平成25年1月18日(金曜日)16時~18時
文部科学省3階3F1特別会議室
(分科会長)安西祐一郎分科会長 (委員)浦野光人,金子元久,北城恪太郎,長尾ひろみ,菱沼典子の各委員 (臨時委員)有信睦弘,樫谷隆夫,勝悦子,河田悌一,川嶋太津夫,北山禎介,佐々木雄太,佐藤弘毅,佐藤東洋士,島田尚信,谷口功,中込三郎,中野正明,林勇二郎,吉田文の各臨時委員 (専門委員)黒田壽二,小林雅之,白井克彦の各専門委員
森口事務次官,合田生涯学習政策局長,板東高等教育局長,小松私学部長,田中総括審議官,德久政策評価審議官,浅田高等教育企画課長,池田大学振興課長,田中高等教育政策室長松坂大学改革推進室長,今井専門職大学院室長,白井大学振興課課長補佐 他
【佐々木委員】 2件について御報告をさせていただきます。いずれも先月末12月27日に開催した大学教育部会で審議をいたしました。
まず,アカデミック・カレンダーの柔軟化,授業期間に関する規定の弾力化については,結論を申しますと,部会としてはこれを是として,弾力化の方向に賛成したいという結論です。詳しいことは後ほど事務局から説明がありますが,御承知のとおり,設置基準第23条は,教育上特別の必要がある場合を除いて,原則として10週又は15週で授業を実施するという規定になっております。現在,本条に基づいて,多くの授業は週1コマ15週にわたる講義として行われているわけです。
8月末の中教審の答申にお示ししましたように,今後,一方方向の知識伝達型,知識注入型の教育から,様々なアクティブラーニングを取り入れた,学生と教員の双方向的な意思疎通を行う授業が増えてくる可能性があります。あるいは,そういう新しい方法を通して学生の主体的な学びを重視する授業へ転換していくことが求められているわけであります。こうした観点から,授業期間がより弾力的に設定できるようになることによって,授業内容についても様々な工夫を施す余地が出てくるのではないか,より多様な授業の提供が期待されるのではないかと考えまして,設置基準の改正(案)につきまして,部会として審議の上,これを了といたしました。
次に,省庁系大学校の単位認定と編入学の問題についてであります。前回この分科会において,まず,省庁系大学校など大学以外の教育機関における学修の単位認定については,基本的に拡充していく方向で大学教育部会で具体的な検討を行うようにというお話がありました。一方,この単位認定と重ねて提起されておりました大学以外の教育機関から大学への編入学については,これは多様な学校種間の接続という高等教育の体系全体に関わる事項であることから,引き続き大学分科会において検討を行うのが望ましいのではないかと,こういう決定をいただきました。
これを受けて大学教育部会は,12月27日に職業能力開発大学校及び短期大学校における学修の単位認定に関して審議を行いました。その結果,職業能力開発大学校における学修を大学の単位として認めるという方向に沿って,第一に,大学生が職業能力開発大学校等の授業を受けた場合に,これを大学の単位として認めること,これは大学生の教育機会の多様化につながるというメリットがある,第二に,職業能力開発大学校等の学生が大学に再入学をする場合,現状ではそれまでの学修成果は単位として認定されないわけですが,大学によって大学教育相当と認められる学修については既修得単位として認定することを可能とする,これもメリットであろう。こういう二つの観点から接続のメリットを認めて,単位認定を是とすることが適当であろうという結論に至った次第です。
【池田大学振興課長】 それでは,諮問について読み上げさせていただいた後,補足説明をさせていただきたいと思います。
資料1-1を御覧ください。
「次の事項について,理由を添えて諮問します。
大学設置基準及び短期大学設置基準の改正について
平成25年1月18日
文部科学大臣 下村博文
(理由)
大学及び短期大学における各授業科目の期間については,10週又は15週にわたる期間を原則としつつ,教育上特別の必要がある場合には,より短い特定の期間で行うことが認められているが,各大学及び短期大学における創意工夫により授業を編成し,学生の主体的な学びを促進するため,より多様な授業期間の設定を可能とする必要がある。
このため,別紙のとおり大学設置基準及び短期大学設置基準の改正を行う必要があるので,学校教育法第94条の規定に基づき標記の諮問を行うものである」。
具体的な改正内容は,次のページに要綱が示されておりますのと,資料1-2に示しておりますが,資料1-3にわかりやすくまとめておりますので,資料1-3に基づいて御説明させていただきます。
資料1-3につきましては,基本的には11月27日開催の大学分科会にお示しした資料とほぼ同じものです。資料1-3の5ページを御覧いただきたいと思います。「大学設置基準改正の方向性」というページです。先ほど佐々木部会長から御説明がありましたように,一番下の「参考」というところを御覧いただきますと,現在の大学設置基準23条におきましては各授業科目の授業期間について規定しておりますが,ここでは,大学の「各授業科目の授業は,10週又は15週にわたる期間を単位として行う」という原則を示しつつ,ただし書で,「教育上特別の必要があると認められる場合は,これらの期間より短い特定の期間において授業を行うことができる」と,こういう規定になっております。
しかしながら,この10週又は15週という原則に囚われて,従来,週1コマ15週というのがともすると画一的に捉えられていた嫌いがありますので,昨年8月に出していただいた答申などを踏まえて,今後,授業の在り方の多様化を推進するため,より弾力的な授業期間の設定を可能にする必要があるということです。
改正の趣旨の上の方の二つ目の丸を御覧いただきたいと思います。今,申し上げたように,中教審答申の内容等も踏まえまして,一方向の知識伝達型の授業から,教員,学生が双方向に意思疎通を行うことができるような,学生の主体的な学びを重視する授業への転換が必要ということです。
なお,注意していただきたいことは,この改正というのは授業期間の弾力化です。授業時間自体は1単位当たり15時間という,平成20年の中教審の答申で示していただいた単位についての考え方,これは維持いたしますが,授業の期間を弾力化するということです。
具体的な改正の方向性といたしましては,「具体的な方向性」というところに2行書いております。先ほど御説明したような,教育上特別な必要があると認められる場合というところを,「教育上必要」かつ「十分な教育効果」が認められる場合に弾力的な運用を認めるということと,もう一つは,今まではより短い期間しか明示的に示していなかったものを長い期間も含めて明示的に容認するという改正を行いたいと考えております。
もう1枚めくっていただきますと,これによりまして,では,具体的にどういう事例が可能になるかと申しますと,真ん中のブルーの部分を御覧いただきたいと思います。例えば8週間で1週当たり2コマ,週1時間の講義を週2回実施するというようなことも可能になります。一部の大学で構想されているような4学期制もこれで可能になると思います。
それから,1コマ当たりの授業時間,これを少し延ばすことによって,全体の15週を短縮するということも可能になると思います。この場合でも合計の授業時数は維持していただくことになりますが,授業の期間というのは15週よりも短くすることもできるかと思います。
三つ目の例としては,様々な授業形態を組み合わせるということも可能になるかと考えております。例えば13週間で講義を週1回行いながら,特定の日にフィールドワークを行うといったような組み合わせとか,あるいはサービス・ラーニングと講義を組み合わせていただいて,授業期間としては例えば11週ぐらいで行うと,こういったことも可能になると考えております。
もう一つ,資料の7ページを御覧いただきたいと思います。とはいいながら,アカデミック・カレンダーだけでは,1単位当たりに必要な授業時数が適切に行われているかどうかというのをなかなか外形的に確認できない場合もある,質保証の面で懸念も生じる可能性があるということから,この省令改正を行う際には,各大学等に対して以下の趣旨を徹底したいと考えております。
具体的には,繰り返しになりますが,授業期間の原則は10週又は15週であるということと,1単位当たりの学修に対する考え方を変えるものではありませんので,講義の場合は15時間以上確保する,これはお願いしたいと考えております。それから,授業期間の弾力化が認められる場合は,教育上合理的な必要性があり,かつ,原則どおりの授業を行った場合と同等以上の教育効果が確保されているという,こういった趣旨を通知で明確に各大学にお伝えするとともに,認証評価機関にも伝えたいと考えております。
続きまして,職業能力開発大学校などの学修単位の認定です。一番後ろの参考資料2を御覧いただきたいと思います。
参考資料2の1枚目に,大学教育部会での議論の状況をまとめております。大学教育部会におきましては,大学分科会における議論を踏まえまして,職業能力開発大学校・短期大学校における学修の単位認定について検討を行っていただきまして,ここでの学修を単位認定の対象とすることが適当ということで結論をいただいております。
その際出た主な考え方あるいは御意見について,幾つかまとめております。まず一つ目として,先ほど佐々木部会長からもお話がありましたとおり,単位認定を認めることの意義ですが,二つあるということです。丸1のところで,大学生にとっては多様な学修機会の確保につながるということがあるということと,丸2として,職業能力開発大学校の学生にとっては,仮に進路変更して大学に再入学したような場合には,それまでの学修が既修得単位として認められるということで異なる学校間の接続が円滑になる。したがって,両方にメリットがあるということが意義だということです。
それから,二つ目の丸として,職業能力開発大学校等はそれぞれの設置の根拠法があって,設置目的があるわけでして,学校教育法に基づいて設置されている大学とは設置目的から異なる制度であるということです。このため,これらの学修について大学相当の学修として認められる場合があるとしても,単位認定についてのガイドライン,留意事項,これをきちんと整備するなど大学教育の質が十分に担保されるよう配慮すべきであるということです。
