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中央教育審議会大学分科会留学生部会

2002/12/25 議事録
中央教育審議会大学分科会留学生部会(第1回)議事要旨


中央教育審議会大学分科会留学生部会(第1回)議事要旨


  日  時  平成14年12月25日(水)15時〜17時

  場  所  経済産業省別館944号会議室

  出席者
(委      員) 鳥居泰彦(会長),木村孟,中嶋嶺雄
(専門委員) 荻野アンナ,小林陽太郎,佐藤弘毅,佐藤次郎,下村満子,白石隆,鳥飼玖美子,平野次郎,宮崎幸雄,宮田清藏,森泉豊栄,森田嘉一
(文部科学省) 間宮文部科学審議官,工藤高等教育局長,木谷高等教育局審議官,板東高等教育企画課長  黒木留学生課長  他
(外  務  省) 新井人物交流課長

  議  題
(1) 部会長の選任等
(2) 自由討議(留学生政策の在り方など)
(3) その他

  配付資料
資料  1   大学分科会及び留学生部会の概要
資料  2   留学生部会名簿
資料  3   大学分科会関係法令
資料  4   留学生交流施策の現状等
資料  5   留学生部会基礎資料
資料  6   新たな留学生政策の策定に当たっての審議事項のイメージ
資料  7   留学生部会の今後の審議の進め方の目安(案)
資料  8   大学分科会の今後の日程について

(机上資料
  高等教育関係基礎資料集
  大学審議会答申・報告集
  教育指標の国際比較
  文部統計要覧

  議事要旨
(1) 事務局より部会委員及び専門委員の紹介があった。
(2) 部会長及び副部会長の選任を行った。
(3) 部会長より挨拶があった。
(4) 事務局より留学生部会の設置の経緯や主な所掌業務について説明があった。
(5) 事務局より配布資料にもとづき、留学生交流施策の現状等について説明があり、その後、留学生政策の在り方などについて自由討議を行った。
(6) 事務局より当面のスケジュールについて説明があった。

留学生施策の現状等について事務局より資料説明があり、その後質疑応答が行われた。

(○:委員,●:事務局)

  留学生数の動向については、昭和58年に1万人だったものが、平成14年5月1日現在において、だいたいその10倍になったとのことであるが、大学院、あるいは大学(学部)・短大・高専、専修学校(専門課程)のそれぞれの教育機関に対する配分は、自然に任せた結果、このような配分になったか、それともある程度、流動的な、政策的な判断の結果によるものなのか。

  21世紀への留学生政策の展開についてという昭和59年留学生問題調査・研究に関する協力者会議においては、基本的見通しとして、在学校段階別についても保証の目安というものを示している。それによると、学部レベルについては6万人。そして大学院レベルについては3万人。そして高専・専修学校(専門課程)を1万人である。

  少し補足すると、国費外国人留学生についてはある程度政策的に人数が決められた。国費外国人留学生のなかでも特に研究留学生については、大学院の比率が高くなっている。一方、私費外国人留学生については、政策に依存するということがあるので、そういう意味では、大学院への受入れについてはある程度、政策的に決定されたのであるが、全体の傾向としては自然に任せられた。

  これ配分結果は受入れ側のニーズにも依ると思うが、大学によっても傾向は異なる。

  日本学生支援機構についてはいつ設立されるのか。

  平成16年4月に発足を目指して、現在、法案等の準備をしている段階である。日本育英会を廃止した上で、国の学生支援業務と統合し、新たに学生支援業務を総合的に実施する独立行政法人を設置し、それと合わせて、留学生に対する支援を実施している公益法人の適切な業務についても移管して、日本人学生と留学生の双方に対する総合的な支援を行うことを考えている。

  日本に来た留学生が日本に対して悪い印象をもって、帰国するという話を一般に聞くが、日本に留学経験のある外国人に対する調査によると、日本に対して良い印象をもって帰国、という良い結果となっている。日本に来た外国人留学生に、日本に対してどういった期待をもって渡日したか、渡日直前の調査をされたのか。

  異なるカテゴリではありますけれども、日本を留学先に選んだ調査によると、選んだ理由の主なものとしましては、「興味ある専門分野があった」という方が23.4%、「日本語・日本文化を勉強したかった」という方が22.9%、「奨学金を得られたから」という方が23.0%という結果であります。留学全体の日本の印象や日本人の印象の調査は行っているが、日本を留学先に選んだ理由が達成されたかどうかというかたちでは、調査を行っていません。

