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大学分科会(第104回) 議事録

1.日時

平成24年4月20日(金曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省 東館3F 1特別会議室

3.議題

  1. 中長期的な大学教育の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

(分科会長)安西祐一郎分科会長
(委員)金子元久,北城恪太郎,長尾ひろみ,菱沼典子,宮崎緑,村松泰子の各委員
(臨時委員)有信睦弘,樫谷隆夫,勝悦子,河田悌一,川嶋太津夫,北山禎介,佐々木雄太,佐藤東洋士,島田尚信,清家篤,谷口功,中西友子,中野正明,林勇二郎,深尾京司,宮田裕子,山田信博,吉田文の各臨時委員
(専門委員)黒田壽二,小林雅之,白井克彦の各専門委員   

文部科学省

板東高等教育局長,土屋科学技術・学術政策局長,清木文教施設企画部長,常盤高等教育局審議官,髙橋大臣官房会計課長,義本高等教育企画課長,勝野私学行政課長,森田私学助成課長,牛尾私学部参事官,池田大学振興課長,藤原教職員課長,合田高等教育政策室長,小谷教育制度改革室長,西山学校法人経営支援指導室長,松坂私学経営支援企画室長,齋藤高等教育局視学官,森友教育改革推進室長,鍋島教員養成企画室長,杉江高等教育政策室室長補佐,小山田高等教育政策室専門官 他

5.議事録

(1)大学改革タスクフォースの検討状況について,文部科学省から資料2の説明があった。

【義本高等教育企画課長】  お手元の資料2の大学改革タスクフォースのこれまでの検討状況と,それから机上に配付させていただいております資料1,2,それから新聞記事等を参照させていただきながら御説明させていただきたいと思います。
 まず,大学改革タスクフォースですが,本分科会でも何度か御報告させていただきましたが,昨年11月21日の政策提言仕分けをきっかけとして,大学改革全体像について省内で議論し,方向性について整理していくということで,副大臣のもとで3月まで7回,これまで開催させていただいたところです。テーマについては,この資料の2枚目に政策課題例というのを挙げておりますが,こういうテーマについてこれまで議論を重ねて,改革の方向性やおおむねのスケジュールなどを含めました全体像を改革のプランとしてまとめるべく,今,整理を進めているところです。
 ここの政策課題例にあるようなことをテーマにして,全体として四つの軸を中心に整理をしていきたいと思っております。
 一つ目は分科会,それから大学教育部会でも御議論いただいている,学生がしっかり学び,その能力を考える力を培っていくという,いわゆる大学教育に関わるものでして,まさしく分科会の報告の内容と軌を一にするものですが,その中でもこの政策課題にあるような質の転換の問題。それから高校教育と大学教育を通じた学力保障をどうしていくのか,その接続の問題。それから大学における教育水準の保証をどうしていくのかというテーマで,一つの軸として整理をさせていただきたいと思っております。
 二つ目が大学の機能強化あるいは機能別分化の促進のための大学づくりということで,これもこの政策課題の3ポツにあるものに関連いたしますが,大学教育の質的な転換を図っていく,その基盤となるようなシステムづくりということで,情報公表とか,それから評価制度の見直しの問題,あるいは客観的な指標の開発をすることによって,その大学の姿を明らかにしていく。あるいは大学間の連携,あるいはグローバル人材の育成の問題,それから研究力の強化等々をテーマにして,具体的な改革の方向性を整理させていきたいと思っております。
 それから三つ目が,地域と大学の問題についてもこのタスクフォースで議論しておりますが,地域における連携の強化ですとか生涯学習の機能,あるいは地域課題の解決への貢献というような,地域のまさしく核となるような大学づくりということについてのテーマを考えていきたいと思っております。
 それから四つ目は,今申し上げた3点を支えるものとして,改革を推進するためのガバナンスのあり方,あるいは財政基盤の自立ということで整理をさせていただき,議論をしております。
 必要な事項については,さらに文部科学省内で,あるいは場合によっては中教審にもお諮りさせていただいて,その整理をしていきたいと思っておりますし,夏までには概算要求に盛り込む事項等々について整理をさせていただきますし,また計画的な推進が必要な事項については,教育振興基本計画にも反映させていくべく用意をしたいと思っております。
 そういう形でおおむね議論をしておりますが,その話は,実は国家戦略会議の議論とも関連いたします。資料2の4番目にそこを書かせていただいておりますが,4月9日に国家戦略会議が開催され,そこで民間議員の方々から大学の統廃合を含む大学改革のあり方の問題とか,国立大学の運営費交付金とか,あるいは私学助成のメリハリある配分等を含めた改革の提案をいただいております。
 それでは,そもそもこの国家戦略会議がどういう位置づけにあるかということですが,日本再生戦略というものを内閣を中心にまとめようという動きがありまして,その中で人材の育成が一つの重要なテーマになっており,4月9日に平野大臣が臨時委員として呼ばれ,教育の改革あるいは人材育成の全体像について説明されました。それが机上配付の資料2「人材のイノベーションによる日本再生の実現に向けて」というものです。時間の関係上,詳しい中身は省略させていただきますが,3ページをめくっていただきまして,初中教育から,グローバル人材の問題,大学自身の改革の問題,教育の機会均等,キャリア教育・職業教育の問題の五つの柱に整理しておりますが,特に大学改革については,7ページをお開きいただきますと,先ほど口頭で申し上げましたとおり,改革の方向性については,先ほどタスクフォースでの議論と軌を一にする形で整理し,まとめていこうという内容になっております。
 新聞にも出た民間議員の御提案については,机上配付の資料1ですが,特にその資料の3ページ目に教育のシステムの抜本改革ということで,ここにあるような次世代を見据えた教育システムの抜本改革ということで,六三三制の学制のあり方も含めた教育体系の見直しという話とか,2番目として大学の統廃合等の促進を含む高等教育の抜本改革ということで,ここに4点ほど細かい点が並んでおりますが,国立大学の運営費交付金のメリハリある配分とか,あるいは私学助成についても同様なことについての検討とか,それからリーダー人材の育成という観点からの授業料減免等の強化,それから国立大学の運営費交付金,私学助成,あるいはすぐれた取組へのファンディングを含めた,統廃合も含めた大学改革の促進,それに関連して高等専門学校の増設等々も触れられております。
 特に,新聞でも統廃合の問題とか,メリハリある配分ということについての記事が出ておりましたが,平野大臣からその会議においては,統廃合によって地域から大学をなくすという発想ではなくて,大学の連携を強化しながら教育研究力を高め,人材の質を高めること自身がまず必要だということで,その結果として取組が不十分な大学が淘汰されることはあっても,統廃合を目的として政策を推進すること自身は教育水準を高めることにはつながらないということについて,明確に発言をさせていただいておりますが,総じてこの議論においては財政的な観点からの議論が中心で,なかなか人材の機能強化等については深まらなかったという状況でした。
 いずれにせよ,5月に国家戦略会議が開催され,大臣から改めて,大学の問題も含めて,教育改革の問題全体像についての方針を御報告する予定になっております。