三つ目以降は,大学以外の教育機関との接続とか,他のそれぞれの設置目的を持つ大学校との整理とか,アカデミックな流れと職業教育の流れとの整合性の考え方,こういった御意見が出ておりますので,これらについては,先ほど佐々木部会長から御説明がありましたように,今後,大学分科会で議論をしていただければと考えております。
【谷口委員】 文言の確認です。職業能力開発大学校の話ですが,「大学に再入学した場合」という言葉が先ほどありましたが,これの意味を明確にしたいというか,理解をしたいのですが,再入学というのは,前に入っていて,職業能力開発大学校大に行ってまた戻ったという,そういうことではないのでしょうか。
【池田大学振興課長】 職業能力開発大学校の学生がやめられて,大学に改めて入学した場合ということです。
【谷口委員】 では,職業能力開発大学校が1回あって,それで,大学が2回目という意味の「再」ということをいうのでしょうか。
【池田大学振興課長】 そうです。改めて入学をした場合です。
【佐藤(弘)委員】 一つ確認ですが,職業能力開発大学校のことについて御説明いただいたわけですが,この際,他の省庁系の大学校等についても同時に告示などで認めていくというスタンスだったのでしょうか。最初の議論を失念しておりますので。
【池田大学振興課長】 11月27日の大学分科会で御説明させていただきましたが,全体を実は,先ほど参考資料2の1枚目のみを御説明いたしましたが,2枚目以降は12月の大学教育部会で配付した資料をつけております。その25ページを御覧いただきたいと存じます。25ページには,現状の大学校について整理をしております。これまで防衛大学校等は既に大学評価・学位授与機構による課程認定を受けておりますので,これらとは別に,今回具体的に議論いただきましたのは,真ん中あたりの黄色い部分で職業能力開発大学校と短期大学校です。これについての単位認定について御議論いただきましたが,先ほど少し申し上げましたが,それら以外の大学校の在り方については,今後大学分科会で御議論いただければと思います。
その際,今御質問のありました既に課程認定されているところについて,単位認定は現在,バツがついておりますように認められておりませんので,この在り方も具体的に議論いただくことになるということです。
【小林委員】 質問ですが,今の25ページのところに関して,課程認定は行われているところ,行われていないところがあるわけですが,質の保証といった場合に,特に職業能力開発大学校の場合に質の保証を十分行うことと今,言われているわけですが,実際どのように行うと考えられているのでしょうか。例えば認証評価機関の評価とか,そういうものは受けていないわけでしょうか。
【池田大学振興課長】 御指摘の点ですが,確かに課程認定という制度の中では認証評価という制度はないのですが,ただ,大学評価・学位授与機構で,基本的に5年ごとに学校教育法とか,あるいは大学設置基準の相当性を確認しておりまして,実質的に認証評価に相当する,あるいはそれ以上にきちんとしたレビューが行われていると考えています。
【小林委員】 そうすると,今のところは課程認定に職業能力開発大学校は入っていないわけですか。それを受けると考えているということですか。
【池田大学振興課長】 課程認定を受けている大学については,職業能力開発大学校につきましては今回,単位認定のお話ということでして,前回大学分科会の中でも,単位認定については基本的には各大学が認めていくものですので,一定の質的な担保があるものについては幅広く認めていこうということです。確かに課程認定は受けておりませんが,前回の大学教育部会の中で,職業能力開発大学校の教育課程とか,あるいは大学設置基準等と比べて,例えば教員組織とか修業年限,授業時間等どういったものになっているのかということを御比較いただきまして,一定の相当性があるだろう,一定の質的担保があるだろうということで御結論をいただいたところです。
【安西分科会長】 それでは,設置基準の改正ですので,議決のプロセスに入らせていただきますが,よろしいでしょうか。先ほどの単位認定の件につきましては,大学教育の質の確保ということは,御意見もありましたが,大事なことですので,文部科学省におかれましては,きちんとお願いできればと思います。
それでは,中教審の運営規則第3条第2項の規定によりまして,大学設置基準と短期大学設置基準の改正に関わる事項につきましては,大学分科会の議決をもって審議会の議決とするということになっております。
それでは,ここで大学設置基準及び短期大学設置基準の改正(案)について議決を行いたいと思います。よろしいでしょうか。
それではまず,定足数を満たしているかどうか確認させていただきます。
【田中高等教育政策室長】 大学分科会の委員及び臨時委員の数は28人であり,現在21人出席いただいておりますので,中央教育審議会令に基づく過半数を満たしております。
【安西分科会長】 それでは,定足数は満たしているということですので,先ほどの文部科学省から説明のありました改正(案)の内容について,御了解をいただいたということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【安西分科会長】 それでは,今回の諮問につきましては,これを適当と認めまして,文部科学大臣に対して答申をさせていただくということにいたします。
また,こちらの設置基準の改正につきましても,趣旨が関係者に十分伝わりますように,これも文部科学省においてよろしくお願いいたします。
【有信委員】 大学院部会において博士論文の公表に関わる規定の在り方について審議を重ねてまいりましたので,報告させていただきます。
現在,学位規則という省令において,博士の学位の質を保証するために,教育研究の成果としての博士論文を各大学が相互に参照できるということで,博士論文の公表が規定されています。公表の方法については,制度創設の昭和28年以来,印刷公表によると規定されてきておりますが,情報化の進んだ現下の状況に合わせ,電子化とオープンアクセスの推進の観点から,インターネットの利用による公表を原則とする改正を行うべきであると,こういう観点で議論を進めてまいりました。
博士論文は,各大学の教育研究の成果であり,専門分野の最新動向を反映するものとして利用ニーズの高い状況があることから,この改正により,各大学における教育の説明責任が果たされるとともに,オープンアクセス化を通じ,学術研究が一層進展することを期待しています。具体的な内容は資料2-2にまとめてありますので,よろしくお願いします。
【松坂大学改革推進室長】 お手元の資料2-1及び2-2で御説明をいたします。
まず資料2-1ですが,諮問文の読み上げをさせていただき,その後,補足の説明をいたします。資料2-1を御覧ください。
「次の事項について,理由を添えて諮問します。
学位規則の改正について
平成25年1月18日
文部科学大臣 下村博文
(理由)
博士の学位を授与された者は博士論文を印刷公表することとされているところ,教育研究成果の電子化及びオープンアクセスの推進の観点から,印刷公表に代えて,インターネットの利用により公表する必要がある。あわせて,博士論文要旨等の公表についても,インターネットの利用による公表とする必要がある。
このため,別紙のとおり学位規則の改正を行う必要があるので,学校教育法第104条第5項の規定に基づき標記の諮問を行うものである」。
2枚目は改正の要綱ですが,具体的な内容は資料2-2で御説明したいと思います。資料2-2を御覧ください。
まず改正の趣旨ですが,ただいま有信部会長から御説明いただきましたように,従来印刷公表するとされていた博士の論文について,教育研究成果の電子化,またオープンアクセスの推進の観点から,印刷公表に代えて,インターネットを利用し公表するというものです。また,大学等の学位授与機関には印刷の論文の要旨を公表するということが規定されておりますが,これにつきましてもインターネットを利用した公表とするというものの改正を行うものです。
改正の概要につきましては,今申し上げましたように,第8条関係として大学や大学評価・学位授与機構が行う論文要旨の公表,第9条関係として論文の本文の公表です。
施行期日といたしましては,平成25年4月1日からと考えております。
2枚目は,参考1ですが,現在の学位規則の関係条文です。
3枚目の参考2ですが,今回改正に当たって幾つか論点になったものを挙げております。まず1ですが,インターネットの利用といいましても,個人が自分のホームページに掲載するというような形式であると将来にわたって公表が維持されるかどうかが疑問であるということもありますので,インターネットの利用による公表につきましては,大学等の機関リポジトリを利用するということで長く公表が担保されるようにするということを規定するものです。
それから,博士論文の全文に代えて内容を要約したものを公表するということ,これは現在も規定があるものでありますが,例えばインターネットの公表により明らかな不利益が生ずる場合,また,インターネットの利用による公表が不可能な内容を含む場合,これらの場合にはやむを得ない事由として,大学等の承認により,論文の要旨の公開ということで代えることができるとしたいと考えております。
3点目といたしましては,現在,一般に行われております国立国会図書館への博士論文の送付につきましても,印刷物ではなく,原則として電子データを送付するという形で公表を担保したいと思っております。
4枚目の参考3ですが,改正後の公表の概念図を示しております。左側が原則でして,一番下のところまで矢印で向かっていただいて,インターネットの利用による公表・論文の全文と書いております。従来これは印刷公表でしたものをインターネットの利用による公表に代えるというものです。
先ほど御説明したやむを得ない事由ですが,不利益が発生する場合,全文公表が不可能な場合の例示として,このようなものを考えております。今回パブリックコメントをさせていただきましたところ,人文・社会科学系の方々から,出版を考えていて,研究評価の業績評価に当たっても出版物が評価の対象となっており,そういう場合には,全文公表されてしまうと出版ができなくなる,そういう懸念があるという御指摘もありました。そういう場合には,不利益が発生する場合としてやむを得ない事由として,当分の間,インターネットの利用による公表につきましては,全文ではなく要約とすることができるようにしたいと思っております。
