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資料2
中央教育審議会大学分科会
大学の教員組織の在り方に
関する検討委員会(第2回)
H15.12.3



第一回検討委員会における意見の概要(案)


1.「職」の在り方について

   独創的な研究をするのは若い年齢の者が多く、若手研究者がより独立して研究を行うことができるような環境づくりが重要である。その一つとして、まず、学校教育法上、「〜を助ける」となっている助手や助教授の職名や職務内容について見直すべき。また、テニュア制の導入についても検討すべき。

   教員組織の在り方を検討するに当たっては、人事の流動性、特に、研究教育の高度に進歩した諸外国との人事の流動性を確保することが重要であり、国際的な通用性に留意する必要がある。
   例えば、国際的な通用性からいうと、助手をアシスタントと直訳して推薦状等を書いても通用せず、アシスタント・プロフェッサーとしている実態がある。

   現行制度上、助手が授業科目を担当することは想定されていないが、助手が授業科目を担当している実態があり、現行制度が現場の足かせとなっている。

   私立大学では、社会科学系、人文系、短期大学では、もうほとんど助手は存在せず、採用もほとんどない実態にある。若手研究者の活用のためには、30代、20代の人の教育プログラム開発が勝負であり、そのための柔軟なシステムを新しく作っていかないと生き残れない。

   若手研究者の育成の観点からすれば、助手をなくしてポスドクに替えることも可能かもしれないが、学生への教育という観点からは、単純に助手をなくしてポスドクに替えることは難しい。そこの仕分けをきちんとして議論することが必要。

   若手の研究者を経済的に支援するためには、大学院博士後期課程の学生が助手を兼ねることができることも考えられるのではないか。

   高等教育のコンセプトが変わってきており、教員資格を含めて、教授、助教授、講師、助手の各職のコンセプトを見直すべき。

   助手問題が解決されなかった原因は、従来、若手研究者の養成が、助手ルートと、大学院ルートのダブル・トラックであったことにあるのではないか。近時、大学院も充実してきており、このような若手研究者の養成システムを見直すべき。

   帝国大学の法学部では、学部卒業後、直ぐに助手になるという助手の位置付けをしており、それが他にも影響してきたのかもしれない。

   高等専門学校においても、若手教官の主力は助手であり、そういう人の活用が高専の活性化、技術者教育の活性化において大事である。


2.「講座制」について

   設置者、学問分野で実態は全く異なり、私立大学では講座ということはまず考えにくい。それを、講座制か学科目制かということしかないので、講座制に当てはめており、実態からかけ離れている。

   講座制の一番悪い例が講座医局制である。人事の権限まで握っているうえ、助手が非常に多く教授が少ないためヒエラルキーがはっきりしている。講座の独自性、縦割りが強すぎて新しい時代に対応できていない。

   人文系では何十年もかかってずっと積み上げていく分野があり、(講座制にも)テーマの継承という点で意味があるところもあるのかもしれない。

   人文系のみならず、生物の分類等においても、一つの制度的な継承性がないと、担当者がいなくなってしまうことがあり得るが、そのようなことについては、もっと別な見地からどのように担保していくかということを議論した方がいい。

   講座制の問題の根底には、学問体系と講座制が連動していることがある。大学教員は大学への帰属意識より専門領域への帰属意識の方が強く、それがカリキュラム改革等を行う場合に全面に出てしまう。



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