(2)私学助成の仕組みと交付状況等について,河田副分科会長から資料3-1,3-2の説明があり,その後,意見交換が行われた。

【河田副分科会長】  今,事務局から,大学改革タスクフォースの検討状況および国家戦略会議の議論の状況について説明がありました。私としては,その国家戦略会議での意見,特に大学の統廃合等の促進について私立大学の場合,また,メリハリをつけた私学助成の配分を行えということに対し,若干の反論の意味を込めて,3点お話をさせていただきたいと考えます。
 まず第1番目が,資料3-1を見ていただきたいと思います。現在,私立大学の経営を活性化させるという意図をもって私学助成はすでに行われていますが,それがいかにメリハリをつけながらやっているかということを,論じたいと存じます。表を見ていただいたら分かりますように,私学助成というのは,37年前の昭和50年にできたときには,資料左下の橙色のところにあるごとく,速やかに国の補助を2分の1の補助にすべきだという附帯決議がついておりました。しかし現在の状況は,わずか1割に過ぎません。これをまず申したいと思います。
 そして,メリハリをつけた私学助成配分をしろ,とのことですが,資料右下の黄色の上のほうにある通り,メリハリをつけた私学助成というものがすでになされている。特に新成長戦略などを踏まえながら,社会人学生の受け入れとか,国際化への対応とか,今週火曜日にも大学院部会がありましたが,4年制一貫クオリティーイグザムをする,そういうところの大学院の機能の高度化とか,こういうことを踏まえながらメリハリをつけた助成をしているということを,やはり知っていただく必要があるのではないかと思います。
 それから,左下の青い表を見ていただいたらわかりますように,昨年度,一般補助と特別補助の大幅な組み替えを実施しました。学長がその裁量ができるような,あるいは理事長が経営戦略に基づいて運営ができるようなメリハリのある配分ということで,人件費補助では決してなく,基盤整備を主にしながら,そして特別補助はすでにメリハリをつけて分配されているというのが事実です。
 それから,下の黄色い部分にありますように,今,大学は私立大学が600校ありますが,1校,白井委員の放送大学は私学助成をしておりませんので,実際は599の大学を対象にして助成をしている。また,高専の場合,あるいは短大の場合合わせて366あるうちの329校に助成するということで,何でもかんでも私学を定員割れから守るためにやっているというわけでは決してありません。問題があった大学は申請ができないし,創設したばかりの大学については4年間成果を見て,4年たってから出しています。つまり39校には出しておりませんし,短大の場合も37校には,助成していません。問題校にはきちんとメリハリをつけて,どんな大学にでも出しているわけでは決してありません。分配している3,115億円というのは,国立大の運営費交付金によりますと東京大学,京都大学,大阪大学,東北大学,九州大学,筑波大学,6大学分の金額が大体3,250億円ぐらいですから,それぐらいの金額をとにかく560校の四年制大学と329校の短大に分けている。ですから,多額の私学助成をいただいているわけではありません。しかし,国税をいただいているわけですから,我々としてはそれを有効に使わせていただいているということは言えるかと思います。それがまず第1点のことです。
 それから第2点ですが,それは机上配付の資料,分厚いものなので,傍聴の方々にはお手に入らないと思いますが,私ども私学事業団では私立大学の運営の手引きということで,戦略的な連携・共同事例集というのをつくっております。これは平成22年の前期の中教審のときに,こういうことをせよということで,やらせていただいたわけです。四種類の資料をつくっております。それについては,もう既にお配りしたのもありますが,経営状況がわかるもの,それから「自主的な撤退についての留意事項」というのも1冊つくっております。それから今回出しましたのが「戦略的な連携・共同の事例集」ということで,先ほどタスクフォースで御説明があったような形が既に実施されているということが言えるかと思います。
 この「戦略的な連携・共同の事例集」から三つの例について御説明したいと思います。一つは大学間連携ということで,69ページを見ていただきたいと思います。そこにありますように,神戸のポートアイランドにある4大学が連携しながら,そういう大学間連携の事業をやっておられて,非常に成果が上がっている。特に,大学の入試広報とか図書館,学生支援,教務,キャリア支援,社会連携などを共同で行っておられる。そして共通の教養科目もつくられている。大学の施設を共用しながら,かつ食堂なども共用しておられる。そういう例があります。ですから大学間連携も,そういう形態が,私立大学が統廃合するのではない形で,成果が連携によって得られているということです。
 二つ目は地域連携ということで,45ページにありますが,松本大学という大学が特に先進的な取組をしています。平成14年に信州にできた500人以下の小規模な大学であって,入学定員320名という,2学部からできている小さな私立大学ですが,約9割の卒業生は全て長野県でお勤めになっている。地域づくりをするための,長野県とくに松本市を中心とした行政と非常に密着しながら,信州に必要な教育をされている。こういう例があります。あとは読んでおいていただきたいと思います。
 それから三つ目は産学連携ということで,静岡の産業大学の寄附講座です。平成6年に静岡県,磐田市,藤枝市など自治体と県内有力企業の支援で誕生した大学で,これも500人以下の2学部の小さな大学です。が,地元企業の協力を得まして,冠講座,寄附講座を34つくられている。これは質・量ともに日本でおそらく一番誇れるものであろうかと思います。かつてブリジストンに勤め米国法人の責任者であった大坪学長のリーダーシップのもとで,特に寄附講座は人件費や旅費,その講座開設にかかる一切の経費を企業が出していただいているということが覚書に明記されている。地方の小規模大学,しかも文科系の大学ですが,この大学はそういう意味で,大都市の大学でなくても多数の寄附講座を集めることが可能だという三つの実例を示していると思います。
 それから第3点目が,我々が私学事業団としてどういうことを行っているかということです。これは私が2年前に事業団の理事長になりましたときに,当時の鈴木副大臣及び私学部長などと御相談をいたしまして,当時は今以上に定員未充足の私学が地方で多かったということで,やはり大学の理事長には教学のことを,学長には経営のことを知っていただきたいということで,そういうリーダーを集めて全国で行わせていただきました。資料があると思いますが,第1回目は全国7カ所,136法人,約200名がお集まりいただきました。当時の中教審の金子委員も,江上委員,黒田委員,樫谷委員,有信委員,川嶋委員にも出ていただいています。また第2回目,去年は6回開催をいたしました。116法人141名の参加者をえて,鈴木寛副大臣,あるいは有信委員,北城委員,小林委員にも御協力をいただきました。本年度はそこにありますように,四つの会場で5回開催ということです。篠田委員,山田委員,納谷委員,この分科会からは北山委員,黒田委員に出ていただいて,中教審の意見を私立大学の教学と経営に反映していただくということを考えております。また9月には2泊3日で事務職の方々の研修,私立大学はやはり教職協働ということが必要ですので,それを実施したいと思っております。
 ですから,以上のごとく私立大学は,それぞれ建学の理念にのっとりながら経営の努力をしておりますし,それに対して戦前のように国家権力によって,あるいは政府や企業,財界の方々によって統廃合しろとかというのは,私としてはやり過ぎなのではないかと思っております。幸い平野文科大臣は,そういう大学の統廃合自体を政策に推進することは目的と手段が逆であるし,日本の教育水準を高めることにはならないと言っていただいております。また,国立大学の交付金とか私学助成というのは大学の維持・運営に必要な,基盤的な経費であって,これを削減することはおかしいのではないかと言われています。もちろん,我々としても,私学はそういう御意見を真摯に受けとめ私立大学の教学と運営を行っていく必要があるということはよくよくわかっております。
 以上,3点を申しました。

