ここからサイトの主なメニューです

大学分科会(第109回)・大学教育部会(第21回)合同会議 議事録

1.日時

平成24年8月9日(木曜日) 15時~17時

2.場所

三田共用会議所 1階 講堂

3.議題

  1. 「未来を創出する大学教育の構築に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~」(答申案)について
  2. その他

4.出席者

委員

(分科会長)安西祐一郎分科会長
(部会長)佐々木雄太部会長
(委  員)浦野光人,金子元久,北城恪太郎,長尾ひろみ,菱沼典子,村松泰子の各委員
(臨時委員)樫谷隆夫,勝悦子,河田悌一,川嶋太津夫,佐藤弘毅,佐藤東洋士,島田尚信,清家篤,谷口功,中西友子,中野正明,林勇二郎の各臨時委員
(専門委員)小林雅之,白井克彦,高祖敏明,篠田道夫,田中愛治,納谷廣美,濱名篤,山田礼子の各専門委員

文部科学省

森口文部科学事務次官,布村初等中等教育局長,板東高等教育局長,小松私学部長,常盤高等教育局審議官,山野高等教育局審議官,義本大臣官房会計課長,浅田高等教育企画課長,森私学行政課長,牛尾私学部参事官,太田和高等教育局国際戦略分析官,望月高校教育改革PTリーダー,小谷教育制度改革室長,森友教育改革推進室長,合田高等教育政策室長,平野大学入試室長,白井大学振興課課長補佐,山本高等教育政策室専門調査員,秋山高等教育政策室室長補佐,小山田高等教育政策室専門官 他

5.議事録

(1)議事に先立ち,事務局から人事異動の紹介があった。

 

(2)「未来を創出する大学教育の構築に向けて」(答申素案)について,文部科学省から資料1~3の説明があり,その後,意見交換が行われた。

【安西分科会長】  前回の7月24日の審議におきまして,これまでの大学分科会の審議について整理いたしましたものを答申素案としてお示ししたところであります。24日の審議におきましても多くの貴重な御意見をいただきました。あのときの会議以降につきましても,委員の皆様から御意見を賜わっておりますし,本日はこれまでにいただきました御意見を踏まえまして,答申案として整理をいたしました。それを御審議いただいて,大学分科会として答申の取りまとめを行いたいということです。
 それでは,答申案について事務局から説明をお願いします。

【合田高等教育政策室長】  本答申案は前回,7月24日の大学分科会・大学教育部会合同会議における答申素案に関する御議論と,個別にお寄せいただいた御意見等を踏まえて,安西分科会長,佐々木部会長による御指示のもと整理をしたものです。特に安西分科会長,佐々木部会長におかれましては,全体にわたりまして大変御尽力を賜わりました。
 まず,資料1の目次にお目通しをいただければと存じます。構成ですが,1.で,予測困難な時代だからこそ社会をリードする大学の役割に対する社会の期待が高まっている中で,今回の答申では学士課程教育の質的転換に焦点を絞ったことを,2.で今回の審議の三つの基本的な視点を,3.で我が国固有の成熟社会モデルとそのために必要な能力を,4.でその能力を育むために必要な学士課程教育の質的転換の必要性を,5.で,にもかかわらず質・量両面にわたり課題を抱える現在の学士課程教育の現状,6.で質的転換のために確立すべき方策を,7.でとるべき方法は明らかであるにもかかわらず,学修時間が少ないなど,課題を抱えている四点の背景を,8.でこれらの背景を踏まえて,大学や大学支援組織,文部科学省,企業,地域等が取り組むべき具体的な取組と今後の中教審における検討課題をそれぞれ整理をするという構成になっております。
 以下,素案からの修正点を中心に御説明を申し上げます。
 まず1枚おめくりいただきまして,1ページを御覧いただければと存じます。下線は前回の素案に追加した部分,それから破線は3月末の審議まとめから改めてトレースをした部分です。
 1.の「大学の役割と今回の答申の趣旨」のところですが,一番下の丸にありますように,村松委員や菱沼委員の御指摘を踏まえまして,これまでの改革の状況に言及するとともに,2ページ目ですが,「本審議会は,学生のこうした知的潜在力を積極的に受け止め,それを更に引き出すための大学教育の質的転換の重要性を改めて認識するものである」という記述を追加したところです。
 次の「未来の形成に寄与し,社会をリードする大学へ」というところですが,これにつきましては2ページ目の一番下の丸です。谷口副部会長の御指摘を踏まえまして「大学教育改革が,学生の人生と我が国の未来を確固たるものにするための根幹であり,国を挙げてこれを進める必要があるという認識に立って,まず学士課程教育の質的転換に焦点を当てて審議を重ねた」という趣旨を明確にしたところです。
 3ページ目の2.の「検討の基本的な視点」において,検討の三つの基本的な視点の柱は変わりません。特に二つ目の「初等中等教育から高等教育にかけて能力をいかに育むか」という視点につきましては,これからに必要な能力を,浦野委員からかねてよりエートスという御発言もいただいておりましたが,安西分科会長に御整理をいただきまして,3ページの下線の部分ですが,幾つかの能力を整理をしております。
 その上で,4ページ目の上ですが,こういった新しい時代に求められる能力,予測困難な時代において求められる「学士力」の重要な要素ということで,こういった能力と学士力との関係を明確化しているところです。
 5ページからの3.の「これからの目指すべき社会像と求められる能力」ですが,5ページの「我が国の目指すべき社会像」,特に安定的な成長を持続的に果たす成熟社会モデルという議論,それから6ページの「成熟社会において大学が果たすべき役割」というところについては大きな修正はありません。
 7ページ目ですが,4.の「求められる学士課程教育の質的転換」につきましては,成熟社会において求められる能力を育む上で,7ページ目の下から二つ目の丸ですが,能動的学修(アクティブ・ラーニング),それからディスカッション,ディベートといった双方向の講義等を中心とした授業への転換が重要という論旨に変更はありません。
 ただし,安西分科会長の御指示で,8ページ目の一番上の丸ですが,研究に裏付けられた教育の重要性といったことについて言及を追加をしているところです。
 また,9ページ目の二つ目の丸,三つ目の丸のとおり,「質的転換を目的とした学修時間の実質的な増加・確保」につきまして,審議まとめの記述を改めてトレースをいたしております。
 次に,5.「学士課程教育の現状と学修時間」ですが,まず,佐々木部会長の御指示で9ページ目の一番下の丸ですが,「本審議会が学士課程教育の質的転換への好循環を始点として学生の学修時間の増加・確保に着目したのは,我が国の大学生の学修時間が諸外国に比べて著しく少ないという現実を改めて認識した」との記述を追加いたしておりまして,全体の趣旨を明確化しております。
 その上で,11ページですが,「学修時間に着目する理由」というところがあります。破線を引いておりますが,審議まとめから改めて学修時間に着目する理由をトレースをし,明確化しております。なお,この11ページの下から三つ目の丸ですが,実線を引いた「教育課程の基準が法令で定められているとともに,授業時数を中心に教育課程が編成されている初等中等教育とは異なり」という文言を追加させていただいております。もとより今回の本分科会の御議論が教育課程の基準が法令で定められている初等中等教育とは異なる仕組みを前提に行われているということを改めて明確にさせていただいたところです。
 次に12ページです。6.「学士課程教育の質的転換への方策」というところですが,佐々木分科会長の御指摘を踏まえて,下から一つ目の丸ですが,「質を伴った学修時間の実質的な増加・確保が不可欠である。ただし,この点の改善は,学生に向かって『学修時間を増やしなさい』と呼びかけることだけでは実現しない。学生の学修時間の増加・確保には,学生の主体的な学修を促す教育内容と方法の工夫が不可欠である」との趣旨を明確にした上で,13ページから14ページにかけて学士課程教育の質的転換の方策を明示をしている全体の流れは前回と同様です。
 14ページ,二つ目の丸ですが,真ん中辺りから「ただ」とありますが,「ただ授業時数を増加させたり,教員・科目間の連携や調整なく事前の課題を過大に課したりすることは,学修意欲を低下させることはあっても学士課程教育の質的転換に資することにはならない。また,授業科目の整理・統合は,教育課程における個々の学生の学修量を減少させるために行うものではなく,教育課程の体系性を高め,主体的な学修を確立するために行われるべき方策であることは言うまでもない」旨,黒田委員の御指摘を踏まえて記述を追加しております。
 7.の「質的転換に向けた更なる課題」です。このような質的転換が進展しない理由というものを整理しておりますが,これについては大きな変更はありません。15ページの三つ目の丸の「『プログラムとしての学士課程教育』という概念の未定着」,それから16ページの上から二つ目の丸「学修支援環境の整備についての課題」,それから16ページの一番下の丸「高等教育と初等中等教育の接続についての課題」,それから17ページの二つ目の丸「企業や地域社会等,社会と大学の接続についての課題」,この4点が柱というのは前回と同様です。
 16ページの一番上のところですが,前回,山田礼子委員の御指摘を踏まえまして,「アセスメント・ポリシー」につきまして,個々の学生の学修成果の評価ということを記述として追加させていただいております。
 また,16ページの一番下の丸,それから17ページの一番上の丸につきましては,高校と初等中等教育の接続の問題について,その背景とか,それから前回の佐藤弘毅委員の御指摘を踏まえまして,17ページの一番上の一つ目の丸の下線を引いたところですが,単に接続の改善ではなくて「高等学校教育と高等教育が連携・協力しながら,両者の学びの質を高めることを求める声は教員や学生からも数多く寄せられた」という点を明確にしております。
 17ページの8.の「今後の具体的な改革方策」につきましては,大学や文部科学省が直ちに取り組むことが求められる事項,あるいは本審議会として直ちに審議を開始する事項に分けて整理をするというのは素案と同じです。17ページの一番下の下線を引いているところがありますように,前回の河田副分科会長の御指摘を踏まえまして,「これらについては,大学改革実行プランで示された工程表も踏まえて迅速かつ着実に実施されることが重要と考える」旨,記述をしております。
 「直ちに取り組むことが求められる事項」につきまして18ページからですが,18ページの(ア)のちょうど真ん中辺りですが,川嶋委員の御指摘がありましたCAP制の実質化などについて言及をしております。
 また,18ページの一番下(ウ)ですが,篠田委員の御指摘を踏まえまして,「学士課程教育をプログラムとして機能させるためには,教員だけではなく,職員等の専門スタッフの育成と教育課程の形成・編成への組織的参画が必要」である旨,言及をさせていただいています。
 また,19ページの一つ目の丸にありますように,前回,金子委員,それから高祖委員から大学と文部科学省との間にバッファーとしての「大学支援組織」の役割の重要性について御指摘がありました。それを踏まえまして19ページ目は「大学支援組織」というものを一つ,項目として立てまして,(ア)(イ)(ウ)(エ),20ページにかけましてそれぞれ取り組むべき事項というものを整理をしているところです。
 また,20ページ目ですが,文部科学省の果たすべき役割ということで,まず前回,北山委員,それから濱名委員からの御指摘を踏まえまして「高等教育に対する公財政措置や税制改正等により企業等からの大学への支援を促す仕組みの充実」の点でありますとか,21ページの(エ)の学生に対する経済的支援につきましても,企業や個人からの寄附等を促すための税制改正について言及をしているところです。
 また,21ページの(キ)ですが,山田信博委員の御指摘を踏まえまして,今後,引き続き大学教育改革地域フォーラムのような取組を進める,その目的として「学士課程教育が学位授与の方針に基づいた体系的で組織的なプログラムであるべきことの認識の共有」というものを明確にしたところです。
 22ページの企業と地域社会の役割の(ア)でございますが,濱名委員の御指摘を踏まえまして,特にインターンシップの重要性について言及をしております。
 また,(イ)ですが,佐藤弘毅委員の御指摘を踏まえまして,自治体における教育や地域の振興に関する計画における大学との連携の位置付けの明確化,それから(ウ)ですが,前回の北城委員の御指摘を踏まえまして,就職活動の早期化・長期化の是正につきましては,「採用に関する広報活動の開始は卒業前年度の3月以降,選考活動は卒業前年度の成績を適切に評価できる時期以降(望ましくは卒業年度の夏季休暇以降)とすること」という就職問題懇談会などで議論いただいている方向を大学分科会としても支援し,進めるべきとの立場を明確にしております。
 23ページですが,本審議会において直ちに審議を開始する事項ということで,23ページの(ア)ですが,高等学校教育と高等教育の接続の連携につきましては,前回,宮田委員からレバレッジという御指摘がありましたが,「高等学校において知識・技能の確実な習得とともに,言語活動,探求活動や社会体験活動等を通して批判的・合理的な思考力や学習意欲,倫理的・社会的能力,チームで行動できる力を育成し,大学においてこれらの汎用的能力を更に伸ばすためには,①高等学校から大学への移行において,単に知識を再生する力だけではなく,広く汎用的な能力を問うとともに,②大学における学修成果を各大学や分野の特性に応じて可視化するということが重要である」旨,記述を追加しております。
 24ページです。学位を与えるプログラム中心の考え方を踏まえて大学制度をとらえ直すという点につきましては,安西分科会長の御指摘を踏まえて,「今後,学生の流動性の向上など高等教育全体の柔構造化の視点も踏まえて」という視点を追加をしております。
 また,前回議論がありましたガバナンスにつきましては,24ページの(ウ)ですが,「(イ)の観点も踏まえ,大学改革を推進し,大学が社会をリードする役割を一層果たすために,多様で多目的な大学マネジメントの本質にふさわしいガバナンスの在り方や財政基盤の確立について議論を進める」という記述を整理,追加したところです。
 以下の資料につきましては個別の御紹介を省かせていただきますが,32ページ,33ページには審議まとめでも御議論いただきました好循環の確立の図,それから評価の位相についての資料をつけさせていただいております。また,資料2の資料編ですが,先ほど御紹介申し上げましたように,用語集,関連データ,それから学長・学部長のアンケート,それから大学教育改革地域フォーラム,パブリックコメントということで,これまでの議論の参考にしてきた内容を入れ込んでおります。
 例えば,学位プログラムということにつきましては,本分科会でもヒアリングで御説明をいただきました新潟大学の学位プログラムの取組などのデータ,資料なども入れさせていただいているところです。

