,別紙に要綱を付けさせていただいているところでございます。長くなりましたが,以上でございます。

【安西分科会長】  それでは,ただいまの説明について,よろしければ,議決という手続に入らせていただきますけれども,よろしいですか。
 それでは,中教審の運営規則第3条第2項の規定によりまして,専門職大学院設置基準の改正に係る事項は,この大学分科会の議決をもって審議会の議決とするとされております。ですから,ここで議決をすれば,審議会全体の議決ということになります。
 それで,今の専門職大学院設置基準の改正(案)について議決を行いたいと思いますけれども,よろしいでしょうか。
 それでは,議決に入らせていただきます。まず,定足数を満たしているかどうか伺います。

【田中高等教育政策室長】  失礼いたします。大学分科会の委員及び臨時委員の数は29人でございまして,現在18人の委員の方々が出席されておりますので,中央教育審議会令に基づく過半数を満たしております。

【安西分科会長】  それでは,先ほど文部科学省から説明のありました改正案の内容につきまして,御了解いただいたということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【安西分科会長】  ありがとうございました。それでは,今回の諮問につきましては,これを適当と認め,文部科学大臣に対して答申をさせていただくことといたします。ありがとうございました。
 また,文部科学省におかれましては,制度改正の趣旨が関係者に十分伝わりますように,周知徹底を含めて適切な対応をよろしくお願いいたします。

(2)学位の種類及び分野の変更等に関する基準の改正について,文部科学省から諮問があった。その改正内容について,佐藤東洋士大学設置・学校法人審議会会長より大学設置・学校法人審議会における審議状況の説明があり,文部科学省から資料2-1及び2-2について説明があり,その後,審議が行われた。

【安西分科会長】  本日はもう一つ,文部科学省から,学位の種類及び分野の変更等に関する基準の改正の諮問がございます。具体的には,学位の種類の変更を伴わない学部等の設置については文部科学大臣の許可を要することなく,届出により設置を可能とする届出設置制度が設けられておりますけれども,この制度を適切に運用するとともに大学の教育研究の質を担保するという,そのための改正ということであります。
 この件は,大学教育部会におきまして具体的な審議を行うとともに,大学設置・学校法人審議会におきましても設置認可制度の観点から審議を行ってまいりました。今日は,大学設置・学校法人審議会の会長でもあります佐藤東洋士委員に御報告を頂いて,その後,文部科学省から諮問の内容と改正理由等について説明をお願いすることにしたいと思います。

【佐藤(東)委員】  それでは,大学設置・学校法人審議会会長として,かねてから議論を続けてきた届出制度の見直しに関し一言申し上げたいと思います。
 届出設置制度については,その運用に当たり,質保証の観点から大きな課題があると捉えてまいりました。特に大くくりとなっている学位の分野においては,専門性の異なる組織が届出により設置が可能なこと,また,複数回届出設置を行うことによって,本来は認可が必要な組織改編が届出により設置されている現状について懸念が示されていました。
 このため,大学設置・学校法人審議会においては,半年以上にわたり制度改正について議論を行ってまいりまして,ようやく議論が終局する段階に至ったところであります。去る12月9日に大学設置分科会において,また,12日には学校法人分科会において,今回の制度改正を進めるべく了承させていただいたところであります。
 このような課題については,教育研究の質の担保の観点からもできるだけ早く解決することが望まれること,大学への周知及び大学における準備との関係もあることから,今回の大学分科会において御了承いただけると大学設置・学校法人審議会としても大変有り難いと存じます。
 制度改正の内容の詳細については,事務局から資料に基づいて説明をしていただくことになっておりますので,よろしくお願いします。

【今泉大学設置室長】  大学設置室長の今泉です。それでは,資料2-1及び2-2について御説明申し上げます。
 資料2-1,1枚目が文部科学大臣からの諮問でございます。諮問の理由については,1枚めくっていただきまして2枚目からと内容が重複しますので,そちらの方でまとめて説明させていただきたいと思います。
 まずそもそもこの届出制度とは何ぞやのところでございますが,学校教育法第4条におきまして,組織改編を行う場合には文部科学大臣の認可が必要でございますが,第2項において,学位の種類及び分野の変更を伴わない範囲においては届出設置が可能という仕組みになっているところでございます。学位の種類及び分野の変更を伴わない範囲においてという趣旨でございますが,カリキュラムや教員の専門性又は必要となる教育環境・設備,こういうものについてある程度同一性を持っているのであれば,その範囲内において大学の判断で自主的・自律的な組織改編を可能とする仕組みでございます。
 カリキュラム,教員等の専門性等の大きな変更がないというこの哲学に基づきまして,現行の運用を見てみますと二つの大きな課題があるところでございます。この点については既に大学設置・学校法人審議会会長から御説明があったところでございますが,まず一つ目の課題としては,保健衛生学関係の学位の大くくりについてでございます。この中で実際の運用上どういう課題が生じているかと申しますと,例えば保健衛生学の中には,看護学関係,リハビリテーション関係,歯科衛生,放射線技師,鍼灸(しんきゅう),柔道整復,これらの目的養成分野が含まれております。先生方御承知のとおりでございますが,これらの目的養成分野についてはそれぞれ専門性が異なるにも関わらず,保健衛生学関係という学位の分野に大くくりされております。
 そのため,例えば看護学関係を持っているのであれば,届出でリハビリテーション関係が作れてしまうと,こういう仕組みでございます。看護学関係からリハビリテーションに移るためには,当然ながらカリキュラムや教員の専門性が大きく異なるのでその見直しが必要になるところでございますが,これが届出によって可能となってしまうということがございます。実際,実態上どういうことが起きているかと申しますと,ほとんど学位の分野の互換性が高くないことから,新採教員のみで組織を構成する例もございますし,また,急きょ教員を募集する関係で,教員の辞職率が高いとか,また未開講科目が多数存在する,こういう事例が実際生じているところでございます。
 こういうこともありまして,本来の届出設置制度の趣旨にのっとりまして,保健衛生学関係の分野については,看護学関係とリハビリテーション関係,これを独立した学位の分野として独立させまして3分割することを一つの案として考えているところでございます。
 おめくりいただきまして,3ページ目でございます。もう一つの届出設置制度の課題がございます。それは何かと申しますと,学際領域の取扱いでございます。これまで現行の学際領域の届出設置制度の取扱いと致しましては,複数の学位の分野が含まれている場合には学際領域として取り扱ってきております。そして,既存の組織の2分の1以上の教員が残っているのであれば,届出設置制度によって組織改編が可能と,そういう仕組みになっているところでございます。
 ただ,実際,例えばこの例に出してありますとおり,例えば法学部がございます。この法学部を政治経済学部という形で学際領域にします。この場合,法学部の教員の2分の1以上が残っていれば,政治経済学部という学際領域を作ることができます。ただ,時間がたって政治経済学部の中の教員の経済学系が2分の1以上になると,今度はまた届出によって政治経済学部から経済学部が作れてしまう。つまり,学際領域というスキームを使うことによって,本来は法学部から経済学部に移るためには認可が必要なところが,2回の届出制度を使うことによって,本来認可が必要なところが届出だけで組織改編ができてしまうという形になっております。
 実際こういう例は数多くございまして,そこの部分について,本来であれば届出制度の趣旨にのっとりまして,大きく専門分野が異なるのであれば認可が必要というその考えに立ち返って今度の制度改正を考えているところでございます。具体的には,学位の分野が特定できるものであれば,特定できる学位の分野として取り扱うことといたしたいと思います。そして,学際分野の中で学位の分野が特定できないようなものも存在します。そのような場合には基本的には認可事項であるのですが,この場合に実質的な教員組織等の変更を伴わない,そういう場合に限って届出設置制度を活用できることといたしたいと,こういう二つの改正案を考えているところでございます。
 これらは単に届出設置制度の趣旨に反する,そぐわないから制度改正するというだけではなくて,先ほど大学設置・学校法人審議会会長からもありましたとおり,実態上,安易な届出設置制度によって,教員の手配について未開講科目が生じたり,教員の辞職率が高かったり,又は定員未充足の問題があって教育課程がうまく回っていないなどの学生の学修に実際の不利益が出ていているところでございます。
 この案件につきましては,既にパブコメを募集させていただいておりまして,パブコメの中でも制度改正の趣旨には同意するという内容を頂いております。ただ,留意点として,平成26年4月1日の施行を考えておりますが,そのためには大学の準備の時間が必要であるから早急な対応を求めたいということ,あとは,今後の検討事項と致しまして,学位に付記する専攻分野の国際通用性の問題とか,保健衛生学以外の分野の学位の取扱いについても今後の検討が必要であろうということがパブコメの中では言われているところでございます。
 今後のスケジュールでございます。もしこの案件についてお認めいただけるのであれば,来年2月3日に改正基準の公布をいたしまして,来年4月1日から施行とさせていただきたいと思っております。説明は以上です。

【谷口委員】  基本的な考え方というか,質保証という観点では本当に早くやらないといけないと思います。例えば保健衛生学とか,先ほども既にそういう形を使って作ったものもあるというようなことを言われましたけれども,既に設置されたものについては,新しい制度の中で評価できるという話ではないでしょうから,既に設置されたものにはある種のチェックや今後の評価のときに,今の考え方を含めた制度の中で見ていくべきだと思います。