【清家委員】  ただいまの河田委員の御説明,私ども私立大学の関係者として全く同感でありまして,それに少し補足して申し上げたいと思います。
 御承知のとおり日本では,私立大学が大学生の4分の3の教育をしております。これに対して,先ほどの御説明にもありましたように,公費の投入額は3,000億円強ということで,これは国立大学への投入額の4分の1という水準です。つまり,まず1点申し上げたいのは,日本は極めて小さな公費負担で高等教育の大半が担われているということでして,その意味で,この公費による私学助成というのは,そうした高等教育を担う私学の基盤的経費を支援するための制度でありまして,私どもはもちろん研究等については,競争的な資金やプロジェクト経費というものが必要であるとは思っておりますが,あくまでもこの私学助成は,極めて安価なコストで高等教育を担っている私学の基盤的経費を支給するという意味では,競争的資金やプロジェクト経費とは異なるものであると理解をしております。
 しかも,当初の私立学校振興助成法の立法趣旨から言えば,その2分の1が補助の対象になっていたはずですが,現在はまだ10分の1に過ぎない補助を受けているということで,この点は,一部には私学の経営がこの助成金で成り立っているという見方をされる方もおられるかもしれませんが,それは全く逆であって,日本の高等教育は私学の負担によって辛うじて安いコストで成り立っていると理解していただきたいということが第1点であります。
 2点目は,私立の学校,これは大学に限らずですが,宗教法人立の学校も含めて,それぞれ建学の理念に基づいて個性のある教育を行っている,あるいはその学校運営を独自の方法で行っているわけでして,このことが日本の教育,特に高等教育に多様性をもたらすことに大きく寄与しており,このことはとりわけ現在のように大きな変化の,あるいは多様性が求められる時代には極めて重要になっていると思います。特に,先ほど河田委員が事例で紹介されましたような地方の私立大学は,地域社会の人材の育成であるとか,あるいは地域の文化基盤として極めて重要な役割を果たしております。ちなみに,もう一つだけこの点に関連してつけ加えさせて頂きますと,今回の震災で,例えば石巻専修大学が地域の復興の拠点として不可欠の役割を果たされたという事例,あるいは仙台において,これは国立大学も含めてですが,復興のために大学間が連携されているということは,まさに地域の存立のために私立大学が極めて大きな役割を果たしているということの見事な事例だと思います。この点をもう一つ押さえさせていただきたいと思います。
 そして3点目に,これも河田委員が触れられたことですが,私立大学は従来から学校法人がその経営を担っており,この点は,新たに大学法人となった国立の大学とは全く異なるわけでして,もともと私立大学には,言うまでもないことですが,建学のときから法人の経営というものがあるわけです。そしてその中で,経営と教学が協力をしながら,また時には緊張関係を持ちながら大学経営がされてきたわけでして,その大学経営のあり方というのも教育のあり方と同じように,特に私立大学の場合には多様な形態,あるいは多様な運用があるわけで,またそれが多様な教育を支えていると思っております。それを,例えば助成金等を使うことによって,国の方針などに沿うよう一定方向に誘導することは,むしろ大学経営の画一化を進めることになるわけでありまして多様性の確保ということに逆行します。これも先ほど河田委員が触れられた大学間の連携あるいは統合等も含めて,あくまでも私立大学の自主性を尊重すべきものであるということを強調させていただきたいと思います。

【長尾委員】  おっしゃっていただいたことと同じことを申すようになるのですが,広島という地方の小さな大学として,明治時代,126年も前から建学の精神を明確に持って,私の大学は地方の女性のリーダーシップを育成してきました。このような学校が全国にたくさんあります。そういったところを,統廃合という言葉で括られてしまうと,どのように今まで長い歴史の中で教育を行ってきたのか,それぞれの大学がそれぞれの思いで,地域に貢献してきたという自負を持っている。そこのところを一つの言葉で括っていただきたくないと思います。
 また,各地域で未来を担う人材を育てており,それぞれの思いで私学は頑張っております。ですから,それを支援していただく私学助成も,ぜひとも見直しなどなく,基準にメリハリを持たせ,むしろより多くしていただきたいという希望があります。

【中野委員】  私のところは私学ですが,先ほどの御説明にありましたが,私立学校振興助成法の成立をしたときの事柄というのは非常に重要ではないか。
 2分の1の附帯決議ということが最前提としてある中で,統廃合という言葉が出てくる背景というのは,やはり財務の問題だと思いますが,結果的にそのことを進めていくことによって考えられることは,学生の負担ということですので,あるいは学生の負担ということは,授業料に関して保護者が支援していく財政の問題からすると,それぞれのご家庭の状況という国民全体の生活そのものに関係することになってくるわけですから,そういうことから出てきたのがこの私立学校振興助成法だと思いますので,この私学助成を減ずるような方向とか,あるいは統廃合とかということになってきますと,国民の生活水準によって進学あるいは進路等の行く末を左右するようなことになってしまい,非常に根本的な問題になるということと,それからもちろん大学においては,機能別分化ということが今この中央教育審議会大学分科会で話されておりますが,その目途というものからしても,全く精神が相反する方向になってしまうのではないかと思うのです。この機能別分化においてそれぞれの国民の,あるいはまた学生さんの将来への希望や進路等に応じた,建学の精神などに基づいた教育の内容というものによって,いろいろな大学がそれぞれ存在意義を持っているわけですので,そういうことから考えますと,単なる統廃合だとか,あるいは財政面だけの観点によってそういったことを考えていくことは,将来の国民をどのように教育していくのかという議論については,非常に後ろ向きな議論にしかならないのではないかと思います。

【黒田委員】  私立学校についての御意見は,皆さんもう既に出ていますので,私も同感であります。特に地方の私学,定員割れを起こしているところもあるんだという世間的な評価がありますが,これは物質的に,地理的に,定員を充足しない地域というのはあるわけです。そういう中で私立大学が非常に頑張って,地域連携をとりながら地域の活性化に貢献しているということも,ぜひ評価をしていただきたいと思います。
 それから,私が大変気になるのは,4月8日に出た日本経済新聞の朝刊でありますが,これは全く実態を知らずに書かれていると思うのです。私学助成があたかも私立大学の人件費に対して補助が出ているような書き方になっていますが,これは計算の基礎として人件費,人数が教員の数,それから学生の数をカウントして配分するということであって,あくまでも教育・研究のための基盤的経費の配分ということで,人件費を対象にして出しているのではないということは,皆さんに御理解をいただかなくてはならないと思います。
 この新聞記事だけ見ますと,私学が大変無理な経営をしながら,補助金だけを取っているという書き方になっているわけです。ですからメリハリをつけたり,統廃合をしろということになるわけですが,日本がこれだけ発展をしてきたのは,私立大学の成果が非常に大きいと思うのです。というのは,画一化された人材を養成していないということなのです。多様で多層な人材を養成しているのが私立大学なのです。それは,それぞれの大学が建学の精神を持って,その建学の精神に基づいて教育の目的を定めて,教育をして,人材を世に送っているわけです。それがこの日本の多様な制度の中で生かされてきている。それがなくて画一化してしまいますと,そういうことがなくなり,日本の国家そのものが衰退するということでありますので,今のような日本の制度は非常にすぐれた制度だと思います。
 国家としては大変安い投資でこれだけの人材を養成できるという,その辺のことを御理解いただきたい。これは私学自身が社会に訴える力がまだ弱いのだろうと思うのですが,その訴える力が,今言われている教育情報の公表の問題でありますが,これは私学人自らが率先してやって,自分の大学はどういう大学なんだということを世に知らしめるということが先決であろうと思うのです。そして国民の理解を求めていくということが大事だと思いますが,とにかく,ある一方的な考え方で国民の考えを強制するような記事というのは,私は理解に苦しみますので,ぜひ私学というものに対する日本における地位の向上を図っていかなくてはならないと思います。

【菱沼委員】  私も私学に勤めている関係上といいますか,今いろいろな御意見がありましたことに賛成です。私立大学が建学の精神に基づいてそれぞれの教育理念のもとで非常に努力をし,頑張っているというのは,自分たちを言うのもおかしいのですが,そう思っております。私は特に授業料の格差が課題だと思っています。そのためにせっかくの私立のいろいろな工夫が生かされない場合があります。私学助成金が非常に少ない中で学生自身が,あるいはその家族の国民が,授業料の負担に国公立大学と非常に大きな差を持ってやっているという不公平感がやはり問題だと思います。国民の負担は一律になるというような予算の考え方ができないものかと非常に課題に思っております。

【北城委員】  この私学助成がどれだけ効果的に使われているかとか,あるいは国立大学の運営費交付金の水準がこの水準でいいのか,いろいろな議論があると思います。これはすぐに結論を出すというよりも,日本はこういう形で今まで高等教育に取り組んできたのですが,もう少し諸外国はどういうふうになっているのかも調べてみるべきと思います。例えばアメリカであるとか,あるいはヨーロッパの大学に対する助成はどういうふうに行われているのか。それぞれの国の大学のあり方が違うので,そのまま全て参考になるということではないのですが,もう一回この私学助成のあり方であるとか,国立大学の運営費交付金の水準であるとか,配分の仕組み等が現在のままで効果的なのかどうかというのは,別途ゆっくり時間をかけて検討してみたらどうかと思います。よくアメリカの大学の学生は何時間勉強する,日本の大学はこれだけしかしていないという数字が出ていますから,そういう海外との比較もいろいろな政策を考える際に参考になります。この私学助成と国立大学の運営交付金のあり方についても,一度海外の状況はどうなっているのかを教えていただければ,議論の参考になるのではないかと思いました。

