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制度部会(第7回)議事録・配布資料


 日時  平成15年12月3日(水曜日)11時15分〜12時45分

 場所  三田共用会議所第3特別会議室(3階)

 議題
(1) 部会長の選任等
(2) 自由討議(短期大学・高等専門学校から大学院までの高等教育制度全体の在り方など)
(3) その他

 配布資料
資料1   大学分科会及び制度部会の概要
資料2   制度部会名簿
資料3   大学分科会制度部会の会議の公開に関する規則(案)
資料4   制度部会関係基礎資料
資料5   大学分科会制度部会に関する論点例

参考資料1   中央教育審議会関係法令
参考資料2   中央教育審議会への諮問事項について(抜粋)

(机上資料
 高等教育関係基礎資料集
 大学設置審査要覧
 教育指標の国際比較(平成15年版)
 大学審議会全28答申・報告書
 文部統計要覧(平成13年版)
 科学技術・学術審議会人材委員会第1次提言
 科学技術・学術審議会人材委員会第2次提言
 「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」「大学院における高度専門職業人養成について」「法科大学院の設置基準等について」(答申)
 中央教育審議会答申「大学等における社会人受入れの推進方策について」

 出席者
  (委員)   鳥居泰彦(会長)、岸本忠三(部会長)、木村孟(副部会長)、黒田玲子の各委員
  (臨時委員)   天野郁夫、黒田壽二、島田よう子の各臨時委員
  (専門委員)   香川正弘、清成忠男、佐藤東洋士、高木不折、舘昭、中込三郎、福田益和、森脇道子、山内昭人、四ツ柳隆夫の各専門委員
  (文部科学省)   遠藤高等教育局長、加茂川私学部長、清水高等教育局担当審議官、合田高等教育企画課長 他

 議事
(1)  部会長に岸本委員、副部会長に木村委員が選出された。
(2)  部会長から挨拶があった。
(3)  事務局から資料についての説明があり、その後短期大学・高等専門学校から大学院までの高等教育制度全体の在り方などについて自由討議を行った。

(○:委員、●:事務局)

  委員  この部会では、ある程度長期的なスタンスで大学、学部、短期大学、高等専門学校、専門学校等をどの様に変えていけば良いか、今何が問題かというような事を自由に討論し、色々な意見を出して頂いて、必要であれば制度改正繋げていくということであろうと思っている。

  委員  今の大きな問題は、大学分科会と大学設置審議会の認識にズレが出ていることであろう。現状は、学部等の設置において準則主義化している。基準に準則していればどのようなものでも認可するという形になってきている。その根底には、大学とは何か、大学院とは何か、専門職大学院とは何か、という問題があるであろう。具体的には、通信制に関わる事で、高校までしか持っていない学校法人が一足飛びに通信制の大学を設置したり、通信制の大学が通信制の大学院を設置する。基礎となる通学制についてのコンセプトがないまま通信制を設置してしまうと、研究とは何かということに混乱が起こっている。もう1つは専門職大学院に関わる事項で、例えば、専門学校をもっている学校法人が専門職大学院の設置申請をしてくると専門学校レベルの教育になってしまうこともある。また、校地、校舎の基準がないので、教員の研究スペースにも問題が生じたりする。さらに、株式会社立の大学も問題もあり、教育内容が専門学校レベルであったり、教員の研究費などに問題がある場合もある。あるいは、資格試験の受験のスキルだけを教えるという様な事も問題となろう。大学とは何かという事の認識に違いがあるのであろう。
 アメリカの事例では営利企業の大学というのは、研究型大学やリベラルアーツには進出しておらず、ほとんどコミュニティカレッジとバッティングしている。そうすると、この株式会社立というものは短大の分野にどんどん展開してくるという可能性もある。アメリカではそのようにすみ分けができているが、日本の場合はそこもはっきりしていない。学部と大学院の役割、位置付けも曖昧になっているので、この機会にきちんと整理する必要があるのではないか。事前の規制を完全になくして、大学等の新設を認めると、事後チェックには大変なコストがかかり、不可能に近くなるだろう。ヨーロッパの事例等では、事前の規制と事後チェックのバランスを取った方が、質保証のコストは下がるという事になっている。短大から大学院まで制度設計という場合には、こういう事前のチェックと事後のバランスをどう考えるかという事が非常に現実的に問題になる。論議の上では事前の規制から事後チェックへという事に流れやすいが、それだけでは実態との乖離が大きくなる。

