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中央教育審議会大学分科会

2001/08/30議事録
中央教育審議会大学分科会/科学技術・学術審議会学術分科会大学改革連絡会(第1回)議事録

中央教育審議会大学分科会/科学技術・学術審議会学術分科会大学改革連絡会(第1回)議事録
     
日   時 平成13年8月30日(木)10:00〜12:30
     
場   所 学術総合センター特別会議室101〜103
     
出席者
(委   員) 鳥居泰彦(中央教育審議会長),阿部博之(科学技術・学術審議会長),茂木友三郎(中央教育審議会副会長),末松安晴(学術分科会長),生駒俊明,石弘光,内永ゆか子,荻上紘一,奥島孝康,岸本忠三,黒田壽二,佐々木毅,長尾真,山崎正和,小平桂一,鈴木昭憲,野依良治
(事務局) 小野事務次官,御手洗文部科学審議官,結城官房長,林官房審議官,工藤高等教育局長,石川私学部長,清水高等教育局審議官,山元科学技術・学術政策局長,遠藤研究振興局長,坂田研究振興局審議官,板東高等教育企画課長,合田大学課長,清木主任大学改革官他
       
議   題 (1) 座長の選任
    (2) 大学の構造改革の在り方について(自由討議)
  (3) その他
配付資料
 
資料 1 大学改革連絡会の開催について
資料 2 大学改革連絡会委員名簿
資料 3 大学(国立大学)の構造改革の方針
資料 4 大学を起点とする日本経済活性化のための構造改革プラン
資料 5 戦略性ある「未来への先行投資」による人材・教育大国と科学技術創造立国の実現
資料 6 当面の具体的協議事項
資料 7 大学(国立大学)の構造改革の方針に対する検討状況
資料 8 国立大学の再編・統合を考える際の論点メモ(案)
資料 9 「新しい「国立大学法人」像について」(中間報告)の概要(略)
資料10 「世界最高水準の大学づくりプログラム」の骨格(たたき台)(案)
       
議   事
  (1)    座長に吉川弘之中央教育審議会大学分科会長(独立行政法人産業技術総合研究所理事長)、副座長に末松安晴科学技術・学術審議会学術分科会長(国立情報学研究所長)が選出された。
  (2)    鳥居泰彦中央教育審議会長及び阿部博之科学技術・学術審議会長から挨拶があった。
  (3)    吉川座長欠席により、末松副座長が議事進行を務めることとなり、「大学の構造改革の在り方等について」事務局が資料を説明した後、自由討議が行われた。
    (○:委員、●:事務局)
       トップ30をつくるのは、一番差し迫った課題かと存ずる。これと現在走っている教育COEのプログラムとの関係をお伺いしたい。あれはなしにして、これに乗りかえるということか。
       そのとおりである。いわゆる大学院の拠点形成は、トップ30に吸収する。
       今走っているものは、この上に乗せるということか。
       はい。
       それから、もう一つ申し上げたい。どうしてもトップ30をつくらなければいけないのであろうが、現場で教育研究に当たっている者から申し上げると、新しい理想的なものをつくることは比較的易しいが、現実にあるものを改善・改良することは、自分が座っている座布団を動かすようなことで、大変難しいと実感している。このような骨格の案を伺っていると、どうしても現在あるものを評価することになりかねないのではと懸念している。せっかく新しいプランをつくっていただけるわけだから、各大学のアカデミックプランというか、新しい学術の動向を踏まえた離合集散を促すようにしていただければ、大変ありがたい。これでは、現在ある専攻を評価することになりかねない。そうすると、今のある種の序列のようなものを再確認することにならないか。新しいグループで教育研究をするということをエンカレッジしていただくことが大事ではないか。旧帝大を中心とする今の確立された大学は、それなりに平均点というか、総合力、能力が大変高いと思うが、比較的小さな大学にも大変すぐれた研究者が、数は多くないがいると思う。そういう方は、こういうプランをごらんになると、ちょっとディスカレッジされるのではないか。そういう方を中心として、学内の少し分野の違う方も集めて、新しい研究教育をやっていく動きをエンカレッジしていただければ、それなりの小さな大学にも個性輝く組織ができるのではないか。
       極めて有益なご示唆であると思う。今までも科研費とか、いろいろ競争的資金は用意している。科研費は個人またはグループの研究のエンカレッジである。このトップ30の理念は、もう少し面的な整備をしたいというところにある。東大なり早稲田、慶応を頂点とする序列ではなくて、それぞれの分野ごとにいろいろ審査してエンカレッジしていこうということである。確かに、先生のご指摘はごもっともである。大学内あるいは大学を超えて組織をさらに融合させるような仕組みを工夫してみるが、またいろいろご議論いただきたい。
       委員のご指摘に関しては資料10の3の(2)の部分に考え方を示している。今ある客観的なデータ的なものだけではなくて、その組織あるいは組織体が組織戦略として、どうトップレベルの水準を目指し、それを確保しようとするか、そのための計画は何かということで考えざるを得ない。とすると、原則、専攻と説明させていただいたが、いくつかの専攻が新しい組織のあり方を目指すことは当然あり得るであろうと思っている。いわば組織体ということをどこかで押さえておかないといけない。先ほど事務局からご説明したように、科研費との違いを明確にし、また、今後法人化を含めて、大学あるいは大学における組織体の戦略的な展開というものを求め、それを実現していくという趣旨を何とか生かしたい。そのための工夫として、いろいろお知恵をいただければと思う。