【佐藤東洋士委員】  今まで河田委員からいろいろ御説明があって,なおかつそれぞれの委員の方から御意見があったことに尽きるとは思いますが,私は前の第5期で新しい大学のあり方,制度のあり方の中で,我が国では今まで伝統的に国公私という考え方をしていましたが,8割の学生の教育を担っている私学をその中心点にして考えたらどうか,つまり私国公という考え方もあるのではないかということを申し上げた記憶があります。そういう意味では,私学を抜きにして日本の大学教育はもう成立しないわけですから,そこは十分に私学助成を図るべきではないでしょうか。昭和50年に私立学校振興助成法の附帯決議が50%,2分の1まで補助をするとしましたが,まだまだそこには至らないということですから,やはりできるだけ考えていただきたいと思います。
 それから,そういう流れの中では,私たち私学が担っている教育というのは,国立や公立とは違うということではなくて,大学教育という使命・目的では同じことをしているのだと思うのです。そういうことから考えますと,助成金や補助金など様々ありますが,国から助成をするというよりも,国の教育分野における私学に対する応分の財源の配分であるというふうに発想を変えるべきではないかと思っています。

【白井委員】  私も以前から私学は学生の大部分を引き受けてやっている以上は,大学教育というのか,特に学部教育でしょうが,その部分に関しては私学を中心に,ここの会でも議論していかなくてはいけないということは申し上げてきました。そういう観点に,まずここの議論をある程度変える必要があるだろうと。一方で,グローバル人材とか,リーダー層をどういうふうにやっていくんだということも非常に大きな問題ですから,これはこれでやればいいわけです。その両方あるというわけです。特に地域等々で頑張っている学校,そしてそこの学生,あるいは教員という人たちが,現実に最近は非常に目に見える形になってきているわけであって,やはり地域の活性化,あるいはそこで育っていく中間層の厚さ,そのレベルの高さというものが今後の日本を決めていくということは,やはり一つの大きな,大部分のコンポーネントであるということは事実だと思うのです。
 もちろん,本当のエリートが頑張ることもまた一方で必要ですから,それはそういう学校がしっかり位置づければいいのであって,そこのところの考え方が,この中教審の議論はこれまで質保証とか機能別分化は言ってきたのですが,質保証を言うと,我々の感覚で言うとどこの大学も同じようなことをやらなくてはいけないというふうに受けとられる。ですがそれはそうではななくて,日本の大学もそれぞれの地域とか,いろいろな大学の立場,建学の精神というものによって明らかな違いがあって,それがうまく運営できる形をするべきだという議論だと思うのです。そういう方向にやはりここを変えていかないと,なかなか大学改革というのは無理があると思うので,統廃合,文部科学大臣もそういうふうにおっしゃっていないから,安心していますけれども,統廃合をやるというようなことを最初に前提として議論するのは,あり得ないことだと思います。

【安西分科会長】  国家戦略会議も動いており,また大学改革タスクフォースが文部科学省の中で動いている状況にありまして,そういう中での大学教育改革ですが,今のいろいろな御意見,また一方では日本の大学が本当にこれからどうしていけばいいのかということについて,学生の学修時間がやはり少ないのではないかとか,そういう課題も言われておりまして,そういう中で私学の経営支援機能については,やはり充実が求められ,また努められるということではないかと思っております。

(3)教員の資質能力向上特別部会の審議状況について,文部科学省から資料4の説明があり,その後,意見交換が行われた。

【池田大学振興課長】  それでは,資料4に基づいて御説明をさせていただきます。資料4は1枚目に,これまでの審議状況について書いてありまして,2ページ目から6ページ目までが概要です。7ページ以降が報告の本体ですが,お時間の関係で,6ページまでのところを使って御説明をさせていただきます。
 これまでの特別部会の審議状況ですが,そもそもこの特別部会は平成22年の6月に諮問がなされ,このときに特別部会が設置されております。その後,23年の1月に審議経過報告がまとまりまして,23年の6月から関係団体の意見を聞きつつ,ワーキンググループを設置して,ここで計7回の審議がありました。今週18日に,この基本制度ワーキンググループの報告が特別部会に報告されております。
 その内容については,概要がここにありますが,大きく分けて三つのパーツから成っておりまして,現状と課題を分析した上で,今後の方向性,改革の方向性についてまとめていただいております。それから,将来的な改革の方向性に向かって,まずできることからステップを踏みながら段階的に実施していくということで,三つ目のところに当面の改善方策ということで提言されております。今週18日の特別部会では,このワーキンググループの報告を,いろいろ御意見いただきましたが,方向性としてはおおむね了解をいただき,今後部会としての取りまとめに向けた審議を行う予定です。
 内容については,2ページ目からの概要に沿って御説明をさせていただきますが,まず1のところで,現状と課題ということで整理をしておりますが,社会の急激な変化に伴って諸課題への対応が必要であり,また求められる人材育成像の変化への対応も必要です。次のところにありますように,初中段階での学校では基礎的な知識・技能の習得に加え,思考力・判断力等の育成とか,学習意欲の向上や多様な人間関係を結んでいく力などを重視されるということで,このため,今後の教員養成については,新たな学びを支える教員を養成していくということと,それから学び続ける教員像の確立が必要だと,求められているということでまとめていただいております。こうした状況を踏まえて,教育委員会と大学の連携・協働により,教職生活全体を通じて学び続ける教員の継続的な支援ということで,一体的な改革を行う必要があるということです。
 具体的な改革の方向性ですが,ローマ数字の2のところです。まず,最初に改革の方向性ということで,一番下の丸のところで整理しておりますけれども,教職大学院等による改革モデルを参考としつつ,修士レベルでの学びを教職生活全体の中に組み込んでいく。これが基本的な方向です。そのために,ポツで幾つか整理しておりますが,養成段階でも実践的な指導力をきちんとつける。あるいは,学校自体が小規模化したり,多様化・多忙化しておりますので,学校現場だけに実践力の育成を依存することは難しくなっているという状況もあります。そういった状況を踏まえて,1枚めくっていただきまして,方向性としては教員養成を修士レベル化し,教員を高度専門職業人として明確に位置づけるということです。
 以下,より具体的な改革ですが,教員免許制度の改革です。一つは,一般免許状と基礎免許状を創設するということです。一般免許状は標準的な免許状として,学部4年に加えて1年から2年程度の修士レベルの課程での学修を前提としております。この修士レベルというのは,学位と直接結びつけるというよりも,教職大学院や一般の修士課程だけでなく,これらに類する学修プログラムを経た者も認めるということで,緩やかな修士レベルの課程での学修ということで整理をしていただいております。
 それから基礎免許状ですが,教員として教壇に立つのに必要な知識・技能を保証するという性格で,これは学士課程修了レベルということで整理をしていただいております。
 この免許状の関係ですが,いわゆる修士レベルまでを出て,全ての方が採用されるということに限らず,4年の基礎免許状を取得した後,採用されて,その後初任者研修などと融合した形で修士レベルの学修を積んでいただくとか,あるいは採用後一定期間たった後に修士レベルの課程で学修をしていただくとか,いろいろな形が考えられますので,それらのメリット,デメリット,あるいは地域の実態に応じた試行の積み重ねが必要であると整理をしていただいております。
 それから,一般免許状と基礎免許状の上に,専門免許状の創設ということも提言していただいております。これは特定分野に関し,実践の積み重ねによるさらなる探求により,高い専門性を身につけたことを証明するものとして構成されております。
 もう1ページめくっていただきますと,教員免許更新制については,今後の詳細な制度設計の際に,さらに検討を行うこととされております。それから,今後詳細な制度設計をしていくに当たって,学校種や職種の特性に配慮する必要性が指摘されておりまして,例えば幼稚園教諭については二種免許状,短大卒の割合が7割を超えるという現状を踏まえた制度設計が必要であろうということです。
 それから3番目に入りますと,当面の改善方策ということで,これは当面進めるべき具体的な改善ですが,基本的な考え方としては,先ほど御説明したような修士レベル化に向けて,修士レベルの課程の質と量を充実したり,あるいは教育委員会と大学の連携により研修を充実するというような段階的な取組をすることと,そのうち主要な取組は教育振興基本計画にきちんと位置づけて,計画的に取り組むということを提言いただいております。
 それから2ポツのところですが,養成段階と,それから採用までの段階での改善方策ですが,まず学部における教員養成の充実ということで,具体的にはカリキュラムの改善とか,教員審査・教員評価の改善とか,全学的な体制整備の構築等々が指摘されております。次に,修士レベルの教員養成の充実ですが,これは教職大学院の制度はまだ課題もあるものの,基本的には教職大学院を発展・拡充させるという方向です。
 もう1枚めくっていただきまして,国立の教員養成系の修士課程についても,教職大学院を主体とした組織体制に移行していくことが求められるとしていただいております。それから一つ飛びまして,一方で中・高の教員については,これは一般の修士の役割が非常に大きいということで,これも踏まえて,一般修士課程の中で実践性を備えた教育をいかに提供していくかということを提言いただいております。もう一つ飛びまして,修士レベルの養成規模。これは現在,教職大学院は定員にすると830名,それから一般の修士課程は3,300名弱ですが,これを拡充していくに当たって柔軟かつ多様な国公私の学部・修士間とか,あるいは大学間の連携を推進するということです。
 続きまして,初任者研修ですが,ここにあるように高度化を図ること等が提言されております。それから採用についても,一層の改善ということでまとめていただいております。
 3番目,算用数字の3ですが,次に現職段階の研修あるいは管理職の研修ですが,これも基本的には教育委員会と大学との連携・協働を強化するということで提言をいただいております。また,教員研修センターについても,ナショナルセンターとしての機能を強化するということです。
 次のページに入りまして,4番目です。これは今まで何度か出てまいりましたが,教育委員会と大学,これまではともすると分断されていた面がありますが,それぞれの責任を果たしながら連携・協働が必要ということで提言をいただいております。
 5のところでは,ICTやグローバル化対応など,いろいろな教育課題が出ておりますので,これはオーソドックスな教員養成課程を経て教員になる方以外に,当該分野に知見を有する人材を幅広く登用するということも指摘されております。
 最後が特別支援教育ですが,やはり免許状取得率を向上させたり,特別支援に関する専門性の向上ということが言われております。
 以上の報告ですが,今後特別部会で,今申し上げたワーキンググループの報告をもとに審議をしていただくこととされております。

