平成21年6月1日(月曜日)17時~19時
文部科学省第2講堂(旧文部省庁舎6階)
(委員) 安西祐一郎,飯野正子,浦野光人,荻上紘一,金子元久,郷通子,菱沼典子の各委員 (臨時委員) 阿部晃一,有信睦弘,今榮東洋子,樫谷隆夫,河田悌一,木村孟,黒田壽二,小杉礼子,佐藤弘毅,佐藤東洋士,島田尚信,水田祥代,中込三郎,中西友子,濱田純一,丸本卓哉,森脇道子の各臨時委員 (専門委員) 川嶋太津夫,白井克彦の各専門委員
(事務局) 銭谷事務次官,玉井文部科学審議官,清水生涯学習政策局長,德永高等教育局長,磯田研究振興局長,布村文教施設企画部長,河村私学部長,合田総括審議官,土屋政策評価審議官,久保高等教育局審議官,戸谷高等教育局審議官,片山高等教育企画課長,義本大学振興課長,藤原専門教育課長,永山国立大学法人支援課長,村田私学行政課長,小山私学助成課長,豊岡私学部参事官,榎本高等教育政策室長 他
【安西分科会長】
それでは所定の時刻になりましたので,第80回大学分科会を開催させていただきます。お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
本日の大学分科会は,前回に申し上げておりますけれども,「中長期的な大学教育の在り方に関する第一次報告(案)」について審議をさせていただきたいと思います。
事務局から,配布資料の確認をお願いします。
【榎本高等教育政策室長】
失礼いたします。資料1といたしまして,現時点での大学分科会の名簿です。
資料2といたしまして,「中長期的な大学教育の在り方に関する第一次報告(案)」です。こちらは先週末に先生方にお送りしたものですが,それを若干修正し本日用意しています。よろしくお願いいたします。
それから,資料3といたしまして,前回及び前々回の議事録に関しまして用意しております。
こちらは先生方から修正のご意見等をいただいておりますので,こちらでもってよろしければ確定とさせていただきたいと思っております。
なお,机上資料といたしまして,濱田委員からのご意見が,4枚にわたる資料でございます。
そのほか机上資料といたしまして,これまでの大学分科会における資料などをグレーのファイルに綴じております
また,緑色のファイルには,審議にかかわる関係法令等を収録しております。以上です。
【安西分科会長】
よろしいでしょうか。
それでは,本日の議題に入らせていただきます。昨年の9月に文部科学大臣から中央教育審議会に「中長期的な大学教育の在り方について」の諮問がなされまして,その具体的な検討については,この大学分科会が中心となっております。第4期の大学分科会で7回,この第5期におきましては4回審議を進めてまいりました。本日はこの「第一次報告(案)」について議論を深めさせていただければと思います。
事務局から,「第一次報告(案)」の内容について説明をお願いします。
【榎本高等教育政策室長】
まず,この「第一次報告(案)」を1枚めくりまして,目次の次に「はじめに」から始まっております。この副題といたしまして,「-大学教育の構造転換の必要性-」というものを付しております。
小見出しを付しておりまして,「諮問の内容と大学分科会の審議体制」といたしまして,昨年9月以降の審議,とりわけ3つの諮問事項に沿った議論が進んでいるところです。
この下ですけれども,「大学教育の構造転換の必要性」ということで,幾つか論点を上げておりますが,まず,これまでの大学分科会の審議,とりわけ「将来像答申」以降の議論の蓄積の中で現在の議論に至っているところですけれども,基本的な問題意識として強調すべきは,2ページですが,大学教育の構造転換ということを掲げてはどうかと思っております。国内外を通じて,人口構造・産業構造・社会構造等が大きく変わる中,大学が,自らの構造転換に積極的に取り組み,社会に対する新たな役割を主体的に提示するということをあげております。
5行目からは,大学教育が従来からの18歳頃の若者を中心とするところから変わっていく必要性等を掲げているところです。
16行目からは基本的な考え方として,3点ほど追加をしておりまして,まず第1といたしまして,大学教育の構造転換に関しまして,質保証システムの構築と量的規模の在り方,この2つの検討が不可欠であるということ。それに関しましても,これまで議論がありましたけれども,平成15年度からの制度改正等も関わりがあるということです。
また,31行目,第2といたしまして,こういった質や量の検討におきましては,多様化・個性化が進む大学をすべて同一に扱うのではなく,機能別分化の前提が出てまいります。少数の限られた大学だけでなく,多くの大学が,それぞれ個性と特色を生かした教育を行い,日本全体として多様な教育が提供されていくことが望ましいと述べております。その関連で,機能別分化,教育活動の補完,あるいは経営基盤の強化・安定といった論点も出てまいります。
第3といたしまして,公財政措置の確保です。優れた人材の確保の必要性,また3ページにまいりますと,各大学における教育の質の向上と,経営の健全化に向けた各大学の規模の適正化を前提として,また,そうしたことを加速するためにも,必要な公財政措置が確保されなければならないということを掲げております。
4ページからは各論です。まず第1として諮問の1つ目です。「社会や学生からの多様なニーズに対応する大学制度及びその教育の在り方」といたしまして,こちらは大学分科会では3月の審議,それからそれ以降の質保証システム部会におきます議論などを踏まえて準備をしております。
まず「1 現状と課題」が上げられておりますけれども,21行目から,最終的に保証されるべきは,学生の学びの質と水準ということで,その保証は大学が責任を持つことを前提としながらも,30行目ですけれども,そういった各大学の取り組みに対して公的な質保証システムの果たす役割を記載しております。
35行目から,質保証システムの3つの要素といたしまして,設置基準,5設置認可審査,認証評価の3つの要素を上げており,これら3者の関係の再検討と一体的に運用していくことが課題となっております。
6行目からは設置基準のあらまし,15行目からは設置認可審査のあらまし,30行目からは認証評価のあらましを記載しており,制度の概要ですので省略いたします。
38行目からは,これら3つの要素の役割と検討ということで,6ページ目にかけまして,これまで大学分科会等におきまして,質保証にかかわり多様な議論が出ているということを1から5まで掲載しております。
17行目からは,(8)といたしまして,こういった国内の状況のみならず,国際的な質保証の動向も留意する必要があるということです。
(9)といたしまして,機能別分化を前提とした質保証の検討が必要であるということです。
(10)といたしまして,これら3つの要素に加えまして,公財政支援が質保証システムに果たすべき役割の検討も必要であるということです。
35行目からは,公的な質保証システムの検討といたしまして,まず(1)設置基準と設置認可審査における課題といたしまして,これまでも大学分科会で議論が出ているところですが,7ページの下のほうの検討課題(例)ですが,ここにおきまして,まずアといたしまして,現在,定性的,抽象的な基準となっている部分の具体化・明確化ということ。それから,8ページにまいりまして,その際,具体的な方策といたしまして,設置基準に規定する内容を具体化するという方法,または(b)といたしまして,設置基準と別に,設置認可審査の作業における判断の拠り所とするための具体的な基準の整備,そういった方法論としては複数あろうかと思っております。
イといたしまして,設置基準に規定すべき範囲をどうするか。
ウといたしまして,書面審査で把握しきれないことをどうフォローするか。
エといたしまして,大学としての観念や,大学教育の理念に包含され,共通に理解されているルールをどう実定化していくか,明文化していくかです。
オに関しましては,設置基準に関する具体的な課題といたしまして,質保証システム部会等における議論を踏まえて,具体的な設置基準の関係条文を上げております。
それから,(2)設置基準と認証評価における課題といたしまして,現在,認証評価に関する議論の今後ですけれども,9ページの囲み,検討課題(例)といたしまして,まずアとして,認証評価機関と評価を受ける者が,大学評価基準の趣旨や判断項目等について理解しやすいように具体化していく必要があるということ。また,大学評価基準に関して,各認証評価機関により大きくに異なることのないような共通化といった論点。
また,イといたしまして,認証評価の判定におきまして,それが設置基準上の要件を満たしているかどうか,または独自の大学評価基準を満たしているかどうかといった具体的な検討も必要であるということ。
また,それからエといたしまして,各種評価システムの省力化といった論点も上げております。
9ページの下は,設置認可審査と認証評価における課題といたしまして,10ページの囲みです。まず,専門職大学院におきましては分野別評価がありますけれども,それ以外における分野別評価の導入。
それから,イといたしまして,アフターケアと認証評価の接続と連携の問題。
ウといたしまして,仮に法令違反状態の大学があった場合に,アフターケア終了後にどのように適合性を確認したらよいのかということ。
エといたしまして,大学の自主的・自律的な質保証を前提とした上で,それを十分に機能させるための仕組み。
また,オといたしまして,認証評価を所定の期間内に受けない大学があった場合の対応。
また,カといたしまして,専門職大学院に関しましては,特例で該当する認証評価団体がない場合には免除という規定もありますが,それをどうするかということでございます。
11ページは,学生支援・学習環境整備の検討でありまして,これは前回の大学分科会でも論点をご紹介したところですけれども,教育と研究のみならず,学生支援,あるいは学習環境整備に関する議論も今後必要ではないかということ。それは,経済的支援のみならず,履修指導や,進路・就職相談,また図書館等の学習環境,あるいは部活動を含むキャンパスライフといった観点もあろうかと思い,検討課題(案)のとおり,学生支援・学習環境整備に関する事項に関して検討が必要であると掲げております。
大きな4といたしまして,「学位プログラムを中心とする大学制度と教育の再構成」でございますが,こちらに関しては,2月以降,まとまった時間を大学分科会としてまだとれておりませんので,11ページの(3)ですけれども,そもそもの見直しの必要性,あるいは大学制度の本質,とりわけ大学の団体性や自律性といった問題もあることから,引き続き委員間の共通理解を図りながら審議するとしております。
12ページにおきましては,学位プログラムを中心とする大学制度と教育の再構成に関して,現在,学位プログラムワーキングにおいて検討している論点を掲げております。
