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資料  4
中央教育審議会大学分科会
留学生部会(第2回) H15.1.28

日 本 語 教 育 施 設 の 現 状 と 課 題

平成15年1月28日
佐藤次郎専門委員資料

1  現  状

(1) 施設数の推移
(各年度末)
区分 平成元年度 平成2年度 平成3年度 平成4年度 平成5年度 平成6年度 平成7年度 平成8年度 平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度
施設数
342

435

463

433

407

365

322

287

276

265

268

289

327

374
* 平成14年度については12月現在

(2)学生数の推移
(各年度7月1日現在)
区分 平成元年度 平成2年度 平成3年度 平成4年度 平成5年度 平成6年度 平成7年度 平成8年度 平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度
学生数
35,576

35,953

33,107

20,580

14,585

11,224

13,234

15,269

21,787

30,631

33,757

39,205

(学生の出身国・地域別内訳)
区分 平成5年度 平成6年度 平成7年度 平成8年度 平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度
 
(%)

(%)

(%)

(%)

(%)

(%)

(%)

(%)

(%)

(%)
中国 18,850 10,476 5,503 3,624 5,028 7,345 11,857 19,189 23,084 27,512
(56.9) (50.9) (37.7) (32.3) (38.0) (48.1) (54.4) (62.6) (68.4) (70.2)
韓国 7,985 6,575 5,963 5,114 5,664 5,096 7,320 8,621 7,773 8,211
(24.1) (31.9) (40.9) (45.6) (42.8) (33.4) (33.6) (28.1) (23.0) (21.0)
台湾 2,082 1,450 1,359 1,021 1,177 1,138 982 1,043 952 982
(6.3) (7.0) (9.3) (9.1) (8.9) (7.5) (4.5) (3.4) (2.8) (2.5)
香港 807 433 285 238
(2.4) (2.1) (2.0) (2.1)
タイ 486 264 235 162 177 160 178 181 256 320
(1.5) (1.3) (1.6) (1.4) (1.3) (1.0) (0.8) (0.6) (0.7) (0.8)
マレーシア 481 221 194 157 139 129 76 122 201 239
(1.5) (1.1) (1.3) (1.4) (1.1) (0.8) (0.4) (0.4) (0.6) (0.6)
フィリピン 261 127 95 81 61 72 87 82 88 93
(0.8) (0.6) (0.7) (0.7) (0.5) (0.5) (0.4) (0.3) (0.3) (0.2)
オーストラリア 112 39 35 37 40 63 45 34 25 28
(0.3) (0.2) (0.2) (0.3) (0.3) (0.4) (0.2) (0.1) (0.1) (0.1)
アメリカ 291 117 95 66 64 56 63 57 66 82
(0.9) (0.6) (0.7) (0.6) (0.5) (0.4) (0.3) (0.2) (0.2) (0.2)
その他 1,752 878 821 724 884 1,210 1,179 1,302 1,312 1,738
(5.3) (9.9) (6.5) (6.5) (6.7) (7.9) (5.4) (4.3) (3.9) (4.4)
33,107 20,580 14,585 11,224 13,234 15,269 21,787 30,631 33,757 39,205
(100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0)
* 平成9年度以降の中国については、香港を含む。

(3) 進学者の内訳
区分 大学 大学院 短期大学 高等専門学校 専修学校
専門課程
各種学校等
平成5年度 3,933 1,246 475 49 4,573 115 10,391人
(37.9) (12.0) (4.6) (0.4) (44.0) (1.1) (100.0%)
平成6年度 3,422 1,102 354 1 3,773 88 8,740人
(39.2) (12.6) (4.0) (0.0) (43.2) (1.0) (100.0%)
平成7年度 2,692 868 324 75 2,330 70 6,359人
(42.3) (13.7) (5.1) (1.2) (36.6) (1.1) (100.0%)
平成8年度 2,424 659 284 77 1,650 71 5,165人
(46.9) (12.8) (5.5) (1.5) (31.9) (1.4) (100.0%)
平成9年度 2,943 811 243 74 1,690 49 5,810人
(50.6) (14.0) (4.2) (1.3) (29.1) (0.8) (100.0%)
平成10年度 3,567 971 283 83 2,129 46 7,079人
(50.4) (13.7) (4.0) (1.2) (30.1) (0.6) (100.0%)
平成11年度 4,536 1,141 291 84 3,594 72 9,718人
(46.7) (11.7) (3.0) (0.9) (37.0) (0.7) (100.0%)
平成12年度 5,772 1,218 553 93 5,379 72 13,087人
(44.1) (9.3) (4.2) (0.7) (41.1) (0.6) (100.0%)
平成13年度 7,142 1,162 617 135 7,161 244 16,461人
(43.4) (7.1) (3.7) (0.8) (43.5) (1.5) (100.0%)

