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大学分科会(第103回) 議事録

1.日時

平成24年3月12日(月曜日) 15時~19時10分

2.場所

文部科学省 東館3F 1特別会議室

3.議題

  1. 認証評価機関の認証について
  2. 大学設置基準等の改正について
  3. 大学教育部会審議まとめ(素案)及び同部会における審議の状況等について
  4. 法科大学院特別委員会の審議状況について
  5. その他

4.出席者

委員

(分科会長)安西祐一郎分科会長
(委員)浦野光人,金子元久,北城恪太郎,長尾ひろみ,菱沼典子の各委員
(臨時委員)有信睦弘,樫谷隆夫,川嶋太津夫,河田悌一,北山禎介,佐々木雄太,佐藤弘毅,佐藤東洋士,島田尚信,清家篤,谷口功,中込三郎,中西友子,中野正明,深尾京司,宮田裕子,山田信博,吉田文の各臨時委員
(専門委員)黒田壽二,白井克彦の各専門委員

文部科学省

(事務局)森口事務次官,板東高等教育局長,田中総括審議官,小松私学部長,德久政策評価審議官,池原大臣官房国際課長,義本高等教育企画課長,芦立国立大学法人支援課長,内丸基礎研究振興課長,内藤専門教育課長,池田大学振興課長,髙橋国立大学法人支援課企画官,合田高等教育政策室長,森友教育改革推進室長,今井専門職大学院室長,西川高等教育政策室室長補佐 他

5.議事録

 安西分科会長より,議題のうち「認証評価機関の認証について」は,「大学分科会の会議の公開に関する規則」の第1条第2項の「公開することにより公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認める場合」に該当し,非公開とする旨の説明があった。

(1)認証評価機関の認証について,1月31日の第102回大学分科会において,文部科学大臣から諮問がなされた大学基準協会の申請に関する「認証評価機関の認証に関する審査委員会」における審議経過について,資料1-1に基づいて審査委員会座長の佐藤弘毅委員より報告があった。
 その後,大学分科会における審議を行い,原案通り答申することについて,可決された。

 

(2)大学設置基準等の改正について,文部科学省から諮問があった。その改正内容について,文部科学省から資料2-1~資料2-3の説明があり,その後,審議が行われた。

【中込委員】 ちらっと見ると,非常に大学が一見つくりやすくなったかなという気がしないわけでもないわけですが,今,この大学分科会でも,大学とは何ぞやということを,大学のあり方はどうなのだというときに,こういう新たな緩和条件です。緩和にはなっているか,なっていないか,わからないのですが,諮問が出てきているわけなので,これは一つは,やはり設置に関しては,たしか大学設置・学校法人審議会があると思いますが,やはりかなり厳しく見て間違いがないということを,ここ数十年に関しては,この新しい基準でできた大学・短期大学は間違いがないという保証を,やはり大学設置・学校法人審議会としては求められると思います。当然,認可をする設置審の方々は,設置したときには責任を負わないといけないというお立場にあるということも考えて,厳しい審査をぜひともお願いしたいと思います。
 また今後,財政状況も新しい学校群を見ていかないといけないと思いますが,経常費の助成はまた,今回ではなく5月ぐらいの大学分科会で意見を申し上げたいと思っていますが,経常費も出るということになれば,そのお金をためて,では運動場を買おうかとか,いろいろな人が出てくると思いますので,そういうところも含めて経緯をしっかりと文部科学省でも見ていってもらいたいと思います。これは財政状況も含めてです。そのくらい厳しい姿勢で臨んでいただきたいという,期待なのか希望なのかわかりませんが,お願いなのかわかりませんが,ただ,認可される大学設置・学校法人審議会の委員の先生方は責任は大変重いと思いますので,よろしくお願いいたします。

【安西分科会長】 この件は,特区を全国化しようということですが,文部科学省から説明がありましたとおり,しっかり,本当にそれでいいのかということは見ていくということでやっていきたいということですので,大学設置・学校法人審議会に対しても文部科学省からきちんと,それは伝えていただかなければいけないことだと思います。

【深尾委員】 特区をつくった以上は,規制について特別の措置をしたことによって,どういう便益が得られるか,それからどういう問題があるかということを調べるためにされたと思いますが,それについて,ネガティブなところは今日の資料の中に,学生の教育環境等に改善を要する事例も見受けられたということがありますが,ここのところをもう少し具体的にご説明いただけますでしょうか。あと,便益についても何かエビデンスがあれば,簡単にご説明いただければと思います。

【池田大学振興課長】 学生にアンケートをとってみますと,ある大学では,ラウンジが非常に狭くて立って食事をしなければならないというような声も聞こえていたりして,幾つかの大学ではそういった例があります。それから便益については,自大学で措置されていませんが,近くに公立の大きな運動場と提携して,そこを活用できるようになったというところはメリットではあろうかと思います。

【安西分科会長】 それでは,中教審の運営規則第3条第2項の規定により,大学設置基準等の改正に係る事項は,大学分科会の議決をもって審議会の議決とするとされております。大学設置基準等の一部改正案ということですので,議決を行わせていただければと思います。
 先ほどの文部科学省から説明のありました改正案の内容について,ご了解いただいたということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

 今回の諮問については先ほど貴重なご意見をいただきました。それは文部科学省できちんとやっていただければと思いますが,今回の諮問自体については,これを適当と認め,文部科学大臣に対して答申をするということにさせていただきます。これからの取り扱いについては,私に一任させていただければと思います。

 

(3)(2)に関連して,大学通信教育に関する今後の検討について,文部科学省から資料3の報告があり,その後,意見交換が行われた。

【黒田委員】 この通信教育だけの話ではないのですが,特区として認めた特別処置がいろいろありますが,一つずつ細かくなし崩しにされているという感じを受けます。株式会社は株式会社ですし,こういう施設設備上での特別処置で楽につくれるようになっています。それが個別的に全国化されていくことに大変心配しています。日本の大学教育の質が問われている中で,構造改革特別区の推進本部の評価・調査だけでなく,文部科学省として,本当に教育の質の保証をされているのかどうかという調査を,私は全般にわたってすべきだと思います。その上で一つ一つ,条件を見直す,見直さないということをやらないといけないと思います。そうしないと,今,質の保証が盛んに言われている中で,特区で認められた大学が本当にそれにふさわしいものになっているかどうかの検証すらされていません。検証を早くやるべきだと思います。
 また,今議題になっているICTを活用した教育も,通学制でのICTの利用の仕方と,それから通信教育で100%ICTのみでの教育をやった場合では異なりますが,通信教育の場合一番問題になることは本人確認ができないということです。コンピューターの向こうにだれが座っているかわかりません。ただ学籍の暗証番号だけで授業を受けているわけですから,それで本当に本人なのかという確認ができないのです。そういうときに,文部科学省としてはどうするか,例えば,双方向を義務付け,事前に登録された顔写真と照合し本人確認をしながら授業を進めるなど,ということをしっかりとやらないと,これは大変まずい結果が出てくるのではないかと思いますので,このことも十分に検討していただきたいと思います。

【内藤専門教育課長】 今ご指摘いただいた趣旨については,平成13年3月に大学通信教育設置基準を改正して,124単位すべてをインターネット等による授業で行うことができるとした時点で,さまざまな,そのような課題は提起されたところですが,それについて技術的な面も含めてさまざまな対応はできるということで制度を導入している状況ですが,先ほど申し上げましたように,その制度ができて既に11年が経過しているということで,改めて今のインターネット等による授業がどのように行われているかという実態も含めて,特区については,そういう制度の前提の上で施設基準を緩和しようという話ですので,そういったインターネットを実際,教育に実施する際の課題・現状を整理した上で,あわせて特区の課題についても検討しようと考えていますが,ご指摘いただいたような懸念も含めて,十分に専門的な検討を行ってまいりたいと考えております。