  大学によっては、外国人留学生のためのカウンセラーを置いているところがあり、そこでは、渡日時に、どういう目的で大学に来たのか調査をし、修学中に何回か継続的に会い、さらに、帰国直前においても調査を行ない、データを収集するということをやっている。これだけでは、全国的な調査ではないので、厳密ではない。また、東京農工大では、以前、中国からの留学生にかなり問題がありましたので、中国からの留学生全員に対して、渡日当初、どういう意図で渡日したのか、徹底的にカウンセラーが聞いて、継続的にフォローアップを実施している。

  いわゆる留学生数といった時には、留学ビザ及び就学ビザの学生を含めた数になる。欧米等は同じものとして集計している。留学生数10万人といっているが、実際には就学ビザをはじめ、その他のビザを取得したものをカウントすると14、5万人になるのではないか。このいわゆる留学生数がいちばん基準になる。
  奨学金をふくむ留学生交流関係予算は、平成15年度予算案において、541億円である。地方公共団体等6,70程度の団体が支給している奨学金や大学等430程度が支給している奨学金、民間団体が支給している奨学金をカウントすると、かなり大きな金額となる。その辺の実態はいろいろな統計の中でとらえられているのか。民間団体、地方自治体、地方公共団体等が給付している奨学金をすべて網羅した総額こそが留学生のための奨学金を示している。今後、比較をし、議論をしていく中で、民間の奨学金は大きな要素になる。

  最初の質問であるが、日本の場合は、日本語教育機関において就学されている約三万数千人は、留学生としてカウントしていない。一方で、前回の有識者による検討会の報告の中では、そういう日本語教育機関において就学されている方にも留学ビザは与えてはどうかというかたちになっているが、現時点での統計ではあくまで留学ビザを取得する方を集計している。諸外国においては、国ごとによって教育制度やビザの制度が違うので、必ずしもご指摘のように日本と全く同じ形態で比較できる集計にはなっていないだろうと考えている。
  それから第2の質問であるが、民間団体の奨学金や地方公共団体からの奨学金については、日本国際教育協会が作成した日本留学奨学金パンフレット中でどういう奨学金がどの程度という冊子のかたちで、整理している。その奨学金が、総額がどのくらいになるのか、金額の調査はしていない。

  私費留学生について奨学金を支援している地方公共団体等、大学等、民間団体の数は調査している。

  なかなか奨学金総額について把握というのは難しい。

  留学生団体連絡協議会(JISSA)には今、59の団体が加盟しているが、これは、2003年度にどれだけの奨学金が支給されるかは集計できる。現在、176の民間団体等あるが、59団体における総額はだいたい30〜40億円、おおよそ45億円である。
  今後は官学だけでなく、産官学になってくるだろうし、欧米との比較を行うことも想定される。数も問題だけでなく、さらには、質の問題に対応するできるためにも、大枠を把握するために、民間団体の支給している奨学金の総額も含めて、何らかの形で集計してもらいたい。

  日本国際教育協会が実施した平成13年度私費外国人留学生生活実態調査によれば、私費留学生の中から無作為抽出により、5500人を対象にアンケートを送付し、2千数百人から回答を得ました。学習奨学費からは約42%、6万円/月、地方公共団体からは約10%、約2.5万円/月、民間団体からは約25%、約10万円/月、それぞれ奨学金が留学生に支給されているという結果となっている。

  利率が低いうえ、毎年、留学生にお渡しする奨学金の金額が変わるので、集計するのは大変であろうが、奨学団体の認可は文部科学省がやっているだろうから、総額は把握できるのではないか。ぜひやっていただきたい。

  日本留学試験についてであるが、試験実施時期が、6月と11月となっている。今後もこのままなのかということと、この時期に設定したわけは何か。11月入試はおそらく、4月入学のためであるのは分るが、6月入試だと来年4月新学期まで間があいてしまうが、これは何かを想定してのことなのか。

  基本的には4月入試と9、10月入試との関係で設定している。今のところ制度が始まったばかりなので、ここ数年は年2回程度行うということを考えている。試験の結果の有効期間は2年間ということで実施しているので、6月に受けたら2年後まではその大学の入試で有効であるということで各大学にもお願いしている。