また同様に,理系の研究者からも,特許の出願とか,掲載のジャーナルが二重投稿を禁止しているものであるとか,秘匿情報が入っている場合が医学系などあるではないか,そういうような御指摘がありましたので,それらにつきましては,大学等の承認により,やむを得ない事由として要約の公表とさせていただきたいと思っております。
【黒田委員】 今回の改正は,大変時宜を得たことだろうと思うのですが,ここで書かれています,印刷公表に代えてということ,この「代えて」ということは,やむを得ない事情以外は印刷公表はもう廃止するということに理解してよろしいのでしょうか。
【松坂大学改革推進室長】 学位規則で求める公表の形式としてはインターネットを原則としたいと考えております。もちろん印刷物として公表することを禁止するものではありませんので,インターネットの公表をしつつ印刷をすることも可能ですし,先ほど申し上げましたように,不利益が発生する場合には,当分,印刷物として公表し,しかるべきタイミングでインターネットにするということも可能と考えております。
【佐藤(東)委員】 今のことで確認ですが,インターネットにしなければならないわけではない,という意味ですか。つまり,デジタル化をしなくても,当分の間はまだ印刷したものでもよいという意味でしょうか。
【松坂大学改革推進室長】 失礼いたしました。原則としてはインターネットです。まず論文執筆者が大学等に承認を求め,印刷をするというような予定があるとか,先ほどの特許出願があるとか,そういうようなことでやむを得ない事由であるというふうに大学が承認した場合には,それをまずしていただくということです。
【佐藤(東)委員】 基本的にはデジタル化ということでよいでしょうか。
【松坂大学改革推進室長】 はい。
【佐藤(東)委員】 それから,やむを得ない事由というのは,いろいろな場合があると思いますが,要約の公表のみでよろしいのはどの程度の期間を想定されていますか。極端な話,永久でもよいということになってしまわないでしょうか。いろいろな理由があって全部公表するというわけにいかないものがあると思いますが,その期間というのは,長期,短期,様々なケースがあり得ると思います。それは大学が認めれば,限度はないのですか。
【松坂大学改革推進室長】 期間については,大学等において承認をしていただくということが前提ですので,一定の期間,例えば特許等であれば,公開されたとすれば数年間で公表していただくということが大学の承認の期間として妥当なのではないかとは考えております。
【佐藤(東)委員】 大学が判断をすればよろしいということでしょうか。
【松坂大学改革推進室長】 はい,そのように考えております。
【佐藤(東)委員】 個々の理由により期間は,例えば3年以内とか2年とか,いろいろな場合があるということは認める,ということでしょうか。
【松坂大学改革推進室長】 そのように考えております。
【有信委員】 補足ですが,この点に関しては大学院部会でもかなり議論がありました。したがって,今,ある意味ではパブリックコメントに過剰に反応しているところもあるのですが,やむを得ない条件がなくなった時点においては原則に戻るということであります。例えば特許等であれば,要するに,優先権の期間が過ぎればということになります。ですが,これははっきり言って大学側の極めて自然な良識でやれることでありますので,そこまであまり細かくは規定しないと,部会では理解しております。
【佐藤(東)委員】 原則として大学の良心というか,通常の常識的なものは当然あるわけですから,それに従うということだと思います。
【安西分科会長】 それでは,この学位規則の改正も議決事項ですので,議決のプロセスに入らせていただきたいと思います。学位規則の改正に関わる事項は,大学分科会の議決をもって審議会の議決とするということとされております。
それでは,お諮りさせていただきます。ただいま,文部科学省から説明のありました改正(案)の内容につきまして,御了解をいただいたということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【安西分科会長】 ありがとうございました。それでは,この諮問につきましては,これを適当と認めまして,文部科学大臣に対して答申をさせていただくことにいたします。
制度見直しがされるということですので,関係者への御周知はよろしくお願いいたします。
【今井専門職大学院室長】 資料3に基づきまして,法科大学院特別委員会の審議状況等について御説明させていただきたいと存じます。
法科大学院につきましては,現在,志願者の減少が続いておりまして,司法試験の合格状況なども依然厳しい状況です。こういった現状を踏まえながら,法科大学院特別委員会におきましては,今期,特にこれまでの取組を1.の四つに分けて議論をして,検討してまいったところです。
まず1.の(1)ですが,昨年の7月に「法科大学院教育の更なる充実に向けた改善方策について」提言をさせていただいております。主な提言内容は,ここにありますように四つの観点です。このうち,二つ目にありますように,課題を抱える法科大学院を中心とした入学定員の適正化,教育体制の見直し等の取組を加速させるため,あわせて同時期に,(2)ですが,法科大学院の組織見直し促進に資する公的支援の更なる見直しに向けての提言をいただいているところです。
この提言は現在,文部科学省において公的支援の見直しという仕組みを運用させていただいておりますが,その仕組みを更に充実させるため,新たに入学定員の充足率といった指標を加えながら,現行の仕組みの見直しを改善していくべきだろうという提言をいただいております。この提言に基づきまして,文部科学省におきましては,昨年9月に公的支援の更なる見直しを発表させていただいたところです。
また,(3),(4)は,現在,法科大学院特別委員会に設置されている二つのワーキング・グループにおける活動状況です。まず(3)につきましては,課題を抱える法科大学院に対しまして,その改善状況等の調査を行い,実施をしているところです。特別委員会の下に設置をされました改善状況調査ワーキング・グループにおきましては,司法試験の結果,また,入学者選抜の結果を踏まえまして,おおよそ半年に1回のペースで各法科大学院の教育の改善に向けた取組状況を調査させていただき,その結果を公表させていただいているところです。2日前にも第7回目の調査結果についての公表をさせていただいたところです。なお,今期はそういった意味では計4回の調査を行わせていただいたところです。
また,(4)につきましては,先ほどの(1),昨年7月の提言の3.にあります,法学未修者教育の充実について,更に深く検討していくという観点から,昨年9月に法学未修者教育の充実に関するワーキング・グループが設置され,昨年11月ですが,ワーキング・グループとして調査検討結果の報告をまとめたところです。なお,その調査検討結果の報告に基づきまして,現在,特別委員会におきまして検討が進められているところです。
なお,そのワーキング・グループの報告といたしましては,現状,それから課題を分析した上で,方向性としては二つの方向性で,更に具体的な方策を検討していくべきだろうということです。一つは,この中にありますように,システム改革に向けた検討といたしまして,例えば法科大学院全体を通じた厳格な到達度判定の仕組みを検討していくべきではないかといったことを含めた3点の観点からのシステム改革。また,2.にありますように,入学前から修了後まで一貫した充実方策,特に運用上の取組を中心として取り組むべき課題について提言をいただいたところです。こういったものを踏まえまして,更に特別委員会におきまして検討が深められていくという段階にあるという状況です。
こういった取組を踏まえまして,今後の審議の基本的な方向性についても御審議をいただいております。2.のところにありますように,大きくは三つの観点から今後審議をしていくべきではないかということで議論がなされております。一つ目は,現在,政府に置かれております法曹養成制度検討会議の審議がされておりますが,この動向を見きわめつつ,改革に関する提言がなされた場合には,その提言を踏まえて,中央教育審議会として,法科大学院の更なる改革について検討していく必要があろうということが確認されております。
なお,この法曹養成制度検討会議につきましては,参考にもありますが,その審議が現在進捗をしております。その点につきまして,補足の資料で少し御説明をさせていただけたらと存じます。ページ数は10ページをおめくりいただけたらと存じます。資料3の10ページにありますように,現在,政府には法曹養成制度の検討をするための会議体が置かれております。一つは法曹養成制度関係閣僚会議です。この閣僚会議は,議長に内閣官房長官が任を任せられておりまして,副議長に文部科学大臣と法務大臣が入っているところです。この閣僚会議の下に,現在,法曹養成制度検討会議が設置されて,審議が進められているところです。その構成員につきましては,11ページにあるメンバーの方々で現在検討が進められているところです。
なお,その検討会議における検討の状況ですが,1枚おめくりいただきまして,12ページを御覧いただけたらと存じます。これまでの検討といたしましては,昨年8月来昨年12月までの間にまず第6回まで議論が行われてきたところです。このうち,第3回の法曹養成制度全体の総論を踏まえた上で,第4回と第5回,昨年の11月と12月に,それぞれ法科大学院について個別論点として議論が行われたところです。
内容といたしましては,13ページにありますように,私ども文部科学省より法科大学院の改革の推進状況について御報告をし,今後の方向性,検討課題に対しての改善の方向性について御説明をさせていただいたところです。
