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大学分科会(第79回) 議事録

1.日時

平成21年5月13日(水曜日)13時~15時

2.場所

文部科学省旧庁舎6階第2講堂

3.議題

  1. 中長期的な大学教育の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

(委員)
安西祐一郎,浦野光人,荻上紘一,金子元久,郷通子の各委員
(臨時委員)
今井浩三,今榮東洋子,江上節子,樫谷隆夫,木村孟,黒田壽二,小杉礼子,佐々木正峰,佐藤東洋士,水田祥代,中西友子,濱田純一,丸本卓哉の各臨時委員
(専門委員)
井上正仁,川嶋太津夫,白井克彦の各専門委員

文部科学省

(事務局)
玉井文部科学審議官,坂田文部科学審議官,德永高等教育局長,布村文教施設企画部長,合田総括審議官,河村私学部長,久保高等教育局審議官,戸谷高等教育局審議官,片山高等教育企画課長,義本大学振興課長,藤原専門教育課長,村田私学行政課長,豊岡参事官,榎本高等教育政策室長 他

5.議事録

議事

【榎本高等教育政策室長】 
 お時間でございますが、安西分科会長は少し遅れているようでございます。その間、荻上副分科会長に進行をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【荻上副分科会長】 
 それでは、安西先生がいらっしゃるまで進行を務めさせていただきます。
 所定の時刻になりましたので、第79回の大学分科会を始めたいと思います。お忙しい中、ご出席いただきましてまことにありがとうございます。本日は、第4期に引き続き、副分科会長をお願いしております郷委員が今期最初のご出席をいただいておりますので、まずご紹介を申し上げますとともに、一言ごあいさつをお願いします。

【郷副分科会長】 
 今期になってから、これまで年度の変わり目でもあり、所属機関の行事があり出席できませんでした。
 新しくこの2人副分科会長体制で荻上先生とご一緒に安西分科会長をお助けしながらやってまいりたいと思います。今日も大変実質的な議論が進むと伺っています。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【荻上副分科会長】 
 どうもありがとうございました。
 分科会長がいらっしゃいました。安西先生、よろしくお願いいたします。

【安西分科会長】 
 荻上先生、ありがとうございました。
 今日の大学分科会につきましては、まず、今年度の補正予算について簡単にご報告を受けまして、それから法科大学院特別委員会のご報告をいただく。それから、大学分科会各部会、ワーキンググループ等々かなり審議が進んでいるところもございますので、まとまった時間をとってその進捗状況について審議させていただければと思います。 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いします。

【榎本高等教育政策室長】 
 お手元の配付資料、まず、資料1が法科大学院特別委員会の報告でございます。資料2、横長のものが先生方に一昨日メールでお送りしたものの改訂版で、これまでの分科会等の審議の概要でございます。資料3は今後の日程。それから資料4が議事録でございます。議事録のうち、第77回の分はこれで確定として公表したいと思っております。第78回の分に関しましては、ご意見がありましたら事務局までご連絡くださいますようよろしくお願いいたします。また、お手元に用意しましたグレーのファイルがございますけれども、このグレーのファイルにはこれまでの諮問、それから文科省から提出しました資料、また、先生方からいただいた資料に関しまして、目次とインデックスをつけて収録しているところでございますので、ご参照ください。
 以上です。

【安西分科会長】 
 それでは、今年度の補正予算案の状況を、文科省からご報告いただければと思います。

【片山高等教育企画課長】 
 失礼いたします。それでは参考資料1をご覧ください。
 前回の大学分科会では経済危機対策の項目などについてご説明申し上げましたけれども、金額が入っていませんでしたので、今回の参考資料1は金額が入って、今国会に提出している補正予算案でございます。補正予算案は文科省全体で約1兆3,000億円ということでございますが、そのうち高等教育分を取りまとめた資料でございます。
 まず1ページのところでございますが、教育費負担への支援や就職支援の充実ということで、646億円を計上しております。具体的には、高校生への授業料減免などの支援、これが486億で一番大きいですが、それ以外に授業料減免などを行う学校法人への無利子融資制度の創設。経済的に厳しい学生に対する緊急採用奨学金や返還猶予の拡充。大学の就職支援体制などの整備ということになっております。
 1枚めくっていただきまして、裏の2ページでございますが、大学病院の機能強化として370億円を計上しております。具体的には、NICUなど周産期医療の環境整備が39億円。救急医療やがん治療などの環境整備に300億円。あと、私立大学病院の施設整備への融資に係る利子助成として1億円。医療補助員の雇用などによる業務改善で30億円となっております。
 それから3ページでございますが、一番上に私立学校施設の耐震化、エコ化などに173億円となっております。それから、真ん中あたりから大学の教育研究施設・設備でございますが、高度化、老朽化に2,003億円でございます。私立や国立の基盤的設備の整備に979億円。研究支援者の雇用による教育研究支援体制整備で300億円。
 あと、次の4ページの上のほうになりますが、国立大学施設の老朽化対策などで664億円。ここは施設の部分ですが、合わせて2,003億円になっております。
 それから最後に、4ページの中段以降でございますが、留学生の受け入れ促進や若手研究者、大学生の海外への留学支援に463億円ということでございます。留学生宿舎の整備、留学相談員の配置、私費外国人留学生支援拡大ということで95億円。日本人の大学生や大学院生の海外派遣で315億円となっております。
 以上、各項目を合計いたしますと3,655億円となりまして、20年度にも補正予算、第一次、第二次ございましたけれども、それぞれ二、三百億円ぐらいということでございましたので、今回はその10倍以上の額となっております。
 以上でございます。

【安西分科会長】 
 何かご質問ありますでしょうか。

【木村委員】 
 今の片山課長のご説明とは直接関係ないのですが、最近オーストラリアが高等教育への予算を大幅に増やしつつあるということを漏れ聞いておりまして、噂によりますとUniversities Australiaですか、学長会議が、政府が高等教育にこれだけの予算を入れてくれれば、オーストラリアのGDPがこのぐらい上がるという詳細な計算をしたレポートを出したと聞いたのですが、何か文科省は把握しておられますか。

【榎本高等教育政策室長】 
 失礼いたします。オーストラリアにおきましてもHigher Education Reviewということで、政府全体での改革の議論が進んでいると伺っております。その関連で、オーストラリアの学長の団体でありますUniversities Australiaが最近出しました報告がございまして、それによりますと、高等教育予算を現在の政府の方針に沿って増やすと仮定いたしますと、将来的には労働人口の増加、あるいはスキルアップ、生産性の向上、あるいは留学生の増加といったこともあり、確か2040年までにはGDPが、そういった予算増をしなかった場合よりも一定程度上がるというシミュレーションをされたというのを3月に出したと伺っております。
 もちろんオーストラリアの経済状況あるいは産業構造等は日本と違いますので、単純な比較は難しいかもしれませんが、参考になるかと思って最近読んでいるところでございます。

【木村委員】 
 私が噂として伺ったところによりますと、2040年までに6%ぐらい上がると言っているようです。申し上げたいのは、どうしても日本ではそういう計算ができないということです。やはり説得力がある計算をしないと、なかなか財政当局も動いてくれないと思います。国大協でできるのかどうかわかりませんが、是非しかるべきところでこういう計算をして、定量的な報告書を、エビデンスとして出さなければいけないのではないでしょうか。余計なことかもしれませんが。

【安西分科会長】 
 ありがとうございました。余計なことではございません。大変貴重な情報だと思いますし、もしそういうレポートがあるのであれば、皆さんに配付していただくということもあり得ると思います。また、作業部会の下にかなりの数のワーキンググループを設置しておりまして、そこでそういったデータの整備等もやっていただくということは文科省にお願いしているところであります。私も国の予算のどのくらいを高等教育に費やしていけばどうなるのかということを自分で研究し始めたんですけれども、大体国家予算というもののとらえ方自体が非常に難しくて、一般会計から何からいろいろありますので、そういうことでやはり自分ではなかなか難しいところがある。やはり文科省にぜひそういうところは体系的に整備していただけないかなと思いました。
 今の件等々、何かほかにありますか。よろしいですか。
 それでは、次に進ませていただきます。
 先日4月17日の法科大学院特別委員会で取りまとめられました「法科大学院教育の質の向上のための改善方策について」という報告がございまして、それについて報告を受けたいと思います。同委員会座長代理の井上委員から報告の内容をご説明いただきまして、それから文科省から補足説明をしていただくということでお願いしたいと思います。
 井上先生、よろしくお願いします。

【井上委員】 
 井上でございます。今ご紹介がありましたように、4月17日の法科大学院特別委員会におきまして、法科大学院教育の質の向上ための改善方策に関する最終報告を取りまとめましたので、それについてご説明させていただきます。
 お手元の資料1-2が報告書の本体ですけれども、その概要が資料1-1でございますので、そちらをご覧いただきながらご報告させていただきたいと思います。法科大学院特別委員会におきましては、平成20年3月より審議を開始しまして、認証評価機関による評価結果、各法科大学院に対する実態調査、関係機関の見解などの検討を行うとともに、法曹関係者からヒアリングを実施してまいりました。
 その結果、全体として、総体として見た場合に、多くの法科大学院においては法理論と実務を架橋する、これは法科大学院制度の趣旨ですが、その教育課程の整備が着実に進んでいる。法科大学院を修了し、既に法曹になった人たちや司法修習中の人たちの素質あるいは能力についても多数のすぐれた点が認められる。ただ、その一方で、法律基本科目に関する基礎的な理解や法的思考能力が十分身についていない修了者が一部に見られるということや、各法科大学院における法律実務基礎教育の内容が不統一であるといったことなどの問題点も見られましたので、これらの速やかな改善が必要であるという認識を抱いたところです。
 このため特別委員会のもとに法曹関係者を含めた幅広い関係者の参画を得まして、2つのワーキンググループを設置して集中的に審議を進め、昨年9月に中間報告をまとめて本分科会にもご報告をしたところでありますが、その後さらに検討を重ねた結果、このほど資料1-2の最終報告を取りまとめたという次第であります。
 改善方策は4つの柱からなっておりまして、その1つ目は、入学者、入ってくる人の質と多様性の確保ということであります。内容的には競争性の確保を目的とした入学定員の見直し、あるいは適性試験の改善等々を内容とします。特に入学者選抜の際に実施される適性試験の改善につきましては、統一的な入学最低基準点を設定すべきであるとしまして、その具体的な水準の目安を適性試験実施機関、2つございますが、その実施機関に対して提案をしております。
 2つ目は修了者、出ていくというか送り出す人たちの質の保証でありまして、共通的な到達目標、いわゆるコアカリキュラムの設定や教育内容の充実、厳格な成績評価修了認定の徹底などを主な内容としております。共通的な到達目標につきましては、現在かなり作業が進んでおりますが、引き続き、今年度いっぱいかけてこれを策定していくということにしております。
 3つ目は教育体制の充実ということでありまして、質の高い専任教員を確保するとともに、入学定員の見直しや法科大学院の教育課程の共同実施・統合といった方策などの方針を各法科大学院に対して求めていくということを盛り込んでおります。また、いわゆるダブルカウントの暫定措置が平成25年度までで終了する予定でございますが、その後、法科大学院の教員が従来型の研究科の後期博士課程の研究指導ができなくならないように、これは研究者あるいは教員の養成という意味で非常に必要なことですが、その辺について特段の配慮を要望するということが提言されております。
 4つ目は質を重視した評価システムの構築ということでありまして、教育水準と教員の質に重点を置いた認証評価とすることなどを内容としております。ご承知かもしれませんが、平成18年度から開始されました法科大学院の認証評価は、ほぼ一巡目が終わりつつある、あと数校残すところですが、本報告におきましてはその二巡目、2ラウンド目に向けまして、評価項目の見直しとか、3つの評価機関がございますが、その間での不適格認定の内容方法の調整など速やかな制度改正を含めた評価のやり方の見直しというものを求めております。
 審議経過及び本報告の概要については以上でございますけれども、特別委員会としましては、すべての法科大学院関係者に対して、この報告で提言されております改善方策を真摯に受けとめていただいて、法科大学院教育の質の一層の向上に直ちに取り組んでいただくということを強く要望していくつもりであります。
 以上でございます。