  つまり、4月入学と10月入学があるということで、このような時期を選んだということでであるか

  10万に対しての目標達成は大変素晴らしいことであるが、その陰に、昨年の後半から今年の前半にかけて生じた留学生をめぐる不祥事問題が進行しているという事態も踏まえて、今後の留学生政策のあり方をご検討していただきたいのが第1点。
  2点目としましては、さきほど留学生数の先進諸国との比較について話があったが、学生の確保というのは私立大学にとって非常に大きな問題である中、安易に留学生にマーケットを求める証拠として、アメリカのデータが良く取りあげられる。ただ、アメリカと日本との置かれた社会的、経済的状況の違い、あるいは言語、文化の状況とかの違いを考えながら、我が国特有の、独特の留学生政策を打ち出していただきたい。もちろんこのことは入管行政との関係、そしてそれに対して大学がどういう保証をしていくか、どのようにかかわってゆくかも含めて指針を定めてゆかなくてはならない。
  3点目として、大学側の受入れ状況だが、留学生に対するカリキュラム上の日本語の教育だとか日本の事情に係る科目のことだけでなく、留学生を多数受け入れることで、彼らを陰で支えている大学の職員が大きな負担を被ることになる。これも念頭においた留学生支援体制を整えて行かねばならない。また、その他の日本人学生に対する学生指導や試験まで影響が及ぶこともありうる。これらを踏まえながら、それぞれの大学の努力だけに留まらず、大学職員のスキルアップや横との連携についても条件の整備をしていかなければならない。
  4点目に、私立大学が受け入れている留学生は圧倒的に私費留学生。彼らに対する学習奨励費による支援のほかに、もう一つの大きなポイントは国の授業料減免学校法人援助措置であります。減免されている学生数に対して、国の対応が追いついていなく、措置されているのは6割、あるいはそれ以下であるのが実態である。それ以外の減免の部分は、実は各大学の負担により、私費留学生数の伸びがあることを広く知っていただきたい。この実態を踏まえ、今後どのように展開していくべきかということを議論していただきたい。
  最後にUMAPの短期交流受け入れについて、実際に援助が決定されるかどうかというのは学生の選抜が終了した後であり、事務的な改善の余地もあろうかと思う。最後のことは各論であるから、これから先の議論の中でまた取り上げていただければと思います。審議回数があまり多くないようでございますので、以上の点をお忘れなくお取り上げいただければ幸いである。

  授業料については、一人当たり3割を上限として減免するというかたちになっている。制度発足当時は、対象者に対して、100%近くの減免を実施していたが、昨今、私費留学生が急激に増加している状況の中、申請者に対する割合は、6割強となっている。来年度予算も、金額としては増やしているが、1万7千名の留学生のほとんどの方が私費留学生であり、その割合は、平成15年度政府予算原案が成立した場合でも、下がっていくことになるかと思いますが、可能な範囲以内で努力したいと思っている。それからUMAPの短期の奨学金の支給については、改善すべき点があればまた、対応したいと思っている。

  先日、キャンベラで開催されたUMAPの年次大会では留学生を商品のように捉える国も有り、世界の留学生市場では優秀な留学生を受け入れるかを巡って熾烈な競争が行われている。
  日本の大学も国際競争力を高めないと、たとえば、人文・社会科学の優秀な学生が、日本の大学を卒業して、アメリカの大学院にいってPh.Dを取得するような頭脳流出にも繋がりかねない。

  一般的に、UMAPは非常に関心が薄く、どうすればよりUMAPに関心をもっていただけるか、というのはいつも国内委員会の大きな話題になっている。特に短期留学とかUMAPと必ずしも関係なく短期留学制度ができる。そこでいろいろな大学の参入がありまして、全体的なニーズが多くなってきていることは問題かと思う。当初、例えばドイツの枠を10名と、先に予約するというような割り当てをしていた。そういうことは、もうできなくなるような状況になっている。日本のいろいろな大学が留学生をいかに入れるかということは良い傾向だと思っている。このような問題を、国内委員会でもディスカッションしていきたい。
  東京農工大では、在学者総数に対して約7%ぐらいの留学生がいる。都内であるからいちばんの問題は生活で、寮が圧倒的に足りないから、私費留学生を優先的に抱えているが、なお足りないから、1年間しか優先度は与えられない。それでもなんとかしたいので、概算要求で上位に挙げていますが、なかなか難しい。そこで、PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)をひとつの方策として考えております。PFIは、プライベートからお金を集めるわけで、どうやって返していくかというと、例えば、20階建てぐらいの建物を建てまして、10階までは国際混住寮として、残りの10階を一般の方に貸して、償却していくことを考えているが、今のところ法規上でできない。
  それから留学生試験の問題であるが、日本に来た学生をそれぞれの大学で、まとまって試験をするという方法と現地で試験をするという2つの方法があるが、できるだけ現地でやってくださいという要請があるのでその方向で検討している。ただ、現場の先生方の話では、顔を見ないで試験の答案だけでは決定できない。しかし現地の試験場に出向くとなると、渡航費等その他の問題が生じます。ただ、現地で試験を実施することは、日本で試験を受けるために借金をする学生など経済的な余裕がない方にとっても有益で、また、もう少し幅広くトライできるので、能力が高い学生もアプライするのではないかという予測ができる。そこで、IT等ハイテク技術を活用して、私どもがモニターを通じて、彼らに質問をすることで、先ほどの顔を見ないで決定するような問題を解消する。このような方法を使っての試験形態を是非、お考えいただきたい。