       全体として総合的に力のある専攻は認めるとして、その中には個人的に見ると、この評価の視点だけではないと思う。これにそぐわない研究者、教員が立派な大学でも必ずいる。そういう方は、極論すれば排除するような強い力をもって進められる。また、一方で、全体としては力が不足しているが、個人的に、あるいは非常に小さなグループとして力のあるところはエンカレッジする。その両方が必要ではないかと思っている。
       まず、感想から述べたい。トップ30については、絶えず各大学人の念頭にあることで、一体どうやって選抜するのか、どこの大学の人も心配している。きょうお示しいただいたことを拝見すると、かなり客観性もあり、透明性もあり、大学へ持ち帰っても多くの人が納得のいく内容を持っている感じがする。まだ、詰めが甘い点はいっぱいあると思うが、これで第1段階の議論はかなり建設的にできるのではないかという感想を持っている。これを踏まえて、2点ほど質問させていただきたい。ここに書いてある専攻という概念と、1ページの分野構成の細分野はイコールであるのか。つまり、5分野選んで30専攻程度と言われたとき、この下の表を見ると分野がはっきりしていて、この分野の中に細分野が入っているが、たとえばバイオサイエンスは専攻の1つ、生物学も専攻の1つと理解してよろしいか。その専攻は何なのかわからない。そこをまずお聞きしたい。
       専攻というのは研究科の中に設けられる。この細分野というのも、かなり大くくりなものから細かいものまである。専攻の実態と一致する場合もあれば、多少ずれがある場合もある。
       専攻というのは、制度的なものをベースにした設定なのか。
       具体的に大学の博士課程に置かれる専攻という組織を対象にする。
       わかった。研究費なり教育費は理科系、自然科学のほうに傾斜して配分するのは当然であると思うから、この表でいいと思う。ただ、うちみたいな社会科学系あるいは人文科学系の大学の目から見ると、このくくり方は人文系・社会科学系にはあまりよくないという印象を持つ人は多いと思う。例えば、法学、政治学というのは数学、物理学に対応する概念かもしれない。細かく分けられて入り込んでいるところは文系のほうであるが、分野として独立したほうがいいかもしれない。この分野は、また非常な意味を持ってくるので、ぜひ客観的情報として教えていただきたい。この分野ごとの専攻の数を出せば、私みたいな疑問に対して納得する人も出てくると思う。仮に、人文科学・社会科学のほうで専攻が多く、生命科学・医学系の専攻が非常に少ない。少ないが、くくったというのは、非常に不公平感を私はもたらすと思う。今日でなくて結構だから、ぜひそういうデータがあれば……。この表は決定的に私は重要だと思う。10分野で5つずつにわけると言っているので、これは質問であり意見である。もう一つは、決定的に私は重要だと思うのは、この審査委員会のやり方、構成等々に尽きると思う。これは、まだたぶん固まっていないと思う。審査委員会というのは10分野ごとにつくり、その上に親委員会みたいなものがあって、5分野選ぶのは親委員会でやらなくてもいいだろう。その辺の構想があれば、現時点でお聞かせいただきたいと思う。
       分野ごとの専攻の数を次回までに出していただきたいということと、審査委員会の構成の構想をお聞かせいただきたい。
       分野の分け方は、私どもも相当悩んだところである。例えば、学術会議は2部制であるが、古典的な日本における学問分野のくくりは7つに分けているのが多い。それで、いろいろ見渡したときにリーズナブルかどうか。この10分野は全く新しいくくりである。今までの分け方を参考にしながら、私どもがつくった分け方なので、ぜひこの分け方についてはご意見を賜りたい。
       まだ、意見の余地はあるのか。
       もちろんである。それと、審査委員会で審査いただくこととなるが、その審査のメルクマールも2枚目にあるが、これでいいかどうか。先ほどの委員からのご提言もある。審査委員会で、各分野ごとにメルクマールがたぶん違うだろうと思う。そこは吟味していただく必要があると思う。決定的に大事なのは、予算を今420億円要求しようとしているが、これがいくら査定でつくのかは不透明であるということである。実は、9月末段階で第1段の査定があり、暮れにまた更に財務省が査定するというスキームの予算である。あまりパイがなくてシャビーな中でばらまきになってもおかしいし、その金額の取れ高にもよる。そうすると、10じゃなくて、全体をもう少し精緻にやれば、別の分け方があるというご議論があれば、その金額に合わせて何年計画でどうするかとなる。2年間で全体をとりあえずカバーしようというのは、5年、10年たたないと行き渡らないのもどうかと思うので、このような考え方としているが、これも今申し上げた予算との兼ね合いがある。もう一つは、分野の分け方をご審議いただきたい。どの審査委員会を発足させるか、どの分野をまずやるか、当連絡会でご意見を賜りたいと思っている。何年計画で何分野やるか。第1年次はこの分野をやったらどうかということをご示唆いただければ、そこの分野の専門家を仰いで専門委員会を立ち上げるという流れのイメージである。