ただ,検討会議の中ではどのような議論が行われたかと申しますと,14ページ,15ページを御覧いただけたらと存じます。第4回の法曹養成制度検討会議の場におきましては,これまでの文部科学省の特に組織見直しの促進のための方策については,一定の評価をすることはできるが,例えば組織見直しを促進するための方策についての四つ目の丸あたりに記載がありますが,結果がなかなか出ていない法科大学院が一定程度存在するとすれば,やはり更に踏み込んだ対応が必要ではないか。また,現在の危機的な状況の中では,やはりスピード感覚という意味では現在のような取組では遅いのではないか。また,そういった厳しい状況の中,その内容が問われている法科大学院に対して信頼を取り戻すためには今までのような取組だけでいいのかという御指摘。そういった中で,四つ目の丸にありますように,法令上の措置に基づいて,例えば速やかに統廃合を実施するようなことが必要なのではないかといった,かなり様々な議論,また厳しい御議論をいただいているところです。
一方,第5回につきましては,15ページにありますように,特に法学未修者の教育の充実方策について,先ほど御報告をさせていただいたワーキング・グループの取組状況,検討状況を御報告しましたところ,検討会議の総論といたしましては,一つ目の丸にありますように,法学未修者教育の充実の方向性としては,こういった方向,特に中教審のこのワーキング・グループの方向性を更に深めていただく必要があるのではないかということでおおむね賛成をいただいているところです。それぞれ個別には,以下にありますような観点についていろいろ御指摘をいただいておりますが,検討の方向性としてはお認めいただけるような状況になっているようなところです。
なお,この検討会議につきましてはまだ第6回でして,いよいよ来週以降,この3月に向けて具体的な改革に向けた議論が更に進められるという状況にあるところです。中央教育審議会法科大学院特別委員会といたしましても,このような政府全体の議論も踏まえながら,今後も更に議論していく必要があろうということが確認されたというところです。
なお,それ以外には,二つのワーキング・グループについての扱い,また,三つ目にありますように,昨年7月に出た提言の積み残しの案件なども審議していくとともに,さらに,例えばグローバル展開をしている我が国の企業を支えるような法的素養を持つ人材の育成などを含めて更に検討すべき点があるのではないかということが確認され,第7期以降も是非積極的な審議をしていく必要があろうということが確認されたところです。
【白井委員】 特別委員会で議論されているし,それから,そういう制度を議論する検討会議ができているから,そういう専門の方にお任せすればいいことかもしれないのです。ただ,全体のこれまでの審議というか,いろいろな経緯を我々横から見ていて,どこに着地させるのかということはなかなか言えないということはよくわかるのですが,実際法科大学院に入学する学生たちの観点からいうと,やはりある程度着地点を明示しなければいけないのではないかと思う。
いろいろな状況は非常にはっきりしているわけです。法科大学院の教育内容をどのようにするかとか,そういう議論はもちろんそれでじっくりおやりになっていいのですが,根本的にみんな困っているわけですから,そうすると,どのようにして着地させるのかという方向性を出してもらわないといけないと思います。これはある意味,国がやる責任ではないかという気がしますが,そういった印象を持っております。
【板東高等教育局長】 今御指摘の点は確かにそのとおりだと思っておりますが,文部科学省の中だけではなかなかできない部分もあります。特に司法試験の合格者数をどう考えていくのかといったようなところをはじめといたしまして,これからの法曹の活躍分野をどう考えていくかとか,そういったことと法科大学院の在り方というのは非常に関わってくるところがあります。
それについては,先ほど御説明をさせていただきました,政府全体として,今,法曹養成制度の改革の方向について検討している仕組みがありますので,その中で年度内にもいろいろな論点について議論が一応終わって,何らかの論点の取りまとめをされるということになっておりますので,そういう中では御指摘の点についても今まで以上に少し踏み込んだものが出されるのではないかと思っているところです。
【安西分科会長】 先ほどありましたように,この案件はこれからも議論が続いていくと思いますが,司法制度改革の理念が国として打ち出されながら,それが本当に実現していく方向に向かっているのかということは改めて問われなければいけないのではないかと思いますし,その中で法曹人材の養成がいかにあるべきかということについて,詰めた議論を是非していただきたいと思います。特に法曹養成の中核的機関としての法科大学院の求められる役割が司法制度改革の理念の下でどういう位置付けになっていくのかということはとても大事なことで,法科大学院教育の充実に向けて改善方策等の検討は是非進めていただければと思います。
【浅田高等教育企画課長】 前回の大学分科会で平成25年度開設予定の大学等の設置認可に関する経緯,それから,大学の設置認可の在り方の見直しに関する検討会の設置及び第1回の会議の開催まで御報告させていただいたところです。したがって,今回はその後の状況を中心に御報告させていただきます。
資料4の1ページ目にありますとおり,検討会は田中前大臣の下で11月20日付で設置されました。2ページに委員の名簿がありますが,本分科会の浦野委員に座長をお願いしております。ほかに,佐藤東洋士委員と黒田委員と北山委員にも検討会のメンバーに入っていただいているところです。
主な論点は,3ページのとおりです。
これまでに,11月21日に第1回,12月6日に第2回,12月21日に第3回,3回開催しております。来週1月21日に下村新大臣の下で第4回を開催する予定です。
私どもとしましては,一連の問題をめぐって大学設置認可に対する注目が高まったとともに,現状や制度に対する種々の誤解も顕在化したと受けとめています。したがって,この検討会での資料や議論を通じて,より多くの方々に正しい理解をしていただけるようにと努めているところです。
そのために,これまでの3回の検討会において,現行制度,あるいは平成15年の規制改革,近年の申請・認可状況,近年新たに開設された学部等の分野,大学・短大数の推移,都道府県別の進学率,進学率の国際比較,25歳以上の入学者の割合の国際比較,あるいは平成19年,20年の大学設置・学校法人審議会の会長等の設置認可申請の在り方についてコメントとか,かつて審査期間が今より長く1年8か月であった平成4年から6年度までのスケジュールと現在とを対比した資料とか,あるいは,現行の審査基準の中で,例えば専任教員についての規定のように運用上より明確化した方がいいのではないかと考えられる規定の例,それから,設置認可だけではなくて,その後の質保証の仕組みなどについての資料も提供しながら議論をしていただいたところであります。
前回までの主な意見は資料の4ページ以降に整理しておりますが,これまで3回の会議を通じまして,現状を踏まえながら,幅広い視点からバランスのとれた御議論をいただいていると感じております。設置認可に関する審査基準,審査体制,審査プロセス,スケジュールの在り方といった主な論点についての議論はかなり深まってきていると受けとめております。
主な御意見は資料のとおりでありますが,例えば設置段階での事前審査の必要性を確認する一方で,新しい個性的な大学や,小さくてもいい教育をしている大学も認めていくべきである。あるいは,規制強化ではなくて,運用の改善を図るべき点も多くあるのではないか。また,地域のニーズを審査の視点に入れてはどうか。大学新設の場合には,かつて構想審査という手順もありましたが,そういった手順を入れるべきではないか。もう少し審査期間に余裕があった方がいいのではないか。設置認可だけではなくて,設置後の評価なども含めたトータルシステムで質の保証を考えていくべきである。そういった御意見をいただいております。
今後,新大臣の下で来週開かれる第4回の議論も踏まえて,浦野座長の下で検討会として改善の方向性を取りまとめていただくことになるかと考えております。課題によっては,その後改めて中教審での検討をお願いすることもあり得ると思いますので,その際にはまたよろしくお願いしたいと思います。
【浦野委員】 今,課長がおっしゃったとおりですので,ほんの一言だけ申し上げます。この検討会は,決して入り口を狭めようという議論をしているわけではないのです。質保証の問題を大学分科会でずっとやっているわけですが,その質保証の全体の中の一環,それは入り口のところでの質保証であったり,あるいは大学経営が本当におかしくなったときに,そんなことにならないようにどうやっていくのかといったことが根幹にあります。決して入り口を狭めて大学の数を減らそうとかいうことをしているわけではないということだけは御理解いただければと思います。
【有信委員】 前にも少しお願いをしたと思うのですが,設置基準あるいは設置審の在り方を考えるときに,学位授与権という部分の考え方が実は現在,非常に曖昧になっています。例えば大学全体は,外形的に教員の数とか施設とか質とか,そういうことで判断をされるのでしょうが,そのときに,学位授与権の在り方をどのように考えるかという部分が実はあまり真剣に考えられていないために,例えば大学分科会でもさんざん議論してきました,学位プログラムを促進しようとすると,例えば異なった専攻科あるいは異なった学科の教員が集まって学位プログラムを形成したときに,その学位プログラムそのものには学位授与権がないと,現実にはこういう事態になっています。
それは何ゆえかというと,重要なことなのですが,個別の設置認可が実は学科とか専攻のレベルで行われていて,その結果,専攻に学位授与権があるような形になってしまっている。これはある意味では当然のことなのです。つまり,個々のディシプリン,学問上のディシプリンをつかさどるところが責任を持って学位を与えるということなのですが,ただ,このことが実は今の日本の研究の在り方,新しい分野の創成の仕方に大きな制約を持っています。つまり,新しいいわゆる学際分野とか新しい学問分野を形成しても,その分野で責任を持って学位を与えるという体制がとれない。あるいは,その分野で正当に研究成果を発表する場がないとか,様々な問題の一番の根本のところはどうもそこにあるような気がしています。