  留学生の日本語教育の問題は、検討事項として、事務局の用意した資料には明示的には示されていないが、大変重要な問題である。特に中国から日本の大学に入学する学生を巡り様々な問題が生じている。例えば、日本語をどの程度習得しているのか。していない場合には、大学でどういう措置を講じなくてはいけないのか、その点をしっかり押さえておかないと、せっかく来た留学生の専門の教育も身につかない。日本の文化等も中途半端で終わってしまう。だからその日本語教育の点を取り上げて頂きたい。大学の留学生の多くは、全員が直接、大学へ来るような感じなのであるが、実はそうではなく、まずは、日本語教育機関において、1年ないし2年、日本語を勉強してその後、大学、高等教育機関に入学する。現在、このような外国人学生が約4万人近くいる。そのうちの7割ぐらいが高等教育機関に進学する。韓国の場合は、大学院を休学してきて、日本語を勉強して帰る。日本語教育機関の実態、あるいは学生の様子等、是非、検討していただきたい。現在、出入国管理法上、大学等へ在籍する外国人学生は留学生、日本語教育機関へ在籍する外国人学生は就学生、という区別になっているが、必ずしも主要先進国では、そういう区別はないから、この辺についても議論して頂きたい。この問題は、私費の留学生の質の問題、あるいは量の問題と非常に係わりのあることだ。

  この件は是非、審議事項の中に付け加えていただきたいと思います。それと同時に、就学生がどのぐらい高等教育機関に、そしてその後どのようなところに行ったかデータがあるのでしょうから出して頂きたい。

  大学に対して外から良い人を入れてきて、その人たちが非常に良い刺激になって日本の学生が勉強している。チャレンジがないから外へ出て行くのではなく、ホームグラウンドでもチャレンジがあって切磋琢磨して行う。
  また、国を含めて、アジアから来る学生は奨学金を増やしてほしい等、経済的な負担も非常に大きいなか、かなり頑張りながら修学している状況は、いわば、かなり前に日本人の学生が海外へ行って、欧米に対して刺激を与えた状況と同じような役割を果たしているのでは。日本の大学が質的な意味で空洞化をおこしている。一方で入口を広くして出口を狭くしようという話がありますが、それと合わせて、海外からの良い学生たちに来てもらう。そのためであれば奨学金を増やしても、非常に意味があるのではないかと思う。例えば、大学院レベルだったら、最低20%ぐらいとか、ある程度クリティカルマスにならないとインパクトをもち得ないのでないか。そのような期待を、海外からの留学生の皆さんに持つ必要があるかどうかそれ自体も含めて、これからの議論の中で取り上げていただきたい。

  文部科学省の方針にあるように、社会人を対象にした大学院が奨励されていますが、夜間に、外国からの留学生をたくさん入れたいということもあるが、実際問題としては、夜間だと、留学生ビザがおりにくい。入管の方針が非常に厳しい。昼間に学ぶことができるようなカリキュラムが証明できないと、大学として受入れることができないという問題が実際ある。日本人のために授業を行ない、一方で、留学生のために昼間のカリキュラムを別途用意しなくてはいけない。これを私立大学の限られた人材と予算の中でやれないことには留学生を受入れることができないという現場の問題があり、官民一体となった留学生支援の充実として、入管の姿勢も含めて、かなり幅広く取り組んでいただきたい。