【安西分科会長】 
 ありがとうございました。
 それでは、文科省から説明いただいて、その後ご質問を受けることといたします。

【藤原専門教育課長】 
 少し補足説明を申し上げます。報告の内容につきましては、ただいま井上委員からご説明いただいたところでございますけれども、この報告書を踏まえた改善計画の策定を各法科大学院にお願いしております。現在その提出をお願いしておりますので、そうした状況を踏まえつつ、また、この特別委員会の中にフォローアップのためのワーキンググループを設けてございます。そうしたところにおきましても改善状況を引き続きご審議いただきつつフォローアップしていくということを想定しておるところでございます。
 それからまたこの報告の中で、先ほど井上委員からご紹介ありました博士後期課程における研究指導のあり方、あるいはまた認証評価のあり方、そうしたものにつきましては専門職大学院全体の問題として当大学分科会におきましても今後議論いただく必要があろうかと思っておりますので、また引き続きよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

【德永高等教育局長】 
 法科大学院を取り巻く状況について若干申し上げますと、これは司法制度改革の一環で始まったわけでございます。法科大学院そのものが単独で始まったということではなくて、今回5月21日から始まる裁判員制度も含めた形で、いわば従来に増して、500名弱であった司法試験合格者の数を将来的には3,000名以上に増やしていこうということを含め、また、その一環として、プロセスとしての法曹行政を改革する。また同時に裁判員制度を導入するという、国全体の司法制度改革の一環として始まったわけでございます。
 ただ、そういったことの中で、さまざまなご議論が、特に政権与党の内部で起きております。昔の司法試験のスタイルは、とにかく一旦教養試験さえ通れば、大学を出なくても司法試験を受験することができたわけでございます。例えば、現在、法科大学院を通じて受験することが司法試験の前提となっており、そもそもそういうことのバイパスとして予備試験というものが構想されておりましたが、いろいろなご意見の中では、そもそも法科大学院を出なければ司法試験を受験することができないというシステム自体を見直すべきではないかというご議論さえあるわけでございます。その司法制度改革に関連して法科大学院がきちんと法曹養成機関という役割を果たしているかどうかということに対して非常に厳しいご意見があるわけでございます。
 私どもとすれば、こういった状況の中で、大学関係者が主体的に法科大学院の質の向上をさせていき、そして、きちんとしたプロセスとしての法曹養成ということの社会的使命に応えていくという事柄をたどりたいと思っておりますので、その意味では、ぜひ今回中央教育審議会の法科大学院特別委員会でこのような報告を出していただきましたので、これを踏まえて、行財政措置を含めた形で、法科大学院の質的向上と、入学定員の見直しといったことにも本格的に取り組んでいきたいと思っております。

【安西分科会長】 
 それでは、何かご質問等ありますか。

【白井委員】 
 法科大学院については、非常に理想を持って始められたんだが、現状では色々問題があるというのは確かにここに書いてあったとおりなんだと思うし、こういう方向でぜひ改善を進めていただきたいと思うんですが、こういうこと自体を起こしたところの制度上あるいは実効上の責任は非常に重いと思うのだが、あまりこの報告に書いていない。だから、もっと徹底的にそういうことを追及しておかないと、文部行政と、文部省だけではないけれども、極めて責任はあると思います。世の中も騒がしているし、それから、これを設置したそれぞれの大学等々はものすごく苦労して今でもやっているわけです。それで定員減らせだとか、場合によっては、もうだめなところはやめろとか。だめだからやめるんでしょう、競争に負けたんじゃないですかと、そういう考え方はあるけれども、その前にある程度の利息はできるわけであって、そういうところもできないとすれば弁護士とか、法曹関係者というのはおそらく数学ができないんですね。
 だからどうしようもないということなんだけれども、僕はあまりにもお粗末だという感じがしてしまう。それから、世界的に見ても、こういう非常に根幹に関わるような制度について、やはり着実に実行しないとみっともないというか、恥ずかしいというのか、極めて僕は問題だと思います。
 ですから、このレポートはそれで僕は速やかに、できるだけうまくスマートに実行していただきたいと思うけれども、条件としては、例えば、ダブルカウントの教員なんかを減らす、僕らもそうしたいと思っています。だけど、これは、特に私立学校にとっては、財政上極めて深刻な影響を及ぼすんです。もちろん先生がいないという問題もあるんだけれども。両方の理由があります。要するに、後継者養成ということで相当我々は力を入れてやらなければいけない。それと、現実に人件費がかかるという問題がある。これからこれを実行しようとすると、この両方はどこの大学も抱えている非常に深刻な問題になるわけです。初めから私学と国立で授業料は違うし、これが本当に国家としての重要な人材育成のシステムだとすれば、やはりそこをもうちょっと今回てこ入れしないと僕はだめだと思う。
 このレポートにそういうことは全然書いていない。分科会の人たちは一体何を議論しているのか、一番肝心なところをほとんど議論していない。そう言うといけないけれども、やっている人たちの当事者が、だから皆さんこういうふうにしなければいけないねというのは、僕はよくわかるんだけれども、ほんとうはその原因と、それから対策としてお金が必要なんだ、国の仕事なんだということの自覚があふれていないような気がする。

【井上委員】 
 おしかりはおしかりとして受けとめたいと思いますが、世の中で喧伝されていることが本当に真実であるとは受けとめないでいただきたいと思うんです。1つは、これは大きな、非常にドラスティックな改革でしたので、私自身も改革に携わった人間ですけれども、いずれこういう揺れ戻しが来るだろうとことは当然想定されて、やはりそれを跳ね返して、着実に制度を定着させていかなければならない。今そのプロセスだと思っているんです。
 責任云々という話もあるんですが、いろいろな過程で、あれだけの数のものができた。これは関係者等しくみんなの責任だと思うんです。それはつくった大学の責任でもあるわけです、定員設定をしたのは基本的には大学ですので。そういう意味で大学も責任を非常に重く受けとめて、それぞれ自主的により質の高い法科大学院にしていくために何をしていかなければいけないのかということを今模索している。これは数だけが報道されていますが、そうではなくて、教育の方法ですとか、内容についても、今真摯に動いているところなんです。経営的な視点については、確かに我々ではなかなかそこへ突っ込んで議論することが難しかったものですから、ぜひそういうところにかかわっておられる方々からより強いサポート、あるいはご示唆をいただいてバックアップしていただければと思っております。
 以上です。

【德永高等教育局長】 
 司法制度改革の中で法科大学院の制度設計については、当初から現在の状況を十分に予期し、きちんとした100%の制度設計であったかということについては、いろいろご指摘はあるところでございます。ただ、そういった中で、我々としても評価、あるいはそれに対する特別調整を含めて、それなりの手を尽くしてきたわけでございます。
 一方で、今特に説かれているのは、そもそもこれほど多数の法科大学院を認可した責任は一体誰にあるのか。それは文部科学省が認可したのではないかといったことが問われているわけでございますが、逆に、たくさん申請があって、それをたくさん認可したということだけに全部問題を帰着させていいのかということもございます。ただ、私どもからすれば、法科大学院の創設と期を同一にして大学制度全体の中で、いわば事前規制から事後チェックへという転換の中で、設置認可と認証評価を併せて導入したわけでございます。現実に認証評価結果の中でもそれなりの問題点が指摘されているわけでございますので、そういうことであれば余計のこと、今後設置認可、認証評価ということを質保証システムの一番の典型的な例として、具体的に質保証をどういう形で認証評価、そしてそれをさらにフォローする形でやっていくのかということを議論しているわけでございます。そのことについて、構造的な問題はどこにあるのか云々ということについてはさまざまご意見があると思っておりますが、今議論されているのは、今井上先生からもお話がございましたように、そもそも誰が設置認可したのか、誰がそんなにたくさん入学定員の措置をしたのかということが一方では議論されがちでございますし、また一方で、そういう必要な教員もいないのに、何で無理してつくったのかというようなことに対しては、我々とすれば、やはり何といってもまず、文部科学省も含めて大学サイドが主体的にみずからの法科大学院というものの質を高めて、きちんとした姿に持っていくということがあって初めてさまざまな議論ができるんだと思っております。

【中西委員】 
 法科大学院の改善の方向性で緑色で囲ったところの、1から4までですが、数字が書かれているところについてです。「競争率2倍以上」から、2のところは「下位から15%程度」。これは定量的かつ明確でわかりやすいのですが、まず数字が出てくると、数字だけがひとり歩きする場合もあろうかと思います。その数字をクリアするためいろいろなことが行われる可能性もあります。例えば競争率を上げるためにだれにでもどんどん応募してもらうとか。本当にいい人が集まることを目指した改革だと思いますので、数字がひとり歩きしないようにお願いしたいということが1つです。それからもう1つは、2の修了者の質の保証の4ですが、「司法試験合格者数が著しく少ない」ところの抜本的見直しと書いてありますが、全く素人から見ますと、司法試験を目指す予備校的な印象を受けます。結果として合格者数が増えるような教育をしなければいけないわけであって、書き方の問題だとは思いますが、端的に「司法試験合格者数が少ないのは問題だ」と書くのは少し問題なのではないかとも思われます。分野が違う者からして、数字のところと司法試験の両方が気になりましたので申し上げさせていただきました。

【井上委員】 
 第1点目は、私どもも、この中身をご覧いただければおわかりのように、数字がひとり歩きしないように、非常に気を使って書いております。ただ、逆に、抽象的な文言で書いているうちは、法科大学院の側から、「そんなに当たっていないよ」という受けとめ方をされるところも少なからずあるんです。ここに書いた、例えば競争率2倍とか、15%というのは本当にミニマムの、本当にこの数字も満たしていないのはやはりちょっとひどいのではないでしょうかということで明示したんです。
 そういうところは特に早急に抜本的な見直しを行っていただきたいというメッセージの1つ手がかりとして出したものです。いずれの数字もそんなに絶対的なものではありませんので、それを超えていればいいという話ではないんです。
 もう1つ司法試験のほうの、これは我々が一層神経を使ったところでして、司法試験の合格者数が多ければ、あるいは合格率が高ければ、その法科大学院の教育の質が高いんだと直結しますと、もう予備校的な教育をどんどんやればいいということになるんですが、そういうことを趣旨としているわけではなくて、むしろ逆なんです。
 法科大学院というのは、先ほど德永さんからもお話があったように、やはり世の中に対して資格のある、能力、素養を備えた法曹を育てて送り出していく、これが使命ですので、その使命にふさわしいような教育というのが我々の責任なんです。それが著しく低い状態がずっと続いているということになれば、それは1つの教育の質に何か問題があるのではないかということの徴表だと考えられると思うんです。合格者数がゼロとか1とかというところもありますが、それがずっと継続的に続いているところについては、やはり教育のあり方、定員を含めて、それについてやはり見直しをしていただく必要があるのではないかという方向なんです。うちは70%です、うちは75%です、75のほうが高いんです、そういう趣旨で合格率というのを指標にするわけではない。お時間があればこれは中を読んでいただければおわかりいただけると思います。そういうところに神経を使った書き方をしているはずです。
 以上です。