       422億円を初年度に要求することはよくわかるが、これは構造改革特別経費で小泉内閣の目玉である。小泉内閣の先行きにもよるが、こういう経費が何年も続くという前提で進めることについて、私もちょっと心配しているが、この辺はあまり心配していないか。つまり、最初に5分野選んで、次は422億円来ると思ったら、翌年、ばさっと切られてだめになるとか、その辺をどう見るか、あるいは何か担保されているのか。私は、別な視点で、専門としての立場から言うと、ちょっと心配である。
       基本的には内閣の問題であるが、私どもは大学の構造改革を進めたいという強い意向があるので、もちろんこの考え方は引き継いでいくつもりである。
       ぜひお願いしたい。
       今の件は、ぜひよろしくお願いしたい。
       私もこれを拝見していたら、ビジネスに携わるものとして、経営学が入っていない。これは、ちょっと寂しい感じがする。それから、別な例では、日本の経済を活性化するためにはベンチャーを育てなくてはいけないと言っている。ところが、ベンチャーをやっている人に聞くと、育ててもらわなくて、自分たちは育つものである。だから、育つ環境づくりを政府がすることが大切であると言っているベンチャーの人が多い。だから、大学の場合も、もちろん育成ということは必要であるが、考え方の基本は、トップ30が育つように、育つための環境をつくるのであるという視点が、ちょっと抽象的な言い方であるが、基本的に必要じゃないか。それじゃ、どうやって育つのか。これは、評価の問題である。要するに、競い合えば自然に育ってくる。その競い合わせるための評価がどうなのか。これが非常に重要なポイントで、これをどうやってつくるかが一番難しい基本的な問題ではないか。
       ご指摘の点、まことにごもっともである。資料3をご覧いただくと、トップ30だけが非常に注目されており、具体的な設計をお願いしているが、大学に第三者評価による競争原理を導入することを基本的な方針として考えている。その一環として、トップ30はインセンティブシステムの1つと位置づける。加えて、国立大学については、法人化の中での評価システムもあわせて考えていきたい。
       一番基本的なところがどうもよくわからないので、お尋ねしたい。このトップ30計画というのは、個々の研究者あるいは研究集団を育成して、研究の現場そのものを活性化させようということなのか。あるいは、そういう研究者が育っていく組織ないしはインスティチューションとしての大学を育てていこうということなのか。そこがどうも混然としている気がする。今、事務局が、従来の科研費の考え方とは違うと、1つの面として育てていくと言ったことは、私には大学というインスティチューションを育てることのように聞こえる。それはそれで結構である。もしそうだとすると、私が前にお務めしていた大学審議会では、大学のインスティチューションを強めていくためには、学長あるいは学部長といった組織のインスティチューションのリーダーを援助して、その主導権を強くしていくという考え方が出ている。ところが、今回は、各研究者単位でそれを学問専攻の分野ごとに分けて、それぞれの専門家によって選考すると受け取れた。もし、その理解が正しいと、技術的な細部は別として、基本的には科研費的思想である。育てられるのは、それぞれの研究者であって、ある大学ではないということになる。ところが、一方で、面として大学を育てるというのと、どうも整合性が私にはわからない。わかりやすくするために、非常に極端な、ありそうもない例を挙げる。仮にあるところの大変優秀な学長が強いリーダーシップを持って、うちの大学の目玉はこれだ。そこに重点投資をして、この研究を育てたいと考えたとする。ところが、新しくできたスクリーニングコミッティーが、その大学のその専攻は大したことがないから、もっとほかのをやりなさいとなると、これは具体的に対立する。現実にそこまで私は想定していないが、哲学としてというか、思想として、今回の計画というのは一体どちらかわからない。この点がすっきりしないと、次の議論に入れない気がするので、ちょっとお尋ねする。
       科研費は、皆さんご存じのように、研究者個人またはグループによる特定の研究テーマに対する助成である。研究費といっても、設備、旅費、賃金、いろいろあるが、特定の研究テーマに対して審査の上で助成している。今回の案は、特定の研究テーマを掲げることではない。アクティビティーとしてそれぞれの分野を見る。しかもインスティチューションといっても大学トータルではなく、それぞれの分野ごとである。大学院の研究科丸ごとという意味では分野だから、専攻レベルの単位になるイメージである。そういう分野ごとにトップグループを支援していこう、それぞれの大学で学長裁量で目配りしていただく部分もあるが、それはそれとして、それぞれの分野にかゆいところに手の届くお金がないので、使い勝手のいいお金でそれを支援しようという趣旨である。
       先ほどの委員の発言は非常にいいポイントである。むしろ、これははっきりとインスティチューションを育てるということをクリアに出したほうがいいと思う。いくつかのポイントがあって、1つは法人化した時との関連で、経営者に対するインセンティブになる。イギリスの高等教育の評価と非常に似ていると思う。そういう点から言うと、先ほど委員が言われたとおり、小さな大学でいい研究者がいる場合には、当然その人はいい大学へ移る。だから、大学の格差をつけるということは、むしろはっきり言ったほうがいいんじゃないか。そういう意味では、この評価項目が非常に多岐にわたっていて、従来とは違っているのも非常にいい。これが、理事長なり学長はどういうことをやらなくちゃいけないかという、法人化の1つの行動規範になる。これは、もうちょっと検討する必要があると思うが、非常に多岐に渡っていていい。ただ、1つ気になるのは、過去の実績によってインセンティブを与えるということであるから、将来重要な分野をどうやって育てるか。育てるという観点から見たら、これをどうするかを考えるべきである。ただ、2.8億円というのは小さいから、これでやる必要はあまりない。別のところで、この分野が重要だから重点的に育てるというのと組み合わせる必要があると思う。だから、全体としては、今まで日本にない概念をエクスプレスに導入した点を強調したほうがいいのではないか。
