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資料  4
中央教育審議会大学分科会
留学生部会(第13回)  H15.11.12

「新たな留学生政策の展開について」(中間報告)
に対する意見の概要について


【留学生関係団体等からの意見】

(教育関係団体)
   ● 国立大学協会
   ● 公立大学協会
   ○ 日本私立大学団体連合会(5件)
   ○ 国立短期大学協会(14件)
   ○ 全国公立短期大学協会(6件)
   ○ 日本私立短期大学協会(7件)
   ● 国立高等専門学校協会
   ● 全国公立高等専門学校協会
   ● 全国私立高等専門学校協会
   ○ 全国専修学校各種学校総連合会(2件)

(関係法人等)
   ● 財団法人  内外学生センター
   ○ 財団法人  日本国際教育協会(1件)
   ● 財団法人  国際学友会
   ● 財団法人  関西国際学友会
   ○ 財団法人  日本語教育振興協会(3件)
   ● 財団法人  留学生支援企業協力推進協会
   ○ 財団法人  ワイ・エフ・ユー日本国際交流財団(4件)
   ○ 財団法人  エイ・エフ・エス日本協会(3件)
合計   45件

○の印のついた団体から意見ありとの回答
●の印のついた団体は意見なしとの回答

【留学生関係団体等以外からの意見】

個人   24件
その他の団体等       49件
合計   73件



【留学生関係団体等からの意見】
はじめに
   「留学生受入れ10万人計画」を目標として、その目標達成のために数の確保に大きな力が注がれているが、質の確保まではできていない現状である。やはり、質面の確保も肝要であることを強くうながすべきである。(国立短期大学協会)

   我が国への留学生の9割は私費留学生である。物価の高い我が国の生活では、生活確保の経済的負担が重くのしかかり、アルバイトをしなくてはならないのが現状である。従って、国からの支援が非常に重要である。
   一方、我が国の短期大学生の中にも海外の大学へ留学を希望する者がいるため、短期大学生を対象とする留学の支援を図ることが必要。(日本私立短期大学協会)
1   留学生交流の意義(理念)
(諸外国との相互理解の増進と人的ネットワークの形成)
   専門学校に学ぶ留学生数は17,173人であり、留学生政策に果たす枠割りは大きい。
   「専門学校に対する国からの経常費補助がないこと。
   授業料減免学校法人援助処置が専門学校には適用されないこと。
   専門学校における国費留学生の割合が大学に比べて低いこと。
   文部科学省の補助を受けて(財)日本国際教育協会が実施する留学希望者への情報提供事業に専門学校の個別参加が認められていないこと。
   専門学校に留学する場合にのみ一定の日本語能力が入国在留審査の際に要件としていること。」等の専門学校と大学の間に格差がある。
   留学生部会の専門委員に、専門学校の関係者を含め議論がなされるべき。
   大学等の定義が不明瞭であり、明示すべきである。
   これまで進められてきた留学生政策のあり方を教育機関別に整理し、改善すべき課題等を明らかにした上で、今後の施策の方向性と具体的な施策の展開についてとりまとめる必要がある。
   専門学校が留学生政策に果たしてきた役割を評価・検証し、大学との制度的格差を是正する必要性を明記すべき。(全国専修学校各種学校総連合会)
3   新たな留学生政策の基本的方向
(日本人の海外留学への支援)
   海外留学を望む学生の具体的ニーズは奨学金が第一とは考えられない。研究テーマなのか、言葉の問題か、留学生活のことか、卒業後の就職か。(国立短期大学協会)
(留学生の質の確保と受入れ体制の充実)
   留学生の学力差に対応するために補習をするなど受入れ側にもカリキュラムの綿密な整備等による体制を整える必要がある。また、入学時に留学生対象の試験を重視し、面接も含めて学力・人物評価をすべきである。(国立短期大学協会)
4   具体的な施策の展開
(1) 大学等における教育研究の高度化と国際競争力の強化
(国際化に対応した教育,職員の採用と外国語運用能力の向上)
   留学生の受入れの多い国では、どの大学にもトレーニングを受けた事務職員及び国際交流に関する教育・研究を専門とする留学生専門職員を置いており、学業面から生活面までの指導をしている。日本においてこれらの教職員の育成を図るためには財政的支援が必要となる。(国立短期大学協会)