  委員  構造改革や規制緩和の進展の中で、大学設置の審査の自由化が喧伝されているが、今の発言にあったような事が懸念される事態になっている。事前規制を全く無くしてしまう事によって生じる弊害がいくつか現に起こっている状況から、中央教育審議会大学分科会と大学設置審議会とが一緒に議論するような場が必要になってきたのではないか。それから、大学設置審議会の中で、学校法人の審査を専ら行ってきた学校法人分科会があるが、この仕分けも見直さなければならないのではないか。なぜなら、国立大学が国立大学法人になった事を踏まえて、国立大学法人が新たに設置される、或いは国立大学法人の中で非常に大きな学部の新設が行われるという事が起こった場合に審議する場がはっきりしていないのではないか。

  委員  この問題は制度部会で検討する、或いは大学分科会での「大学のグランドデザイン」に活かす等により、いかに大学設置が相当部分自由になったしても、そういう思想や考え方は、何かしら活かしていく形にしなければならないと思う。

  委員  高等専門学校に関する課題であるが、高等専門学校は法人化に伴い国立高等専門学校が1つにまとまり国立高等専門学校機構ができるが、その目的や業務は、今までの高専のあり方から、社会の多様な高度化が進行する中で、新しい視点を持ち込んだ法体系になっている。例えば、目的条項の中で、「創造的な人材」というキーワードが入っているが、これからは現場で臨機応変に工夫しながら仕事をしなければいけないため、創造力ある人材を養成する仕組みも学校のほうで合わせて検討していかなければいけないであろうし、同時に、「我が国の高等教育の水準の向上と均衡ある発展を図る」となっており、高等教育に関する骨組み全体の中の一翼を担うものだと考えている。
 技術者の教育に関して、ワシントンアコードという学士レベルの能力の国際水準を相互に承認し合う動きが出ており、日本でもJABEEが加盟をしており、高専の専攻科を含む大学相当部分の評価を行って、認定を開始している。すでに高専の中からは3校がその認定をパスしており、来年には、ほぼ半分くらいの高専が国際的に通用する学士レベルの技術をつける体制を今進行中である。そのような中で、高専の単位体系は1単位を取得するためには講義30時間を要することになっており、学生が外国へ留学したときに、留学先の大学では学部の1、2年相当部分の単位に読み代えられるが、単位の3分の2のみ認めるということが起こる。実際内容は大学の講義時間が15時間に対して高専は30時間も講義をするので、内容的に変わるところはないのだが、法制度がそうなっているための学生に対する大きなデメリットが生じるという問題点がある。本科の部分の4年、5年の単位のあり方の見なおしをしておかないと、国際的に交流したときの齟齬をきたす問題が生じる。専攻科に関しては、大学と同じ単位でやっているので、実行上は問題無いのだが、法制化されていない。そういう現状で、提案をしたいのは、本科の4年、5年(大学の1年、2年に相当する部分)と、低学年の部分と、分けて単位のあり方を検討頂けないかということと、同時に高専は実験、実習に非常に大きなウエイトを置いているが、実験、実習も30時間をもって1単位ということになっており、これを45時間に強化したいということを審議頂きたい。