【今泉大学設置室長】  ありがとうございます。おっしゃるとおり,この新しく考えている制度改正は来年の4月1日からの施行を考えておりますので,実際適用になるのは来年4月1日からのものでございます。つまり,既存にあるものについては,制度改正前のものについては遡及適用はいたしませんけれども,ただ,設置後のチェックにつきましては,大学設置・学校法人審議会においてアフターケア,設置計画履行状況調査がありますので,その中でチェックさせていただいて,不適切なものがあればしかるべき対応をさせていただきたいと考えております。

【谷口委員】  質の保証という観点から,既にできていればチェックされないという話ではなくて,やはりきちんと質保証についてフォローをしていくということをやっていただければ良いと思います。

【佐藤(弘)委員】  私も佐藤東洋士委員の大学設置・学校法人審議会で審議に加わった者でございますけれども,保健衛生学を三つに分けて,看護学,リハビリテーション関係,これを切り出したところまでは今回そのとおりです。ただ,これから先もまだ課題が残るということを一言申し上げておかなければいけないと思います。
 つまり,看護学,リハビリテーション以外のところはまだ非常に大くくりでございます。この中には例えば素人でも分かる,整骨院を営む柔道整復師と,歯の歯科衛生を担当する人,レントゲン技師,全部この最後のくくりになっております。目下まだ大学でこれらの養成はそれほど多くないのですが,将来これが進んだ場合,もう一段こういうことを検討しなければならない余地がまだある。保健衛生学は引き続きまだ非常に大まかな大くくりであるということを一言付言しておきたいと思います。

【安西分科会長】  それでは,議決に入らせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
 先ほどと同様でございまして,学位の種類及び分野の変更等に関する基準の改正に関わる事項,これは大学分科会の議決をもって審議会の議決とするということになっております。中教審運営規則第3条第2項でございます。
 これから議決に入らせていただきますけれども,定足数は先ほどと同じということでよろしいでしょうか。

【田中高等教育政策室長】  はい,先ほど同様,定足数は満たしております。

【安西分科会長】  それでは,ただいま文部科学省から説明のありました改正案の内容につきまして,御了解を頂いたということでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【安西分科会長】  ありがとうございました。貴重な御意見を頂きましたので,それは文部科学省の方で今後是非検討していただければと思います。それを踏まえた上で,今回の諮問につきましては,これを適当と認めて,文部科学大臣に対して答申をするということにさせていただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。
 それでは,そのようにさせていただきます。ありがとうございました。先ほどと同様でございますけれども,制度の見直しの趣旨が関係者に十分に伝わりますように,周知徹底を含めて適切な対応を文部科学省には重ねてお願いをさせていただきます。

(3)組織運営部会における審議状況について,河田組織運営部会長から資料3の説明があり,その後,意見交換が行われた。

【安西分科会長】  続いて,大学分科会の各部会等の審議状況についてですが,まず,組織運営部会について,同部会は年内をめどに審議まとめを取りまとめるとしていたところでございました。組織運営部会の検討事項であります大学のガバナンスの在り方については,教育再生実行会議の第三次提言の柱にもなっておりますけれども,大学改革の重要事項でございますので,この分科会でも審議を行わせていただきました上で,次回以降,本分科会として報告をしていきたいと考えております。
 それでは,部会で取りまとめられました審議まとめの案につきまして,河田部会長から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【河田副分科会長】  組織運営部会長の河田です。3-1から3-3の3種類の資料がございます。資料3-3は,全6章,46ページの非常に格調の高い審議まとめになって,これはけんけんがくがくの議論を経て決定され,こういう最終的な案ができたわけでございます。
 資料3-1を見ていただいたら分かりますように,本大学分科会の帯野委員,私,北城委員,金子委員,北山委員,清家委員,黒田委員に入っていただいて,そのほかにも,今,公立の大学が90ございます中から公立大学長,4年制の国立大学が86ございます中から旧帝大の総長が,それぞれメンバーにおられます。それから,私学では605の4年制私立大学がございます。短大は340あるわけですが,それをまとめて結論を出すのは非常に苦労いたしました。
 というのは,憲法の下に学校教育法があって,それをそれぞれの大学が,国立大学であるならば国立大学法人法が適用されている。公立の場合には,90あるうち65校がいわゆる独法化し,独立行政法人法が適用されている。しかし,独法化されていない公立大学は,いまだに教育公務員特例法という法律で運営されている。かつ,私学は様々なパターンの大学があって,それは私立学校法で運営されている。これら4種の法律が適用される国公私立の1,040大学の共通項を見付けての,今回は最低限の提言ということでございます。
 資料3-1を見ていただいたら分かりますように,6月26日から12月5日まで7回,15時間半けんけんがくがくの討論をいたしました。特に4回目は京都大学と大阪大学の総長に来ていただいて,いわゆるリーディング大学のヒアリングを非公開で実施し,第5回目は国立の中堅規模の長崎大学,私学の中堅大学である広島修道大学の学長にそれぞれ来ていただいて,ヒアリングをしながら,まとめたものであります。
 資料3-2を見ていただいたら分かりますように,これまでどういうことを議論したのかについてです。七つの方向から,1番目が学長のリーダーシップについて,2番目は学長の補佐体制について,3番目が学長の選考と任期,それから,4番目が学部長の選出とその在り方,5番目が教授会の役割。これにつきましては,学校教育法93条の規定内容がはっきりしないのでより明確にするということです。それから,6番目に,私学の場合は理事会の在り方,7番目に,共通のものとしての監事の在り方ということを討論をさせていただきました。
 そういうことで,資料3-2を見ながら説明をいたしたいと思います。すなわち,大学のガバナンス改革の推進についてということで,大学においてなすべきこと,そしてさらに,それを国なり地方公共団体なりがどういう形で支援すべきか,そういう基本的な立場から御議論を頂きました。
 一番最初の大学を取り巻く状況ということでいいますと,各大学が,社会環境の急激な変化,そして,大学に対する社会からの期待,そういうものに応えて,やはり国内外のグローバル化した時代の大学として,他の国とも競い合って,教育研究機能を最大限に発揮していく。そういう中で,そこに見られますように,1の学長のリーダーシップの確立が是非とも必要であろう,ということでございます。
 その中で,学長の補佐体制をきちんとしていくこと,あるいは人事の問題,ポストの再配置とか,選考の適切性,そういうことについて学長が積極的に関与すべきだろうということ。予算面では,学長が自らのビジョンでもってどういうことをやっていくかというめりはり,それから,組織の再編ということが論じられました。特に国としては,法令改正をして,めりはりのある予算支援ができる,評価などを参考にして大学を後押ししていくということが必要だということで,そういう意味では,これをただ単に文部科学省からの指導ということではなくして,国あるいは社会からの応援が極めて重要だということでございます。
 そして,その中で学長のリーダーシップを確立するために,2番目に,学長をどういう形で選考するのか。業績の評価の問題,大学のミッション。私学の場合は建学の理念があってきちんとしたミッションが打ち立てられますけれども,国立大学の場合はともすれば金太郎あめになる。そういうことをきちんとすべきだということです。それに関連し,特に学長の任期の問題を挙げております。
 それから,3番目が学部長の選考・業績評価ということで,やはり学長のビジョンを共有できる学部長を任命できる,そういう体制が必要なのではないか,ただ単に学部の教授会で決まってきたことを学長が追認するというのではいけないと,そういう意見も出ました。それから,学長による学部長の業績評価についても御意見がございました。
 それから,4番目が一番大きな論点になったと思いますけれども,教授会の役割の明確化ということでございます。学校教育法の93条に「教授会は重要な事項を審議する」とあるけれども,その審議の内容はどうなのかということです。その中で,教育課程の編成とか,学生の身分とか,学位の授与とか,学校の教育研究の審査など,それはやはり教授会が審議しなければならない事項であり,理事会などがやるということは越権であろうということでございます。教授会機能の再点検,審議内容の透明化ということが論じられました。そのためには,総括的な副学長を置いたり,高度専門職の事務スタッフを設置をしたり,SDとかIRの強化をすることによって学長がリーダーシップを発揮できる体制を整備すべき,といったことが書かれております。
 それから5番目には,監事の役割の強化ということです。それぞれの大学の行政が学校教育法でなされているのではなくて,国公私の各大学が依拠する法令で運営されているため様々な学校独自の,学部独自の歴史が長ければ長いほど,伝統ある大学では部局の慣習が非常に厳しくて,学長のリーダーシップが発揮できない。したがって,そういう学校教育法と国公私各大学の依拠する法律との齟齬(そご)をチェックすることが必要だろうということで,監事の役割をもっと重要視すべきであろうと指摘しております。
 そして,その中で,国公私共通の支援として,制度改革を通じた所要の法令の改正が必要であろうし,予算について,学長の裁量経費を増やすべきということが書かれております。さらに,私学の場合,大学団体等の協力,そういうことが必要であろうということです。それとともに,国立大学法人の場合には,やはり国から予算をもらっておられるわけですから,国立大学改革プランを着実に実施できる体制が必要であろうということで,ミッションの再定義とか,改革の構想などの重点支援,年俸制の導入,第3期の中期目標・中期計画においてのガバナンスについてこれから明記していくべきだろうという,大体そういうことがこの答申は書かれております。全ての委員の方たちが御同意を頂いてこういう形でできております。
 大阪大学にしろ,京都大学にしろ,九州大学にしろ,多くの大学が非常に頑張っておられる。そういう学長や総長の足を引っ張るようなことにはならないように,やはり教育現場を過度に混乱させないような形で,このガバナンス改革が実行できれば良いのではないかと私は思っております。
大学には,その社会的な役割を担っていくために自律性(オートノミー)が認められていますが,その具体的な在り方については,社会の変化に伴って,主体的・自律的に不断の見直しを行っていくことが求められます。
我が国の大学が置かれる環境の厳しさが増す中,各大学で一層効果的なガバナンスの仕組みが動き出すよう,部会における本提言を踏まえ,今後の具体化を早急に図っていただきたいと考えます。
以上,報告させていただきました。