       僕も同じようなことである。トップ30の大学をつくるという時に、僕はそういうインスティチューシション、大学を30ぐらいを重点的にするのかと。これで見ると、例えば約2億円のお金を150分野の専攻にとすると、これは普通に科学研究費をもらうところが、また同じところで、そこへ上積みになっていくのではないか。例えば、今の科学研究費、オーバーヘッド30%。そうすると、大きな大学はこれ以上のお金、5億円とか10億円とかがオーバーヘッドで入ってきている。そこへ2億円分野ごとに配分する。しかし、2億円だけプラスしても、世界に突出した30大学をつくる仕組みにはたぶんならないであろう。2億円ずつばらまいている感じにしかならないで、結局、どこへ消えたということになるのではないか。いろいろな仕組みをつくらないと、構造改革予算は取れないのかもしれないが、これで大学の構造改革が起こるかというと、決してこれでは起こらない。科学研究費をたくさん取っているところに、また2億円分余計に行く、オーバーヘッドの上にプラス2億円足し算になるだけで、決して構造改革にはならない。それよりもう少しましなのは、内閣府がやっているCOE、学長あるいは学部長のアイデアで、全体として、例えば10億円を出して、どういう組みかえをして、どういうものをつくるかという形。あるいは、この大学はここの部分を重点的にする。学長あるいは学部長にそういう考えを出させて、今までの実績も考慮に入れながらやれ、人を雇え、場所をつくれとして強める。もしたくさん出てきて、そのうちから150選んで、2億円ずつ分けても、科学研究費が増えただけにならないか。構造改革につながらないおそれもあるのではないか。この通り、もしやったとしたら。
       構造改革につなげるには、むしろ企画を出させて、それについてちゃんとした支援をすべきであるというご意見である。
       構造改革全体を、この3つの柱を含めて私どもはやろうとしている。国立大学法人というものを目指しているわけだが、今回のトップ30は初年度なので試行的な面がもちろんある。もちろん、これでは確かに世界に通じるトップ30には、すぐつながらないというご意見も非常によくわかる。ただ、今、改革しようという努力を文部科学省としては支援したいと思っている。特に、国立大学法人が、中には型もあるし、いろいろな形でできていって、その中でコンペティティブになってきた段階で、大学の全体の方向が見える、さらに具体的な支援措置なりトップ30の育成策はあり得ると思う。今年の予算も、全体の33兆円を30兆円に押さえるという大変厳しい命題の中でやっているので、大した額じゃない。これでは第2科研費になる危険性も確かにあるが、我々としては改革に導きたい。その中で、これも1つの手段なので、全体の予算が非常に厳しい面はぜひご理解いただきたい。ご指摘は非常にもっともである。
       簡単に補足する。対象機関を専攻単位と申し上げたが、これはそれぞれの専攻の判断で出してもらうということではない。大学として、学長として、ある分野のこの専攻を伸ばすことによって、その分野でトップ30を目指したいという大学としての構想を出していただく。したがって、各分野ごとでトップ30を選ぶことによって、結果としてトータルとして大学全体としてのトップ30が形成されていくという考えである。
       私もさっきから伺っていて、各委員が言っていたことと非常に同じようなことを考えているので、そこはあまり繰り返す必要はないと思う。個々の専攻でトップ30を決めて、結果としてトップ30の大学が出てくると、はっきり言ったほうがいいと思う。要するに、企業にもいろいろな外部評価がある。お客様がどう評価されるか。ハードウエアでどうなのか、ソフトウエアでどうなのか、サービスがどうなのか、企業体質としてどうなのか、研究はどうなのか、それぞれランキングされて、総合としてこの会社はどうなのかという評価を受ける。ただ単にトップ30だけ、大学だけというと、確かによくわからない部分は出てくる。個々の部門、専攻をどう切るかというのは非常に難しい部分はあると思うが、やはり専攻としてどこが強いのかというのは1つのやり方としてあると思う。例えば、新しいものにどう取り組んでいっているのか、基礎的なことをずっと続けているのか、学生や先生がすごく活性化しているとか。先ほど3つの改革と言ったが、統廃合をどう上手くやっていくかという観点とか、独立法人とか、そういうことをどう実現していっているのか。要するに、インスティチュートとしての競争力というか、そういう評価できるものが結果として出てくる必要があると思う。ところが、これを見ると、そういうふうに見えない。420億円というお金はとんでもない大きなお金である。割れば割るほど一個一個は少なくなるが、考え方をもっときちっとフォーカスして、それに対してまとめてお金を出す考え方のほうが、私はお金はもっと有効に使えると思う。もう一つ、評価に関して言うと、私、不勉強で申し訳ないが、こういう評価をした時に、外国のいろいろな大学の評価と大体同じになるのか。これでナンバー1になったところを、周りのいろいろなところが全然意味がない評価と言うのは自由であるが、必ずしもそうは言えない。そうなったときに、外部から評価されたものと大体同じぐらいで、同じ結果が出るのか。そうでなければ、世界に冠たる30の大学と言えない。いろいろなところから見て、これは総合的にこういう評価がいいと。これは「案」と書いてあるので、これからそういうことがなされると思うが、そういった観点をぜひ考えていただきたい。だから、インスティチュートとしての、組織体としての競争力というか、そういうものをどう見るかということをこの中で明確に言っていただかないと、これでは個々の話に入り過ぎている感じがする。