【川嶋委員】  3点ほどあります。1点目は修士レベルということは,必ずしも修士学位課程あるいは教職大学院で養成するとは限定していないというお話でしたが,そうしますと,言い方を変えれば,同じ一般免許状を修得するために,学位課程とそれ以外のプログラムがあるということになります。同じ資格なのに養成の課程が違う。これは現行の看護師の資格が専門学校でも短期大学でも4年制大学でも取れるという状況と同じになります。このような看護師養成制度には,メリットもあればデメリットもあり,さまざまな議論がされていますので,それらも参考にされてしっかり検討していただきたいと思います。
 それから2点目に,今度基礎免許状という,学士課程における教職,教員養成のあり方についてですが,今でも一般大学といいますか,課程認定を受けた大学での教員免許の取得の状況を見ますと,学士号取得に必要な124単位に加えて,プラスアルファでかなりの単位を修得しないと教員免許が取れないという状況が起きており,今,学修時間の確保ということが強く言われている中で,学士課程における教員養成のあり方をどう考えていくべきか,ということです。単位の実質化は保証されるのかどうか,懸念します。
 3点目は,制度上の整合性の問題ですが,今後,教員は高度な専門職業と位置づけて,修士レベルで育成するということですが,他方,従来の医師・薬剤師・歯科医師等は学位レベルでいくと学士課程で養成しているわけです。教育年数としては6年で皆同じになるのですが,しかし学位でいけば医歯薬は学士課程のままです。高度な専門職業人を日本で養成する制度として,ある職種については学士課程,ある職種については修士以上ということでいいのかどうかということを,今後検討する必要があるのではないかと思います。

【有信委員】  今の川嶋委員の意見に関連して,これは大変重要なことだと思います。基本的には専門職大学院で教員の基本的な資格をきちんと定めるということが今後中心になるという意味で,それぞれの今までの専門職大学院のあり方も含めて,共通にここがいわば教員になるための基本的な資質・資格を養成する場所だという位置づけになってくるのだろうと思うのです。これは国際的に見ても,多分そういう方向に行くのだろうと思います。
 そこで重要なのは,先ほども川嶋委員が指摘されましたが,学部教育との関係をどうするかということでありまして,現在の教職課程の学部教育のあり方を,修士課程でより専門的な教員養成を進めるのであれば,学士課程の教育はもっと基盤的というか,もっとリベラルアーツ的なものに広く展開したほうがいいのではないかという感じがするのが一つ。それからもう一つは,専門職大学院という位置づけで教職課程の大学院をつくるのであれば,ほかの学部からそこに進学をして教員になるという道をも開くべきだと思うのです。これは将来,多様なバックグラウンドを持ち,さまざまな可能性を持った人たちが初等中等の教育現場に入るということは,非常に初等中等の教育にとっても効果があることだと思いますので,そういう観点からも,今の教職課程の学部教育を含めて,あわせて検討していただくのがいいのではないかと思います。
 川嶋委員が指摘された医学・薬学系については,日本だけがかなり孤立した状況になってきているという現状もありますので,ぜひその辺も含めて検討をお願いできればと思います。

【谷口委員】  今の話とも関係するのですが,要するに教育学部ではなくてほかの学部で勉強した人が,きちんと先生になれる道も確保したいというのと,それから修士レベルになると,例えば他大学とか学部間の連携をしてという話が先ほどありましたが,これは具体的にどういう形になっているか,どこまで議論されているのでしょうか。そういう連携をどんどんやっていかなければ,本当の修士レベルの教員に育たない心配もある。特に例えば理科とか,国語などもそうかもしれませんが,分野によっては本来の学部と大学院との連携をうまくして,レベルを上げていくことをきちんとやっていくことが大事であるという感じがしますので,その辺をきちんと議論されていればいいと思います。

【池田大学振興課長】  おっしゃるとおり,いろいろな養成ルートが多様化していく方向で議論をしていただいていると思います。教育学部を出て教職大学院なりに行く方だけでなく,ほかの学部からということも考えられますし,それから免許状を持っていない未取得者を対象とした修士レベルの課程も設けるということも指摘されておりますし,いろいろな形での養成があると思います。その前提としては,やはり今,必ずしも円滑にいっていない教育委員会と大学との連携をもっと密にするという,そこがポイントであろうと思っております。

【中野委員】  先ほど御報告の趣旨としては,学び続ける教員を支援する仕組みづくりということがあったと思うのですが,これは非常にありがたい考え方だと思うのです。これまで出てきた修士レベル化ということだけを軸にして進んでいきますと,やはり多様で広範囲な人材を求めることがなかなか難しいのではないかと思っていましたので,そういうことからすると,資格養成課程の教員養成を目的とした学部・学科と,先ほどから出ているこの学士課程教育との関係性を考えるときに,やはりそういった考え方は非常に大事ではないかと思います。
 もう1点だけ申し上げておきますと,短期大学に関係しておりますが,4ページにありますように幼稚園教諭について,特殊な事情が学校種としてあると思いますので,ここのところの考慮を今後とも,この中教審でもそうですが,ぜひこれらをどのような方向でお考えなのかということを明確にした上で,全体の制度設計を考えていただきたいと思います。

【中西委員】  先ほどの学部教育ということに関連しまして,830ある教職課程を持つ大学が,全て修士課程を持つということは不可能だと思います。ですから学部教育でも,単に時間を延ばすだけではなく,もっと密なカリキュラムの編成をすれば修士に相当することを教え込むことができるのではないかと思うのです。
 それからもう一つは,現場ではいろいろな免状を持った先生が混在することになるわけです。そうしますと,基本的にはいいことでも,現場の混乱といいますか,教員の差別化みたいなことが生まれる懸念があると思います。ですからそのことにも注意をしてほしいと思います。
 また,専門免許状についてはどんどん進めていただきたいと思います。