【安西分科会長】  ありがとうございました。先ほど申し上げましたように,この大学分科会でもって報告をまとめるという,そういう算段にさせていただくことになります。そのまとめは次回にやらせていただきますので,今日は是非,忌憚(きたん)のない御意見を頂ければと思います。また,組織運営部会におかれましては,今,河田部会長の御説明にありましたように,大変な時間をかけて審議をしていただいてきた結果を踏まえてここで議論をさせていただくと,こういう段取りだと理解しております。

【北城委員】  河田部会長,それから,北山副部会長,そして,文部科学省の方々が上手に提言をまとめていただいたと思います。基本的には今回の提言の方向で良いと思うのですが,1か所だけ,教授会に関することについて意見を述べます。資料3-3の37ページ,教授会に関する記述ですが,最初の○の終わりの方に,「これらの事項については教授会の審議を十分に考慮した上で,学長が最終決定を行うことについて,所要の法令改正を行うべきである」と書かれております。
 この文面で結構なのですが,戦後60年以上もの間,教授会が決議機関として運営されてきた大学が非常に多いわけで,今回のように大学のガバナンスについて抜本的な改革を行うのであれば,文部科学省令の改正よりは,社会的なインパクトの大きい法律を改正していただくべきだと思います。
 学校教育法の93条に関して,経済界からも提言が出されておりますけれども,例えば「教授会は,学長あるいは学部長の諮問機関とする」というように改正をすることによって,今回の提言の趣旨が広く社会に伝わり,教員の意識改革を促して,学長のリーダーシップによる大学改革が迅速に実現できると私は思います。最終的な御判断は,文部科学大臣あるいは文部科学省でされることではありますけれども,下村文部科学大臣のお力で歴史的な改革である学校教育法の93条の改正を是非実現していただきたいというのが私の思いです。

【谷口委員】  例えば今,教授会の話が北城委員から出ましたけれども,このまとめにも役割の明確化とか書いてあります。明確化というのはやはり明確にしないと何をやっているかよく分からない。先般も国大協において学長の間でいろいろ話をしましたけれども,教授会の役割を含めて,いろいろなところの表現が明確になっていないので曖昧だという意見がありました。先に説明があったように,本来は法人化した後の法体系というのは,本当は,はっきりしているのです。ところが,学長の間でも,あるいは大学人の中でも必ずしも共通の認識になっていない部分も結構あるという話です。
 先ほど,法律というお話がありましたけれども,明確にするということは,やはり法改正を含めてしっかりやっていただいた方がしっかり徹底するという側面がありますので,何とでも読めるというような通達文ではなくて,趣旨をはっきりとさせていただくというのが非常に大事ではないかと思いますので,その辺のことをきちんと考えていただくと有り難いと思います。

【有信委員】  今の話は非常に重要なので,この点について考えたいと思います。非常に難しい問題だと思います。特に教授会の役割に関していうと,もともと憲法23条に,学問の自由を保障するという文言があって,これは英訳すると,Academic freedom is guaranteedということになっていて,これのたてつけとして大学の自治という概念ができたと理解しています。
 それを保障するときに,もともと国立大学が文部科学省あるいは文部省の一機関であったときに,組織的には学長等が文部省の直系になる形になるわけです。したがって,学問・教育研究の自由を保障する,いわば基本的な自治のとりでというのでしょうか,そこの部分が教授会自治という格好で定義をされてきたと思います。
 ところが,これは先ほど谷口委員がおっしゃったように,法人化の中で基本的にその構造が変わっているのです。その変わっていることは大学人は当然理解をしているはずで,理解をしていなければいけないはずなのですが,これが北城委員が言われているように昔のままの感覚で維持されてきていて,あたかも原始共産制のような形で教授会が運営されてきたということです。これがそもそもの間違いで,大学人としては当然その辺のことはいの一番に理解してなければいけないはずのことだと思います。
 したがって,少なくとも学問の自由は保障されなければいけない。これを法律によって規制するというのは,基本的には教育研究の独立を維持しなければいけないという観点からは,やはり非常に危ないことだと思います。ただ,その危ないことが,実はそこまでして明確にしなければ実際に物事が変わらないというのは,大学としてはかなり危機的な状況にあると私は理解をしています。したがって,この危機的な状況をやはり大学人にきちんと認識をしてもらうためにも,ある意味では明確に,ここをどこまで踏み込んで言うかは非常に重要なところですけれども,明確にすべきことは明確にすべきであると,このように思います。

【長尾委員】  ありがとうございます。この審議まとめは大変立派なものができていて,これがきちんと遂行されれば大学改革ができると思います。
 まず,こういう議論が時間をかけてなされたことをそれぞれの日本の大学に情報をいかに伝達,認識されていくか,その手法が気になります。歴史が長い旧体制の学校はなかなかそれが理解できない状況です。指導,強制力まではいかないのでしょうけれども,改革手法の明確化,それから,是正のやり方について指導する方法はないのでしょうか。それから,監事の役割を入れていただいていますが,監事もそれぞれの大学での規程の中の監事ですから,学内でいかにチェックできるかというのも,学校全体,大学全体が認識しなければできないことだと思います。とにかくこの良い議論をスピード化して,迅速にそれぞれの大学に伝達され,改革がなされるようにお願いしたいと思います。

【谷口委員】  有信委員に,大学がきちんとしないとできないと言われると困ってしまうというか,きちんとやっていることはやっているのですけれども,やはりはっきりとさせておかないといろいろな解釈があり得たりするとできることもできなくなってしまってまずい面もあるということを申し上げておきます。きちんと書かないと大学がやれないなどと言われると,そうではなくて一生懸命やっているのですけれども,いろいろな解釈ができるような形ではなくて,やはり趣旨が本当にしっかりと皆さんに理解されるように明確にしていただけると,やるべきことが非常にやりやすいし,恐らく今までにも増して前にも進むでしょうということですので,大学が何もやっていないというような誤解のないようによろしくお願いします。

【有信委員】  誤解していません。その点は賛成です。

【黒田委員】  ありがとうございます。この大学ガバナンス改革の推進についてというのは非常によくまとめられていると私は思います。十分な議論を進めてきているわけですけれども,今,北城委員から発言ありましたように,所要の法令改正を行うべきであるという,これが少し曖昧だということですけれども,大学そのものが,教授会が万能であった時代から今はもう既に変わっているということです。その変わっていることがまだ現場や社会にはよく理解されていないという,そういうことがあるのだろうと思います。
 これは先ほどから議論ありますように,何回も何回も説明をしていかなければこの改革は進まないと思います。教授会の今まで拡大解釈されて持っていた権限を一面では取り上げることにもなります。そうなりますと,教授一人一人が持っている権利までを取り上げるという,そういう格好にもなってくるわけです。学校教育法93条の重要事項を審議するためとあるのは教学に係るものに限定されていると解されていますから,教授会の権限を法令上は取り上げるわけではないのですけれども,これまでの慣習上その理解が違っていたということなのですけれども,そうなってきますと,恐らく教員全員がこの改革について反対してしまうという気がします。そうなると,この改革が先一歩も進まないということになります。
これが社会的インパクトを与えることが大事であるということであれば,法解釈上曖昧な教授会の審議内容や最終決定権限の在り方を明確にした学校教育法改正を国会へ上程して進めれば良いのではないか,しかし余分な心配ですけれども,それがもし廃案になっても一応は打ち上げたことになるわけですが,そうなりますと,この改革そのものができなくなってしまうという,そういうおそれもあるのではないかと思います。
 ですから,粛々と大学人が改革を進めることが大切であると思います。この粛々が,一般社会からは,大学は全然変わらないではないかという,そういうことになるわけですけれども,この辺は大学としての社会に対する説明責任をしっかり果たしていかなければならない。そうしなければ,この改革は進まないと思います。社会から信頼される大学にどう変わっていくのかということは今の法令の中でも十分できるわけですけれども,一向に進まないからこの審議まとめに示された改革が必要だということだということになってくるのです。
 特に私学の場合は,多様な建学精神に基づいてガバナンスがしっかりと営まれているわけですけれども,そこまで規制を加えていくということは私学を衰退させるということにもなりますので,その辺は私学はある程度自由裁量の中でやれるようにすべきだと私は思っております。
 結論からいいますと,所要の法令改正は必要であると書かれていますので,あとはどのレベルの法令改正をするかは大臣の判断だろうと思いますので,この審議まとめで私はよろしいのではないかと思っております。