【安西分科会長】  それでは,質疑と意見交換を行わせていただければと思います。本日はこの答申のまとめということで,よろしくお願いいたします。

【佐藤(弘)委員】  ただいま御説明がありましたように,前回の多数の委員の多様な意見をほどよく勘案していただき,本当によく整理していただきました。ありがとうございました。敬意を表したいと思います。
 その上で,最後の最後に恐縮ですが,本文のまさに一番最後のことにつきまして御指摘申し上げ,お願いしたいことがあります。最後の23ページから24ページにかけましては,本審議会が今後,直ちに審議を開始する事項で,最初のところで高大接続連携の話が出てまいります。(イ)のところで学位を与える課程中心の考え方の再整理を呼び掛けています。
 (ウ)のところでガバナンスですが,その前段がガバナンスであって,一番最後の最後に,やや唐突に短期大学のことがつけ足しのように書かれております。短期大学の議論をしましょうということを(ウ)のガバナンスの中に含めるがごとき扱いは,少し軽きに失するかという思いがいたします。
 短期大学につきましては,そもそも中教審で表立って議論をすることが久しく途絶えております。改めて調べてみますと,平成3年に「短期大学教育の改善について」という答申が出ております。これは例の大学設置基準の大綱化等に関することで,「大学教育の改善について」とセットで出されたもので,決して短期大学の教育,プロパーの課題を掘り下げたものではありません。その後も久しく議論がなくて,実は平成11年に大学審議会の最後の段階で,短期大学と高等専門学校をセットにして短期高等教育の在り方について議論が進んだのですが,折からの行財政改革で大学審がなくなり,中教審に併合されるという,どさくさと言っては何ですが,その合間に消えてしまって,どこぞへ行ってしまったという印象です。その後ずっと短期大学のことが正面切って議論されたことがなくて,今日に及んでおります。一方,高等専門学校につきましては,平成20年にプロパーの議論が盛んになされまして,「高等専門学校教育の充実について」という答申が出されております。
 短期大学関係者はこの間,様々な自校改革の努力をしていながらも,なお世の中の趨勢としては大変厳しい状況に置かれております。そうはいっても,まだ公立と私立合わせて390ほどの短期大学がありまして,15万人の学生が学んでおるところです。そうした短期高等教育の重要性について,改めてこの審議会としてお認めいただいて,更にガバナンスのところでつけ足しでということよりも,(ウ)の次の(エ)というところに分離して短期大学のことをこれからしっかり議論するぞという姿勢を是非お示しいただきたいというふうにお願いです。

【合田高等教育政策室長】  そのような形で位置付けさせていただきたいと存じます。

【浦野委員】  前回は欠席したものですから,その過程としてバージョンアップされてきた答申案を見て,本当に最後,仕上がりいいものになったと思っておりまして,訂正とか何かをお願いするわけではなくて,感想めいたことを三つほど申し上げてみたいと思っております。
 まず最初に,これからの目指す社会像ということで5ページに記述があるわけですが,この記述自体はこのとおりだと思うのですが,一つ,私が思うのは,こういった目指すべき社会像が本当に日本という規模でやる必要があるのだろうかということです。もっと言うと,日本という規模では大き過ぎて,議論が中途半端に終わる可能性がある。今も多分,全国レベルの人材とか地域の人材とかという表現が使われることがあると思いますが,私はやはり今後,日本がこういった社会像を求めていこうと思うと,地域という,今の日本の規模の5分の1とか10分の1とかという規模できちんとした議論をしていく必要があると考えております。
 そういう意味では,22ページの(イ)ではっきり地域との関わり,地方自治体が大学との連携を明確に位置付ける。大学も地域の中でいかに自らのアイデンティティーを主張していくかといったことを是非ともやっていただきたいと思っておりましたので,この22ページの(イ)の切り口については大変大事なところだと思っております。
 そういった絡みで,その22ページの(ウ)で触れられている企業の役割といいますか,企業に期待されていること,特に大学において身につけた汎用的能力や専門的知識を積極的に問うことによって云々というところは,本当に企業としても今後しっかりやっていきたいところだと思っております。
 二つ目が,ガバナンスのことですが,これも24ページ,最後に触れられているのですが,このことについて,私は最近,安西分科会長のところの日本学術振興会のプロジェクトに参加させていただいて,そこで感じたことがあったものですから,あえて今後の議論ということで触れさせていただきたいと思うのですが,やはり大学の先生方がおっしゃる学問の自由とか大学の自治とかいうのは,これはやはりもう一度しっかり見つめ直す必要はあると思うのです。その上での仕分けの中で,この答申案の中で触れられているように,教学面における全学一致で,要するに学位プログラムに準じた形でしっかりやっていくということは,これは本当に私も大変大事なことだと思っておりまして,そこに学部の縦の関係が入り組んでくるというのは,やはりまずいということで,この中に書かれていることには全面的に賛成なのですが,一方で,安西分科会長の御意見で入れられたという,研究の大切さ,研究をしながらそれを教育に反映していくという,そのことも非常に大事だと思うのですが,研究という側面で見ると,今回の日本学術振興会で私,学ばせていただいたのは,やはり研究そのものは,研究者の個々の自由な発想といいますか好奇心といいますか,あるいは探究心といいますか,そういったものがアクセルになるわけですので,そこにいわゆるガバナンスという考え方が本当に適当なのかというのは非常に疑問に思っておりまして,その意味で大学全体がガバナンスが大事ということよりも,やはり教学分野について,特にそのガバナンスの大切さを問うことが大事だと思います。
 研究分野については,素人が入り込む余地も多少はあるのでしょうが,基本的にはやはりピアレビューの範囲でどんどん広げて,いわゆる学内におけるピアレビューだけではなくて,いわば学外にピアレビューの対象を求めて,切磋琢磨していくということが非常に大事だと思いますので,大学のガバナンスというときの分け方を少し考えていただければと思いました。
 それから三つ目は,学士課程教育と学部教育の本当の意味合いということが,私,個人的には19ページの(ウ)に書いてあることです。大学支援組織の中で今,「言語・文学や経営学、法学の分野で審議が進んでいる」と書いてありまして,その後に,「これらの専門分野の学修における汎用的能力の育成について」云々と書いてあります。私はここが非常に大事なところだと思っておりまして,学部教育のレベルではやはり専門分野の学修を通じて汎用的能力を養成するということが一番の眼目だと思うのです。この汎用的能力だけを得ようとしても,それは多分得られるものではなくて,やはりそれなりの専門教育,研究の第一線にいらっしゃる先生方が専門分野を通じて教えていただけるもの,その中から汎用的能力を育成するということがものすごく大事だと思っておりますので,そういう意味で学部教育における専門分野の位置付けということがここではっきりうたわれたことは非常によかったと思っております。
 以上,感想ですが,大変いいものにでき上がったものですから,我々産業界も是非これを踏まえて今後の採用活動等をやっていきたいと思っております。

【安西分科会長】  地域の重要性については最初のほうでもう少し触れていただくといいかもしれないと思いますし,また,私見ですが,大学自治は根本的に大事だと考えておりまして,そのもとで研究の自由,学問の自由ということは,根本的にこれも大切なことで,ガバナンスというのが大学が本当に活性化していくための手段としてどうあるべきかということについて,やはりここで議論を重ねていくべきではないかと思います。
 それから,専門教育を通じて汎用的能力をということもおっしゃるとおりですので,本日はいろいろこれから御意見いただくと思いますが,是非修文をさせていただいて,それで答申としてまとめられればと思います。