【金子委員】 私も,特区評価委員会の委員をやっておりまして,板挟みになっております。ただ,今,黒田委員がおっしゃったことは,かなり私も感じているところでして,やはり特区評価委員会では,問題は,思いつくところで次々に規制緩和をするということで,到着するところはどこであるかという多分明確なイメージを持たずにいろいろ問題提起をします。これは非常に大きな問題だと思います。
 ただ,もう一方で論拠になることは,平成10年度から5,6年くらいの間に文部科学省行政でかなり自由化,規制緩和をやっておりまして,それが部分的にあるところで,ここは認められているのに,ここは認められないことはおかしいとか,かなりそういう議論が今,出てきて,非常にその議論が錯綜するという状況に置かれる場合が多いのです。これはやはり基本的には,大学分科会でも,一連の規制緩和の処置が具体的にどういう効果を生んでいて,それについてもう一回見直しをするとすればどこが必要なのかということも,やはり議論の非常に重要な課題になると思います。
 例えば,私は何回も申し上げるのですが,大学院の入学資格に学士がなくてもいいという条項が,学校教育法の改正によってできているわけですが,ある株式会社立大学では,大学院修士課程の入学者の4割ぐらいが学士号を持っていないというような状況ができていたり,これも実は情報開示が必ずしもそういった点について要求されていないですから,聞かなければ,まず大学が言わなければ,大体どこにもわからないという状況になっています。教授会も実質的にはほとんどない,株式会社立大学全部であるとは言いませんが,かなりの株式会社立大学では教授会もほとんど機能していないという状況ですから,そういった点についてほとんど質的保証ができないという状況になっているわけで,こういった点も含めて,やはり大学分科会としてどういった手段で,こういった,かなり規制緩和が行われている状況の中で質的保証を行っていくのかということについて,将来考えていく必要があるだろうと思いました。

【吉田委員】 ここで,特区の大学として,いわゆるインターネット大学の話が出ておりますが,これまで,これらの大学が設置されるとき,あるいは設置後のアフターケアと,それから認証評価とを受けていますが,私自身もそこに若干かかわっていた経験から言いますと,技術的に何ができるという問題ではなく,そもそも大学教育としてどういったものを提供するのかという点で大きな問題を抱えているということが,これまでたびたび指摘されていたということが挙げられると思います。 サイバー大学の問題は,個人認証がどうこうという技術的な問題以上に,大学教育として提供する内容の問題が問われましたし,それから,どこかで講演したものを記録して,それを大学教育として受けさせる,それに単位を与えるということが一体何なのかということが,認証評価のときも随分問題になったと思います。
 そうした,ある意味,インターネットのみで提供されている大学は,教育内容の側面で,これまでかなりネガティブな評価がなされてきたと思いますが,その点についてどのように皆さんご判断して,これからその問題をクリアしようとされているのかということが,今ここを読んだだけでは少しよくわからないのですが,それについては文部科学省ではどのようにお考えなのでしょうか。

【内藤専門教育課長】 今おっしゃられましたように,インターネットのみを用いて授業を行う大学として,厳しい認証評価等も受けている状況でして,これは特区評価の際も,今回が3回目ですが,主に,これまで,さまざまな特区評価,例えば学生や教員に対するアンケート等を行い,その状況がどの程度改善しているかというような状況もずっとフォローしてきたところです。
 そうした中で,一定の改善は,特区評価のほうでは図られてきています。例えば学生や教員から問題があるというような指摘を受けた状況については,徐々に改善はされてきているところです。教員や学生から指摘を受ける内容は,特区の内容は実は施設面積の弾力化という部分だけでして,インターネットのみで授業を行うということについては,平成13年の大学通信設置基準によって既に行えるようになってきています。いろいろな課題について,面積が弾力化しているという部分の課題と,それから大学通信,インターネットで授業をすべて行っているという部分の課題といろいろございます。そういう意味で,特区の話に限らず,平成13年の,インターネット等による授業で通信教育を行うことができるという状況も含めて,まず全体の実態を把握して課題を検討していきたいと考えているところです。

【安西分科会長】 一つは,ICTだけで教育をやる,そういう大学の教育の質の問題についてということが1点と,それからICTに限らず特区を,「なし崩し」という言葉がありますが,全国に拡大するというときに,教育の質がきちんと担保されているのかという問題と,いろいろな問題が絡んでいると思います。そのうちのICTに関するところについては,協力者会議でもって,今日出たご意見も踏まえて,ぜひしっかりした議論をしていただきたいと思いますし,特区全体の全国化の問題についてはやはり,これも非常に大事な,黒田委員の指摘がありましたが,大事なことだと思いますので,文部科学省としても,やはり教育の質の担保については,もう一度検討していただければと思います。
 その一方で,これからやりますが,ここでは日本の大学全体の教育の質の問題を議論しているので,特に世の中からは日本の大学の質,教育の質がどうなのかということが相当厳しく問われておりまして,特区だけの問題ではないとも考えられます。今いただいたご意見も含めて,またその中でご意見をいただければと思います。
 それでは,今の件は,これから協力者会議をつくってやるということの報告を兼ねてのことですので,大学分科会としてもしっかりウオッチしていくということにさせていただければと思います。

 

(4)佐々木委員から,大学教育部会の審議状況について説明があった後,文部科学省から資料4-1~資料4-3の説明があり,意見交換が行われた。

【佐々木委員】 大学教育部会では,平成20年のいわゆる「学士力答申」をはじめとする類似の答申を踏まえながら,また第5期の大学分科会での議論を踏まえて,第6期に入りまして10回を超える議論を重ねてまいりました。そこで,3月7日,直近の部会において,これまでの議論について年度中に「審議のまとめ」という形で世に示そういうことになりまして,お手元資料4-1の「素案」に基づいて審議を行いました。本日,この大学分科会にこの「審議まとめの素案」をお示しして,ご意見をいただき,最終的には次回,3月26日の部会で取りまとめを行いたいと考えているところです。
 教育部会における「審議のまとめ」については資料4-2をご参照いただきたいと思います。「学士課程教育の質的転換,学士力の質的な保証」については,さまざまな要因がかかわって,さまざまな措置が必要とされるところですが,「学士課程教育の質的転換への好循環」をつくり出す「始点」あるいはスターティング・ポイントとして,4-2の黄色い楕円に示しましたように,「学生の学修時間の増加・確保による主体的な学びの確立」に取り組む――ここから着手してはいかがかという考え方をとりました。これをスターティング・ポイントとして,もろもろの諸策を考えてまいりたいという点で,おおむね合意ができたところです。
 なぜここに「始点」を設けたかという基本的な理由は,学生の目線あるいは学生の立場からこの問題を考えてみようというところです。経済のグローバリゼーションと,その下での産業構造,社会構造など,急激に社会が変化しつつある中で,学生が大学教育を通じて,生涯みずからの人生を切り開いていく基盤を獲得できるかどうかということが非常に切実な問題になっているのではなかろうかと思います。この点を学生の立場,学生目線から重視していったときに,まず大学教育の本質である「主体的な学び」を確立するということが急務ではないのか,ということに議論が収斂したところです。
 同時に,産業界や地域社会からも,先の見えない社会変動の中にあって,この変化に対応して活路を見出していく,あるいはこれを切り開いていく原動力となる人材を切望する声が高まっているところです。
 このような観点から,社会や個人の要請に応えるために,まず「大学教育の本質である主体的な学修」を促すというところから着手してはいかがかと考えたところです。これによって,知的な成長ができるように「学士課程教育の質の転換」を進めてまいろうということです。
 もちろん,「質の保証」,「学修の質的な転換」は,学修時間を長くしなさいというだけでは進まないわけでして,4-2の図にありますように,「カリキュラムの体系化」ですとか,「教育方法の改善」,特に「教員集団による組織的な教育」,あるいは「教員の教育力の向上」,あるいは「学修成果を把握する適切な手法の開発」等々が求められるところです。そこで,待ったなしの課題に応えるために,着眼点,着手点として,「学修時間の増加・確保による主体的な学びの確立」を考えようというのが部会の議論の主旨でした。
 部会としては,日本の大学生の学修時間が少ないということが,我が国の学士教育課程の成果に対する社会的な不信あるいは国際的な信頼感の欠如につながっていると考えまして,いわば待ったなしの課題である質的転換について,具体的な効果や重要性を考慮して,この点から「主体的な学びの確立」に取り組もうと思料したところです。
 先ほども申し上げましたように,「主体的な学びの確立」は,当然のことながら「カリキュラムの体系化」,それから「教育の組織化」といった課題に連なってまいりますし,またそれを保証していく大学のマネジメント,特に教学のマネジメントの改善という課題に連なってまいりますが,まず学生の意識改革を促し,さらには教える側の教員の意識改革を進めていくという点でも,あるいは,学生に生涯学び続ける能力を与えるためにも,学生の「学修時間の保証」あるいは「学修の密度の高度化の保証」が喫緊の課題である――この点を訴えていくことが適切ではなかろうかという観点で,今回の「まとめ」を行いたいという考えです。