【佐藤(東)委員】  黒田委員とまた少し違った意見を,私学を長年扱ってきた者として考えております。学校教育法第93条には,「重要な事項を審議するために教授会を置かなければならない」とあります。「重要な事項」というのはそれぞれの学校に判断が任せられる,解釈がいろいろできるというような形になっていたということが問題かと思います。法的には学長がきちんとリーダーシップをとれるようにいろいろ準備がされているものの,この解釈の問題でやはり曖昧なところが出ているのではないかと思います。その点で教授会の役割を明確化するなど,もう少し具体的な方が良いと思っております。今まで教授会も,代議制でもって議論ができるとか様々な工夫はしてきたのだと思いますが,むしろひょっとしたら逆の効果になるかもしれませんけれども,黒田先生のおっしゃることと異なる意見なのかもしれないですけれども,学校教育法第93条はもう少しはっきりさせた方が良いのではないかというのが私の意見です。
 それから,もう1点だけ少し違うことでいうと,学長のリーダーシップの確立について,まとめの中で非常によくまとまっているのですが,国立大学と私立大学を同じような書きぶりをすると,やはり難しさが出てきているところもあるかもしれないと思います。例えば学長裁量経費の確保というようなことを言っていますが,学校法人の中で学長の裁量経費を作るのは非常に難しいです。結局,予備費をとっておいて,予備費で何かが出たときにそれを使うというような形ですから,最初から設置校の長に裁量経費を確保するというのは難しいと思ったりしていて,その意味では,国公私立問わずもう少し柔軟に扱える方が良いと思います。

【川村委員】  今まで議論された学長の権限のところですが,我々産業界から見ていますと,学長の権限が普通の会社と比べて非常に曖昧だと思います。それは性格上そういう面はたくさんあるとは思うのですけれども,ただそれにしても,人事,それから,予算の配分,お金の配分,ヒト・モノ・カネの配分ができないトップというのはあり得ないわけです。上からいろいろトップダウンで下ろすときもあり,下から上がってくることもいろいろな意思決定事項の中にはあるわけですけれども,それがもめていろいろな議論がなされた後,最終決断を決めるのは普通はトップであるわけで,そのためにトップがいるわけです。やはりいろいろ御意見は出ていますけれども,教授会に関しては特にですが,それ以外の,人事にしても予算にしても,学校教育法93条の項目を改訂するということをきちんとやって,最終意思決定者は学長だというところを明快にしておく必要があるのではないかと思います。
 それから,議論の中で出ました,教授会は学長・学部長の諮問機関とするというところも非常に大事だと思います。いろいろな意見が学内にはあるということを教授会がきちんと吸い上げて,自分たちの意見として答申をする。諮問に応えて答申をする。その結果は,しかし,最終的な意思決定はトップで行うというように組織は動くと思いますので,そういう方向がよろしいのではないかと思いまして,産業界の方としてはそういう提案をした次第です。

【河田副分科会長】  川村委員から,最終的な決定者は学長だと言われましたけれども,私立大学の依拠する私立学校法ではそうではなく,学長ではなくして,いわゆる理事会が業務を決する,そして,理事長が「学校法人を代表し,その業務を総理する」いわゆる最終的な意思決定者になっていますので,その辺は国立大学あるいは公立大学とは少し違いますため,そこは非常に苦労したところでございますので,御指摘をさせていただきます。

【川村委員】  はい。

【北山委員】  私は組織運営部会で河田部会長の下,副部会長を務めさせていただきました。組織運営部会が開始される少し前に,教育再生実行会議によるヒアリングがあり,その場において,経済同友会が一昨年度出した「私立大学におけるガバナンス改革」という提言を基に,私から申し上げたのは,教授会の役割に関して,学校教育法93条を明確に書き換えたらどうかということです。教員の意識改革を促すという観点からも,法改正というドラスティックな案を提言させていただいたということを申し上げました。
 今回のこの審議まとめにつきましては,改革を一層推進するために,ガバナンスにスポットライトを当てております。学長のリーダーシップの下で組織一丸となって改革が一層進むようにするために,ガバナンスが効果的に機能するようにしたいという趣旨であると思います。
 組織運営部会でも申し上げたのですが,800近い大学はそれぞれ置かれている事情が異なります。目標に対する現状のポジションも大学によって異なるわけですが,問題は,いかにその目標を貫徹するための工程表を作って,PDCAサイクルにのせるかということです。そのためには,自己評価や認証評価,それから,情報公開などを通じて,大学並びにそれを取り巻くステークホルダーが一丸となり,置かれた状況を一つずつ解決しながら進んでいくということが必要だということを申し上げたいと思います。

【小畑委員】  学部長の選任と監事の役割の点から感想というか意見を述べさせていただきたいと思います。この全体の答申の内容については,私自身,大賛成でございます。国立大学の場合,学部長は,多くの場合,学部の選挙で選ばれた人が学部長に指名されるという形に実態として現状はなっている。中には,学長が指名する国立大学がないわけではないのですが,ごく例外的な話で,これが学長指名に近い形で選任されるというのは,大変結構なことだろうと思います。
 そこで,監事の役割が非常に重要で,この答申の中でも監事の役割の重要性がうたわれているかと思います。監事の選任そのものは,実態としては,学長がこの人にお願いしようとして決めて,文部科学省に申請して大臣の認可を得るということで,監事も実は学長指名に実態としてなっています。この答申をまとめる議論の中でいろいろ意見が出たのかもしれませんが,監事が学長による選任に近い形を少しでも改め,第三者的な立場,ステークホルダーの立場で監事の選任をチェックできるような仕組みを設けるとより良い形になるのではと思うのですが,その辺は議論の中ではいかがだったのでしょうか。

【河田副分科会長】  監事のことについてはかなりの議論はございました。それぞれの国立大学の場合には古い学則あるいは教授会規程があって,それが学長のリーダーシップを阻害している面があるので,それをやはりチェックするという作業が必要だろうという,そういう話は出ました。
 私,今月6日に,国立大学の監事協議会総会で講演をさせていただいて,そのときに驚いたのは,国立大学86プラス4共同利用機関,そのうち常勤監事を持っておられるところが非常に少ないわけです。関東地方はたしか19国立大学がありますけれども,常勤監事は7校しかない。様々な監事の方から意見を頂いたのですけれども,全く監事としての力が発揮できないということでした。実際そういう各大学の学則・細則なり教授会規定なりを学校教育法と比較検討しようとすれば,今の倍ぐらいの,しかもそれも毎日大学に出勤するような常勤監事が必要なので,だから,ここに書いてあることを実行しようとすれば,文部科学省がやはりきちんとチェックができる人数,そして,監事の役割を明確化しない限り,これは空念仏に終わってしまうのではないかと,そういう感想を持ちました。
 ここの監事の役割・機能強化というときには,大学の規模に応じて人数がどれぐらい,常勤監事が必要かということを,明確にすることが必要です。多くの場合は,卒業生の方が非常勤で,かつ大手の大学は非常に名誉のある方を飾りに置いてあるというのが実態であるということを申したいと思います。言い過ぎかもしれませんが,それが実態でございます。

【浦野委員】  私も今回のまとめは,内容が非常にきちんとしていて,整合性もあると思っております。既に何人かの方がおっしゃっておられますが,やはり学校教育法93条はきちんと改訂する必要,法律を直す必要があると思うのです。それは具体的な例で,適切であるかどうかは別として,産業界のことを少し考えていただきたいのですが,産業界が例えばここ10年15年の単位で法律ができて大きく変わったことが幾つかあります。一つは例えばセクハラですが,これは男女雇用機会均等法できちんと言われて,意識が相当変わったと思います。あるいは内部統制です。今,監事の話も出ましたけれども,内部統制もきちんと法定されて随分変わりました。それから,反社会的勢力の問題もそうです。今まで何となくやっていたのが,法律に決まって大きく変わった。ということで,やはり法律に決められることによって変わることは随分あると思いますので,是非この件は,先生方の意識がこのことによって変わることが私は期待されると思っています。
 それから,もう一つ,先ほどの監事の件がございました。これはやはり企業の方も,内部統制に絡んでということもありましたけれども,ここ十数年の企業の監査委員会あるいは監査役の機能の充実というのは本当にすごいです。単に監査役だけにお任せするのではなくて,監査役が自由に使えるといいますか,事務スタッフとして監査役事務室とか監査委員会事務室とかそういうものを設けて,予算的にもかなりのことをやっています。そうでないと,やはり内部でのPDCAが回っていかないと思います。そういう意味で,大学が先ほど河田部会長がおっしゃったようなことであるとすれば,これはやはり大きく変えていく方が,いろいろな意味で大学の成長に資すると思っております。以上です。