   短期大学の教員が対象になる海外研修制度もあるが、補助期間や対象人数や補助額などは充分とはいえない。国際的な感覚を持った教員の育成という観点から、短期大学教員を対象とした海外研修制度の一層の充実を望む。(日本私立短期大学協会)
(留学生の在籍管理の徹底)
   身元・出所及び目的のはっきりした留学生の受入れを重視し、修学以外の目的(就労など)でないことを確認してから受入れるべきである。(国立短期大学協会)
(2) 多様な教育,研究に対するニーズに応じた海外留学の支援
(海外留学の支援)
   貸与制奨学金の活用のみでなく、派遣留学の重要性に鑑み、十分に対応できる、総合的かつ政策的な奨励支援策を講じるべきである。(日本私立大学団体連合会)

   「留学は季節別短期留学(1〜2ヶ月)、中期留学(6ヶ月)、長期留学(2年以上)など3種類に大別されるが、短期留学はほとんど私費になっている。これらの留学に対して、大学間相互協定(相互単位認定など)により授業料相互免除を進め、それに対し奨学金等の支援行うこと。」という趣旨の文章を挿入する。(全国公立短期大学協会)
(短期留学の推進)
   「短期留学制度の推進にあたっては、さらに底辺を広げるためにも短期留学を短期大学にも適用することが望ましい。」という趣旨の文章を挿入する。(全国公立短期大学協会)

   短期留学推進制度の対象から短期大学生は対象外となっている。日本人短期大学生と諸外国人学生の一層の交流を図る観点から、短期大学生も同制度の対象となることが必要。
   また、短期大学専攻科に在籍する学生については、3ヶ月、半年、1年の留学制度を併せて考える必要がある。(日本私立短期大学協会)
(外国政府との協力体制の強化)
   外国政府との協力体制の強化とは、学生交流に大学等はどの様に関与できるのか、具体的情報は受入れ機関にも情報提供されているのか。(国立短期大学協会)
(3) 渡日前から帰国後に至る体系的な留学生受入れ支援体制の充実
(海外での情報提供,相談機能の充実)
   「日本人留学生の支援に関連して、国公私立大学が個別に大学間協定を結んでいるが全体が見えない。日本学生支援機構が中心となって、国別・大学別の大学間協定等のネットワークを構築することは有意義である。」という趣旨の文章を挿入する。(全国公立短期大学協会)

   日本学生支援機構における海外活動の一環として「海外拠点の充実も視野に入れつつ……」とあるが、留学生の受入れの多い国には、複数の常駐事務所を設けて、User-friendlyな機関として積極的な留学情報の収集・提供・発信が行なわれることを期待する。(日本私立短期大学協会)

   日本に留学する場合、多くは日本語教育機関で日本語を習得した上で大学等に進学することを考えると、日本国際教育協会が実施している留学フェアは日本語教育機関も参加させ実施することについて検討していただきたい。(日本語教育振興協会)
(日本語教育機関等に対する支援)
   日本語教育機関の多くは学校教育法上の学校ではない。日本語教育機関の果たしている役割を考えると、学校教育法上の位置づけについて検討していただきたい。(日本語教育振興協会)

   日本語教育機関の多くは、授業料に消費税が課せられている。学生の学費負担の軽減を図るため、各種学校と同様、非課税扱いとすることについて検討していただきたい。(日本語教育振興協会)
(渡日前入学許可の推進など入学者選抜の改善)
   「特に現在日本での日本語教育機関の就学者や留学生の不法就労等による社会問題を考慮すると、大学としては現在海外で実施されている「日本留学試験」をより有効に活用して、できるだけ渡日前入学許可の推進を図るため、外国政府や各種海外事務所などの協力を得ながら、海外での日本語教育機関の設置を更に推進する必要があると考えます。ただし、現在海外某地に設置されている2,3の日本語教育機関のような営利を目的とするものではなく公益法人的な日本語教育機関であることを切に希望します。」という趣旨の文章を挿入する。(全国公立短期大学協会)