       質問とコメントである。1つは、資料8に今までの国立大学設置の経緯の年表がある。我が国で大学で新しいシステムを導入した年次が書いてあるが、この中で大学共同利用機関が戦後新しい学術研究システムとして導入されたと思うが、それの年次がこの中でどこに入るか。2つ目は、大学院重点化というプロセスが起こったが、それが何年から何年まで走っているのか。その2つの期間を加えていただきたいというのが質問である。それから、コメントであるが、世界最高水準の大学づくりプログラム、資料10を拝見して、これだけの大きな額について予算要求しようといろいろお考え、ご努力いただいている点は私も画期的であると思う。今まで既にほかの委員からコメントがあったように、今までの科研費、それからCOE拠点形成というプログラムがある時期に走った。それはある大学なり機関全体をセンター・オブ・エクセレンスとみなしてお金をつけるというストーリー、シナリオで走った。今回のは、その科研費とCOE拠点形成の中間的で、インスティチュートレベルで面で切って、それを強化しようということである。新しいアイデアとは思うが、どうしても今までと同じように内閣が変わる、そうするとその年の予算取りの風向きが変わる、その風向きに合うようなシナリオをつくって予算を確保していくという大きなスキームを出るものではないように私は思う。これで走ると、拠点形成の時と同じように、その効果はちょっとわからない。結局は固定というか、既成の実績に基づいて、そこを強化するということだから、選別して差を際立たせていくという作業には役立つし、30だけ残そうということであれば、それには役立つと思う。国際レベルでこれから日本の学術文化研究を競争させていく、我が国から発信させていくという知的存在感のある国にするには、これはお金を伴うことだから、まだまだ順序立ててこれからやるであろうが、やはり新しい高等教育研究のシステムを考えていく必要がある。これは、全人教育というか、教養教育の欠如ということも今盛んに言われているので、そういう側面。それから、一方、日本を背負っていく、高度な知的人材を育てていくという意味で、全人教育的なものも必要であろう。システムとしては、やはりMITとかカルテックに並ぶような強いインスティチュートの集まりが学術研究を背負っていくというような、新しい高等教育研究のシステムまで視野に入れてやっていかないといけないと思う。この企画提案の背後には哲学が必要だから、むしろ文部科学省で官僚の皆さんがやるよりは、この会議をはじめ、審議会が打ち出すべき仕事ではないかと私は思っている。委員の皆さんのこのプログラムについてのご注文を伺うと、新しい考え方、企画については、審議会でこれからご議論されていくのかと感じる。
       今のご意見を聞いて、一層わからなくなった。もしインスティチューションを育てるということであれば、現実に例えば研究環境にあまり恵まれない優秀な学者がいて、他方、研究環境のいい立派な大学があって、そこに人を移す、つまり集中化を図る。私は、それは国策として1つのあり方である。もしそうなら、今の案ではできないので、逆に全国の学長を10人選ぶ、ベスト10を選ぶ。どういう選び方があるのかわからないが、その方々に1人、40億円ずつ差し上げる。自由に大学運営をやりなさい。これならば、ほんとのインスティチューションの改革になる。その正反対のイメージもある。実は、前の大学審議会で一度話題になったが、バーチャルユニバーシティーである。各研究者、専攻を選んで、従来の大学の組織を離れて、空間的には動かないが、組織上、命令系統の上で完全に独立して別の大学をつくってしまう。そのどちらかでないと、つまり面としての大学、あるいはインスティチューションとしての大学の改革にはつながらないような気がするので、どうもしつこいようだが申し上げた。
       これは、すぐお答えいただくというよりは、きょうは意見をたくさん出していただいて、次回までに整理させていただくことで、あらゆるご意見をいただきたいと思う。
       いろいろな委員の方が言っているので、多少重なってしまうかもしれない。1つ考えておいていただかないといけないのは、やはり今お考えになっているものが科研費と同じ、あるいはそれを少し予算の枠取りを変えたものであると外から受け取られたらまずい。研究者あるいは研究プロジェクト自身を推進する仕組みとしては、科研費というものが今まであった。それは制度的にはある程度定着しているし、それに対する見直しは常に行われているので、私は非常に重要な役割をなしてきていると思う。そういう研究者が属するインスティチューションの強化についても、オーバーヘッドというものが、まだ額は少ないが、設けられたのは、その辺を配慮してのことである。ただ、今のオーバーヘッドでは、そのことによって優れた研究者のインスティチューションを強化するものにはなっていないが、そういう芽は開かれている。だから、科学研究費の中でのオーバーヘッドというのを、これからどのぐらい考えていくのか。