  委員  この制度が出来た時と時代背景は大きく変わってきている。短期大学も同様である。そのためこのような問題も色々出てきており、専科へ行って学士をもらう、高専を卒業して大学の3年に編入学するという人も増えてきている。このような現状の中で、このままの制度である必要があるか、或いは高大一貫校という考え方を取り入れるか、また、専科までを入れて1つの学校に変えていくなど、色々な考え方がある。ここに書いてある「創造的な人材を育成し、我が国の高等教育の水準の向上と均衡ある発展」は大学に書いてあることと同じことで、そうすると高等専門学校がなければならないかという問題にもなってくるのではないかと思う。先程の単位の問題でもそうであって、高等学校のほうに合わせるのか、大学の方にあわせるのかということを考えていかなければいけないのではないか。

  委員  先程、専門学校のことについて触れられましたが、専門学校では学生数が約69万人であり、そのうち、大学を卒業してから入学する者が約2万6千人いる。就職率は卒業者に対して77%、関連分野に就職する者が70%となっている。留学生は全体で2万1千人程度。また、4年制の専門学校も多数出てきており、もう少し高度な職業教育を行おうということから出てきている。世の中にフリーターと称される者が何百万人もおり、そういう者は働ける喜び等が見出せないでいるという点に注目して教育をしている。そういう点から、専門学校の在り方についてこの部会で議論いただけるのは大変ありがたいと思っている。
 現在、専門学校の高等教育機関としての位置付けは一応されているが、例えば、専門学校で4年勉強した者が大学院に入れるような制度や、2年で卒業したら3年編入の権利ありという形式になると非常に良いと考えている。

  委員  短期大学に関連していうと、前回(第6回)までに討議していたが、結論が出ていない問題として「準学士の学位化」の問題がある。準学士というのは現在称号であり、正式な学位ではないが、国際的には、準学士というのは第1学位として正式な学位であり、短大関係者としては、これを認めていただきたいと考えている。また、短大の特徴である地域との密着ということでは、かなり進んでおり、地域総合学科等が認可され、順調に伸びている。定員充足率も構成内容の大幅な変革により伸びてきている。

  委員  現在、短期大学は18歳人口の現象の影響により厳しい状況に置かれてるが、短大関係者は色々な努力をしている。短期の高等教育がこれからの日本に必要なのか、必要でないのかという議論を是非して頂きたい。
 また、短期大学を正規の大学教育として位置付け、準学士を称号ではなくて学位にして頂きたい。専門学校卒業生が大学の学部に編入できることになったところだが、まったく設置基準の規制が違う2種類の学校が、同じ学部に編入できるということで、高等学校等からは、「短期大学と専門学校は同じだ」という評価を受けているという現実がある。国の認可を受けている短期大学の学位を設置基準に見合う位置付けをして頂きたい。短期大学の問題は今までも数多く議論されてきたが、結論が出ないまま終わっており、この機会に一定の結論を出して頂きたい。

  委員  称号と学位とでは国際的には何が1番大きく違うのか。

  委員  準学士という称号であることは、短期大学が大学とは違うと受け取られてしまう。設置基準から考えてみても、短期ではあるがきちんとした大学教育をやっている以上、学位でなければいけない。

  委員  わかりやすい例としては看護の学校の例で、3年制の看護短大を卒業すると準学士として卒業証書が出るが、4年制の看護学部を卒業すると、学士として学位記が出る。これは看護士に取って大きな違いである。

  委員  世の中の変化で、ほとんどの者が4年制の大学に進学するようになり、また、大学院の増加で高等教育は大学院中心になっている。かつての大学と考えていたものが、今は大学院になっている。その場合、短期大学が本当に必要かという意見もあるかもしれない。

  委員  高等教育に進学したいと考える人間の全てが4年制にいけるわけではなく、2年の短期大学があることによって大学教育の恩恵が受けられることになる。短期大学は、今までも一定の役割を果たしてきたし、これからも果たしていけるであろうと考えてる。従って、この部会において、短期大学の役割は終わっていないという位置付けをできればと考えている。

  委員  例えば学部の3年からでも大学院でも行けるようになれば、3年制の学部を作っても良いのではないかという議論になる。すると短期大学は必要ないという意見もでるだろう。そのような場合、どう考えるか。