【金子委員】  私は終始一貫して原則的なことを申し上げているのですが,企業とのアナロジーで大学のガバナンスを論ずることに対しては非常に大きな抵抗を持ちます。大学の特徴は,個々の教員ないしは研究者が非常に異なった質の活動を行っていることでありまして,それを一括したハイエラルカルな管理体制で捕捉できないというのが大学の基本的な,最も特質のあるところだと思います。
 そういう非常に多様な集まりを管理するためにできたのが教授会という組織であり,それに伴う様々なガバナンスの機関であると思います。さらに,日本で大学と呼んでいますものは極めて多様でありまして,大学の学長のリーダーシップが足りないと言われるところもありますが,しかし,むしろ学長のリーダーシップが非常に強過ぎて問題を生じているところもたくさんあるわけであります。むしろこのような非常に多様な組織をいかにうまく動かすか,あるいは多様性をうまく動かしていくことによって活性化をもたらすかが,私は日本の高等教育の課題だと思います。
 国際的に見ても,教授会の権限,学長の権限を事細かに条例で書いてある国などというのは先進国では全くありません。そういう枠内で大学が自分で決めていくというのが基本的な大学の在り方だと思います。もちろんこれから改革しなければいけないところはたくさんあると思いますが,それを直ちに条文の改正によってしか動かないと決め付けることについては私は非常に大きな抵抗を覚えます。
 今日のお話で先ほど具体的な点として出ましたのは,一つは,条文にこのような形,中間まとめにあるように曖昧な言い方をせずに,条文を変えろという意見,もう一つは明確にしろという意見です。ただし,明確にしろということについては,今まで相当議論をしてきましたが,基本的にはやはり教育研究,特に学位に関わる部分,これについて明確に一定の内容にすることはできるけれども,それ以外に係って条文で本当に明確にすることができるのかというのが私は最大の議論だったと思います。
 諮問にしろという御意見もありましたが,諮問にするのであれば,今申し上げた非常に多様な活動を全て学長が教授会に諮問しなければいけないわけです。そんなことは本当にできるのかということです。これはやはり一定の権限あるいは決定権を一定の部署に委任する,マクロにそれを管理するということは必要だと思います。このように非常にまだ議論があり得るところを,それを全て条文にするということは本当に可能なのか私は疑問に思います。
 私は,37ページに書いてありますように,一定の例示を行う,それを条文以外の,文部科学省令ないし同様な法令によって指示するということは可能だと思いますし,私はそれが非常に大きなメッセージを日本の大学に与えると思います。
 そういう意味で,私は条文にしなければ,特に法律を変えなければ,学校教育法93条自体を変えなければ日本の大学は変わらないというのはあり得ないと思いますし,むしろこういうメッセージを発した上で,更に学長がリーダーシップを発揮するためにどのような援助が必要なのか。例えば情報開示とか,あるいは学長に対する様々な支援。特に私は,この議論の基になりましたのは,やはり大学教育は社会の要求と一致していないというところが非常に大きな,最大の論点だと思いますが,それを一致させるためにどのようなメカニズムが必要なのかということをこれから次の段階として議論すべきであって,今の段階で法律を変えればどうにかなるという問題では私は全くないと思います。以上です。

【白井委員】  金子委員がはっきり言っていただきましたが,この審議まとめは国立大学を中心にイメージされているように思うのですが,私立大学も基本的には対象に当たるところももちろんたくさんあると思います。確かに大学のガバナンスというか大学の統治構造が余りうまく機能していないために,大学改革,要するに,教育研究の向上というところに直接的に余り効率が上がらないといいましょうか,進まないのではないか,これは世の中一般の方が多くそう思っているのです。本当にそうかどうかというのは私も若干疑問も持つけれども,とにかくそのように考えられていて,その元凶は大学のガバナンスの構造が悪いからだという結論がこのレポートにかなりあると思います。
 しかし,大学というのは,これでいきますと,学長がとにかくしっかりリーダーシップを発揮してやれるようにしなければいけない。その学長は,例えば学長選考会議であったり,いろいろな形で選ばれるわけですけれども,本当にその人の,何ていうのでしょうか,良い人も選ばれるし,少し変わった人も選ばれるし,いろいろだと思うのです。人一人の考え方はそれほど信用できますでしょうか。ですから,それを任期も更に延ばして大いにやらせるということについても,任期を延ばすこと自身は別に反対というわけでもないけれども,そのようにして,学長選考とかまず問題になるけれども,一体大学は誰のものなのか,どういう支配下に入るのか。国立大学だから,国の支配下だと言うのであれば,それは学長をそういう人を選んで,ある基準で大学の運営をしていけば良いというのは非常に通りがよくてしっくり分かるけれども,私学はそのようには全くなっていないということがまず一つあります。
 国立大学にしても,私は大学の自治というものは,日本の大学という意味ですが,この伝統をずっと今まで大学の歴史の中で今の状況があるわけであって,やはり大学というのはずっと築いてきたものがそれぞれの大学にあるし,それはやはり教授会がそれぞれいろいろと議論してきた部分が非常に多いです。感じ方によっては,つまらないことを何時間もかけて議論する教授会だと,一体何をやっているのかとおっしゃるかもしれない。ですが,やはりそういうことによって築かれてきたものはあるのです。
 ですから,教授会が一生懸命議論し,考え,それで挙げて学部をどうしようとか,学生をどうしようとか,問題の起こった学生,あるいはそれについてどういう考え方をすべきだとかけんけんがくがく延々と議論するということ自体がやはり価値があって,その大学を作っているのです。
 ですから,私は,最後に大学を代表して誰が判断するのかだと思います。そのときには学長が,あるいは理事長かもしれないけれども,それは判断しなければいけないと思いますから,ここに書いてある文言の,最終決定を責任を持って行うということ,そこのところは極めてそのとおりだし,そのことを明確にしてほしいと思うけれども,法律で一方的に,教授会というのはこういう仕事以外はやってはいけないということを書くということ自身は,私はやはり大学を大学でなくしてしまうというおそれの方が多いと思います。
 ですから,現在の日本の大学の置かれているガバナンスの構造の不足な点を改善するということについては私はもちろん賛成だけども,それは日本の大学の持っている本当の良さ,本質的なところをやはり崩さないようにしないといけないと私は思います。したがって,割に法律改正,法令改正をした方が良いという方も,随分はっきり言われた方は多いのですけれども,私は別にそういうことの必要性もそれほど感じないし,必ずしも良い結果を生まないのではないかと思います。
 ただ,93条というのは,どこまでが教授会が決められる事項なのかという意味では分かりません。教授会が大学の経営まで全部決められるみたいにも解釈できてしまうかもしれない。それはやはり行き過ぎだと思います。ある学部だけが全部を支配するようなことは実際おかしいし,それを整理して,責任持って大学運営していくのがやはり学長であり,理事会であったりするわけだから,そこのところの最終決定権が明確になるということについては賛成です。

【清家委員】  私は今,金子委員,白井委員が言われたことに基本的に賛成でございます。大切なのは,ガバナンスが適切に行われること,そして,必要な改革が着実に進むこと,特に大学の場合には,大学の教職員がしっかりと当事者意識を持って,人のことではない,自分たち大学人全体のことだという当事者意識を持ってこの改革が進められることだと思っております。
 もう1点,私立大学団体を代表する立場から申しますと,これは黒田委員,河田委員も言われたように,私立大学は,例えば制度そのものとして学長と理事長が一緒になっている大学もあれば,それらの別の大学もある。そして,理事長が非常に強い権限を持っているところもあれば,教学側の学長が強い権限を持っているような大学も,それぞれが私立大学の個性であり特徴でございますので,そういうようなものが,多様性が維持されるような形の在り方が私は望ましいと思っております。
 そういうような非常に難しいこと,今日ここで議論されたようなことはほとんど,議事録を読んでいただければ分かると思いますけれども,部会でも議論され,その中で,河田部会長,それから,北山副部会長が大変多くの意見をしんしゃくされながら,バランスの良い報告書をまとめていただいたと思っておりますので,私はこの報告書に尽きていると思っております。私自身も組織運営部会に参加させていただいておりましたので,是非この分科会においては,部会の報告書の趣旨がきちんと尊重されるようにしていただきたいと思っております。また逆にこの分科会の委員の立場から言えば,部会に対して分科会として議論を委ねたわけでありますから,その立場からいえば,部会の報告書の結論,さらに,趣旨,これは最大限尊重されなければならないものと考えております。以上でございます。

【菱沼委員】  私も金子先生から始まった御意見にどちらかといえば賛成でございます。私も私立大学に勤めておりますので,学長の権限と理事長の権限を非常にそれぞれ明確にしていかないと,逆に教育研究の体制を自分たちで保っていくというのが難しいということがあり得るということを感じておりますが,全ての大学,国公私立の大学のガバナンスを同一レベルにそろえるということの難しさといいますか,そこまでやれるであろうかということに少し疑問がございます。
 先ほども清家委員がおっしゃっていましたように,やはり教員たちがどれだけ自分たちの課題としてより良い教育研究に突き進められるかという形で考えていけるような投げ掛けを是非お願いしたいと思っております。学長の選考の仕方とか,あるいは学部長をどのようにして決めるかというのは,やはりそれぞれの大学が自分たちの在り方として考えていくべきことではないかと思っております。以上でございます。