【濱名委員】  大変よくまとめていただいたのですが,3点ほどお願いをしたいと思います。
 1点目は,16ページに,いわばアセスメント・ポリシーの確立というのが出てくるのは大変結構なのですが,そこで出てくるのであれば,18ページの大学に直ちに求められるところで,ちょうど(ア)のところで,「どのような具体的な測定方法を用いたかを併せて明確にする」というところには,アセスメント・ポリシーという用語を用いて,そういうことを明らかにすることがアセスメント・ポリシーであるということを明らかにしていただいたほうがいいのではないかというのが1点です。
 2点目は,インターンシップについて22ページで加筆していただいたことは大変ありがたいのですが,もう一つは,先ほどの浦野委員の御発言の,汎用的能力を専門的な知識の育成の問題と同様で,インターンシップが職業生活とか職業に対する理解だけではなくて,自分たちが学んでいる専門的知識も含めて学んでいることの有用性であるとか,あるいは更に学ばなければいけないことを知るきっかけになる学修機会としてのインターンシップという記述があったほうが,より膨らみがあっていいのではないかということです。
 もう1点は,これは企業や地域社会のところで,一番最後の(ウ)の最後のところ,「企業は,学生が大学において身につけた汎用的能力や専門的知識を積極的に問うことによって」と書いてあって,それはそのとおりなのですが,インターンシップ等々,採用活動についていろいろ調べていくと,日本の企業は著しく面接に傾斜した採用を行っておられると思います。欧米の主流はむしろインターンシップと大学の成績を活用するというのが圧倒的に多数で,考えてみればインターンシップは一週間とか一か月とかの単位でやっているので,20分の面接のどちらを信用するのかということを考えてもらう必要がある。インターンシップについては,かつて青田買い等々の弊害もあって,現在では採用活動とインターンシップの距離が非常に微妙になっているだろうと思うのですが,大学の成績が信頼され,相互の共通の道具になるようにという意図は,この辺りに書いていただきたい。これは企業のところで書いていただくほうがいいのかどうか。つまり,今までどうも大学の成績は当てにならないと言われてきている。当てにならないということに対して,アセスメント・ポリシーであるとか様々な形で学修時間や学修の質を高めていこうということであるならば,やはり大学での成績が採用活動でも尊重されるようにということは入れたほうがいいのではないかと思います。あるいはそういう状態を一日も早くつくり出していくということを加える必要があるのではないかと思います。

【林委員】  先ほどの短大のお話のときに,高等専門学校が出てきたものですから発言いたします。
 確かに答申は大学教育の構築に向けてですので,大学でよくて,ついては短大がどうかということも軽くならないようにということで,24ページの(ウ)の次に(エ)を立てるということはもちろん賛成です。そうしなければいけないと思いますが,ただ,大学ということも同時に高等教育全体に通用する話ですので,では高専はどうなっているのかという話もそこに出てくると思いますので,一番最後にもし(エ)を立てるとすれば,高等教育全体としての大学,短大,高専,専門学校等々のところがあって,その中で高等専門学校に向けては20年の「高等専門学校教育の充実に向けて」という答申で大変議論されているという一言があると,高等専門学校についても抜けていないという印象はありますので,そういうことを付け加えていただければありがたいと思います。
 それから,もう一つですが,先ほどの社会像と能力,地方の話が出てきましたが,やはり国大協とかいろいろなところを通して今のグローバルの時代,グローバル化された中で,大学,高等教育の役割というのはやはりグローバルな拠点であり,ナショナルなセンターであり,そしてよく言うのはリージョナルセンターというような3点を書いてありまして,大学全体を見た場合には国公私全部入ってきますので,それぞれの設置理念があるわけです。建学の精神もありますし,特に地方公立大学の役割というのも非常に難しいと思います。そういう意味でもローカル,リージョナルというのは非常にいいことで,どこかで入れるべきだと思います。
 ですから,今のようにグローバル化している社会の中で大学が問われている役割,この3のタイトルは「社会像と求められる能力」になっていますので,これは仕方ないと思うのですが,20世紀における社会と大学の位置付けであれば,大学というものがどういう役割を持っていて,一番最後に大学が果たすべき役割と出てくるのでいいと思うのですが,タイトルがこうなっていますので,それはそれとして,そうであれば要するにローカル,グローバル,それからもう一つはナショナルという中で,そこに大学がそれぞれ知の拠点としての役割を持っているということになりますと,今,800ぐらいの大学がそれぞれの役割は何を果たすかというのが見えてくると思いますので,是非そういう表現をどこかに入れていただけるとありがたいと思います。

【谷口副部会長】  全体的には非常にこの案はよくまとまっていると思います。今までのいろいろな議論の中で,大事な点としてここにも幾つか書いてありますが,大学が社会をリードするという,そういう概念,要するに大学が主体的にというか,本格的に取り組まないといけないという話が随分出てまいりました。
 それで,例えば2ページの丸で「未来の形成に寄与し」云々というところ,そのブロックの真ん中で,例えば「社会をリードする役割を担うことができる」と,こう書いてある。まあ,役割を担うことができるのは当たり前ですが,これを,役割を担わないといけないとか,要するに責務であるというぐらいの表現で,きちんと大学も責任を持ってやらないといけないという表現のほうがいいのではないかと思います。一番最初のところにも「大学の役割」という表現がある。このように役割などと言っているレベルではないのではないかと思います。今までの議論等々見ますと,しっかりやってくださいというニュアンスがもう少し伝わるような,責務とかそういう表現のほうがむしろ真意が伝わるのではないかという気がするので,その辺の表現を工夫して,責任があるというぐらいのことを書いたほうが,答申としてはいいのではないかと思って発言しました。

【中野委員】  先ほど,佐藤弘毅委員からもお話がありましたが,短大の問題についてはやはり全体のこの内容の中に具体性を持って出てこないというのはやはり問題ではないかと思います。
 6ページの3行目,「これから人材需要の増加が見込まれる分野は,現在においても短期高等教育を含めた高等教育修了者が就業者の」云々というように,ここでこれほど大きくうたわれていることでありますし,また,その前段,5ページの最後の部分には「教育,医療・介護・保育等」というように分野を指定しておられるわけですが,このうち御承知のとおり,介護,保育というような分野については,非常に短期高等教育の役割が重要であろうと思います。これ全体で進学率の問題は非常によく書かれていますが,進学率が今後,どれぐらい向上するのかというのは,やはりそういった中間層,すなわち社会を支えていく人材を養成することがそういう意味におきまして,非常に重要だと思います。
 あるいは,また,先ほど浦野委員が地域ということをおっしゃっておられましたが,やはり大学が今後,そういう地域社会への貢献ということが非常に重要な課題になってくると思いますが,そのうちのこういった今の保育や介護等の分野の従事者というものにおいて短期高等教育が果たす役割というのは大きいと思うので,そういった書き方はどうかと思うのです。
 それから,もう一つは,先ほどの教育と研究の事柄について,8ページのところですが,これは先ほどの点とは少し外れた話題にはなりますが,この書き方においては,やはりあくまでも研究というのは教育を進める上の裏付けとなる研究というか,その当該分野における研究を必要とするということが強く書かれているわけでして,まさにそのとおりではないかと思うわけです。
 つまり,研究さえしていればいいというようなことではなくて,当該の教育に関連する分野の研究ということが非常に重要になると思うので,そこに力点を置いていただけたらいいのではないかと思いました。

【佐藤(弘)委員】  これははっきりした意見というよりも,国の政策のことに連携した部分で,本当にこういう表現でいいのかと疑問に思いましたので,確認する意味でお尋ねしたいと思います。
 16ページであります。16ページの最後の丸のところで,アンダーラインのところですが,「18歳人口減少期における」,その次です。「大学進学率抑制政策の緩和による進学率の上昇」という表現があります。私ども大学関係者は長いこと,国の高等教育の計画的整備という累次の計画に基づいて様々なことを文字どおりプランをして実施してまいりました。その間,ずっと原則抑制期が続き,とりわけ工場等制限法の適用などで,大都市圏における新増設というのが厳しく抑制されてきました。そのことは事実なのですが,それが果たして大学進学率抑制政策であったのかどうか。私はそう理解していなかったので,これは意外でありました。
 本当にそうだったのであれば,これで間違いないのですが,もしそうでないとしたら,確かに質の向上のための計画の一部には進学率の過度な上昇を抑制したいという意思が働いていたのかよくわかりませんが,とにかくここの部分,このとおりの記述でよろしいのかどうかをお教えください。

【合田高等教育政策室長】  表現ぶりについては,また先生の御指摘も踏まえて考えさせていただきますが,工場等制限法による立地規制及び高等教育計画による入学定員管理,この双方が結果として大学進学率の一定の範囲におさまるという結果を生み出した状況を表現しております。これは6月19日の分科会でお示しをしたメモの表現をそのままトレースしたものですが,それを大学進学率抑制政策と言うかどうかについては,もう少し専門的に整理をさせていただきたいと思っております。

【高祖委員】  全体として非常によくまとまってきたということを私も感じております。その上で2点申し上げたいと思います。
 1点目は,2ページの真ん中です。項目として「未来の形成に寄与し,社会をリードする大学へ」の中で,今回,書き加えてくださった文章の一つに,「社会人に対する学び直しの場の提供」という言葉があります。これは,この会議の議論の中でも,社会人が学び直す場を大学として是非用意すべきという,そういう発言があったから入ったと思うのですが,答申案の全体を見てみて,社会人に対する学び直しの場の提供ということに関わる記述がこの後にはほとんど出てこないという印象が強いです。
 他方,今回の答申案のサブタイトルは「生涯学び続ける」となっています。この生涯学び続けるというのが,今のままですと,大学で学ぶ間に生涯学び続ける力をつけるというようなトーンになっているのです。それも大事なのですが,社会に出てから,また大学に帰って学ぶとか,そういう機会をどのようにつくっていくか,ここのところを日本の教育をよくするためにはやはり考える必要があると思います。大学のほうも考えなければいけない。企業のほうも,そうした人たちが学びやすくなるような状況設定が必要でしょう。ですので,更なる課題のところか,あるいは大学や企業,地域社会にこれからもっと考えてほしいというところかに,この社会人が学び直すことができる場についてもっと書き込んでいただくか,あるいはそれについては検討課題とするか,この辺りの検討を一つお願いしたいと思います。
 2点目は,同じページで,先ほど谷口委員がおっしゃったことと似たようなことを私も思っています。2ページ目の一番下の丸の下から4行目のところに「大学関係者には,未来への自らの責務と可能性を自覚し,真摯に教育改革を行うことが求められている」とあります。こういう答申の中で大学関係者が未来に対して責任がある,責務があるというのは,非常に大事なことを言っていると思います。しかし全体を見まして,未来社会の形成に寄与する力が育成されるとか,未知の力を切りひらくとかの表現が何度か出てくるのですが,この責務ということと,可能性をきちんと開花させるということのトーンが後のほうになると少し弱いと思うのです。最後の7番目か8番目の章の頭辺りに,もう一度こういう言葉を繰り返していただいて,それは私たちの役割という以上に,未来に対する責任だ,その可能性を実現する責任があるということをもっと強く出していただけたらいいと思います。