   (海外における日本語教育等の留学予備教育の支援)
    留学生の出身国のなかには、現地において、日本の大学に入学できるほどの日本語教育等の留学予備教育を行える機関が非常に少ないか、皆無である地域も多く、これが日本留学試験受験数増にならない大きな原因となっている。1現地の日本語教員を日本の大学等に来てもらい、留学予備教育が行えるような研修の実施2日本国内の準備教育課程認定の機関に海外分校を設置してもらうことを促すような支援の検討が必要。
   (渡日前入学許可入学者のための就学金等の支援の拡大)
   渡日前入学許可を推進するために、日本留学試験の成績優秀者を対象に実施している私費外国人留学生学習奨励費給付予約制度を発展的に拡大して、渡航旅費、授業料、生活費等をカバーできるような国ごとに支給枠のあるフルサポートの奨学金の創設の検討。
   (日本留学試験を用いた国費留学生募集)
   渡日前入学許可を推進する観点から、日本留学試験実施国から限定的にでも、国費留学生(学部)選考において日本留学試験を利用する事を検討すべきである。また、大学院レベルの国費留学生の選考においても、留学生の質の確保の観点から、日本留学試験が利用されることも検討されてみては。(日本国際教育協会)
(国費外国人留学生制度の在り方と今後の方向)
   3つの採用方法の比率を、どの程度にすべきと考えているのか。地方大学でも、交流協定は数多く存在しているが、具体的な交換留学等の実績はあがっているのか。あるいは、これまで具体的に評価してきたのか。(国立短期大学協会)

   国費留学生制度の見直しにあたっては、留学生の希望を重視して適正な配置に配慮すべきであり、そのための財源措置を講じるべきである。(日本私立大学団体連合会)
(私費留学生支援制度の在り方と今後の方向)
   授業料減免学校法人への支援事業の後退は私立大学にとっては受入留学生数に直接影響してくる重要な問題である。現在留学中の学生に対する支援の充実こそが最優先事項であるとの観点から、また、採用率が当初の100%から40%程度にまで落ち込んでいる事実に鑑み、私費留学生に対する手厚い援助策を早急に講じるべきである。(日本私立大学団体連合会)

   日本に留学している外国人学生にとっての大きな課題は、授業料減免・奨学金受給・宿舎の確保などである。私費留学生への対応は、国家戦略の一環としての長期的な留学生政策の策定に基づいた、期限を明確にした着実な実行が必要である。(日本私立大学団体連合会)

   9割を占めるとされる私費留学生の支援は具体的にどの様に行われるのか。その予算や、人的資源は早急に確保できるのか。(国立短期大学協会)

   私費留学生に対する支援制度の充実は重要であるが、経済的援助を与える留学生に対しては、厳しい審査が必要である。安易に支援することにより、留学生の質の低下をきたし、国際交流においても信頼関係を損なう結果をまねく可能性もある。(国立短期大学協会)

   学習奨励費給付制度は、予算の関係で受給者の数が限られているため、短期大学に在籍する私費外国人留学生の受給者は少ない人数になっている。私費外国人留学生に対する経済的支援を図る観点から、学習奨励費給付制度の拡充が必要である。(日本私立短期大学協会)

   留学生に対する授業料減免措置を実施した学校法人については、授業料減免学校留学生1人当たり授業料の3割を限度に補助金が交付されることになっているが、実際には減免措置を講じた留学生総数の6割程度しか補助金は交付されていない。補助総額を増額して、減免措置を講じた全ての留学生の授業料に対して補助金が交付されることを要望する。(日本私立短期大学協会)
(留学生宿舎の整備の在り方と今後の方向)
   私費留学生に対する支援制度の充実は重要であるが、経済的援助を与える留学生に対しては、厳しい審査が必要である。安易に支援することにより、留学生の質の低下をきたし、国際交流においても信頼関係を損なう結果をまねく可能性もある。(国立短期大学協会)

   「民間宿舎の入居については、ホストファミリーへの各種支援体制を強化する必要がある。」という趣旨の文章を挿入する。(全国公立短期大学協会)
(セイフティー・ネットの充実)
   留学生対象の医療保険制度と経済的支援は最優先に考えるべきである。(国立短期大学協会)
(留学生に対する帰国後の支援の充実)
   追跡調査を実施し、再留学生制度を設けることも国際交流には欠かせないため、留学生動向のデータの蓄積と解析は継続すべきである。国立短期大学協会)

   「元留学生の指導教員のほかにODAの派遣等も入れてはどうか。」という趣旨の文章を挿入する。(全国公立短期大学協会)
(4) 高校生留学の推進
(高校生留学の意義)
   国際理解教育の一環として、交換留学制度に基づく(外国の高校生の受入れを含めた)留学をより一層積極的に取り上げていってほしい。(財団法人ワイ・エフ・ユー日本国際交流財団)
(高校生留学の推進)
   様々な国・地域、文化交流を促進してゆく観点から、国際理解教育の中で、日本高校生に対して、アジア諸国、ヨーロッパ諸国への留学をより一層啓蒙してゆく必要がある。(財団法人ワイ・エフ・ユー日本国際交流財団 )