【安西分科会長】  ありがとうございました。大変貴重な御意見を多々頂いたように思います。学長権限,学部長の選任等のこと,また学校教育法93条の問題,法律改正のこと,また教授会の明確化,あるいは国公私立大学の問題,あるいは監事の役割の問題,あるいは改革を進めていくのであれば周知徹底していくべきだということ等,いろいろな御意見を多々頂いたところでございます。次回もう一度この議論をさせていただいて,できれば次回にこの大学分科会としての報告まとめをさせていただければと思っております。
 今日言い足りないこともあるという方もおられるかと思いますし,組織運営部会の審議のまとめをもう一度御覧いただいてまた御意見があればということもあるかと思いますので,文部科学省へ御意見を頂きますよう,委員の皆様にお願いできればと思います。
 いずれに致しましても,河田部会長はじめ,組織運営部会の委員の方々には改めて深く感謝を申し上げたいと存じます。誠にありがとうございました。

(4)大学のグローバル化に関するワーキング・グループの審議状況について,二宮主査から資料4について説明があり,その後,意見交換が行われた。

【安西分科会長】  次に,大学のグローバル化に関するワーキング・グループで,ジョイント・ディグリーの制度改正の方向性について年度内を目途に取りまとめるということにしておりました。ジョイント・ディグリーにつきましては,今後,大学分科会の審議事項であります大学設置基準等の改正につながる事項もございまして,ジョイント・ディグリーの制度改正の方向性を中心にこの分科会の委員の御意見を伺いたいと考えております。
 ワーキング・グループの二宮主査にいらしていただいておりますので,二宮主査から報告をお願いします。

【二宮主査】  大学のグローバル化に関するワーキング・グループ主査の二宮でございます。私どものワーキング・グループでは,いわゆる大学のグローバル化に向けた施策の検討を行ってきております。本日は,外国の大学とのジョイント・ディグリー制度の検討状況について,お手元の資料4に基づいて報告をさせていただきたいと思います。
 ジョイント・ディグリーは,大学同士が共同で授与する学位ということですので,これまでの各大学がそれぞれ授与するというダブル・ディグリーとは少し異なっております。参加大学間で十分な協議を経て,いわゆる練り上げられた教育プログラムといいますか,精緻(せいち)な教育プログラムを編成することでもって,外国の大学との連携の中でそれを実施していくということから,質保証の観点からも,ナンバリングやあるいは厳格な成績評価など国際的な標準から見ていっても優れたプログラムが生み出されることと期待しているところでございます。
 御案内のとおり,第5期中教審においては,ダブル・ディグリーについて,今後ジョイント・ディグリーが可能になるような制度的な対応の検討とされておりましたが,第6期中教審においても,有識者会議において,海外の大学とのジョイント・ディグリーの定義や留意点等について検討を行い,大学教育部会等に報告を行っていただいております。
 また,本年5月の教育再生実行会議第三次提言においては,国は,海外のトップクラスの大学の教育ユニットの丸ごと誘致による日本の大学との学科・学部・大学院の共同設置や,ジョイント・ディグリーの提供など,現行制度を超えた取組が可能となるような制度面・財政面の環境整備を行うとされたところでありまして,ジョイント・ディグリーがグローバル化を図る上で極めて有力なツールとして早期の実現が求められているところでございます。
 これらを踏まえまして,本ワーキング・グループでは,7月の第1回を開催以後,速やかに検討に着手し,大学などからのヒアリングも行ってきたところです。このたび,ジョイント・ディグリー制度について基本的なコンセプトについておおむね合意を得ることができましたので,現在の検討状況を報告させていただき,分科会の御意見を頂戴したいと思います。
 本日の分科会での御意見や,1月以降に予定されておりますパブリックコメントの結果などを踏まえて,引き続き,ワーキング・グループにおいてより具体的な制度設計を検討するとともに,大学分科会において改めて御審議,御了承を得た上で,早期の制度改正に結び付けることができればと考えております。
 それでは,資料4の2ページを御覧ください。ジョイント・ディグリーの目的や定義,そして,今回の制度設計のポイントを簡単に示しております。目的は,我が国の教育の質の向上を進めるということで,国際的なルール・メーキングを主導しようという極めてチャレンジングな目的を掲げております。定義は,連名で授与する単一の学位記ということになっております。
 したがいまして,ポイントは,日本の学位であるという整理をしたいということです。それから,先ほど申し上げましたような,共同で設計された緻密な体系的な教育プログラムであること。それから,連名で単一の学位記を出す。それから,設置認可を受けますけれども,教育課程や教育組織,大学間協定を中心に柔軟かつスピーディーな審査をお願いする仕組みがどうなのかということでございます。それから,これは極めて新しい概念ですけれども,共同実施科目というものを海外の大学との間に編成・開設していくという制度設計になっているかと思います。
 資料の3ページを御覧いただきたいと思います。そもそもジョイント・ディグリーの制度設計はかなり複雑になると考えられますので,先ほどのプリントなども踏まえまして,例として修士課程のジョイント・ディグリープログラムを編成した際のイメージで具体的に説明させていただきたいということで,資料4の3ページ,4ページを用意しているところでございます。
 まず3ページで簡単に申し上げますと,A大学の大学院工学研究科が入学定員200名で,各専攻定員がありまして,設置認可に必要な教員数が配置されているわけですが,定員の2割までということで,一つは制限を掛けながら,質を保証しながら,設置認可の関係で専攻の2割までを国際連携のジョイント・ディグリープログラムのコースとして,専攻として開設し,そこの設置認可を受けるという形になります。例えば同一研究科にありましても,アメリカの大学とある特定の分野での連名学位,共同学位を出すというプログラムを編成し,そして,他国の他の大学との間でもやはり同様に別の分野で連携型のものを出すという形で制度設計をするものでございます。
 それを更に学生の立場で見ていきますと,その次のページでございますが,機械工学専攻に所属する学生は従来どおりの学位を単独で受けるわけです。これ,ダブル・ディグリーとは全く違いまして,連名の学位は,そこに入りますと,日本の大学で単位を取って,1年間留学して,ここまでであれば,ダブル・ディグリーでも単位互換というスキームを使って行うわけですが,ジョイント・ディグリーは共同で編成している教育プログラムですので,研究指導とかそういうものについては共同で行うこと,学位審査も行うことと,その中に先ほどのような共同開設科目という制度を組み込んでいくというものでございます。学生から見ると,マスター2年間はこういう形で流れていき,最後には連名の1枚の学位記を手に入れることができるという設計になっているかと思います。
 5ページを御覧ください。これまでの議論の経緯をまとめたところでございます。もう既に御案内のことかと思います。
 6ページを御覧ください。先ほどからのジョイント・ディグリーの設計の考え方を更に詳細に見ていこうとしたものがございます。この6ページのところですけれども,今まで議論の中で,ダブル・ディグリーと違ってジョイント・ディグリーが一番難しかったのは,一番のネックとなっていたのは,外国大学による学位授与という行為を国内の学位授与として整理するかどうかということです。最初のポイントで申し上げましたように,日本の学位として外国の学位授与も整理して,我が国の大学設置・学校法人審議会の手中に,ハンドリングの中に置きながら提案していくと,そういうような形になっているかと思います。
 この点については,我が国が外国の大学を直接質保証の対象にすることは,いわゆる属地主義の制約がある中で今すぐ実現するということは極めて困難でありますし,フィージビリティのある制度をと言われますとそれは非常に難しいということにもなりますので,今回の制度設計においては,外国大学による学位授与を国内の学位授与から切り離しながら,我が国の大学が授与する学位として整理するという制度設計になっていると思います。
 7ページを御覧ください。最初に申し上げたポイント等を踏まえまして,ジョイント・ディグリーの制度設計の基本理念を整理したものであります。
 8ページ以降について,少し細かく整理したいと思います。飛んでいただいて,まず8ページを御覧ください。ジョイント・ディグリープログラムは,外国大学も学位の授与に加わることになりますので,学位授与に加わる外国大学において一定数の単位を修得する,あるいは先ほど申し上げましたような,論文指導,学位審査を共同で行うということが求められます。そのことが書いてございます。
 9ページを御覧ください。そこに,繰り返し申し上げていますような,新たな概念としての共同実施科目(上限30単位,任意設定)という制度を設けています。ダブル・ディグリーではそれぞれの大学がそれぞれの授業を提供して,それぞれ単位を学生は取り,単位互換というスキームを活用しながら,それぞれの大学の手続にのっとって複数の学位を手に入れるという形になりますけれども,今回のジョイント・ディグリーの制度設計では,共同実施科目を例えば2大学の先生方のティームティーチングによるとかなど共同性の高い授業科目として位置付けてございます。
 単位の計算におきましても,A大学とかB大学のいずれの単位としても開設できる,あるいは位置付けることができると,そういう柔軟性に富んだものとして扱うこととしまして,一つは国境を越えている場合の制度的な仕組みをこれで開発していることと,それから,ジョイントですので,やはり共同性,コラボレーティブがしっかりしているということが基本的には認可の基準になりますので,一つの共同性を担保するものとしての表章としての制度としてこういうものを制度設計しているということでございます。
 10ページは学位の国際的通用性に関する記述をしているところでございます。例えば相手大学が学位授与の実績があることとか,当然,学位授与権があることなど,国際的な通用性を担保するために踏まなければいけない手続とか授与要件を明確に求める必要があるだろうということです。それぞれの大学の学位授与要件を,このジョイント・ディグリーはそれぞれの要件を満たしているということを前提にすべきではないかという考えでございます。
 11ページを御覧ください。これは「組織体制の整備/質保証と活用できる制度設計の両立」と書いてございますが,設置認可等に関する制度設計でございます。ジョイント・ディグリーを検討中の大学からのヒアリングなどを踏まえて,今回の制度設計では,既に十分な教育研究活動を行っている大学が,つまり,設置認可を受けて適正な教育を行っていると自己評価などをなさっている大学が,その定員の一部について,先ほど申し上げましたように当面は定員の2割を上限として,あるいは2割以内ということを考えているわけでございますが,外国の大学の他のリソースを活用して行うということでございます。
 そうした事情を考慮しますと,新たな校地校舎や専任教員の配置などについては基本的には求めないことにしたいと考えているところでございます。ただし,ジョイント・ディグリープログラムを開設する場合には,外国大学との連絡・調整,学生への対応等様々な手続が必要になることが考えられることから,例えば専任教員については若干の追加配置を求めたいということで意見が出ているところでございます。
 資料の12ページを御覧ください。これは設置認可の主な観点を記述しているところでございます。教育課程の編成から始まって,大学間協定において必要な事項は何かということを例示しながら審査していただくという形になるかと思います。
 13ページは今後のスケジュールでございます。今日の意見,パブリックコメントの意見を踏まえて,改めて中教審大学分科会で御検討いただくということになるかと思います。なお,現在我が国の大学におきましては外国大学と既に交渉を開始しているところもあると聞いておりますが,こうした取組を確実にバックアップしたいと思って,できるだけ早期に制度の整備に結び付け,制度を実現していただきたい,あるいはいきたいと考えているところでございます。
 なお,資料の14ページは,参考資料として,これまでのダブル・ディグリーとか,ジョイント・ディグリーなどに関する資料を掲載していただいていますので,適宜御確認いただければと思っています。
 報告は以上でございます。