  委員  学部が変れば、短期大学も変らざるを得ないだろう。日本の大学教育の中核は学部であり、それに大学院が繋がっているということは事実であろう。しかし、経済的な事情や地域の状況などで、全ての人間が大学、学部に進学できるわけではない。そういう観点から地域に根ざし、きちんとした大学教育を行う短期大学は必要になる。仮に学部が修業年限が変われば、短期大学にも大きな影響があり、色々な選択をしていかざるを得ないであろう。

  委員  社会人を受け入れる再教育という観点から、短大では多くの社会人が学んでいるという実態もある。実際に現在の日本の社会で、働きながら4年間の学習というのは困難であろう。そうしたときに、体系的な学習機会を保証する選択肢の中の重要な1つとして短期大学がある。そのように学んでいくプロセスの中で学習への動機付けや意欲が変わっていくこともあり、そういう機関というのも必要なことではないかと考える。これだけ高度化した社会では、自分の進路が決まりにくいことも当然という部分もあり、そうした時にまず入学し、「こういう専門性を高めたい」、となることもあり、そういう1つの選択肢としては、日本の社会には重要ではないかと思う。

  委員  既に話題になったことだが、グローバル化の中で、単位の読み替えが問題になるということは専門学校にも同じことが言える。制度的に問題で、今まで各々が作り上げてきた制度の中で袋小路があり、そこをバイパス的に作ってきた結果であると言えるのではないかと感じている。18歳人口は減少しているが、専門学校の学生は若干増えているというのが事実である。それは時代の要請にあったスキルを提供していることだと思う。そのようなことからも、全体の制度を整合性の取れたものにするような議論をしていただきたい。

  委員  かつて、平成10年の答申を議論した際に、学部教育という捕らえ方は不十分であり、学部教育は「学士課程教育」という言葉が含まれているはずである。学部教育と言っても英語に訳すことができず、これは明確な概念が無いからである。レベルを示めさねばならないので「学士課程教育」という使うという議論があった。学生の教育として考えた場合はプログラムとして組んでいかなければいけない。この学士課程という「課程」を「プログラム」と訳すことによって、そのレベルのプログラムを学生の到達すべき能力像に合わせて作っていくという概念に繋がるので、その意味でも使っていく必要がある。さらに、この半世紀の改革の中で、学部という概念が非常に問題であるということで、筑波大学を作った時に筑波大学には学部を置かなかったわけだが、それにも関わらずまた学部教育という概念だけで検討するということも今までの成果から言って問題なのではないか。そういう意味でここの議論の中で学士課程教育、それから準学士課程教育という言葉を使った議論もして頂きたい。
 それから、資料4の5ページでは「学部では広い意味での教養を身に付けるべきであり、専門知識は大学院で学ぶ」となっているが、学士課程教育、或いは準学士課程教育で身に付けるべきものというのは以前からそれほど変るものではなく、それが大学院に全部移ってしまうということはないだろう。また、この論議が出てくる中では、アメリカをイメージされていることが多いだろうが、例えば、ハーバード大学の中にあるリベラルアーツカレッジでも当然専攻をもっている。日本の現状では、大学院側から見れば専門が繋がっているため、研究者養成として3年から大学院に行けば良いという発想があり、文科系では就職のことを考えて3年で単位を取らせたい現状があるかもしれない。また、ヨーロッパで確かに第1学位を3年ということでボローニャ宣言等で整理しようとしているが、イギリスの例のように、ヨーロッパは義務教育が1年早く始まっていることもある。それからヨーロッパの大学教育は学士レベルでも教養教育ではなくて専門教育に入っているので、日本の教養教育を主体とした今の学士教育を3年にした場合に、国際的に大学院に入れないなどの問題が起こりうる。そういうことも十分に考慮する必要がある。
 さらに、学部教育では6年制の学部があることも問題になるだろう。法科大学院で法務博士というような学位を出すことになる一方で、薬学教育で6年制というようなことも新たに出てきているので、学部教育という場合、年限の多様性も視野においた議論が必要になるだろう。

 次回の日程
次回は、日程調整の上、決定することとなった。


(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

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