   「〜受入体制の未発達」を「〜受入体制の未整備」としてはどうか。(財団法人エイ・エフ・エス日本協会)
(高校生留学の促進のための支援体制の整備)
   外国の高校生にとって、日本の高校への留学が魅力あるものとするためには、民間団体の努力だけではなく、官民一体となって広い意味での日本の文化をPRし続けていくべきである。(財団法人ワイ・エフ・ユー日本国際交流財団)

   外国の高校生を受入れるホストファミリーを確保するために、ボランティアとして外国の高校生を受入れるホストファミリーに対して、国、自治体、学校、地域として感謝、敬意を表すための何らかの形を構築する必要がある。(たとえば、アメリカにおいては、学生を家族の一員として受入れた場合には、税の面でのある程度の措置がなされる場合はある。)(財団法人ワイ・エフ・ユー日本国際交流財団)


   ものごとを主体的に考えられるようになる高校生レベルでは、「年間留学(3ヶ月以上)」の促進が望まれます。年間の経験を通し、小さなトラブルを経験し、それを解決する過程にこそ、見えない違いを発見し、奥の深い理解につながり、異文化コミュニケーション能力の発達が可能になる。
   「短期間の招致事業」という表現は、「外国人留学生(3ヶ月以上)の受入」と「外国からの研修旅行生(3ヶ月未満)」のどちらを意味するのか誤解を生じると思われる。派遣に関する記述に合わせ、「外国人留学生(3ヶ月以上)の受入事業」と修正をお願いしたい。
   「外国からの研修旅行生(3ヶ月未満)」の数値が計5296人であり、そのうち2週間未満が3737人であり、これでは、受入事業の難しさを経験し、その充実のためのノウハウを蓄積することができないのではないか。当面の受入強化をもって、「外国人留学生(3ヶ月以上)の受入」に結びつけるのであれば、「短期間の招致事業」としても、最低でも1ヶ月、できれば2ヶ以上のものを促進することが望まれる。
   ホストファミリーは海外からの生徒を受入れるに当り、ホストファミリーへの優遇税制を設け、その代わり、留学生の食事、家族での小旅行、等の経費を負担する。家族の一員として日本の生活、文化を理解してもらう。ボランティアとして受入れている以上、現金での補填は適切ではなく、扶養補助の形が「家族の一員」という概念に沿うものと考える。(財団法人エイ・エフ・エス日本協会)
(教員の海外研修の活用)
   海外における生活体験の機会の増大を図るとともに、研修内容を充実させ、教員が海外で学んだ成果を生徒に還元させられるようなプログラムが望まれる。(財団法人エイ・エフ・エス日本協会)
その他の意見
   異文化適応の問題についての言及も必要である。日本人学生と外国人学生の双方に対して、異文化理解促進のための教育もしくは専門家によるカウンセリング体制の整備などが必要である。(日本私立大学団体連合会)

   受入れ機関の受入れ実績、教育・研究の実績、魅力ある特徴を持っていることも、質のよい留学生を多く求心する重要な因子となるため、受入れ側の魅力的で実のある教育・研究と質の向上を図ることが重要である。
   また、首都圏と地方では留学生の目的も受入れ体制も異なるので、首都圏と地方の相違点と対策についても言及すべきである。(国立短期大学協会)

   施策として「大学等グループ」単位を構築し、留学生はその中で単位互換が可能とすれば、魅力は倍増する可能性がある。(国立短期大学協会)

   現代において、人々の価値観や健康観は多様化している。医療人に求められる健康観や疾病観の理解をさらに深めるには双方向の相互交流が必要であり、政策による新たな展開の推進に期待する。(国立短期大学協会)

   短期大学入学後に様々な事由により退学・除籍した場合は、留学の在留資格を失うため帰国するか、他の在留資格に変更して日本に滞在することになる。しかし、留学生の中には帰国もせず、在留資格も変更しないで在留期間が満了するまで滞在を続ける者がいる。不法滞在期間中に留学生が問題を起こせば、留学生を受入れた短期大学の管理責任を問われる事態にもなるため、退学・除籍等に伴う在留資格及び在留期間については、法務省と協議を行ない、適切な措置が講ぜられることを望む。(日本私立短期大学協会)