これは実は議論は非常に難しいとは思うのですが,最終的に学位授与権をどこに持たせるかというのは,基本的には大学が学位授与権を持つべきである。ただし,基本的な部分の判断に資するところはそれぞれの学問のディシプリンをつかさどるところがそれぞれの立場で参考に資するというようなことはあってもいいかもしれませんが,最終的には学位授与権は大学に帰属するということを明確に意識しながら設置認可に取り組むという形にしていかないと,やはり日本の新しい研究とか学問の創成に大きく影響が出てくると思いますので,是非今後の検討をよろしくお願いできればと思います。
【板東高等教育局長】 今の設置認可と申しますか,学位授与の主体になる部分の仕組みというのは実は形の問題と実質の問題があります。例えば新しい専攻,新しい課程をつくって,そこが学位の授与の根本になるわけでありますが,例えば専攻をつくるときに,学部とは違う形で専攻を構成していくとか,あるいはいろいろなそれぞれの部局から人を出してもらって新たな専攻を形成していくというようなことは,学際分野,新分野に関しては行われているということが,少なくともそれは促進されている部分はあろうかと思います。このように従来型の学部,大学院が一貫した形でのっかっているというだけではない,横断的なつながりの中で,新分野,横断分野,学際分野について,学位授与の大元になる組織がつくられていくということです。
ただ,今のお話のように,プログラム単位というよりは,むしろ組織といいますか,教員がどこに所属しているかというような,ある専攻に所属するとほかの専攻はいわば兼任という形になっていくというような,どこに専任として所属をするのか,どこが本拠地になるのかといったような仕分けが今の制度の下では必要になってくる部分があります。それは今,有信委員から御指摘のように,それがもっと多様な形で,縦横いろいろな組み合わせでできるようなプログラムの形が基本になっていくような制度の在り方も考えられるのではないかというのは,御指摘の点は確かにそうだろうと思います。
これらについては,どういう仕組みをつくっていったときに,特に大学院の場合にそういう課題もあろうかと思いますし,学部についても,むしろ学位プログラムを中心にしてきちんと審査をしていくというのがもともと学位プログラムの実質化というところでは必要なのではないかという御指摘もあろうかと思います。
これは実は10年ぐらい前の設置認可の見直しのときにも,プログラム単位で考えていったらどうか,学部とか研究科に着目するのではなくて,プログラム認可のような形で考えていくべきではないかということも当時実は議論されたわけでありますが,しかし,なかなか最終的に審査の形が非常に難しいということにもなり,そのときには,多少の弾力化という中で最終的には規制の改革の方向性が定まったというところがあります。
非常に難しい問題ではありますが,おっしゃるように,これが新しい分野を阻害するような形に設置認可が働いていかないような形で,柔軟な運用も含めまして,またいろいろお知恵をいただければありがたいと思います。何を捉えて認可をするかというのは,正直申しまして大変難しい課題があるかと思います。つまり,プログラム認可をしていったときの一番の課題のところは,常に変転をしていくというところで,そこのところをどう質の担保をしていくのかというところが,組織の場合ですと,人がこれだけ所属してという専任組織,部局で見ていくと比較的捉えやすいところが,プログラムに注目したときになかなかそこのところが捉えにくいという,同一性,質の担保の仕方が捉えにくいということが当時も議論としてはありました。
ただ,先ほどのお話のように,部局ではなくて,大学としてもっと捉えていったらどうかという御意見もあろうかと思います。今後の課題として,いろいろまた御指摘,御議論いただければありがたいと思います。
【有信委員】 今,非常に重要なことを言われたと思います。つまり,プログラムにしても,それを認可という枠組みに入れるのかということと,学位の責任をどこが持つのかという観点で設置認可の在り方を考える。つまり,やはり国が責任を持つという観点でいる部分が認可というところにつながっていくわけで,本当はそのあたりの責任の在り方を含めたより本質的な議論が実は必要な気がします。
例えばアメリカのバークレーのようなところであれば,実際にプログラムができるとそのプログラム単位で学位認定ができるという形になっていますので,基本的にはその学位プログラムが機能するという格好になっているのです。ですから,このあたりのところの学位授与の責任を,やはり今は多分,国が責任を持つという形で設置審が責任を持ってそれを判断しましょうということになっていると思いますが,そこの部分をどう今後考えていくかということだろうと思います。今,局長がおっしゃったように,非常に重要なポイントを含んでいますので,是非よろしくお願いします。
【樫谷委員】 審査プロセスとスケジュールの在り方に関連するのかもわかりませんが,ちょうど去年,田中大臣がおっしゃった,審査と並行して学校なども校舎を建てていくことについてです。校舎などができ上がった段階で認可書を出すわけです,これについて,認可してからやるべきではないかといった議論があったのですが,実際上,並行してやらないとなかなか難しい気がするのですが,そのあたりについてはどのような議論がされているのか,もしわかれば教えていただけたらと思います。
【浅田高等教育企画課長】 確かにおっしゃるような御意見も,田中前大臣だけではなくて,おっしゃる方もあります。ただ現実には,いわば認可されるかされないかわからないというオウンリスクの形で準備を進めていますし,今の仕組みの下では,申請者側のいろいろな負担とか,あるいは開設までの期間とか,いろいろな観点から今の仕組みになっていると思っています。
ただ,審査のプロセス,スケジュールについては,この検討会では,先ほども少し触れさせていただきましたが,かつて,今よりずっと長い期間のこともありました。それがいろいろな経緯を経て今のような形になっておりますが,やはり期間にもう少し余裕があった方がいいのではないか,あるいはもう少し時期的に前倒しといいますか,早い方がいいのではないか,そういった御意見もあります。そうなるとかなり大きな制度の見直しということになってきますので,更にいろいろな慎重な検討が必要な課題であるとは思っておりますが,そういったことも含めて検討会でのいろいろな御議論,御意見を整理した上で次につなげていきたいと思っております。
【北山委員】 私,この検討会に出たときにも申し上げたのですが,佐藤東洋士委員が大学設置・学校法人審議会会長をされているわけですが,その審議会においても既に,課題は何があるのかといったような点は全て網羅されているというか,出ているわけです。
そういったアフターケアの点,それから,既にある大学の質保証につながるいろいろなアフターフォローの問題についてもいろいろ課題があって,そういうものがまとめられて文部科学省が去年の6月に大学改革実行プランを出しており,その他のいろいろな事項も全部含めて,先ほどの検討会でも委員からいろいろ意見が出ておりますが,その中のほとんどが,やはり大学改革実行プランの一番左側にある現状の問題点とか課題とかに,ほとんど挙がっているわけです。この問題に関しても,今,手元にありますが,大学の質保証の徹底推進のところの一部として出ておるわけです。
したがって,そういった課題というのを既に認識しておられて,今年度平成24年度から実行に移されておられるわけなので,そのタイムスケジュールに沿って,もう少しスピードを上げる必要があると思います。24年度ももう終わってしまいますので,それを着実に早く実行していくことが必要だと思っておりますので,そのあたりは一緒になってやっていきたいと思っております。
【佐藤(東)委員】 今,北山委員がほとんど触れてくださったので,それでよいと思いますが,先ほどの,認可が決まる時期にもう建物の準備などが済んでいるのではないかという議論について,わからなくはありません。ただ,申請にこぎつけるまでに多分2年あるいは更に長い時間をそれぞれの学校は費やしていることからいえば,施設面の準備も進めながら申請をしてくるわけです。
今年見ただけでも,5件の申請があって,3件だけが認可となりました。一つは取り下げ,一つは不認可だったわけです。学部,大学院等の新設についても59件の申請があって,その中で16件は取り下げをしています。というのは,途中途中でもってチェックをしながら指導をしていきます。その間十分にそれに対応ができない場合は取り下げとなるわけです。そういう意味では,設置認可でもやはりそれぞれこのような形でよいのかというフラストレーションはあったわけですから,今回は非常にいい機会であったのではないかと感じています。
【黒田委員】 今,委員の方々がそれぞれ言われたとおりであります。要するに,この設置認可というのは,大学の設置を狭めていくという,そういうことは全く考えていない。それがいいという,世間の多くの方々は,18歳人口は減るのだからもう大学は減らしてはどうかという話があるのですが,そういうことは全く考えていない。かえって,国際的に見たら日本の大学の進学率は低いので,これをもっと高めていく必要があるということです。それに対応するような大学の在り方,多様化された大学をどう認めていくかということが問題だろうと私は思って,そういう発言をしてきたわけです。
大学自身が,先ほど佐藤東洋士委員が言われたように,申請業務が表面に出てくるまでの間の過程において,本当にどうかという打ち合わせをしながらやってきているわけです。それが2年ぐらいかかっている。その間に見通しが立たなければ取り下げるということになるわけですし,それでも強引に申請してくれば不認可という制度をとってきているわけですから,私,2年ぐらい先から準備をしている段階もある程度公表をしていくと,一般的には,これだけの期間をかけて審査しているということがわかるだろうと思います。あとの残りのほんのわずかな期間だけが公表されるものですから,こんな短い時間でどう審査をしているのかという話になるわけです。ですから,そのあたりのことも含めて,今後考えていただければと思います。
これから本当に多様な学生が多様な大学の中で育っていくという,その中で大学としての質保証をどう維持していくかということが問題なので,そのあたりのことを入り口から出口に至るまでのことを考えてシステムづくりをしていただくことが大事だろうと思っています。
【河田副分科会長】 私もかつて委員をさせていただいたので,個人として感想を申したいと思います。