【合田高等教育政策室長】 ただいま佐々木部会長から報告があったとおりですので,資料4-1を中心に,ポイントを絞って簡単にご報告させていただきたいと思います。資料4-1の「1.問われる学士課程教育の『質』」,「2.学士課程教育の質的転換の確立」,ここは総論ですので説明を省かせていただきたいと思います。
 今回の素案のポイントです,「3.好循環の始点としての学修時間の確保による主体的な学びの確立」については,四つ目の○にありますように,待ったなしの状況を踏まえて,学生の学修時間の増加・確保による主体的な学びの確立というものを,好循環の第一歩,始点としていきたい。その理由ですが,六つ目の○ですが,第1に,予習・復習などを含めた学修時間の確保による主体的な学びは大学における学修の本質であるという点,それが高校教育との大きな違いであるという点です。
 それから次の○ですが,第2に,学修時間の増加・確保は,シラバスが学生が予習など主体的に学ぶに当たって必要な,いわば授業の工程表として機能しているかどうかだけではなく,カリキュラム全体の目標,各科目同士の連携・関連,効果的な教育方法や成績評価,教員の教育力,それからマネジメントといった課題に大学全体として取り組み,学士課程教育の質的転換への好循環を生み出すいわば始点となるからという点です。学修時間は単に学生の学修の量の問題ではない,質にかかわる問題だという点です。
 それから三つ目に,我が国の大学の海外からのトラストという点からも重要だということでして,最後から二つ目の○にありますように,例えば関係機関が,各大学における学生の学修時間の確保,その結果の学士課程教育の質的転換への活用,学修時間の増加・確保による主体的な学びの確立に向けた全学としての具体的な取り組み,これらの結果の取り組みの公表といった,それぞれの大学の積極的な取り組みを,資源配分の際の一つの参考資料としてエンカレッジすることが考えられるとのおまとめをいただいております。
 これに関連しては,その下にありますように,さまざまな課題というものもしっかり,文部科学省としても受けとめ,認識するようにというお話もいただいております。もちろん学修時間はあくまでもスタートポイント,始点です。さらに好循環全体については,「4.さらなる学士課程教育の質的転換への好循環に向けて」ということでして,(1)の「学位プログラムでどのような力をつけるか」というところで,学位授与の方針,いわゆるディプロマポリシーについて,それがあるからこそ,科目間の連携ですとか,教員の教育力の評価ができるといったことです。
 それから(2)の「カリキュラムや学修支援環境の充実」というところでは,シラバスやナンバリングなど,それぞれについて目的を明確化した上で,(2)の二つ目の○では,産業界や地方公共団体,地域との関係,三つ目の○では,学修支援環境について言及をいただいております。
 (3)の「どのような入学者を受け入れ,はぐくむか」というところでは,部会では初中教育と高等教育の接続の重要性について議論がありました。最近の初中教育の動向を踏まえた上で,高校教育と高等教育,職業と教育内容という観点から円滑に接続し,一人一人の能力をいかに伸ばすかをベースに,学校教育が柔軟にその役割を果たすようにするという観点からさらに議論を深めるべきというおまとめをいただいております。(3)の最後の○には,それらの観点からきめ細かい接続に関する議論が必要とご指摘をいただいております。
 なお,(4)の「学士課程教育の改革サイクルと全学的な教学ガバナンス」については,二つ目の○にありますように,学生の学修成果の把握のためのアセスメントテスト等については速やかな研究開発を。それからその下の丸ですが,大学情報の積極的な発信については,1年間の成果を比較可能な形で情報発信する,いわばアニュアル・レポートとしての自己点検評価の公表や活用,関係機関による大学ポートレートの早期整備といったことの重要性が指摘をなされています。
 また,その下の○では,認証評価については,学士課程教育の質的転換という文脈で位置づけてご議論いただいておりますし,(4)の最後の○で,ガバナンスあるいはマネジメントについても同様の位置づけです。
 最後に,「5.今後の検討課題と短期大学士課程」ですが,今回の議論における短期大学士課程の位置づけについては,本日の議論も踏まえたさらなる審議が必要と考えております。
 この素案についての先日3月7日の大学教育部会でのご議論をご紹介申し上げたいと思っております。資料4-3は,大学教育部会での主な意見です。先ほど佐々木部会長からもお話がありましたように,学士課程教育の質的転換の始点として,学修時間の確保による主体的学びの確立を位置づけるということについては共通認識をいただいたところです。
 そのうえで,最初の○ですが,多様な大学教育において,教育の中身に関して着目できることは学修時間,主体的な学修が重要な時代であり,学修時間の確保をメッセージとして打ち出し,重要性を認識してもらうことが必要である。その次の○ですが,学修時間を増やすということは,単に勉強時間を増やす,知識を詰め込むというものではない。一つ一つの科目で,学生が自ら考え学ぶ時間を増やすとともに,そのために教員が準備する時間を確保・増加するという必要があるという視点。
 それから,(初等中等教育との連携)では,大学教育のあり方は高校教育に大きな影響を与える。中間レベルの学力層の高校生の学習時間が劇的に減っており,高校・大学を通じ学びの時間が大事というメッセージを出すことが大事。それからその次の○ですが,現状認識や各大学に求めることを明確にして,個々の教員を含めた大学関係者が強く印象づけられるメッセージ性の高いものとなるよう工夫することが大切。大学教育部会からの提言を明確なメッセージとして社会に発信したい。
 最後の○ですが,先ほど佐々木部会長からもありましたように,学生視点での改革を打ち出すものであり,さまざまな学生フォーラムやNPO法人等とも連携しつつ,全国各地で学生や大学関係者と議論することが必要というご議論を賜ったところです。
 なお,これらの大学教育部会の審議に関連して,あと1点だけご報告を申し上げたいと思います。資料4-4をごらんください。
 資料4-4ですが,「大学改革タスクフォースでの検討状況」という資料です。ご案内のとおり,昨年の政策提言仕分けですとか,平成24年度予算編成などを踏まえて,「経緯」の三つ目の○ですが,実効性ある大学改革をスピード感を持って推進するため,文部科学省の中に,森副大臣をトップとする大学改革タスクフォースを設置しているところです。現在,タスクフォースで検討する政策課題例として,1,2,3と,これらの,それぞれの政策課題例について議論をしているところです。ただいまご説明申し上げました大学教育部会や大学分科会のご審議というものを受けとめつつ,検討を進めているところです。
 戻りまして,3の「検討スケジュール等」ですが,これまで5回開催し,年度内ごろを目途に大学改革の工程表を作成し,夏ごろまでに具体的改革案を取りまとめるという方向です。大学分科会のご議論をしっかりと受けとめながら検討を進めてまいりたいと考えておる次第です。