【留学生関係団体等以外の意見】

1   留学生交流の意義(理念)
(諸外国との相互理解の増進と人的ネットワークの形成)
   大部分の留学生等は物価高や行政からの援助不足等のために、嫌悪感を抱いている。そのため、留学生は日本が期待する架け橋にはならないのではないか。

   日本は主に「援助」と「貢献」という観点から留学生交流政策を進めてきたが、今後は自国益を把握した上で、戦略的な政策を打ち出す必要がある。日本国民へのメリットという観点も重要である。
   今後、知的労働者を中心にますますモビリティの高い労働市場が形成される。これに対応するため雇用の観点から留学生政策を進める必要がある。
2   留学生交流の現状と課題
(留学生数の現状)
   エラスムス計画等により世界の学生の10%が国境を越えて、海外高等教育機関で学ぶことを目標として、各国の国家的プロジェクトととして活発に国際教育交流を実施している事例を紹介するべきではないか。
(受入れ中心から相互交流重視へ)
   学生の出席率、成績等による補助金の打ち切り、減額などの基準を明確にした上で、留学生の滞在費として一定額を補助すべきである。
(留学生の急増に伴う質への懸念)
   中国の優秀な高校生は国内の有名大学に進学し、卒業後欧米諸国へ海外留学する。日本に留学を希望するのは大学に進学できない落第生である。

   入管法基準省令に「経費支弁能力を有すること」を求めているが、近年入国在留審査における諸手続が簡素化したため、経費支弁能力を有しない者が、留学・就学している懸念がある。文部科学省は経費支弁能力の判定などの諸情報を提供する体制をつくるべきである。

   一部の大学等では、就学態度をチェックしておらず、留学生の資質に関わらず補助金が支給されている。また、学生管理状況について文部科学省と入国管理局で厳重なチェック体制を確立すべきである。
3   新たな留学生政策の基本的方向
(日本人の海外留学への支援)
   諸外国との相互交流は国際性を身に付けさせ、日本人としての自覚も高める。また、外交的観点からアジア地域への学部短期留学を増進させるべきである。

   日本人の海外留学を推進する時、国として良質の留学斡旋機関と交流を持ち、育てる必要がある。
(留学生の質の確保と受入れ体制の充実)
   チューター制度は日本人学生と留学生の相互理解・相互交流を深める要因であるため、継続することを要望する。

   質をどのように定義し、評価するかは議論が必要。また、英米圏では留学生受入れは教育の輸出産業とされ戦略的なリクルート活動を行っている機関も多い。日本の留学生政策も現状、目的に応じた戦略性や多様性が求められる。

   研究生、交換留学生は学割の適用になっていないため、正規生と間に差別感をもたらし、日本への留学に対する印象が悪い。留学生の質の確保という観点から関係機関の働きかけが必要である。

   質の低下が現実のものとして全国的に露呈しているため、その原因・理由を解明すべきである。

   留学生の質の低下は受入れ体制の整備を怠った国にも責任がある。国は大学に留学生政策を取り組むように促すだけでなく、率先して受入れ環境の質の向上に努めるべきである。
4   具体的な施策の展開
(1) 大学等における教育研究の高度化と国際競争力の強化
(特色のある教育内容の一層の充実)
   学部、大学院において、英語等外国語のみによる修了可能なコースを各大学が設定するだけでなく、英語コース実施のコンソーシアム体制を促すことも大切である。

   日本の大学は海外でイメージアップの努力をしていないため、イメージが良くない。国際的に魅力ある大学にするためには、教育内容の充実だけでなく、海外でのイメージアップも必要である。
(国際化に対応した教育,職員の採用と外国語運用能力の向上)
   日本学生支援機構設立等支援体制の整備だけでなく、すべての段階で留学生に接する教職員の人間性が重要な点であることを明記すべきである。

   教育機関等には人事異動があるため、外国人留学生や日本人への留学についてはの相談については、ノウハウが生かされていない。そのため、専門的職員が長期に渡り留学交流の業務に携わる必要がある。

   留学生のニーズに応えるためには、大学等において、非常勤職員の配置や嘱託等に頼るのではなく、国際交流業務の専門家を養成するための研修の実施及び職員の配置が必要である。
(大学等における情報発信機能と情報収集の強化)
   海外における面接試験等を実施をする際には、日本学生支援機構の海外拠点の積極的な活用を検討すべき。
(留学生の在籍管理の徹底)
   地域交流推進協議会は回数の少なさ、参加者団体の議題への関心の薄さという点から地域と留学生の交流推進としての機能を十分に果たしていない。そのため、協議会に留学生の在籍管理の徹底などの様々な部会を作る。在籍管理の部会では大学、短大、警察、入管、日本語学校を参加者とし、修学を目的としない留学生の対応についての共通の理解や協力、情報の共有化を図る。