13ページは,諮問の2つ目として「第2 グローバル化の進展の中での大学教育の在り方」についてです。まず「1 現状と課題」として,国際化の視点の重要性を掲げております。若干飛ばしますけれども,本来的に大学はグローバルな活動を伴っているということ,多様な学生が集まるということの重要性,我が国がややもすれば内に閉じていると指摘されることもあるようですけれども,大学教育のグローバル化に積極的に取り組む必要性を掲げております。
(2)といたしまして,我が国の大学がまだ海外の大学との連携に課題があるということなどを掲げております。
14ページ以降,諸外国の取り組みを若干紹介しております。アメリカにおけるアクレディテーションの制度の見直し,またはヨーロッパ等における様々な質保証の枠組みの創設,とりわけヨーロッパの「欧州高等教育圏」の取組などを紹介しております。これらは学生や教員の交流,また単位互換やジョイント・ディグリー等といった具体的な活動においても重要な役割を果たしております。
(6)といたしまして,OECDによるAHELOの取組の状況,また(7)といたしまして,民間等の大学の評価活動に関しても,様々な課題が指摘されるという前提はありながらも,影響力を増しているという指摘があります。
15ページからは,これらを受けました方策といたしまして,これも大学分科会として改めて大学のグローバル化に関しては議論ができればと思っておりますが,2の(2)1として,人材養成目的に沿った組織的・体系的な教育の実施,2として,各国の動向を踏まえた対応の必要性,3として,情報発信の重要性などを掲げ,16ページの囲みにおきまして,ア,イ,ウ,エに掲げておりますような国際化の課題について具体的に今後検討が必要であると考えております。
16ページ,3でございますが,「世界的規模での大学に関する評価活動への対応」ということで,OECDのAHELOに積極的に取り組むべきであるということ。また,国際的な大学ランキングに関しての状況などを記載しております。
そういった観点から,17ページに検討課題(例)としてAHELOへの対応,またイとして,今後の国際的な評価活動への対応を整理しております。これらに関して,また改めて時間を設けたいと思っております。
18ページ,3つ目の諮問事項ですが、「第3 人口減少期における我が国の大学の全体像」といたしまして,これは先週,大学規模・大学経営部会を開催しておりますので,そこでの論点を主に掲載しております。
まず量的規模の検討の必要性を18ページ中ほどまで掲げており,その下には量的規模と経営に関する論点の整理といたしまして,1として,大学全体の検討,2として,大学相互間の関係,3として,各大学の様々な取組を整理しております。
これらに関して,18ページの(5)から19ページの(6),(7)というところで,昨今の大学に関するこれらの現状を,数値を用いて紹介しているところです。
また,19ページの下のほう,5ですが,各大学におきましては経営基盤強化を図る観点から,大学間連携の強化,20ページといたしまして,イ地方公共団体との連携,ウとして学部・学科等の改組,入学定員の調整,エとして,大学・学校法人の組織の一元化といったことも既に様々な取組が各地においてなされているところです。
そういった現状を踏まえた上で,「2 大学全体に関わる事項」として,量的規模の検討にあたっては,我が国の大学が果たすべき役割にかんがみて,社会人,高齢者等の大学就学の充実やグローバル化といった観点が必要であるということ。
それから,29行目ですが,そういった量的規模の検討におきましては,単に18歳人口という観点のみならず,我が国の人口構造,産業構造,社会構造等の大きな変化等も踏まえる必要があるということなどを掲げております。
以上のような観点から,21ページの検討課題(例)におきまして,まずアとして,量的規模の検討の必要性,それからイとして,学士・修士・博士ごと,または人文社会系・理工農系・医療系等の分野ごとの検討の必要性,またウとして,分野別,地域別等の検討です。
21ページ,「3 大学相互間の関係」として,まず(1)機能別分化の促進でありますが,これは「将来像答申」以降議論があるところですけれども,この機能別分化の在り方そのものに関する研究も行いつつ,21ページ下の検討課題(例)ですが,機能別分化を促進する方策,また各大学が連携協力する方策等をあげております。
22ページ,(2)教育・学生支援分野における共同利用拠点の創設といたしまして,これも昨年末以降,何度かご議論をしているところですが,22ページの下の囲みでございます。教育・学生支援分野における共同利用拠点の創設として,アにおいて複数大学が連携して実施することが効果的・効率的な教育上の取組や学生支援に関して,複数大学が共同で利用するための拠点を整備・運営する場合の文部科学大臣認定制度の創設といったことを前提として,イにおいて,留学生を対象としたもの,大型練習船,演習林や農業,スポーツ施設,英語教育,FD・SDセンターといったものをあげております。
そういった施設,あるいは機能に関しまして各大学が共同で行う場合に,23ページ,上の囲みですが,ここに掲げておりますけれども,こういった論点を踏まえたところに関する認定制度を創設してはどうかというものです。こちらに関しても個別にもう少し検討が必要であると思っておりますが,学則等に適切に位置づけられた施設であるということ,それから,その次に全国的な利用拠点に限らず,地域的な活動を行う拠点も対象とすること,また,そのほか,やや技術的ですが,公募の方法や支援体制等に関する要件を考えているところです。
23ページ,「4 各大学の取組」といたしまして,(1)大学の適正規模の観点からの自主的な組織の見直しへの支援ということで,こちらも前回の大学規模・大学経営部会で議論をいただいたところです。
23ページの下,検討課題(例)ですが,まず,規模の検討に関連して,大学教育の質保証の前提でもある健全な大学経営を促すために,私立大学に関する具体的な制度の見直し,とりわけ18歳人口の地域別の動向等も踏まえ,大学の適正規模の観点から,自主的な教育研究組織や収容定員の見直しも想定されるため,それらに対する支援といたしまして,24ページでは幾つか検討例を掲げております。
まず一番上の1ですが,教育課程の共同実施や地域コンソーシアム,2として,先ほどの共同利用,3として,複数大学が一元化により一定規模以上の収容定員を確保しつつ,経営の効率化を図ること等を条件として,その準備経費や激変緩和措置などを時限的に支援するということ。
また,次に大学毎の取組の例として,定員調整に向けた取組。実情に応じた定員調整のため,これは短期大学について,専任教員の規定の刻みが1人ずつでないところがありますので,それをよりきめ細かくやっていこうということです。
2は計画的な定員調整の支援として,入学定員の調整により経営改善を目指す計画を策定した大学等を一定期間支援するということ。この場合に,入学定員より低い募集定員を臨時的に設定することを認め,また,一定期間後に経営が改善されていれば,入学定員の調整については弾力的に取り扱うということ。
3は入学定員重点化に対する支援として,強みのある学部等に定員を集中し,厳しい状況にある学部等を募集停止にする場合に,募集停止する既存の学部等についても支援を継続するといったアイデアです。
イが様々な情報提供等のシステムの整備,ウとして,各種のガイドラインの作成等といったものです。
24ページ下の(2)大学の健全な発展のための収容定員の取扱いの適正化です。こちらに関しては,25ページに国立大学及び私立大学における定員割れ,もしくは定員超過に関する制度の概要になります。こちらを踏まえまして,25ページの下,検討課題(例)ですが,まずアとして定員割れをしている学部等の設置認可の厳格化。これは大学全体の収容定員増となる場合の学部等の設置認可は行わないという案です。また,イとして,定員超過の取扱いの厳格化。これは適正な定員管理は,質保証の観点から重要であり,大学の設置認可その他の取扱いにおいて,学部等の定員の超過状況を一層勘案する。この場合,小規模大学等に配慮する。また,国立大学に関しても,当然のこととして適正な定員管理が求められるということをあげております。
最後に,26ページに情報公開の促進として,これら規模の問題,あるいは経営の問題という事柄と情報公開は非常に関連があるということで,ここに掲げているところです。アとして教育研究活動に関する情報公開の促進,イとして,財務・経営情報に関する情報公開の促進です。
最後に,「おわりに」として,今後もまだ様々な論点が残っていると思っております。とりわけ大学院部会の議論も始まっておりますが,ここではまだ整理できておりません。また,大学行財政部会の設置も今後予定されているところでして,こういった既存の論点を更に進化させるとともに,新しい論点に関しても,今後とも大学分科会としての審議が必要であると考えております。
以上です。大変超過いたしまして申しわけございませんでした。
【安西分科会長】
それでは,ただいま説明のありました「第一次報告(案)」につきまして,本日忌憚のないご意見をいただければと思いますが,今から,18時50分位までかなりの時間をとります。一応本日ご意見をいただきまして,それでまとめていければと思っております。ぜひご意見,ご質問等々をよろしくお願い申し上げます。
それでは,どなたからでも結構です。
【有信委員】
各論に入る前に,非常に多岐にわたって様々なことがまとめられていて,よくまとまっていると思いますが,序文のところに,大学教育の構造改革に向けてとなっていますが,前にも申し上げたかと思いますけども,私たち,例えば企業の立場から考えて,この中で一番欠けているものは,実は時間の観念です。結局,将来に向けてどういう形で社会が変わっていく,それに対してどういう方向で教育についての制度改革を進めていくべきだという全体のグランドデザインがあって,それに対して現状様々な問題があります。これを短期に解決しなければいけないもの,あるいは将来のグランドデザインに向けてステップ・バイ・ステップで詰めていかなければいけないもの,大体企業ですとこのような仕分けをしていって,今,可及的速やかにやらなければいけないものは,それなりに必要なリソースを割いてまずやると,中長期的な計画をまた詰めてやるといった論立てにするのですが,この報告(案)は,非常によく色々な問題点が出ていますけど,そういう意味でのクラシフィケーションというのをもう少し詰めると非常にわかりやすくなるし,手も打ちやすくなってくるのではないかと思います。それぞれの課題については,短期的に解決できるもの,あるいは時間がかかるもの,それぞれあります。ですから,そこを,全部書き直せと言うつもりは全くありませんが,トータルな将来に向けての制度設計のグランドデザインに近いものが序文のところでもう少し書き込まれていれば,全体の項目のそれぞれの位置づけが読んでいる人にとって,もう少しわかりやすくなるのではないかと思います。