【安西分科会長】 大学教育部会においては,佐々木部会長のもとで,学士課程教育の質的転換に向けまして,相当白熱した議論が行われてまいりましたし,私も何度か出席させていただいて意見を申し上げたところです。
 佐々木部会長も言われておられましたように,大学改革待ったなしという状況で,大学分科会としても,具体的な提言を早急に,大学だけではなく社会・国民に対して出していくという時期に来ておりますので,その点ぜひご協力くださいますよう改めて,ぜひお願いを申し上げます。

【浦野委員】 先ほど佐々木部会長から,学生の視点でということで,そのスタートポイントとして学修時間の増加・確保による主体的な学びの確立ということが挙げられまして,大賛成です。
 私が学生の視点から見たときに,自分の経験も踏まえて言えば,このスタートのポイントがきちんとできると,五つぐらいのことが結果,成果として上がってくると思います。まず,大学生は,18歳で社会に出る人もかなりの数,半数いる中で,その時間を学修に費やすわけですから,そのことをきちんと考えると,最低でも,18歳で社会に出る人の労働時間分ぐらいは勉強しなければ話にならないということがまずあると思います。その中で,これをきちんとやっていくと,一つは,上にも書いてありますが,一生学び続ける力が必ずつくと思います。それから二つ目は,自分の専門科目を通じて,いわゆるアカデミックスキル,学問の作法といいますか,そういったもの,社会にも非常に役立つアカデミックスキルが身につくことです。それから三つ目は,この主体的な学修で先生とかんかんがくがくやれば,受験勉強とは違って,やはり挫折感を相当感じると思います。この挫折を学問上感じるということがものすごく大事だと思います。それから四つ目は,多分これを主体的にやっていくと,異なる専門分野を俯瞰的に見る力,あるいはもっとできる人は,異なる専門分野を総合する力がつくと思います。このことが,世の中のイノベーションということに大きく結びついていくだろうと思っております。それから五つ目は,そういったことを総合的にやることによって,結果として,個々人が自分なりのエートスというものを持つことができると思います。今,こういった学問を通じて,自分の考えとして総合的に身につくエートスといいますか,そういったものが欠けている時代環境にあると思いますので,ぜひ,このことをスターティングポイントにして,この五つのことが習得できるということを,先生方も自信を持って学生に説いていただければと思います。
 そして私たち企業は,そういったことができるようになってくると,まさに大学を信頼して支援もしたいし,信頼するあかしとして,大学で学んだことを尊重する採用なり,あるいは大学で学んだことを尊重する働きの場を共有できるようになってくるのだろうと思っております。ぜひ,こういったスターティングポイントに早急に立てるようにお願いしたいと思います。

【北城委員】 私も浦野委員がおっしゃったように,主体的に学ぶという仕組みがうまく確立できれば,学校のすぐれた成績をとった学生を採用するということに関して企業も利用できると思います。しかし,現状では,あまり学校の成績が企業での活躍に関係していないので,どうしても教育の成果を見るよりも,早く採用したいということになってしまっています。採用の時期を早くしているという問題にも関係すると思うので,主体的に学ぶということは非常に重要なことだと思います。そういう意味では賛成です。
 ただ,これを学修時間の増加ととってしまうと適切ではないので,いかに,自ら学ぶという教育にしていくかということが非常に重要です。このことに関しては3の最後から二つ目の○のところに,「資源配分の際の参考資料の一つとして」と書いてありますが,こういう方向に向けて努力している大学を支援するような仕組みが必要だと思います。これを特別な補助金で支援するか,あるいは国立大学の運営交付金とか私学助成とか,国公私立すべての大学を対象として資源配分をする支援金を支給するというような形がないと,実現されないと思います。 それから4の(1)の「学位プログラムでどのような力をつけるか」というところですが,教員が適切に教育することが大事ですので,教員評価も非常に重要だと思います。特に,ここで検証するだけでは不十分なので,やはり主体的に学ぶ学生を育てるような教育活動を行っている教員に対して,同じような助成策をとったほうがいいのではないかと思います。表彰だけでは不十分だと思います。
 それから4の(2)の,どのような学生を受け入れるかということに関しては,高校と大学との接続の問題を考える必要があります。有力大学の入学試験の仕組みが主体的に学ぶ能力を育てていないのではないかということなので,初等中等教育分科会とこれから一緒に取り組んでいかれたらいいのではないかと思います。
 それから4の(4)の学修到達度について,これを評価する評価手法をつくっていただきたい。これは大変大事なことで,主体的に学んだ学生がどのような能力を身につけたかということをどう評価するか。これができないと,結果としては,すぐれた教育を行っているかどうかわかりませんので,この評価手法をつくり上げるということは非常に大事です。3番目の○で,従来の偏差値にかわるようなランキングということが書かれていますが,ランキングにするかどうかは別としても,やはり個々の大学がどういう努力をしているかということを評価する仕組みがないと,本当に主体的に学ぶ教育が行われているかどうかわからないのではないかということです。
 最終的には,こういうことに努力をしている大学を評価するということと,こういうことに取り組むような支援策ができるようにすることが大切です。今後の検討課題のところに書いてありますが,実際にこういうことに努力をするような学校をつくるための,大学の運営の仕組み,ガバナンスのあり方ということも,今後の検討課題にすべきと思います。そうしませんと,幾らいい方向を出しても,個々の大学は実際にそういう活動をしないということになってしまうのではないかという懸念があります。
 あと細かいことですが,あまり片仮名を使わなくて済むところは,使わない方が良いと思います。「エンカレッジ」という言葉を使わなくても,「助成する」とかが使えると思います。それと,「学修」という字は一般には使われません。大学ではこういう字を使うのでしょうが,一般には「学修」という字より,「学習」という字の方が分かりやすいと思います。ただし,答申等ではいつもこの「学修」という字が使われていますが,あまり使われない言葉のような気がするので,ここら辺は今後考えていただいたらと思います。

【合田高等教育政策室長】 片仮名については大変失礼いたしました。工夫をさせていただきたいと思っております。「学修」についてもご相談申し上げたいと存じておりますが,今回特に高校までの学びと大学等の学びの違いというものをあらわすために,法令上,大学での学びには,学を修めるという字で「学修」と言っており,それを使わせていただきましたが,この表現についてはまたご相談させていただきたいと思います。

【安西分科会長】 あまり世間では使われていないのですが,学を自分で修めていくということで,これは検討していただければと思います。ただ,言わずもがなで,これは共通了解にしたいと思いますが,「学修」ということは,拘束されて教えられている,学修時間はそういう時間ではないということです。自分で主体的に学ぶ時間という意味だということは,共通了解だとは思いますが,申し上げておければと思います。

【中西委員】 一つ質問があります。かなり,幾つかの大学で,大学院重点化ということを行いました。かなり時間がたつわけですが,それはどちらかというと,現場の教員は研究のほうに教育よりも力を入れるような,そういう全体の流れができて,意識的にも随分変わったと思います。教員はみんな,例えば大学院に所属して,学部の教育に携わるという中で,もうかなり時間がたちましたので,一度見直しで,大学院重点化はよかったのか,悪かったのか。いいところ,悪いところ,いろいろあると思いますが,それとあわせて大学の学生の主体的学修を考えるということも必要ではないかと思います。かなり影響を与えていると思いますし,現場の教員としては,考え方が随分ごちゃごちゃになる可能性もありますので,それもあわせて議論したほうがいいようにも思いますが,それはされるのでしょうか。

【安西分科会長】 重点化の問題は国立大学だけの問題なので,公立・私立は関係がございませんでしたので,そういう意味でも取り上げてこなかったのではないかと個人的には思いますが,文部科学省から何かありますでしょうか。