   学校は学校教育法で規定されている範囲内で指導を行えるが、入管の行政指導に従うと、「行き過ぎ」の指導や必要な措置をしないという「瑕疵」が起こる可能性がある。文部科学省と法務省で協議し留学生受入れ校の責任範囲を明示しておくべきである。

   1.留学生等が民間の賃貸住宅に入居する時に、貸し主等が借り主及び同居人の外国人登録証明書や旅券の写しをとり、入居者の定期点検実施を義務とする法律の制定。
   2.留学生等を雇用する雇用主は、留学生等の外国人登録証明書や旅券の写しをとり、また、雇用契約書を地方入国管理局へ提出することを義務とする法律の制定。

   留学や就学は入国しやすいため、不法就労者の入国の窓口となっている。そのため、不法就労の問題は我が国の外国人労働者受入れ体制全体の中で考える問題である。

   勉学状況の悪い学生に対して行う退学等の処分については、外国人学生にだけ厳しい条件を課すのは差別である。大学は学生の側に立って教育的に指導すべきであり、問題があるから排除するということではない。

   在留資格「留学」の2年間の在留期間は、今後関係省庁、高等教育機関において検討をする必要がある。
(2) 多様な教育,研究に対するニーズに応じた海外留学の支援
(海外留学に関する情報提供の充実)
   留学生政策や留学にまつわる情報提供をアジアの主要都市で組織的、計画的に実施する。併せて、説明会などを実施し直接的に働きかける。

   1.「また、留学トラブル等についてのセーフティーガード機能を民間・NPO等と協力して構築する。」という文章を追加する。
   2.海外留学をする人の大部分が留学エージェントを経由しているが、海外留学の増加と共に留学生とエージェントとの間のトラブルも増加している。対策として、留学エージェントの実態調査を行い、また、相談窓口の常時設営や情報提供などのセーフティガードを強化する必要がある。

   日本学生支援機構による留学情報の収集・提供機能の強化及び留学相談の充実を図るだけでなく、留学を希望する学生等に対する留学カウンセリング及びキャリア・カウンセリングの専門家による留学相談が全国主要都市で受けられるサービスの提供を実施してはどうか。
(海外留学の支援)
   国際協力事業団(JICA)に開発途上国にモデル校を指定してもらい、そこに日本からの留学生を学部レベルで派遣することを続ければ、各国とのネットワークは出来上がる。

   知的欲求の高い学生に留学をさせ、国際的競争環境の中で切磋琢磨するには、国の経済的支援が必要。また、海外の大学に入学、単位取得又は学位取得時から経済的支援を行う。
(短期留学の推進)
   「交流の地域の均衡に留意していく必要がある。」の後に「中学生の短期留学を推進する。」という文章を加える。この体験留学とも言える制度は高校、大学での留学に自信を持ち、留学成果にも役立つ。
(外国政府との協力体制の強化)
   海外へ行く留学生も最低限の質を持った留学生を送る必要があり、それが外国政府との関係の強化にもつながっていく。そのためには、海外への日本人留学生のための統一された検定試験を設けるなど、質の良い留学生を送り続けられるような基準を作るべきである。
(3) 渡日前から帰国後に至る体系的な留学生受入れ支援体制の充実
(独立行政法人日本学生支援機構の設立)
   各種支援に対する応募手続きについては、直接応募により決定されるべき。

   4つの法人が統合されることによってそれぞれが持っていた事業が縮小してはならない。特に学生に対する直接の支援は強化すべきである。

   異文化間教育や異文化接触に関する専門的な調査研究機関を設置し、その中で留学制度研究や留学生との交流研究を本格的に推進する必要がある。
   日本学生支援機構の国際交流業務を担当する職員の専門化養成と国内の大学への各種情報の提供をしてゆくことが望まれる。
   関係省庁、自治体、民間団体、企業等との調整機能を担うための総合的な企画調査部門の設置。
(海外での情報提供,相談機能の充実)
   大学等と地域社会との交流を進めるために、助成金等による民間団体の活動を奨励する方策を検討すべきである。また、多彩な交流事業を体系的、継続的に実施する上で、交流コーディネータ等の配置を検討すべきである。
(日本語教育機関等に対する支援)
   日本語学校の中には留学院と通じて入学金免除など不当な募集行為を行っている学校があるため日本語教育機関に対する適切な指導・監督が必要。