【安西分科会長】 
 ありがとうございました。一応ご報告でありますので、いろいろご意見はあるかと思います。ご意見があれば、事務局へ直接お寄せいただければと思います。ぜひ事務局から特別委員会へ伝わるようにお願いできればと思います。
 現実の問題として、質の向上を目指そうと思って定員を減らすと経営を直撃するという、そこのジレンマというのは、やはりどうしても大学側にはあるんじゃないかなと思いますが、一方で質の向上はちゃんとやらなければいけない。そういうことをどうするかということだと思います。
 法科大学院のこの改善に関する取り組みにつきましては、ワーキンググループ等々も含めて、また進捗状況をいろいろ確認していただけるということでありますので、これから大学分科会といたしましては、法科大学院の質の向上に向けた取り組み、これはやはり注視していくべきだということだと思います。
 何かご意見がありましたら、また別途事務局にお寄せいただければと思います。
 それでは、今日の議題に入らせていただきます。第5期の分科会は今年2月に発足いたしまして、中長期的な大学教育のあり方の諮問について、各部会、ワーキンググループ等々を含めていろいろな議論をしていただいているところであります。
 この大学分科会といたしましては、各部会での個別の議論だけではなくて、分科会としての集約を行いまして、全体的な改革の方向性を確認して、部会等の議論にフィードバックさせていただければと思っております。
 今日は部会等の審議状況を整理しながら、委員の間の共通認識を深める時間を十分とらせていただきたい。3時まででありますけれども、2時55分までそれをやらせていただきたいということであります。ただ、資料がかなりございます。文科省から資料等の説明を15分以内でお願いします。

【榎本高等教育政策室長】 
 資料2でございます。目次、それから過ぎまして4ページからこの分科会の全体像でございます。5ページ、昨年9月の諮問を受けて分科会として審議を行っております。2月以後部会を設置しているところでございます。諮問は大きく3つの柱がございまして、1つ目が多様なニーズに対応する大学、2つ目がグローバル化への進展、3点目が人口減少期における全体像でございます。6ページにおきまして、審議における問題意識といたしまして、大学数と学生数の増加を背景として、質保証や、あるいは量的規模のあり方が課題となっているところであります。また、関連するさまざまな諸制度の課題も出ているところでございます。そこで、大学分科会としては、全体的な方向性を議論しつつも、具体的な制度論を議論するために質の保証、あるいは規模、あるいは大学院に関して部会を設けているところでございますし、またワーキングも走らせております。
 7ページ、8ページが現在設置しております部会、特別委員会等でございます。8ページの右側、作業部会がございまして、ここには複数のワーキンググループを置いて調査・分析・検討するとしております。9ページがワーキング、13ございますが、その一覧でございます。現時点におきまして6つのワーキングが議論を始めているところでございます。10ページ、量的規模あるいは質的保証の検討におきましては、大学の機能別分化を念頭に置いた議論が必要だろうということが、既に意見として伺っているところでございます。平成17年の将来像答申におきまして、7つの機能別分化が掲げられておりますけれども、今後この分類のあり方等も含めて、どのように機能別分化を考えるかというのが課題でございます。
 11ページには、アメリカのカーネギー財団によります大学の分類。これは2000年バージョンでございますけれども、当時、将来像答申を議論する際の1つのイメージとしてもあったものでございました。12ページは、アメリカ、イギリスにおける機能別分化の参考例の1つでございますが、カリフォルニア州ですと、マスタープランの中で州立大学が大きく3種類に分けられているということ、また、イギリスの高等教育白書におきましても、大学の役割分担、それからネットワークといったことも大きな柱となっているところでございました。
 こういった総論的な議論がございまして、14ページからは質の保証でございます。15ページでございます。総論といたしまして、保証されるべき質というのはさまざまあると思われますが、まず個々の大学の自主的・自律的な活動が前提であります。その上で、学習者や社会の信頼を保持する上で、質保証をシステムとして整備し、効果的に活用していくということが重要でございます。
 16ページで、質保証の議論で用意いたしましたのが、大学とはというものでございますが、大学は歴史的・国際的に確立された考え方に基づきますと、団体性、教育と研究の実施、それを踏まえて学位授与権を独占的に持つという性格でございます。こういった大学の質保証が大きなテーマでございます。
 17ページは、昨年12月の答申でございました学士課程の答申におきましては、主に各大学においてみずから主体的に質保証に取り組んでいく必要があるということを、学位授与の方針、教育課程編成の方針、入学者受け入れの方針という3つの方針に基づいて、各大学の取り組みを促そうとしたものでございました。昨年9月以降の諮問におきましては、今度は質保証をシステムとして考えていく。18ページでございます。設置基準、設置認可審査、認証評価の3つの役割と相互関係を再検討していこうというものであり、またさらにこれに加えまして、公財政支出といったものが質保証にどういう役割を果たしていくのかといったことも検討として出てまいります。
 19ページは、質保証システム部会におきますこれまでの主な意見でございます。これまで2回開催しているところでございますけれども、今後もまた部会として議論を深めてまいります。
 20ページにおきましては、昨年の大学分科会で何度か議論がございましたが、設置基準と設置認可審査の見直しが早急に必要なものがあるということで、議論が設置審におきましても始まっているところでございます。細かくなりますが、21ページにおきまして、どういう課題があるかということを列挙しております。設置基準の課題、設置認可審査の課題、届出制度に関する課題、また、設置後のフォローアップに関する課題等ございまして、これらに関しまして、既に設置審においても対応を始めているものもございますし、また、今後検討が必要なものもあろうかと思っております。こういった設置認可審査固有の課題もあると同時に、先ほどの3つの項目それぞれの関係性の議論も必要であるということで、前々回の大学分科会、それから質保証部会におきまして議論を始めているところでございます。それが22ページ以降でございます。
 22ページは、設置基準と設置認可審査に着目いたしまして、審査基準の客観性の向上、設置基準に規定すべき範囲、それから、書面審査で明らかでない事項の認可後のフォローといった課題があろうかと思っております。
 23ページ。今度は設置基準と認証評価の関係といたしまして、評価基準の趣旨、あるいはその評価の判断項目を具体化する必要があること、また、評価の判定のあり方、評価の省力化といった検討も関連して出てこようと思っております。
 24ページ。今度は設置認可審査と認証評価の関係の議論が必要であろうと思っております。認証評価におきます分野別評価の考え方、また、アフターケアと認証評価の接続・連携といったこともテーマでございます。これらに関しまして、質保証システム部会として議論をしようとしているところでございます。
 25ページ。これは今後ワーキングの中で議論が始められればと思っておりますが、学生支援の機能でございます。従来大学に関する議論は教育と研究の2つが中心でございましたが、学生支援といった観点の議論も今後必要であると思っております。この場合、経済的支援、また履修指導、進路相談、就職相談といったさまざまな相談のほか、図書館等の学習環境、あるいはキャンパスライフといったようなことに関しても、大学においては実態として重要な役割を果たしておりまして、これも質保証の観点からどう考えていこうかと。また、こういった学生支援というのは、大学の国際化という観点でも大きな柱でございます。
 26ページは、質保証の関連で、今度はグローバル化というアプローチで整理しているところでございます。これも今後の検討でございますけれども、学位の国際的通用性の観点から、諸外国の質保証活動や取り組みを踏まえた検討が必要であるとか、あるいは、日本の制度を海外に正しくわかってもらう必要がある。あるいは、単位交換やダブルディグリーの問題といったことも出てまいります。
 27ページは、昨年9月の諮問におきますグローバル化に関する記述を再度収録しております。ご参照ください。
 28ページからは参考でございますが、まず1つ、ヨーロッパにおきます国境を越えた質保証活動が欧州高等教育圏として始められようとしております。
 また、29ページにおきましては、欧米主要国における設置認可、事後評価といったさまざまな活動の概略を掲載しております。また、29ページの下のほうでは、ユネスコやOECDによります質保証のガイドラインが出ておりまして、これによりまして各国政府がそれぞれの高等教育の質の保証をやっていくといったことがうたわれております。
 30ページは、イギリスに少し特化いたしまして、質保証の現在の概要を整理しております。設置認可審査もございますし、また、機関別の評価もございます。また、さまざまな教育に関する情報の公表の制度化がされておりまして、近年急速に進んでおります。また、少し外れますが、研究評価に関しましては、評価結果がファンディングに連動するという仕組みもございます。こういった仕組みを成り立たせているものとして、右側のアカデミック・インフラストラクチャーというものが近年整備が進んでおりまして、高等教育の学位の枠組み、また、分野別の基準、各大学の教育プログラムのスペシフィケーションの明確化、各大学のさまざまな活動をコード・オブ・プラクティスとして明確化といった仕組みが近年急速に整備が進んでいるところでございます。
 31ページは、国際的な取り組みの例として、OECDのAHELO、また32ページでは、民間の大学ランキングの例を紹介してございます。
 34ページからは、量的規模と大学経営に関して。これはまた規模・経営部会での議論の全体像でございます。
 35ページ。日本の総人口が減少する局面において、さまざまな社会システムの見直しがあるという中で、大学をどう考えていくかということといたしまして、大学の機能別分化の促進、また、自主的な統合、大学の連携・協力による機能補完、健全な大学経営を促すといった論点があろうと思っております。
 36ページが、部会におきます意見を少し整理したものでございます。
 37ページ。過去の日本の高等教育計画、あるいは、アメリカ、イギリスの量的規模の情報を整理しております。
 38ページにおきましては、過去の高等教育計画では規模の上限を念頭に置いておりました。今後必要な規模、または政策的に望ましい規模の観点からの検討が必要です。
 39ページ、40ページは、教育・学生支援分野における共同利用の促進も規模の問題と絡んでまいります。学術分野におきましては、国公私を通じた共同利用の枠組みがございますけれども、教育や学生支援に関しても同様の大学間の連携を促す取り組みが必要と考えられ、その検討も求められているところです。40ページには、そういったことの留意点を整理しております。
 41ページは、大学の地域連携なども進めながらも、大学の適正規模、あるいは入学定員のあり方の検討が必要ということでございます。
 42ページは、大学の経営に関する情報公開の促進も必要となってまいりますといったことを総体的に規模・経営部会での議論をしております。
 44ページは、大学院の議論といたしまして、45ページから、大学院の教育機能の実質化といったことを議論の対象としているところでございますし、また大学院教育は国際競争力の向上の観点からも重要なテーマでございます。
 46ページで、大学院部会の当面の論点として、教育機関の実質化、または産業界から期待されるニーズといったものを整理しており、これに基づいた議論を始めようとしております。
 47ページは、大学院教育振興施策要綱、平成18年度に大学院教育答申に基づいてつくったものでございますけれども、ここの中の大学院教育の実質化がどれだけ進んでいるかといったことのフォローが必要であります。
 48ページでは、前回の大学院部会におきまして、産業界からのヒアリングを行いました概要を簡単に整理しております。今後も大学院部会として議論を進めてまいります。
 50ページに、最後に学位プログラムを中心とする検討であります。
 51ページ。今回の諮問の最初のほうに掲げているテーマでございますけれども、大学制度や教育を学位プログラムを中心に再構成することで質の保証を実現していくという方法が考えられます。現在は、大学の組織に着目した法制度上、あるいはいろいろな運営上の整理がございますが、これをより教育目標の明確化、体系的な教育課題の整備、わかりやすい大学情報の提供といった観点から学位プログラムに注目した整理の検討を始めております。もちろん検討に当たりましては、大学の団体性や自律性を踏まえたいろいろな留意も必要になっていこうと思われます。
 最後に、52ページでは、学位プログラム。これはワーキングを設けておりまして、さまざまな論点を議論しているところでございます。法制度をどうするか、教育課程をどういうふうに設けていくか、学生の支援をどうするかなど、非常に多岐にわたる論点もございますし、また、諸外国においては、教育プログラムをどのように明確化しているかといったことも必要ですので、今海外調査も実施しているところでございます。
 以上のような点に関しまして、それぞれの部会、ワーキングで議論しておりますが、実はこれらは質の問題、量の問題、また、機能別分化、大学の経営、非常に多岐にわたって関連しているものでございますので、これらを総体的に大学分科会としても検討の必要があると思っているところであります。
 以上です。