一つは,私が委員をしていたときも,極めて特殊な学部名,それから,学士名がどんどん増えて,おそらく今,学部名で,昔の法学部や文学部や経済学部,医学部,工学部などという伝統的な学部名ではなく,いろいろな学部名称があり過ぎて,私学は特にそうですが,600を超えていると思うのです。それから,学士名も,とても英語に訳せないような,あるいは英語圏の人が読んでもわからないようなものがあり過ぎて,これは何とかなさらないと,国際的な通用性とか質の保証という前に,日本の大学の信用を失うのではないか,と考えます。これはやはり文部科学省が認可しておられる,つまり国でやっているわけですから,そこは規制と言っていいのかどうかわかりませんが,そういう歯止めが必要なのではないかということを感想として抱いております。
それから,田中前大臣の発言で大学の数が多過ぎるということで,某雑誌や新聞がアンケートをとって,多過ぎるという論陣を張っておられますが,これは佐藤弘毅委員がおっしゃるべきかと思いますが,短期大学との数でいいますと,1996(平成8)年に短期大学は598校,4年生大学は502校で計1,100校の私立大学がありました。それが現在では短大350校,4年生大学605校で,合計955校の大学数です。ですから,むしろ大学の総数は以前より減っているわけです。短期大学がどんどんなくなって,それが4年制になっている。だから,そういう事実を文部科学省はもう少しはっきりおっしゃった方がいいと思います。設置認可に要する時間ということでいうならば,新設とか改組については時間をかけてもいいと思いますが,短期大学が4年制に改組するときには,大学としての実績と基礎があるわけですから,もう少し時間を短くするとか,何かそういう工夫が必要ではないかと,感想ですが,以上のように考えております。
【池田大学振興課長】 資料5に基づいて御説明をさせていただきたいと思います。資料5は,これまでの大学分科会における議論等を簡単にまとめたものです。まず1ページ目,これは先ほど安西分科会長からお話がありました,昨年8月の答申における学位プログラムの構築に関する部分をまとめたものです。
上から簡単に御説明させていただきますと,学生が主体的に学ぶためには,初めに授業科目があるのではなく,まず学位授与の方針があって,その下に学生を育成するプログラムがあり,それぞれの授業科目が関連し合いながらそれを支えるという,こういう構造について答申をいただいております。
そのための具体的な方策としては,学長を中心といたしまして,副学長,学長補佐とか,学部長や専門的な支援スタッフがチームとして組織的に学位授与の方針の下で次のような取組をしていく必要があろうということで御提言をいただきました。
その具体的なプロセスとしては,1のところにありますが,学生に求められる能力を,プログラムとしての学士課程教育を通じていかに育成していくか,これを明確にする必要があろうということです。
2のところでは,そのプログラムの中で個々の授業がどの部分を担うのか,これをきちんと明確にした上で,教員間の議論を通じて,この認識を共有していただく必要があろうということです。
それから,次のステップとして,3で,それらの個々の授業科目がどう連携し,関係し合いながら組織的な教育を展開していく必要があるのかということです。
4といたしましては,そうしたプログラムを通じた共通の考え方,尺度にのっとった成果の評価をきちんとする必要がある。
5として,そうした評価の結果を踏まえたプログラムの改善・進化ということで,こうした一連の改革サイクルがきちんと機能するためには,全学的な教学マネジメントの確立が必要であるということを打ち出していただいたわけです。
この審議に資するために,学長,学部長へのアンケートを行いましたが,そのアンケート結果を見ましても,例えば科目の内容が各教員の裁量に依存しているということがあります。この結果,教員間の連携が十分とれていないということで,全体としてのプログラムが確立されていないといったことや,教育課程の編成が学科など細分化された組織を中心に行われているという,こういった課題が認識されておりまして,プログラムとしての学士課程教育というこの概念が未定着であろうということでした。
1枚めくっていただきまして,審議の中で大学分科会等でいただきました意見を大くくりで四つに分けてまとめております。まず一つは,全学的な取組の必要性という観点からです。これは例えば一番上の丸にありますように,大学という一つのガバナンス体制の下で学位プログラムをつくっていくことが必要ではないか。あるいは,現状としては個々の学部ごとのガバナンスに基づいているのではないかといった御意見。さらには,一つ飛びまして,教育を学部ごとの専権事項とするのではなくて,全学的に学長がリーダーシップを発揮できる仕組みの必要性がある。そのためには人事権や予算権といったリソースの面からも検討する必要があると,こういった意見をいただいております。
それから,二つ目のくくりとして,学位プログラムに基づいた授業の展開ということに関して申し上げますと,これは先ほどの御説明のとおりでして,個々の教員が行う授業はばらばらにプログラムを組むのではなくて,学位授与方針の下で,学位にふさわしいプログラムとするために各教員がどのように貢献するか,教員の意識改革が必要ではないかという御意見もありました。授業の内容に関して,各教員の専権事項となっていて,全体を通じたカリキュラム・ポリシーの中で考えられていないのではないか,教員同士の連携や同じ系列科目間の調整がもっと必要ではないか,こういった意見もありました。
三つ目のくくりですが,学位プログラムを実施するための組織体制の整備ということで,これは先ほどの議題のところでも御意見をいただきましたが,これについてもいろいろ御意見をいただいております。プログラムをコーディネートできるようなプログラム・オフィサーの必要性とか,教員の勤務時間管理や教育課程の管理等を行う,問題が生じないような体制を整備すべきではないか。あるいは,学長や,全学的な教育推進組織,教授会などの組織について,役割や権限をもっと明確化すべきではないか。学生が所属する学位プログラムと教員が所属する教員組織は分離すべきではないか。最後になりますが,学生がプログラムを選択するということになりますと,今度は学生の履修支援,これもしっかりと強化する必要があるのではないか。こういった御意見をいただいております。
その他としては,ここでは三つ挙げてあります。まず,学位プログラムについて,教員間の十分な共通理解を図ることが必要であるという御意見。あるいは,現行制度では学部のような組織を置くという前提ですので,法令面での検討も必要ではないかということです。あるいは,制度上は既に十分柔軟に対応できるようになっているのではないか,実態上の運用の問題ではないかといった御意見もありました。こういった御意見をこれまでいただいております。
その次は参考資料としてつけておりますが,3種類の資料をつけておりますので,概要だけ御紹介させていただきたいと思います。3ページは,参考1として,国公私立大学それぞれの,これは法人運営も含めたガバナンス構造を簡単に図解しております。このうち,米印のところが今いろいろ御意見をいただいたような教学マネジメントに関する部分ですが,具体的な説明は省略させていただきたいと思います。
少し飛びまして,7ページです。参考2として,国立大学におけるガバナンスの取組ということで,これは法人化前後の教授会あるいは評議会の役割に関する,前後のガバナンスの在り方がどう変わったかということを整理したものです。
それから,1ページめくっていただきまして,9ページで参考3とありますのは,平成10年の21世紀の大学像答申の中でガバナンスについていろいろ答申をいただいておりますので,その関係部分を整理しております。
【白井委員】 こういう学位プログラムとか全体の質保証の問題というのは長く議論されてきたし,それなりの進歩ももちろん見られるとは思うのです。ただ,こういうことを非常に突き詰めていっている結果というか,日本の大学の運営を考えたときに,やはり個々の大学はとにかく頑張っていただきたいと,それから,個々の大学の目的は,一人一人の人材を何とかしなければいけないと,ですから,一人一人をどのように見詰めて対処していくかというようなところは,非常に根本ではあるが,そこのところだけがものすごく強調されて議論されてきていると思います。
各大学がそれぞれにいろいろなミッションを持ってやっています。その中には社会性ということも,社会的観点というのも非常に強く言われているのですが,果たしてそういう方向に進んでいるかというと必ずしもそうではなくて,質保証を強く言えば言うほど,個々の学生と個々の大学の学科とか学部とかそういうところに話が行ってしまいます。論理的に組み立てれば,当然だと思います。
ですが,やはり大学の大きなミッションは必ずしもそういうところだけを言っているわけではなくて,社会的存在としての大学を我々これからどのように捉えるのか,それから,社会のコンポーネントとしてどんな大学が必要なのかということは,これからの非常に大きな問題であるし,もちろん世界の趨勢というのもありますが,でも,日本の社会をこれからどのようにつくっていくか,地域のつくり方とかそういうことも含めて,日本独特の考え方があっていいわけです。私は大学の在り方というのは,もちろん今の学位プログラムを根本的に議論すること自体は全然間違っていないと思うのですが,どうしても突き詰めていくと,そういう観点が少し忘れがちになるというか,コンポーネントになり過ぎるのではないかという気が,正直言ってしています。
先ほどの設置基準の問題でも,この議論の中に設置の過程もオープンにしていった方がいいのではないかといった議論もありますから,非常にいいと思って伺っていましたが,やはりどういう学校をつくろうとしているのかという情報も公開してもいいわけです。特に地方でつくるような場合には,その地方にこういう大学をつくることを今,設置申請しているということがどのようにその地域社会で受け入れられるかとか,そういうことは非常に重要な問題です。そういう受けとめ方をやはりもう少し捉えて大学というのを考えていかないと,日本社会の今後の構成の中で日本の高等教育がどう位置付くか,あまり機能しないのではないかということです。もう少し広い視野で議論することを期待したいと思います。