【合田高等教育政策室長】  大変貴重な御指摘です。踏まえさせていただきたいと思います。

【中西委員】  非常によく練られて,まとめるのが大変だったと拝察する次第ですが,二つあります。
 一つは15ページのところですが,「『プログラムとしての学士課程教育』という概念の未定着」というところです。それは7.「質的転換に向けた更なる課題」のうちの一つというところで,最初の丸の4行目ですが,「科目の内容が各教員の裁量に依存し,教員間の連携が十分でない」というところですが,大学は高校までと違って,何を学ぶところかというと,単に知識だけではなくて,考え方を学ぶところだと思うのです。多少知識は学ぶとしましてもです。考え方のきっかけを与えるのが教員だと思うのです。ですから,もちろんガバナンスは非常に大切なのですが,教員にいろいろ多様性があって,個性があって,いろいろなきっかけを与えることができると,それをもとに考えていく学生の概念の広がりといいますか,考え方の広がりもそこで担保できる可能性もあると思うのです。ガバナンスが要らないというわけではなくて,そういう可能性もあるということで,単に各教員の裁量に依存していくことは悪いだけでもないこともあるということを少し御理解いただければと思います。それが一つ。
 それから,もう一つは,接続の問題で,初等中等教育と高等教育のということが書いてありますが,具体的な改革方策とか,文部科学省が何をすべきか等の中に入試の話が全然出てこないのです。もちろんこれは各大学に委ねるべきことかとは思いますが,例えば,よく話題になるのは,入学定員を1.5倍取って,中で3分の1の人をふるうような,そういう制度があれば,中で学生はもっと勉強するのではないかとか。これは例えばでして。それから,あと,理系と文系の融合ということも,いろいろ入試改革で起きるかもしれないということもあるもので,どういう改革をするということは,その大学の自治に任されていると思いますが,入試についても一言ぐらい,もう少し考えていいという項目があってもいいのではないかと思いました。

【佐藤(東)委員】  分科会長,部会長,それから事務局には非常に労をとっていただいたことにまずは敬意を表したいと思います。
 その上で,先ほどから谷口委員,あるいは高祖委員のお話も含めて少し考えると,もう少し力強いトーンが未来に対してメッセージとして残せればと思います。そういう意味では,ここが変えられるかどうかわかりませんが,答申案のタイトルについても,もう少し踏み切った,前向きでということが出たほうがいいのではないでしょうか。というのは,以前の答申でも「学士課程教育の構築に向けて」というやや総花的なタイトルだったため,社会にそんなにインパクトを持って受けとめられたかどうかということがあるので,それについては少し考えていただけないかという気持ちがあります。
 それからもう1点は,先ほど,濱名委員からアセスメント・ポリシーの話が出ました。16ページです。そこに「個々の学生の学修成果とともに」ということが挿入されているので,多少,理解がしやすくはなっているものの,その後で,引き続いてアセスメント・テストとかいろいろ出ていることも含めると,資料編の用語集の中で,きちんとこれを理解できるように説明をするということが必要ではないかと感じております。
 このままの状態ですと,では,今,イギリスで実施されているような,いわゆるアセスメント・ポリシーと,どのように違うかということがはっきり理解されないまま,言葉がひとり歩きをしてしまうという懸念があります。

【安西分科会長】  それぞれおっしゃるとおりだと思いますので,できる限り本日の御意見を踏まえて修文はさせていただければと思いますし,また,表題についてインパクトをもっと持てという考えもあり得ると思います。

【川嶋委員】  最後の「今後の具体的な改革方策」について少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 大きく(ア)(イ)(ウ)で三つの今後の検討課題が書かれているわけですが,(ア)の高大接続や入試については本審議会において直ちに審議を開始する,検討に入るという書きぶりで,二つ目の(イ)のところの学位プログラム化に関しては,制度の在り方については(ア)と違って,更に審議を深めたいという書きぶりになっています。ただ,先ほど中西委員からも御指摘があったのですが,(ア)の入試改革とか,高大の接続を考えていくと,どうしても学生定員の在り方を考えざるを得ないと思うのです。学生定員だけでなく,教員定員とか予算とかについては全て,設置基準上,学部,学科等組織をもとにして配分されていますから,入試だけではなくて,大学全体の在り方,例えば,先ほどから出ている教学マネジメントとか,更に大きくガバナンスのことを考えていくと,やはり今の設置基準の考え方,これはこれまで一応,質の保証のために一定の役割を果たしてきたと思うのですが,設置基準の在り方の見直しについては,(イ)のところも更にというか,もう少し強目の表現で審議を進めていく必要があるのではないかと思いました。
 ちなみに,この定員につきましては,国大協の入試委員会でも常々,定員の在り方を考え直してほしいということをいつも提言させていただいていますので,是非お願いしたいと思います。

【田中委員】  拝見しまして,非常によくまとめていただいていて,大変気配りができて,完成度の高い文章と拝見いたしました。それで,私としては3点,コメントを申し上げたいと思います。
 1点目は,授業科目の整理,統廃合に関してで,ページで言いますと14ページと,それから18ページにあるかと思いますが,14ページのところに具体的に踏み込んで書いていただいてありがたいと思っておりますが,丸の二つ目になります。7.の中段よりそのすぐ上のところのパラグラフの後半のところになりますが,「また,授業科目の整理・統合は,教育課程における個々の学生の学修量を減少させるために行うものではなく,教育課程の体系性を高め,主体的な学修を確立するために行われるべき方策」とおっしゃっていただいて,その上にも教員間の連携や調整が必要だということもおっしゃっていて,非常に重要な指摘だと思います。
 これは18ページのところの(ア)の三つ目の段落のところで,「CAP制やナンバリング等を実際に機能させながら」の後に,「教員が個々の授業科目の充実にエネルギーを投入することを可能とするように授業科目の整理・統合と連携を図る」となっています。実はこの二つは非常に明確に結びついていると考えておりまして,14ページのところが,科目の統廃合,つまり授業科目を減らすという議論が,メディアの方などでは時々誤解があるようなのですが,大学におけるゆとり教育化ではないかというような誤解もあるかというふうに漏れ聞いておりますが,これは全く逆でして,学生の学修量を減少させるというよりも,増やすために行うことでありまして,ここに入れたいのは,教員のエネルギーの投入です。つまり,教員が10科目も20科目も教えていれば1科目にエネルギーが投入できないので,学生の課題が減ってしまって,学生の学修量が減るということです。今,我々がここでずっと議論してきました学修量の増加というのは,履修時間数を増やすことではなくて,決められた履修している科目の中で学修量を増やすということです。ということは,14ページのところにも,「教育課程の体系性を高める」の前に,教員の担当科目に投入するエネルギーの超過といいますか,注入するエネルギーを高めるということも,14ページも入れていただきたい。
 18ページに記載はあるのですが,ページが別れてしまいますと,そこの点がぼやけてしまうように思っております。18ページはそういう意味では14ページと連携して書いていただいているので,同じことを繰り返しになっても構わないと思いますので,書いていただければと思います。
 それが1点目です。 2点目はガバナンスですが,やはり14ページのトップのところ,最初の段落の「このような全学的な教学マネジメント」のところで,「学長のリーダーシップによる全学的な合意形成が不可欠」と指摘していただいて,これもすごく重要だと思っております。
 これも18ページの(ア)のところの最初の段落と関連すると思うのですが,5行目のところです。「教員間の議論を通じて共有し」というところから,「他の授業科目と連携し関連し合いながら組織的な教育を展開すること」ということで,これは何を申し上げているかといえば,おそらく教員間がしっかりとコミュニケーションをとって,それぞれの担当科目は自分の城であるからといって人の意見を聞かないという態度を捨てて,教員間の議論と価値観の共有によって体系的な科目の設置をお願いしたいということでありますので,ここのところが学長のリーダーシップのもとにおける全学的な合意形成と非常に密接に関連していると思っているのです。これが大学の自治の新しい在り方というときに,やはりどこかで一つ入れていただきたいと思いますのは,14ページでも結構ですが,18ページのところでも,学長のリーダーシップのもとで,制裁的にこういうことをしなければ承知しませんという話では大学はよくならないと思っておりまして,各教員が価値観を共有すること,大学の教育の質を上げること,そして教員一人一人が研究を進めて,それを教育に反映させること。その価値観を共有して,その基準でお互いに監視し合う。それは学外でも学内でも,監視というのは変ですが,お互いにモニターして切磋琢磨することが教育の質を上げることになると思うのです。
 大学におけるガバナンスの向上は,高い目標に向けての価値観の共有が重要だろうと思いますので,この14ページのところと18ページのところは非常に重要なことだと思うので,これもうまく関連付けて書いていただければと思っております。
 最後に,23ページのところになりますが,23ページの2の(ア)のところで,下のほうに参りますと,1 2となっておりまして,高校との接続のところにありますが,2のところですが,「大学における学修成果を各大学や分野の特性に応じて可視化することが重要である」ということで,この可視化というのは,あまり十分に議論はされてきませんでしたが,以前2回ぐらい少しお話をさせていただいていて,これを書いていただいてありがたいと思うのですが,やはり可視化ということは要するに透明性を高めるということだと思うのですが,透明性を高めることは高校の方や高校の先生方に大学の教育内容を見ていただくということもありますが,大学人同士がお互いに自分たちのやってきていることの透明性を高めて切磋琢磨する。これが高大接続だけではなく,ひいては最終的には大学の教育の質を上げることにもつながるだろうと思いますので,この可視化というところは是非重要視していただきたいと思っております。
 それで,お願いするのは,18ページのところに戻りますが,体系化の科目の整理・統合のところですが,教員が個々の授業科目の充実にエネルギーを投入するというところはアンダーラインがないのですが,この辺り,波線でも引いていただけないかと思っております。例えば,ナンバリングとかCAP制というのはアンダーラインで,これはメディアの目を引くと思うのです。方策としてはすぐに理解していただけると思うのですが,何のためにというところをやはり強調していただきたいので,エネルギーを投入することが大事である。14ページも同じですが,そういう理屈も大変大事だと思っておりまして,こちらの答申で提案しているのは,ただ方策を並べるのではなく,理屈があるのだというところを出していただきたいので,波線とアンダーラインとの使い分けもしていただけないかというのがお願いです。

【合田高等教育政策室長】  本日,線を引かせていただいたのは,前回の素案との変更点がありますので,実際の文章はなかなかそういう装飾は難しいのですが,ただ,個々のエネルギーを投入する,その量を拡大するというのは大変重要なポイントですので,サマライズしたものをつくる際なども,その点は是非強調させていただきたいと思います。

【山田(礼)委員】  大変よくまとまって,精度の高いものにしていただいてありがとうございます。
 私は,前回と同じようなアセスメントについてなのですが,先ほど濱名委員,そして佐藤東洋士委員からは,アセスメントのいろいろな用語について用語集でまとめていただければというような御要望が出たと思います。それに関連しまして,18ページの(ア)のところを読みますとこういう文章があるのですが,「成果の評価に当たっては」云々で,「どのような具体的な測定手法を用いたかを併せて明確にする」ということで,これは直ちに大学が取り組むこととして挙げられております。
 一方で,19ページの(イ)のところでは,アセスメント・テスト等々把握の「具体的な方法については国際機関における取組の動向や諸外国の例も参考にしつつ,大学連携法人,大学間連携組織(コンソーシアム),学協会等において速やかに,かつ多元的に研究・開発を推進する」というような文章になっております。これを読みますと,例えば大学のほうで速やかにこのアセスメント・ポリシーを立てて実行していかなければならないということになりますと,おそらくこれは前回の部会の中でも指摘もありましたが,そういう専門家がおりませんので,直ちに困るという状況なのです。一方で,こちら,(イ)のほうでは,これから研究開発をするというようになっていると,まだ専門家も,あるいはそういう方法がこれから進んでいく段階で,大学としてはまだ専門家もいないようなところでどのようにこれを実行していくかというのは非常に困ると思うわけです。その辺,どうなのかということと,先日,大学評価・学位授与機構が行った国際シンポジウムで,アメリカからアセスメントの専門家が来られていろいろ説明されておりました。
 日本でこの中に出席されている方で,アセスメントを専門的に行っている人はどれぐらいおられますかという質問をされたら,ゼロだったのです。ということは,これはまさに大学評価というような問題とは違って,実際の学修成果やそういうアセスメントをするということになりますと,そういう専門家を育てていかなければいけないということが一つ,見えてまいります。
 そこで,前も濱名委員からも御指摘があったと思うのですが,やはり大学院部会の中でもいろいろな分野の中で専門家,例えば修士課程を卒業した人たちをどうするかということとも関連してまいりますので,こうした,いわゆるアセスメントができる,これはコンピューターサイエンスであったり,あるいは数学であったり,あるいは社会学の社会調査法を学んだ人たちなのかもしれませんが,そういうことを視野に入れて少し意識したほうがいいという感じがいたします。
 というのは,18ページの(イ)のところで,FDに関しては「専門家(ファカルティ・ディベロッパー)の養成や確保,活用を図る」文言があるのですが,これとやはり対比してその辺りも少し意識して書いたほうがいいのではないかと思うわけです。