【安西分科会長】 
 それでは、15時前まで意見交換をさせていただければと思います。前もって申し上げておきますが、今日ご議論いただきまして、これまでのことも含め、もちろん部会、ワーキンググループ等で詳細な議論はしていただくわけでありますけれども、6月1日の大学分科会で、一応第一次報告といったようなまとめをさせていただければと考えております。
 その背景には、来年度の予算に向けて、特に骨太の方針が6月中に出されると思いますので、経済財政諮問会議、それから最近では安心社会実現会議が動いて、安心社会の国家ビジョンの策定が行われているところでありますし、また、教育再生懇談会も進んでいる状況の中で、特に大学、高等教育の件につきまして、6月1日の時点で、この大学分科会としての第一次報告をまとめておいたほうがいいのではないかということでございます。
 そういうことが背景にあっての今日のこれからの1時間でございます。もちろん、諮問は大きいですし、扱っている事柄も大変多岐にわたりますので、結論がということではないかもしれませんけれども、ぜひいろいろご意見を出し、また、意見交換をしていただければと思います。
 どなたでも結構でございますので、よろしくお願いします。やはり特に大学の問題ですと、質の保証ということ、質の向上ということが、世間から見ると問われている面があるかと思います。そのことも含めてご議論いただければと思います。

【樫谷委員】 
 まず2つあるのですが、資料2の10、11、12ページ、機能別分化の観点なんですが、10ページに平成17年度の中教審の機能別分化の答申、11ページのカーネギー教育振興財団による大学の分類。それから、12ページにカリフォルニア州の教育マスタープランというのがあります。これの関連というのですか、関連がないのかもわかりませんが、将来の機能別分化を検討するに当たっては、平成17年度の将来像答申をそのまま踏襲するということではないと思いますので、その辺についてもう少し詳しくご説明いただけたらというのが、まず1点であります。
 2点目は、22ページの設置基準と、あと認証評価、審査と評価との関係です。設置基準というのは22ページにも書いてあるように、最低基準であるとともに、今後の水準の向上を図るという2つの性格を持つと書いてあるのですが、設置基準、認可審査、認証評価というようにそれぞれの関連があると書いてあるんですが、向上を図るという意味ではPDCAサイクルで上がっていくわけです。資料を見ると、何となく認証評価というのは最低を守っているかどうかということをチェックするということになっているように思え、だんだん上がっていくということについてのイメージがよくつかめない。
 つまり、何が言いたいかというと、認証評価には、どの程度の人をかけて、あるいはコストもかけてやっているのか。今のレベルで本当に認証評価ができるのか。私も公認会計士ですので、認証評価はわかりませんが、会計監査をするときにある一定の人を投入して、そのためにはコストもかけないとなかなか会計監査もできないんです。私は、認証評価も多分同じではないかと思っておりまして、どれぐらいの人数なりコストなり時間をかけて評価をされているのか。それもお聞きしたい。それでないとPDCAサイクルにならないと思うんです。コストが安い、あるいは人も投入できないと設置基準をなめるような形しかできていないんじゃないかという印象を持ちましたので、その2点についてお聞きしたいと思います。

【榎本高等教育政策室長】 
 機能別分化に関しましては今後いろいろな議論ができればと思っております。参考として、アメリカは州ごとに制度がございますので、カリフォルニア州を掲載いたしましたけれども、高度な研究や大学院教育に比較的比重をおいたユニバーシティ・オブ・カリフォルニア、あるいは、修士レベルまでを比較的中心においたステート・ユニバーシティ、またはコミュニティ・カレッジといったことが比較的明確に、州内の法制度面も含めて整理されているところでございます。
 日本においては多様な経緯、また大学の多様性もございますので、どういったことを考えていけるかということも質の保証や規模の問題の中で、あわせて議論ができればと思っています。

【片山高等教育企画課長】 
 まず、認証評価のコストについてですが、認証評価を受けるためには大学側がお金を払うということになります。基本料金は大体200万円ぐらいで、それに学部などの数によって50万円くらいが加わっていくという形で、実際に審査してもらっています。基本的には、まず大学から自己点検表を出してもらって、それを書面審査するとともに、あと、実際に数名から10名くらいの人数で大学に行って、大学の先生に依嘱して審査してもらうという形をとっていると承知しています。
 ただ、現実に評価団体が幾つかありますので、大学設置審と同様に、どういう人に審査をお願いするかということが重要であるとともに、依頼する先生の確保が重要な問題になっております。

【樫谷委員】 
 追加で質問です。特に11ページ、12ページの関係ですが、カーネギー教育振興財団による大学の分類と、カリフォルニア州の教育マスタープランの関係を考えると、12ページのカリフォルニア州の1のUCは、カーネギー教育振興財団の分類では博士号授与機関の多角型に分類できるということですか。

【榎本高等教育政策室長】 
 カリフォルニア州の場合は、設置者である州としてこのように大学の分類をしているというものであります。カーネギー財団のほうは、多様な大学の実態をどのように分類できるかということの研究を過去何十年にわたってやっていく中で、2000年時点においてはこういった分類項目でアメリカ内の約4,000弱の大学を整理しているというものです。

【樫谷委員】 
 今の認証評価の話を聞いていますと、そんなに十分な認証評価ができているとは思えないので、もう一度認証評価についてしっかり議論する必要があるのではないかと思うんですが。

【荻上副分科会長】 
 認証評価に関しては、先ほどこの資料の中にもありましたけれども、大学の質の向上というのは、本来的には大学の自主的・自律的な取り組みに期待されているわけです。したがって、認証評価というのは、大学自身がPDCAサイクルを回すのを支援するというのが基本的な考えだと思います。認証評価で細かいことをすべて評価して、どの点はよろしい、どの点は問題があると言っても、天眼鏡をもって詳細にチェックして、それでどうのという趣旨の評価ではなくて、大学がみずからPDCAサイクルを回すことを支援するというのがこの評価の趣旨だと私は理解しております。私自身、認証評価にずっと関わってきておりますけれども、そういうつもりで大学の自主的・自律的な質改善をサポートするというつもりで携わっておりますが。

【樫谷委員】 
 それで十分だということでよろしいのですか。

【荻上副分科会長】 
 まだ始まったばかりですから、既に十分な成果が出ているかと言われると、まだそうとも言えないかもしれませんが、この四、五年で随分大学自身の、いわゆる自己評価力、みずからPDCAを回すことに関する力を多くの大学がつけてきていると私は受けとめております。

【安西分科会長】 
 認証評価の結果をその大学がちゃんと使って、フィードバックを自分で行って使うかどうかということがやはりポイントで、使っている大学はやはり良くなってきているのではないかとは思いますけれども。浦野委員、どうぞ。

【浦野委員】 
 もちろん、認証評価結果を自主的に使うことが入り口であることは大事なことですけれども、やはりそれだけでは社会の中で認証評価の持つ意味があまりないのではないかなと思います。そのことはちょっと後で触れたいと思いますが、産業界から見ていて、やはり今の大学の、七百五、六十という数、それから、必ずしも18歳というところがターゲットでないにしても、地域の生涯学習とかさまざまな需要があるにしても、やはり今後の需給のバランスというのは今までとはちょっと違うのではないかなと。
 今の議論全体が、大学がつぶれないように護送船団的なことが前提にあるのだったら、私は全くそれは違っていると思っていまして、今回の議論で退出すべき大学は退出して行かざるを得ないようなシステムに是非していただきたいと思うんです。
 そういう目で見たときに、やはり機能別分化というのは非常に大事なことだと思っております。昨日もキャリアの部会で大変印象に残る言葉がいろいろあったんですけれども、その中で今すべての大学が1つのバスケットの中にあってというような議論があったんですけれども、やはりこれは普通の目で見ているとおかしいなと。大学は1つの産業ととらえた場合にしても、その中にさまざまな機能別分化があるんだろうと思います。例えば、10ページで7つの機能別分化が挙がっていて、1の世界的研究・教育拠点はあるにしても、2の高度専門職業人養成と3の幅広い職業人養成というのは非常にわかりにくいんです。端的に言いますと、専門学校あるいは専修学校でやっているような職業教育が大学の名前で4年間行われているというのが結構いっぱいあったりするんですが、そのことの違いが私はよくわかりません。
 そういった目で見ていったときに、今後やはり社会から見て認証評価というのがきちんとわかるように。そしてそれを見て学生も大学を選べる、あるいは国も、あるいは地方自治体もそれを見て大学に貴重な財源が使えるというように、ぜひしていただきたいと思うんです。
 産業界の場合には、前回も申し上げましたけれども、さまざまな評価基準があって、いわばみずから求めなくても、勝手格付でいろいろな格付があるわけです。やはり企業というのはそれを見てさまざまな努力をしていくわけですから、今この入り口で認証評価のことが論じられているのはいいんですけれども、将来の姿としては、さまざまな評価基準があってしかるべしというふうに思います。
 そういう意味では、事前から事後チェックという言葉はいいんですけれども、事後チェックの内容如何では退出を迫る。例えば企業の場合だったら、上場企業退出基準がはっきりあるわけです。そのようなものをきちんとしたほうがいいだろうと思っております。
 そういう中で、ぜひ、私は今の認証評価を分野別にも広げていただきたいと思う。現状を前回お伺いしたところでは、大学全体がどうなっているかということでの評価のようですが、やはり社会から見たときには、分野別の評価にまできちんと下りてくることが大事ですし、ましてその認証評価の中身自体が、前回ご説明を受けた中では、700の大学が全部一緒の基準で見られる。これもやはり違うと思います。ここで言うような世界的研究・教育拠点の認証評価の中身と、例えば、地域の生涯学習機会の拠点なんて言っている大学と認証評価の基準が一緒でできるはずはないと思うんです。ぜひともそういったところも含めて、認証評価の多機能化をしていただいて、評価にお金をかけるのは当たり前というふうにしていただきたいです。
 今、公認会計士の先生からお話がありましたけれども、上場企業であれば、公認会計士の会社に最低でも5,000万、1億ぐらい払うのは普通でございますから、そういった意味も含めて、ぜひ各大学はこのことに予算をかけていただきたいと思います。