【安西分科会長】  私もこの特別部会とWGには出席しておりまして,免許制度の外形の議論だけではなくて,やはりこれからは,今日いろいろ御意見をいただいたような内容についてもぜひ議論していただければと考えております。実は大変大事な問題ですので,これからも大学分科会としてもいろいろお考えいただければと思っております。
 次いで,大学教育部会「審議まとめ」の御報告と,それから今後の検討課題と審議の進め方についてです。前回3月12日の審議を踏まえて,大学教育部会において,学生の主体的な学びを確立するための,質を伴った学修時間の実質的な増加・確保を第一歩とする,学士課程教育の質的転換を柱とする「審議まとめ」が取りまとめられました。
 この「審議まとめ」を受けまして,全国各地で,学士課程教育の質的転換を図るために必要な課題,また具体的取り組み等について,学生,教員,大学,経済界等の立場から幅広く議論をするために地域フォーラムを開催することにしております。その際に,現状の問題をわかりやすく提起するために,事務局に動画を作成していただいております。まだ作成途中の暫定版ですが,御覧いただければと思います。動画上映約20分ということだそうですので,よろしくお願い申し上げます。

【合田高等教育政策室長】  動画について若干,手短に御説明させていただきたいと存じます。
 今お話をいただきましたように,資料9をお目通しいただければと思うのですが,大学教育改革フォーラム,先生方の御尽力をいただきまして,今続々と決定いたしております。資料9の一番最後のページには,4月28日の土曜日に関西国際大学で行うフォーラムのチラシが入っておりますが,モデレーターとして川嶋委員,パネリストとして濱名委員ということで確定しております。また,谷口委員の格別な御配慮で,5月16日には熊本大学で,同28日には早稲田大学で行うことが確定しておりますが,それぞれのフォーラムの議論のキックオフのために,私どもの若手職員の手で今回,映像をまとめた次第です。中教審からも三村会長,浦野委員,それから金子委員に御出演をいただいております。
 映像の最後は安西分科会長にお出いただくことになっておりますが,安西分科会長が昨晩まで海外出張でしたので,来週撮影をさせていただきたいと思っております。安西分科会長の最後のメッセージを除く,取り急ぎの暫定版ですが,まずその映像を御覧いただければと存じます。

( 動画上映 )

【安西分科会長】  大変率直な意見も中には出ていたと思いますが,大学人としては,やはりこういう意見に耳を傾けることが,一方では大変大事なのではないかと思います。
 先ほどパンフレットの説明がありましたが,川嶋委員,また濱名委員等々,板東局長にもお出いただくことになっておりまして,第1回はそれで開催されますが,その後ずっと引き続き全国で,特に学生との直接的な対話を進めていきたいということで,文部科学省の,今のビデオも若手職員の方が率先して,自らいろいろシナリオをつくられたり準備をされたと伺っております。ぜひ大学分科会の委員の皆様には,この動きを応援していただければと思います。

(4)「審議まとめ」の概要及び引き続き検討すべき課題と今後の審議の進め方について,文部科学省から資料5~資料11の説明があり,意見交換が行われた。

【合田高等教育政策室長】  現在「審議まとめ」については,6月末を一応の締め切りに国民の皆様方から広く御意見を募集する,いわゆるパブリックコメントにかけさせていただいております。また,資料10にあるように全国の学長・学部長にアンケート調査を行うなど,前向きに御意見をいただき,本分科会や大学教育部会にフィードバックをし,審議をさらに深めていただきたいと考えている次第です。
 なお,夏を目途とした答申に向けて,本分科会及び大学教育部会で議論いただかなければならないことは多々あります。資料7をお目通しいただければと存じます。資料7にありますように,今後の検討課題といたしまして,資料7の(1),実態や課題の把握。これは今申し上げたアンケート調査です。6月上旬の部会で,暫定値ででも結果を御説明,御報告させていただきたいと思っております。また(2)ですが,学修時間を実質的に増加・確保させるために必要な方法,教員の教育力の向上,全学的な教学マネジメントのあり方。これについては四角囲みの丸1にありますように,効果的なFD,教員評価,教学IR,教学担当スタッフのあり方,それから丸2にありますように,教育課程の見直し・修正期における全学的な教学マネジメントと各学部等の教学マネジメントの役割分担と連携,あるいは丸3にありますように,学習支援環境の整備といったことについて,各大学からのヒアリング,あるいは有識者からの御意見などもいただきながら,5月から6月にかけて御審議,御検討を賜ればと思っております。
 次のページですが,(3)学修成果の達成度の把握やこれを重視した認証評価のあり方についても,これは文部科学省において専門的な検討を加えまして,随時分科会・部会に御報告を申し上げたいと思っております。また,(4)ですが,高校教育と高等教育の円滑な接続です。これについては,初等中等教育分科会高等学校教育部会での検討,それから今後,初等中等教育分科会と大学分科会との合同での審議ということを検討しております。私ども文部科学省の中においても,高等教育局と初等中等教育局との円滑な連携のもと,検討を進めさせていただきたいと思っております。

【小谷教育制度改革室長】  それでは,資料11の御説明をさせていただきます。
 初等中等教育分科会においては,昨年の秋に高等学校教育部会を設置しまして,この資料11の最後の名簿にありますように,高校生の半分は大学に進学しますので,大学分科会からも安西分科会長,金子委員,北城委員,川嶋委員に御参画いただきまして,今後の高等学校教育の在り方について御審議をいただいております。去る16日には,これまでの審議において浮かび上がってきました課題を整理して,今後の検討の視点を定めるための御審議をいただきました。その際には安西分科会長から大学教育部会の「審議のまとめ」も御紹介をいただいております。資料11が,事務局で作成した資料であり,この中から特に大学との関連ということで,高等学校教育の質保証に関わる部分について御紹介をさせていただきます。
 まず1ページ目の1の(2)の二つ目の白丸ですが,こちらに書いておりますように,高等学校については今,全体としては中学校卒業後の生徒の約98%が進学しておりまして,生徒自身も,そしてその生徒が集まる学校も非常に多様化しているという実情があります。そして2ページ目を御覧いただければと思いますが,学校も多様化しておりますことから,黒丸で書いておりますように,例えば選抜性の強い大学へ進学する生徒が多い学校においては,学習内容が受験対策に偏っていて,結果としてすぐれた才能を伸ばす教育を受ける機会が不足したり,あるいはグローバル化に対応した人材育成の観点が不足したりしているという課題があります。また,片や選抜性の強くない大学へ進学したり専門学校へ進学したりする生徒の多い学校においては,先ほどのビデオでもありましたように,大学入試の選抜機能が低下したこと等に伴う学習時間の不足があるといった課題があるところです。
 こういったことから,4ページ目に進んでいただきまして,今後の施策の方向性ですが,上から二つ目の白丸に書いておりますが,在籍する生徒の能力・適性,進路等によって各高等学校の役割・機能が大きく異なっている実情を踏まえ学校ごとに生徒が修得すべき内容を明らかにして,その内容を確実に修得させることを通じて,個々人の次なるステップに向けてその能力等を高めるようにしていくことを基本とすべきという御議論をいただいております。また,その際には,高校生の全てが高等教育機関に進学するわけではなく,当然,就職する者もおりますので,各学校における学習内容の修得状況を明らかにして,それを様々な仕組みを構築していく中で,その次の白丸ですが,そもそも高等学校教育において全ての生徒に共通に最低限修得させるべきものについて,どのように考えていくのかということも,あわせて議論していく必要があるということで御議論いただいております。
 具体的な質保証の論点については,7ページですが,高等学校においてどのような能力を身に付けさせるかということ,そしてその到達目標を誰がどのように設定するかということ,そしてまた到達目標に対する達成度をどのような形で把握するかということで考えていく必要があるということであり,8ページで具体的な振興方策の検討事項例を挙げておりますが,先ほども申し上げましたように一つ目としては,全ての生徒に共通に最低限修得させるべき内容に関する指導をどうやって充実させていくのかということ。そして,質保証に関する取組をどう考えていくのか。また,その際にはそもそも教育方法の改善をどう図っていくのかということを,今後御議論いただく方向で今,審議をお願いしているところです。