【安西分科会長】  アセスメントについては,養成,人を育てることは大事だということは一応入れさせていただいていると思います。

【白井委員】  今回の答申が,現在のようにどんどん変化していく社会であるとか,グローバル化とか,そういうものに対して具体的にこうやらなくてはいけないということを,非常に具体的にまとめていただいたという意味では価値が高いと思っています。
 しかし,本当に大学人がそういう認識でいるのかというと,結構そうでもないと思います。そういうことを言ってはいけないのですが,この答申がそういう大学人に通じていくだろうかというところが一番大事なわけです。そんなことで言うと,例えば8ページに「認識の共有の必要性」と書いてあります。これ,答申の冒頭のところに「高まる大学改革への期待」というのがあって,ここには相当厳しい論調で書いてはあるのですが,なぜ認識の共有が必要で,それは教員側もそうですし,それから,学生に対してそれを伝えなければいけないということを,もう少し冒頭に持ってくるべきではないかという印象を持ちました。
 要するに,大学人は,この答申が出ても大体読まない人が多いという,非常に深刻な状況があるわけです。みんな,そんなことは知っているとそう思っているのですが,本当に分かっているのかというところが問題なわけですから,そういう意味で,まず世の中にはどれだけ深刻で,どれだけ大学人がやらなければいけないのかと,それは学生もやらなければいけないのだということを強く,もう少ししつこく,特に冒頭の方に書いてもいいのではないかとそういう印象がしました。
 ただ,この答申には,今,御意見がありましたが,どうしたらできるとか,こうやらなければいけないという具体的なことが必ずしも書いてあるわけではないのです。ですから,みんなそれぞれの学校で考えなさいという議論になるわけですが,本当にそれでできるのかどうかということです。それは結局,今の高等教育,特に大学,学士課程教育が抱えている根本的な問題,国公私の構造の問題とか,そういうところは一切触れていないのです。要するに,できるような構造というのを与えなければできないのです。そこのところをやはりよく考えなければいけない。教員が割合に,そんなに頑張らないというのはなぜかというと,本当に優秀なすばらしい教員たちがたくさん集まっているところは,国立大学の研究をしっかりやっている大学群です。そういうところは優秀な学生もたくさんいるし,それから教員ももちろんたくさん抱えていると思う。そういうところの人たちは,研究ももちろん大事だし,もちろん教育もしっかりやっておられると思いますが,ここに書いてあるような意識でもって全体を,大学教育というものを引っ張っていくような雰囲気ではないです。私はやはりそこが問題だと思います。
 やはり大学人がこういうことをやらなければいけない,全大学人がやらなければいけないとなったときに,本当に大学教員の主力である人たちは必ずしもこういうことに対して切実な思いを持っておられるのかどうか。一部はもちろん持っておられますが,必ずしも全員がそうではないと思います。やっていないと言っているのではなくて,大学コミュニティー,大学教員のコミュニティーの中で,こういうものが大事だということを共有するような雰囲気に持っていっていないということです。それがまさに私は非常に根本的な問題で,いつまでたっても学士課程教育の改革は進まない。その原因はやはり国立,公立,私立のうち,大部分の学生を抱えているのは私立であり,その私立の教員は教育の面でいいますと,それなりに努力をしていると思います。ですが,限界があります。教員対学生比で申し上げても明らかです。ですから,そういうものに対して,ではどうやるという,何か具体的なアプローチ,構造的なアプローチというものを全大学人が考えなければいけない。
 その中で,今,幾つか意見がありましたが,地域での教育の問題とか,それから,職業教育の問題,これは日本では大変大きい問題だと思います。職業教育の体系というのはどのようにつくるのか。そういうことも含めてシステム全体を見直していかないと,すばらしい教育を,学士課程教育を日本全体で今の進学率,50とか60パーセント,そういう人たちに同じようにやるという概念はちょっとあまり通用しないのではないかと思います。もう少し違った,全体的に今の若い人たち,まあ,若くなくてもいいのですが,どういう教育環境をつくっていけば日本として多くの方に満足感とか,あるいは社会の力とか,そういうものをつくることができるのかという設計にやはり入らなければいけないと思います。そういう意味では,最後に10行ぐらい書いてある今後の課題というのが大きいのですが,特に職業教育の体系,それから地域の問題,そういうところをどうするのか。それを組み直すと設置基準の見直しが出てくると思います。学校のシステムというものを考え直せばです。そうすると,いわゆる学士課程教育を中心にして,手間暇かけて大変レベルの高いことをやっていくような教養教育を中心とする,今の我々が議論している学士課程教育の基準というのはもう少し高くないと,ここで書いてあるようなことを実現するのは現実には厳しいと思うのです。そこの議論を是非,どこかに盛り込んでほしい。
 それから,もう一つは,そういうことでもし少しでも教育のレベルを上げようと思うと,授業料が上がるとか,そういう問題が起こるのです。そうすると,現在の少子化の中で教育費の負担があまりにも重くなるという問題が出てきます。ですから,学生,あるいは親の教育費負担というものがどういうふうになされるべきかという議論はどこかにこれから触れなければならないだろうと思います。

【安西分科会長】  前から何度か申し上げておりますように,答申を出せばそれで変わるということではないので,特に大学の場合には,大学自治というのは権利でもあると同時に大学側の責任だと思いますし,また,大学が置かれている社会構造,制度の問題,そういうことももちろん予算等も含めて非常に大きな要因になっているというふうに思いますので,何かやはりそういうことをうたうということは必要かと思います。

【清家委員】  各委員が言っておられますように,この案はよく配慮の行き届いた完成度の高い報告書だと思っております。特に私ども,私立大学につきましては,私立大学の多様性ということの強調をしていただいて,私どもの建学の理念に基づいた独自の教育を行うという視点を尊重していただいている点は大変ありがたいと思っております。
 それから,もう一つ,大学というのは言うまでもないことですが,答えのない問題を考える力を養う場であるという点についてきちんと書いていただいているということで,その点については,確かにできれば先ほど中西委員が指摘されたことは大切だと思うのですが,要するに画一的にみんなでこういう教え方をすればよいとか,あるいはこういうことを教えようとかいう場ではないという,誤解を招かないような記述は大切であると思っております。
 そういう面では,先ほど,冒頭に佐藤弘毅委員がおっしゃった短大の件はきちんと記述を書き直していただく必要があるかと思いますが,それ以外のところは,これまで出たいろいろな意見をバランスよく記述しておられるので,私どもとしては基本的にこのトーンを崩さないで,この原案どおりにしていただければと思っております。
 その上で1点だけ,私も先ほど,実は浦野委員が指摘された地域との関係というのが少し今,注目すべきではないかと思っておりまして,それはとりわけ,昨年震災がありまして,被災地などにおいてやはり大学,私立大学もそうなのですが,大きな役割を果たしております。
 それで,実は昨日,私ども私立大学団体連合会と佐藤弘毅委員が会長でおられる日本私立短期大学協会と共催で郡山でシンポジウムを開かせていただきました。去年は仙台で行いました。昨日は板東局長にもわざわざお出ましをいただきましたが,やはり被災地の状況は大変厳しく,大学が地域社会に大きな貢献をしております一方で,大学の経営が非常に大きな困難に直面していると同時に,被災地の学生,これは何も大学生だけではなくて,小中高の子供たちから含めて,高等教育を受ける機会が震災によって奪われてしまっている部分も一部ありますので,そういうような点について,この答申の中に,完成度が高いのでこれから書き込んでいただくのは難しいと思うのですが,どこかにそういったトーンを付加することができればお願いしたいと思います。また,あまり無理をなさらないほうがいいと思うので,無理であれば,そういう意見があったということを議事録にとどめていただければと思います。