【木村委員】 
 少し誤解があるようですので申し上げさせていただきますが、決して同じ基準で認証評価をやっているわけではありません。私がおりました評価機関では、11の評価基準を持っておりまして、その評価基準に沿って、ここがポイントなんですが、各大学が自己評価書をつくります。
 ある1つの大学が、あるところにポイントを置いていれば、そこについて自己評価書を丁寧に書いてくることになります。評価の段階では、書かれていることが本当かどうかということを、エビデンスを出してもらってレビューアーが見ますから、全て同じ評価基準でやっているわけではありません。そこのところはご理解いただきたいと思います。
 自己評価書についてもチェックすべきだという議論もあるようですが、これをやりますと、今、浦野委員が言われた同じような大学をつくることにつながる恐れがあります。自己評価書というのは独自のものでなくてはいけません。それぞれの大学が自分のミッションをきちんと押さえて書くということが基本になっており、それに基づいて評価をしますので、決して同じ基準で評価しているわけではないということです。

【有信委員】 
 産業界サイドから言えば、今、浦野委員が言われたような直接的な希望は当然だと思いますし、そういう希望があるんです。ただ、よく気をつけなければいけないのは、認証評価の話と、さっき言われた勝手格付の話は実は違う話なんです。大学はそれぞれ目標、目的を持って、その目的を達成するための具体的なプログラムをつくってそれを実現しようとしている。その実現しようとしていることが確実に実現される形になっているかどうか、これをきちんと評価しましょうというのが認証評価の話で、結果が社会的に見てどう評価されるかというのは、また別の尺度ではかられなければいけないという2段構えになっている部分をきちんと分けて考えないと、認証評価は成り立たないと思うんです。
 それで、特に設置認可と認証評価の関係からすると、例えば、設置認可で認可されたものを認証評価で否定できるかという問題が必ず出てくるわけですけれども、これも実は考え方をきちんと整理しておかなければいけないと私は思っています。前提としては研究評価というのは実はレベルの評価も入りますので、研究評価の部分はとりあえず除外して、大学が目標としている人材を育成するという目標をそれぞれ掲げて、それに対して具体的な設置形態をつくって申請します。そのときに、設置認可というのは、その設置形態あるいはその教育環境、それからシステム、インフラストラクチャー等々がその目標を達成することができることに必要な条件を満たしているかどうか。つまりそのことによってその目標達成が期待できるかどうかです。それを評価するのが実は設置認可だろうと思っています。
 それで、認証評価というのは、その期待値に沿って認可された結果が有効に機能しているかどうか、これが認証評価の側でやることであって、つまりその期待値が達成されているかどうかというのをそこではかるということです。期待値を達成するために必要なプロセスがきちんと機能しているかどうか。これをまた別途はからなければいけないという3段構えになっていて、認証評価の部分ではプロセスと結果について、それらが自己完結的にPDCAサイクルが回って、実はその目標の質が常に向上するような形で、なかなか表現しにくいんですけれども、回るような形になっているかどうか。そういうことで入り口での管理と出口での管理とプロセスでの管理というふうにきちんと分けて考える。
 それから、大学の目標が社会に対して具体的にどういう形で機能しているかというのは別の尺度で、さっき委員が言われたように、会社だと世の中に勝手尺度が山ほどありますけれども、大学も勝手尺度が山ほどあるわけです。実はアメリカの大学は勝手にいろいろな尺度で評価をされていて、これは実はアメリカのアクレディテーションの話とは全く別の次元でやられているわけですから、日本でもまた勝手にやるような多様な評価があっていいと思うんです。日本はそこの評価をなぜか避けてきているために今の部分がごっちゃになっているわけで、勝手評価がさんざんされることによって大学の取捨選択が進み、社会あるいは世間が本当に求めているものが残っていくというプロセスを踏んでいくということが、多分本来やるべきことだろうと思っています。

【安西分科会長】 
 今の浦野委員が言われた質の向上を図らない大学は退場すべきだというのも非常に大事な問題であります。そのことについてどなたか。よろしいでしょうか。

【濱田委員】 
 こういう形で随分重要な課題をまとめてくださって、これからの議論をしていく上で私も大変役に立つと思っております。
 今までの議論と直接ではないのですが、ただ実績には関係のある話ということで、質の保証をはじめとして、大学としては個々に議論していただく形でいろいろ努力をしていくというのは当然のことだと思います。
 こういった議論の結果をどういう形で社会に出していくことになるのか。つまり、率直に言えば、これをやることで一体私たちが何を全体として求めることになるのか。そのあたりが今度こういうものを出すやり方、それからタイミングとあわせて、少し押さえていかなければいけないかなという気がするんです。これは会長がおっしゃったように、これをある程度6月のころにまとめてというのは、少し財政的な支援等も場合によってはにらんでということかと思うんですが、やはり一方ではこういう質保証の議論をきちんとしなければいけないということなのですが、その反面で、どうしてもやはり教育に対する公財政の投資がどういうふうになるんだと。そこはやはり両方とも見合いで出てくる議論だと思うんです。
 これは国際化、今やっているグローバル30の国際化の話1つとってもそうですし、ああいうものをやろうとすれば、やはりそれなりの投資は要る。それから、安心社会の議論のお話ありましたけれども、あれで高齢層に対する配慮で安心をというのは、私もそろそろ実感してくるところありますけれども、やはり大学としては若い人が安心できるように、そういう社会にぜひ持っていきたい。そういう気もします。
 ですから、ここで議論をしていることが、今申しましたように質保証の問題を含めて徹底的にやるべきだし、あるいは、情報公開だとかそういうものもきちんとやるべきだと思うんですが、それだけで大学がよくなるわけではないので、やはり全体的な担保の仕組みがどうなるのか、そういうこともあわせた取りまとめの方向が出てくればいいなと思っております。
 ぜひそういう視点も入れて今後も議論できればと思います。

【安西分科会長】 
 ありがとうございます。先ほど申しました6月1日のまとめというのは、直近のいろいろな背景があるからではありますけれども、それも越えて、やはりここの議論が社会で認識されていくように、特に質の向上と財政基盤の充実というのは車の両輪で。ところが、質の向上をしなければ財政充実はさせないよと片方は言い、片方は財政充実をしてくれれば質の向上はできるよと言っているように思うのであります。
 そこを越えるのがやはりこの大学分科会だと思いますので、具体的な議論を積み重ねて、それを社会に発信していくということはぜひさせていただければと思います。

【白井委員】 
 今の濱田先生のご意見、全くそうだと思う。前回も申し上げたので、同じことを言うのは面倒くさいんですけれども、企業の皆様方から判断されれば、しっかりした商品というか、それをきっちり提供できるところにお客は来るんだから、それを明快に、できるだけクリアに、透明度を上げてやればいいんだ。それはそのとおりだと思うけれども、教育はそのようになっていないんです。もともと商売として成り立たないような構造になっているんです。
 ですから国の助成もあるし、それでやれているわけです。いいじゃないか、助成なんかやめてしまえと、基本的に全部授業料でやればいいんだという考えはあります。それはそれでこの分科会はそういう結論だったというのだったら、極端だけれども、そういうことはないと思いますけれども、そういうやり方だってないとは言えないと思う。だけれども、どこの国だってそうじゃないです。公財政支出を相当な量をやって、要するに教育というのは、国であるのか、もっと超えているのかもしれないけれども、まさに国の財産なので、それをやらなければだめだからこそ、これだけのお金を使ってみんな取り組んでいるんだと思う。
 もちろんそれをいかに有効に使うかとか、それから、お客が来ないようなところはやはりちゃんとできていないんだから、それはやはり退場してほしいという考え方は、僕はそれである程度正しいと思うんです。思うけれども、そこが退場することはいいんだけれども、退場すればそれで大学というのは健全になったんだ、高等教育がうまくいくことになるんだというような、何となくそういう雰囲気を感じてしまう。要するに、今の需要にもう合っていないような規模だから、そういうことをできるだけ退場させるような基準であるとか、評価基準とか、そういうものを設けて、できるだけ明確にして、来ないところは来ないでちゃんと来ない、来るところは来ると明確に1、0は早くしてしまったほうがいいんだというような議論をやられるとすれば、私はやはり極めて由々しいと思います。
 確かに、大体50%ぐらい大学に来ているんです。その中で専門学校と同じようなことをやっているんじゃないかというご指摘もあったけれども、僕はそういう大学もあるかもしれないから、それを専門学校なら専門学校に位置づける。高等教育だっていろいろなものがあって僕はいいと思うから、一部分が専門学校的な位置づけになるということ自体は非常にいいことだと思うし、そういうことをここで議論すべきだ。
 まさに機能分化というところはそういうことをしっかり議論しようと言っているんだから、どういうタイプの教育がどういう人たちにとってどのぐらいほんとうに必要性があるのかということをしっかりここで議論して、それにどれだけのお金がかかるのかということをやはり打ち出すべきだと思う。もちろん国公立と私立という極めて根本的な問題があって、これは何とかしないと、やはり議論が最後に進まなくなるんです。機能分化というのは幾らでもできるんだけれども、そういう形式的な議論をやっても、既にあまり意味がなくなっているぐらい日本の高等教育はゆがめられていると思う。
 だから、そこのところの議論はある程度きっちりしていただいて、僕は研究と教育というのはある程度分けて考えないと無理があると思います。やはり研究をしっかりやって、大学院生を中心にする教育なんかをレベル高くやっていく大学、これはこれでそういう部分があっていい。だけれども、学部教育のところもやはり大事なんです。頭がいいとか悪いとかってそういう問題では全くない。そういう問題ではなくて、高等教育は大事なんですから、そこは国がどのように位置づけてやるかということをやはりここで議論してもらいたい。
 そうじゃないと、市場原理でやれば別に片づく問題と言われてしまうと、それでもいいかとなっちゃう。財務省は大いに結構というだけの議論になってしまっています。