【北城委員】 今いただいた資料5の「学位プログラムを構築するための大学ガバナンスについて」という資料の例えば10ページを見ると,10ページの②のアンダーラインを引いているところですが,「学長や学部長(執行機関)と」と書かれていて,「重要事項については審議機関の意見を聞きつつ最終的には自らの判断と責任で運営を行うこととする。このように,機能分担と連携協力の関係の基本を明確化することが必要である」と書かれています。それからまた,(ア)の学部教授会のアンダーラインの引いてあるところで,「学部教授会の審議や了解を得なければならないといったような運用が行われている場合が見受けられる」ということで,学部教授会の審議というのは何かとか,あるいは学長とか学部長の権限は何かということについて,平成10年の大学審議会の答申の中に書かれています。
この大学のガバナンスは,学位プログラムを構築するためだけのガバナンスではなくて,大学の運営そのものをどう行うかという非常に重要な問題があります。第6期ではこの問題について十分議論する時間がなく結論が出ていません。この問題は,第7期で今後審議するということのようですが,大学の学位プログラムを構築するためだけのガバナンスではなくて,大学運営そのもののガバナンスをどうするかということについては,平成10年から問題提起されていて,今は平成25年です。もう15年もたってまだこの議論をしているということです。大学分科会でこの根本的な問題について議論する必要があるのではないかと私は思います。
【林委員】 今の議論は白井委員のような大きな話ではなくて,もう少し具体のことだと思います。ただ,そうはいいながら,8月28日の質的転換答申は,白井委員がおっしゃったように,個別の大学の努力による人材育成についてであり,必ずしも高等教育の全体を展望したものではない。省庁系の大学校の問題だとか,再入学や単位互換の問題は,高等教育全体,特に職業教育からアカデミアという幅のある役割の中での課題に立ち入っている。わが国の高等教育界は大学を中心に,短大,高専,高校の専攻科,専門学校等の多様な学校種をもって構成され,それぞれの使命と機能をもつことで高等教育の基盤を形成し,その基盤のもとで個々の存在がある。
8月27日の質的転換答申を受けて,750もの大学が主体的な学びと組織的な教育体制を整えることで束一的な効果を高めねばならないし,またそうすることが期待される。しかしそれは単なる足し算で終わってしまわないためにも,高等教育の全体を展望したビジョンがいる。そういう全体像の中でのデザインとして,高等教育の質を考え,トータルの分野がどうなのか, 50%の進学率をどう上げていくのか,それがグローバル展開したときにどう質保証がなされるのかを考える必要がある。設置基準の話も,設置認可の話も,浦野委員の話も最終的にはそこに帰ってきますので,これら全体のことを大学教育部会,大学分科会で議論しなければいけないのではと感じています。
それから,学位プログラムの話ですが,本来は教学のマネジメントであるべき大学の重点事項を,大学ガバナンスの問題に持ち込むこと自体に無理があると思う。言い換えれば,大学法人が寄って立つ学問の自由と大学の自治の原点がこれだと言えないではない。とは言え問題を放置しておく訳にはいかず,学位プログラムを含めた学士課程の改善に向けた取組が,大学としてのガバナンスの充実につながるといったような理解を広げることが大切と考えます。
【安西分科会長】 学位プログラムの構築に向けて大学ガバナンスというとかなり狭く捉えられるかとは思いますので,もっと広い課題だというのは,先ほど御意見がいろいろ出たとおりだと思います。
一方では,学位プログラムをきちんと構築していくことが一番難しいということも事実で,大学関係者はよく御存じのことだと思います。学部,学科だけではなくて,個々の教員の専管事項のようなところまであると思いますので,そこも考えて大学ガバナンスをどうすればいいのかということをきちんと議論ができればいろいろなことが開かれていくのではないかと思います。
なかなか難しい問題であることは事実ですが,それをこれから大学分科会が具体的に議論をしていきたいということだと思います。
【樫谷委員】 学位プログラムのガバナンス,なかなかここだけでは物事が進まないと思います。少なくともガバナンスだけではだめで,リーダーシップが大事なのです。使命を達成するために,リーダーシップを持ってやっているということです。それを正しい方向でやっているかどうかはガバナンスしていくということになっていくと思うのです。そうしないと,この学位プログラムは動かないのではないかと思うのです。やはりそこを使命から,白井委員がおっしゃるようにしっかり落としていかないと,そこばかり議論していてもだめなのですが,最終的には学位プログラムまでのことをやらなければいけないと思いますが,やはり整合性をしっかりとりながら議論していかないと,物事は進まないと私は思います。
【川嶋委員】 これまで何度も言われてきたことですが,特に学位プログラムに関しては,今のところ,大学が組織を中心に制度上整理されていることは繰り返し指摘されてきました。具体的には,大学設置基準だけではなくて,学校教育法でも,第85条には大学には学部を置くことを常例とする,97条で大学には大学院を置くことができると書いてあって,組織から入っているのですが,よくよく考えてみると,この発想は,明治時代の帝国大学についての定めにある,帝国大学には分科大学と大学院を置くという考え方から全く変わっていません。帝国大学が開設されて100年以上も経ち,これだけ大学を取り巻く環境が変わってきているのに,日本の大学制度そのものが全く変わっていないというところに根本的な課題があるのではないでしょうか。確かに大学を含めた教育機関というものは,なかなか変わらないというところもあると思うのですが,学校教育法も含めて,今の時代にそぐわない制度設計になっているのではないかと思います。
【中野委員】 この議論はおそらくずっともう何度も行われてきていることかと思うのですが,やはりこれらの学位プログラムもそうだし,あるいは学長のリーダーシップ,あるいは学内のいろいろな組織運営等も全てを集約する論点というのは,やはりどうしても学長の選考の仕方あるいは学部長の選考の仕方,最終的にはそこになってくるのではないかと思います。
そのことについては,何度もいろいろ言われているようですが,いつも各学校のいろいろなやり方に任されているということでありますので,大きな学校ではきっと,あるいは学校によっては,教員も事務職員も全部ひっくるめた構成員全ての選挙によって決めるということ,いわゆる企業等に例えれば,みんなでリーダーを決めようということです。
ここに理事会における教学ガバナンスへの踏込みということも言われているわけですから,当然,取締役会議の一番のトップは理事長ですから,理事会において学長の選考をしっかりと監視できるような仕組みもなければいけないでしょうし,学部長を決めるのに,学部の教員のみんなで決めた人をリーダーにして,学長と利益相反するような格好で学校の運営ができるというのはおかしいと思うのです。ですから,ここを何とかして正さないと,学校がたくさん増えていく中で,我が国はみんなで高等教育をやっていったらいいというような仕組みは結局のところ難しいのではないでしょうか。そこはやはりこの中央教育審議会が何らかの形でコメントしていかないといけないのではないかと思います。
【安西分科会長】 最後になって大変核心を突いた御意見がいろいろと出てこられまして,大変すばらしいと思いますし,これからに是非つなげていただければと思います。
それでは,審議はここまでにさせていただきます。ガバナンスの在り方,再々ですが,むしろ最も大事な問題だと思いますので,是非今後詰めた議論をお願いしたいと思います。
【田中高等教育政策室長】 資料番号9を御覧ください。これは,8月の大学教育の質的転換の答申以降の大学分科会の審議状況等について整理をしたものです。表にしておりまして,一番左の欄が審議事項,真ん中の欄が6期での審議状況,そして,右側の欄が7期で審議を予定している事項です。
まず審議事項の1,2,3につきましては,本日参考資料1でおつけしております,10月29日の本大学分科会で審議事項を整理していただいた3点を記載しております。まず,1の「求められる知識・技能の高度化に対応した進路選択・学修機会の充実」につきましては,教育機関相互における単位認定,編入学につきましては,6期におきまして,大学教育部会での審議も経まして,本日も審議いただきました省庁系大学校の単位認定について審議をいただいたところです。7期におきましては,引き続き,単位認定,編入学の拡大という観点から,高校専攻科,あるいは大学から短大,高専等への転学について審議を予定しているところです。
また,柔軟なアカデミック・カレンダーの設定につきましては,授業期間に関する規定の弾力化につきまして,大学教育部会の審議も経まして,本日,本分科会でも審議をいただいたところでして,本日の審議を踏まえまして大学設置基準の改正を行っていきたいと考えているところです。
また,2の「教学の質保証の充実」,3の「我が国の大学のグローバル化の推進」につきましては,質的答申の審議の過程で審議をいただいた部分もありますが,そういった6期での審議状況も踏まえながら,7期で本格的な審議を行いたいと考えているところです。
また,4,5は,こちらは8月の答申で審議が提言されているものですが,「学位プログラムを構築するための大学ガバナンスの在り方」につきましては,大学教育部会での審議,また,本日も行っていただきました大学分科会での審議も踏まえまして,7期において引き続き審議をしていきたいと考えているところです。
また,「短期大学士課程の在り方」につきましても,7期で審議を行っていただきたいと考えているところです。
また,「大学院教育の在り方」につきましては,博士論文研究基礎力審査の導入などの審議も6期前半でいただき,答申以降におきましては,本日御審議いただきました博士論文のインターネットの利用による公表のための学位規則の改正につきまして,大学院部会を中心に御審議いただいたところです。そして,7期におきましては,6期の大学院部会におきましても,社会人教育の充実などの意見をいただいているところでして,そういった6期の意見も踏まえながら,少子高齢化,人口減少を迎える社会における大学院教育の在り方について審議をいただきたいと考えているところです。