そういう中で、大学が持っている役割とか機能は、研究だけではない。トップ30を考える時に、それは大学のどういうファンクションにライトを当てて考えるのかというのが1つポイントになるのではないか。それは、たぶんこれから議論が進むと思うが、それをどう考えるのかが大変重要な問題であろう。もし、研究能力の強化であるならば、あるいはアメリカ式にとにかくオーバーヘッドを充実していくという形で行けるかもしれない。それから、いろいろな境界領域あるいは学際領域の研究を推進するというのも、これは研究助成の出し方を工夫していけば行けるかもしれない。しかし、そういう手法では強化できない大学の役割あるいは分野がある。それが一体何なのかを見極めて、その中で国際競争力のある大学をつくっていくにはどうするかという議論が必要ではないか。だから、やはり科研費と同様のものという誤解だけは、断固として除いておいていただきたいと思う。
       既に出たご議論を繰り返すことになるかと思うが、大学の現場的な感覚から言うと、やはりインスティチューショナルな1つのてこみたいなものを与える可能性は十分あり得るかなと考える。ただ、これは先ほど委員も言われたが、2.8億円というのは、理科系のことは存じないが、ほとんど意味がないというご議論があるかもしれないが、人文・社会科学系にとってはかなり大きなてこになると私は思っている。研究教育の現場を活性化しないことには、大学全体をどうしようという議論をいくらやっても空回りする面があるので、これだけでどうなるという話だと、ちょっといろいろ議論があるかもしれない。1つの要素として活用していくということは、私はあり得るのではないかという印象を持った。ただ、この分野のつくり方とか細分野みたいな話が、逆にせっかくのアイデアあるいはプランを殺すようなことにならないようにしてもらう必要があって、その点での柔軟性が非常に望ましい。それから、いろいろご意見があろうと思うが、少なくとも初年度に人文・社会系をぜひどこかに入れていただく必要がある。いずれ欄の下の方の分野に行くほど行き渡るお金がなくなるということがないようにしていただく必要も私はあると思っている。ですから、私は、これだけでという観点でないという前提で、少し細かい手順について、さらに検討の時間を与えていただければ大変ありがたいと思う。
       今の皆さん方のお話を聞いていて、ますます私、わからなくなってきている。最高水準の大学の育成ということだから、これは30の大学を何とか世界水準に持っていきたいというのがねらいであろう。ところが、分野ごとに分散されてしまうと、おそらくトップ30の大学はでき上がらないのではないか。一つ一つの大学が1分野だけを突出させることも非常に大事であると思うが、意識の改革がそこまで実際にできるのか。1分野をトップ30のすぐれた研究分野にするのであれば、人件費を思い切り出して、外国のノーベル賞学者級を集めればいい。そうすれば、世界からその分野に人が集まって来る。とにかく、世界中からその分野に学者が集まる組織をつくらなかったら、世界に伍していけるような研究分野は完成しないと思う。いくら国内だけで頑張ってもだめであろう。また世界的にも評価されない。私は、私学で工科系だから、1分野2億円になると、これはあまりありがたくない。ほとんど使い勝手のないお金になってしまう。先ほど、文科系では非常にありがたいお金であると。確かにそうである。だが、工科系ではさほど大きな金額にならないので、これだけで本当にそういう目的が達成できるのか、私はちょっと不安を感じる。科研費とかCOEとかいろいろ予算がついているが、それと同じような格好でまた分散されて消えてしまうということがあっては、私は困る。今回は、とにかく世界最高水準の大学をつくるということで打ち出したわけだから、そうなるような格好で社会に示さないと、日本の大学はやはりだめであると言われる可能性があるので、その辺は十分ご検討いただきたいと思う。
       フレキシビリティーをということであろう。
       私立大学の立場で申し上げる。我々私立大学としては、こういう競争的な資金がどんどん増えている世の中で、従来とは違った対応をしなければいけないので、理事会としてはつらい選択をいろいろ迫られている。というのは、私立大学は授業料、生徒の拠出金をもとに運営されるから、授業料に見合うだけの学生たちに対する見返りのあるものを出さなければいけない。そうすると、おのずと大学というものの個性が消えていって、我が大学はそれの模範的、モデル的な大学になってしまって、どんぐりころころの世界になってしまった。これを、この世の中で生き延びるために変えていくとなると、相当思い切った資源の傾斜配分をやっていかなければいけない。私はそれをやっているので、学内では蹴飛ばされ続けているが、火だるまになってもそれをやらざるを得ない。そういう中で、例えばCOEをねらおうとか、あるいは競争的な資金の中で大きいものをねらうと、それはおのずから学内全体を元気づけることにもなる。また、そういう突出部分をつくることによって全体を上げていって、大学にとって学問上、競争心をあおる上で大事な作戦も立てていかなければいけないので、それはやっている。こういうトップ30の問題になってくると、数の多い私立大学は非常に不利な立場に置かれていることは事実であろう。というのは、今申し上げたような形でもって、私立大学はある部分に傾斜的な資金配分をやるのが非常に難しい仕組みになっている。私達は、それでも大学としての個性というものを出していかなければいけないと必死でやっているが、高等教育の8割近くを担う私立大学としては、実際には研究の面でもって非常に大きなハンディを負っているのではないか。別にゴルフのハンディではないが、ある程度、私立大学についてはハンディを考えていただくようなことも必要なのかな。しかし、私はあまり我田引水はしたくないので、そういうことを気持ちの上で持ちながら、審査システム、審査委員会の在り方を相当考えていただきたい。ここについては、私も思い切ったご意見を申し上げたいと思っている。そういうことで、私は審査委員会を非常に注目している。