【浦野委員】 
 済みません。まさに誤解のないようにお願いしたいんですが、私ども産業界、大学に期待するところはほんとうに大でございまして、人材供給というのももちろんそうですけれども、研究ということ。それから、昨日のキャリア部会でも議論が出たんですけれども、大学側から社会に対しての批判能力が、かつての学生と比べると、最近の学生はほとんど批判能力ないですし、そういう大学からの批判ということも含めて、産業界は本当に大学にものすごく期待しているし、大学がなかったら産業界は立ち行かないんです。
 そういう意味で、私どもは本当にここにかけるお金というのは少ないと思っています。経済同友会も少ないという見解を出しているはずですけれども、これは初等・中等教育から始まって全部そうなんです。やはり日本というのは、教育にかけるお金が少ないです。それだけに私どもはそういう国民の貴重な財産をここに投じていくわけですから、それなりに、みんなが納得できるような、やはり認証評価の中で見えるようにしていただければということでありまして、その中に、もし若干でも市場原理が使えるような場面があればいいなと。私は必ずしも市場原理が使えるとは思ってません。おっしゃるとおり市場原理が通らない部分もいっぱいあるわけですから。そこはいろいろご判断あると思いますが、ぜひ産業界としては大学に頑張ってもらいたいと思っているんだということだけご理解いただければと思います。

【有信委員】 
 前回私が市場原理みたいな言い方をしてしまったのは非常にまずかったと思っていますけれども、教育というのはまず第一に、国策という言い方も必ずしも正確ではないんですが、やはり国が責任を持ってやるべき部分があって、そこのところの国の責任をどういうとり方でとるかということがまず第一に重要です。
 そのために今の高等教育に対する、いわば基本的な国の資金援助が十分ではないという共通認識が既に前の中教審の大学分科会の中でも得られていますし、その上で、例えば、評価はさまざまあると言っても、別に企業だけが大学を評価しているわけではなくて、さまざまな局面での評価があるわけですから、そういうものを含めて市場原理というように考えていただければいいと思うんです。
 それで、特に社会の目から見ると、さっき分科会長が言われたように、みずから改善してよくなるという努力をしていないようなところに対しても公平に資金をやるかというと、そこの部分はやはり基本的に認証評価のところできちんと仕分けをしていかなければいけないというような切り口を、もう少し議論の中でクリアにしていけばいいのではないかと思っています。ちょっと補足です。

【黒田委員】 
 今の話を聞いていますと、要するに、日本の国の国民をどっちの方向へ誘導するのかということ。これは国家として大変重要な問題だと思うんです。そのことが大学分科会の根本にあるわけです。今、大学教育を改革しようとしているのはそういうとことにあるわけでして、何も大学の数を少なくするとか、もっと増やすとかという末端の議論ではなくして、日本の国の国民の方向性をどうするかということが一番重要な課題。
 そのために出てきたのが将来像答申の、一応大学は7つぐらい、これも1つの例です。もっとたくさんの分類があると思うんですが、これぐらいには分かれるのではないでしょうかということなんです。それで、地域によっても違いますし。日本の国を本当に支える高度な分野というのは特化してやっていいんじゃないかということです。今までは全てが平等でなくてはいけないという、そういう時代がずっと続いてきて、日本の国はみんな平等主義になったんですが、ここへ来て初めて、先端科学技術をやる大学院はそういうふうに持っていってくださいという1つの分類例がそうなっている。
 そうやってくると、職業教育とかキャリア教育も大学の中で行われているわけですから、そっちとの関連というのも、大学と専門学校との関係というのも今後出てくるわけです。それをどのように分類して方向性を出すかということが重要だと思います。
 それからもう1つ、努力しない大学については退場もやむを得ないということは、去年の12月に出した答申「学士課程教育の構築に向けて」の中に書かれているわけです。しっかりと改革をしてくださいと。これをやらなかったら退場されてもやむを得ないです、補助金も出ませんよということを既にあの中に書かれているわけです。だから、今さらこれをもう1回蒸し返すことはないと思うんです。
 今ここで重要なのは、そういう根本的な理念に立って、それでは国として、公の質保証というシステムをどのように構築するんですかということになってきているわけです。たまたま規制緩和で設置基準があれだけ簡素化されて、大学の体をなさないような大学が一気に増えたわけです。ですから、その辺のことをもう1回見直していきましょうよということなので、公の質保証というのに大学設置基準があり、それを審査するための設置認可審査があるわけです。そこまでが公の、入り口のところの保証システムになるわけです。それで保証されて、国としては、その後はアフターケアという格好で大学をずっと追っかけているわけです。追っかけていって7年目に認証評価という、これも国の認証した評価機関が評価するということになるわけですから、認証した評価機関が認証するシステムをどういう形でつくり上げていくかということなんです。今は既にできていて、設置基準の最低基準をクリアした上で、それぞれの評価団体がプラスした評価をしているわけです。
 ですから、評価団体は幾つもあるわけですけれども、それぞれの評価団体で評価の内容が違っているわけです。それはそれでいいと思うんです。ですから、最低基準をクリアしたプラスアルファのところまで評価しているという状態になっているんですが、その辺のことをどうこれからつくり上げていきましょうかというのが、私は質保証システム部会の最大の仕事だろうと思っているわけなんです。
 ですから、質保証のシステムをしっかりつくり上げることによって財政支援をやられるということにもなるわけです。財政支援がなかったら質保証を各大学はできっこないんです、ものすごくお金がかかってくるわけですから。そういうところもちゃんと考えながら、財政支援と大学の質保証というものをどう今後つくり上げていくんだというところを早く打ち出していかないと国の方向性も定まらないし、また、国家財政のあり方も決まってこないんだろうと思って先ほどから聞いておりました。

【小杉委員】 
 質と量の規模をどうするかということを中長期的に国のレベルで考えるんだったら、ここにある問題意識に書かれているのは、どうしても皆さんの議論が20代前半までの若者を教育する機関としての大学というところに拘泥しているような気がして、中長期的に考えるんだったらそこだけでは絶対にだめだということは皆さんよくご存じのとおりだと思うんです。
 ほかの国と比べれば圧倒的に、それより上の年代層に対しての教育サービスを全然提供していない国というのはこのままでいいのか、これは何としても変えなければならない。中長期的には絶対ここにメス入れなければいけないと思うんです。
 そういうことが、この中の言葉遣いの中にもすごく感じるんですが、地域の生涯学習機会と言われると、突然高齢者がリカレントで、高齢者のというイメージがべたっと張りつくんです。生涯学習部会ですか、そちらで議論をしているんですが、生涯学習のほうでは、消費としての教育ではなくて、むしろ結果をまた生産に結びつける、成果を社会還元できるような教育を生涯学習の中にちゃんと考えていかなければならないという議論をしているんですが、その中では、大学という話がどうしても抜け落ちちゃうんです。
 ほんとうの意味での、学習成果をもう一度社会に還元できるような教育としての生涯学習を大学がどう取り組んでいくのか。科目履修制度とかいろいろな制度が入ってきているんですが、これをもっと全面的に使いやすいものにして、国の政策としてこれからミッドキャリアの人たちに対して、より高度な知識、技能をきちんと提供できる大学にしていく、これは政策としてやはり柱を立てなければいけないんじゃないかと私は思うのですが。

【白井委員】 
 そういうように大学には既に非常に多種の目的があるんです。1つの大学がそんなもの全部になんか全く対応できない。そういう状況なので、具体的にやはりこれからこの議論、既に機能分化という例が出ているわけだけれども、これでいいかどうかは別として、これをやはりきちんと詰めて、それでそれぞれのアクレディテーションをどのようにするんだと。設置基準は1個かもしれません。法律に基づいてやっていくとすれば、設置基準というのはわりに単純なほうがいいような気もするし、アフターケアというところは今と同じじゃなくてもそれなりの整備をされるほうがいいと思うんだけれども、機能分化したそれぞれの学校タイプに対して、先ほどのお話じゃないけれども、やはり世の中のしっかりしたグループが責任を持って評価する。
 ですから、今の生涯学習なら生涯学習というのはどういう目的とやると言っているとすれば、それがほんとうにしっかりできる学校なのかどうかということはやはり第三者がちゃんと見なければいけないです。そういうことは専門集団でないとなかなかやりにくいんです。
 今現在認められている認証評価機関は一応全部受け入れられるようにやっていて、もちろんその中に各分野ごとの基準を非常に細かくつくっていますけれども、言われるとおり、そんなにものすごくお金かけて、時間かけてやっているわけではない。むしろ大学自身が一生懸命自分たちでどうだこうだということを、反省も含めて書いてきて、それが本当かどうかというようなことを現場でいろいろ調べるとか、そういうレベルで行っているんです。ある程度仕方がないのは、僕は現実にはあると思うんですが、アクレディテーションというのはやはり専門性は必要だと。護送船団ではなくて、お互いがきっちり上がっていくようなアクレディテーションシステムというのはやはり必要なんじゃないかなというような気がする。
 そうすると、そこをどのように組み立てるかが今回非常に大きな議論になっていいんじゃないかなと私は感じているんですけれども。

【金子委員】 
 今の議論を6月の初めまでに一定のまとめをするということはいろいろな社会的な情勢から必要だということだったんですが、今まで出てきた論点をそういう視点からもう1回考え直してみますと、高等教育は積極的に何をできて、そのために何が必要かという論点がやはり重要だと思うんです。
 昨年度は教育振興基本計画を出したとき、あるいはその前に中教審自体での議論でも、高等教育の位置づけとしては、量的な拡大は今まで大分進んできた。これから質的転換に移っていくんだと。今は質的な転換に積極的な取り組みをするための準備期間であるという位置づけをしたわけです。基本計画でもそういった観点から、学士課程教育については質的な向上、それから、大学院、社会人参加については量的な拡大をしていくんだと明確に言って、それを基礎に基本計画では、これだけの一応必要な額があるんだということを、基本計画自体には盛り込めませんでしたけれども、そういう意見を出しているわけです。
 そうした観点から見てみますと、どうも私はここに書いてあるものが、諮問自体の書き方にそぐうのだったのかもしれませんが、少しディフェンシブになっているのかなという感じもしまして、安西分科会長が保証と向上と何回も念を押して言っておられるのは、そういう意味だと私は思うので、どういうわけかそれがどうも保証のほうにどんどん移ってきてしまって、先ほど樫谷委員がおっしゃっていたこともそうだと思うんですが、かなり形式的な最低保証というのであれば、それは私はあまり意味がないといいますか、それも重要ですが、それだけではないのではないか。やはり内容に当たって改善するメカニズムをどうやってつくっていくかということが重要なわけでありますし、どうも質保証という言い方に形式的に入っているんですが、しかし、積極的にこうやるんだということには必ずしも、中身が入っていないわけです。
 そういう意味では、質保証自体にお金が必要なんだということは、やはり私はぜひ、何らかの観点で入れるべきで、例えば、学生1人当たりの教育経費は、やはり諸外国と比べて、OECDの公式統計自体でも我が国は非常に低いわけでありますから、そういったものもやはり一応入れるべきだと思いますし、そういったメカニズム自体、PDCAサイクル自体は大学に任せるだけではなくて、やはりそれを育てるための政策というものはやはり私は必要だと思います。インセンティブも必要だと思います。そういった観点が私はぜひ必要なのではないかと思います。
 もう1点は、大学院についてですが、大学院も、人口減少期における大学の予定規模のところに、やはり大学院のところ、特に社会人の参加のところがちょっと抜け落ちてしまっていて、この前はかなり議論されていたわけですけれども、やはりそれがちょっと、今の段階で入らないと、やはり積極的に高等教育をどうするのかという議論にはつながっていかない。その上で、確かにチェックシステムは当然必要でありましょう。おそらくご議論のとおりでありますけれども、そういう意味では、何回も繰り返されていますけれども、積極的に日本の将来にとって何をするのかという観点から言うと、ポジティブに何が必要なのかということを裏づける材料もやはり入れていく必要があるのではないかと思います。