【納谷委員】  個別的に書かれていることはこれでよくなったと思います。前回は欠席させていただいたのですが,佐々木部会長の方で学修時間のことについて,理由,その他を明確にしてくださったので,今までの議論が見える形になったと思います。
 それとの関連のことも若干含めて,全体について,こういうことはできないかということをお話しさせていただければと思います。先ほど,タイトルの話も出ていたのですが,この1ページのところに,最初に「大学の役割と今回の答申の趣旨」と,こう書いてあるのですが,いろいろ読んでみて思ったことは,後ろのほうの4,5,6のところで,学士課程教育というタイトルでいろいろ書かれているのが非常に多いのです。そういうことを,これも相当集中的に審議してきたこともわかっておりますのですが,まとめ方として,答申の趣旨というのが,この1ページから見た限りでは見えないところがあるというのはなぜかということでちょっと考えてみたのです。それで,30ページのところに既に出されている答申がありますから,そこの2行目にも,「学士課程教育の構築に向けて」という答申を既に出していて,それだけに限りませんが,従来出された答申との兼ね合いの中で,この答申がどういう位置付けがあるかということをもう少し何らかの形ではっきりさせていたほうが扱い方がいいのではないかと思います。
 そこが少し不鮮明になっているということと,もう一つ,はっきり申しますと,この32ページの図表に基づいて,今後課題として残ってくることをいろいろ議論してきているわけですので,これとの兼ね合いで今後の課題ということも触れてはいますが,もう少しそういう意味の位置付けをしっかりしておいたほうが,この答申の持っている意味合いというのが明確に出るのではないか。そういうことを少し御配慮いただいて,タイトルの取り方については,私もこちらに来るまでに考えたことがありますのでまた考えがまとまったら,提出させていただいて参考にしていただければと思います。
 今のことに関連して,この1.では大学の役割と出ている,ここの関係なのですが,非常によくできていると思いますが,この予測困難な時代という,ここはサブタイトルの括弧が入っているここが,前回,タイトルをつくったとき,予測困難な時代における云々と,ここを消すというのか,どうしたらいいものかということで,今回こういうタイトルに変わってきた中で,なおかつこれが残っているということは,出だしの文言としてはどうかという感じはしておりますので,少しお考えいただいて,文章の後ろのほうに最初の1ページの丸のところに困難な時代と書かれているのは,これは残しておいても構いませんが,タイトルの中でわざわざここへ,サブタイトルで括弧の中に入っていくほどの表現をしてしまうと,これまでの議論がどうなのかという感じはしておりますので,少しお考えいただければと思っております。
 もう一つ,2ページのところで,先ほどから議論がなされていまして,最初の丸のところにありますように,役割を担うのではなくて,責務だということは,これはもう言ったほうがよろしいかと思います。
 もう一つ,先ほど清家委員も,ほかの先生もおっしゃられていましたが,地域社会という言葉との兼ね合いが大学の役割の中でもう少し突っ込んで,表に出されたらどうかと考えました。6ページのところに行きますと,グローバル人材のところに少し触れております。先ほどの2ページの国際社会や地域社会の核としてと,ここに書かれていることに関連してのことですが,このグローバル人材のところが,国際社会の中核として云々というところとつながってくるものですから,この6ページの最終行のところで,政府のグローバル人材育成推進会議でこれこれと言っていると,こういう出だしではなくて,むしろ,大学としては今の時代はこういうことだという形に踏み出したほうがいいのではという感じがしました。それは書き方の問題ですから,中身についてとやかくではありませんが,グローバル人材というのはこれから重要な課題ですので,お考えいただきたい。
 それから,もう一つ,地域社会ということもキーワードで出てきます。そのときに,できれば分厚い中間層という言葉が出てきて,先ほど清家委員が震災の地域の人たちの声も出ていて,地域がいかに大学によって維持されてきて,今後とも復興のためにキーになってくる存在であるということも認識されてきたわけですので,そういう意味で,ある部分,もう一つの役割として,分厚い中間層もつくっていくというところも,もうちょっと6ページから7ページに行くまでの間に,もう一つ丸をつけて文章を入れていただいたほうが,特に文部科学省で出された例の文書との兼ね合いもつながってきてよろしいのではないかという感じもしています。できればそういうのも載せておいていただけたらなと思っております。
 そんなことを考えて,全体としてはこれで今回はお願いしたいと思っております。しかし,若干,後でつけ加えたり,いろいろな意見を入れたことで少し重複するところも表現的にあると思いますが,これは事務局のほうで後でまたいろいろ整合して,どこかに集約していただければと思っております。
 全体のつくり方についての意見を述べさせてもらいました。中身は非常に良いと思いますので,これはこれで進めていただきたいと,このように思っています。どうしても学修時間で随分時間を取って,学士課程教育の在り方について大分議論したので,そのタイトルをつけてしまうと,どうも前に出した先ほどのタイトルと同じようになってしまうので,これがどこにウエートを置いて位置付けをするかということを意識を持たないと,二番煎じになってきてしまいますので,30ページのところの最初に出された答申との兼ね合いを考えておかなくてはいけないと思います。
 それから,29ページに改善の経緯についていろいろ書かれてきて,そことのすり合わせ,位置付けを御配慮いただけたらと思っております。今すぐこれこれにしたらいいということまでは考えていませんが,お時間がありましたら総会までの間に補っていただければと思っております。

【安西分科会長】  地域社会についての御意見を随分いただいておりますので,それは是非前のほうに入れていただくようにできればと思います。
 前からの議論でグローバル社会と地域社会が,グローバル社会が別にあって,地域社会がこっちにあるということではないという理解できていると思いますので,日本全体はグローバル社会の中に入ってきているというのでしょうか,そういう状況があるという意味でグローバル社会という言葉を使っている面もありますので,その点,御理解いただければと思います。
 往々にしてグローバルと言うと,英語ができて,外国に行って活躍できるというか,非常にそのように狭く考えがちなのですが,ここで言うグローバル社会というのは日本全体がそういう大波の中に入ってきているという,そういう意味で使われている面が強いと思います。

【村松委員】  学生の力をどう伸ばしていくかということを大学が第一に考えていく重要性が強調されている全体の方向性については,これまでの議論にも加わり,かつ,基本的に賛同しているところですが,一方で,私は教員養成系の大学を担っていますので,その立場から大学の機能の特色との関係で2点ほど発言させていただきたいと思います。
 終わりのほうの具体的な改革方策の中で,まず19ページの(ア)で大学ポートレートの話があって,これは大学分科会でも,大分以前に議論したところだと思います。これを今後どうしていくかというのはこれからの議論だと思いますので,この答申案そのものを修文するというよりは,私も議事録に残していただくという趣旨で申し上げるのですが,「大学ポートレートの重要な役割の一つは,それぞれの大学がその機能や特色に応じて」云々という書き方になっているわけですが,これのつくり方によって大学が持っている様々な機能のうち,何か全体的に見渡せる部分だけが抽象的ということはないかもしれませんが,汎用性のあるようなものとしてまとめられていった場合に,個々の機能や特色というところを質的に記述するだけではなくて,ほかの形はあり得ないのかということで少し考えております。
 例えば,私は日本教育大学協会というところに所属しているわけですが,ここは今,国立大学だけではありますが,教員養成をしている大学・学部の協会です。ただし,教員養成というのは何も教育学部だけが担っているわけではなくて,日本の国公私の大学のほとんどが教員養成を担っていらっしゃるわけです。その機能というのが,特定の教育学部の問題という形ではなくて,どういう成果を上げているのか等々のところについてきちんとした指標みたいなものをつくっていくことが必要だろうということを,先ほど申し上げました国立大学でつくっております日本教育大学協会でも議論を始めているところです。大学全体の大学ポートレートと,それぞれの下に何かそういう分野別の特色のある部分をつけ足せるような,そんな仕組みにしていただけるとありがたいと思っており,教員養成のところに関しましては,私どもも努力したいと思っていることが1点です。
 もう一つが,21ページの(オ)の2行目に「各種国家資格等に係る教育課程指定の在り方について」という文言があり,これは文部科学省に求められることというところではありませんが,専門職業人養成をしている大学として申し上げます。今のところ国家資格ではありませんが,法律で定まっている教職課程には非常に厳密な縛りがあります。今,中教審の特別部会でも,次の総会に答申を出そうとしているわけで,こちらにも御報告があったところですが,確かに教職課程に関する課程認定,教職に関しては指定というよりは課程認定ですが,それがきちんとすることが必要だということで,しばしば厳格化ということが言われています。ただ,形式的な厳格化というのは,ここで言っている質的転換から言うと少し違っていて,実質的にきちんとしていく実質化ということがとても大事なのではないかと思っているところです。
 実際のところ,例えば本学などでは,卒業単位の半分以上が教職課程の単位で,カリキュラム自体が決まってきてしまうような仕組みがあるわけで,一般学部では教職課程の履修のさせ方については更に御苦労されているところがあると思っています。そういう意味で,ここの最初の3行ぐらいの「教育課程指定の在り方について」,これはきっと看護職などほかの専門職に関してのことが相当念頭にあるのだろうと思いますが,ここについて,この答申が出た後に各大学が努力していく範囲というのは,工夫していく余地というのは様々あると思っておりますが,そういう免許法の規定などがこういう改革をしていくときの過度の足かせにならないようにというのを念頭に,速やかに研究を進めていただければと思っているところです。
 また,同じ(オ)の最後の3行のところに,分野別の質保証の取組について言及されています。教員養成教育におきましては,東京学芸大学を中心に国立大学だけではなく,国公私の大学によるコンソーシアムなどを活用した相互評価システムの構築に向けて研究に取り組んでいます。多くの大学の先生方に参加していただいて研究に取り組んでいるところです。このことは,先ほど申し上げました,教員の資質能力向上特別部会の答申のほうでも言及されていると思います。ここでも支援すると書いていただいておりますので,大変意を強くしております。前向きに取り組んでいきたいと思っております。この答申そのものに特定の分野を書くというのは他分野との関係もあるかもしれませんが,例示などでもそういうこともやっているということも一応念頭に置いておいていただけるとありがたいと思っている次第です。

【安西分科会長】  一言だけ挟ませていただきますが,今,村松委員の言われた,教員の資質能力向上特別部会に私も出ているのですが,ここで議論されてきました大学の教育の質の転換ということが,教員養成課程の学士課程においても反映されるように,教員養成大学系の皆様にも努力をしていただきたいと思いますので,それは是非申し上げさせていただければと思います。
 その特別部会においては,そういう教育の方法,教員養成の学士課程における教育内容についてはほとんど議論が行われてきていないと思います。これからだと思いますので,是非お願いできればと思います。

【濱名委員】  まず記述のことで確認しておきたいことがあるのですが,アセスメント・ポリシーについては,16ページ目はアセスメント・ポリシーの確立が重要であると,出だしはいいのですが,後ろへ行くほどトーンが落ちていく印象です。18ページになると,「どのような具体的な測定手法を用いたか」を明確にするとあり,ポリシーを明確にするのに,どう用いたかを大学に求めるというのは,順番としておかしいのではないかというのが一つです。これは山田礼子委員が言われかけたところですが,文部科学省はこういうことを推進するのに何をやるのかといったときに,21ページのちょうど上のあたりにあるように,「教学に関わるデータ分析,テスト理論や学修評価等の知見を有する専門スタッフの養成や確保・活用のために,拠点形成や大学連携の在り方等に関する調査研究を行う」というのは,いかにも大学とか全体のポリシーの位置付けと比べると弱い。ほかの項目としては,大学院のことは前回も申し上げたのですが,トーンが弱過ぎるのではないかと思います。大学にやれと言う割には,国は何をやってくれるのかと思います。調査研究というのはトーンが弱いのではないかというのが1点です。
 2点目ですが,その下の(オ)のところで,指定規則等々については,これは私も専門職領域の方々とその後も意見交換をしているのですが,この書きぶりはちょっと弱いのではないかと思います。例えば教育課程の在り方について「文部科学省として研究を速やかに進めるとともに」では十分ではなくて,その後ろの文脈とは切れていると思うのです。進めるということをやはり断言していただきたい。問題点は何かというと,指定規則等々には教室外学修という概念がないということです。それは,学修時間の問題と一番根本的なところで抵触しているにもかかわらず,そのことが明確でなくて,後半の後ろの文章,要するに汎用的なものと一緒にして議論されると論点がぼけてしまうというのが2点目です。書きぶりを少し工夫していただいたほうがいいのではないかと思います。
 それから,3点目,グローバル社会については英語と外国体験だけではないというお話は安西分科会長がおっしゃられたとおりですが,ただ,一方で,教室外の学修プログラムでインターンシップとサービスラーニングを出していただくのは大変結構ですが,スタディアブロードがないのです。つまり,外国へ行くプログラムについて全く論及されていないというのは,これはショートステイ,ショートビジット等々,様々な形で国が既に支援をしているわけですからもったいない。効果がある3種類の代表的な教室外の学修プログラムですから,アメリカではこの三つは大体並列で出てきます。例えば8ページのところで「インターンシップやサービス・ラーニングといった」になっているのです。普通は「等」か,あるいはその後にスタディアブロードとか,そういうプログラムのことを論及しないと,財務省に予算をどんどんカットされていくばかりで,こういうプログラムの有効性を中教審がきちんと指摘しておかないといけない,学生が海外に行くことも十分に効果のあることなので,記入しておいたほうがいいのではないかということであります。
 それと,もう1点,教員が読まないと白井委員がおっしゃっていた件につきましては,私もそう思うのですが,ではどうすればいいのか。実はこの書きぶりが大学の教員をほとんど意識していない。具体的な提案としては,大学がこれからすぐにやらなければいけない具体的な改革政策が18ページに出てくるのですが,ここで想定されている読み手はマネジメントサイド,学長とか理事長を相手に書いていて,大学の教員には何も語っていないのです。ですから,やはり大学としてはこの答申に書かれているような現状認識と社会から突きつけられているものに対する具体的な状況認識の共有を大学としてするべきだということを書き加えておくというのは非常に重要なことなのではないかと思います。
 そうすれば大学としては答申について読んでいないという,白井委員がおっしゃったようなことがだんだん言えなくなっていきます。読んでいるのが当然と我々考えているのですが,やはり有力な読み手の1グループは大学の教員だと思うので,そういう書きぶりのほうがいいのではないかと思います。

