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資料4

平成13年11月
文部科学省高等教育局

国立大学の再編・統合についての基本的考え方(案)

1. 再編・統合を推進する理由
         
     我が国が人材大国・科学技術創造立国を目指す上で、国立大学が国際競争力のある大学として活性化していくことは重要な課題。
     各国立大学は、戦後、その時々の必要性にも応じて整備され、これまでそれぞれの理念、目標や伝統の下に、学術研究・人材育成、地域への貢献等の各面で我が国の発展に寄与。
     しかし、新たな時代において、「競争的環境の中で個性輝く大学」として、教育や研究等をさらに発展させ、より大きな役割を果たすためには、教育研究基盤を整備して足腰を強化したり、教育研究分野の厚みや広がり、特色の強化を図ることも必要。
     また、国立大学の法人化を控え、全学的視点で資源を最大限に活用した戦略的な経営を進める上で、ある程度のスケールメリットを確保することも有効。
     このため、これまでの経緯にとらわれず、将来の発展を見通した国立大学の再編・統合を大胆に検討することが必要。
     国立大学の再編・統合は、大学の数の削減自体を目的とするものではなく、従来の各大学の枠内では不可能であったような教育や研究等の抜本的な改革・発展と、それらを通じた社会への積極的な貢献を目指し、国民からの支持を確保しつつ、国立大学全体の再生と新たな飛躍を期するもの。
         
         
2. 再編・統合を検討する際の視点の例
         
     上記1の考え方に基づき、各大学で再編・統合を検討する際には、どのような教育上、研究上等のメリットがあるのかということが重要であり、その視点の例としては、たとえば次のようなものが考えられるところ。
         
  1    教育研究体制の充実強化
       再編・統合により、各大学の機能を相互に補完・充実したり、新たな可能性の創出を目指す視点
         教養教育等、教育面の充実のためのカリキュラムの抜本的な見直しと、そのための体制整備
         学術研究分野の深化や再構成、新分野の開拓等、研究推進体制の強化   等
       計画的な人材養成(教員養成等)への対応、高度専門職業人の養成など、社会的要請に対応しうる優れた人材の養成機能を強化する視点
  2    地域貢献、社会貢献の機能強化
       大学が知的文化拠点として、地域及び社会の発展に貢献する機能を充実強化する視点
       地域の人材養成や発展への貢献
       産業界との連携・協力の推進
       社会人のキャリアアップ   等
  3    経営基盤の強化
       国立大学の法人化等をにらみ、組織としてのスケールメリットを確保して経営基盤を強化する視点
       各大学の有する人的・物的資源の有効活用や戦略的再編成
       共通の教育研究組織や事務部門の簡素・合理化   等
         
         
3. 再編・統合の検討の方向
         
  (1)    個性と特色ある大学づくり
       2の13で例示したメリットのすべての充足を一律に追求したり、いたずらに総合大学化を目指すのではなく、それぞれの大学の教育や研究等の特色や地域の事情等に応じて、個性と特色ある大学づくりのため、多様な可能性を検討することが重要。
         
  (2)    再編・統合の形態
       地理的な近接性も考慮すべき要素の一つではあるが、教育上、研究上のメリットがある場合には、県域を越えた再編・統合も大胆に検討することが必要。
       また、大学単位の統合のみならず、例えば、大学間における学部レベルの機能分担の観点からの再編・統合、さらには公私立大学を含む近隣の大学間の役割分担や連携協力の強化、可能かつ適切な場合の地方移管等の検討も必要。
         
  (3)    教員養成系大学・学部
       教員養成系大学・学部の在り方については、有識者による懇談会の報告書(平成13年11月取りまとめ(予定))において、活力ある大学・学部を実現し、新たな教育課題に積極的に対応するとともに特色ある教育や研究等を推進するため、近隣の複数の都道府県を単位として、教員養成大学・学部を再編・統合することが必要であるとしており、この報告を踏まえた真剣かつ早急な対応が必要。
         
  (4)    国立大学にとって実りある再編・統合
       これらを通じ、教育や研究等の豊富化・高度化、新たな学問領域への展開、人材の流動化、資源の重点的投資等を可能にする、国立大学にとって実りある再編・統合を志向することが重要。
         
         
4. 再編・統合の今後の進め方
         
  (1)    再編・統合の進め方の基本認識
       再編・統合の目的が各大学の教育や研究等の発展と基盤強化にあることから、まず各国立大学において、各々の将来の発展という視点から、また、さらなる活性化の好機として、幅広く検討がなされることが肝要。
       文部科学省は、各大学の検討を尊重しつつ、積極的に支援や助言。
       その意味で、国立大学の再編・統合は、文部科学省と各国立大学のいわば「共同作業」により作りあげるもの。
         
  (2)    今後のスケジュール
       今後、各大学において、この「基本的考え方」も参考に、再編・統合について更に検討が深められることを期待。
       平成14年度中を目途に、各大学における検討状況を踏まえ、全体的な再編・統合の計画を策定。
       なお、国立大学の再編・統合は、既に概算要求したり、統合に合意した大学が見られるように、一律にではなく、諸準備の整ったものから、段階的に、かつ、速やかに推進していくこととなるもの。

 

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