【安西分科会長】
大変貴重なご意見をありがとうございます。できるだけそのようにまとめさせていただければと思います。
【白井委員】
今の有信委員の意見に大変賛成ですけど,ここのところでも随分出ていたと思うのですが,今の大学が何をやるのか,どういう必要性があるのか,もう少し基本的なことをしっかり議論しておいてもらいたいと思っています。要するに,日本にどのような高等教育機関が必要なのかということ,それは社会のニーズであったり,あるいは学生のニーズであったり,そこに出している親の気持ちであったり,そういう種類のものがこれの中にあまり書いていない。この中で議論が十分ありましたから,反映はしていると思いますが,書くトーンとして,質保証のところに入っているというのは,確かにそのとおりですけれども,これは安西分科会長もこれまで何回も繰り返していることですけれど,生涯学習型に変えていかなければいけないのであって,これから社会全体である程度の時間をかけて教育していくようなシステムに変えようという意見は随分あったと思います。それをやろうとすると,どのようにやるのかということですけれども,これを質保証でやる。要するにある種の規制みたいなものと,あとは公財政からの補助金みたいなものとか,そのようなシステムによって,あと市場原理があるのかもしれませんが、そういうことによって自然に持っていかれる面というのは確かにあると思います。そういうメカニズムによって変えていこうとされるのかどうか。もう少し全体に理解しやすいような,こういうターゲットがあるのだから,それに対してどのように我々は進んでいこうかということをもう少し書いてもらったほうが私はいいと思います。やることは,正直言って,そんなに変わらないと私は思います。だから,この作文が全体的に全部だめというような言い方をすると,時間の制約も色々ありますでしょうから,これでいいと思いますが,書き方の組み立て方が少し今までの議論からいって,おかしいのではないかなという気がしています。
【安西分科会長】
ありがとうございます。生涯学習社会,社会人教育というのは色々なところに出てくるのですが,最初にそのような骨太の構造をきちんと書くべきだとは思います。言われたとおりだと思います。
【水田委員】
少しよくわからないので教えていただきたいのですが,この「一次報告」というものの時間的といいますか,これを今出さなくてはいけないという何か制限があるのですか。といいますのは,先ほどまとめのところでも説明があったと思うのですが,終わりのところについて,まだ審議されていないところもあるとか,大学院とか公財政の問題について,まだこれからだということの説明があったのですが,それだったら,今回はこれとこれについてだけ,ここまで審議したから,審議した項目だけについてこれだけ述べるとか,そのような言い方のほうがいいのではないかと思うし,それから,前回の時に沢山のデータを皆さんが要求したと思います。こういうデータがあればもっといいというようなことをです。それに対して今回全然,何もデータも出てこないし,机上配付もされていないみたいですので,それを無視してこれを「第一次報告」として出すのかということも少しわからないので,そういうことを教えていただけたらと思います。
【榎本高等教育政策室長】
失礼いたします。大学分科会と並行して,質保証システム部会,大学規模・大学経営部会等におきましてそれぞれの議論を進めているところです。そちらにおきましては,机上にグレーのファイルがありますけれども,こちらに配付している資料,あるいは委員からいただいている資料を収録しているところです。こういった各部会等の議論も踏まえつつ,今回,このような形で整理をしているところです。質保証においては,その3つの関係がどのようになっているのかという現状,また具体的にどのような設置基準の課題があるのかといった議論を行っているところです。また,量的規模に関しましても,我が国の大学教育のボリュームの現状,それが諸外国と比較してどうかといったことも,実はこちらの資料等にかなり大学分科会の議論を踏まえまして充実をしているところでして,こういった議論を踏まえて,また最終的に大学分科会としてご議論いただいてはと思いまして,準備をしているところです。
また,この「第一次報告」の性格ですが,ご指摘いただきましたとおり,あくまでもこれまでの議論の到達点を中心に整理しているところですので,まだこれからの議論に関しては,当然この報告の対象外です。昨年9月以来の議論が始まっている中で,この時点において,一端これまでの議論として文書化できるものをまとめてみようということで,このような形で事務局において整理したものです。
【安西分科会長】
今,教育の問題は一方で急を要する課題であることは共通理解だと思いますけれども,その中で,例えば教育安心社会の実現に向けてどうすればいいのかというような議論は全く別の会議で行われておりますし,それから,経済財政諮問会議では,来年度の予算に向けての色々な議論が行われておりますし,それから,教育社会安心実現会議があります。そちらでも全く中教審とは別途に,国民の安心できる社会の実現に向けての議論が行われております。そういう中で,前回申し上げましたが,あるところでもって,報告の形でもって,大学分科会としても,なかなか審議が急だなと思われる方もおられるかもしれませんけれども,一応,11回の審議を既に数えておりまして,このあたりで「第一次報告」を出させていただいて,来年度の予算の問題もあるものですから,そういうスケジュールでやっているというように理解しております。内容が多岐にわたっておりますので,もう少し審議を極めるべきだというご意見も多々あるかと思いますけれども,先ほどからありますように,非常に詳細にわたることから大所高所のことまで錯綜した感じになっておりまして,これを整理することは大事だというように思います。
【川嶋委員】
先ほどの有信委員と白井委員の意見に私も賛成します。つまり,日本はどういう社会にこれから向っていって,その中で高等教育がどういう役割を果たすか,要するにミッションです。現状は,そういう社会に向けて大学が果たすべきミッションから考えてどういう現状にあって,どういう問題があってという形で議論を進めていくともう少しわかりやすいのではないかと思います。今回,「第一次報告」ですので,そこまでは要求するわけではありませんが,中長期的ということであれば,社会のビジョンと,その中における大学教育の在り方のビジョンをきちんと現状分析と課題を整理して,その社会のビジョン,大学のミッションを実現するためにはどういうことを改革していかなければいけないかという,そういう形の書き方にしたほうが,私は今回の審議は長持ちするというか,将来の柱になると思います。といいますのは,イギリスではデアリング報告というのが1997年に出たのですが,あれはHigher
education in the learning societyという、ラーニング・ソサエティーという社会を迎えるにあたって大学はどういう役割を果たすべきかということで現状を整理して,どういう政策を実行していかなければいけないかということで,もう10年以上たっても,そんなにイギリスの高等教育政策はそこからぶれていないわけです。だから,そういうもう少し,まさに中長期的なという観点からいくと,そういう大きなマクロの社会のあり方から議論する中で,高等教育のミッションをきちんと議論していくということが必要ではないかと思います。
【榎本高等教育政策室長】
ありがとうございます。あくまでもこれまでの第一次のまとめですので,最終的な答申や報告の際は,また改めて考えるというように準備しているところです。
【白井委員】
質問ですが,6ページの1(9)の「現実に大学の多様性が進み」など,この文書の中に「多様性」という言葉が出てくるのですが,それは我々もよく使います。特に私立学校は一生懸命に皆で考えて,色々な学科をつくったり学部つくったりしており,それを「多様性」と呼ぶ場合もありますけれども,各大学でやっていることはやり方も随分変えてきていますし,ここで言っている「多様性」というのは,どのようなイメージを「多様性」と言っているのか。
【榎本高等教育政策室長】
こちら,この質保証を考える際に設置基準,1つしかないわけです。また,認証評価もそれぞれの認証評価団体が行っているとはいえ,それぞれで1つの基準に沿ってやっているわけでして,大学の教育のあり方,あるいは学生の多様化,いろいろな要請がある中で質の保証を考えるにあたっても大学が色々あるということを前提としなければ,どういう質を議論するのかということすらままならないということから,質の保証ということを考えていく際には大学が色々あるということを前提とし,それをどのように具体的な質の保証という解決に結びつけていくのかということから考えなければいけないという問題意識でございます。
【白井委員】
多様化については色々な種類があると思います。言われたことももちろんそうですけれども,教育内容ももちろんあるし,教育方法だってある。それから,社会とどのような連携をとってやっているのかというような観点もあるでしょう。あるいは国際性もあるし,どのような学生をターゲットにしているのかという見方もある。どのような学校を設置しようとしているかというところには,色々な次元があります。1つだけぜひ入れたほうがいいかなと思うのは,さっきも申し上げましたが,要するに,生涯学習社会になると思います。それから,18歳人口の50%強現実に大学に来ています。親の負担からいったら,かなり無理して来ているかもしれない。それで私学が既に定員割れだというと,どのようにそれを構造的・発展的に考えるのかというと,やはり,経済的な問題等を考えると,高等学校を出てすぐに大学に50%以上の人が入ることがふさわしいのかどうかという議論は確かにあると思う。それから,質を上げたいということからいったら,高等学校を出てすぐに入学しないほうがいいかもしれない。だけど,卒業してから職業についても,必ず入れるような学校をつくるとか,あるいは,是正も含めて何年かしてから入りたければ入れるようなシステムをきっちりつくるというようなことを具体的にきっちり,どのように組み上げていくのかということは,ぜひ報告に入れることが非常に緊急的に重要ではないかという気がします。
【安西分科会長】
ありがとうございます。ぜひそのようなご意見をいただければと思います。2ページには,今白井委員が言われたことは,生涯学習社会という言葉は使っておりませんけれども,かなり書かれているのではないかと思います。ただ,文章に埋め込まれているので,やはりきちんと,さっきの川嶋委員も言われましたけれども,ビジョンとしてこういう方向だというのをできればわかりやすく入れることは大事ではないかというようには思います。なかなか難しいんとは思いますが。
【島田委員】