【北城委員】  基本的によくまとめていただいているので,もし修文ができればということなのですが,22ページの一番下から23ページの,特に上のほうにかけてですが,先ほど,濱名委員が日本の企業は採用のときに大学の成績をあまり見ていないと御発言されました。それは事実なのですが,それは今までの教育の仕組みでつけられた成績はあまり企業として参考にならないということが背景にあったと思うので,基本的にはここで書いてあるような,答えがない問題について自ら解を見出していくような主体的な学修の姿勢を持った学生を育てるという,この学士課程教育の質的転換を行えば,それに基づく成績は多分企業にとって参考になると思うので,23ページの上のところの書き方が,「企業に信頼され得るよう適正に評価する」ということでは少し弱いので,「企業に信頼されるように大学は学士課程教育の質的転換を行い,適切に評価する」とか,それを入れたほうがいいのではないかということと,2点目は,22ページの(ウ)のところですが,これは一番下に書かれている*1を参照してこの文章ができていると思うのですが,大学分科会として出すとすれば,もう少し強い言葉でもいいのではないかと思います。
 例えば,「望ましくは卒業年度の夏季休暇以降とすることが考えられる」と,非常に弱いので,せめて「望ましく」を取って,「考えられる」は「求められる」ぐらい,少し強くてもいいのではないかと思います。やはり大学側としては企業はあまり早く採用活動をやってほしくないということです。企業は十分,大学が採用活動に参考になれるような評価をしてくれていればそういうことは使えるので,これは学士課程の質的転換が行われれば,逆に企業は採用活動を遅らせることもできると思うので,ここはもうちょっと強く書いてもいいのではないかと思いました。
 それから,最終的にはここに出ている提言を実行する非常に大事な担い手は大学であり,大学の教員ですが,しかし,全ての教員にこの提言の内容を理解して行動してもらうというのは難しいので,最終的にはこれからの審議の中で出てくることだと思うのですが,やはり大学を運営する学長とか学部長とか理事長が,ここで掲げられている質的転換をどう実現するかというようなことをどうやって支援していくのか。そういう改革が実現できるようなガバナンス体制の在り方について,これは今後の検討審議課題に入っていますが,そこを行わない限り,幾ら書いても教員がこれを全部読んで,白井委員がおっしゃるように,それで大学が変わるというのはなかなか難しいので,やはりリーダーがここで出されたことを受けて,どのように大学を変えていくかということをこれから議論する必要があるのではないかと思いました。

【樫谷委員】  今,北城委員がおっしゃったことと関係するのですが,全体を読んでよくまとめられているのですが,ちょっと残念なことに,大変重要なことが先送りされていると思います。それはガバナンスの話だと思うのです。私も,多分,委員になってもう四,五年たつのですが,最初からガバナンス,ガバナンスと言われていて,またこれから議論を進めるのかと,少しがっかりしているのです。
 確かに非常に難しいと思うのです。大学のガバナンスは知れば知るほど難しいと思います。大学の自主性,自律性と。あるいは研究についても自主性,自律性というものがお互いある。教育もそうです。その中でガバナンスとかマネジメントと,相反することをやらなければいけない部分も出てきますので,非常に難しいと思っております。
 ただ,私の経験では,例えばある地域の再生をやっておりまして,こういうことなら大学の先生に相談すればいいのではないかという話をしたところ,相談しましたが先生方はそれぞれ自分の研究に関係することは興味を持ってやっていただけるが,地元のことを相談しても,大事な課題を相談しても,ほとんど冷たいとおっしゃっているのです。では,地域の推進を責務としてやらなければいけないといったときに,一体それはガバナンスとどう関係するのかということ,これも含めて,これは本当にもう次は逃げずに,このガバナンスが,つまり大学改革を推進し,多様で多目的な大学マネジメントの本質に相応しいガバナンスの在り方について,もう絶対逃げずに議論していただいて,難しいとは思いますが,まとめていただきたいと思っておりますので,よろしくお願いします。

【小林委員】  私は,この原案についてはコメントはもう事務局のほうに十分伝えておりますので,特に申し上げることはないのですが,ただ,一つ提案したいと思うのは,今後の審議の在り方です。これは私が高等教育の専門家として,本日出たいろいろな意見というのは非常に参考になるわけですが,例えば抑制政策とか大学ポートレート,ガバナンス,いろいろなことについて意見を言いたいことはあります。
 ただ,こういった大きな合同会議で一人当たり二,三分しか時間としては持てないというのが非常に気になります。何から何まで議論できるわけではないわけですから,非常に限られた時間の中で,やはりテーマを絞って集中するということが重要だろうと思っております。
 そういう意味で,納谷委員が言われたように,今までの審議の流れを十分書き込んで,今回はこのテーマについてきちんと議論するから,それ以外のことについては今後議論するという,そういうことをきちんと書いていただきたいと思います。
 本日は事務局のほうでは触れなかったのですが,別紙のこれまでの審議の経過というところを見ると,そのことが実は大変明確に書かれておりまして,ここでこれまでどういうことが審議され,今後何が重要かということはそれを読むとわかるのですが,残念ながら別紙はなかなか読まないでしょうから,そこをきちんと書いていただきたいということです。
 その上での提案ですが,この審議の経過を見ますと,例えば部会がたくさんつくられたこととか,ワーキンググループがつくられたというような経緯も全部書かれておりますが,私も二つのワーキンググループに参加いたしまして,大変ワーキンググループでは密度の高い議論ができたと思います。意見に対してまた意見を言うというようなことが,人数が少ないわけですからできます。そういった仕組みがここでも必要ではないかと考えます。
 委員の中には分科会と大学教育部会と兼ねている先生も多いですから,なかなか二つの審議会を兼ねるというのは難しいということもあるかもしれませんが,ただ,こうした大きなところでやるよりも,少しワーキンググループのような方式も考えていいのではないかと思います。例えば,大学分科会というのはやはりガバナンスであるとか財務であるとか,大きなことを議論する場であって,大学教育部会はもう少し教学マネジメントというようなことに特化してもいいのではないか。これはいろいろな考え方があると思いますので御検討していただければと思いますが,そういうことも考えてもいいのではないか。
 本日,いろいろ議論が出ていますが,例えば学士課程教育のプログラム化というのも,実は非常に難しい考え方でありまして,非常に重要だと思うのですが,まだまだ具体化するにはいろいろな問題が入っていると思います。ですから,これは一つのテーマとして十分議論していただきたい。
 それから,本日,短期高等教育の問題とか職業教育とか,あるいは教育費の負担といった重要なテーマも出ていますので,これらをどういう形でつくるかは別にいたしましても,やはりテーマを絞った部会なりワーキンググループをつくるということを検討していただければと思います。

【安西分科会長】  以前,非常に小さなグループでやった経験もありまして,そういう中でいろいろこういう形をとってきておりますし,また,大学教育部会が大変精力的にやっていただいたという経緯もありまして,またいろいろ検討させていただければと思います。ありがとうございます。

【林委員】  改革に対する大学側の意識の話で,18ページですが,具体に取り組む対象が大学,大学支援組織,産業界等々と来るのですが,文部科学省も来ますが,取り組むのはやはり大学あるいは学生,主体となるのはそうあるべきなので,唐突にこれは企業,産業界がやりなさい,地域社会がやりなさいと言ったところで,これはやはり大学が何をそこに向けてやるかということでやらないといけないと思います。
 ですから,この書き方だけですが,カテゴライズするときに,大学自ら取り組むこととか,大学支援組織と連携した取組であるとか,産業界と連携してどう取り組むのかという表現のほうがやわらかくていいという感じがしました。
 それと関連しまして,3ページの基本的な視点ですが,教育は初等中等教育ということの視点が2番目ですし,それから3番目には,教育というのはなかなか成果が出ない。とはいっても,非常に待ったなしということで,迅速ということもいいのですが,この1番目の書き方です。双方向の意見,あるいは客観的なデータ,これはこのとおりなのです。大学改革フォーラムをやって学生の意見も聞き,あるいは学部長,学長のアンケートもやったということで,このとおりなのですが,そこから出てきたのは要するに大学改革は本来大学がやるべきこと,あるいはそこに学ぶ学生が主体的な学びをやるために何をするかというのが今の答申ですが,同時に社会のための教育をやろうとした場合に,社会も無関係ではないということで,社会も自らそういう視点も持ったということ等を,ここに書いていただくと,後のほうとつながってくると思います。

【中野委員】  21ページ,先ほどから話題に上がっております職業教育の点でとりわけ各種国家資格と関わる教育課程の指定の在り方の問題では,つまり,こういった学士課程教育の充実,質の向上をしっかりやっていこうということになりますと,どうしても資格養成で求められている教育内容を履行しなければいけないこととの矛盾が生じてくる点については,先だって濱名委員からも御指摘がありました。ここのところは,ここの部分の記述としては,「文部科学省として研究を速やかに進めるとともに」とあるわけですが,本当にこの学士課程教育の質の向上の転換を目指そうとしますと,このところは大学によっては非常に大きなウエートを占めていると思うのです。
 例えば,社会福祉学の分野などにおきまして,御承知のとおり,社会福祉士及び介護福祉士等の養成に関する法律が出て以降,いわゆる教育内容が関係官庁からの求められる教育内容をしっかりと履行しなければいけないとされています。これは年次報告書等においてしっかりと担保しなければいけなくなっていますので,こういうことは今後,保育や介護や医療等の分野において非常に難しい関係性を持ってくるのではないかと思いますので,是非文部科学省として,ここのところは研究を進めるだけではなくて,例えば関係官庁と調整を図るとか,こういうような形にしていく必要が出てくるのではないかと思います。

【菱沼委員】  一つ,可能であればということですが,2ページに学び直しの機会を持っていこうという主張をし,それから5ページにこれからのこの国の社会の進み方として教育,医療・介護・保育の領域に人材が必要だということをここで指摘しているのですが,学び直しでその領域へ行くという可能性が私は非常に高いと思いまして,そういう方たちが学び直しといいますか,セカンドキャリアで大学で学ぶというときの学びについては今回の答申では含まれてはいないと思っておりまして,各大学の取組,あるいは文部科学省の取組の中に入れられるか,あるいは今後の審議の24ページの(イ)の最後のところに,セカンドキャリアとして大学で学び直す人たちに対するプログラム,大学の姿勢,教員の姿勢の討議も是非含めていただければと思いました。