【合田高等教育政策室長】 大学院重点化は,今お話がありましたように,平成3年から,東京大学がスタートしたものですが,それに基づいて中教審や大学審においても,大学院研究科の大学制度上の位置づけについて審議を重ね,例えば,平成10年のいわゆる21世紀答申や大学院に関するさまざまな答申の形で議論をまとめていただき,制度改正も行ってきたところであります。
 大学院重点化について,これらの大学院に関する答申等を踏まえてさらに検討することは大事だとは思いますが,先ほど佐々木部会長からもお話がありましたように,今回の審議まとめ,あるいは答申においては,学士課程教育をどうのように質的に転換していくかということを中心に,ターゲットを絞ってご議論いただいているということですので,大学院重点化の問題は,引き続き大学院部会などでもご検討いただき,これらトータルで大学分科会でご審議をいただければと思っております。

【板東高等教育局長】 ご指摘のように,大学院重点化ということが学部教育のほうの少し軽視につながっているのではないかというご指摘はあるかと思いますし,これは一律という話ではありせんが,幾つかの国立大学で,今のような教員の所属とか学部教育の進め方,あるいは教養教育の進め方でいいのかどうかということは具体的な検討が始まっているということですので,今,中西委員がおっしゃっていただいたような,時間がたっての検証を含めて,今,幾つかの大学で検討が行われていると思います。一律にどうこうという話ではないかと思いますし,機能別分化といったような観点も重要だと思いますが,学部教育のほうの必要性なり教養教育の重要性なりということは,改めて今,問い直しはされているということと思います。

【安西分科会長】 大学院部会のほうで,かなり大学院の教育のことは議論されてまいりまして,大学院重点化の検証は私も大事だと思っておりますが,並行してやっていただくことと思います。

【清家委員】 この素案を拝読いたしまして,とてもすばらしい報告書をつくっていただいたと有り難く思っております。佐々木部会長をはじめ部会の先生方のご尽力に心から感謝いたします。特にここの「学士課程教育の質的転換の確立」,2の四角の中に書いてありますが,現在の社会は,例えば地球環境の問題も,あるいは人口の問題も,あるいは財政の問題も,過去の延長線上ではなかなか考えられない,まさにここに書かれているような,先が見えがたいというところに特徴があるわけで,そこに対処できる人材を育てるという問題意識は,私も何よりも大切だと思っております。そして,先が見えない状況に対処できる人材は,やわらかい言葉で言えば,新しい状況を自分の頭で理解して,その理解に基づいて問題を解決することができる,自分の頭でしっかり考えられる人材ということであって,しかもこれは,いきなり自分の頭で考えるということはできないわけで,それは具体的に言えば,問題を見つけて,そしてその問題がなぜ起きているのかということについての仮説をつくって,そしてその仮説が本当に正しいかどうかを客観的に検証して結論を導くという能力であって,言うまでもなくそれは学問の作法にほかならないわけですから,そういう意味で,しっかりと時間をかけて学問を学部の学生にもやってもらうということです。それは一つには,教養教育において過去の人たちが自分の頭で考えた軌跡を追体験してもらうということと同時に,卒業研究であるとか卒業論文において,まさにテーマを見つけて自分で仮説をつくり,それを検証して結論を導くという作業を丁寧にやってもらうということが大切だと思っております。
 そういう点で,もう一つの問題意識,勉強時間あるいは勉強の量という観点から言うと,これも勉強への積極的な取り組み量という意味でかなりうなずけるところがあるわけでして,先生もご承知のとおり,私どもが学生のころに比べると,学生の授業への出席率はものすごくよくなっているわけです。ほとんどの学生がきちんと出席してくる。しかし,ここにも書かれているように,多くの学生は高等学校の授業と同じように授業に出て,しっかりと物を覚えるというタイプの勉強方法になっておりまして,例えば教師の言うことを批判的に見ながら自分で考えるというような,まさに主体的な,積極的に学問をするというところが少し弱くなっているわけでありまして,そういう問題意識も私は全く同感です。
 実はそういう意味では,ここはお金がかかるわけですが,少人数のクラスで教師が熱意を持って学生に研究指導をする,あるいは学問を学ばせるというようなことができれば,多くの大学において質の高い教育ができると思っておりますので,そういう意味での私学に,特に私どものような私立大学の場合には人件費等への一般助成の意義というものも,もう一度確認をできることだろうと思っております。
 その点で,少し私は違う考えを持っておりますことは,先ほど,これは決して分科会長の言葉じりをとらえるわけではないのですが,いわゆるインターネット大学などの問題も含めて大学の質の問題をこれから議論するとおっしゃったのですが,私は,やはりインターネット大学,あるいは空地なしの大学といったような,それを大学と認めていいのかどうかという特区の話と,従来型のしっかり教育をやっている大学で,さらに教育の質を高めるということは,次元が少し違うと思います。また特に私ども私立大学の場合には,国立大学はすべて国民の税金で賄われている大学ですからかなり画一的・一律的な方向性というものを国が誘導するということがあってしかるべきかと思いますが,私立大学の場合はそれぞれが個別の建学理念にのっとって,個性のある教育を行っておりますので,どういう教育がその学校にとって質が良い教育であるかということについては多様性があると思います。すなわち,何でも良いことは全て行うことはできないわけで,どこに重点を置くかということはそれぞれの学校によって違ってまいりますので,それに対して国が一定の方向で,こういうことを行うことが質を高めることである,あるいはこういうガバナンスが質を高めることにつながるといったことを誘導したりするということは,私はむしろ,特に私立大学の場合,知的な多様性を社会にもたらすということが存在意義だと思っておりますので,そういう視点からはいかがなものかと思います。
 特にバランスの点で,先ほど言いましたように,これが大学と言っていいかというような点について特区などでものすごい規制緩和をしながら,一方でそれぞれの大学が個性のある,あるいは多様性のある教育を行うことについて一定の規制を加えたり誘導をしたりするということは,国の役割としてそのバランスを欠くものでもあるし,方向性としてもおかしいのではないかと思っておりますので,その辺についてはぜひご留意をいただきたいと思っております。

【安西分科会長】 私が申し上げたことですが,特区の適用を受けているような大学は別だとおっしゃる,その論はよくわかります。ただ,私立大学も,やはりかなりの数がありまして,その中には,やはりそのような大学があることもぬぐえないと自分では実感として思っております。
 もちろん,非常に一生懸命やっておられる私立大学はたくさんありまして,そういうところに対して云々ということではありませんが,そこでもやはり,今言われたように,特に少人数クラスでディベート等も入った,そういう教育を早い時期からやっていただくということはとても大事なことだと思います。
 ただ,どうしても私学の場合には,経営の問題もあって,なかなか少人数でできない。それがやはり,どうしても日本の大学全体としては,世の中から見たときに,これからの時代にこれでいいのかと言われるところがあるので,そういうことを申し上げたかったということです。