【安西分科会長】 
 おっしゃるとおりで、私は質の向上というのと質の保証という言葉を使い分けておりまして、そのことをご指摘いただいたのは非常にありがたい。

【丸本委員】 
 今までの議論を聞いていて、もっともな議論ばかりだと思っております。質の保証あるいは質のレベルを上げていくために我々は努力しているわけですが、一応機能分化について日本では7つ出てきておりますが、カーネギー財団ではもっと多様な大学の分類があります。そのような質の違う大学がたくさん存在していることが非常に意味があるわけですが、私どもの大学でもその機能別の質を上げようとすると財政的な支援がきちんとないと、できません。文部科学省のいろいろな補助金だとか外部資金をとりながらそういうことに努力していくわけですが、やはり人と物と金がなければレベルアップができません。
 最低のことは何とかやるということでやっているわけですが、教育・研究のレベルを維持し、上げるためには、前回も申し上げましたけれども、やはり評価をきちんとやること。その評価に基づいて、次の改善行動へ反映されることが非常に重要だと思います。ヨーロッパの国と日本の質の保証に関する比較を見ますと、やはり他の国では責任を持って評価を実施し、その結果を大学の運営費だとか補助金にも反映させるといったようなことをやっているわけです。
 そうすると、先ほど浦野委員がおっしゃいましたように、淘汰という問題は何も規則で決めるようなことではなくて、質やレベルが下がった大学は学生が来なくなっていく。そして先生もそこには行かなくなる。そういうものが改善なければ、自然にだんだん淘汰されていくと思うんです。しかし、それを規則か何かできちんと決めるというのは非常に難しい感じがします。大学の質とレベルあるいは規模が全く違いますので、それぞれに応じて評価しなければいけない。それがきちんとできていれば、自然と方向性が出てくるのではないかと思っております。
 金子委員もおっしゃいましたけれども、日本の高等教育に対する財政的な支援が少ないということを考えますと、国の将来にとっては非常に大きな問題だと思います。日本は資源もほとんどありませんし、人材育成をしっかりやって世界と競争していくということになりますので、もし6月1日に向けて中間答申が出てくるとすれば、財政支援はしっかり書いていただきたいと思います。
 そして、国公私立が同じ方向に向かって、高等教育の全体を考える答申になってほしいと思います。

【安西分科会長】 
 ありがとうございます。今の丸本委員の件はこれまでもいろいろ議論はされてきているんですけれども、どうしても、このように改善すればどのぐらい効果が上がるということを言わないと、なかなか財政に直結してこないということが今の課題。ところが、教育というのはなかなかそういうタンジブルではないからということで、ぐるぐるぐるぐる延々と議論をやっているという状況なので。

【丸本委員】 
 そうですね。実は国大協でも、今までお金が足りない足りないと言ってきましたが、予算は全然増えません。先ほど木村委員もおっしゃいましたけれども、きちんとしたデータ、エビデンスを出して、こんなに困っているんだということを、政府に対して説得しようということで、濱田委員を中心に動いております。それは国立大学だけではなくて、高等教育全体としてもそういうデータを整理しながら協力して動かしていくということが必要ではないかと思います。

【白井委員】 
 学位プログラムということを書かれているんですが、正直言うと、これはあまりよくわからないんです。今だって学位プログラムなんです。だから、これはどういうことを今の現状と変えていこうとするのか。特にこれから単位の互換性とか海外とのいろいろな交換とかいうことを容易にするためには、クレジットという考え方をもう少し柔軟にして、クレジットの集まりとしての学位プログラムというのをどのようにつくるかというようなところを、今よりちょっと進んだ概念を入れないと、互換性とか学生の流動性というのが確保しにくくなる。
 それはまさに大学の質保証そのものにつながってくるんだけれども、そこの組み立てを明確にしなければいけないんじゃないでしょうか。

【安西分科会長】 
 ありがとうございます。学位プログラムというのはわかりにくいので、できるだけ議論の時間をとっていただくように、こっちから事務局に随分申し上げているところであります。

【川嶋委員】 
 今の白井委員のご発言にも関係するかもしれませんけれども、今回の議論の中で保証すべき質とは何かというと、やはり学生の学習というか、修了者のクオリティーだと思うんです。そのために教育課程がどうなっているかとか、教えている教員の業績はどうなのかという観点から認証評価とか設置基準、あるいは設置審査がなされていると思うんですけれども、今回まとめていただいた資料の中には、なかなかそういう側面は表に出てきていなくて、25ページの学生支援のところで多少履修支援の充実がもっと必要だということが書かれていますけれども、やはりもう少し高等教育の中で学生の視点とか、学生の学びという観点から今後あり方を考えていくというような、発想の転換といいますか見方の変換が必要ではないでしょうか。
 今の白井委員のお話ですと、単位というのは、そういう意味では学生の学習の成果を量的にあらわしたものですけれども、それだけではやはり国際的に互換性を保つためには情報が不足だということで、結局学位の裏づけとしての何を学んだかという、どういう能力や知識を身につけたかということでさまざまな国際的な取り組みが今行われていると思いますので、学習あるいは学生という観点からの議論がもう少し今後、質の保証にしろ、量的な問題にしろ必要ではないかと思います。

【今井委員】 
 先ほどの評価と、それから公財政の問題なんですが、もちろん評価をきちんとしてそれを反映させるエビデンスが必要だというのはおっしゃるとおりで、それを構築していくために努力しなければいけないんですが、現状として、例えば例を挙げますと、GP物、私どもの感じでは、こういうのが非常に教育には必要な効果を上げて、学生にもよい影響を及ぼしていると思うんですが、それに携わる教員は、一時的な業務なものですから、次から次へと実施していって、疲弊していくという現状がございます。そこのところもきちんと財政面から保障していただかないと、なかなか大変です。
 それから同時に、同じ教員が、やはり大学院のほうもやっていかなければいけない。こちらのほうも評価ということがありまして、同じ教員が大学院のほうでも非常に大変な状況になっていくというのが、今の我が国の現状ではないかと思いますので、そういった点を、少なくても財政的にきちんとしていただかなければ、いい評価につながらない。さっきからの議論でございますが。非常にそのように強く感じますので、今後そこは必ず盛り込んでいただきたいと考えております。

【今榮委員】 
 私は26ページにあるグローバル化の話に関しまして、少し的がどこにあるのかがわからないところがあるのでちょっと発言させていただきますが、ここで書かれているのは、グローバル化というのは国際化という意味で書かれておりまして、その例として欧州の高等教育圏を挙げてありますが、これはEUという組織がありますので、比較的うまくいっていると思うんですが、その次のところであるような、今日本で考えている、例えばアジア圏内でのというようなことを考えているのか、もっとグローバルを考えているのか、そのあたりがちょっとはっきりしないんですが。
 それから、もう1つの考え方としては、そういう組織を国内で確立する。今大学間での単位の流用とかそういうのが始まっていますので、そういうシステムももう少しバックアップして、そうしますと、質という意味でお互いに向上できるようなことがあるのではないかということで、グローバル化の意味を、国内の中で大学間をもう少し連携させて教員、学生の流動、それから、そういう単位も含めた研究に向けても、教育に向けても互換できるような体制をもう少しサポートしてもいいんじゃないかなと思います。

【榎本高等教育政策室長】 
 グローバル化に関しましては、諮問事項3つのうちの1つでございますが、まだ大学分科会としてまとまった時間をとって議論できておりません。それぞれのワーキングにおいて個別テーマに関して議論しているものでございますので、いずれワーキングの議論も整理しながら分科会全体での議論も必要であると思っております。

【江上委員】 
 先ほど分科会長が、かなり議論が堂々巡りしているという表現をされて、確かにそうだなと私も感じておるんですけれども、今までは自分が関わった経験、大学法人分科会での審査とか、今までの自分の経験から申し上げますと、いろいろな大学が新設学部の申請とかをして、その後評価、調査しますけれども、中には、いわゆる大学の新しいチャレンジする経営計画、ゴールの設定がちょっとふさわしいのかどうかというような、疑問に思うケースも幾つもありました。
 つまり、何が言いたいかというと、各大学は非常に漠然としたマーケットを見きわめて、あるいは持っているリソースから考えたりというようなことで、設定しているゴールが果たして妥当なのかどうか。そのゴールの妥当性を評価せずに、教育のプロセスとか質を評価しても、それはちょっとどうなのかなということがあります。ですから、1つやはり大学自身の経営計画のつくり方というものをもう少しブラッシュアップしていく必要があるのではないかなと思います。
 もちろん、全国ブランドの規模の大きい大学は、やはり競争優位性を持っているわけですから、非常に市場でのリーダビリティがありますので、かなり精緻なマーケティングをやっていろいろなことを展開しているわけですけれども、地方の私立大学の例を見ていると必ずしもそのようにできていないという事例をたくさん感じております。
 それからもう1つは、今まで国力を高めるために教育が必要だと。そのために今公財政支出が必要だと。それは皆さんの共通の理解を得ているわけですけれども、では、どうその国力を高めるための人材教育を展開してくのかという。やはり文科省がさらに積極的に踏み出していただいて、例えばほかの国なんかですと、女性の雇用政策なんかで言えば、やはり積極的なポジティブ・アクションとか、そういう政策をつくってきたわけです。
 ですから、日本がこれから高等教育をどこに投入していくのかというと、単なる世界的な研究だけではなくて、やはり人材の底上げということで、中高年の再教育もあるでしょうし、それから、女性の再教育もあるでしょうし、いろいろな観点のターゲットというのはやはり明確になってくると思うんです。そういったものをある程度国としてポジティブ・アクション政策のような形で、それは入試でポジティブ・アクションをしろということではなくて、各いろいろな大学が、やはり我が大学はこれから10年かけて学生比率をこういう構成に持っていくというようなゴールをプレゼンテーションして、そこにやはり補助金をつけるというような、かなりインセンティブで誘導していくような人材底上げ政策の高等教育プランみたいなものがぜひあるといいかなと思いました。

【安西分科会長】 
 私はあまり私見を挟んではいけないとは思いますけれども、設置審等について何とかとありますが、どうしてもセマンティックなことよりもシンタクティックな、形がとれていれば一応通すということが続いてきたように思うんです。経営計画について主観的に、こうしたほうがいいんじゃないかということはなかなか言えないで来たということはあるかと思うんです。

【佐藤(東)委員】 
 先ほどからのご議論の中で、認証評価と設置基準、要するに、認証を受けるために評価団体は設置基準をベースにして評価基準をつくっていくわけですけれども、先ほどの川嶋委員のご発言の中にも有りましたが、設置基準の中には学生支援についてほとんど盛り込まれていないんです。そうすると、現実に、設置認可審査から見ると、学生の学習環境整備の面から見ると大学としての体をなしていないようなものが非常に多く申請されていると思っています。例えば、専門学校が四年制大学にする。だけれども、キャンパスとしては2つの町4カ所に分かれてばらばらになっていて、校地とグランドもないような状態でも申請が可能となっている。大学生活というのが一体何なのかというようなことについて、学生支援の機能についても設置基準の中にある程度盛り込むということが必要なのではないかなと思っています。