今の件ですけれども,報告(案)に生涯教育が含めてありまうけれども,反対論を言うことになりますが,確かに生涯教育というのはあるのかもしれない。それを大学が担うべきという意見も多分あると思います。理想としてそのように言われるのはわかりますが,今の現実,本当に構造転換したときにそれが可能かといったら,今の私の知っている大学である限り,大学を卒業した人が,もう一遍,社会人になって大学に入ろうという気が本当に起こるかといったら,今の日本の大学においては起こらないと思います。自費を出してまで行く大学ですかと。会社が出してくれて,それが認められるなら行く人もいます。だけど,自費を出して行くといったら,歴史を学ぶとか,自分の趣味を学ぶのではないか。だから,高齢者になって,企業をリタイアしてから入るというのが現実の話だと思います。人口的にいっても,サラリーマンというか,働いている人のほうが多いわけですから,それを考えた時に,本当にこの思想というのは,将来的にはいいかもしれないけど,今の中期ビジョンとして掲げたときに,本当にそんな大学が構造転換できるのですか。正直言って,そういう学科をつくったとしても,今でも入ってこないのではないか。企業も含めて三位一体でそういうことができるようにつくりましょうという提言をするならまだわかりますが,大学だけを考えたときに,それを本当にここに書き込んでいけるのかどうかというのが1つあるのと,ここでいう「労働環境や社会状況の変化を見据えるならば」と書いてあることも,どうやって見据えたのかと聞きたい。労働環境からいったら,正直言って,今の大学で身につけたものをやっと企業で何とかやっている世界で,次の技術を取るために自費を出して行きますというような労働環境や社会状況に本当になるのですか。どこかで覚えた資格に対して本当に,企業がサラリーを上げてくれるのですか,就職がよくなるのですか。今の日本の社会において変わるのならわかりますけれども,そうでなかったら,そこまで本当に書けるのかなと思っています。だから,書くこと自体は長期ビジョンとしてはいいと思いますけど,本当に色々書いていただいていますけども,それを本当にするためにはどうするのかということを,もうひとつ書き込まないと,教育者の中においては生涯教育という言葉は通じるかもしれないけど,民間人の私から言ったら,何か違うのではないかという感覚があります。それだったら専門学校に任せたほうがいいのではないですかとなる。大学が本当に質保証する中でやっていいのか,そこまでやらなければいけない時代ですかというのが逆に考える部分はあると思います。反対意見みたいで申しわけないですけれども,そういう感覚があります。
【白井委員】
今のご意見はある程度わかりますが,言われた意味ですと,やや理想を言っているのではないでしょうか。要するに,今の大学に就職してからそのままで来てくれと,来ないかもしれない。来なくもいいと思います。だから,それはまさに市場原理なのではないか。要するに,高等学校を卒業して働きながら,やはり大学に来たいという意欲がわくような,そういうシステムにすればいいのではないか。だけど,今はそうではない。高等学校を卒業するよりは大学を卒業したほうが,世の中に出て有利だとか,皆が行くからという原因で行くわけです。だけど,それが本当に健全であるかどうかはわかりません。ただ,そこで教育を受けた学生に全く効果がなかったかというと,そういうわけでももちろんないと思います。両方の選択があってもいいのではないか。かなり年齢が経ってから歴史や文化を勉強したってしようがないと言われるかもしれないけれども,必ずしもそうではないと思っています。要するに年をとらなければ,歴史や文化を勉強する気にはならないというのはいかにも貧しいし,社会の法律だって,経済学だって,役に立つ勉強というのは色々あると思います。ですから,その価値を本人が,学生自身が認めなければ意味がない。だから,意味があるような教育を提供しなければならないだろうと思います。そのレベルが高いということが社会のレベルが高くなることだと思う。それは,それだけの学習意欲を持った人が学校に来てくれたほうが大学もうれしい。大学でなくてもいいと思うが,とにかく学校はうれしいと思う。そのような条件に切りかえていったほうがいいのではないか。それはどのようにすればいいかと言われると,ここではそんなすぐに具体的に展開できるわけではないけど,そういった学校づくりにしていくべきではないか。
【佐藤弘毅委員】
先ほどの白井委員の多様性という言葉に関連するかもしれませんが,この報告(案)の中で,随所に大学の機能別分化という言葉が出てきます。そのとおりだと思いますし,例えば大学の機能別分化が進む中でとか,その機能別分化を前提としてという話が出てきます。機能別分化というのは1つの大学改革のキーワードであるとは思いますが,将来像答申において例示された機能別分化以来,あまり議論してこなかったのではないかと思います。一体どのような機能別分化を想定してこの報告(案)に記載しているのか,あるいはこの中教審がこれからどのように進むのか,それを課題として残すなら残すというように表示してもいいような気がいたします。
それと関連して,機能別分化だけなのだろうか。役割分化について,これからの議論と考えているのでしょうか。大学規模を論ずるにしても,機能別分化を論ずるにしても,例えば設置者別の役割分担のことであるとか,あるいは大都市圏と各地域の中小都市における大学の役割は違うと思うし,志向するのがインターナショナルなのか,ナショナルなのか,リージョナルなのかによっても担っていく役割は違うだろうし,今後の課題ですけど,そういうことも議論が必要かなという印象を受けました。
【榎本高等教育政策室長】
機能別分化そのものに関する議論が必要であるという認識でこちらを書いております。質の問題も量の問題も,全部の大学を1つ同じでは議論しきれないという意見が複数あったと記憶しておりまして,それを踏まえて書いてあります。今後の議論だと思っております。
【小杉委員】
生涯学習ということと,機能別分化と両方にかけて申し上げたいことがございます。私も長期的に,あるいは中期も含めて,生涯学習社会をどう実現していくかということをもっと強く書くべきだと思います。2ページの真ん中の上あたりに書いてある記述がいかにも弱いといいますか,はっきりしたビジョンを示してはいないというところで,ここをもう少しきちんと書き込んでいただきたい。今はこうだけれども,変化すれば必要だろうというぐらいの記載ですが,むしろ社会構造が変化していく時に,長期にわたって人が学ぶ機会をきちんと提供していかなければならないというような,生涯学習社会が必要だという,生涯学習社会のためには高等教育機関がきちんとした学習機会を提供すべきだということは書いていくべきだと思います。
それと現実の話で,ずっと生涯学習,生涯学習と言われてきたけれども,実際に企業は非常に長時間労働で,学ぶ時間もないような状態で,それが本当に結びつくのかという,そういう疑問ももちろんあるわけですが,ただ,一方で言わなければ絶対動かないわけで,きちんと言わなくてはいけない。
それから,文部科学省の中でも色々なプログラムがありまして,例えば大学教育の中で産業界と二人三脚で新しい職業実務系のプログラムを開発するとか,そういうような,小さいプログラムですけれども動いています。そういうのをきちんと拾っていくことが必要ですし,二人三脚で少しずつ進めなければ絶対進まないものですから,方向はきちんと出して,それから事実としてそういうことも進んでいるので,評価していく必要があるのではないかと思います。
それからもう一つ,私は今,キャリア教育・職業教育特別部会にも出席させていただいているのですが,そこでは,高等教育段階における職業教育ということを正面から議論しております。大学の中にはやはり職業教育にもっと特化したほうが,そこに来ている学生の将来の幸福になるようなタイプの大学も十分あると,それは1つの機能だと思います。これはある大学で聞いたのですけれども,大学教員の授業には全然参加してくれないけど,後ろで車座になって座っている学生たちが,いわゆるキャリア教育を外部の機関に頼んでやると,その機関の講義に非常に積極的によく参加するということを言っています。結局彼らにとっては,何が自分にとって必要な教育かというのを自分で判断していて,大学の教育は単位を取るために後ろに車座になって座って参加するけれども,キャリア教育として外部の企業が提供しているプログラムは,自分の将来のためになるから積極的に参加するという行動をとっている。そのような多様な大学がある。自分の将来の具体的な職業についての知識でなければ,将来にプラスになると思えない学生がいるわけです。そういう前提を考えると,職業に特化したような大学教育の在り方いうのも非常に必要だと思いますので,ここで機能別分化ということをさらに議論するのと同時に,ほかの部会等で進んでいる議論についても,少し参照していただきたい。そういう議論があることを知って議論を進めていただきたいと思います。
【有信委員】
そろそろ各論に入らせていただきたいと思いますが,4ページ目の(2)の質の問題ですけど,(2)のところに「大学教育において保証されるべき質には,教育課程の云々」という文章がありますが,保証されるべき質にそれぞれ上がっている項目は,つまり,例えば学生の質ならわかるのですが,教育課程の内容・水準,教員の質,研究者の質,教育・研究環境の整備状況,管理運営方式,これは要は質を実現するための手段といいますか,そのためのインフラストラクチャーであり,環境でありということなので,この辺の保証すべき質と,それを実現するための環境との構造的な関連を明確にしておく必要があると思います。
それから,基本的に,その下に,「大学が責任を持つことが大前提である」というのは,これは非常にそのとおりだと思いますので賛成ですが,少なくとも大学が保証すべきなのは,大学が教育目標として掲げている目標に対してきちんとその目標に達した学生を世の中に送り出していると,こういう時点で自分たちが主張する質を保証していると,こういうことが成り立つわけで,その前提で大学が責任を持って質を保証するという,こういう連関になるわけで,その1ページ後ですから,6ページの(8)のところにアメリカの例がありますけども,アメリカでは学生の到達度評価等を盛り込むなどの見直しが行われていると書いてありますが,これは要するに学生の到達度評価をやることによって,自分たちが掲げている教育目標に対して,学生がそれに達しているかどうかを評価した上で送り出している。ここの部分で質保証の試みがなされているという,そういう因果関係にあります。ですから,そういう全体の連関を見た上で,ここの文章表現を少し考えていただいたほうがいいかと思います。
