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資料5
中央教育審議会大学分科会
留学生部会(第6回) H15.5.2

留学生宿舎の整備の在り方と今後の方向(検討用資料)



1.整備の現状
(1) 施策の状況
   留学生のための低廉で良質な宿舎の確保は、留学生受入れのための重要な基盤であり、国、大学、地方公共団体、公益法人等がそれぞれの立場から、多様な方法で取り組んでいる。
       ※詳細は別添1(留学生宿舎確保に係る施策の現状の概要)を参照。
   
(2) 大学等の公的な留学生宿舎への入居状況
   公的な留学生宿舎への入居数は増加しているが、留学生数の伸びはそれ以上であり、公的な留学生宿舎への入居数は低下している。
   
区      分  12.5.1現在   13.5.1現在   14.5.1現在 
公的宿舎の入居者数 20,583人 23,228人 25,743人
留学生総数 64,011人 78,812人 95,550人
公的宿舎への入居率 32.2% 29.5% 26.9%

○留学生宿舎の状況(平成14年5月1日現在)

留学生宿舎の状況(平成14年5月1日現在)

(3) 問題点
留学生にとって、民間宿舎・アパート等への入居は、一般的に厳しい我が国の住宅事情や高い家賃、敷金・権利金の慣例等による経済的出費が大きだけでなく、入居時の際に必要とされる保証人を探すことが困難であることや、留学生に部屋を貸したがらない家主の消極姿勢など種々の障壁があり、厳しい状況。

(参 考)
・元日本留学生の意見(平成14年12月)
   財団法人日本国際教育協会が帰国留学生同窓会などの関係方面の協力を得て、元日本留学生3,700名を対象に調査(回答率:39.6%の1,467名)。
    *日本滞在中悲しかったこと、残念だったこと
   宿舎を探すのに苦労した      33.3%
*留学生を受入れるために努力を期待すること
   公的な宿舎の増加              47.9%
   
その他、同協会が大学等に在籍する5,500人の私費留学生に対し、調査を実施(回答率:43.5%の2,394人)した住宅事情については、別添2(宿舎の実態調査)を参照。

2.今後の課題

(1) 留学生宿舎の整備について
1 我が国へ安心して留学できるよう、渡日後、最低1年間は入居できるよう公的な留学生宿舎の整備を促進することが必要ではないか。
2 日本人学生や研究者との混住型の推進により、国際交流拠点となる留学生宿舎の整備を図ることが重要ではないか。
3 PFI等の各種の手法を活用することにより、留学生宿舎の推進を図ることが重要ではないか。
   
(2) 留学生宿舎の確保施策の推進について
1 7割以上の留学生が民間宿舎・アパート等に入居している状況にあることから、留学生が居住を円滑に確保できるよう、「指定宿舎確保事業」及び「留学生住宅総合補償」を拡充することが重要ではないか。
2 学校法人、公益法人、地方公共団体等が行う留学生宿舎の建設・改修・取得を奨励する「留学生宿舎建設奨励事業」及び社員寮を留学生に提供することにより、日常生活を通した真の国際交流が出来る貴重な事業である「社員寮提供事業」については、低廉で良質な宿舎の確保を促進する事業として重要であることから、引き続き充実を図ることが必要ではないか。また、国立大学及び公益法人(日本学生支援機構)における留学生宿舎の建設・運営についても、同様の観点から、事業の充実を図ることが重要ではないか。



(別添   1)

留学生宿舎確保に係る施策の現状の概要


国立大学における留学生宿舎の建設(国立学校特別会計)
(85国立大学、7,049戸:平成14年度時点)

公益法人における留学生宿舎の運営
(17ケ所、3,072戸:平成14年度時点)
   (財)日本国際教育協会(5ケ所、1,933戸)
  (財)国際学友会、関西国際学友会(4ケ所、362戸)
  (財)内外学生センター(8ケ所、777戸)
(戸数は日本人学生分を含んだ宿舎の全数)

留学生宿舎建設奨励事業((財)日本国際教育協会)
(計24法人等、1,552戸:平成14年度時点)
       学校法人、公益法人、地方公共団体等が行う留学生宿舎の建設・改修・取得に対し、(財)日本国際教育協会が建設等に必要な経費の一部(3分の1)を助成。

指定宿舎確保促進((財)内外学生センター)
(平成14年度 2,479戸)
    留学生宿舎を安定的に確保するために、(財)内外学生センターが適切な民間宿舎を開拓し、家主との間で指定宿舎契約を締結して、留学生専用の宿舎とし、家主に対して協力金(指定契約金)を交付。

留学生住宅総合補償((財)内外学生センター)
       入居契約における保証人の負担を軽減するとともに、保証人を引き受けやすい環境を整備するため、火災、事故等による損害賠償に加え、家賃の未払いなど補償対象とする。

社員寮への入居促進((財)留学生支援企業協力推進協会)
(平成14年4月1日現在 受入れ枠 801名)
       民間企業の協力を得て、留学生宿舎への社員寮提供事業を促進。
   




(別添   2)

宿舎の実態調査について



1.在籍学校別の宿舎形態
    (単位:%)
 
区   分 民間アパ ート・マンション等 大学・学校の留学生 宿舎 大学・学校の一般学 生寮 県・市・財団法人の留学生宿舎 公営住宅 等の一般公的宿舎 企業の社員寮 ホームステイ その他 不明
大学 国立大学 53.5 15.2 6.4 5.4 11.4 3.7 1.1 2.7 0.6 100.0
公立大学 61.6 12.2 7.0 6.1 6.1 5.2 0.9 0.9 100.0
私立大学 70.8 6.8 6.0 2.6 3.9 5.9 0.9 2.6 0.5 100.0
大学計 62.0 11.2 6.2 4.1 7.7 4.8 0.9 2.5 0.6 100.0
短期大学 56.6 24.4 8.7 2.4 0.8 2.4 4.7 100.0
専修学校 78.2 3.4 4.6 2.5 4.2 2.5 1.3  2.5 0.8 100.0
63.3 11.1 6.2 3.8 7.0 4.4 1.0 2.6 0.6 100.0

2.一人あたりの専有面積
      
区   分 平方メートル未満 平方メートル〜7.5平方メートル未満 7.5平方メートル〜10平方メートル未満 10平方メートル〜12.5平方メートル未満 12.5平方メートル〜15平方メートル未満 15平方メートル〜17.5平方メートル未満 17.5平方メートル〜20平方メートル未満 20平方メートル〜25平方メートル未満 25平方メートル以上 不明
率(%) 11.4 21.9 35.5 9.2 8.1 3.9 2.7 2.7 3.6 1.0 100.0
 

3.住居費以外の経費(敷金・礼金等)
     
区   分 なし 5万円未満 5万円〜10万円未満 10万円〜20万円未満 20万円〜30万円未満 30万円〜40万円未満 40万円〜50万円未満 50万円以上 不明
率(%) 27.6 22.5 17.5 17.0 9.0 3.1 1.3 0.8 1.2 100.0
 

4.宿舎の保証人
    1保証人の有無
区   分 不明
率(%) 72.3 26.9 0.8 100.0

2宿舎の保証人
区   分 大学・学校等
(代表者)
大学・ 学校の
指導教官
国際交流団体
(代表者)
日本人
の知人
日本人
以外の
知人
親族 その他 不明
率(%) 14.2 19.5 2.3 43.7 5.6 10.9 2.7 1.1 100.0



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