【清家委員】 もちろん私も分科会長の仰せの趣旨はよく存じております。全く同じ考えでして,ありがとうございました。

【有信委員】 今回の提案は,従来の大学の在り方からすると,非常に画期的な提案だと思います。これがもし本来の趣旨どおり実行されれば,浦野委員,北城委員ご指摘のように,非常にいい効果が出ると思います。学生の側にとっても,実際の就職戦線で結局外国の大学の卒業生と競争をさせられるという状況の中で,予習・復習をベースにした講義体験の中で学んできた学生と直に競争させられるということで,相当パニックになっている部分もあると聞いていますので,学生にとっても非常にいい方向だろうと思います。
 ただ,ここの中で気になりますことは,実際には学修時間を増やすということ,あるいは確保するということの表現が強調され過ぎていて,基本的には予習を前提とした講義ということを考えると,講義内容は大幅に変わるはずです。従来のような講義であれば優秀な学生は予習の必要はなくて,あるいは講義に出る必要すらなくて,そういう講義をやっているものだから,これは社会人にとっても魅力がありません。したがって社会人も大学に来ません。こういう状況をずっと放置していて,それを担保していたのが実は入学試験です。その入学試験の中で選ばれた学生たちが,自主的に学び,自主的に物を考える中で何とか保たれてきました。だけど,今の受験産業のばっこの結果,これすら今や保たれないということになっているので,大学はもう本格的にそこを変えていかないと成り立たない状況になっています。
 したがって,この提案をぜひ実行に移すということで,中でも教員が,講義のやり方,あり方,つまり予習・復習を前提とした講義をきちんとやることです。そのためにはシラバスも,ここに書かれてありますように大きく変わらなければいけません。今はシラバスも,ある意味であるのだかないのだかわからないような状況ですので,そういうことも含めて進めることです。特に教員側への部分がもう少し書き込んでいただけるといいかと思いますし,もう一つは教員の評価の中も,何となく,これを読ませていただくと,大学サイドで評価をするというふうに見えていますが,もしそういう教育をきちんとやるのであれば,今度は学生側からの評価も非常に厳しくなると思います。きちんとした講義をしていない先生に対しては,予習をしてきた意味がなければ,当然学生側の評価も厳しくなると思いますので,学生による教員評価という内容が大きく変わってくると思います。したがって,そこの部分についても少し,きちんと書いていただきたいと思います。
 これを具体的に各大学が実行に移すと,すべてが同じようにやるわけではないので,今目指している大学の機能別分化という意味でも,各大学はそれぞれ特徴を出して学生を訓練する,あるいは訓練して必要な知識あるいはスキル,技能を身につけて外に出すという意味で,具体的な機能別分化も進むと思いますので,そういうところを踏まえて,これが具体的に実行されるように,ぜひお願いしたいと思います。

【佐々木委員】 先ほども申しましたが,私どもの議論は,「学修時間,学修密度の高度化」という点と,それから「カリキュラムの体系化」ということと,そして「教員による組織的教育」という主として三つの点に及んでいます。つまり授業科目の設定をはじめとしてきわめて「属人的」になっていたこれまでの教育システムを改めることが不可欠の課題です。
 ですから,「学修密度の高度化,学修時間の長時間化」を考えるときに,「カリキュラムの体系化」や「教育方法の改善」という課題が不可分であるということは承知の上で,さてこれを考えるときに,どこを出発点すなわち「始点」として打ち出していくのがいいのだろうかという観点で考えました。学生の目線・学生の立場で,こういう激動する時代において学生にどういう能力をつけさせるか,どういう力をつけさせることが大学のミッションなのか,という切り口で訴えていく,アピールしていくのが有効ではないかという観点で,「始点」という概念を示しました。
 私は,先日の会議の後,大学へ帰りまして,教員,学生それぞれと意見交換をする機会を持ちました。本学にも学生の自主的なFD委員会ができていまして,その学生と話をしましたら,大学がこんな目線で考えてくれるということは思わなかったと言うのです。教員の方も,部局長のクラスの意見ですが,カリキュラムを体系化しなさいとか,組織的に教育しなさいと言われると,なかなかそれは進まないが,学生のこういう能力をつけるためにはこれが必要だという趣旨ならば,学部へ帰っても話しやすいという意見でした。
 「カリキュラムの体系化」,「組織的教育」と「学修時間と密度の高度化」はワンセットですが,社会に向けた,あるいは大学内へのアピールとして,こういう手法,こういう切り口が有効ではないか――以上,私の意見も交えて申し上げました。

【北山委員】 学校関係者ではない者の意見として聞いていただきたい。大学教育部会の「審議まとめ」,および「大学改革タスクフォース」での検討状況を拝聴しましたが,内容としては全く賛成です。ただ,これを実行する段階で,具体的な項目を工程表に落としていくと思いますが,その際に是非心がけてほしいのは,工程表をできるだけきめ細かく,かつ短くしてほしいということです。早く改革を実行に移さなければ,日本の高等教育はたいへんな状況に陥ってしまうと思います。特に「大学改革タスクフォース」での検討については急いでほしいと思います。
 これから本当に高等教育が大きく変わろうとするのであれば,7年に1回の認証評価なども,もう少しサイクルを短くしてはどうか。評価機構の負担が大変だというのであれば,大学の自己評価でもいいので,改革の進捗状況がきめ細かくフォローできるような,またPDCAサイクルがしっかり回るような仕組みが必要だと思います。
 また,高等教育の質の保証についてこれまで多くの議論がなされていますが,私が一般の人と話すと,高等教育がこれほど深刻な状況に陥っているということについてあまり理解されていません。パブリシティーの問題だと思いますが,社会保障と税の一体改革やTPPの問題については,新聞にもよく取り上げられていて,国民一般の理解もそれなりにあります。社会保障と税の一体改革などは,どちらかと言えば我々みたいな年寄りの話であり,むしろ高等教育のように若い人材への投資となるものについては,日本の将来に対する投資という認識を持ち,高等教育改革を国民的な議論にしていくことが必要だと思います。
 そうしなければ,高等教育予算もなかなか増えていかないのではないでしょうか。予算を増やそうとすれば,そのような努力が必要ではないかと思います。

【川嶋委員】 私は大学教育部会のほうに属しており,そこでも意見は言わせてもらいましたので,今日は聞き役に徹しようと思ったのですが,何人かの委員の方にお話を聞いて,3点ほど意見を述べさせてもらうことにしました。
 1点目は事実に関することです。清家委員が先ほど国立大学は100%税金で運営されているとおっしゃっていましたが,法人化後,今や国立大学の運営予算はほぼ50%ぐらいが国からの補助金で,残りは,大学によって濃淡ありますが,自己収入で頑張ってやっているところもありますので,ご認識を改めていただきたいということがまず1点です。
 それから2点目は,先ほど中西委員からのご指摘に関連したことです。大学院教育のあり方,あるいは研究者としての大学教員のあり方と,学士課程を担当する教員のあり方は,同じ人間が担っているわけですから,分けて考えることはできないのだろうとは思います。ですから,先ほど大学院重点化が国立大学だけというご指摘もありましたが,それによって教員のアイデンティティーが,大学院あるいは研究のほうにシフトしているということも事実としてあって,それが学士課程や,あるいはその中で特に教養教育,共通教育と呼ばれるところへの影響を及ぼしていることは確かですので,学士課程だけを切り離して議論することは,必ずしも正しい方向ではないのではないかと思います。特に教員評価ということが,今回何度か言及されていますが,教員のパフォーマンスは,大学院でのティーチングとか,研究者としての成果というものと組み合わせて総合的に評価されるべきものですので,学士課程の教育のパフォーマンスだけで評価されるというものでもありませんので,その点は慎重に,学士課程教育のあり方を考えるときに検討する必要があるのではないかと思います。
 3点目は,すでに退出されているのですが,北城委員が先ほど,大学が変われば企業も早期採用を変えるだろうという趣旨のことをおっしゃっていましたが,今回の審議まとめ案の4の(2)にも書かれているところですが,やはり企業側の就職活動のあり方と大学改革は,互いに手に手を携えて検討していかないと,今ポイントになっている学修時間の確保ということを提言しても,就職活動で4年の学士課程が3年とか2年半しか事実上ないということになれば,当然学修時間の確保は難しいわけですから,今後,企業の側と大学側がきちんと,学修時間の確保という観点からの双方向的な議論を詰めていく必要があるのではないかと思います。

【安西分科会長】 教育と研究の関係といいましょうか。これは突き詰めていくと,それぞれの大学の先生方がきちんと主体性を持った学びのできる学生を育てているかどうかということになっていくわけですが,私見ですが,いわゆる,ある意味トップレベルと言われている大学においては,一流の研究者であるということが教育者であることの前提であるということが,世界的には当たり前のことだと思います。ただ,やはり大学もいろいろなファンクションを持っておりますので,いろいろなミッションの大学が多様にある中で,そういったことを反映した教員の評価が,ある意味多様になされていかなければいけないのではないかとも思います。