それからもう一つ,何のために質を保証しなければいけないかという点についての論及が弱いような気がします。質を保証しなければいけないというのは,それぞれ大学が教育目標を掲げ,人材育成目標を掲げ,その目標に対して自分たちが責任を持って質を保証するというシステムがきちんと回っていること,これが非常に重要なのですが,何のためにそれをやらなければいけないかというのは2つあると思います。1つは,いわば大学の学位の質が世界的に共通に通用するものである。これに関していうと,例えば英国の大学で発行している学位は,やはり世界に冠たるものでなければいけないという責任でもって,大学がある種の責任でもって様々なことをやっていて,自分たちの学位の質を保証している。
もう一つの観点は,前から何度か申し上げていると思いますが,GATTはWHOに改組された時に,何度も言っていますけど,要するに人が提供するサービスについて,各国の持っている様々な資格制度が非関税障壁になってはならない,こういう合意があるわけで,その各国の持っている様々な資格というのは,いわゆる職業資格です。その職業資格というのは,基本的にその職業資格を取るためには特定の教育プログラムの修了が必要条件にされています。特定の教育プログラムの修了が,その職業資格にアプライするための基本的な質を持っていなければいけない。そういう意味で,教育プログラムの質を保証しなければいけないという観点が出てくるわけで,国際的な保証というのは,各国の持っている職業資格がある意味で相互に共通に認め合わなければいけないという前提のもとで,各国の教育プログラムの質の同等性が保証されなければいけない。こういう論理構成になるわけで,したがって,そのためには,何によってその質を保証するかという問題ですが,これは大学が勝手に主張しても無理なわけで,その時に要求されているのが,いわゆるアクレディテーションというプロセスです。ここで要求されるのは,アクレディテーションの質がそれぞれ各国で共通に,いわばイクイバレントでなければいけない。アクレディテーションということがある意味で質をイクイバレントにするための1つの要素になってくると,こういう構造になるわけで,これがいわば認証評価機関の問題につながってくるわけです。
だから,そこのところの構造連関は非常に複雑ですけど,それをよく見据えておかないと,企業の人間にとっては,結局,それぞれの教育プログラムの修了が世界でまず通用しなければいけない。それから,具体的に世界の職業資格にアプライできるための基本的要件を満たしていなければいけない。これは将来的に必ずそうなってくるわけでありまして,そういうことを長期的に見据えながら,実際の認証評価にせよ,いわゆるアクレディテーションシステムづくりにせよ,進めていかなければいけない。例えば,エンジニアリングプロセスは,工学部でいえば,アメリカでいうプロフェッショナルエンジニアだとか,イギリスでいうチャーターエンジニアとか,日本でいえば技術士ですけれども,現実に技術士法は2000年に改正されて,その枠組みの中に入るということで,現実に歯車は回り出しているにもかかわらず,そのための手当がまだ十分によく理解されていないし,進んでいない。このような現実です。だから,もう少しそういうところをきちんと構造的にうまく書き込めれば書き込んでいただいたほうがいいかと思います。
【森脇委員】
この中間まとめにつきましては,基本的な論調はこのままでもいいのではないかと読ませていただいたところです。各委員のご発言どおり,私も大学教育については国がミッション及び長期のビジョンを示し,進めていくというのが本来だろうと思っております。加えて申し上げると,先ほど出ておりました生涯にわたって学習が継続できるということについては,もう少し強調してお書きいただいてもいいのではないか。ただ,大学分科会としてそこを本当に項を立てて書くということになりますと,それには道筋がないとちょっと難しいと思います。意見は時々出ておりましたが,それについて深く時間をとって議論してはいないように思われます。しかし大変重要なことだと思っております。そして中間まとめの全体に関しての感想を述べさせていただきますと,構造改革を強く打ち出していただいているのは大変適切だと思います。そしてそれを実現するには,各大学が内部の構造変革を推進していくということが最も重要なことでありますので,それをきちんとお書きいただいているというところも大変評価しています。各論のところで2つばかり述べさせていただきますと,まず1点といたしまして,これは今後の課題ということで結構ですけれども,7ページでしょうか,設置基準の見直しのところで追加していただきたい点があります。大学設置基準の大学の職員の条文ですが,大変古いままになっておりますので,ここを今の時代にあうようにお願いをしたいのです。「事務処理をする専任職員を置く」と書いてあり,現在の職員の機能にマッチしてないので,そこのところをぜひご検討いただきたいという点であります。
もう一つ,これは大変結構だという箇所です。ページでいいますと24ページです。前にも言っておりましたが,健全な経営に向けての改善や構造転換の推進が難しい大学がありますので,そこを後押しするという配慮が大切だということです。24ページに各大学の取り組みに関する検討例というので定員の調整,つまり計画的な定員調整というのをあげていただいています。この点はぜひ,速やかにお願いしたいと思います。全体として,小さな地方の大学等が改革を進めていけるような支援が大事と書かれておりますので適切だと思っております。
【濱田委員】
全体を拝見して,大変よくまとめられているという印象を持ちました。少し細々した意見もありますので,失礼ですが,メモをお配りさせていただきました。2点ほど申し上げたいと思います。
総論的な部分が中心で色々各論的なところはこちらに記載してますが,1つは根本的なところ,前書きの「はじめに」のあたりになりますが,2ページから3ページ目ぐらいです。この報告書を貫くトーンだと思いますが,規模の問題,質の問題,それから公財政措置の問題,こういったものが相互に絡み合って展開していくというのが基本であるべきだろうと思うわけですが,3ページあたりの書き方が,「質の向上と,経営の健全化に向けた各大学の規模の適正化を前提として,また,そうしたことを加速するために」と書いてありますが,ただ,質の向上・経営の健全化というのは,どのような水準なのか,あるいは誰が判断するのか。そういうことが曖昧なもので,それが前提としてなければ公財政措置は確保されないということになると,とても大学のほうは立ち行かない。実質的にこうした質の向上・経営の健全化の努力をやりきれない気がいたします。この辺の書きぶり,あるいは基本的な考え方は少し整理をいただくとありがたいと思います。質の向上の努力,それから健全化の努力,これをしっかりやるのは当然で,それを前提としてという程度であればわかりますが,仕上がり程度がどうだということになると,なかなかつらいというのが正直だし,実質的にどうかということです。
それから,もう1点だけですが,18ページ以降です。私のメモは先にお配りいただいた資料を前提にしますと,17ページに書いてますが,我が国の全体像として「量的規模の検討の必要性」がございますが,先ほど来から出ている議論にもかかわりますけれども,大学への進学需要とか卒業後の労働需要,こういうものを考えて量的規模を考える。これは当然のことですが,率直に申し上げて、もう少し大きな理念というものが大学の全体像を考えていく際には欲しい気がします。
これから確かに人口は減少していきますけれども,そういう中で,日本の国家としての知識水準はどんどん高めていかなければいけない。そういう時代に大学の役割というのはまだ大きくなるところもあるわけです。ですから,成熟した国家においてどういう知識水準が必要であり,そして,そのためにどういう大学の規模が必要なのか。一種の理念的な議論がきちっと抑えられていないと,なかなか量的規模の議論というのはできない。また、すべきではないという気がいたします。
なかなか報告書として理念論をあまり大上段にすると,まとめにくいところもあろうかと思いますが,それは今後の議論に委ねるとすれば,そういう留保を置くなり,ここでは当面の進学需要や労働需要のあたりの視点からある程度枠を絞って書いている記述だと,何かそういうことが見えるような形であればわかりやすいのかなと,そういう気がいたしました。
【安西分科会長】
ありがとうございます。今までの方も含めて,濱田委員の今の2つのポイントも非常に大事なところだと思います。
【木村委員】
少し議論を元へ戻すようなことになりますが,先ほど御二人の委員の間で議論のあった生涯学習社会ということについて少しコメントしたいと思います。確かに島田委員がおっしゃるように,現状で日本の大学へまた戻ってこいというのはあまり考えられません。昨日,データを調べましたが,学部には社会人学生はほとんどいない。修士レベルやドクターレベルに多少いるぐらいの状況です。しかも,最近は違っているのかもしれませんが,大学が無理して集めている状況だと思います。
生涯学習社会というのは一体どういう社会かということですが,生涯学習の点から行ってある程度うまくいっているのがアメリカとイギリスだと思います。英国では日本でいう18歳学生で大学に入る人達は同年齢人口の30%ぐらいしかいない。しかし国としての進学率を見ると80%か90%になっている。これはどういうことかというと,一般社会に来た人達が学びび直しに来ているということです。どうして学び直しに来ているのか,それは学び直ししたほうが経済的・社会的にメリットがあるからです。社会でその分をきちんと評価してくれる。アメリカは特にそうです。工学の分野で多いのですが,学部を出てからしばらく勤めて,大学に入り修士を取ればまたopportunityが増す,ドクターを取ればもっと増す。そういう社会にすることが必要で,英国の社会やアメリカの社会を見ていると,そのようなシステムが出来ているから社会のdynamismがあるということだと思います。日本としてもこのような生涯学習社会を1つのターゲットにする必要があると思います。大学だけが受け入れる努力をしても駄目で,学び直した人達が社会で評価されるような社会にしていかないといけない。このところの日本の閉塞状況は,その辺ができていないからだと思います。
生涯学習社会ということを言い出したのは,日本はかなり早い。英国のデアリングレポートでも,レポートそのものには書いてありませんが,デアリング氏個人は日本から学んだと言っています。その辺のことは,このレポートにもはっきりと書くべきだと思います。
それからもう一つ,有信委員が言われたことと関係するのですが,最近,本分科会でディグリーミルに関する発言を何度かいたしました。ディグリーミルは論外ですが,程度の低い高等教育の供給を,日本の高等教育からなくすということを国際社会に対してはっきり表明していかないと,いずれは国際社会から相手にされなくなると心配しています。なお,ご指摘のありました認証評価等における評価基準そのものに関しては,国際通用性はあります。ただ,評価の在り方そのものについては様々と議論があります。
【浦野委員】