【安西分科会長】 
 そこは大事な視点だと思います。

【中西委員】 
 質保証ということですが、そもそも日本の大学の質は世界的に見て劣っているのか、そうでないのか、どのように判断すればよいのかというデータを私はあまり知らないので、もしそういうものがあればもう少し議論しやすいと思います。
 また、日本でもいろいろな大学が、何種類かに分類されるとしましたら、そもそもシミュレーションをして、どのくらいの大学が種類ごとに幾つぐらい必要かという予測をたてていただければと思います。ただ、この予測は、それをもとに議論するためのデータではなく、現状把握のためのツールとして使用させていただきたいと思います。
 それからもう1つは、量的規模の考え方のところです。35ページの最初のところは、先ほど丸本委員がおっしゃいましたように、大学間でいろいろな規模をこういうふうにしていきなさいということですが、既に大学間の話し合いで合併や一部統合などが始まっているところも多々あります。そこで、この動きを加速した方が良いのかどうかということが大きな論点かと思います。
 それから、違和感といいますか、何をどう考えるべきなのかわからなくなったところが、36ページのお金の面です。例えば大学教育と給与との関係についてですが、それを教育面から議論する必要がはたしてあるのかないのかは判断に迷うところで、判りにくい点でした。あと、所得格差があること。それも中央と地方の格差。これは社会のシステム全体からもたらされる結果としての問題であって、教育とどのように結びつくのかということは、あまり理解できませんでした。このようなお金の問題といいますか、給与の問題、それから地方格差。最初から地方と都市には格差があるのだと決めつけてもいけないのだと思います。

【安西分科会長】 
 ありがとうございます。質保証のデータ等については、例えば木村委員がベテランというかプロフェッショナルでいらっしゃるし、金子先生はじめよくご存じの方もおられますので、場合によっては事務局から個別にご説明いただければと思います。ほかの点についてもいろいろ、特に今の世の中の経済状況の関係で供給負担の問題というのは随分大きな課題にはなっていると思いますので。

【佐々木委員】 
 6月1日に第一次報告ということなので、ちょっと申し上げたいのは、結局それは骨太の方針とか、いわゆる財政上の措置にかかわることもあるので6月1日にとおっしゃるわけだけれども、財政的な側面ということを考えたときに、例えば、高等教育、初等・中等教育、あるいは文化、スポーツにどのくらい金を割くのか、そういう枠の中で高等教育に金を回すべきだということではないはずなので、それはやはり国の財源を高等教育を含む公教育にどれだけ投資をさせるのか。つまり、そこをどうやって拡充するのかというところが基本的には問題にならなければいけないと思うんです。
 そう考えたときに、大学関係者だけで論じていたのでは、おそらくなかなか社会の納得が得られない。そういったところから大学関係者だけではなく、各界のさまざまな方々に委員としてご参加いただき、そして議論がなされているとなると、やはり高等教育あるいは大学教育が我が国の発展にとって、あるいは世界の進展のためにどういう寄与をするのかということについて、もう少し総合的に論ずる必要があるのではないか。国や地方の限られた財源の中で、他の分野のお金を削ってでも高等教育の分野を増やすことが必要だと社会が納得できることが不可欠であり、そのためには、高等教育や大学の存在意識と社会的責任についてもっと多角的・総合的に議論し、説得力のあるペーパーを作ることが大切です。これがあってはじめて「予算を」と言うのが本来のやり方であり、当面の措置として6月1日の件はやむを得ないものと思いますが、この基本的なことがらについて是非留意していただきたいと思います。

【安西分科会長】 
 半ば無意識なんですけれども、できるだけ産業界の方、あるいは労働関係、あるいは公認会計士さんもいらっしゃいますけれども、大学関係以外の方がストレートにご意見いただけるような場に、大学分科会を運営していって、開いた大学のあり方をつくっていかないといけないのではないかと考えてまいりました。
 公財政の問題もそういうことは当然だと思っております。

【玉井文部科学審議官】 
 公財政支出については、我が文部科学省の立場としては、当然少ないと考えています。特にその中でも高等教育に対する公財政支出が非常に小さいというのが我が省のスタンスでございまして、したがって、これはそういう方向で頑張っている。ただし、残念ながら結果が伴っていないというのが正直なところでございます。
 したがって、それをさらに結果まで伴わせるためには、やはり高等教育の全体像をもう一度きちんと描いて、そして、初等・中等教育も大切でございます。それはそれでまた初・中分科会をはじめとして、最後は中教審全体でまたご議論いただくわけでございますので、それをしっかりとした理念と、それを支えるシステム、そして、それを証明するできるだけ数的な根拠というものを示しながらやっていきたいというのが基本的なスタンスであります。

【白井委員】 
 問題意識として、一つだけ発言していいですか。要するに、今私は私学だから特にそう思うんだけれども、教育はまさにパブリック、高等教育はまさにパブリックなんだと一生懸命口では言っているんだけれども、ほんとうにそれだけの透明度が、外の人から見たときに保たれているかとか、あるいは、大体パブリックだと思われているのか。思われていないんじゃないか。だから公財政支出なんか来ないんだ、現実に。
 だから、全く僕はパブリックじゃないんだと思うんです。国立大学はまだいいかもしれないけれども、それだって適当なプライベートとほとんど同じようなものですから、運営はそんなに違わないんです。
 ですから、文科省が国全体のすべての大学を管轄するのが本当にいいのかどうか。こういうことを言うと非常にひんしゅくを買うかもしれないけれども、地域に本当に必要な大学というのは、地域の人が入って運営するとか、ほんとうに公的なものにしたほうがいいんじゃないかと思う。そうでないと、いつまでも透明度も上がらないし、要するに勝手な大学が勝手なことをやっているというような認識しかされないと、最近非常に思うんです。
 もちろん基準によって、日本全体がある程度統一化される必要は確かにあると思うんだけれども、本当に公的なものとしてやろうとするんだったら、運営形態自身がちょっと問題あるのかなという気がします。

【安西分科会長】 
 ありがとうございました。いろいろ議論は尽きないと思いますけれども、最後に副分科会長のお二人の先生に言葉をいただこうと思います。

【郷副分科会長】 
 私はぐるぐる回りした議論というのが気になっておりまして、6月1日に向けて多少なりともまとめをするのであれば、さしあたって2つのことをご提案させていただきたいと思います。
 25ページに学生支援の機能の検討の重要性というのがございましたし、先ほど川嶋委員からもご発言がありましたけれども、やはり学生の視点から見た大学というのが、国民の理解を得るためには非常に大事じゃないかと思います。もちろん教育の中身、質の向上が大事ですけれども、勉学のための環境、あるいは就職相談とか、いろいろな今の学生を取り巻く状況を改善するために、結構インフラ的な、目に見えないところが多いと思いますけれども、この辺の財政的な措置というのが、今まであまりきちんとエスティメートされていなかったと思うんですけれども、これはこれから社会の理解を得るためには、大変大事な視点ではないかと思います。
 私の大学の経験をお話しいたしますと、図書館というのが随分長いこと軽視されておりました。しかし、やはり海外の大学に行ってみますと、電子ジャーナル化した今でも図書館というのは、やはり伝統とか、いろいろな人の出会い、それから学生がとにかく夜も勉強する、そういう場として大変強い機能を持っている。ですから、今の大学ですら図書館を拡充したりしているわけです。そういうのを見てまいりまして、ささやかですけれども、学長裁量で図書館の充実をいたしました。建物は大きくできませんけれども、中の改装などをやりまして、私は前任のお茶の水女子大学、大学院合わせて3,000名の学生ですが、毎日1,000人の学生が1日出入りするという状況を実現いたしました。どうしてそういうことができたかというのは、ちょっと今日は時間がないのですけれども、新しい機能を持つ図書館はどうしてもそこに行かないと大学の生活ができないというような機能でございます。
 それからもう1つは、人口減少期における大学の量的規模及び大学経営についてとの中で、42ページに大学の経営に関する情報公開の促進というのがございますが、これは既に昨年12月に出しました学士教育の答申の中でも書いてありますように、情報公開の促進というところは、やはり一歩踏み出してもいいのではないか。これは今回何かの形ではっきり明記していただく、これをルール化していただくということは少なくともやれるんではないかと思っています。

【荻上副分科会長】 
 先ほど来のご議論の中で、質保証に関しては、各大学がみずから評価し、みずから改善に取り組むことができなければいけないということについてはもうほぼ合意が得られているのではないかと思いますので、そういったことは明確に打ち出していただきたいと思いますが、それから、そうはいっても、では各大学がどうやってそれに取り組むか。まだそういったことに全く取り組めていない大学も少なからずあると思いますので、何らかのスタンダードのようなものを提示する必要があるのではないか。ヨーロッパなどではそういったようなことが実際に行われていると思いますけれども、そういったようなものを参考にしながら何か各大学にみずから評価できるようなスタンダードみたいなものを提示するといったことも必要かなと思います。その場合、やりなさいと言っただけではだめで、ちゃんとできているところとできていないところに対してきちんとした差別化をするということは絶対に必要だと思います。
 それと、量に関して、前回も申し上げたと思いますけれども、18歳ということにこだわることは改めていかなければ、我が国の大学のあり方が変わっていかないと思います。確かに総人口が減ってはいますけれども、それでもやはり18歳だけにこだわるのではなくて、だれでも正規の大学生になり得る。高校から入ってきた者だけが正規学生でそのほかは何か例外的な学生という扱いをぜひ改めていくことを検討すべきではないかと考えます。

【安西分科会長】 
 ありがとうございました。やはり質がきちんと担保された高等教育で学べるというのは国民全体の権利だという、やはりそういう方向へぜひ行ければと思います。
 今日は大変貴重なご意見をいただきまして、個別の議論につきましては、各部会、ワーキンググループで深めていただければと思いますけれども、考え方、あるいは今後検討すべき課題等々、かなりいただいたと思いますので、前回までの分も含めまして、次回については、さっき申し上げましたように第一次報告としてまとめをここで議論させていただいて、それを了承の方向へ持っていければと思っております。
 そのためには、事務局とご相談して、報告の作成の作業に入らせていただき、ただ一方では、もちろん個別にそれぞれの委員の方々のご意見をさらに伺うことは当然必要でございますので、それを事務局でやっていただきまして、今日なかなか言えなかったということがおありになるかと思いますので、ぜひ忌憚のないご意見を事務局に寄せていただければと思います。
 それで次回の大学分科会をやらせていただければと思っております。よろしゅうございましょうか。
 それでは最後に、今後の日程につきまして事務局からお願いします。

【榎本高等教育政策室長】 
 資料3でございます。大学分科会、次回は6月1日、夕方5時からを予定しております。また、ほかの部会に関しましても参考として現在の日程案を書いておりますので、それぞれご所属の先生方、何とぞよろしくお願い申し上げます。

【安西分科会長】 
 それは特に皆様よろしゅうございますか。これで分科会は終わらせていただきます。お忙しいところありがとうございました。 

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高等教育局高等教育企画課高等教育政策室