   日本語教育機関は入管の管理などのため、大学以上に厳しい学生管理を行っている学校が多く存在しているが社会の対応は冷たいままである。一方、文科省が公的に支援の方向性を打ち出したことは評価する。また、「就学」の呼称を「留学」に変える検討は進めてほしい。

   日本語教育機関と大学の非正規生は学割制度の対象ではない。私費の研究生は奨学金受給のチャンスが少ない上、交通費の負担が重くのしかかっている。日本語教育機関と大学の非正規生を学割制度の対象とすることを切望する。

   中国から日本語学校に入学するのは、中国で大学に進学できない落第生である。また日本語教育機関の就学生には偽造書類が横行しているため、日本語教育機関を支援するのでは無く、海外からの留学生受入れを制限したほうが良い。

   大学や短大の別科は届出で設置することができ、受入れ体制に疑問が持たれる。これらについても日本語教育振興協会の審査・認定を受ければ、受入れ機関全体のレベルアップになる。

   「医療に関する支援」の後に「宿舎の斡旋」の文言を追加してほしい。

   法改正を行い母国の学校制度において高校卒業の学歴を有する者には各大学等への進学資格を認める。また、予備教育は予備教育実施校に特権が付与されているとの誤った優越感をあたえるので廃止するべきである。

   留学生に対する支援と同じレベルの支援を就学生に対しても行う。また、在留資格の就学と留学の区分には合理性が無いため統一する。

   外国人学生の在籍先にかかわらず、全ての在留資格を留学にするよう法務省に働きかけるべきである。同時に日本学生支援機構は日本語教育機関の学生についても支援の対象とすることを明記するべきである。
(渡日前入学許可の推進など入学者選抜の改善)
   優秀な留学生を選抜するために、大学独自のまたは民間団体の奨学金の渡日前予約制度の開発や海外面接の拡充やインターネット等の情報通信技術を用いたインタビューの実施。

   諸外国との相互交流は国際性を身に付けさせ、日本人としての自覚も高める。また、外交的観点からアジア地域への学部短期留学を増進させるべきである。

   留学生試験を外国語で行うと、外国語専攻の学生が優位に立つため、客観的に優秀な学生を選別するためには外国語ではなくその国の母国語で行うべきある。

   「海外面接の拡充」の後に「海外における説明会」の文言を追加してほしい。

   各大学等の別科、日本語科を廃止し各大学等における日本語教育は日本語能力2級以上の学生に対する高等教育にし、2級未満の者に対する教育は日本語教育機関に委ねるなど、各大学等と日本語教育機関の役割を明確にする。

   日本語教育施設における成績や出欠状況を選考の資料とするのではなく、選考の基準にすることを義務化する。
(国費外国人留学生制度の在り方と今後の方向)
   1.優秀な中国人留学生を招くためには、大使館推薦を駐中日本大使館・領事館が主体的に公募し学生を選考すべきである。
   2.成績不良の留学生は奨学金打ち切り措置を行う。
   3.研究生から博士課程に進学する時の延長申請は研究生の期間を1年に限るという条件は、1年では博士課程試験の準備が難しく、修士課程からやり直すという無駄が生じている。
(私費留学生支援制度の在り方と今後の方向)
   経済的に困難な私費留学生は考えにくいが、留学生の環境の変化によって経費支弁の資産が枯渇する場合もある。そのため、私費留学生に対する経済援助は十分吟味することが必要である。

   私費留学生が家族を自国に残して留学することは精神的な負担になり、勉学の継続にも影響を与えるため、呼び寄せるための積極的な対策が必要。また、資格外活動の制限緩和等の制度改革を行い、留学生の経済的支弁を担うことを認めるべき。

   1.大学における入学選考は日本留学試験を義務とする。
   2.授業料減免の基準を策定する。
   3.学生管理が不良の大学について、補助金の打ち切り等の制裁措置を法制化をすべきである。
(留学生と地域社会との交流)
   1.東京都から補助金をカットされたため、運営資金難になり今年の7月に「ボランティアグループ留学生相談室(CASA)」が閉室になった。民間団体の役割は大きいため、活動資金面での協力をお願いしたい。
   2.内外学生センターが日本学生支援機構に移行するにつれて、内外学生センターが学生に提供していたアルバイトや住居斡旋業務が廃止されると聞いている。多くの留学生がこのサービスを利用していたため、この事業が打ち切られると大きな打撃をうける。