(13年度の内訳)
区分 大学 大学院 短期大学 高等専門学校 専修学校
専門課程
各種学校等
中国 5,789 819 446 0 5,283 140 12,477
韓国 835 163 106 0 1,371 64 2,539
台湾 219 46 37 0 163 13 478
その他 299 134 28 135 344 27 967
7,142 1,162 617 135 7,161 244 16,461

2  課  題

(1)   日本語教育施設の質的向上

(2)   留学生政策の一環として、日本語教育施設の学生(就学生・留学生)に対する支援策の充実

s_01   s_03
b_1   学習奨励費の拡充、医療費の補助、通学定期等の学生割引、大学等への入学準備資金への援助など   b_1
s_02   s_04

(3)   日本語教育施設の学生の多くは、在留資格は「就学」とされているが、「留学」が付与できるよう検討

(4)   大学等との連携の積極的な推進

(5)   日本留学試験の円滑な実施への協力


(参考)

日本語教育施設に関する留学生政策懇談会等の報告

1   留学生政策懇談会第1次報告「今後の留学生政策の基本的方向について」(平成9年7月31日)(抜粋)
  今日の課題と今後の施策の重点
1   我が国の高等教育機関がグローバルな視点に立った魅力ある教育体制を充実させること。
2   留学希望者が我が国の高等教育機関にアクセスしやすいように、留学システムを改善するとともに、日本語教育に配慮した留学生交流施策を展開すること。
3   国・地方自治体・民間が連携・協力し、官民一体となって多様な方法により留学生の生活支援や交流活動を充実させること。

  具体的な施策の方向
(2)   留学希望者の我が国の高等教育機関へのアクセスの改善及び日本語教育に配慮した留学生交流施策の推進
3   留学生施策の一環としての日本語教育振興施策の推進
  私費留学生の多くは、まず国内の日本語学校で日本語教育を受けた後、大学等に進学しており、日本語学校への「就学」が、事実上「留学」の第一段階となっている。また、海外における日本語学習は我が国への関心を大いに高め、日本留学を促進するものである。このように日本語教育の振興は留学生交流と極めて密接な関係があるにもかかわらず、従来必ずしも十分な連携が図られていなかったきらいがあり、今後、就学生にも配慮した一貫した施策を展開していく必要がある。
  日本語教育振興協会の審査認定事業による国内の日本語学校の質の確保
  (財)日本語教育振興協会は、平成2年以来、文部省の調査研究協力者会議が策定した「日本語教育施設の運営に関する基準」に基づく日本語教育施設審査認定事業を行い、日本語学校の質的向上と就学生の円滑な受入れに寄与してきた。今後とも、この事業を引き続き推進していく必要がある。
  大学等と日本語学校との連携の推進
  前述のように、今後、大学等における日本語教育体制の充実がますます重要になってくるが、学内だけでの体制整備は困難な場合もある。そこで、日本語学校が有する日本語教育の指導体制を一層有効に活用することが期待される。そして、大学等に在籍する留学生や入学を予定する者に対する日本語指導をはじめ、留学希望者の募集、選考などの充実のため、大学等と日本語学校との連携を積極的に推進する方策を検討すべきである。
(3)   国・地方自治体・民間の協力による多様な方法での留学生の生活支援
1   諸外国及び留学生のニーズに応じた奨学金の重点的充実
  奨学金については、単に量的に確保するというのではなく、母国で基幹的役割を果たす優れた人材の確保や、特色あるプログラムによる受入れに重点を置きつつ推進する必要がある。学習奨励費については、渡日前の支給予約制度を創設することが適当である。
  また、大学進学を目指して日本語学校で勉強している就学生については、従来から進学を条件に学習奨励費の支給予約制度を実施しているが、優れた就学生の学習意欲を高めるために、一層の拡充を図るべきである。
  なお、現在、日本語学校に在籍している就学生については、公的にも民間レベルでもほとんど支援措置が設けられていない。前述したように「就学」が「留学」の第一段階になっているという実態を考慮すれば、今後、この段階における支援措置についても検討すべきである。また、民間の奨学団体に対しても、このような状況についての理解を求めていく必要がある。
  地方自治体・民間奨学団体の奨学金の充実と各制度の連携を検討する。