1点目は,今木村委員からお話があったので,もうそのとおりです。程度の低いという言葉を使われましたけれども,そこに本当に貴重な国費が使われるということ自体,非常に我慢ならないと思っています。それがどのレベルかは非常に難しい問題なので,別途議論してまいりたいと思っています。
それから,生涯学習について言うと,先ほど島田委員の話にもありましたけれども,企業は若干ずつ変わってきておりまして,今まではそのようなこともありましたが,最近は企業が学費を出し,本人が学びたい分野を学びたい時に「どうぞ」という場面も増えています。企業も今までの学びにプラス新しいことを社員に勉強してほしいということで,積極姿勢になっていますので,そこは少し生涯学習の環境が変わり始めているのかなと思っております。
あとは,この全体の報告書を通じて,当然の前提として,大学は中央集権といいますか,中央管理ということになっていると思いますが,これからの日本の社会の構造変化で,そこを骨太に書くべきだという意見がありました。しかしながら私は,地域社会がかなり今後は色々な意味で力を持ってくる,あるいは地域でやっていかないといけないし,地域の努力はかなりあると思います。そうした時に,地域の中で人材養成・育成を,それこそ義務教育から始まって高校,あるいは大学も含めてどうしていくのかということを考えていかなければいけないと思います。そういう意味で,地域という言葉が使ってあるのが2つ,3つありますけれども,例えば21ページの上の囲みのところに,「分野別や地域別の在り方」という考え方が出ていますし,それから24ページに上の3です。「複数大学が,地域における知の拠点として役割を担うため,一元化により云々」とありますけれども,今後,この議論を進めていく上で,ぜひ地方公共団体の代表の方々とも議論をしたいなと思っています。その地域,地域でどのように人材養成を考えていくのかをぜひ議論の一端に加えていただければと思います。
それから最後に,これは先ほど有信委員が言われましたけれども,4ページの質保証の必要性の中で,21行目に「最終的に保証されるべきは,学生の学びの質と水準である。」とはっきり書いていただいて大変私はありがたいと思っています。産業界や社会から見た時に,最後はここです。そのために様々な方法があるとしたら,そのことをしっかりと情報公開することによって,学生の質はこれを保証するというようなことがはっきり出てくると,社会としても大変ありがたいなと思いました。
全体的には,とにかく変えていこうという意欲があふれたレポートなので,大変いいかなと思っております。
【中込委員】
大変細かいことで恐縮ですが,健全にそれぞれの大学・短期大学が発展をしていかなければいけないということは,当然のことですが,むしろ,まず経常費補助金の取扱いをもう少し考え直したらよろしいのではないかと思います。それは,収容定員の1.5倍又は入学定員の1.3倍以上になると不交付とされるなどの措置が挙がっていますが,現実的に見ていきますと,極めて一部の大学が圧倒的な規模を持っているわけです。基本的には,大規模な大学にはかなりの金額が補助され,小規模な大学はあまり補助されない。そういった経常費補助金の取扱いについてもう少しバランスを見て,例えば定員にあわせた給付方法なども考えてはどうか。また,定員超過の取扱いの厳格化についても,収容定員又は入学定員の数にあわせた倍率にということまで踏み込んでいただきたいと思います。例えば6千人の入学定員だったら1.1倍までとか,収容定員1万人だったら,それこそ1.15倍位までとか,もう少し数値的に厳しくしないといけない。一部の大きな大学群だけが,おそらくは肥大化をしていって,全国に「○○大学」付属の学校や大学を設置してしまうという形になりはしないか,それでいいのかということです。やはり地域ごとに必要とされる大学・短大があるわけですから,そういう学校群も大事にしていかなければいけないという視点もありますので,経常費補助金の取扱いに関して,もう少し柔軟な取扱いの仕方,それから定員超過の取扱いの徹底的な厳格化を数値的に出していただきたいと思います。これらは今後の検討課題になろうかと思いますが,本当は「第一次報告」でも考えていただきたい。以上でございます。
【德永高等教育局長】
ぜひご理解賜りたいのは,この「第一次報告」は,いかにも答申の原案みたいに書いているので大変誤解を招いているかもしれませんが,あくまでも審議経過の概要です。先ほど浦野委員からご指摘いただいた大学についての,例えば国立大学と公立大学をどうするのか,地方分権の問題はどう対応していくのかということも当然諮問の中では書いてあります。今後,大学行財政部会で検討することとしております。今回のレポートは,多岐にわたる諮問事項の中で,今の段階で各委員からいただいた御意見について,ほぼここまでは共通で固まったというところだけを書いてあるわけでして,それ以外について,たくさん意見があるということについては,全部次回以降もやるということです。私は何次報告まで出すということをここで申し上げる必要はありませんが,10次報告とか,3カ月に1回位のペースでバージョンアップしていければと思っていまして,中込委員が言われたようなことも,それは色々な意見がありますから,ぜひこういうことを今後検討していくんだという,皆さん方の最低限の合意が形成されたということをここで書きとめていただく,そういう性質のものでございますので,ぜひそこはご理解賜りたいと思います。
【榎本高等教育政策室長】
その点に関しまして,27ページに「おわりに」というところがございまして,ここで4行目に「また,できるだけ簡潔な報告となるようにしたため,制度の詳細な説明を省略するとともに,これまでのすべての論点を盛り込むことはしていない」ということで,極めて限られた枠組みでの整理としているところです。
【中西委員】
内容に入る前に書き方で少し気になったところがあります。「検討課題(例)」として書いていますが,これは最終版でも,この(例)を残すのかというのが少し気になりました。というのは,(例)以外のものをどう考えるかということもあろうかと思います。
それから,もう一つ書き方ですが,6ページの8行目に書かれている,「省力化」という言葉ですが他にも多く出ており,少し気になりました。「省力化」というよりも「効率化」の方が良いような気がします。「省力化」からは,手抜きをしたような印象も受けるので,少し言葉の使い方を考えてほしいと思いました。
内容について申し上げますと,1つは,大学のランキングのことです。13ページから始まるグローバル化のところですが,14ページの(7)の大学評価活動については,例えばランキング1,2,3と色々な指標が書いてありますが,評価の指標を安易に選ばない姿勢を持ってほしいと思います。例えば論文引用数が多いかどうかということについては,既に引用数が多いことは何を意味するかは議論されているように,今,はやりのことをやっているかどうかという指標です。はやりのことは大勢の研究者がいるので引用数が多くなります。これが重要な指標となってしまうと,誰も新しいことをやらなくなるのではないかとも思われます。安易にローカルミニマムの指標を選ばずに,本質的な評価の指標というのを常に探していくという姿勢を持っていただきたいと思いました。同じ大学のランキングは16ページにもあり,「世界的規模での大学に関する評価活動への対応」というところで,この下にもランキングがありますが,ランキングの持つ意味というのは大学の評価とは違うと思います。大学の中に数人か数十人のすばらしい人がいればランキングは上がるわけですから,それと組織の評価とは別ではないかと思われます。ですから,大学として評価されるということは本質的にどういうことかについては,これからの議論だと思いますが,議論をしっかりしていただきたいと思っています。例えば,カリフォルニア大学のバークレー校でハーバード大学に引き抜きをかけられた優秀な研究者がいましたが,その人を引き留めるために多額を費やして特別待遇をした例もありますが,お金で解決するようなことは本末転倒のような気もします。
また,読んでいきまして,19ページの下のほうですが,「経営基盤強化を図る取組の現状」というところに幾つか書かれていますが,ここはまだこれからもっと書き足してほしいと思います。例えば大学間連携の強化とか,次のページで地方公共団体との連携,学部・学科等の改組等が書かれていますが,これらが経営基盤強化のための決定的な取組の項目とはあまり思えません。積極的な取組,例えば端的に言えば,黒字転換への経営方針の経営の立て方かと思われますが,もう少し踏み込んで書いていただければと思います。
それから,21ページですが,ここに「機能別分化の促進」ということで(a)から(g)まで書かれていますが,先ほどもご議論がありましたが,これらはあくまでも目的別機能分化であって,優劣の分類ではないということをどこかに書いておいていただきたいと思います。つまり,優劣としての差別化を考えているのではなく,機能別だということをもう一度確認する必要があると思いました。
それから,25ページの3に定員割れに関する取扱いのところですが,これは学生には負荷がかからないように,例えば大学が潰れてしまったときには学生には非が無いわけですから,その学生はどこか他大学に編入できるなど,学生の状況にも十分配慮をしてほしいと思いました。
最後に27ページの「おわりに」というところですが,ここにこの報告書の本質的な問題が書かれています。現状,現状を少し変えること,新しいもの,その3つがあると書かれています。そのことを頭に入れて読み直しますと,これらが入り組んで書かれているようなところがあり,もう少し整理が必要かとも思われます。もしこれから書き直すとしましたら,具体的な改善を提起するもの,方向性の提起にとどまるもの,議論の論点を整理するためのものというように少し整理をし直すと,もう少しわかりやすいのではないかと思いました。
【丸本委員】
私もこの報告を読ませていただいて,大変多岐にわたる問題をよくまとめていただいているという感じを持ちました。特に私は委員になって期間が短かいのですが,色々な意味で方針がかなり整理されていると思いました。
特に,質のレベルの保証のところで,前回,評価のところをもう少しきちんと議論するべきではないかということを申し上げておりましたが,それもうまく組み込んでいただいております。
ただ,1点だけ質問がありますのは,前もらった資料の8ページです。認証評価において適合・不適合の判定がなされる際に,それは設置基準への適合・不適合なのか,又は認証評価機関の独自基準への適合・不適合なのかという点です。これは認証評価機関が独自にそういう基準をつくっていたのかということがこの文書でわかったのですが,それでは,認証評価機関がつくった基準を誰が本当に妥当なものとしてきちんと確認しているのだろうかと少し疑問に思いました。もしお答えいただければ幸いです。