【勝委員】  それでは,簡単に2点だけ指摘させていただきます。先ほど北城委員が御指摘いただいた部分は前回,私も指摘させていただいた部分なのですが,22ページの(ウ)のところ,やはりここの部分は今の学生の学修への規律付けという意味では非常に重要な部分だと思います。先ほど北城委員が,例えば23ページのところに「大学は質的転換を行う」と導入すべきと言われましたが,これはそのとおりだと思います。もう一つ,つけ加えるとすると,22ページの一番下のところ,大学において身につけた汎用的能力や専門的知識を積極的に問うというところです。これはそのとおりなのですが,やはり学修成果というものを積極的に問うというような形で,学修成果という言葉を入れていただけると,その後ろの部分,つまり大学と企業が連携してお互いに理解し,お互いにリスペクトするというようなことが強調されるのではないかということが第1点です。
 もう一つは,先ほど北城委員が言われたように,その部分の前のところの就職活動の時期の明記についても,是非先ほどの指摘のような形で直していただければと思います。
 あともう1点,6ページ部分ですが,先ほど,納谷委員も指摘されていたのですが,やはりグローバル化への対応といいますか,グローバル人材育成の必要性の部分を表現としてもう少し明確に入れたほうがいいのではないかと思います。といいますのも,やはりなぜ今,日本の大学の教育改革が待ったなしかというと,世界で大きな構造変化が起きていて,新興諸国というものの追い上げも厳しくなっているということです。そういう中で日本がこれからグローバル社会で生きていくには,やはり大学改革が非常に重要だということを指摘すべきであるし,その点から言うと,6ページの一番下のところで「政府のグローバル人材育成推進会議」が「指摘しており」ということになっているのですが,やはりこの審議会でもそこの部分は十分に認識しているというような書きぶりにしていただければと思います。

【安西分科会長】  それぞれ大変貴重な御意見をいただいてまいりました。本日いただいた御意見は是非反映させていただければと思います。
 この件,特に学士課程教育の質の転換につきまして,大学教育部会に大変御尽力をいただいてまいりました,部会長の佐々木委員に是非お話しいただければと思います。

【佐々木部会長】  私の意見は素案をブラッシュアップする過程で,たくさんの書き込みをしまして,事務局に多く取り入れていただきましたので,本日はあえて発言を控えさせていただいたような次第です。
 この間,部会を重ねた一つの効果もあったと思うのですが,議論が全体として収れんしていたと思います。しかしながら,必ずしも方向が一定ではない,委員の先生方の様々な御意見を一つ一つ,本当に丁寧に事務局が拾って,そしゃくをしながら整理をしていった,そのプロセスに非常に頭が下がります。合田室長を初め,事務局の方々の御尽力に本当に敬意を表したいと思います。なお,このお盆を挟んで,本日のたくさんの意見を取り込まなくてはいけないという大変な作業が残っていますが,胸突き八丁を登り詰めていただくように,是非お願いをしたいと思います。
 一つ,この間の感想のようなことを申し上げますが,今回,大学教育改革地域フォーラムを重ねながら大学関係者の意見を,学生からの意見を含めて直接伺って,これを取り入れていくという,この試みは大変画期的であったと思うのです。一方,これは白井委員,濱名委員から御指摘がありましたように,私も大学教員の反応がもうひとつ弱いというか,レスポンスがない。あるいは新聞の見出しだけを読んだような論評,批評を目にしたり耳にしたりします。そういう意味で,私は素案に対して意見を申し上げた一つのポイントは,学生の潜在的な能力を開花させずに送り出してしまうというのは,大学の教員として大変な責任問題であるという趣旨のことを数か所にわたって書き込ませていただいたわけです。
 今後,本審議会としても,このフォローアップをしていかなければいけないわけですし,次の課題の審議を含めて,こういう大学人,大学教員にこの課題,我々の提案を是非受け入れていただくというか,少なくともレスポンスを積極的にしていただけるような機会をつくらなければいけないと,このように考えております。

【安西分科会長】  佐々木部会長初め大学教育部会の委員の皆様に改めて,本当に心から御礼を申し上げたいと思いますし,今,佐々木部会長の言われたとおりだと思います。特に大学の教員が変わっていかないと,大学は変わらないということは皆様お感じのことだと思いますが,そこへ届くように何とかこれから文部科学省も含めて努力をしていただければと思います。こちらも頑張れればと思っております。

【河田副分科会長】  新しい委員の先生方が入られるといつも議論がそれぞれの大学論を論ずるという出発点に戻って,なかなか進まないのですが,今回は非常にいい答申案ができたと思っております。三つ,その理由はあると思います。
 先ほど,佐々木委員が言われたように,やはり学生の声を反映した,すなわち大学教育改革地域フォーラムを12回開催し,実際にそのビデオもつくっていただいて,そういう学生の生の声が入るのは初めてかと思います。そういう意味でこれは重要な,画期的なものであると思います。
 二つ目には,学士課程教育の現状と課題について約2,600名の学長,学部長のアンケート調査を行っていただいた。今後は更に普通の教員のアンケートもとったらいいと思いますが,これが活用されたということも大事かと思います。
 それから三つ目に,私の立場から言うならば,私立大学への目配りというのか,これまでのこういう中教審の答申はほとんど国立大学向けに書かれているのではないかと私は常々思ってきましたが,そういう意味で,私学への,短大への目配りがもう少し必要かと思いますが,そういう目配りがあったということが非常によかったのではないかと考えます。
 それから,白井委員初め皆様方から,教員がこれを読まないという御指摘がありましたが,読ませるように工夫と仕掛けをしたらいいわけです。確かに,無理やり馬を水場に連れてきても,水は飲まないかもしれません。だけど,水を飲ませる工夫をすればいい。ちょうど大学改革実行プランと文科大臣の6月4日の大学改革の七つのプランがありましたが,その中に,メリハリのある国立大学に対する運営費交付金,それから私立大学への私学助成もメリハリのあるようにということですので,例えば,教育プログラムの策定ということで18ページにあります,CAP制,ナンバリングなどを実際に機能させる。私はナンバリングの必要性をずっと言い続けきたわけですが,ナンバリングを各大学の授業科目策定に組み込むのは大変なことだと思います。ですが,これはタイムスケジュール,工程表をつけて,いついつまでに入れなさいと指定する。そうすれば運営費交付金はその実施状況を見てつけましょう,私学助成も──こんなことを言うと怒られるかもしれませんが,これを実行していれば加算しましょうとか,そういう工夫をすれば,一般の教員も読まざるを得ないし,教授会が反対してもこのやり方をせざるを得ない。
 ですから,先生方は,私も学長経験者としての実感では,おそらく,教員は読まないだろうとは思いますが,読ませる工夫をすればいいわけです。読まなければ運営費交付金,私学助成が減るという,そういう,踏み絵と言ったら少し表現が悪いのですが,それをすれば皆さん方,読まざるを得ないですし,今回の答申案が空念仏に終わることなく,きちんとそれが実行策として活用できるのではないか,と私は思っております。

【安西分科会長】  大変貴重な御意見を多々いただいてまいりまして,何とか議論の積み重ねである答申内容が実現されるように,大学側にも努力をしていただきたいと思いますし,こちらも,また文部科学省におかれましても,引き続き是非御尽力いただければと思います。
 地域の問題,あるいは短大,高等教育全体のこと等々,やはり大事なこと,他ももちろん全部そうですが,御指摘いただいてまいりました。本日の御意見を踏まえて,修文は是非させていただければと思いますが,これからの予定といたしましては8月28日に中教審の総会が予定されておりまして,その総会で審議されるということでよろしいでしょうか。

【合田高等教育政策室長】  審議し,答申としてお決めいただきたいと思います。

【安西分科会長】  大学分科会のこの答申を出させていただければと,そういう予定です。
 つきましては,修文につきましては恐縮ですが,私のほうに一任とさせていただければありがたいと思いますが,よろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

 それから,表題の御指摘もありまして,確かに,この表題ですと,いつの答申でも似たような,いつでも未来を創出するので,もう少しはっきり,例えば,ここで突然のように聞こえるかもしれませんが,大学教育の質的転換に向けてという,質の転換ということをやはりきちんと入れたほうがいいのではないかとも思います。ただ,表題を変えるのも一任ということになると,大変大きな問題といいますか,「何故こういった表題に変えたのか」と御意見があることも予想されますので,その辺りを含めてどのようにすべきか,御意見をいただければと思います。

【金子委員】  質の転換というのは私も考えておりまして,非常に的確だと思います。

【安西分科会長】  本日の御意見を伺っておりまして,やはり多くの方に読んでいただきたいと思いますし,議論も含めてこれからいろいろなところでもって,いろいろなセクターが取り上げて,本当に日本の大学が自主的にこれからの時代をつくっていく大学になってほしいと思っておりますので,そういう意味で内容を一言で表すような表題にさせていただければと思いますが,よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【安西分科会長】  ありがとうございます。
 それでは,一応,基本的には「大学教育の質的転換に向けて」というのでしょうか,副題はまた別といたしまして,それも含めてお任せいただければと思います。基本的には今,申し上げた表題とさせていただければと思いますが,よろしいでしょうか。それでは,そのようにさせていただきます。一応,今,申し上げたことも含めて,私のほうに文章は一任とさせていただきます。ありがとうございました。

【板東高等教育局長】  どうも熱心な御議論をありがとうございました。おかげであと一歩ということですが,いい形で答申としてまとまってまいりました。
 先ほどのように,表題は私も質的転換というのを真正面から端的に出すのがいいと思っておりまして,大学改革実行プランのほうも,実は,質的転換ということを繰り返し言わせていただいておりますので,それとうまく連動していく意味でも非常にわかりやすくなるのではないかと思っております。
 それから,先ほどからの御議論でまだ議論し尽くしていないこともたくさんありますし,それから,例えば先ほどお話がありました,短期大学の話とか職業教育との関わりの話,あるいは国公私を含めてのいろいろな大学の役割の在り方の話,そういうことを全体を含めますと,今,大学ビジョンというのを今年度中に議論しようということになっておりますので,また,これは大学分科会で御議論をお願いしたいと思っておりますが,そういう中で先ほどから御指摘のことについてはもう少し突っ込んだ議論をしていただきながら,文部科学省として大学ビジョンをまとめていくという作業をさせていただきたいと思います。
 そのほか,いろいろ専門的な御議論も更に必要な部分もあるかと思いますので,先ほど小林委員が御指摘の点もそうですが,それについてはこの分科会なのか大学教育部会なのか,あるいはもう少し専門的な議論の場なのか,様々な可能性というのはあるかと思いますので,それについてはまた検討させていただきながら,専門的な議論も必要な部分をもう少し突っ込んだ議論ができるような形で考えさせていただきたいと思います。
 いずれにしろ,本当に集中して御議論いただいてここまで来ましたことを改めて感謝申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

【安西分科会長】  改めて委員の皆様,長い間,大変貴重な御意見をいただきまして,これで終わりではありませんので恐縮ですが,心から感謝を申し上げまして,また,文部科学省,局長をはじめ室長も含めて本当に長期にわたって御尽力をいただいてきておりますし,文部科学省にも感謝を申し上げまして,この本日の会合は閉じさせていただければと思います。

 

── 了 ──

 

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

-- 登録:平成24年10月 --