【合田高等教育政策室長】  このように大学分科会,初等中等教育分科会,それぞれ審議が深まっているところです。安西分科会長と,それから初等中等教育分科会の小川分科会長と御相談をいただきました結果,現在6月下旬に高等学校教育部会の小川部会長,それから安彦副分科会長にお運びをいただいて,この場でともに議論するという場をセットしてはどうかという方向で,現在検討中です。引き続きどうぞよろしくお願いします。

【安西分科会長】  初等中等教育の分科会でも,今ありましたように議論が相当進んでおりまして,特に高等学校教育部会において,中身の濃い議論が始まっているところですので,注目しておいていただければありがたいと思います。

【宮崎委員】  映像のことをちょっと伺ってよろしいでしょうか。
 職員の方がいかにもつくったというような編集の仕方を見れば,プロではないというのはすぐわかるのですが,大変な御努力と大変な熱意と内容には,とても頭が下がる思いがいたします。ただ,20分という時間の長さと総花的な内容から,だれに何を伝えたいか,ターゲットが絞り切れていないように感じます。学生にもっと勉強しろというのを伝えるビデオならば,つくり方がもっと違いますし,教員に「あなたの授業はだめです」と言うならもっと違いますし,大学に言うのであればまた違うと。先ほど来の,例えば私学助成で,建学の精神をいかに実現するかという文脈をもっと問うのであれば,またつくり方が違うわけです。
 既に,論じる段階ではなく早急に実行する段階である,というこれまでの会議での議論を踏まえて,もう少し,緊急性を整理した課題について具体的に討論できる素材にしていただけるともっと効果的かと存じます。
 報告書の性質上,全てを満遍なく散りばめる必要がありましょうから,今回の質保証のまとめについても,7月に答申が出ますが,それで,どの部分をどう動かしていくかという戦略があまりよく見えていないように思うのです。一生懸命話し合って,私たちも考えてきたわけですが。一つ一つの項目は,まさにそのとおりだということが並んでいるのですが,では,それをどう訴えかけて,実際にどう動かしていくかというところをもう少し詰めていかないと,先ほどのビデオのようになると思います。ビデオはすばらしいのですが,やはりその辺のところが課題ではないかと思いました。
 それからもう1点,高校との接続の問題,あるいは中学と高校の接続とか,接続,ずっと問題があると思います。コアをどこにするかというのは非常に大きな問題だと思うのですが,教員養成などで先ほど議論に出た,修士レベルのプログラムについても,これを大学にどのような形で受けさせていくのかというと,これはまた話が別になってくるので,その辺をもっと絞り込んで,ターゲットできちんと戦略を立てて,その下にタスクフォースを設けて動かしていくということを,どういうタイミングでどう決めていくのか。そうした意味でも,今後のあのビデオの使い方をどうするのかというのも伺わせていただきたいと思います。

【合田高等教育政策室長】  ビデオについては,宮崎委員のようなプロフェッションから御覧いただきますといろいろ不手際はあろうかと思いますが,私どもとしましては,大学教育改革地域フォーラムはそれぞれの大学が,それぞれの大学の特性に応じてさまざまなテーマを議論されることを想定いたしております。教員のFDという観点でお取り組みいただくところもあるでしょうし,学修時間ということでお取り扱いになるところもあるかと存じます。従いまして,私どもはできるだけ,それぞれの大学の創意工夫に基づいたフォーラムの素材になるようにつくらせていただいた次第です。そのためのいろいろな論点が盛り込まれておりますし,編集については工夫をさせていただきたいと思っておりますが,私どもとしては,現段階では内容については一定の妥当性があると考えている次第です。
 なお,今後の部会の進め方,分科会の進め方については,御指摘を踏まえまして,分科会長あるいは部会長と御相談をさせていただきたいと存じております。

【安西分科会長】  これは私も申し上げておきますが,若い職員と申し上げたのはこっちで,一生懸命,特に若い層まで含めて,官僚の人たちも考えて行動するようになってきているのです。
 そういういろいろなセクターが,産業界も本当に一生懸命考えてくださっていますし,そういうことをみんなが一緒になって打ち出していくことが,大学改革においては非常に大事だと思いますので,ビデオの編集等々については,プロフェッショナルから見た目という意味では御寛容にお願いできればと思いますのと,もう一つは,それぞれの学生さんにも,あるいは大学関係者にも,あるいは地域の方々にも自分で考えていただきたいのは合田室長の言われたとおりで,そういう意味での投げかけの議論の場を提供しているという面がありますので,一方で大学分科会として戦略を立ててこれに決めて,それのキャンペーンなるビデオをつくるということでよろしいのか。それをやっていいのであればもう決まっているわけで,大学改革をやらなくてはいけないということだと思うのです。ですが,今日いろいろありましたように,いろいろな御意見はまだあるわけで,そういう中で,みんなが大学改革について前向きに積極的に,これからの日本の大学のあり方を決めていかなければいけないと思っておりますので,いろいろお考えはあるかと思いますが,ここのところでは御寛容に,ぜひ前向きにお願いできればと思います。

【勝委員】  お話があったように大学教育改革,アンケート調査でも大学は変わらなければいけないと。これは本当に長年言われていることだと思うのですが,今のビデオとも,宮崎委員の意見とも関連するのですが,確かに総花的ですが,いろいろなファクターが入っていて,それはそれで非常に良いと思います。ただ一つ欠けているのは,やはり構造的な問題。つまり,大学だけで自らが変えられるのかと。先ほど学生がモチベーションの話をしていましたが,教育が変わるというのはやはり社会全体,特に大学と社会の接続の部分が変わらないと,変わらないのではないかと。例えば努力した者は報われる,例えば勉強した者はそれなりのものを得るというところが,必ずしも今,就職をする過程において評価されていないということがあるのではないかと思います。もちろん,多様な資質は評価されて,企業あるいは社会に出ていくということだと思うのですが。
 また,先ほどの教育の教職課程の話とも関わるわけですが,例えば大学院の学位を取ればそれだけ社会に認められる,あるいはMBAを取ればそれだけ会社の中でいろいろな意味でメリットがあると。そういった動機づけがないと,なかなか学生も勉強しない。ビジネススクールも育たない。あるいはGPAというものも導入されてはいるものの形骸化していて,例えば成績がよくても別にそれが何の評価にもつながらないといったこともありますし,我々教員としても,例えば卒業要件が単位数だけではなくて,例えばGPAが2.0以上とか,そういった形にするのが理想的だとは思うのですが,例えば落とした場合に,内定をもらった学生の人生を大きく変えてしまうようなことになると。こうした悪循環を変えていくには,企業あるいは社会の側も,もう少しフレキシブルに人材を受け入れていく,という制度改革を考えていかないと,やはり大学教育自体も変わらないのではないかなと。
 おそらくこの分科会でも,いろいろ長年議論されていて,大学自体が変わるべきということを議論しているわけですが,それ自体だけでは変わらない。構造的なところにも視点を当てたほうがいいのではないかと思います。

【安西分科会長】  産業界も協力すると言われているのです。そういう中でのことですので,どことかがやらないとできないということだと,やはりできないということではないかと思います。

【北山委員】  今,勝委員,安西分科会長のお話にも出ましたので,産業界のほうから申し上げます。
 これは委員の皆さんも御存じかと思うのですが,去年の夏から産学協働人財育成円卓会議という,文部科学省と経済産業省と,大学が12,それと企業が20ぐらいで,7月にキックオフしたものがあり,その後約半年以上たっているわけですが,具体的に各企業の人事部と,各大学の副学長のような立場の方と,具体的に産学の,社会との接続も含めて,就職の問題も含めて,具体的な議論を今,進めているところです。
 そういったところに参加している,うちの人事部の担当に聞いてみても,最初は何となく大学と企業がよそよそしい感じだったのですが,やはり何回も何回も会議をやっていると本音がぶつかり合います。それで具体的なアクションプランという形で,近々出される,また全体の会議を開催するという形で進んでおります。あらゆる側面でいろいろな教育改革,小中高と連続のところも含めて進んでいます。先ほどのようなビデオ等で,一般の国民の人も含めてみんなに問題意識が高まりますが,日経新聞も今たまたま教育を取り上げていますけれども,このようなモメンタムをキープして早く進めることが重要だと思っております。