【有信委員】  非常に御苦労されてまとめていただいて,ありがとうございます。いかにも日本の制度の中でジョイント・ディグリーというまとめ方でいかに難しかったか非常によく分かるのですけれども,実は大学院教育改革の流れの中で,あるいは大学教育改革も含みますけれども,学位プログラムへの移行ということが言われています。これは学位プログラムという形で新しい教育課程を編成するということで,今その典型的な例としてリーディング大学院のプログラムが走っています。
 一番大きな問題は,リーディング大学院というのは,研究科とか専攻を超えた教員が集まって学位プログラムを形成して,しかも学生が学位論文を書くだけの資質能力を持っているかどうかというのをクオリファイイングイグザムできちんと確認をして,その上で学位審査をやって学位を与えようとすると,そのプログラムでは学位が与えられない。これはなぜかというと,もともと設置認可を受けていないので,そこの学生は設置認可を受けた研究科から学位をもらうという手続を取らざるを得ない。
 これは一見無関係な話のように見えますけれども,根っこは同じで,要するに,今の日本の設置認可の在り方そのものを根本的にある意味で見直していかなければいけないということです。そういう意味で,今は段階的なステップとしてジョイント・ディグリーという形で設置認可の中で特別な課程として認めるということになっていますけれども,少なくとも例えば学位プログラムに移行するというのが大学院改革の本当の方向性であるならば,それも含めてそういう方向にどんどん話が広がっていけば,今の旧態依然たる大学の学部・学科制度あるいは研究科専攻制度そのものが基本的に変わっていく可能性がありますので,そこも視野に入れて是非御検討いただければと思います。特に文部科学省におかれてはそういう広がりの中で是非御検討いただければと思います。

【安西分科会長】  今,有信委員の言われたことは的を射ていると私も思います。
 それでは,ほかになければ,二宮主査はじめ,大学のグローバル化に関するワーキング・グループには,今もありましたけれども,ここまで大変御苦労いただいて非常によくまとめていただいたことに感謝を改めて申し上げたいと思います。
 その上で,この方向で,設置基準等の改正の検討については,文部科学省でワーキング・グループの検討等を踏まえた上で,また今日の御意見も踏まえた上で行っていただいて,改めて大学分科会で審議をするということでよろしいでしょうか。
 それでは,改めてのこの分科会での審議におきましては,所要の制度改正についての審議も入ってくると理解しております。
 二宮主査,またワーキング・グループのメンバーにはお礼申し上げます。改めてありがとうございました。

(5)法科大学院特別委員会の審議状況について,文部科学省から資料5の説明があり,その後,意見交換が行われた。

【安西分科会長】  次に,法科大学院制度の改善方策につきまして,法科大学院特別委員会で年度内を目途に取りまとめるという状況になっております。現在の審議状況について御報告を頂きまして,この分科会での委員の御意見を伺わせていただければと思います。

【今井専門職大学院室長】  失礼いたします。それでは,資料5-1に基づいて御説明をさせていただきたいと存じます。政府におけます法曹養成制度に関する検討状況等についての御報告でございますが,本日は3点御報告させていただきたいと存じます。
 まず一つ目でございますが,政府におきまして,新たな検討体制における検討がスタートしたところでございます。(1)法曹養成制度改革推進会議及び法曹養成制度改革顧問会議の開催でございます。本年7月,政府に設置されました法曹養成制度関係閣僚会議の決定に基づきまして,9月に関係閣僚で構成される法曹養成制度改革推進会議及び,有識者で構成される法曹養成制度改革顧問会議が設置されておるところでございます。
 資料は5-1の3ページ以降を御覧いただけたらと存じます。法曹養成制度の検討体制につきましては,3ページ目の上の方にございますように,内閣官房長官を議長と致しまして,6省庁の関係大臣により構成される法曹養成制度改革推進会議,それから,資料左側にございますように,内閣官房の下に法曹養成制度改革推進室が置かれた上で,右側にございますが,法曹養成制度改革顧問会議が開催されているところでございます。現在はこの法曹養成制度改革顧問会議を中心に検討が進められておりまして,法曹有資格者の活動領域,今後の法曹人口,そして,法科大学院,司法試験,司法修習に関する事項について審議が行われているところでございます。
 審議の状況は4ページ目に資料を付けさせていただいたところでございますが,特に法科大学院に関する検討につきましては,第3回の顧問会議,そして,第4回の顧問会議でそれぞれ文部科学省に説明をさせていただいたところでございます。第3回につきましては,法科大学院の組織見直しを促進するための公的支援の見直しの強化策について御説明をさせていただき,質疑応答が行われたところでございます。また,第4回につきましては,法科大学院の現状とその改善方策について説明をさせていただき,質疑応答が行われたところでございます。
 このうち,法科大学院の組織見直しを促進するための公的支援の見直しの強化策について,2点目の御報告として報告をさせていただきたいと存じます。この件につきましては,中教審大学分科会の下に置かれております法科大学院特別委員会におきまして,本年9月にその基本的な考え方をおまとめいただきました。その考え方に基づきまして,11月でございますが,文部科学省より法科大学院の組織見直しを促進するための公的支援の見直しの強化策について公表させていただいたところでございます。
 資料は5-1の5ページ目を御覧いただければと存じます。この公的支援の更なる強化策につきましては,その概要と致しまして,これまでは課題を抱える法科大学院が司法試験の合格率など一定の指標に該当して特に悪い場合と認定された際には,例えば国立大学であれば運営費交付金,私学であれば私学助成の一部を減額してその組織見直しを促すという仕組みでございました。
 これに関しまして,今回の公的支援の見直しの更なる強化策につきましては,5ページの上の方の二重の箱の中に書いてございますように,司法試験の合格率,入学定員の充足率,多様な人材の確保の状況,また,地域性,夜間開講など多様な指標に基づいておおむね三つの類型に分類させていただき,全ての法科大学院はいずれかの分類に属するような形になっているところでございます。そして,それぞれの分類につきましては,現在の入学定員の充足状況などを参考にして算定した公的支援の基礎額を設定させていただいて,それぞれ第1から第2,第3にかけて傾斜で減額をさせていただいているところでございます。
 ただ,その上で,右側にございますように,先導的な教育システムの構築,また教育プログラムの開発,更には質の高い教育提供を目指した連合・連携など優れた取組の提案を各大学に現在お願いさせていただいておりまして,最終的にはその提案を評価し,加算させていただくこともできる,そういう仕組みを新たに作らせていただいたところでございます。現在この公的支援の更なる強化策を発表させていただきまして,各法科大学院におきまして,この仕組みを前提にそれぞれにおいて抜本的な組織見直しの検討,また先導的な取組の提案に向けた準備に着手していただいているところでございます。
 続きまして,資料は5-1の2ページ目を御覧いただけたらと存じます。3点目の御報告でございますが,法科大学院特別委員会におきましての検討状況でございます。ただいま御説明をさせていただきました公的支援の更なる強化策の基本的な考え方をおまとめいただくとともに,こちらにございますように,法科大学院教育の改善方策について総合的な検討に現在着手していただいているところでございます。
 2ページ目の一つ目の○にありますように,現在,法科大学院特別委員会の下に,ここにございます組織見直し促進に関する検討ワーキング・グループ,共通到達度確認試験等に関する検討ワーキング・グループ,それから,法科大学院教育の質の向上に関する改善状況調査ワーキング・グループ,三つのワーキング・グループを設置いたしまして,それぞれ検討に着手いただいているところでございます。
 特に,関係閣僚会議決定で中教審の審議を踏まえた対応が求められております。1番でございますが,入学定員の削減方策,認証評価の抜本的な見直し,連合・連携・改組転換の促進など抜本的な組織見直しの促進方策,また2番目にございますように,共通到達度確認試験(仮称)の基本設計や法学未修者教育の充実方策に関しましては,このワーキング・グループでの専門的な調査検討を集中的に実施いたしまして,先月末でございますが,その調査検討の経過報告を取りまとめていただき,法科大学院特別委員会に御報告を頂いたところでございます。
 その具体的内容につきましては,6ページにございますように,それぞれ,組織見直しの促進のための改善方策の方向性,また,下段の方には,共通到達度確認試験の基本設計,また,法学未修者教育の充実方策の方向性について,ワーキング・グループで御議論いただいたものを取りまとめさせていただいたところでございます。ただ,現在はこの二つのワーキング・グループから出てまいりました経過報告,これに基づきまして法科大学院特別委員会におきまして,これらの報告などをベースにしながらも,更にその他の法科大学院教育の改善に向けた総合的な方策に関して,現在一定の取りまとめに向けて審議を継続している最中ということでございます。