【島田委員】 私は,少し皆さんと違う意見かもしれません。親としてというか,全然関係ない世界からの話です。先ほど佐々木委員が言われたように,学生の視点でという話でしたが,私は大学,特に学士課程の教育を考えたときに,もう私が委員になってからも6年ぐらい,ずっと質の保証とかってやっていると思いますが,1回も変わりません。その中で見たときに僕はやはり,大学の視点でやらないといけないと思います。学生の視点でやったって,これは,客の視点でやることが本当にいいかといったら違う世界だと,私はこの教育は思っています。
 やはり大学は何をすべきところだということをまず明確にして,変になるかもしれないが,本来,私学だったら学校を設立したときの思想があるということと同じように,私はこれをやりたい,この大学はこういうことをする。要するに学者を育てるのだ,あるいは企業人を育てるのだ,何とかということがあるから,逆に学生は,だからそこを学びたい,そこに行きたいという感覚になるのだろうと思います。すべてがあって,どこでもいいですから,変な話,早稲田,慶應義塾に行ったら就職がいいですという話ではなくて,本来は,学修ということをもし始点に置かれるのだったら,そういうことで,大学は何を教えるのだから来なさいと言うことだと思います。我々は基本はこれなのだという,大学別のこと,機能別分化かどうかは別にしても,大学が個々にそれを言うべきと僕は思います。
 そして逆に言えば,今,学士があるのは,50%以上いろいろな人が大学に来ていますが,大学が何かわからないとともに学力がもともと落ちています。いい人はいいが,悪い人はだめです。それをごちゃまぜに同じ大学に入れていることも事実なわけで,それを一遍に教育しようということもおかしいのです。だから,また戻るのだけど,結局最終的には,小学校課程を卒業する,中学課程は,最低このランクは一応覚えました,高校を出るときにはここまで覚えましたというミニマムみたいな,何かランクづけがないと大学に行けない,あるいは高校に行けないということが本来はなければいけないので,それをまた補完する学校を別につくるなら別ですが,そういう部分をやはりどこかに戻してこない限り,学修は出てこないと思います。
 もう一つ,学修を学力で見るのか知識と見るのか体験と見るのかと,両方あるわけです。高校までは確かに知識の部分があるのだろうが,大学という部分であったら,体験,社会勉強も含めてあるという部分が多分出てくると思います。だから知識を求める大学なのか,体験を求める大学なのか,両方求める大学なのかは多分,二つあるのだと思います。そういうふうに考えないといけないのだと思っています。だから,もしこれを本気でやるのだったら,学修成果の把握ってものすごく難しいです。知識を求めることは何かではかれるが,社会体験をどうやって,企業人になれるかとか,社会常識を知ったかなんていうことはどうやって求めるか。2年間バイトをしていても多分それで,店長までした人だったら社会人としてのそういう成果が出てくる世界もあるわけです。知識はだめかもしれないが,それが一つの企業人として認められる世界かもしれません。そういうものをどういうふうに判断するかということがあります。
 というふうに,どちらにしても,これを,どういう方向でもいいのですが,学修時間の切り口でもいいのですが,本当にやるのだったら,やるという実効性を持たないといけないと思います。もう6年間,8年間ずっと同じことをやって一つも実行しないわけです。実行しようとしたら結局,国も大学も親も企業も変わらないとしようがないです。そういうふうに,極端に変化したからこうなるのだとやらないと,じわじわ変えていっても多分実行はできないのだろうと思います。だから,親の感覚として,あの大学に行ったら就職ではなくて,あの大学はもう,博士をつくる,国に働く人をつくる大学だと思ったら,それならあそこに行かないで,こっちの民間のほうに行こうかとかいう話もしない限りは,僕は大学は変わっていかないと思います。学修も同じです。そういう意味で,実効性があるためには何をするかということをもう少し詰めていただきたいと思います。

【安西分科会長】 大学がまずこうあるべきだとおっしゃりつつ,6年も8年も全く変わらない。だからやらないとならないので,この案が出てきたということです。私も申し上げましたが,私も毎回,こうやって申し上げているところでして,この案は,具体的に実行されるための手立てをきちんとインプリメントすることが大事で,それには島田委員がおっしゃるように,さっきからありますように主体的に学んだということの評価をどうやってやることができるのかということは,具体的なキーポイントになると思います。
 何点ということはできないとは思いますが,できる限りそこのところも考えていく必要があるということではないかと思っております。

【中野委員】 今まとめてくださったので,まさにそのとおりだと思います。島田委員がおっしゃられました,どのようにして実効性を持っていくのかということに問題を移さないと,これはいいことだとか重要だとか,幾らお話をされていましても,実際的にはなかなか難しいのではないかと思います。
 今,安西分科会長がおっしゃられました評価ですが,「評価」という言葉は,常に第三者評価の評価といい,社会評価の言葉で使われることが多いですが,このまとめいただいております資料4-1の2に挙がっております成績評価の厳格化ですが,この成績評価の「評価」という言葉を,どのように実際的に行うかということに焦点を当てるべきだと思います。すなわち今,分科会長がおっしゃられましたように,評価は大体これまで,設置基準とも関係しますが,45時間の単位の中の評価は,15時間あるいは30時間の授業の中で行われる学修内容の評価というものが,意識している,しないにかかわらず,実態としては多かったのではないかと思います。今回のように,学修時間の増加・確保といいますのは予習・復習の時間のことをおっしゃるのであれば,その予習・復習の時間の中でどれだけ伸びたのかということをいかにして評価するのかということです。その評価のあり方を,教学ガバナンスの関係とすごく密接だと思いますが,各学校の中で評価基準などをどのように規定化して設けるかというような,より実務的で具体的な話をぜひ盛り込んでいただくことが大事ではないかと思います。

【宮田委員】 3点あります。学修時間の増加というポイントと主体的な学修ということが,あたかも表裏一体というか関連するような形で表現されていますが,実際は,比較的違うことを言っているのではないかという印象を強く持ちました。企業側としては,学修時間の増加ということよりは,ポイントのほうは主体的な学修というところにあるのであろうというふうにメッセージが出るといいということが1点目の希望です。
 それから学修時間の増加ということに関しては,大学関係者ではないという点から見ますと,学修時間にどういう問題があるのかということに一般の人はあまり気がついていないので,私も一番最初にこれを読ませていただいたときに,なぜ解決策が学修時間の増加になるのかというところが結びつかなかったものですから,そのあたりは,発信する際にきちんと説明が要るのではないかと思います。
 もう一つ,企業側としてどういう形になれば,より大学の卒業生を受け入れるという点に当たって,大学での学修内容をもう少し考慮する形になるかといいますと,大学の中でのカリキュラムもそうですが,もし主体的な学修ができる学生を育てたいということであれば,入学試験での選考でもって一体何を見ているのかというところも一緒に改革していただかないと説得力がないと思います。海外の学生との大きな差がそこにあると思います。やはりそちらの,入試で何を見るのかというところを変えないと,社会全体に対してのメッセージが出ないと思います。

【安西分科会長】 入試が各大学あるいはむしろ各学部の専管事項になっておりまして,なかなか全体として横並びで変わらないという業界の動向があります。それをやはり打ち破らなければいけないので,ここでぜひ,学修時間についてもいろいろなことをお考えいただいて,共通理解に持っていければと思っております。