       この構想は、科研費とはおそらく考え方が基本的に違っていて、教育という視点が随分入っているのではないか。その点は文部科学省のほうに確認したい。資料を拝見すると、そう見える。そうだとすると、科研費とは随分性格が違うものであろう。それから、先ほど委員が学長を10人選んで、そこに自由にやらせたらいいと言った。それは、これとはおそらく趣旨が違うものだと考えたほうがいいのではないか。そういう構想は大変結構で、来年度か再来年度か、これとは別なプログラムとしてトップ10というものを考えていただいたほうがよろしいと思う。現在の案は、委員が言われた優秀な学長を10人選ぶプランと科研費、どちらとも違うものとして、ぜひ実現していただければ、つまり教育という視点を明確に出していくべきではないかと思う。
       資料7の3枚目をご覧いただきたい。先ほどご説明したが、趣旨の(1)、すなわち大学院の博士課程の機能は、高度な研究と同時に高度な人材育成を担っているものなので、その面での世界最高水準になり得るようなポテンシャルを持っているところを対象にしたい。従って、ご指摘の通り、研究のみではなく、人材育成、教育面も重要な観点の1つである。
       せっかく422億円のお金がつくわけだから、有効に利用しない手はないと思う。しかも、その主たる目的は、大学院の主として博士課程を中心によくしていこうということであると私は理解している。これはこれで使うべきである。その時に、今日紙で配られたものを平板的に読むと、今、先生方からいろいろとご指摘があった問題が出てくることは間違いない。なぜ問題が出てくるか。どんなに改革しても、大学は学長のイニシアチブで動くものではなくて、研究者は独立しているという性格はぬぐえない。これは、外国の大学でも基本的にはそうである。それから、日本は、世界の中で比較してみると、遅れているものがあまりにも多い。それから、大学院博士課程での研究活動と教育とのバランスが、著しく各大学でゆがんでいる、崩れていると思う。ひどいところでは放任型博士課程というのがあって、要するに博士課程に入れてやるよ、あとは自分で勝手に論文を書きなさい、でき上がったら審査してやる、それだけである。そういう旧態依然としたものまで含めて、どう改革するかということである。この資料10の2枚目の下半分の経費の使途を経費の使途だと思って読むと、おかしな話になるが、提案されるプロジェクトと読みかえてみると、非常によくできている。要するに、これはこういうプロジェクトを提案してきたら、それを育ててやろうと考えると、個人であるか、あるいは大学の学長の責任においてやるということよりも、学長が目玉として押し出してくる、あるプロジェクトと考えることができると思う。そうすると、例えば世界トップレベルの大学との共同研究とか、時にはシンポジウムもいいであろう。それから、海外のトップレベル研究者の招へいであるとか。ここに書いてないが、私の思いつきで申し上げると、ある学問分野においてはデータベースであるとか、あるいは学術標本の集積ということが考えられる。あるいは、本当にトップレベルの学会発表に対する支援をするのも1つのプロジェクトである。それから、ここには書いていないことであるが、かつて京都大学などがよくやっていた、海外拠点というのを大学が持つということをここで1回認めてやる。そうすると、かつて京大が一生懸命やったように、チンパンジーは京大のアフリカの研究拠点でないとわからないとか、いろいろできると思う。そういうことをプロジェクトとして提案していく。あるいは、生命科学の分野は遺伝子の集積とか、そういうことをプロジェクトとして認める考え方に立つと、上の評価の視点というのは、一律にこれを全部応用するのではなくて、出てくるプロジェクトごとに、このどの部分で評価するか。上半分の評価の視点部分で評価するかがおのずから変わって、上手くいくのではないかという楽観的な観測をしている。そうすると、その次のページの3枚目、あまり文部科学省の仕事に立ち入ってはいけないが、準備委員会が来年1月に発足するまでの間、今日ご議論いただいているようなことをどの機関で議論していただくのか、まだはっきりしていない。今日の大学改革連絡会が準備委員会の準備委員会をやるのか、それとも何か別のことをお考えなのか、ちょっとはっきり見えない。その辺が少しすっきりすると、私が今申し上げた勝手な言葉であるが、プロジェクト提案が出てきた時にどう受けとめるかという受けとめ方も準備できるのではないか。
       だんだんわからなくなってきたこともある。世界最高の水準の大学あるいは大学院であるから、教育と研究と両方大事であろう。おそらくこの中心課題は、高度な教育をすることに置かれているのではないか。そのために、いろいろな意味で能力のある教官にうんとすばらしい教育をしてくれということになるのではないか。その能力の指標として、この評価の視点で挙げられていることは大変結構であるが、経費の使途が教育を推進するのか、あるいは研究を推進するのか、はっきりしない。私の考えが間違っていなければ、もう少し立派な研究者あるいは教育者にうんとすばらしい高等教育をしていただくための経費に、使途に使ってほしいということを明確にしていただければありがたい。ともすれば、今後、研究者個人の評価、研究評価がどんどん行われて、大学の教官が研究のほうに今まで以上にコンセントレートしていく傾向があって、非教育者にいく傾向が見られるのではないか。もしも高等教育の推進ということが主眼であれば、教育の推進のために使うんだということをもう少し明確にしていただければありがたいと思っている。