【安西分科会長】  ありがとうございました。
それでは,この件も含め,御意見,御質問あれば,文部科学省までお寄せいただければと思います。この件につきましては,特別委員会の方で引き続き審議を進めるということだと理解しております。よろしくお願いいたします。

(6)インターネット等のみを用いて授業を行う大学における校舎等施設に係る要件弾力化における大学設置事業の全国展開について,文部科学省から資料6の説明があった。

【牛尾専門教育課長】  インターネット等のみを用いて授業を行っている大学に関する制度的な対応について御説明をさせていただきます。専門教育課長でございます。
 資料6-1を御覧ください。まず議論の背景を簡単に御説明いたします。現在の通信制大学におきましては,通常でしたらスクーリングが義務付けられておりますが,インターネットを活用して通信教育を行っている大学につきましては,スクーリングの部分もインターネットによる授業でかまわないという措置が現行制度で既に措置されているところでございます。
 これに対しまして,構造改革特別区域制度による特例措置がございます。現行制度では,インターネットにより全て授業を行っている場合でも大学通信教育設置基準の校舎面積を満たす必要がありますが,構造改革特別区域制度におきましては,ここの部分の特例といたしまして,校舎面積基準を下回ってもかまわないということが定められております。具体的には,サイバー大学,ビジネス・ブレークスルー大学,この二つの大学において特例措置を活用した教育が現在行われております。
 構造改革特別区域制度におきます特例措置につきましては,実施状況を評価いたしまして,特段弊害がない場合には全国展開を推進していくことを原則とすることが定められております。本特例措置につきましても,平成24年4月の段階で,必要な検討を行った上で平成25年度を目途に全国展開を行うことが既に決まっていたところでございます。ただ,その具体的な在り方については,文部科学省において協力者会議を設けましてこれまで検討を進めてきたところでございます。
 2ページ目を御覧ください。2ページ目が協力者会議で行われておりました議論のまとめを簡単にまとめたものでございます。基本的には構造改革特別区域制度における特例措置を全国展開してかまわないであろうということでまとめられております。ただ,その際,やはり教育研究に支障がないということが大事でございますので,その条件を(2)(3)(4)とまとめてございます。
 (2)のところでは,インターネットによる授業固有のいろいろな措置が必要になってまいりますので,そのための十全な体制を整備すること,それから,学生に対する技術面,教育面での十分な支援を行うべきことが指摘されております。それから,(3)のところでございますが,インターネットによる授業ですので,必ずしも双方向の授業が条件付けられているわけではございませんけれども,教育課程上重要な科目等については,1対1のやりとりが可能となる同時双方向の手段を適切に導入するよう求めることが指摘されております。それから,面接授業について,この場合においては卒業要件外であれば面接授業をやってもかまわないということが(4)に指摘されております。
 こうした協力者会議のまとめを踏まえまして,文部科学省で具体的な制度改正の案をまとめたものが資料6-2でございます。資料6-2の2枚目を御覧いただければと思います。改正の概要でございますが,大学通信教育設置基準におきまして,ただいま申し上げたような特例措置の内容を盛り込んではどうかということでございます。インターネット等を利用して行う場合については,インターネット等を利用して行う授業の特性を踏まえた授業の設計その他の措置を当該大学が講じており,かつ教育研究に支障がないと認められる場合には,通常の通信教育の場合の面積基準を満たさなくても良いこととするという内容の規定を設けてはどうかということでございます。あわせて,特区の特例の根拠になっている規定については削除するということ,それから,具体的に教育研究に支障がないという条件については,(4)留意事項にまとめてあるような事項などにつきまして通知等で大学に示してはどうかと考えている次第でございます。
 本件の内容につきましては,大学教育部会におきまして2回御議論いただき,この大きな方向性については御了解を頂いているところでございます。ただ,御議論の中では,本件は別として,メディア授業一般について大学教育の中においてどのように考えていくかということについては別途更に議論が必要ではないかという御議論があったところでございます。以上,御報告でございました。

(7)労働契約法の特例に係る研究開発力強化法及び大学教員等任期法の改正について,文部科学省から資料7の説明があり,その後,意見交換が行われた。

【浅田高等教育企画課長】  労働契約法の特例に関する研究開発力強化法及び大学教員等任期法の改正について,まず資料7-2の最後のページを御覧ください。昨年,労働契約法が改正され,今年の4月1日以降に開始する有期労働契約,期間の定めのある契約について,同一の使用者との間でこれが繰り返し更新され通算5年を超える場合,労働者の申込みによって無期労働契約に転換できることになりました。一方,大学での教育研究に従事する教員等については,学問的な流動性が不可欠であるため,特に大学の教員等の任期に関する法律が定められており,また,短期間で教育研究の成果を評価することが困難であるなどの特性があります。
 このため,大学の現場では,改正労働契約法の適用についても御努力いただいているところですが,無期労働契約への転換の判断の難しさなどから人事労務管理上の課題も顕在化し,教育再生実行会議の第三次提言,科学技術イノベーション総合戦略,日本再興戦略などでも対応の検討が求められ,また,国公私の大学団体からも御要望を頂いておりました。
 以下は,資料7-2の1枚目の2番,労働契約法の特例のところ,その次の2枚目の第2,大学の教員等の任期に関する法律の一部改正,この辺りを御覧いただければと思います。
 文部科学省としても,こうしたことを踏まえて関係省庁と検討を重ねてまいりましたが,与党内での調整の結果,先の臨時国会で,無期労働契約への転換申込みを行うために必要な通算契約期間が通常5年を超えることとされているところ,研究開発法人,大学等の研究者については,研究開発力の強化及び大学等の教育研究の活性化等の観点から,これを10年を超えることとする労働契約法の特例を定める内容を含む法改正が議員立法として提出,審議され,12月5日に成立,13日に公布されたところです。労働契約法の特例に関する規定は平成26年4月1日から施行となります。
 この特例の対象には,任期法と同様に,教育研究の分野を問わず,また常勤・非常勤の別にかかわらず,国立大学法人,公立大学法人,学校法人の設置する大学・短大の教授,准教授,助教,講師,助手が含まれます。大学在学中にいわゆるTA,RAとして雇用されていた期間については通算契約期間に参入しないということも明記しています。既に,資料7-1の法改正の内容及び留意事項に関する通知を各大学等に発出いたしました。今後,各法律の趣旨を踏まえて適切に運用していただけるものと考えております。御報告は以上です。

【島田委員】  この通知について,文部科学省は経営側の視点で書くかもしれませんけれども,労働者の立場からいえば,この文章を読むと怒るのではないかと案じます。要するに,超えるのが必要であるという必要条件にされているからです。本来の法律は,労使が認めればそれより前の期間でも良いわけですから,このまま読むと,これ以下はできないという読み方がされてしまいます。経営側から出すとこういう形にせざるを得ない。労使の関係でもそうですけれども,その辺り,文章をいろいろ考えていただきたいという意見だけ述べておきます。以上であります。

【浅田高等教育企画課長】  資料7-1の通知の6ページの留意事項のところ,5番の上から4行目辺りですが,当該特例は,通算契約期間が10年に満たない場合に無期転換ができないこととするものではないことなどの留意事項を書かせていただいているところです。

【島田委員】  最後まで読めば分かりました。了解しました。

【安西分科会長】  ほかに御質問,御意見あるかと思いますけれども,文部科学省へ寄せていただければ幸いでございます。
 以上にさせていただければと思いますが,よろしいでしょうか。
 それでは,本日の議事はこれで終わらせていただきます。御多忙のところ,貴重な御意見を頂きまして,誠にありがとうございました。

―― 了 ――

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-- 登録:平成26年03月 --