【白井委員】  幾つか意見がありましたが,やはり各大学がどういうふうにしたらいい,ああしたらいい,こうしたらいいという意見は山ほど出ており,あまり効果が上がらないということは,ほぼ結果が出てしまっている。ですから勝委員が言われたとおり,やはり実質というものを変えなくてはだめです。どこかをいじらないといけません。
 先ほどのビデオは確かに少し拙く見えますが,問題点を全て言っています。私たちは少なくともよくわかります。本当に全部言ってくれていて,ものすごくいい編集をやっているのではないかと感心したぐらい,問題点が全部尽きていると思います。
 ですから,動機づけの点とか,そういうところをどうしたら本当にできるか。システムを変えなくてはいけない。やはりキーワードはモビリティーと,それから連携と,今までできていないこと。それから生涯学習という観点と,この三つが実現するようにシステムをつくればいい。そうすれば,必ず変わります。例えば私が思っているのは,1,2年生で十分勉強したい,するという動機づけは,何かインセンティブをつくらなくてはできないです。3年で学生が動けるようにすればいい。東京大学も1,2割は絶対他から3年生で受け入れると,そういうふうに決めればいいのです。そういうことをやっていけば,1,2年生だって自分はまたやり直してみようと思ったら,一生懸命勉強するでしょう。そういうことをいろいろ実際に動かさなければ,何も変わらないと思います。

【安西分科会長】  仕組みを変えていく等々のことについても大事だと思います。いずれにしても,やはりいろいろなセクターが今,大学のあり方について関心を持ってきているところでありますので,ぜひこの機会に,大学を変えていくということを大事に考えていただきたいと思っております。

【中野委員】  ただいまのビデオを見せていただいて,やはり気がつくことは,先ほどから言っておりますが,接続ということは本当に大事です。特に就職を考えたときに,学生は何を目的にして勉強していくかというと,やはり最後はいい就職をしようということを思って,そればかりではないと思いますが,非常に大きいウエートです。その場合に,本当に大学でいい成績をとったら,いい就職ができるのかというと,必ずしもそうではなくて,面接のときの要領であったり,あるいは人間味であったりとか,そういうことを随分言われますから,必ずしも勉強したから就職できるというものでもない。目的意識は強く持たなくてはいけないのですが,学校における授業の成績をしっかりとったからいいというものでもないというあたりをヒントにして,社会にどういう形で接続させていくことができるのかというのは,大きな課題ではないかと思いました。

【宮田委員】  私はビデオを見て,学生のモチベーションという話が出てきたところが非常に印象的だったのですが,企業でも同じように,企業の社員教育等に携わっていますが,社員をどうやって動機づけするのかというのは,構造的な,例えば給料が上がるとか出世するとかいった動機づけと,やはり中で女性がおっしゃっていたかと思うのですが,いかに魅力的な人と出会って,そして授業なり仕事なり講義なりが,いかに双方向で非常に啓発される内容であるかというところで,動機づけの度合いは随分変わってくるように思います。
 それが翻って社会と大学の接続の問題になった場合に,大学の授業の内容が比較的一方的な知識修得であるという前提に立つと,学校の成績は考慮しないという企業の判断になってくるのだと思いますが,大学の授業の内容が非常に双方向で,いろいろな人たちとの共同作業とか,またチームへの貢献とか,そういったものが総合的に評価された上で成績がついているということになると,多分全く企業側の大学の成績への評価は変わってくるのではないかと思いますので,スタートポイントの一つとして,授業のそもそものあり方を変えるというところは,私から見ると非常に大きいポイントではないかと思います。

【安西分科会長】  その点も大変大事で,やはり教育の方法自体をどういうふうにしていったらいいのかということが,なかなかさわりにくい状況で大学は来ているということだと思っております。

【北城委員】  今の御意見に非常に共感を持つのですが,要するに大学の成績というのは何かというときに,一方的に知識を教えた授業で成績がよかったからといって,社会で活躍できるわけではないということがあるから,学校の成績はあまり見ていないわけで,やはり大学の成績が,社会で活躍することができる人材を育てているというふうに企業が思えば,当然学校の成績もよく見ますということなので,これは学校にも問題があるし,企業の側にももちろん問題はあるんでしょうが,大学の教育の質を考えるときに,単に今の勉強のやり方でたくさん時間をとればいいということではないというのが1点と,これはだから社会と大学の接続です。
 もう一つは高校と大学の接続で,高等学校教育部会でも言われているのですが,受験勉強に偏っているということからすると,大学の入試の問題です。今度は,高校と大学の接続においては大学の入試というやり方を考えない限り,高校ではともかく受験に通らなければ,あるいは受験に出る科目を勉強するのが教育になってしまうので,ここは初等中等教育分科会と大学分科会と一緒にやるのかもしれないのですが,大学の入試のあり方をもう一回考えるべきではないか。
 この議論をすると,いや,それは難しいからと,いつも皆さんおっしゃるのですが,でも私の理解するところは,アメリカの一流大学で入学試験をやっているところはないと思うのです。それにもかかわらず,日本はみんな入学試験で,特に有力と言われる大学は入学試験で学生をとる。この仕組みも考えなければ,高大の接続は解決しないのではないかと思いました。

【安西分科会長】  高校卒業生の大体5万人ほど,大ざっぱに言ってそのぐらいの生徒が,非常にトップレベルの激しい受験競争をしていると言われておりまして,そういう人たちがそういう入試漬けの出た後,今度は大学でそれを解きほぐさなければならないと。これはそういうふうに言われていること自体がおかしいのではないかと思います。

【樫谷委員】  一番最初のテーマで少し出た統廃合の関係なのですが,私も統廃合がありきというのは極めて問題でして,そんなことはあり得ないですし,企業も統廃合ありきでやっているところなんていうのは,世の中にあるかもわかりませんが,基本的にはない。いかに目的を有効に達成するかというところでは統廃合をするのだと思っております。
 最初のほうの御説明の中で,私立大学が非常に政府のコストが安くてやっていらっしゃるということで,頑張っていらっしゃるということもよく承知しておりますが,ただ,今のビデオでもありますように,ビデオだけじゃなくてそれ以外にも,大学の問題は山積みなわけです。それを解決するための一つの方法として,統廃合もあることも事実だと思います。
 したがって,この統廃合を形式的にやるのではなくて,どういう形でやれば一番目的が達成できるかということを,やはりもう少し具体的に詰めて,統廃合のあり方とか仕方とか,もう少し具体的に詰めていかないと物事が進められないのではないかと思いますので,一応そういう仕方,あり方についての議論についてももう少し深める必要があるのではないかと思いますので,よろしくお願いしたいと思います。

【安西分科会長】  私ももちろん,私立大学で非常によくやっておられるところは多々存じ上げております。一方で,先ほどからありますように,あるいはビデオでもありますように,率直なところ,大学における学びのあり方,教育のあり方が問われている面も多々あると思いますので,そういうことを認識した上で大学の改革を具体的に形にしていくということが,今年の非常に大きなテーマではないかと思っております。特に大学教育部会では,佐々木部会長をはじめとして大変濃密な議論をしていただきまして,「審議のまとめ」を出していただいたわけでありますが,引き続きいろいろな課題もありますので,検討を続けていただきますようによろしくお願い申し上げます。

(5)認証評価機関の認証について,文部科学省から資料1-1,1-2の説明があり,「認証評価の認証に関する審査委員会」において審査することとされた。

(6)大学分科会の今後の日程について,事務局から資料12の説明があった。

―― 了 ――

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-- 登録:平成24年06月 --