【白井委員】 学修時間を増やすということは,尺度として明確だから,一つのメジャーとしてこれを見ていくということ自身は大賛成だと思います。ただ,今もいろいろなご意見がありましたが,やはりインプリメントのことを具体的に考えませんと効果が上がりません。ここで書いてあることは,大体みんな一生懸命努力しています。していると思っているのです。効果を上げているかどうかはわからないのだけど,とにかくそういう状態だと思います。そうすると,一人一人の学生の力をつけてあげましょうというような議論はもう既に終了しているのです。
 この国は大体ガラパゴス国家ですから,これまでの高等教育は何で守られたかって,結局入試というシステムででき上がっていて,あとは勉強してもしなくても,どこどこ大学を出たら就職もできたり何かしてきたわけです。ですから,勉強する必要性を,企業もそんなに要求してきたかどうか怪しいのです。ただ,採ってみたらあまり働けないから,使えないとか何か文句を言うのだけど,そういうところでよく考えると,企業もグローバル企業になり,グローバル競争になったということだと思います。そうすると,学生ももっと競争力を持ってくれないといけません。それで,日本人がそこのところでできないのかといったら,そんなことはなくて,スポーツの世界を見たって芸術の世界を見たって,頑張っている方はたくさんいます。そういうことを考えれば,しかるべきことをやれば私はできると思います。
 特に中堅の大衆というか中間層みたいなところを育てている私立大学で,どういうぐあいに具体的に教育して,学修時間も本当に増やすか。それから,その中に適当な,ある種の競争とか評価というものが入るというメカニズムを考えないといけないし,その中で学生の自主性ということを,今おっしゃられたけれど,自分で考えて,どういう社会を自分はつくろうと思うかということと,何に自分が貢献できるかということを考えさせることです。そういうところから入っていかないと,自主的に勉強しません。そういうメカニズムをやはりここで,少しは提案していきたいと思います。

【安西分科会長】 それをやろうというわけです。

【谷口委員】 簡単に申し上げます。基本的にこの改革は非常に大きな重いものだということをまず認識しておりますし,そういうふうに認識しなければならないと私どもの大学の中でも言っています。大学が教育改革に対して覚悟を示せということです。そこの1点にしかないと思っております。ただ教員とか,あるいは学生に,その覚悟を示す意欲をそぐようなことのないように,教育改革を進めることを後押しするための方策などいろいろなものをつくっていただければこの大改革はできると思っています。

【菱沼委員】 学修時間ということが前面に出ておりますが,私もこれをどうやって本当に実行するのかということが一番大きな鍵で,実行するためには大学教員の役割が非常に大きいのです。このまま,ただやれと言っても変わらないと思います。大学の教員に対して,どういう仕組みをつくるのかということをぜひとも,ここは教員の責任だぞということをきちんと言っていただきたいと思います。
 私は大学の教員ほどわがままな人種はいない,最もわがままな人たちが集まっているのだから,そこの中でどうやってやるのかは非常に大きい問題だと言われたことがありますが,大学が自分で考えられる学生を育てるということは,言われるまでもなく当然のことなので,教員がそれをどうやってやるのかという具体性をぜひ盛り込んでいただきたいと思います。

【山田委員】 この資料4-2はよくできていると思っていまして,今の話は,大学を中心とした大きなこの丸の中で,これが閉じていると,やはりまた大学で閉じた話になってしまいます。各大学での取り組みでおそらくいろいろなまだらが出てくると思います。そこにもちろん支援していただくということになるのだと思いますが,やはりこの中で閉じないためには,社会との信頼・支援というところも大変大事ではないかと思います。それによって,大学の取り組みを社会に知っていただき,また大学の足らないところを指摘していただく,大変大事なサイクルになっていくのではないかと思います。
 ここの社会との関係がもう少し,各大学の取り組みが見えるようにしなければいけないと思いますし,そこについてもやはり,各大学が大いに工夫をしていかなければいけない。それがおそらく,今まで6年間あまり動かないことの原因の一つにも,私自身は感じます。そういう意味では情報発信の工夫とか,それに対しての評価とか,それに対しての支援というものももっとあっていいのではないかと思います。情報発信をもっと徹底すべきだと思います。

【安西分科会長】 先ほどからありますように,ここでは議論はできるのだが,実際に具体的には動かないということが問題なので,とにかく具体化しなければいけないということでやってきております。

【佐藤弘毅委員】 2点お話しいたしたいと思います。一つは,このまとめの中で初等・中等教育からの連続性や継続性というところに言及されています。私も,このことは幾重にも,どんなに強調しても強調し切れない,大切なことだと思っております。一方において随所に,高校までは受け身の学習,大学から先は主体的な学びという断続を強調しています。今のありようはそのとおりですが,これが非常に大きな問題だと思います。
 予習・復習をしているかしないかの学びのハビットは,いきなり大学に来て新しいものが生まれ変わるわけでも何でもなく,小学校から高等学校の間に徐々に培われてきたものでもありましょうし,学びの主体性だって,小学生なら小学生なり,高校生なら高校生なりに必要なわけです。そういうことを,共通のステージでどこか議論をしなければ,いつまでたっても断続性は解決しないのではないかと思っております。
 近年,中教審のキャリア教育・職業教育特別部会で,人の社会的・職業的自立に関して,幼児教育から初等・中等教育,そして大学まですべての段階でもってはぐくんでいくべきだという共通認識ができました。同じように,今というか従来,日本人の生き方について,いろいろ問題視されている中で最たるものが自立心であるとか自主性です。これについて,幼児の段階からどうはぐくんでいくかというようなことを,共通に議論していくステージをきちんと用意すべきだと思いました。
 もう1点,資料4-1のまとめの最後のところ,今後の検討課題と短期大学士課程。今後の検討課題はそのとおりだと思いますが,私,率直に申しまして,ここで唐突に短期大学士課程のことが出てきたことに,非常に違和感を感じます。従来,学士課程の検討のときにも,短期大学教育にかかわる者の何人かが口をそろえて,同じように基礎的学位である短期大学士課程についても議論を願いたいと申し上げてきましたが,それはかないませんでした。それはそれで,そのときの事情があろうと思いますが,今回またここで,一度も議論しないで,これを参考にして短期大学関係者は主体的に取り組みに生かしなさい,参考にしなさいということは,いささか礼を欠いた記述ではないかと思います。短期大学は4年制大学と違う設置目的,人材養成目的,違うものを持っております。そのことの深い議論を通して,このことは言っていかなくてはならないことで,むしろここでは,これを参考にしろというような突き放し方ではなく,短期大学士課程のことについては改めて深い議論をして同様なことを検討すべきであるというような,先に議論を,期待を抱かせるような取りまとめをしていただければありがたいと思います。

【安西分科会長】 短期大学のことは,今のご意見をぜひお考えいただければと思います。最後に佐藤弘毅委員も言われましたが,大学,高等教育だけの問題ではなくて,小さいころからの学びの過程のことだということは,そのとおりだと思いますし,教育振興基本計画部会のほうでも,自立,またそういった方向の,受け身の教育から能動的な学びへということは大分取り上げられていることとは思います。一朝一夕にはいかないとは思いますが,文部科学省におかれましても,これからの時代の教育のあり方ということについては,大学だけでなく全体についてもお考えいただければと思います。
 北山委員あるいは宮田委員も言われておられましたし,山田委員も言われておられましたが,社会への発信,社会との関係,それから国民にやはりきちんと明確にわかりやすく発信するということはとても大事だと考えておりまして,ただ,ここの大学分科会の委員の方々同士のそこでの共有でしょうか,こういう形でもって一応きちんと出発するのだということをまず共有させていただくことがまず肝心だと思いますので,今日のご意見を踏まえまして,大学教育部会では3月末にもう一度議論をしていただくと思いますし,文部科学省もお考えいただいて,4月の大学分科会にご提案いただくということになるかと思います。

 

(5)法科大学院特別委員会の審議状況について,文部科学省から資料5-1~資料5-2の説明があった。

 

(6)大学分科会の次回の日程について,文部科学省から資料6の説明があった。

 

―― 了 ――

 

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-- 登録:平成24年04月 --