  日本が魅力ある留学する先にならなくてはいけない。例えば、国際的な視点においてもそうでしょうし、キャンパス外での生活も含めて、研究をする環境、また大学で勉強をする環境においてもそうである。留学生一人一人を対象とした、質的充実を具体的にどのように政策として進めるのか。大学において実施している従来の学生に対するカウンセリングではもうだめで、異文化間カウンセリングをやらなくてはいけない。実際、大学の相談室に来る学生の問題と民間の相談室に来る学生の問題とは違う。キャンパスの中で感じる問題と、キャンパス外での生活の問題は違う。例えば、指導教官に対するい不平、不満はキャンパス内では言えない。このような実態がある以上、なかなか魅力ある大学にはならない。質的充実のためには、一人一人をどういうふうなケアをしていくかという積み上げが重要。
  日本で留学を終えた人たちにいろいろな調査をしていますが、回答率は20%〜30%であります。先ほどのアンケートなどを見ると、日本への留学は大変良い結果となっているが、これは回答してくる約千四、五百人は、非常に良い環境の中で生活をした人であり、、マジョリティーはそのような人ではない。細かいケアをしている民間団体60〜70%卒業して10年間は、きちんとその団体とある関係を保っている。国費は何%ぐらいになるかわからないが、20%にいかないと思います。そういう実態を見ながら、魅力ある日本への留学ということの中身を詰めていく中で、民間と協力しつつ、一人一人に対するケアのできる政策、大学における諸制度、システムを作る努力が大切である。

  魅力ある日本留学に向けた、一つの方策としまして、留学生が多数来られるのに必要なことは、大学のある種の国際化であると思っていますが、協会はほとんど国際化されていない。私の大学では、差し当たり、外国人教官を10%ということを打ち出しています。つまり母国語でケアできるシステムに加え、協会が国際的になるということが魅力のポイントの一つ。国際的で、研究能力の高い者が集まることで、大学の学生も集まるのではないか。

  イギリスのブレア首相演説にあったように、英国の場合、世界留学生市場の25%を占めるという目標値を提示して、マーケットとして捉えている。しかし、日本はこのような考えで打ち出して良いものか。オーストラリア等もこのような考え方だろうが、留学生に今来てもらうのは良いのだが、全員が自分の国に帰るわけではない。日本に滞在し、日本で働くというようなケースがどんどん増えてくると思う。このような場合に、日本として、留学生をどのように取り扱うか。労働政策にも関わってくると思います。クオンティティ(量)も大事でしょうし、クオリティー(質)も大切である。その辺が大事なポイントになる。留学させた以上はアフターケアも必要。日本の学生に対してはやっているわけであるから。そういうことも重点的に留学生政策を考えていただいたほうが良いのではないか。

  新たな学生支援機構のところに、JISSAを含む民間の支援機関も集まり、一元的に留学生支援を行うのがいいのではないか。
ブリティッシュ・カウンシルの日本事務所は設備が非常に充実している。日本もこのような海外事務所の充実が必要だが、そのため文部科学省だけでなく外務省との協力が必要である。

  今後の留学生問題は、総合的な視点から考える必要がある。高等教育については、この大学分科会の中で言えば、例えば、法化大学院の設置といった新しい方針が打ち出されている。法化大学院に外国人が留学生として応募してきたらどうするかという問題があるが、司法試験を受けさせるべきだと思う。この問題は法務省と文部科学省とが対応する必要がある。さらに、日本国籍以外の者、例えば中国国籍の人が、日本の法曹の資格を取って、日本において働く。これは日本の産業にとって非常に重要なことである。また、同様に現在、外国人はメディカル・ドクターの資格をほとんど取得できない。それを取れるようにするためにはどうしたら良いか、ということも検討していただきたい。我々の議論というのは、素晴らしい日本の大学があって、そこに留学生がどうしたら来るかということを考えることである。私が経験した慶應大学であるが、留学生をがっかりさせるのは日本の学生があまりにもひどすぎるというのが最大の問題であると思う。希望を持って入学してきた留学生たちはがっかりする。さらに、先生に教育力がない。特に国際的な教育力がいない。また、平成15年度予算に、教える方の分野についてのCOE予算が誕生した。留学生受入れの能力を持っている学校をある種のCOEのカテゴリで分類する。新しい側面を拓けるのではないか。

7  次回の日程
  次回は、1月28日(火)に開催することとなった。


(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

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