もう1点は,中西委員が言われたことと関係しますが,「経営基盤強化を図る取組の現状」のところで,ヨーロッパやアメリカと比べて,日本は寄付文化が育っていないとか,色々なことが言われております。様々な財政基盤を図る上に,従来の運営費交付金ではないところにも我々は手を伸ばしていかなければいけないのですが,そういう時に一番問題になるのは,税制上の問題です。ここが改善されれば,もっと沢山の寄付金を集めることが可能なのですが,税制上の問題が引っ掛かっていて,なかなか寄付金を出しにくいということがあるようです。この辺について将来重要だと思うのですが,ぜひ何とかそういうところを議論していただけるといいのではないかと思います。
【安西分科会長】
初めの方について,何か事務局でありますか。
【德永高等教育局長】
基本的には,中央教育審議会で認証をしております。河田委員がその座長で,森脇委員が座長代理です。
【樫谷委員】
全体的に読みまして,非常に網羅されていたし,多岐にわたると思うのですが,これを読んで具体的にどうしたらいいのかというのがもう一つピンとこない。それは有信委員が言われたように,時間軸がないということになるかもしれません。それから,動きがないと思います。つまり世の中が変わってきて,ビジネスモデルというか,ビジネスかどうかは別として,事業モデル,大学の教育なり研究の事業モデルが変わってくると思います。それに対して大学は対応していかなければいけない。その時に,例えば機能別分化をしていったときに,どのような課題が出てきて,大学でクリアできる問題とクリアできない問題といろいろあると思いますので,その辺は混合するのかもしれないが,もう少し精査していかないといけない。読んだとしても,何となくはわかるのかもしれないが,具体的にどうしたらいいのかということが本当にわかってくれるだろうか。当然,わかっているところもあるけれど,わかっていないところも出てくるのではないかということになり,実際には,現実になかなか進まないのではないかと思いますので,いかがでしょうか。
【安西分科会長】
ありがとうございます。言われたとおりです。ただ,今日までの審議の取りまとめを「第一次報告」とさせていただきたいので,言われた意見はできるだけ反映されるようにいたします。
【河田委員】
基本的に,第一次のまとめとしては,それぞれの立場の方が,それぞれのところから言っておられるので,あとは,それを国の政策の元でまとめていただくのが大事かと思っております。
そういう意味で,2つございます。1つは,数字を記載いただいたほうがいいのではないか。例えば今までの資料に沢山ありましたが,色々なことを教えていただきました。例えば人口1,000人において日本は22.7人しか学生がいない。これは韓国の2分の1であって,ここに出ている28カ国の中で何と24番目であると。こういうことを書いていただいて,18歳から22歳だけでなく,多くの色々な年代の方が入れる大学にしていくべきであるし,それを受け入れる社会にすべきだということをきちんと書いていただければと思います。
それから,2つ目は留学生の問題です。現在,留学生30万人計画もあることで,もちろんこの「まとめ」でも論じられていて,例えば16ページのグローバル化の中に色々な検討課題があがっておりますけれども,もう少しここを詳細に書いていただいて,例えばOECDの中で,在学生の中に大体留学生は平均7.3%いるのに,日本は2.6%で,これも21カ国中の16位である。こういうことを変えないといけないし,魅力ある大学づくりをすべきだということで,少し夢を与えていただくということが必要ではないか。これが実感です。
【佐藤東洋士委員】
基本的によく幅の広いことをこのようにまとめたなと思っているのですが,お話を伺っていると,どうも大学教育の構造転換の必要性というようなことがサブタイトルというか,「はじめに」というところにありますが,本当は社会全体が変わって,生涯学習社会になって,大学の役割を社会全体が見直してもらわないと,大学だけが変わっても難しいというのが今の率直な感想です。もっと大学生が少なかった時から比べて,今その時の層が消えてしまったかといったら,全く消えてしまったわけではない。優秀な学生は相変わらずいるわけですし,優秀な研究者もいる。ただ,すそ野が広がっているということですから,そのすそ野が広がったところをどうやって嵩上げするかといったら,これは熱心な教員を,教育者をつくっていくより他にないのではないかと結論的には感じます。それが1つの感想です。
それからもう一つは,本日おまとめいただいた中で,若干意見を申し上げますと,大学それぞれの取り組みに対して支援をするのが必要ではないか。例えば,大学設置準備経費を準備したらどうかとか,激変緩和措置をとったらどうか,あるいは時限的な支援をしたらどうか,財政支援をしたらどうかということがありますが,これらについて常に思うのは,適用を受けたい側から見て,受けやすいようなことを考えていただかないと,例えばある一定の学生募集停止をしてしまったら,そこからは補助が出ていたのを出なくなるとか,そういうことではなくて,学生がいる間についてはある程度認めてもらうというような,そういう措置とか,自分達がそれなりに一生懸命やっているにも関わらず,変わらざるを得ないというところに対しては,インセンティブになるようなことを考えてもらったほうがいいのではないかと思います。
最近のことでありますけれども,白井委員を中心にして,日本私立大学団体連合会で,大学の質の保証についてのアンケートを全私立大学からとりました。その私立大学からとった中身はというと,姿勢としてはかなり一生懸命やっている。ですから,大学そのものがだらしくなってしまったというよりも,今環境が悪化しているということがあるわけですが,それをどうやったら適正にしていけるかというような,そういう視点を持っていただけるとありがたいと思っています。
【阿部委員】
今までも議論が出ていますけれども,やはりここで1回まとめというのは非常に意味があると思います。ただ,これは中間経過報告とはいえ,有信委員も言われましたけれども,時間軸というのがなかなか見えない。中長期といっても,これは3年後なのか,10年後なのか,50年後なのか,いつの実現を目指して施策をやっていくのかというのがなかなか見えにくいので,ダイナミックな動きが見えないということだと思います。すべての課題について盛り込むのは難しいと思いますけれども,時間軸が入るところは,皆さんの繰り返しになりますけれども,入れていただきたいと思います。
【安西分科会長】
できるだけそのようにさせていただければと思います。
【飯野委員】
これだけ多様なことを本当によくまとめられたと感心しておりますけれども,先ほどからご意見が出ていましたように,大学の役割や大学のミッションは何かということが鮮明になるように書かれていたほうがこの報告書が生きてくるのではないかという気がいたしました。さっき木村委員が言われたように,生涯学習型とか,そういうものをミッションにしていくということも一案だと思います。そうであれば,あるいは,その上で,この報告が大学関係者だけで共有されるのではなくて,どこへリーチアウトしていくのかということを考えるのも重要ではないかと思います。というのは,先ほど生涯学習ということで,もう企業ではそういう制度を作っておられると言われました。一旦社会に出てから,また大学に戻って勉強したい人を送り出す体制ができつつあると。教育界でもそういう動きは確かにあります。高校によっては,大学院就学休業制度により高校で教えている教員が1年か2年休みをとって,給料はもらえませんが,ブラシュアップ等をするために大学院に入学できるという制度です。けれども,それを行っている高校が非常に少ない。私どもの大学は教員をかなり多数輩出しているものですから,そういう高校の教員で,その制度があれば,試験を受けて大学院にやってくるわけですけれども,そういう時に大学の動きが高校に十分理解されていない。そのあたりの高校と大学の連携がうまくいっていないというか,何か一緒になって育っていないというところがあると思います。私どもは来年から,教職を続けながら夕方と土日だけ授業に出ることで単位がとれるような大学院のコースをつくる計画ですが,このようなことを含め,今日お示しくださった報告が出た時に,それが提案している施策がどこまでリーチアウトして影響を及ぼすのか,あるいは及ぼすべきだと想定するのか,というところを考えておくべきでないかと思います。
【安西分科会長】
生涯学習のことは本日は大変多く出ていると思いますし,構造転換ということの中の大きな1つの方向性として生涯学習社会を目指すということは書き込まれるべきだと思いますが,先ほど島田委員や他の方も言われたように,大学関係者だけではできないことで,企業でも雇用者側と被雇用者側があるわけで,社会の側もあるわけです。実現していくのにどういう手段,どういう方法をとっていったらいいのかということの議論はまだ尽くされていないようにも思います。それはこれからぜひ議論をしていただければと思います。
【白井委員】
2つだけつけ加えたいと思います。
1つは今の生涯学習の話で,ここのレポートのトーンが,学生は学校に行って何かを勉強して,そして知識を得て,それで卒業するといい職業が何かできると,基本的にそういったトーンになっています。だけど,大学のファンクションは必ずしもそういうわけではなくて,生涯学習というのは,学習と言っていますが,そうではなくて,そこに1つの大学を場にして全く違う人達のコミュニティができるということにものすごく大きなことがあります。これは我々も5,6年位になりますか,通信教育課程をやっていますが,Eスクールというものです。ここは本当に相当の年配の人達が正に入っている,社会人が入っている学校ですけれども,本当にそこにコミュニティができます。そういうことの効果がものすごく大きいということです。だから,学んで,要するに自分に新しい知識が必要になったから行くという,そういうことはもちろんあると思います。キャリアアップということです。それから,ドクターをとれば,国際機関で働けることももちろんあるでしょう。あるだろうけれども,それだけじゃない。そういうことをもう少し,大学の機能というものを社会的に大きくとらえるべきだという感じが,そういうトーンもどこか1行位でいいから入れておくべきと思います。 それからもう一つは,大学の教育についての答申ですから何とも言いようがないのかもしれませんが,ただ,大学で実際に教える側の教員の立場になりますと,大学は教育と研究がある。この教育と研究があることが致命的に,大学教育を考える上で自由度が非常に難しくなります。だから,ここの所を我々がこれからどのように,特に,いわゆる研究大学ではなくて,教育を中心にして展開しているような大学の先生がどのように研究とのバランスをとってやっていくのか,そういうことをどのようにシステムにするのかということを大きく入れないと,大学教育というものが成り立たない。ですから,このレポートの第10バージョンにはならなくて,第3バージョン位には,そういう研究と教育の関係というものを,ぜひ,どのようにこれから考えていくのか。これは大学のコストに猛烈に関わっています。これを解決しないとならないと思います。