   一般的に地域社会で大学が孤立し、留学生は地域社会に出口がない。しかし小金井市公民館東分館では留学生が講師となり、市民と留学生が双方向で国際文化交流を行っている。これは地域社会での国際交流であり、大学の孤立問題を克服する足がかりになる。

   民間団体は留学生受入れの大きな力になってきたが、資金不足のため活動の縮小、継続不能に陥っている。そのため、長期的な取り組みに対する経済的援助が必要である。
(セイフティー・ネットの充実)
   途上国の開発援助や開発教育に的を絞ったプログラムを設置し、将来帰国して開発の現場で活躍する人材を選りすぐって招へいし、帰国後もサポートする必要がある。
(留学生の卒業,修了後の就労)
   留学生を講師とする日本人学生への外国語教育等を通して、日本人学生の国際理解教育に資すると共に外国留学意欲を高める。日本人学生が留学生をサポートするという意識だけでなく、双方向の意識を育てる。
   小学校への英語教育等に留学生を派遣することで、世界中の人と英語でコミュニケーションが出来ることを体得でき、アジア等の国に留学したいという生徒が育つ。
   社会の活性化のために留学生に就職してもらうという意識が産業界、日本社会全体に必要である。

   優秀な留学生を日本で就労させることは、日本留学へのインセンティブにつながるが、就職先が見つからず帰国を余儀なくされている留学生が多い。日本での就労機会の拡大のために、ビザ(資格外活動を含む)の期限を1〜2年延長させることを提案する。

   福祉・介護など入管法の在留資格に相当しないため、就職できない分野があるが、就労を認めるべきである。
(4) 高校生留学の推進
(高校生留学の推進)
   「自治体」の後に「各種NPOやPTA等」という文章を、「充実」の後に「(例えば関連予算の大幅増)」という文章を加える。

   この部分の記述は具体的な施策の角度から見ると具体性に欠けているため、更なる掘り下げが必要である。

   1.交換留学している外国人留学生は受入プログラムが整っていないために、日本においての国際理解教育の担い手になっていない。
   2.交換留学制度を経験した高校生には体験発表会や国際理解教育のサポートなど国際理解環境整備に関わる社会的貢献の役割が期待される。そのために、交換留学・国際理解環境の整備を目的として非営利組織の組織化などが必要である。
(高校生留学の促進のための支援体制の整備)
   「派遣前オリエンテーションの充実」の後に「留学カウンセリング、留学トラブル相談、苦情処理」の文章を「ホストファミリー及び」の後に「NPOや」の文章を加える。
(教員の海外研修の活用)
   日本人は英会話力は低いが英語の基礎力はある。英会話できないのは、現場の先生が英語が話せないためである。そのため、現場の英語科の先生には会話力を集中的に身に付ける研修を行うべきである。
その他の意見
   専門学校の留学生は全体の約2割を占めるが、日本の留学生政策においては、経常費補助や授業料減免学校法人への援助が無い等、大学に比べて格差がある。中間報告は専門学校の留学生に関して触れられた部分が無く、また、数々の格差があるにもかかわらず専門学校と大学を「大学等」という表現でひとまとめにしたのは問題である。

   学部教育と専門学校教育は教育目標が異なっているため両者の違いを検討することによって、留学生の教育ニーズの分析が可能である。しかし中間報告では、「大学等」とまとめたために、日本の留学生政策が大学救済策に誤解されてしまう恐れがある。大学政策と留学生政策を区別し、専門学校に関する検証と包括的な留学生政策の指針をまとめることを望む。

   中間報告では「大学等」の一言があるのみで、大学とは異なる職業教育機関である専門学校の表現もなく、専門学校教育機関等に対する支援等の考え方も無い。

   日本の留学ビザは1年〜2年という期間であるため、留学ビザと就学ビザを1本化すると半端な月数の学習者を受入れることが困難になる。そのため日本もヨーロッパのような支払った授業料とビザの期間が重なるビザ発給を考えるべきである。

   高等教育における国際的な単位の同等性評価(Credential Evaluation)について調査し、米国のAACRAO(American Association of Collegiate Registrars and Admissions Offers)や英国の NARIC(National Academic Recognition Information Centres)に見るように、インフラの一環として基準化しデータベース化する必要がある。




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