2   留学生政策懇談会報告「知的国際貢献の発展と新たな留学生政策の展開を目指して−ポスト2000年の留学生政策−」(平成11年3月24日)(抜粋)
  世界に開かれた留学生制度の構築  〜我が国への留学にあたっての障壁の除去のために〜
(準備教育機関の指定の拡大)
  外国における正規の12年課程を修了した者には大学入学資格が与えられるが、一部の国では、高校相当の学校教育が12年未満の期間で修了するため、これらの国の学生には我が国では大学入学資格が与えられない。このような制度をとっている国の留学生については、文部大臣が指定した準備教育機関に入学し、これを修了することによって大学入学資格が与えられる。
  現在、この制度により指定を受けるものは6機関であるが、いずれも国費留学生及び外国政府派遣留学生の受入れを中心としている。このため、留学希望者や大学等から準備教育機関の指定の拡大を求める声が強い。文部省においては、施設や教員などの体制が整備され、予備教育にふさわしい内容の教育を実施するなど、一定の要件を満たす教育機関については、今後指定の拡大を図る必要がある。

  官民一体となった留学生支援の充実〜世界の各国からの優れた留学生のために〜
(就学生に対する支援等)
  日本語学校の学生の多くは、我が国の高等教育機関への進学を目的としている。しかしこれらの学生に対する奨学金などの支援措置は、公的レベルにおいても、民間レベルにおいてもほとんど設けられていない。このため、日本語学校の学生にも配慮した一貫した施策を展開する必要がある。
  日本語学校であっても、国際学友会日本語学校などのように、文部大臣の指定を受けた準備教育機関であって、法務大臣が告示したものの学生に対しては「留学」の在留資格が付与されている。今後、文部省が準備教育機関の指定を拡大するに当たり、関係機関においては、これらの準備教育機関の学生への「留学」の在留資格の付与等について検討すべきである。

3   今後の日本語教育施策の推進に関する調査研究協力者会議報告「今後の日本語教育施策の推進について−日本語教育の新たな展開を目指して−」(平成11年3月19日)(抜粋)
  日本語教育施設について
(2)   日本語教育施設の在り方及びその機能の活用
  日本語教育施設は、国内における日本語教育機関としては最も学習人口が多い機関の一つであり、日本語教育の振興に大きな役割を果たしている。今後とも、その教育の更なる充実を図っていくことが望まれるが、その一つとして、日本語教育施設の学生に対する支援の在り方や在留資格についても、留学生施策との関連を踏まえた対応が期待される。
  また、日本語教育施設と大学等との関係においては、私費外国人留学生の多くが日本語教育施設を経由して大学等に進学している現状に鑑みたとき、両者の間で、日本語教育のカリキュラム等について相互に協議を行う体制をとることが必要であると考えられる。従来、日本語教育施設と大学等との連携については必ずしも充分な協議が行われておらず、今後両者の間で定期的な協議の場を設けるなど、その改善を図っていくことが望まれる。また、日本語教育施設と大学との連携を深める上で、大学の日本語教員養成課程の学生が日本語教育施設の協力を得て、授業学習を行っていくことについても、積極的に検討が行われる必要がある。
  さらに、日本語教育施設は、これまで主として行ってきた留学生の予備教育にとどまらず、外国人研修生やビジネス関係者などに対する日本語教育、さらには地域に移住する外国人に対する日本語教育など、様々な日本語学習者を対象とした教育を行うことができる可能性を有するものであり、今後の役割が期待できる。

4   「日本留学のための新たな試験」調査研究協力者会議報告「日本留学のための新たな試験について−渡日前入学許可の実現に向けて−」(平成12年8月23日)(抜粋)
  その他
(4)   大学入学後の日本語補習の充実
  渡日前入学許可を推進していく上で、大学入学後の日本語力の不足を補うために、日本語補習が不可欠となる。
  そのためには、留学生センター等の学内の組織の有効活用、学外の日本語教育施設との連携、さらには、ランゲージ・センターの設置等、日本語補習を十分に行えるよう一層の学内整備を図り、それに関する施策を早急に検討する必要がある。
  さらに、日本語教育施設との連携を円滑に進めるためには、単位の認定、在留資格などの問題についても今後検討する必要がある。

5   自由民主党政務調査会留学生問題に関する特別委員会提言「留学生交流の推進について」(平成9年6月18日)(抜粋)
  留学準備段階から帰国後までの一貫した施策の推進
  日本語学校の学生に対する施策
  日本語学校の「就学生」について、在留資格上の「留学生」との区別を見直し、大学等への進学を目指す学生への支援措置を創設するなど、留学生施策との一貫した施策の推進を検討する。


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