       大体アクティビティーのあるところはあちこちから科研費も含めてお金をもらっている。ところが、これで使ってくれと限定すればするほど、使い勝手が悪かったり、競合する。大学で、学長裁量経費の配分でもいろいろ使っているであろう。むしろそれぞれの大学の事情が違う中で、今し方お話があったように、後継者の育成、大学院生をちゃんと育てているかも審査対象にしながら、研究組織としての面を育てていく中で、ほんとに不自由しているところは組織によって違うと思う。国際学会が頻繁にあっても、大学院生を援助するお金や設備がないというのも一部あるかもしれない。それは各申請される側のご事情に応じて、何でも使えるようにしたい。ただ、若干ややこしいのは、国の予算というのは、何でも使えるどんぶり勘定の金は、元締めの姿勢としてはがんとして難しい。このスケジュール表にあるように、今の文部科学省のスキームであると科学技術振興調整費がそうであるが、配分が決まった後に財務省と協議して実際に確定する。例えば、人件費総量抑制とか旅費の総量抑制というスキームがあるから、そこをくぐらなければいけない。若干の手間暇がかかるという事情がある。それから、先ほど来、2.8億円が多いのか少ないのかというのがある。私ども、とりあえず第1フェイズは1億円から5億円の範囲内でと考えており、すべて2.8億円というイメージではない。もう一つは、1枚目にあるように、仮に420億円取れたとして、第1フェイズをそれなりに2年間かけてやってみて、もうちょっと分野を小分けするとか、上限も5億円じゃなくて、10億円、20億円、場合によっては必要という話がきっと出てくると思う。それは、この第2フェイズで考えていきたいという趣旨である。ずっとシャビーなお金でというイメージではない。
       少し違った視点から発言させていただきたい。世界最高水準の大学を、トップ30をつくっていくという目標は、これは是非とも今後長い年月にわたって大切にしていただけたらありがたいと思う。どうやればトップ30、世界最高水準の大学ができるかは、さまざまな観点がある。先ほどどなたかが言っていた、海外の正にその分野のトップのプロフェッサーの、例えば学部あるいは専攻の20%ぐらいの数が参加していただくかしないといけない。そのためのさまざまな待遇であるとか環境整備とか生活の問題も、みんな関わってくると思う。それを含めて、トップ30というのが初めて実現するであろう。今、すべてができるわけではないが、30の大学にお金を配ったら、たぶん3分の1か4分の1ぐらいが非常にいい成果を上げる。30を目標にする以上は、結果として30のすばらしい、海外から見てもトップの大学をつくるということであろう。それをどういうふうにして概算要求、その他実現していくかというのは、今の財政構造上、非常に困難だということが私が今申し上げていることになる。私は文部科学省がトップ30をつくるための1つの刺激策をここで政策として動かそうとしていると思うので、最終的には30ぐらいのトップの大学をつくることの目標をいつも忘れないでいくべきであることを申し上げさせていただいた。
       ほとんどの言うべきことはいろいろな委員の方が言ったので、私はそれを繰り返すことはしない。やはり世界に伍していく大学、世界最高水準の大学は、5年やそこらでできない。10年、15年、相当長期に渡ってきちっとやっていかなければいけない。こういうお金もぜひ長期的にきちっとやっていただきたい。しかしこれだけでは、決して皆さん言っているようにできない。これとともに、もっと他の施策として、大学の非常にお粗末なインフラストラクチャーをどうきちっとやっていくか。研究のためだけでなくて、いい学生を集める、キャンパス全体が非常に魅力あるものにあるということも、この世界最高水準の大学になるための大きなファクターで、そういうことにもお金が出てくることを考えていく必要があるかと思う。現在の国の財政の範囲では、とても簡単にはできないことは重々わかるが、やはり10年、15年のスパンでこういうことをかなり計画的に考えていっていただく必要があるのではないか。例えば未来開拓の研究費などは、せっかく皆が元気を出してやり出したが、5年ぐらいするとそれ以上続かない。それをもっと改善したシステムに変えていると言っているが、実際上は続かない格好になったのではないか。そういうことのないように、ひとつ頑張っていかなければいけないのではないか。
       今日は初会合で、まだたくさん、皆さんご意見がおありであろうが、時間が来たので、一応ご意見は打ち切らせていただく。
      今後の日程について、事務局から説明をお願いする。
       この問題については、早急にご議論をさらに進展させていただく必要があろう。大変お忙しいところ恐縮であるが、次回はできれば9月の前半に1回開かせていただきたい。日程については、また調整の上、早急にご連絡したいので、よろしくお願いする。
       どうもありがとう。それでは、議事をこれで終了させていただく。
      ――了――

(高等教育局高等教育企画課)

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