【金子委員】
大変おもしろい議論を本日伺わせていただいて,そうだなと思って聞いていましたが,ただ,特に前半のご意見を伺っていますと,一般的に少し広く見て,一種の将来の高等教育に関するビジョンのようなものが必要ではないかということが一つあって,それからもう一つは,繰り返し出ていましたが,社会人の継続教育についての項目がないということです。もっときちんと扱うべきだというご意見が非常に強かったように思います。ただ,この大学分科会は昨年の諮問にかなり拘束されていて,この報告も諮問のとおりに書かれているわけでありますから,諮問の内容については討論しなければいけないと思いますが,ただ,議論を聞いていますと,そういった意味で一種のビジョンが必要です。一番最初に構造転換が必要だと書いたことは非常に重要で,そういう新しい,諮問には全然そのような言葉は使っていないわけですけども,わざわざ今回の報告で使ったというのは,今までの議論を呈してそのような言葉が使われていると思います。ただ,構造転換をするというのは実は非常に大変なことでありまして,これも大分意見が出ていましたが,現実からのジャンプが必要とするわけでありまして,成人教育についても今のままですぐ拡大するのはまず考えられない。現実から飛躍するところはどこで飛躍をするのかというのは非常に重要な問題だと思います。
それからもう一つ,政府が直接手を下せるかどうかということも非常に大きな問題で,かなりの部分は政府が直接手を下せるものではないかもしれません。
もう一つ,これも何回も議論がありましたけれども,どれくらいのスパンで考えていくのか,それがないと具体性がなくなるのではないかという議論がありました。その辺のところは,構造変化という視点から議論の視点が必要だということを最初の冒頭の部分に少し入れておいていただいて,そこから特に諮問にかかる具体的な点が出てくるといった構造にしていただくのが必要ではないかと思います。
【菱沼委員】
今,伺っていまして,この大学の機能が変わっていく,あるいは変えていこうとする時に,1つは,大学の教員・学生だけの問題ではなく,社会をどう大学の教育の中に巻き込むかと,社会の方たちをです。学生という立場だけではなく,ともに学ぶ側の人たちとして社会をどう巻き込むかというようなことも今後の課題ではないかと思いまして,そういう視点が1つ入ってくるといいと思いました。
【今榮委員】
グローバル化に関して,今留学生が30万人ということで,非常に身近に留学生がいます。学生にとっては少し雰囲気の違う人が入ってきたということで,環境的にはグローバル的な感じになりますが,実は留学生の質・教育に関して,1人いるだけでかなり周りが労力を払うという現状です。例えばランキングのところで,もし留学生の数を増やすということで,それに刺激されてまた増やすということであれば,留学生の質の向上,それから留学生に対する教育,そういうものも少し何か基準を出していただいて,その上で増やすということもあるかと思いますが,留学生問題ももう少し取り上げていただきたいと思っております。
【郷副分科会長】
生涯を通しての学習ということに関しては,大学教育の構造転換ということと非常に大きく,グローバル化もそうですけれども,ここでは第3章に「人口減少期」と書いてありますけれども,これはトータルにはそうですけれども,構造的には少子化ですが長寿です。そういう社会で大学教育の構造転換をしていかなければいけないと思います。人口減少というと,それは何か非常に小さくなっていくという負のイメージです。でも,日本は女性に関しては世界一の長寿です。そういう国が,これからどういう教育の質をつくっていくかという問題ではないかと思います。
それからもう一つは,こういう議論をしていく中で,新しい先端科学,特に脳の発達。昔は,とにかく脳細胞は年をとっていくにつれ死んでいくのでどうにもしようがないと言われていました。でも,最近は,とにかく70過ぎても脳というのはまだ成長を続ける,リハビリでよくやっておりますけれども,一度壊れた脳が他のところで機能を回復するというような,そういう科学的なことも進歩してきているわけですから,もう少し夢のあるイメージを日本の国としてつくっていきたい。グローバル化とは別になりますが,そういうことがどこかに反映できないかと思っています。例えば第3章のタイトルも,「人口減少期における」ではなくて,例えば「少子・長寿社会における」とか,何かそういう表現にしていく,そういうことを色々なところで盛り込んでいけたらと思います。
なぜ,そういうことを申し上げたかというと,私が前任におりましたお茶の水女子大学は,先ほど社会人入学の話がありましたけれども,ドクターコースは約半分が社会人です。つまり,一度社会を経験してもう1回入ってくる。これは本当に驚くことです。女性だから子育てとかがある中,あるいは企業で一応50代まで勤め上げてから入学している。これは理系や文系問いません。勉強するという,そういうのを見ていますと,今申し上げたようなことがどうも一つ先をいっているのではないかなと思います。女性のそういうアクティビティから今のことを申し上げた次第です。
【安西分科会長】
人口減少期というのは,私も事務局に掛け合いましたが,大臣からの諮問の中に書いてあるのでと言われてしまいまして,掛け合って変えてもらえないかなと今でも思っております。
【德永高等教育局長】
それは逆に問題意識がそうなわけです。基本的に,社会的にはそういうことが言われているわけです。ここは大学関係者が多く集まっているわけですが,私ども文部科学省からすれば,色々なところでそういうことが言われている。逆に言うと,人口減少期なのに大学の数は多すぎるのではないかというようなストレートな社会的な問題意識がある。それに対して中央教育審議会としてどういう形で,いわば,それに対して認識を示すのかということですから,タイトルそのものは諮問そのもののイントロダクションです。それに対して必ずしもストレートにそうであるのか,いや,そうではなくて,生涯学習的な展開,あるいはグローバルな展開もあるのではないかということを言われたという趣旨だと受けとめております。
【萩上副分科会長】
「第一次報告」ということで,ここで出されたご意見,それから各部会,あるいは各ワーキンググループで議論されたことを非常にうまくまとめられていると思いますが,その意味で1点だけ申し上げたいと思います。先ほどから出されたご意見の中にありましたけれども,質の悪い人材を排出しないということに関連して,各大学があげている人材養成目標がきちんと達成されているかどうかという評価をきちんとすべきだという趣旨のことを書かれています。書かれてはいますが,かなりマイルドに書かれているように思いますので,ここで大勢の方からそういうご意見が出ていますので,もうちょっとはっきり書いたほうがいいのではないかと思います。ラーニングアウトカムというか,成果の評価です。きちんと養成目標とする人材が排出されているかどうかということを評価すべきであるという趣旨のことをどこかにもう一言書いていただいほうがいいのではないかと思います。それが質の保証,質の向上そのものだと思います。
【安西分科会長】
ありがとうございました。
大変貴重なご意見を多々いただきまして,ありがとうございます。本日のところのご意見までで,これで,最初に出されました原案を修正することでいいかなと思ってはいたのですけれども,できれば,あと2週間位かけて,特に本日いただいたご意見をきちんと整理したいと思います。また,この報告(案)の中に含まれていない今までの議論もありますので,それも考慮させていただいて,できましたら,2週間ほどかけて修正をさせていただいて,もう一度改めて出させていただくということにしてはどうかと思っています。
【德永高等教育局長】
基本的には,今回の「報告(案)」は,何か網羅的に結論を書いているように思えますけれども,現在検討進行中のものが山ほどあります。それについては,基本的には,「こういう事柄を検討している」という形になっています。何かここに書いてあることが審議会の総意のようにかなり誤解されているのかもしれません。基本的には,中央教育審議会の諮問がこうであったということで,その諮問に対して,現在,大学分科会でもここまで議論していますし,それぞれ3つの部会でも議論している。さらには,もっと多くのワーキンググループでもここまで議論しておりますので,検討事項は,こういった場で検討しているということで,これが最終的に意見の集約ということではない。この時点で,少なくともこういったところで意見が一致しているものはこれで,まだほかに山ほど一致していないものがこれだけあって,現在検討しているという性格のものになります。そこのところについて,文書そのものの性格がきちんとわかるような形で少しお示しできればと思います。
【安西分科会長】
前回と今回の大学分科会で,来年度のこともあるので,申し訳ありませんが迅速に議論をしていただきたいということを申し上げてまいりました。そのことは変わりませんが,あと2週間位だったらということですので,皆様がある程度理解していただく形でまとめさせていただいたほうがいいのではないかと思いますが,いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
それでは,副分科会長の荻上委員と郷委員,質保証システム部会の部会長の黒田委員,それから大学規模・大学経営部会の部会長の金子委員ともご相談をさせていただければと思っております。できるだけ今までのご意見を踏まえた上での「第一次報告」とさせていただければと思いますが,よろしいでしょうか。
【河田委員】
「報告」という言葉は,少し誤解をするのではないかと思う。「まとめ」とか「審議経過」とか,そのほうがいいのではないかということを思うのですが,「報告」でないとだめなのですか。
【安西分科会長】
それも含めて相談をさせていただいて,もう一度,日程の正確な期日はこれからということだと思いますけれども,もう一度,何らかの形で各委員にお集まりいただくことも検討するようにしたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは,内容が大変多岐にわたり,また報告でありますし,特にビジョンのことから色々ご意見が出ておりまして,そのことも踏まえて,ぜひいい報告といいますか,まとめといいますか,審議経過といいましょうか,そういうものにしていければと思います。
それでは,これで閉会とさせていただきます。お忙しいところありがとうございました。
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