また,法科大学院教育の改善につきましては,本日も御説明させていただきましたとおり,6期におきましては,法学未修者教育の充実方策の検討や,法科大学院の教育の改善に向けた取組状況の調査を特別委員会を中心に行っていただいたところですが,7期におきましては,法曹養成制度検討会議などの法曹養成の在り方に関する制度全体の検討の動向を踏まえた法科大学院制度の改革に関する審議などを行っていただきたいと考えているところです。
【安西分科会長】 検討課題につきましては,これまでの議論の蓄積を踏まえて,次期の大学分科会で引き続き御審議をいただくということですので,どうぞよろしくお願いいたします。
【長尾委員】 審議継続の中に,教職免許の修士レベルの2年間の教育というのがありました。一般教免と普通教免。これについて,進捗状況と,継続されていくかをお聞かせください。
【田中高等教育政策室長】 本日,資料6で配らせていただいておりますように,答申を踏まえまして,教員の資質能力向上に関しましては協力者会議を設けて審議を行っているところです。その状況につきましては,前回会議で協力者会議の状況を説明させていただいたところですが,この協力者会議の審議が取りまとめられましたら,この大学分科会におきまして,教職大学院の教員組織,教員教育課程等の制度につきましては当然御審議をいただきたいと考えております。現在,まだ審議が取りまとまっている状況ではありませんので,本日は,資料6のように配布資料をもって途中状況について報告をさせていただいたということです。今後,協力者会議の検討がまとまりましたら,この大学分科会において審議を行っていただきたいと考えております。
【長尾委員】 第7期の審議に継続ということでよいでしょうか。
【安西分科会長】 第7期でもって継続的に審議をしていただくということでよろしいでしょうか。
【田中高等教育政策室長】 そのとおりです。
【川嶋委員】 資料9に直接関係するということではないのですが,1点だけお聞きします。6月に出た大学改革実行プランについて,その後の検討状況については,これまで大学分科会で御報告が全然ないようですので,本日が第6期大学分科会の最後の開催ということで検討の状況をお聞きしたいと思います。加えて,特に国立大学関係者にとっては,138億円の国立大学改革に係る経費がどうなっているのかということは大いに関心がありますので,それを含めて少しお聞きしたいと思います。
【板東高等教育局長】 大学改革実行プランは,とにかく実行していこうというものですので,もちろん検討しなければいけない事項と,それから,現実にいろいろな予算その他の仕組みを使って動かしていく事柄がたくさん含まれております。それぞれ今,予定どおり進捗中ということです。例えば国立大学の改革を進めていこうということで,今,ミッションの再定義ということを,三つの分野を先行させながら,大学とのディスカッションを始めております。年度内に,教員養成,工学,医学の先行3分野については大学と文部科学省との共同作業のところを取りまとめしていこうというような動きをしております。
それから,幾つか検討を求められている中には,例えば制度の弾力化に関わることとかそういうものにつきましては,本日御議論いただいたのもその中に一つ含まれている事柄ですが,逐次こういった大学分科会で議論していただきながら,実現に移していこうということでやっております。
それから,まだこれから御議論いただかなければいけないこととして,あるいは我々の作業も実務的な作業を進めながら並行してやらなければいけない事柄として,大学ビジョンというものをつくっていくこととしております。本日もお話がありました,少し大きく大学の在り方,大学制度の在り方というところをこれから先を見すえながらビジョンを考えていかなければいけないのではないかということで,これについては,また大学分科会で逐次御議論いただきながらということを考えているところです。
それから,今,138億円についてありました。これは実は予算の執行停止の問題があったり,あるいは財務省といろいろ運用の在り方についてすり合わせをしていたりということで大変時間がたっておりましたが,近く決定をさせていただくという予定になっております。
やはり大学改革について何が重要であるかということを大学,それから,財務当局も含めてかなり議論をさせていただきました。本日も御議論ありましたが,やはり大学の中でのガバナンス改革なり,資源の再配分,組織再編成であったりという,大学の中での,大きな学長のリーダーシップの下での改革の推進に道筋をつけていくというのが一番重要ではないかということで,そういう考え方の下で,どういう事業について採択をさせていただくかということについてかなり御議論させていただき,また,大学ともディスカッションさせてきていただいているということです。まだ決定されていないのでこの場で発表できていないということで,中身の具体的な御説明はできませんが,近々決めさせていただくということです。これは今年度だけではなく,来年度に向けての予算の在り方も含めて,今,議論を集約させていただいているところです。
そのほか,大学改革実行プランに関しては本当にいろいろな事柄が中に含まれておりますので,必ずしも十分に今までも議論ができていなかったところを,まさに考えながら,走りながらということでやっているところですし,これからもこの大学分科会の場で逐次必要な検討を積み重ねていただきながら,スピード感を持って進めていきたいと思っております。
本日はそういう全体の進捗状況を本当は御説明すればよかったのですが,また次の期の最初にでもそのあたりのトータルの御説明はさせていただきたいと思います。
【小林委員】 今のことですが,大学改革実行プランの中には,財政のことがかなり書かれていたと思います。8月28日の答申でも,財政基盤の確立というのが早期に検討する課題として入っているのですが,それについては特に言及がなかったので,それは忘れられていないでしょうかという確認です。
【板東高等教育局長】 財政基盤の確立の問題,一番難しいのは,全体の財政状況がどうかという問題がありまして,特に来年度の予算が一番厳しい状況であろうということです。消費税などのアップの前の予算という中で一番厳しい状況の中で予算がどう組まれていくのだろうかと,今,その途上というところであろうかと思います。安定的な予算の確保というところは,これはおそらく政府全体として,これからもそういう方向で考えていただけるものと期待しておりますが,具体としての来年度予算をどう考えていくのかというのが一番難しい問題だと思っております。
【安西分科会長】 今,最後の方でも,また,本日全体としても出ましたいろいろなテーマ,教員免許の問題もそうですし,大学のガバナンスについても,先ほど御説明ありました資料9ですと,学位プログラムを構築するためのとなっておりますが,やはりもっと広い課題なのではないかと思いますし,ほかにもいろいろ御意見が出たことについて,次期に是非議論をしていただきたいと思います。資料9ですと,どうしても非常に具体的なことが並んでいる感じはいたしますが,大学の課題というのはかなり大きな課題が残されていると思いますので,本日いただいた御意見,課題,それは是非次期につなげていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【板東高等教育局長】 この2年間につきまして大変熱心な御審議をいただきまして,先ほどから出ておりますように,昨年の8月には大学教育の質的転換ということで大変すばらしい答申をおまとめいただきましたし,また,設置基準や学位規則の改正など幾つかの事柄が今まで御審議いただいて,実現に移されております。感謝を申し上げたいと存じます。
先ほどから御意見の中にも出ておりましたように,検討すべき課題とか,あるいは広い視野に立って,中長期的な視野に立って考えていかなければいけない課題が非常に大きく,多岐にわたってあると思っております。今までここの場で検討していただいている事柄に加えまして,もう少し骨太にと申しますか,大きく議論していただく,あるいは必要な議論を集中して議論していただくための仕組みも,次期,また工夫させていただかなくてはいけないと思っております。
先ほど分科会長からも御指摘のように,資料9に書いてある事柄だけというのではなく,これから教育再生実行会議がスタートいたしまして,そこの中でも大学の教育研究の充実,あるいはグローバル人材育成,あるいは大学入試などについても検討して,大きな方向性も出していきたいという,大臣の御説明も,本日教育振興基本計画部会でも出されておりますが,そういった政府全体での大きな議論も踏まえ,この中での議論も積み重ねながら,いい形で協働関係をつくりながら,大学関係につきましても議論を進めていかなくてはいけないと思っております。
そういう意味で非常に重要なこれからの時期であり,大学改革実行プランでいいますと,24年は始動期でありますが,25年度はまさにこれから本格的に実施に移していく時期ということです。ますますこの大学分科会でしっかりとした御議論をいただきながら,我々としてもスピード感を持って進めていくことができるような方法,仕組みも考えながら,また御指導いただきたいと思っております。
いずれにしましても,本日は第6期の最後ということですので,いろいろな意味で大変熱心な御議論をいただき,御協力,御支援をいただきましたことを感謝申し上げまして,引き続きの御指導をお願い申し上げたいと思います。どうも本日はありがとうございました。
【安西分科会長】 とにかく全国津々浦々がグローバル化の波に洗われる中で,やはり高等教育を受けていく一人一人の若い人たち,そして誰もが幸せな人生を送ってもらうように,高等教育がよくなってほしいと思いますので,文部科学省におかれましても是非今後とも頑張っていただければと思います。
改めて委員の皆様に厚く御礼,感謝申し上げまして,これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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